1(注1)
入院患者からの支払が滞った場合、患者に代わり、連帯保証人代行業者が入院費用を立て替えて病院に支払
い、立て替えた入院費用は連帯保証人代行業者から入院患者へ請求する制度である。入院患者は、同制度を利
用する場合、病院の案内の下、連帯保証人代行業者と保証委託契約を締結する。
(注 2)
「高額療養費制度」を利用する際に、自己負担限度額を超える額の一時的な支払いを不要とするための書類
である。健康保険加入者は、医療機関等の窓口での支払いが高額となった場合に、自己負担限度額を超える額
が払い戻される「高額療養費制度」の利用が可能であるが、限度額適用認定証を保険証と併せて医療機関等の
窓口に提示することにより、1 か月(1 日から月末まで)の窓口での支払いを自己負担限度額までとすることが
できる。
― 行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ、沖縄県内の公立病院に参考連絡 ―
入院手続時の連帯保証人の設定における代替措置等の検討について
令 和 5 年 7月 6日
沖縄行政評価事務所
行政相談の要旨
当事務所の調査結果(概要)
しろまる 沖縄県内の公立 10 病院(国立大学法人 1 病院、独立行政法人国立病院機構 2 病院、沖縄県立病院 6 病院、
地方独立行政法人 1 病院)及び民間医療法人 4 病院について調査したところ、
・ 公立 10 病院の全てにおいて連帯保証人を求めている一方、民間 4 病院のうち 2 病院では連帯
保証人代行制度(注1)を導入し、連帯保証人を不要としている。
・ 連帯保証人を求める 12 病院の中には、患者と別世帯・別住所であることを連帯保証人に求める
要件としていないものがみられた(5 病院)。
しろまる また、県外の公立病院における連帯保証人に代わる措置の状況を調査したところ、
クレジットカードによる保証や入院医療保証サービスによる保証、限度額適用認定証(注2)を提示
する方法など、連帯保証人に代わる保証方法を導入している病院が確認された。
娘(中学 3 年生)が県立病院に入院することになり、病院から、私とは別世帯で住所が異なる 2 人の
連帯保証人を求められたため、連帯保証人を確保した。しかし、私も妻も公立学校教員として定職に就
き支払能力はあるため、連帯保証人は必要なかったのではないか。資力はあるが連帯保証人を確保
することができない者等については、クレジットカード番号を控えるなど、連帯保証人に代わる措置等
を導入し、連帯保証人の設定を省略できるよう柔軟に対応してほしい。
総務省沖縄行政評価事務所(所長:仲里均)は、以下の行政相談を受け、民間の有識者で構成す
る行政苦情救済推進会議(*)(座長:宮國英男弁護士)に諮り、同会議の意見等を踏まえ、令和 5 年
7月6日、沖縄県内の公立病院に対して参考連絡を行いました。 2しろまる 公立病院側が、クレジットカードの活用など、連帯保証人に代わる入院費担保方法を用意する
ことにより、入院費用支払義務者(患者本人や患者が未成年である場合は保護者。以下同じ。)が
自身の状況に応じた費用担保を選択できるような環境を整える余地があるのではないか。
しろまる 多くの公立病院では、入院費用支払義務者と別世帯・別住所であることを連帯保証人の要件
としているが、同義務者と同一世帯・同居であっても、支払能力のある親族を連帯保証人とでき
るよう要件が緩和されれば、負担を軽減できるのではないか。
(*) 行政苦情救済推進会議
行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、
もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために開催しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体
等の関係者で構成されています。
(行政苦情救済推進会議の構成員(令和 5 年 2 月 24 日現在。座長以外五十音順))
(座長)宮 國 英 男 弁護士(元沖縄弁護士会会長)
赤 嶺 和 子 NPO 法人消費者センター沖縄理事長
小那覇 安 剛 (株)琉球新報社論説委員長
田 端 一 雄 (一社)沖縄県経営者協会常務理事
西 山 千 絵 琉球大学大学院法務研究科准教授
真 壁 恵 修 沖縄行政相談委員協議会会長
行政苦情救済推進会議の意見
【問合せ先】
担当:主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145(代表)
当事務所は上記意見を踏まえ、今回の調査により把握した県内及び県外の医療機関の状況と
ともに、入院患者の入院手続時の負担軽減を図る観点から、下記1、2のとおり、考えられる連帯
保証人に代わる措置及びその要件緩和について、県内の公立病院に対し参考連絡
1 公立病院においては、一律に連帯保証人を求めるのではなく、入院費用支払義務者の状況
を考慮し、i)クレジットカードの活用、ii)限度額適用認定証の提示などの代替措置を講ずる。
2 入院費用支払義務者と別世帯・別住所であることを連帯保証人の要件としている公立病院
においては、同義務者と同一世帯・同居であっても支払能力のある親族が別にいる場合には、
当該親族を連帯保証人とできるよう要件を緩和する。
参考連絡事項
「公印省略」
沖 縄 相 第 8 5 号
令和 5 年 7 月 6 日
独立行政法人
国立病院機構沖縄病院 院長 殿
沖縄行政評価事務所長
入院手続時の連帯保証人の設定における
代替措置等の検討について(参考連絡)
当事務所では、総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第 4 条第 1 項第 14 号の規定に
基づき、国民の皆様から行政に関する苦情や意見・要望を受け付け、その解決や実現の
促進を図る行政相談業務を行っています。
また、当事務所に寄せられた行政相談のうち、民間有識者の意見を聴取することによ
り、国民の視点から、その的確かつ効率的な処理を推進する必要があると考えられる事
案については、当事務所が開催する行政苦情救済推進会議(注)
(座長:宮國英男弁護士)
に付議し、同会議の意見を踏まえて処理を行っています。
この度、当事務所において、別紙(相談内容)のとおり、
「入院手続時に求められる連
帯保証人については、連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を省略で
きるよう柔軟に対応してほしい」旨の行政相談を受け付けました。
本件について上記行政苦情救済推進会議に諮り検討した結果を踏まえ、入院患者の入
院手続時の負担軽減を図る観点から、貴殿において参考になるものと考えられるため、
別紙のとおり連絡いたします。
(注) 行政苦情救済推進会議とは、行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平
性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために設置
しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体等の関係者で構成されています。
<連絡先>
主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145
FAX :098-866-0158
「公印省略」
沖 縄 相 第 8 5 号
令和 5 年 7 月 6 日
独立行政法人
国立病院機構琉球病院 院長 殿
沖縄行政評価事務所長
入院手続時の連帯保証人の設定における
代替措置等の検討について(参考連絡)
当事務所では、総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第 4 条第 1 項第 14 号の規定に
基づき、国民の皆様から行政に関する苦情や意見・要望を受け付け、その解決や実現の
促進を図る行政相談業務を行っています。
また、当事務所に寄せられた行政相談のうち、民間有識者の意見を聴取することによ
り、国民の視点から、その的確かつ効率的な処理を推進する必要があると考えられる事
案については、当事務所が開催する行政苦情救済推進会議(注)
(座長:宮國英男弁護士)
に付議し、同会議の意見を踏まえて処理を行っています。
この度、当事務所において、別紙(相談内容)のとおり、
「入院手続時に求められる連
帯保証人については、連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を省略で
きるよう柔軟に対応してほしい」旨の行政相談を受け付けました。
本件について上記行政苦情救済推進会議に諮り検討した結果を踏まえ、入院患者の入
院手続時の負担軽減を図る観点から、貴殿において参考になるものと考えられるため、
別紙のとおり連絡いたします。
(注) 行政苦情救済推進会議とは、行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平
性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために設置
しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体等の関係者で構成されています。
<連絡先>
主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145
FAX :098-866-0158
「公印省略」
沖 縄 相 第 8 5 号
令和 5 年 7 月 6 日
国立大学法人
琉球大学病院 病院長 殿
沖縄行政評価事務所長
入院手続時の連帯保証人の設定における
代替措置等の検討について(参考連絡)
当事務所では、総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第 4 条第 1 項第 14 号の規定に
基づき、国民の皆様から行政に関する苦情や意見・要望を受け付け、その解決や実現の
促進を図る行政相談業務を行っています。
また、当事務所に寄せられた行政相談のうち、民間有識者の意見を聴取することによ
り、国民の視点から、その的確かつ効率的な処理を推進する必要があると考えられる事
案については、当事務所が開催する行政苦情救済推進会議(注)
(座長:宮國英男弁護士)
に付議し、同会議の意見を踏まえて処理を行っています。
この度、当事務所において、別紙(相談内容)のとおり、
「入院手続時に求められる連
帯保証人については、連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を省略で
きるよう柔軟に対応してほしい」旨の行政相談を受け付けました。
本件について上記行政苦情救済推進会議に諮り検討した結果を踏まえ、入院患者の入
院手続時の負担軽減を図る観点から、貴殿において参考になるものと考えられるため、
別紙のとおり連絡いたします。
(注) 行政苦情救済推進会議とは、行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平
性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために設置
しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体等の関係者で構成されています。
<連絡先>
主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145
FAX :098-866-0158
「公印省略」
沖 縄 相 第 8 5 号
令和 5 年 7 月 6 日
沖縄県病院事業局長 殿
沖縄行政評価事務所長
入院手続時の連帯保証人の設定における
代替措置等の検討について(参考連絡)
当事務所では、総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第 4 条第 1 項第 14 号の規定に
基づき、国民の皆様から行政に関する苦情や意見・要望を受け付け、その解決や実現の
促進を図る行政相談業務を行っています。
また、当事務所に寄せられた行政相談のうち、民間有識者の意見を聴取することによ
り、国民の視点から、その的確かつ効率的な処理を推進する必要があると考えられる事
案については、当事務所が開催する行政苦情救済推進会議(注)
(座長:宮國英男弁護士)
に付議し、同会議の意見を踏まえて処理を行っています。
この度、当事務所において、別紙(相談内容)のとおり、
「入院手続時に求められる連
帯保証人については、連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を省略で
きるよう柔軟に対応してほしい」旨の行政相談を受け付けました。
本件について上記行政苦情救済推進会議に諮り検討した結果を踏まえ、入院患者の入
院手続時の負担軽減を図る観点から、貴殿において参考になるものと考えられるため、
別紙のとおり連絡いたします。
(注) 行政苦情救済推進会議とは、行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平
性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために設置
しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体等の関係者で構成されています。
<連絡先>
主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145
FAX :098-866-0158
「公印省略」
沖 縄 相 第 8 5 号
令和 5 年 7 月 6 日
地方独立行政法人
那覇市立病院 病院長 殿
沖縄行政評価事務所長
入院手続時の連帯保証人の設定における
代替措置等の検討について(参考連絡)
当事務所では、総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第 4 条第 1 項第 14 号の規定に
基づき、国民の皆様から行政に関する苦情や意見・要望を受け付け、その解決や実現の
促進を図る行政相談業務を行っています。
また、当事務所に寄せられた行政相談のうち、民間有識者の意見を聴取することによ
り、国民の視点から、その的確かつ効率的な処理を推進する必要があると考えられる事
案については、当事務所が開催する行政苦情救済推進会議(注)
(座長:宮國英男弁護士)
に付議し、同会議の意見を踏まえて処理を行っています。
この度、当事務所において、別紙(相談内容)のとおり、
「入院手続時に求められる連
帯保証人については、連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を省略で
きるよう柔軟に対応してほしい」旨の行政相談を受け付けました。
本件について上記行政苦情救済推進会議に諮り検討した結果を踏まえ、入院患者の入
院手続時の負担軽減を図る観点から、貴殿において参考になるものと考えられるため、
別紙のとおり連絡いたします。
(注) 行政苦情救済推進会議とは、行政相談事案の処理に当たり、民間有識者の意見を反映させることにより、公平
性、中立性及び的確性の一層の確保を図り、もって国民の立場に立った行政苦情救済活動を推進するために設置
しているもので、弁護士、学識経験者、報道機関、経済団体等の関係者で構成されています。
<連絡先>
主任行政相談官 永尾
行政相談官 山内
電話:098-866-0145
FAX :098-866-0158
- 1 -
【行政苦情救済推進会議の意見を踏まえた参考連絡】
1 相談内容
娘(中学 3 年生)が令和 3 年 12 月に県立病院に入院することになり、病院から、私と
は別世帯かつ住所が異なる 2 人の連帯保証人が署名押印した入院申込書の提出を求めら
れた。
このため、叔父と母に連帯保証人となることをお願いしたが、母については、わざわざ
母の在宅時間に合わせて実家を訪問し、
入院申込書に連帯保証人として署名押印をしても
らわなければならなかった。当時、病院に言われるまま連帯保証人を確保したが、私も妻
も公立学校の教員として定職に就き支払能力があり、加えて、公立学校共済組合に加入し
て高額療養費制度を利用できることから、入院費用の支払は十分可能であり、連帯保証人
を設定する必要はなかったのではないか。
同病院は、
資力はあるが連帯保証人を確保することができない者等については、クレジ
ットカード番号を控えるなど、
連帯保証人に代わる措置等を導入し、連帯保証人の設定を
省略できるよう柔軟に対応してほしい。
2 制度の概要
(1) 連帯保証人の法律上の位置付け
民法(明治 29 年法律第 89 号)第 454 条では、主たる債務者が債権者に対して負う支
払義務について、主たる債務者の連帯保証人となった場合、連帯保証人は、主たる債務
者と同等の支払責任を負い、
債権者から請求があれば、主たる債務者の弁済能力の有無
にかかわらず、いつでも応じなければならないとされている。
(2) 身元保証人等がいない患者に係る厚生労働省における取扱い
厚生労働省は、
「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒
否することについて」
(平成 30 年 4 月 27 日付け厚生労働省医政局医事課長通知)を発
出し、
「入院による加療が必要であるにもかかわらず、入院に際し、身元保証人等がい
ないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは、医師法(昭和 23 年法律
第 201 号)第 19 条第 1 項に抵触する」としている。
〈参考〉医師法第 19 条第 1 項により、診療に従事する医師は、診療の求めがあった場合には、
「正当
な事由」がなければ、これを拒んではならないとされている(いわゆる「応召義務」)。なお、
「正
当な事由」とは、
「医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」と解さ
れている(昭和 30 年 8 月 12 日付け第 755 号長野県衛生部長宛て厚生省医務局医務課長回答)。3 当事務所の調査結果
当事務所では、本相談事案に関連して、県内及び県外に所在する医療機関に対し、入院
時における連帯保証人の取扱状況等について以下のとおり調査した。
別紙
- 2 -
(1) 県内の医療機関における連帯保証人の取扱状況
県内に所在する 10 の公的医療機関(国立大学法人 1 病院、独立行政法人国立病院機
構 2 病院、沖縄県立病院 6 病院、地方独立行政法人 1 病院。以下「公立 10 病院」とい
う。
)に対し、質問票等により入院時における連帯保証人の取扱状況等について調査し
た。併せて、本相談事案の参考とするため、民間医療法人 4 病院(以下「民間 4 病院」
という。
)に対しても同様の調査を行ったところ、公立 10 病院及び民間 4 病院(以下
「14 病院」という。
)の全てから回答があり、その結果は次のとおりである。
ア 入院費用の担保として求められる連帯保証人の取扱状況等
(ア) 連帯保証人の要求状況等
入院費用等の未回収を防ぐため、公立 10 病院の全てにおいて、連帯保証人を求め
ており、うち、9 病院は、内部規程に基づき連帯保証人を求めている。民間 4 病院で
は、
2 病院が連帯保証人を求めているが、残りの 2 病院は、連帯保証人代行制度(注)
を導入し、連帯保証人を不要としている(後述エ(イ)参照)。表 1 のとおり、連帯保証人を求める 12 病院(公立 10、民間 2)のうち 7 病院が、
連帯保証人に求める要件として患者と別世帯・別住所であることを挙げている。一方
で、患者本人以外など、患者と別世帯・別住所であることを連帯保証人に求める要件
としていない病院もみられた(5 病院)。(注) 連帯保証人代行制度とは、入院患者からの支払が滞った場合、患者に代わり、連帯保
証人代行業者が入院費用を立て替えて病院に支払い、
立て替えた入院費用は連帯保証人
代行業者から入院患者へ請求する制度である。入院患者は、同制度を利用する場合、病
院の案内の下、連帯保証人代行業者と保証委託契約を締結する。
表 1 連帯保証人の要件
(単位:病院)
要 件
病院数
公立 民間
患者本人と別世帯・別住所かつ独立して生計を営んでいること等 4 0
患者本人と別世帯・別住所の者 2 1
患者本人以外 1 0
当院に未収金のない者 1 0
未成年者でないこと 0 1
未成年の場合は親権者 1 0
特になし 1 0
(注) 当事務所の調査結果による。
また、連帯保証人を求めている 12 病院における連帯保証人の資力の確認方法を尋
ねたところ、表 2 のとおり、入院手続の際、患者から提出された保証書上の連帯保証
人の自筆署名や職業・勤務先の記載等をもって資力があると判断しており、12 病院
- 3 -
のいずれも、
預貯金口座の残高証明書の提示を求める等の証明書類による資力の確認
は行っていない。
表 2 連帯保証人の資力の確認方法
(単位:病院)
確 認 方 法
病院数
公立 民間
保証書等への連帯保証人の自筆署名により、資力があると判断 3 1
職業・勤務先の記載があることをもって資力があると判断 2 1
入院手続時に、連帯保証人に資力があるかどうかを口頭で患者に確認 1 0
資力の確認はしていない 5 0
(注)1 当事務所の調査結果による。
2 複数回答あり。
(イ) 連帯保証人を確保できない患者への対応
連帯保証人を求める 12 病院において、患者が連帯保証人を確保できない場合の対
応について確認したところ、入院を拒否すると回答したところはなく、表 3 のとお
り、生活保護等の支援につなげ医療費を確保する等(3 病院)及び入院保証金を徴収
する(1 病院)取組がみられた。しかし、いずれの病院も、連帯保証人の提示が前提
であり、
連帯保証人と並ぶ入院費用の担保の選択肢として代替措置を設けているもの
ではないとしている。
表 3 連帯保証人を求める 12 病院における連帯保証人を確保できない患者への対応
(単位:病院)
対 応 方 法
病院数
公立 民間
生活保護等につなげ医療費を確保する、
支払相談により支払の目途を立
てる等3 0入院保証金を徴収 1 0
(注)当事務所の調査結果による。
イ 連帯保証人への入院費用の請求・回収状況
連帯保証人を求める 12 病院に対して、未収金の連帯保証人への請求・回収状況を確
認したところ、少なくとも 6 病院においては連帯保証人から入院費用等を回収した実
績はあるとしているものの、一方で、いずれの病院においても連帯保証人から入院費
用を回収できなかったこともあるとしている。その主な理由は表 4 のとおり、連帯保
証人が生活困窮者である場合や連帯保証人と連絡がつかないこと等を挙げている。
- 4 -
表 4 連帯保証人に未収金を請求しても回収できなかった主な理由
(単位:病院)
主 な 理 由
病院数
公立 民間
連帯保証人が生活困窮等により支払能力がなかったため 7 2
連帯保証人に連絡がつかなかったため 9 0
連帯保証人に支払う意思がないため 3 0
連帯保証人に断りなく連帯保証人として提示していたため 1 0
保険証不携帯のため自費診療となり、
医療費が高額となり支払が困難
のため1 0(注)1 当事務所の調査結果による。
2 複数回答あり。
ウ 連帯保証人の要求を見直す予定
連帯保証人を求める 12 病院のうち、1 病院は連帯保証人代行制度の導入を検討して
いるが、残りの 11 病院は、連帯保証人を求める措置を見直す予定はないとしており、
その主な理由は表 5 のとおり、連帯保証人から回収できた実績があるため等としてい
る。一方で、3 病院は、他の医療機関において効果がみられる取組の情報提供を受けら
れるのであれば、措置を見直すことについて検討の余地はあるとしている。
表 5 連帯保証人の要求を見直す予定はないとする主な理由(自由回答)
(単位:病院)
主 な 理 由
病院数
公立 民間
連帯保証人から回収できた実績があるため 5 1
本部・事業局において規程を改正しない限り、
病院単独での見直しがで
きないため4 0連絡・相談が可能となり回収につながることが期待されるため 1 0
代替案がないため 1 1
(注)当事務所の調査結果による。
エ 連帯保証人に代わる措置の実施状況
今回調査した 14 病院のうち、連帯保証人を求めていない民間の 2 病院(同系列の病
院)では、以下のとおり、連帯保証人代行制度を導入している。
(ア) 連帯保証人に代わる措置の内容
2 病院では、令和 2 年 4 月から総合保証サービス会社が提供する連帯保証人代行制
度を導入することにより、
患者本人が連帯保証人を確保することが不要となったとし
ている。
- 5 -
(イ) 連帯保証人に代わる措置の効果
2 病院では、いずれも、連帯保証人代行制度を導入した令和 2 年 4 月以降、患者本
人が入院費用等を支払えないケースはあったが、
連帯保証人代行業者による立替えが
行われたため、未回収となった入院費用等は発生していないとしている。
(2) 県外の医療機関における連帯保証人の取扱状況
県外の公立病院における連帯保証人に代わる措置の状況について、
インターネット及
びヒアリングにより把握した結果は、以下のとおりとなっている。
1 A 国立大学病院では、連帯保証人に代わる入院費用の支払保証として以下の選択肢
を用意し、患者に選択してもらっている。
i)クレジットカードによる保証
クレジットカードを保有している患者の場合には、
患者にクレジットカードを提
示してもらった上で、
「クレジットカードによる入院費用支払保証書」を提出して
もらう。
ii)入院医療保証サービスによる保証
患者は保証会社へサービス利用料(5,000 円)を支払い、入院医療保証サービス
に加入してもらう。
ただし、
入院費用を患者自身が支払ったとしてもサービス利用
料の返金はない。
2 B 国立大学病院では、原則として、連帯保証人を提示することとしているが、令和
元年
(平成 31 年)
から、
連帯保証人を用意できない場合には、
限度額適用認定証
(注)
を患者総合サポートセンターへ提示してもらうことで、
(一定額以上は医療保険負担
となるので)連帯保証人に代えることも可能としている。
(注)限度額適用認定証とは、
「高額療養費制度」を利用する際に、自己負担限度額を超える額の
一時的な支払いを不要とするための書類である。健康保険加入者は、医療機関等の窓口での
支払いが高額となった場合に、
自己負担限度額を超える額が払い戻される
「高額療養費制度」
の利用が可能であるが、限度額適用認定証を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示するこ
とにより、1 か月(1 日から月末まで)の窓口での支払いを自己負担限度額までとすることが
できる。
3 C 市立病院では、原則として、連帯保証人一人を提示することとしているが、クレ
ジットカード情報等を入院申込書の裏面に記載してもらうことで、
連帯保証人に代え
ることも可能としており、入院患者に選択の余地を与えている。
4 D 市立病院では、原則として、連帯保証人を提示することとしているが、令和 2 年
から、
患者が希望する場合は、
連帯保証人代行制度を利用することが可能としている。
- 6 -
4 行政苦情救済推進会議の主な意見
1 公立病院側が、
クレジットカードの活用や限度額適用認定証の提示など、連帯保証人
に代わる入院費担保方法を用意することにより、入院費用支払義務者(患者本人や患者
が未成年である場合は保護者。以下同じ。)が自身の状況に応じた費用担保を選択でき
るような環境を整える余地があるのではないか。
なお、
一律に連帯保証人を求めた場合、患者本人やその家族よりも所得が低い者が連
帯保証人になる可能性も考えられることから、
病院側も柔軟に対応することで入院費担
保の実効性が上がるのではないか。
2 多くの公立病院では、入院費用支払義務者と別世帯・別住所であることを連帯保証人
の要件としているが、同義務者と同一世帯・同居であっても支払能力のある親族が別に
いる場合には、
当該親族を連帯保証人とできるよう要件が緩和されれば、同義務者の負
担を軽減できるのではないか。
5 参考連絡事項
今回の調査において、調査対象とした県内の 14 病院のうち 12 病院では、入院費用の担
保として連帯保証人を求めている一方、ほか 2 病院では、連帯保証人代行制度を導入し、
連帯保証人を不要としていた。また、連帯保証人を求める 12 病院のうち 7 病院が、連帯
保証人に求める要件として患者と別世帯・別住所であることを挙げる一方、5 病院におい
ては、
患者と別世帯・別住所であることを連帯保証人に求める要件としていない。
さらに、
県外の医療機関では、クレジットカードによる保証や入院医療保証サービスによる保証、
限度額適用認定証を提示する方法など、
連帯保証人に代わる保証方法を導入している状況
が確認できた。
行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ、
今回の調査により把握した県内及び県外の医療
機関の状況とともに、入院患者の入院手続時の負担軽減を図る観点から、下記1、2のと
おり、
考えられる連帯保証人に代わる措置及びその要件緩和について、県内の公立病院に
対し参考連絡をするものである。
1 公立病院においては、
一律に連帯保証人を求めるのではなく、
入院費用支払義務者の
状況を考慮し、i)クレジットカードの活用、ii)限度額適用認定証の提示などの代替
措置を講ずる。
2 入院費用支払義務者と別世帯・別住所であることを連帯保証人の要件としている公立
病院においては、
同義務者と同一世帯・同居であっても支払能力のある親族が別にいる
場合には、当該親族を連帯保証人とできるよう要件を緩和する。

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