令和3年度第1回総務省契約監視会の議事概要について
開催日及び場所 文書審議(令和 3 年 7 月 7 日(水)〜7 月 27 日(火))及びリモート審議(令和 3
年 8 月 24 日)
構成員
(敬称略) 座 長 北大路 信 郷 株式会社政策情報システム研究所代表取締役所長
構成員 有 川 博 日本大学総合科学研究所教授
構成員 片 桐 春 美 公認会計士
構成員 園 田 智 昭 慶應義塾大学商学部教授
構成員 高 橋 伸 子 生活経済ジャーナリスト
契約案件の審議
審議対象期間 令和 2 年 4 月1日〜令和 2 年 11 月 30 日
抽出案件 5 件(対象案件 1,595 件)
審議案件 5 件
構成員からの質
問・意見に対する
回答
以下のとおり。
【抽出案件 1-1】一般競争入札(総合評価落札方式)
契約件名:総務省LANシステムの更新整備及び保守・運用業務
契約相手方:日鉄ソリューションズ株式会社
契約金額: 10,554,500,000 円(落札率 99.9%)
契約締結日:令和2年 10 月1日
競争参加業者:1者
意見・質問 回答
(北大路座長)1 者入札の理由(推測さ
れる理由)は何か。
入札不参加業者へ確認したところ
「過去の実績等をみて
経営的な判断から参加を見送った」
「リソース状況、納
期、
作業リスク等を考慮して入札参加が難しいと判断し
た」と回答があった。
(北大路座長)高落札率(100%)の理由
は何か。
34 回の再度入札が行われ、34 回目に予定価格を若干下
回る入札がなされ、落札となったものであり、結果とし
て落札率が 100%(99.9%)になったもの。
(北大路座長)現在のシステムの構築と
その後の運用業務を従来から請け負って
きた事業者による一者入札となり、
結果、
高落札率で請負うことになったが、再入
競争性の確保にあたっては、公告期間を政府調達(WTO)
に必要な公告期間 50 日以上に対し 65 日間とし、
実務経
験の年数の緩和も行った。また、特定の事業者に偏るこ
となく、
応札が期待される複数の事業者に対して個別相
札が繰り返され、減額を繰り返せば予定
価格を下回ることが予想できていたと推
察さる。競争性確保のために実際にどの
ような工夫、取り組みをしたのか、どの
ような検討、議論をしたのか。
談を実施するなど、積極的な応札検討を依頼した。
(北大路座長)一般競争入札の競争性に
頼って適正価格を追求するより、交渉と
か、公募随契も含め、今後の大型のイン
フラの保守、運用ということの仕事に関
して、適正価格をどうやって確保してい
くかということの議論が必要と考える。
(有川委員)
規模の大きな発注について、
競争性を確保するために、公募による随
契の形を取りながら適正な価格を追求し
ていくというところのステップになるん
だろうと思う。他の業者が参入しない、
あるいは参入できない理由をきめ細かく
聞くことが必要なのかと感じた。
今後、詳細に確認したいと思う。
【抽出案件 2】随意契約(企画競争)
契約件名:IoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築
契約相手方:十勝農業協同組合連合会
契約金額:19,999,999 円(落札率 100.0%)
契約締結日:令和2年7月6日
意見・質問 回答
(有川委員)
予定価格 19,999,999 円はど
のような算出過程を経て得られた金額
か。
本件は、企画競争であるため、外部有識者により構成さ
れた評価会において査定された総計額を予定価格とし
ている。
(有川委員)
契約金額 19,999,999 円はど
のような契約交渉過程を経て到達した金
額か。
企画競争における他団体からの提案や過去に実施した
本事業の内容と重複する部分を整理するなどし、
提案さ
れた実施内容について、
真に必要なものに絞るなどした
結果の金額である。
(有川委員)
他の同一契約件名の4件は,
本件を含めて,端数のついたほとんど近
似の契約額 19,999,516 円〜19,999,999
円となっているが,4件の契約内容の多
様性をどのように確保することとしてい
るのか。
委託先の選定において企画競争を取り入れることによ
り、多様性を確保している。
(有川委員)受注者の選定に際し,受注
者の契約履行体制及び経理執行体制をど
のように確認,評価したのか。
企画競争において提出させる提案書に、実施体制(契約
履行体制及び経理執行体制)
を記載させることとしてお
り、最終的な内容は、外部有識者により構成された評価
会にて審査及び評価を受けている。
(有川委員)4件の近似的な契約金額を
踏まえると,実際の契約執行状況の確認
と,精算条項に伴う精算行為が重要なポ
イントになると思うが、確認体制はどの
ようになっているのか。
経費の執行状況については、
各委託先から毎月の報告を
受けおり、事業管理支援法人と連携の上、精査を行って
いる。また、中間検査を設けており、経費の執行状況に
加え、
各委託先と経費の執行ルールについて改めて確認
している。
(有川委員)本件と同じような契約が4
件、同一契約件名あり、予定価格と契約
金額が同額というのが並んでるが、その
過程をしっかり説明しないと、国民にど
んな契約をしているんだという疑問を持
たれる。回答は非常に抽象的な表現で、
契約金額が同額になった過程についても
外部有識者の評価会などを踏まえて契約金額を決定し
ているところではあるが、
不明瞭な点があるとの御指摘
を肝に銘じさせていただき、今後、他の案件も含め、適
切に執行を進めさせていただく。
説明が十分ではない。また、確定検査の
ところで適切に契約金額どおりの履行が
なされたかどうかを確認するところも重
要になる。
(有川委員)金額の妥当性及び契約内容
の多様性の確保については、なお疑問が
残るので、今後とも、しっかりとした検
証が必要とコメントしたい。
【抽出案件 3】 一般競争入札(総合評価落札方式)
契約件名:e-Gov に係る問合せ対応運用業務
契約相手方: 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
契約金額:473,000,000 円(落札率 96.9%)
契約締結日:令和2年 10 月8日
競争参加業者:2者
意見・質問 回答
(片桐委員)本契約の業務の具体的内容
は。また、本業務において、前年度の対
応件数など、実数を知りたい。
e-Gov の利用方法等について、利用者からの問合せに対
応を行っており、2020 年度実績で電話による問合せが
約 78,000 件のうち、約 13,000 件の問合わせに対応し、
メールフォームによる問合せ約 25,000 件に対応した。
(片桐委員)予定価格はどのように積算
したのか。
1原局予算額(税抜 587,164,340 円)
、2応札業者最低
下見積額(税抜 444,323,095 円)
、3会計課による積算
額(税抜 588,938,000 円)を比較し、最も安価な2を基
準とし、予定価格とした。
(片桐委員)年々工数削減、価格低減し
ているのか、また、そのための業務効率
化の方策などあれば教えていただきた
い。
利用者からの問合せについては件数が増加し、
利用者の
範囲が拡大しており、
問合わせにかかる時間も拡大して
きているが、工数、価格の増加を抑制するため、FAQ を
準備、
利用者向けの初心者ガイド用のコンテンツを整備
する等、
問合わせ自体の増加を可能な限り抑制する取り
組みを行っている。
(片桐委員)契約期間が1年ではない理
由は何か。
問合せ対応品質を一定水準に保ち、
受託事業者に対して
問合せ対応業務の継続的改善を求める上で、
ロスが少な
く合理性が高いため。また、受託事業者の成熟度を向上
させるための期間確保可能性の点で、
複数年契約として
いる。
(片桐委員)e-Gov も外部環境に合わせ
て進化することが求められると思うが、
新しい視点を積極的に入れていく観点
で、より競争性を高めることを期待する
ところ、どのようにしたら他の業者も入
札に参加しやすくなると考えるか。
一部基盤整備要件の除去、
オペレーター要員要件の緩和
など、仕様要件の緩和、軽量化などに取り組みを行った
が、受託事業者が変更となった場合であっても、サービ
ス品質の低下を回避する観点から、e-Gov に関する問合
せ対応のノウハウを蓄積し、
共有しやすくするようなナ
レッジ基盤の強化も重要と想定しているところ。
【抽出案件 4】一般競争入札(総合評価落札方式)
契約件名:地方公共団体における AI 活用に関する調査研究の請負(自治体 AI 共同開発推進事業)
契約相手方:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所
契約金額:292,600,000 円(落札率 99.7%)
契約締結日:令和2年5月 13 日
競争参加業者:2者
意見・質問 回答
(園田委員)予定価格はどのように決定
したのか。
1原局予算額2入札参加予定者から提出された最低下
見積額3契約係積算額を比較し、
最も安価な1原局予算
額を基準とし、予定価格とした。
(園田委員)端数調整で 500 千円の減額
とあるが、端数調整といえるのか。
(園田委員)総合評価のプロセスは。 原局で選定した評価者(3 名)が「総合評価基準」に基
づき提案内容の評価を行った。
(園田委員)落札率が高い理由とほかの
応札業者の入札価格は。
入札を行った結果、
予定価格よりわずかに低い額の入札
(税抜 266,000,000 円)がなされたもの。ほかの応札業
者(株式会社野村総合研究所)の入札価格は、税抜き
269,000,000 円。
(園田委員)
地方公共団体における AI 活
用について調査研究を行う必要性は。
地方公共団体の業務効率化の手段として AI は非常に有
効であるが、ネットワーク環境などを考慮した、情報セ
キュリティ要件等の仕様検討など、
地方公共団体が安全
に活用できるクラウド AI 等の導入手順等について、調
査研究を行い、取りまとめることとしたもの。
(園田委員)どのような AI の活用を想
定しているのか、
また、
自治体 AI 共同開
発推進事業全体の予算規模は。
地方公共団体における AI の活用想定としては多岐にわ
たるが、
「AI を活用した申請受付
・審査支援システム(チャットボット/審査支援)
」などがある。予算規模は、総
額税込 285,599,320 円(精算後の実績額)。(園田委員)地方公共団体により書式の
仕様が異なるが、統一的な形式になるよ
うに、一度データを入力し直す必要があ
るのか。
複数の地方公共団体においてクラウド AI の共同利用を
行う際、
基本的には統一書式への変換作業が必要となる
ため、広く横展開するためには、書式等についても予め
統一されていることが必要となる。
(園田委員)地方公共団体によって書式
が違っており、書式を統一しないと、逆
に非効率的であると思うが、見通しがあ
早急にフォーマットを全部統一するということにはな
らないと思が、
一つ一つの自治体がやるというよりは共
同利用できるところから進めていくという趣旨で、
今回
れば、それを教えていただきたい。 の事業も行わせていただいている。
(園田委員)総務省が音頭を取って、地
方自治体の書類、企業に求める書類とか
の書式を統一するようなイメージを持っ
ていたが。
デジタル庁ができて、
地方公共団体の情報システムの標
準化をしているが、システムを統一するためには、ある
程度業務を統一しなければならないというおおまかな
方向性はある。
【抽出案件 5】一般競争入札(最低価格落札方式)
契約件名:電波利用環境保護周知啓発強化期間に係る新聞広告の請負
契約相手方:株式会社三榮廣告社
契約金額:3,237,465 円(落札率 100%)
契約締結日:令和 2 年5月 15 日
競争参加業者:10 者
意見・質問 回答
(高橋委員)本件はどのような調達か 関東管内7県の地方紙に
「電波利用環境保護周知啓発強
化期間」の広告を掲載するための調達である。
(高橋委員)10 社の入札にもかかわら
ず、落札率 100%となったのはどうして
か。
入札に参加を希望する業者が提示した下見積額のうち
最も安価な下見積額を提示した業者が同額で入札に参
加したため。
(高橋委員)見積り価格の算定をどのよ
うに行ったか。
予算額と市場価格(下見積額のうち最も安価なもの)を
比較したところ、市場価格が予算額を下回ったため、市
場価格を予定価格に設定した。
(高橋委員)令和3年度の調達で工夫・
改善した点はあるか。
入札広告掲載までの期間を延ばすことにより、
複数社の
参加があり、入札金額も安価となった。
(高橋委員)今回の応札 10 社というの
は、過去にない数であるが、例年と違う
状況があったのか。
新型コロナウイルスによる感染拡大の影響により、
広告
関連の需要が減ったことから今まで入札に参加しなか
った業者が入札に参加したのではないかと思われる。
(高橋委員)仕様書を見ると 地方新聞
社への掲載手続きが主業務であるが、広
告価格についてはどのように交渉してい
るのか。
広告価格の交渉は入札に参加者が行っているため交渉
内容は分からないが、
交渉した結果が入札価格に反映さ
れているものと考える。
(高橋委員)入札から掲載まで約半月し
かなく、例年の契約なので、新聞社との
間で契約ありきの状態かと思うが。
掲載日については幅を持たせており、
特段問題なかった
ものと考える。
(高橋委員)販売部数が落ちている地方
新聞に出稿を続けていることについての
考えは。
掲載日(令和2年6月1日)の対象7紙の発行部数は
1,336,436 部であることから、一定の周知・啓発効果が
あったものと判断している。
(高橋委員)広告のデザインや版下は当
局のデータ等に依存しており、特段の創
意工夫を求めていないのか。
広告のデザイン及び版下については、
特段の創意工夫は
求めていない。
(高橋委員)周知・啓発活動は、中長期
的な計画に沿って調達しているのか。
本省から示される全体方針(通達)に基づいて実施して
いる。
(高橋委員)
入札参加者が 10 社もありな
がら競争は働いたのか、また、例年の契
約であり、この落札結果が毎年、次の年
に生かされているのかということの関心
を持った。あわせて、6月1日の掲載を
希望しながら、5月の中旬に契約してい
るので、どこがやるのか決まっているに
等しいのかなという疑問を持った。
また、
時代が大きく変化する中で、QRコード
でホームページに入れるなどの工夫もな
い。
指摘を踏まえ、整理して回答したい。
(北大路座長)高橋先生の指摘内容は、
ほぼ同感であり、ぜひ一度考えていただ
いて、どんな結果になったか事務局へ報
告いただきたい。

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