4.財務比率
4−(1)流動性
(注)流動資産及び流動負債は、団体別でのみ計上されているため、施設別区分の分析は行わない。
流 動 資 産
流動比率(%)=──────── ×100
流 動 負 債
現金預金+(未収金−貸倒引当金)
当座比率(%)=───────────────── ×100
流 動 負 債
区 分
流動比率
当座比率
28
29
30
28
29
30
当 該 団 体
類似団体平均
団体別平均
388.9
432.3
450.0
357.4
395.9
409.9
B団体
589.0
501.2
667.2
576.7
491.3
654.0
【指標の見方】
流動比率は、短期債務に対する支払能力を表す。100%を下回ると不良債務が発生している。
当座比率は、流動資産のうち現金・預金等、最も換金性が高い資産の短期債務に対する比率であり、より確実性の高い資産による支払能力を表す。
流動比率については100%を上回っても現金等の流動資産が減少傾向にある場合や、一時借入金等の流動負債が増加傾向にある場合には、将来の見込みを踏まえた分析が必要である。逆に100%を下回っている場合であっても、流動負債には建設改良費等に充てられた企業債・他会計借入金等が含まれており、これらの財源により整備された施設について、将来、償還・返済の原資を給水収益等により得ることが予定されている場合には、一概に支払能力がないとはいえない場合もある。
なお流動比率が当座比率より著しく高い場合は、当座資産以外の流動資産(例えば貯蔵品)の管理について確認する必要がある。また当座資産に占める現金の比率が高く、年間を通じてその傾向が強い場合には、資金の効率的な運用についても検討の余地がある。
【事業全体の傾向】
流動比率及び当座比率は「大規模」が相対的に低い。これは「2.収益性」でみたとおり「大規模」で収支や財務が比較的安定しており、余裕資金の比率を抑制することで資金効率が高くなっているためと考えられる。
【例示の事業について】
B団体については、いずれの比率も平均を上回る。経常収支赤字の施設を有していることなどから、平均的な「大規模」と比較して十分な支払能力の確保に努めているものと考えられる。
流動比率・当座比率(団体別)
4−(2)安全性
(注)資本金等は、団体別でのみ計上されているため、施設別区分の分析は行わない。
資本金+剰余金+評価差額等+繰延収益
自己資本構成比率(%)=─────────────────── ×100
負債・資本合計※(注記)
固 定 資 産
固定資産対長期資本比率(%)=──────────────────────── ×100
固定負債+資本金+剰余金+評価差額等+繰延収益
※(注記) 「負債・資本合計」=「総資本」
区 分
自己資本構成比率
固定資産
対長期資本比率
28
29
30
28
29
30
当 該 団 体
類似団体平均
団体別平均
69.9
71.0
71.9
88.1
87.4
86.4
B団体
86.5
87.9
90.4
83.7
83.8
81.9
【指標の見方】
自己資本構成比率は、総資産のうち返済が必要な負債以外(企業の正味財産高)の割合を表す。
固定資産対長期資本比率は、固定資産の財源が長期の資本で調達されているかを表す。
いずれの比率も資本構成の安定性を示す。自己資本は、地方公共団体によって元入された資本と、公営企業がその経営によって獲得した利益が元手となる。返済を要せず、借入金に対する利息等の義務的な資本コストを生じない(法第18条の規定による出資の場合を除く)ため、一般的に高い方が望ましい。また投下資本の回収が長期に渡る固定資産は、返済期間についても長期間であることが望ましい。100%を上回ると短期債務で回収期間が長期に及ぶ固定資産を取得している可能性が高く、不良債務の原因となる。
【事業全体の傾向】
現在配水能力規模の違いによる大きな水準の差異はみられない。いずれも企業債の償還が進み自己資本構成比率は7割前後にある。また固定資産は長期資本によって賄われている。
【例示の団体について】
B団体は自己資本構成比率が団体別平均を上回り、固定資産対長期資本比率は団体別平均を下回っている。平均的な「大規模」と比較して安定的な資本構成となっている。
自己資本比率・固定資産対長期資本比率(団体別)
平成30年度工業用水道事業経営指標