令和6年8月 29 日
中部管区行政評価局
地域における住民の防災意識の向上(災害教訓の伝承)に関する調査の結果
・ 概要
・ 中部管内の事例
(注記) 調査結果の詳細を記載した結果報告書については、総務省行政評価局ホームページ
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/hyouka_kansi_n/ketsuka_nendo/hyouka_2408290
00175924.html)に掲載しています。
<背景>
東日本大震災の教訓をいかすため、平成 24 年の災害対策基本法の改正で、住民の責務と
して災害教訓の伝承が、国及び地方公共団体の努力義務として住民の伝承活動への支援が
それぞれ規定されました。
一方で、気象災害が激甚化・頻発化し、大規模地震の発生が危惧されている中、過去の
災害の記憶等が年々風化している、住民の災害教訓の伝承活動が行われなくなってきてい
るとの指摘もなされています。
<調査結果>
住民による災害教訓の伝承活動を取りやめる地区が増えている市町村がある一方、過去
の災害教訓が大切に受け継がれたことで、災害時に住民の主体的な避難行動に結び付いた
事例がみられ、改めて災害教訓の意義・重要性が確認されました。
また、市町村における住民の災害教訓の伝承活動への支援状況を調査したところ、
1 新たな取組としてどのように支援を行えばよいか分からないとする市町村がある
一方、既存の取組に災害教訓を取り入れているものなど、他の市町村の参考となり得る
様々な支援例がみられました。
2 国土地理院が市町村による自然災害伝承碑の活用を促進している中、どのように活用
してよいか分からないとする市町村がある一方、他の市町村の参考となり得る様々な活
用例がみられました。
(連絡先)
総務省中部管区行政評価局 評価監視部
担 当:第1評価監視官室 渡邊
電 話:052-972-7427(直通)
公表資料
1内閣府は、住民の災害教訓の伝承活動
への市町村による支援を促進するため、
既に広報誌「ぼうさい」の発行や地区
防災計画モデル事業(注)を通じた市町
村に対する関係情報の提供などの取組
に着手しており、更に参考となる支援
例について、情報提供予定
(注)住民等が地区防災計画の素案を作成し、市町村
の防災会議に計画を提案するなどのモデル事業
2国土地理院は、住民の防災意識の向上
を図る観点から、既にウェブサイト上
などで市町村による自然災害伝承碑の
活用例を提供しており、更に参考とな
る活用例について、収集・提供予定12国土地理院は市町村による自然災害伝承碑の活用を促進。どのように活
用してよいか分からないとする市町村がある一方、他の市町村の参考と
なり得る様々な活用例あり
詳細は次ページ以降参照
調査結果1調査の背景
 東日本大震災の教訓をいかすため、平成24年の災害対策基本法の改正により、住民の責務として
災害教訓の伝承を、国・地方公共団体の努力義務として住民の伝承活動への支援をそれぞれ規定
 気象災害が激甚化・頻発化し、大規模地震の発生が危惧されている中、過去の災害の記憶等が年々
風化している、住民の災害教訓の伝承活動が行われなくなってきているとの指摘あり
地域における住民の防災意識の向上(災害教訓の伝承)に関する調査結果(概要)等
公表日:令和6年8月29日
1住民の災害教訓の伝承活動について、どのように支援を行えばよいか
分からないとする市町村がある一方、児童生徒への防災教育や住民主体の
活動に災害教訓を取り入れているものなど、他の市町村の参考となり得
る様々な支援例あり
 災害教訓等を学習・発表する防災教育により、家族等への伝承にもつながった例
 災害リスク等を話し合う住民懇談会の開催により、参加者間で災害教訓が共有さ
れた例(同教訓を踏まえた防災訓練により更に多くの住民に共有)
 防災に詳しい団体の協力を得て、災害遺構等を徒歩で巡るイベントを開催するこ
とにより、幅広い年齢層への災害教訓の伝承につながった例
国土地理院は、市町村の申請に基づき、自然災害伝承碑の情報を「地理院地図」等
に掲載しているが、掲載対象となる伝承碑の範囲が分かりづらいなど、市町村が
申請するに当たっての課題がみられたため、調査途上で国土地理院に情報提供
さんかく児童が災害教訓を学ぶ様子
なお、自然災害伝承碑の掲載手続については、
市町村向けの申請の手引きを改定するなどの
改善を実施済み。また、自然災害伝承碑掲載
の更なる促進を行うこととしている。
調査結果を踏まえた関係府省の対応
災害教訓が住民の主体的な避難行動に結び付いた例あり
➡ 災害教訓の伝承は、住民の主体的な防災行動につながり得る重要なもの
1 住民の災害教訓の伝承活動の意義・重要性
2 市町村による住民の災害教訓の伝承活動への支援
(→P8)
(→P3)
(→P7〜8) 2制度概要
 東日本大震災を機に、「災害教訓」を次世代に確実に受け継ぐべきと再認識
 災害対策基本法の平成24年改正で、災害に際して住民自らが主体的に判断し、行動できることが必要
であることから、防災意識の向上を図るため、住民の責務として "災害教訓の伝承" が明記
調査した市町村から、次の意見あり
• 災害の記憶や教訓が風化してきている。
• 災害教訓の伝承活動を取りやめる地区が増えている。
調査結果
災害教訓の伝承は、住民の防災意識の向上や主体的な防災行動につながり得る重要なもの
調査結果1 住民の災害教訓の伝承活動の意義・重要性
家庭内や地域内で伝承されてきた災害教訓から、
住民が、災害時に安全な高台に再避難した例や 行政の避難指示を待たずに自主避難した例を把握
(事例の詳細は次のページ参照)
災害教訓の伝承活動の意義・重要性を再確認するため、
避難行動等について、近年被災した住民からヒアリングを実施
...住民は、...過去の災害から得られた教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。(第7条第3項) 3災害教訓から安全な高台に再避難した例 (新潟県村上市)
• 新潟県村上市の小岩内地区では、令和4年8月の大雨の際、住民は公会堂
に避難したが、羽越水害の教訓から、公会堂にとどまることは危険と判
断し、高台に再避難。高齢者等は住民が避難を支援
• その後、公会堂にも土石流が押し寄せたが、再避難が完了していたため
犠牲者は一人も出なかった。 さんかく令和4年8月の大雨時の様子
• 羽越水害(昭和42年)の教訓が、家庭内で世代を超えて伝承。
公会堂に写真が展示され、地区住民全員に羽越水害の記憶が共有
災害教訓から行政の避難指示を待たずに自主避難した例 (新潟県関川村)
• 新潟県関川村の高田集落では、令和4年8月の大雨の際、羽越水害の
教訓から、被害の危険性が高まっていると感じ、役場からの避難指示
を待たずに、自主避難
• ほとんどの家屋が床上浸水する被害はあったものの、犠牲者は一人も
出なかった。
さんかく令和4年8月の大雨時の様子
さんかく羽越水害の伝承をテーマにしたお祭り
• 羽越水害(昭和42年)の教訓が、家庭内で世代を超えて伝承。
毎年、羽越水害の伝承をテーマにしたお祭りを開催
調査結果1 住民の災害教訓の伝承活動の意義・重要性 468市町村における住民の災害教訓の伝承活動への支援状況を調査したところ、多くの市町村では支援を
行っているが、支援を行っていない市町村もみられた。
• 支援内容をみると、新たに住民の伝承活動が行われることを企図したものが多数あり
• 支援を行っていない理由としては、どのように支援を行えばよいか分からないためであり、支援を行って
いる市町村でも更なる支援を行うには同様の課題あり
• これらの市町村から、他市町村の支援例があれば、それを参考に地域特性を踏まえた支援が検討できる
との声あり
• 一方で、調査した市町村の中には、児童生徒への防災教育や住民主体の活動に災害教訓を取り入れて
いるものなど、他市町村の参考となり得る支援を行っている例あり(具体例は7〜8ページ参照)
調査結果2(1) 市町村による住民の災害教訓の伝承活動への支援
 災害対策基本法では、国及び地方公共団体が災害の発生予防又は拡大防止のため、特に実施に努めなければ
ならない事項の一つとして、住民の災害教訓の伝承活動を支援することを規定
 内閣府は、国民全体の防災意識を向上させることを目的に、災害教訓の伝承活動を含む、様々な団体の防災
活動を発表する「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)」の開催などを実施
 市町村は、それぞれの地域特性を踏まえ、住民による災害教訓の個々の伝承活動への支援を実施
制度概要
調査結果
国土地理院は、過去の自然災害の教訓を住民に分かりやすく伝え、教訓を踏まえた的確な防災行動により
被害を軽減するため、先人が災害教訓を伝えようと残した石碑・モニュメントである「自然災害伝承碑」
の情報(碑名、災害名、伝承内容等)を、市町村の申請に基づき、地理院地図等に掲載
(R6.7.25現在:625市町村2,149基掲載)
国土地理院の改善措置
1 効率的な調査例や他機関が
把握している石碑等の情報を
市町村に提示した。
68市町村における自然災害伝承碑の掲載申請の状況を調査したとこ
ろ、多くの市町村では申請を行っているが、申請を行っていない市
町村もみられた。
• 市町村が、申請するに当たり次の課題あり
1 石碑等の調査に要する時間や知見なし
2 モニュメントの掲載対象が分かりづらい
3 地理院地図等の掲載判定結果の連絡が不十分
さんかく自然災害伝承碑
の地図記号のア
イコン
 国土地理院は「資料の追加提出があれば掲載の可能性あり」(掲載
保留)と判定したが、市町村では「掲載不可」と認識し、再申請
しなかった例あり
 きっかけとなる情報提供がなければ、調査や申請を行うのは難しいとの
声あり
 住民団体等と連携するなど、効率的に調査、申請を行っている例あり
 地理院地図等には、落石や倒壊した鳥居、地蔵尊なども掲載
 モニュメントに該当しないと考え、申請しなかった市町村あり
2 掲載対象となるモニュメント
が分かるよう市町村向けの
手引きを改定した。
3 掲 載 保 留 と し た 石 碑 等 に
ついて、再申請に必要な情報
を、市町村に対し明示した。
調査途上で、当局から国土地理
院に情報提供した結果、市町村
の負担軽減のため、国土地理院
は以下の改善措置を実施
調査結果2(2) 市町村による自然災害伝承碑に係る取組
制度概要
調査結果5 6
国土地理院は、自然災害伝承碑の情報は、より身近で現実味のある災害リスク情報として活用
することができ、住民の防災意識の向上に役立つとともに、防災教育の一助にもなるため、
自然災害伝承碑の活用を促進
地域内の自然災害伝承碑が地理院地図等に掲載されていた55市町村を対象に、伝承碑を活用した支援状況
を調査したところ、市町村の半数以上では支援に伝承碑を活用しているが、活用していない市町村もみら
れた。
• 活用していない理由としては、他の防災業務で余裕がなく、活用方法が検討できないためであり、活用
している市町村でも伝承碑を活用した更なる支援を行うには同様の課題あり
• これらの市町村からは、他市町村の伝承碑を活用した支援例の提供を望む声あり
• 一方で、調査した市町村の中には、住民団体の協力を得て、支援を実施しているものなど、他市町村
の参考となり得る支援を行っている例あり(具体例は8ページ参照)
調査結果2(2) 市町村による自然災害伝承碑に係る取組
制度概要
調査結果 7防災教育の中に災害教訓を取り入れている例(宮城県石巻市)
• 宮城県石巻市では、以前から行っている小・中学校の防災教育
の中で、児童生徒が災害教訓を伝える石碑や過去の津波被害が
あった場所等を訪れたり、被災住民から話を聞いたりして
「復興・防災マップ」を作成
• 同市は、発表会等を通じて、同マップの成果を発信することで、
児童生徒のほか、家族、住民等への災害教訓の伝承にもつながって
いるとしている。
さんかく復興・防災マップの例
さんかく住民懇談会の様子
• 群馬県及び県内市町村は、各地区で住民懇談会を開催し、自主
避難計画の作成を支援している。住民懇談会では、同計画の
作成に当たり、過去の災害の発生場所や災害の前兆現象等を話
し合い、それを基に「防災マップ」を作成している。
• 同県は、住民懇談会や、自主避難計画(防災マップ)を活用した防災
訓練により、住民間で地区の災害教訓が共有されているとしている。
市町村の参考となり得る支援例
住民主体の活動の中に災害教訓を取り入れている例(群馬県・県内市町村)
中部管内の事例を別添資料(中部管内の事例)で紹介しています。 8• 神奈川県平塚市は、住民の防災意識の向上を図るため、防災に詳しい
住民団体の協力を得て、市内の災害遺構や自然災害伝承碑等の災害
関連スポットを徒歩で巡る「防災さんぽ」を開催している。
• 同市は、防災に観光的要素を取り入れたことにより防災イベント
にふだん参加しない住民が参加するなど、幅広い年齢層への災害
教訓の伝承につながっているとしている。
さんかく住民団体が参加者に説明している様子
• 岐阜県本巣市では、児童生徒が濃尾地震(1891年)を学び、自分
の身は自分で守る意識を持ってもらうため、住民の協力を得て、
自然災害伝承碑の清掃や献花式に、児童生徒を参加させている。
• 同市は、地域学習として児童生徒を参加させることにより、地元紙
等で報道され、児童生徒に災害教訓が伝承されただけでなく、住
民の伝承活動が活性化したとしている。
さんかく献花式で花を供えている様子
市町村の参考となり得る支援例(自然災害伝承碑を活用した支援例)
住民団体の協力を得て実施している例(神奈川県平塚市)
住民団体の協力を得て実施している例(岐阜県本巣市)
中部管内の事例を別添資料(中部管内の事例)で紹介しています。
大規模な洪水被害が大正初期に起きたA地区と、昭和20年代に起きたB地区の
洪水の浸水想定区域内の住民に、自然災害に関するアンケート調査(意識調査)を実施
世代が若くなるほど
認知度が下がる傾向
更に風化が進むおそれ
 大正初期の洪水は75.1%、昭和20年代の洪水は28.4%の者が「知らない」と回答
 過去の洪水を知っている者は、知らない者と比べ、洪水への危機意識が高く、より多くの平時の備えを行っている傾向9(参考)2地区における住民アンケート(意識調査)の結果18.367.275.128.46.74.4
0 20 40 60 80 100
A地区
B地区(%)何らかの情報を知っている 知らない 無回答18.038.955.252.422.47.93.700.80.8
いずれの情報も
知らない
何らかの情報を
知っている13.023.051.357.228.516.47.32.201.1
0 20 40 60 80 100
いずれの情報も
知らない
何らかの情報を
知っている(%)常に意識している ある程度は意識している
あまり意識していない 全く意識していない
無回答
過去の自然災害の記憶や教訓等を風化させず、伝承していくことが重要16.78.538.934.738.948.35.68.1
何らかの情報を
知っている
いずれの情報も
知らない12.98.343.032.639.044.04.815.0
0 20 40 60 80 100
何らかの情報を
知っている
いずれの情報も
知らない(%)対策数7〜 対策数4〜6 対策数1〜3
対策数0(対策なし) 無回答
A地区
A地区
B地区 B地区00.40.20
事例No.分 類 市町村等名 伝承の対象となっている災害 件 名1住民の防災意識の向上を図る既
存の取組の中に災害教訓を取り
入れている例 岐阜県本巣市 濃尾地震(明治24年)
地域学習の一環として児童生徒が自然災害伝承
碑への献花式に参加することにより、住民有志
が行っていた災害教訓の伝承活動が促進された例住民団体の協力を得て支援を実
施している例2住民の防災意識の向上を図る既
存の取組の中に災害教訓を取り
入れている例
三重県伊勢市 台風21号(平成29年)
台風による浸水範囲や実際の浸水時の写真を示
した浸水実績図を掲載した防災マップを配布し、
住民から家族への災害教訓の伝承が促進された例3
住民の防災意識の向上を図る既
存の取組の中に災害教訓を取り
入れている例
三重県尾鷲市
昭和東南海地震(昭和19年)
など
防災学習やまち歩きイベントを通じて、児童生
徒が過去の津波の教訓について学習することに
より、家族への災害教訓の伝承が促進された例
市町村による住民の災害教訓の伝承活動への支援例
市町村による自然災害伝承碑を活用した支援例
総務省
「地域における住民の防災意識の向上(災害教訓の伝承)に関する調査結果」
(中部管内の事例) (中部管区行政評価局)
事例No.分 類 市町村等名 伝承の対象となっている災害 件 名4住民の防災意識の向上を図る既
存の取組の中で自然災害伝承碑
を活用している例
三重県熊野市
昭和東南海地震(昭和19年)、
安政南海地震(1854年)など
防災教育の中で、児童生徒がまち歩きで地域の
自然災害伝承碑を調べるなどして、過去の津波
の教訓について学習している例
(注)上記事例No.1・3は、「市町村による自然災害伝承碑を活用した支援例」でもある。
地域学習の一環として児童生徒が自然災害伝承碑への献花式に参加することにより、
住民有志が行っていた災害教訓の伝承活動が促進された例(岐阜県本巣市)
• 本巣市は、参加した児童生徒から「多くの人が犠牲
になった地震の恐ろしさが分かり、できることをし
て災害に備えたい」「私たちが語り部となって、次
の世代に引き継いでいきたい」といった意見が聴か
れたとしている。
• 本巣市は、地元紙やテレビ等で報道され、実際に参
加した児童生徒及び関係者だけでなく、それらの記
事を読んだ人たちに対しても、波及効果として、災
害教訓が伝承されたとしている。
• 本巣市は、地域学習として児童生徒が献花式に参加
することにより、住民有志で行われている災害教訓
の伝承活動が促進されたとしている。
市町村、参加者等からの意見
• 明治24年(1891年)に、本巣市根尾を震源に濃尾地震が発生し、多くの犠牲があったことから、住民有志により、毎年、自
然災害伝承碑「濃尾震災横死者の碑」での献花式を実施
• 本巣市は、同地震発生から130年目を機会に、例年以上に同地震についてこどもたちに考えさせ、「自分の身は自分で守る」
ことを身に付けさせるため、根尾小学校・中学校(2022年4月1日に統合して現在は義務教育学校・根尾学園)の学習の一環として、
自然災害伝承碑での献花式に参加
経緯No.1• 以前から献花式を行ってきた住民の協力を得て、児童生徒が参加することで、
学校での授業だけでは経験できない貴重な体験ができ、児童生徒はもちろん、
住民にとっても印象深いものとなっている。
• 学校の近くの自然災害伝承碑に実際に足を運んで清掃を行うことなどにより、
災害を身近なものとして考えるきっかけが作れた。
取組を行う上でのポイント
• 本巣市は、校舎の近くに自然災害伝承碑「濃尾震災横死者
の碑」があることを知らせ、同碑の清掃作業等を通して濃
尾地震を身近なものとして考え、防災意識を高めることを
目的に実施
• 児童生徒は、同碑の前で公民館の館長による講話を聴き、
濃尾地震について学習
• を落としたり、付近の落ち葉を拾い集めたりするなど同
碑を清掃
• 住民有志で行われてきた献花式に参加し、住民が制作した
竹灯籠に火をともし、一人ひとりが花を供え黙とう
⇒ 児童生徒が参加することにより、以前から住民有志が行っ
てきた災害教訓の伝承活動が活性化
取組内容苔こけ
台風による浸水範囲や実際の浸水時の写真を示した浸水実績図を掲載した防災マップを
配布し、住民から家族への災害教訓の伝承が促進された例(三重県伊勢市)
• 伊勢市は、浸水実績図を見た住民から「ハザードマッ
プと当時の写真や浸水実績を併せて見ることで、改め
て災害の恐ろしさを実感したので、備えていきたい」
などの意見が聴かれたとしている。
• 伊勢市は、災害教訓を掲載した防災マップの配布によ
り、家族内での災害教訓の伝承が促進されているとし
ている。
市町村、参加者等からの意見
• 伊勢市では、平成29年10月に発生した台風第21号によって、近年で経験したことがないほどの大きな被害を受けたことか
ら、同台風の記録を残し、その教訓を伝承していくため、浸水実績図を作成
• 浸水実績図は、浸水被害が発生した地区の住民への聴き取り調査や家屋被害の分布状況、衛星写真の解析結果を基に作成
経緯No.2• 住民にハザードマップの説明を行う際に、浸水実績図も触れ
ながら説明することで、より災害リスクを実感できる。
• 浸水実績だけでなく、当時の写真も掲載することで、自宅周
辺の災害リスクをよりイメージすることができる。
取組を行う上でのポイント
• 伊勢市は、津波や洪水、土砂災害などが発生したとき
の被害想定(ハザードマップ)、指定緊急避難場所等
が掲載された「伊勢市防災マップ」の中に上記浸水実
績図を掲載
• 浸水実績図は、平成29年10月台風第21号による浸水
範囲のほか、実際に浸水した様子の写真と当該写真を
撮影した地点が分かるように掲載
⇒浸水実績図を見た住民は、家族等に災害教訓を共有し、
避難先についての話合いや平時の災害への備えを実施。
また、防災マップの配布により、同台風後に転入した
者等にも災害教訓が伝承
取組内容
防災教育やまち歩きイベントを通じて、児童生徒が過去の津波の教訓について学習する
ことにより、家族への災害教訓の伝承が促進された例(三重県尾鷲市)
• 尾鷲市は、児童生徒から以下の意見が聴かれ
たとしている。
 児童生徒から「今まで知らなかった危険な場所
などを探検しながら楽しく学べた」といった意
見あり
 住民団体から「歴史を学ぶだけではなく、町を
実際に歩くことによりいざという時にこどもた
ちの役に立つのではないか」といった意見あり
• 尾鷲市は、学んだ災害教訓を家族に話すなど、
児童生徒の家族等への災害教訓の伝承が促進
されたとしている。
市町村、参加者等からの意見
• 尾鷲市は、津波の波高が大きくなりやすいリアス式海岸があり、昭和東南海地震(昭和19年)など、地震・津波によってた
びたび大きな被害が発生しており、今後も南海トラフ地震等の大規模な地震・津波による被害が想定
• 東日本大震災後、災害に備えることの大切さが再認識され、防災教育に積極的に取り組んでいる一方、時間の経過と共にその
記憶が薄れつつある中、学校・家庭・地域が連携し、過去の災害を知らないこどもたちに体験を語り伝え、考えさせ、自らの
命を守るための術を身に付けさせることが大切と認識し、参加型の防災教育を推進
経緯No.3• 学校関係者向けに「津波防災教育の手引き」を作成し、それぞれ
学年や教科を通じて、地震・津波の仕組みや備え、災害教訓など
の防災について学習できるよう、授業計画案や教材を紹介した。
• 実際に自然災害伝承碑がある高台まで足を運ぶことで、自分たち
が住んでいる町よりも高い場所まで津波が来たことや、ここまで
津波が来たらどうなるのかをこどもたちに考えて欲しいという意
図でチェックポイントを設置した。
取組を行う上でのポイント
• 尾鷲市は、市内の小・中学校で、防災教育の一環として、過去の地
震・津波に係る写真・映像を見て気付いたことを話し合う「まちた
んけん」を行い、危険な場所や津波の教訓を伝える石碑を確認する、
家族や住民から話を聴くなどにより、地域の災害教訓を学習
• 市内の児童を対象に、市の歴史を知ってもらうため、住民団体の協
力を得て、参加者が市内のチェックポイントを巡り、ポイントを稼
いで点数を競うイベント「いきいき尾鷲っ子まちロゲ」を実施。
チェックポイントには、自然災害伝承碑「津波供養碑」も設定
⇒児童生徒は、帰宅後、学んだ災害教訓を家族に話し、住んでいる地
域の避難場所等についての話合いを実施
取組内容
防災教育やまち歩きイベントを通じて、児童生徒が過去の津波の教訓について学習する
ことにより、家族への災害教訓の伝承が促進された例(三重県尾鷲市)
参考No.3(いきいき尾鷲っ子まちロゲ)
防災教育やまち歩きイベントを通じて、児童生徒が過去の津波の教訓について学習する
ことにより、家族への災害教訓の伝承が促進された例(三重県尾鷲市)
参考No.3(いきいき尾鷲っ子まちロゲ)
防災教育の中で、児童生徒がまち歩きで地域の自然災害伝承碑を調べるなどして、
過去の津波の教訓について学習している例(三重県熊野市)
熊野市は、児童生徒から「この地域にも地震が
あったという事実を再確認したことで、災害に対
する『備え』の大切さが分かった」「高齢者の方
が多い地域なので、災害発生時には中学生として
地域のためにできることを考え、行動していきた
い」といった意見が聴かれたとしている。
市町村、参加者等からの意見
• 熊野市では、昭和東南海地震(昭和19年)や安政南海地震(嘉永7年(1854年))など、何度も津波による被害を受けてお
り、多くの災害教訓を伝える石碑(自然災害伝承碑を含む)あり
• 東日本大震災後、教員向けの防災教育に関する学校防災対策推進研修会に力を入れており、避難所での過ごし方を考えるゲー
ムや、防災をテーマにしたかるたなどで、こどもたちの考える力を養う方法等を防災教育に取り入れることを推進
経緯No.4• 教科書や写真・映像による学習だけでなく、まち歩きで実際に自
然災害伝承碑や避難経路の確認、地域と連携した防災学習等を実
施することで、より進んで避難する態度が身に付く。
• 自然災害伝承碑の活用について、新たな取組を実施するのではな
く、以前から実施されていた防災教育を利用することにより、職
員の事務負担が少なく活用することができた。
• 各校の防災担当者が参加する学校防災対策推進研修会において、
各校の地理的、地域的実態に応じた防災対策、児童生徒の実態に
応じた防災教育を推進するための研修を実施している。
取組を行う上でのポイント
熊野市では、小・中学校の社会科や総合学習の防災教育の授業にお
いて、以下の取組を実施
• 児童生徒がまち歩きをするなどして、自然災害伝承碑、高台への避
難経路などを調べ、その結果を文化祭で発表
• 昭和東南海地震の経験者を学校に招き、地域の過去の自然災害から
教訓を得る機会として防災講話を実施。こどもたちに高台避難を呼
びかけ、300人の命を救った森本福太郎の逸話などを紹介
取組内容
(学校防災対策推進研修会の様子)
防災教育の中で、児童生徒がまち歩きで地域の自然災害伝承碑を調べるなどして、
過去の津波の教訓について学習している例(三重県熊野市)
参考No.4(児童生徒が発表会のために作成した資料(抜粋))

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