1 改正法の趣旨

地方公務員の臨時・非常勤職員は、総数が平成28年4月現在で約
64万人と増加しており、また、教育、子育て等様々な分野で活用さ
れていることから、現状において地方行政の重要な担い手となってい
ます。このような中、臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確
保することが求められており、今般の改正を行うものです。
地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律
(以下
「改正法」
という。)の内容は、
一般職の会計年度任用職員制度を創設し、
任用、
服務規律等の整備を図るとともに、特別職非常勤職員及び臨時的任用
職員の任用要件の厳格化を行い、会計年度任用職員制度への必要な移
行を図るものです。併せて、会計年度任用職員については、期末手当
の支給を可能とするものです。
新たに制度化された会計年度任用職員には、改正法による改正後の
地方公務員法(以下「新地方公務員法」という。
)上、一般職に適用さ
れる各規定が適用されることから、各地方公共団体においては、これ
までの臨時・非常勤職員制度の運用を抜本的に見直す必要があります。
具体的には、服務に関する規定(服務の宣誓、法令等及び上司の職
務上の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、職務
に専念する義務、政治的行為の制限、営利企業への従事等の制限(パ
ートタイム勤務の者を除く。
)等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対
象となることを踏まえ、公務運営の適正確保の観点から適切な運用が
求められます。
また、募集・採用に当たっては、新地方公務員法第13条の平等取
扱いの原則を踏まえ、年齢や性別にかかわりなく均等な機会を与える
必要があります。
給付に関しては、新地方公務員法第24条に規定する職務給の原則、
均衡の原則等に基づき、適切に支給することが求められます。
この他、勤務時間及び休暇、健康診断、研修、社会保険及び労働保
険、人事評価等についても適切に取り扱う必要があります。
従来は、制度が不明確であり、各地方公共団体によって任用・勤務
条件等に関する取扱いが区々でありましたが、今般の改正によって統
一的な取扱いを定め、今後の制度的な基盤を構築することにより、各
地方公共団体における臨時・非常勤職員制度の適切な運用を確保しよ
うとするものです。
I 総論
別紙4-11 2 地方公共団体が実施すべき事項
今般の改正により、臨時・非常勤職員を任用する全ての地方公共団
体において、
(1)臨時・非常勤職員の実態の把握
(2)臨時・非常勤職員全体の任用根拠の明確化・適正化
・ 特別職非常勤職員の任用の適正確保
・ 臨時的任用の適正確保
・ 臨時・非常勤の職の再設定
(3)会計年度任用職員制度の整備
・ 任用、勤務条件等の設計
・ 職員団体との協議等
・ 条例、規則等の制定・改正
を実施する必要があります。
そこで、本マニュアルでは、改正法の施行に向けて、各地方公共団
体が留意すべき事項として、
・ (1)については、人事当局において統一的に把握すべき事項、当
該事項に係る調査様式(参考例)等を下記II1で示し、
・ (2)については、臨時・非常勤の職の設定に当たっての基本的な
考え方、特別職非常勤職員の任用の適正確保、臨時的任用の適正確
保等を下記II2で示し、
・ (3)
については、
会計年度任用職員制度の設計に当たっての留意
事項(任用、勤務条件等)等を下記II3で示すとともに、条例等の
改正の参考例を下記IVで示し、
さらに、下記IIに関する補足的な事項について、下記IIIにおいてQ
&Aで示しています。
地方公共団体の担当者の皆様におかれては、本マニュアルを参考に、
改正法の施行までに遺漏なく準備を進めていただきたいと考えてい
ます。
3 スケジュール(想定)
改正法の施行日である平成32年4月1日に、各地方公共団体にお
いて会計年度任用職員制度を導入し、その募集活動を平成31年春頃
に行う場合には、2の「条例、規則等の制定・改正」について、条例2 に関しては遅くとも平成31年の2月
(〜3月)
議会において提案し、
その成立を図ることになります。
その場合には、想定されるスケジュールの例として、平成29年内
に、臨時・非常勤職員の実態を把握するとともに、会計年度任用職員
の任用や勤務条件等の検討に着手し、職員団体との協議等を経て、平
成30年度には、これらの任用や勤務条件等を確定することが必要と
なります。
これと並行して、臨時・非常勤職員の実態を踏まえ、特別職非常勤
職員の任用及び臨時的任用の適正確保に向けた検討を行い、会計年度
任用職員制度に移行するなど臨時・非常勤の職の再設定を行う必要が
あります。
また、総務省公務員部としては、地方公共団体において会計年度任
用職員の任用や勤務条件等の取扱いについて検討が進むことを踏ま
えて、これらの状況等について引き続きフォローアップを行うととも
に、新たに支給すべき期末手当の所要額の調査(制度改正による影響
額調査)を行い、地方財政措置についても適切に検討を進めていく予
定です。
以上を整理すると、概ね次ページのようなスケジュール(想定)と
なりますが、これはあくまで平成31年春頃に募集活動を開始するこ
とを想定したスケジュールであり、こうしたスケジュールを念頭に、
会計年度任用職員の募集開始時期など、各団体の実情に応じて全体ス
ケジュールを定め、改正法の施行に向けた様々な事務処理を遺漏なく
進めていく必要があります。
なお、総務省公務員部としては、本マニュアルの作成・情報提供を
はじめ、必要な技術的な助言を継続していくほか、各地方公共団体に
おける適正な任用・勤務条件を確保するため、必要があると認めると
きは勧告を行うことも含め、改正法の施行に支障が生じないよう、努
めてまいります。3 〈スケジュール〉
(省略)4 1 臨時・非常勤職員の実態の把握
改正法の施行に向けて、最初に実施すべき事項は、現在、各地方公
共団体において、長の補助機関のみならず、各種委員会・委員の補助
機関、さらには議会事務局も含め、地方公共団体内の全ての機関にお
いて、臨時・非常勤職員がどのような任用根拠・勤務実態で任用され
ているかについて、人事当局が統一的に把握することです。
これまで、臨時・非常勤職員については、任期の定めのない常勤職
員や任期付職員などと異なり、地方公共団体内のそれぞれの機関に対
して、その任用や勤務条件の決定などを委任し、人事当局による統一
的な把握がなされていない地方公共団体があることも想定されます
が、今後は、会計年度任用職員制度として、その任用・勤務条件の統
一的な取扱いが求められることになります。
このため、人事当局においては、統一的に実態把握を行い、それに
基づいて、任命権者の行う準備に関し必要な連絡、調整その他の措置
を講じる必要があります(改正法附則第2条第1項)。人事当局が実態把握を行う際には、以下の点に留意する必要があり
ます。
(1)臨時・非常勤職員の任期や勤務時間の長短にかかわらず、
また、
一定の時点のみならず、年度中に在籍する全ての臨時・非常勤職員
について把握する必要があります。
(2) その上で、
全ての臨時・非常勤職員を適切な任用根拠に再設定
し直す必要があるため、その任用根拠、職名、職種、職務内容、任
期、勤務時間、給付(報酬・給料、費用弁償・手当(期末手当))、
「空白期間」の有無などの実態も併せて把握する必要があります。
(3) また、各任命権者における、臨時・非常勤職員に関する各種制
度の整備・運用状況(下記参照)に係る現状と会計年度任用職員制
度における今後の対応についても併せて把握する必要があります。
(1)及び(2)について、人事当局による統一的な実態把握を進
めるに当たっての調査要領・様式(参考例)を参考資料1として添付
しますので、積極的に活用ください。
II 各論5 【各種制度の整備・運用状況】
・募集、採用の取扱い
例 勤務条件の明示の内容・方法、応募制限の有無 等
・報酬・給料の取扱い
例 給付水準の考え方 等
・各種手当及び費用弁償の取扱いについて
例 支給する手当・費用弁償 等
・休暇、育児休業の取扱い
例 休暇、育児休業制度の整備状況 等
・健康診断の取扱い
例 一般健康診断の実施状況、対象範囲 等
・研修の取扱い
例 研修の実施状況、常勤職員との取扱いに係る異同 等
・福利厚生施設の利用の取扱い
例 常勤職員との取扱いに係る異同 等
・社会保険及び労働保険の取扱い
例 公務災害補償に関する条例の整備 等
・人事評価の取扱い
例 人事評価の導入状況、人事評価結果の活用範囲 等
・再度任用の取扱い
例 再度任用時の応募制限、給付水準 等
・空白期間の取扱い
例 空白期間の適正化の状況 等
2 臨時・非常勤職員全体の任用根拠の明確化・適正化
(1)任用根拠の明確化・適正化の趣旨・留意事項
1 総論
個々具体の職の設定に当たっては、就けようとする職の職務の
内容、
勤務形態等に応じ、
「任期の定めのない常勤職員」、「任期付
職員」、「臨時・非常勤職員」のいずれが適当かを検討することが
必要となります。
その上で、臨時・非常勤の職として設定する場合には、当該職
に就く職員に適用される服務、勤務条件等が任用根拠に従って法
令等で定められることを踏まえ、以下の区分ごとに任用根拠の趣6 旨に基づいて行うものとし、かつ、いずれの任用根拠に位置付け
るかを明確にしておくことが必要となります。
i)会計年度任用職員(新地方公務員法第17条及び第22条の2)ii)臨時的任用職員(新地方公務員法第22条の3)
iii)特別職非常勤職員(新地方公務員法第3条第3項)
特に、従来の特別職非常勤職員及び臨時的任用職員については、
対象となる職の要件が厳格化されたことから、会計年度任用職員
制度への必要な移行を進めることにより、臨時・非常勤職員全体
として任用根拠の適正化を図ることが求められます。
その際、以下の事項について、留意ください(これらは、会計
年度任用職員のみならず、特別職非常勤職員及び臨時的任用職員
についても該当します。)。
2 簡素で効率的な行政体制の実現
各地方公共団体においては、組織として最適と考える任用・勤
務形態の人員構成を実現することにより、厳しい財政状況にあっ
ても、住民のニーズに応える効果的・効率的な行政サービスの提
供を行っていくことが重要です。
その際、
ICTの徹底的な活用、
民間委託の推進等による業務改革を進め、簡素で効率的な行政体
制を実現することが求められます。
このため、臨時・非常勤の職の設定に当たっては、現に存在す
る職を漫然と存続するのではなく、それぞれの職の必要性を十分
吟味した上で、適正な人員配置に努めてください。
3 常勤職員と臨時・非常勤職員との関係
各地方公共団体における公務の運営においては、任期の定めの
ない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべきです。この
常勤職員が占める常時勤務を要する職(=定数条例の対象となる
職)と、非常勤の職については、改正法施行後は、以下のとおり
となります。7 ア 常時勤務を要する職
以下の(ア)及び(イ)のいずれの要件も満たす職。
(ア)相当の期間任用される職員を就けるべき業務に従事する職であ
ること(従事する業務の性質に関する要件)
(イ)フルタイム勤務とすべき標準的な業務の量がある職であること
(勤務時間に関する要件)
【当該職に就くべき職員】
・任期の定めのない常勤職員
(地方公務員の育児休業等に関する法律(以下「地方公務員育児休
業法」という。
)に基づく育児短時間勤務職員を含む。)・任期付職員
・再任用職員
・臨時的任用職員
イ 非常勤の職
上記ア以外の職。
当該職は「短時間勤務の職」と「会計年度任用の職」がある。
このうち、
「会計年度任用の職」は、標準的な業務の量によって「フル
タイムの職」と、
「パートタイムの職」に分けられる。
【当該職に就くべき職員】
<短時間勤務の職>
(ア)の要件を満たし(イ)の要件を満たさないもの
・任期付短時間勤務職員
・再任用短時間勤務職員
<会計年度任用の職>
(イ)の要件を満たし(ア)の要件を満たさないもの
・フルタイムの会計年度任用職員
(ア)及び(イ)のいずれの要件も満たさないもの
・パートタイムの会計年度任用職員8 〈職の整理〉
(省略)9 このため、
「会計年度任用の職」
の職務の内容や責任の程度につ
いては、常勤職員の職と異なる設定とする必要があります。
「相当の期間任用される職員を就けるべき業務」については、
単に業務の期間や継続性のみによって判断されるものではなく、
業務の内容や責任の程度などを踏まえた業務の性質により判断
されるべきものです。これに該当するか否かは、各地方公共団体
において、個々の具体的な事例に則して判断する必要があります
が、地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在
り方に関する研究会報告書(平成28年12月27日。以下「総
務省有識者研究会報告書」という。
)においては、
「典型的には、
組織の管理・運営自体に関する業務や、財産の差押え、許認可と
いった権力的業務などが想定される」とされています。
なお、
「相当の期間任用される職員を就けるべき業務に従事す
る職であること」については、今回の職の整理に合わせて国家公
務員の表現に合わせたものです。
また、任用根拠の見直しに伴い、職の中に常勤職員が行うべき
業務に従事する職が存在することが明らかになった場合には、臨
時・非常勤職員ではなく、任期の定めのない常勤職員や任期付職
員の活用について、検討することが必要です。
4 会計年度任用職員以外の独自の一般職非常勤職員の任用を避
けるべきこと
上記I1のとおり、
地方公務員の臨時・非常勤職員については、
一般職の非常勤職員制度が不明確な中、制度の趣旨に沿わない任
用が見受けられ、また、勤務条件に関する課題も指摘されている
ところです。このため、その適正化を図る観点から、新地方公務
員法上、一般職の会計年度任用職員を明確に定義し、任用、服務
規律等を定めるとともに、それに伴って、期末手当の支給を可能
としています。
このような改正法の趣旨を踏まえると、一般職として非常勤職
員を任用する場合には、会計年度任用職員として任用することが
適当であり、会計年度任用職員以外の独自の一般職非常勤職員と
して任用することは、適正な任用・勤務条件の確保という改正法
の趣旨に沿わない不適当なもので、避けるべきです。
なお、こうした独自の一般職非常勤職員のうちパートタイム勤
務の者については期末手当の支給対象にならず(改正法による改
正後の地方自治法(以下「新地方自治法」という。
)第203条の10 2第4項)、また、
当該一般職非常勤職員のうちフルタイム勤務の
者については給料及び手当の支給対象とならない(新地方自治法
第204条第1項及び第2項)といった問題があり、このような
観点からも、会計年度任用職員以外の独自の一般職非常勤職員の
任用は避けなければなりません。
5 会計年度任用職員制度への移行に当たっての考え方
特別職非常勤職員及び臨時的任用職員から会計年度任用職員
制度に移行するに当たっては、上記1から4までの考え方に基づ
く職の設定を踏まえた上で、これまで要綱等により事実上対応し
てきた任用・勤務条件について、任期の定めのない常勤職員との
権衡の観点から改めて整理を行い、条例、規則等への位置付けを
検討することが必要となります。
また、会計年度任用の職は、会計年度ごとにその職の必要性が
吟味される「新たに設置された職」と位置づけられるべきもので
あることから、平成32年4月1日からの新制度への移行時にお
いても、会計年度任用職員の採用に当たっては、競争試験又は選
考により客観的な能力の実証を行う必要があります。
なお、単に勤務条件の確保等に伴う財政上の制約を理由として、
特別職非常勤職員及び臨時的任用職員から会計年度任用職員制
度への必要な移行について抑制を図ることは、適正な任用・勤務
条件の確保という改正法の趣旨に沿わないものです。
6 その他
地方公務員法は、従前より、地方公共団体に勤務する者につい
て、一般職にも特別職にも属さない者の存在を予定しておらず、
雇用契約による勤務関係の成立を想定していないことに留意す
る必要があります。
(2)特別職非常勤職員の任用の適正確保
1 特別職非常勤職員として任用すべき職
ア 改正法の趣旨
特別職非常勤職員として任用すべき職については、新地方公
務員法第3条第3項の各号に掲げられているところです。この
うち新地方公務員法第3条第3項第3号に掲げる「臨時又は非
常勤の顧問、
参与、
調査員、
嘱託員及びこれらに準ずる者の職」
については、改正法において11 i)専門的な知識経験又は識見を有すること
ii)当該知識経験等に基づき事務を行うこと
iii)事務の種類は、助言、調査、診断又は総務省令で定める事
務であること
の全ての要件に該当する職に限定されたところです。
これにより、当該限定された職以外の職については、新地方
公務員法第3条第3項第3号を根拠に任用することはできな
いこととなります。
これは、
本来、
改正法による改正前の地方公務員法
(以下
「旧
地方公務員法」という。
)の「守秘義務」、「職務専念義務」、「上
司の職務上の命令に従う義務」などの服務等の規定が適用され
るべき者が、
特別職非常勤職員の
「嘱託員」
等として任用され、
機密保持等の面で問題が生じていたことを踏まえたものです。
したがって、上記i)からiii)までのいずれかに該当せず、
任命権者又はその委任を受けた者の指揮監督下で行われる事
務など、新地方公務員法の定める服務等を課すべき者が従事す
べき事務については、会計年度任用職員が従事すべき事務とし
て整理する必要があります。
また、下記ウ及びエにおいて、新地方公務員法第3条第3項
第3号及び第3号の2に該当する職の範囲を具体的に示しま
すので、これに該当しない職については、施行日以後は、会計
年度任用職員制度に移行するなど、その職の取扱いについて、
留意ください。
イ 新地方公務員法第3条第3項第2号に該当する職
新地方公務員法第3条第3項第2号については、
「法令又は
条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定め
る規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに
準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの」とされています。
当該規定については、今回の改正事項ではありませんが、適
正な任用・勤務条件の確保という改正法の趣旨を踏まえ、慎重
に運用すべきものです。
なお、
「委員」の具体例は以下のとおりです。
〈主な委員の例〉
・都道府県労働委員会の委員12 ・内水面漁場管理委員会の委員
・海区漁業調整委員会の委員
(都道府県知事に選任される者)、専門委員
・民生委員、児童委員
・男女共同参画推進委員会の委員
・農地利用適正化推進委員
(教育委員会関係)
・社会教育委員
・図書館協議会の委員
・博物館協議会の委員
・公民館運営審議会の委員
・学校運営協議会の委員
・教科書の採択地区協議会の委員、選定委員会の委員、採択地
区の調査員
・銃砲刀剣類等所持取締法第14条第3項の登録審査委員
・スポーツ推進委員
(警察本部関係)
・少年指導委員
・猟銃安全指導委員
・地域交通安全活動推進委員
・留置施設視察委員会の委員
・警察署協議会の委員 等
ウ 新地方公務員法第3条第3項第3号に該当する職
新地方公務員法第3条第3項第3号に掲げる職については、
専門的な知識経験等を有する者が就く職であって、当該知識経
験等に基づき非専務的に公務に参画する労働者性の低い職で
あり、助言、調査、診断等を行う職に限定されます。
法令に基づき設置されている職種等のうち新地方公務員法
第3条第3項第3号に該当するものは、事務の種類ごとに以下
のとおり整理されます。13 該当する事務 該当する者の職種等
i)助言 しろまる顧問
しろまる参与
しろまる学校薬剤師(学校保健安全法第23条)
しろまる学校評議員(学校教育法施行規則第49条)
しろまる評価員(土地区画整理法第65条)
しろまる評価員(新都市基盤整備法第28条)
ii)調査 しろまる地方自治法第100条の2第1項に規定する議
会による議案調査等のための調査を行う者
しろまる統計調査員(統計法第14条)
しろまる国民健康・栄養調査員(健康増進法第12条)
しろまる保険審査会専門調査員(介護保険法第188条)
しろまる建築物調査員(建築基準法第12条)
しろまる障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援
するための法律第103条第1項に基づき調査
を行う者
しろまる介護保険法第194条第1項に基づき調査を行
う者
しろまる土地改良法第8条第2項に基づき調査を行う者
しろまる鳥獣被害対策実施隊員
(鳥獣による農林水産業等
に係る被害の防止のための特別措置に関する法
律第9条)
iii)診断 しろまる学校医(学校保健安全法第23条)
しろまる学校歯科医(学校保健安全法第23条)
しろまる産業医(労働安全衛生法第13条)
iv)総務省令で
定める事務
しろまる斡旋員(労働関係調整法第12条第1項)
上表のとおり、法令に基づき設置されている職種等における
特別職非常勤職員の範囲について限定することとしています。
このため、地方公共団体が独自に設置する職種等に係る特別
職非常勤職員についても、同様に限定的な取扱いとし、適正な
任用・勤務条件の確保という改正法の趣旨に沿ったものとなる
よう、適切に対応する必要があります。よって、任命権者又は
その委任を受けた者の指揮監督下で行われる事務など、新地方
公務員法の定める服務等を課すべき者が従事すべき事務につ
いては、会計年度任用職員などの一般職が従事すべき事務とし14 て整理する必要があります。
エ 新地方公務員法第3条第3項第3号の2に該当する職
地方自治法第203条の2において報酬と費用弁償を支給
すべき対象として規定されている、
公職選挙法
(以下
「公選法」
という。)、最高裁判所裁判官国民審査法(以下「国審法」とい
う。)及び日本国憲法の改正手続に関する法律
(以下
「憲法改正
手続法」
という。)に規定されている下記の者は、
旧地方公務員
法第3条第3項第3号の特別職非常勤職員と解されてきまし
た。
・投票管理者(公選法第37条、国審法第12条、憲法改正
手続法第48条)
・開票管理者(公選法第61条、国審法第19条、憲法改正
手続法第75条)
・選 挙 長(公選法第75条)
・投票立会人(公選法第38条、国審法第12条、憲法改正
手続法第49条)
・開票立会人(公選法第62条、国審法第19条、憲法改正
手続法第76条)
・選挙立会人(公選法第76条)
また、地方自治法に列挙されている者以外にも、下記のとお
り、選挙、国民審査及び国民投票に関する事務に従事する者が
現行法令上存在しており、これらについても旧地方公務員法第
3条第3項第3号の特別職非常勤職員と解されてきたところ
です。
・選挙分会長(公選法第75条第2項)
・審査分会長(国審法第27条第2項)
・審査分会立会人(国審法第27条第4項)
・国民投票分会長(憲法改正手続法第89条第1項)
・国民投票分会立会人(憲法改正手続法第90条)
改正法においては、選挙等に関する事務を行うこれらの者を、
その職権行使の独立性の高さなどの特殊性を踏まえ、新地方公
務員法第3条第3項第3号の特別職非常勤職員とは別の類型15 として整理しました。
さらに、総務省令で定める者の職としては、
・公職選挙法施行令(以下「公選令」という。
)第56条第3
項(公選令第57条第3項において準用する場合を含む。)及び日本国憲法の改正手続に関する法律施行令(以下「憲
法改正手続令」
という。)第70条第3項
(憲法改正手続令
第71条第3項において準用する場合を含む。
)の規定に
より不在者投票管理者である市区町村選挙管理委員会の
委員長が立ち会わせることとした不在者投票立会人の職
・公選法第49条第10項及び憲法改正手続法第61条第9
項に規定する市区町村選挙管理委員会が選定した者(いわ
ゆる
「外部立会人」)のうち、
市区町村選挙管理委員会が任
命するものの職
を規定しています。
2 特別職から一般職へ移行する職
改正法により、特別職非常勤職員の職として存置すべき職(職
種)が上記1のとおり整理されることを踏まえ、一般職とすべき
職が特別職非常勤職員の職として設定されている場合には、会計
年度任用職員制度に移行することとなります。
なお、特別職から一般職に移行するものとしては、以下のよう
なものがありますので、留意ください。
〈特別職から一般職へ移行するものの例(主なもの)〉・事務補助職員
・保育士
・勤務医
・看護師
・臨床心理士
・清掃作業員
・消費生活相談員
・地域おこし協力隊員
・集落支援員
・国際交流員(CIR)
、スポーツ国際交流員(SEA)
(教育委員会関係)
・学校の講師16 ・給食調理員・外国語指導助手(ALT)
・医療的ケアのために置かれる看護師、言語聴覚士、作業療法
士、理学療法士、就労支援コーディネーター及び特別支援教育
支援員等の特別支援教育関係の外部人材
・部活動指導員
・図書館職員
・公民館長及び公民館職員
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
(警察本部関係)
・警察安全相談員
・交番相談員
・スクールサポーター
・少年補導職員
・被害回復アドバイザー
・社会復帰アドバイザー
・生活相談員
(3)臨時的任用の適正確保
1 改正法の趣旨
新地方公務員法第22条の3第1項又は第4項に基づく臨時
的任用は、下記のいずれかの場合に該当し、かつ、新地方公務員
法第17条に基づき正規の任用の手続を経るいとまがないとき
に、公務の円滑な運営に支障を来すことがないよう、特例として
認められるものです。
i)緊急の場合
(例)災害発生時に正規の職員を補充するまでとりあえず要員を
充足する必要がある場合
ii)臨時の職に関する場合
(例)臨時的任用を行う日から1年以内に廃止されることが予想
される職に関する場合
iii)採用候補者名簿や昇任候補者名簿がない場合
(例)人事委員会等を置く地方公共団体においてその職に関する
名簿がない場合であり、競争試験が行われなかった場合、名
簿は作成されたが名簿登載者が全て任用された場合、残りの
候補者全てが採用を辞退した場合17 臨時的任用は、新地方公務員法第15条の2第1項第1号に規
定する「採用」の定義から除外されており、法律上は、任用に当
たって競争試験又は選考による厳格な能力実証を求められない
ものとなっているとともに、同法第22条の条件付採用の対象外
となっています。
そのため、もし仮に臨時的任用が濫用されるようなことがあれ
ば、成績主義の原則を乱し、任用制度の適正な運用を阻害するお
それが大きいので、法律上、臨時的任用を行い得る場合やその方
法、期間等について、厳格な制限が設けられているところです。
一方で、臨時的任用職員は、緊急の場合等に限って任用されるも
のであること等から、地方公務員育児休業法について適用除外と
なっていることにも留意が必要です。
こうしたことから、改正法においては、国家公務員の取扱いを
踏まえ、
「常時勤務を要する職に欠員を生じた場合」
に該当するこ
とを新たに要件に加え、常勤職員の任用を予定し得る地位に現に
具体的な者が充当されていない場合に限定しています。
したがって、臨時的任用職員については、フルタイムで任用さ
れ、常勤職員が行うべき業務に従事するとともに、給料、旅費及
び手当が支給されることとなります。また、給料等の水準につい
ては、常勤職員の給料と同様に、新地方公務員法第24条に規定
する職務給の原則等の趣旨を踏まえ、職務の内容と責任に応じて
適切に決定することが必要です。
一方、
「非常勤の職」
に欠員を生
じた場合には任用することができないため、
「常勤職員が行うべ
き業務以外の業務に従事する職」又は「パートタイムの職」への
任用は認められません。
2 経過措置等
新地方公務員法第22条の3第1項又は第4項に基づく臨時
的任用については、
従前の要件に加え、
「常時勤務を要する職に欠
員を生じた場合」に該当することを要件に追加し、その運用を厳
格化したことに伴い、臨時的任用の任期が改正法の施行日をまた
がる場合に対応した経過措置(改正法附則第3条)を置いていま
す。この経過措置の対象はあくまでも改正法施行後も適法である
「常時勤務を要する職に欠員を生じた場合」のみに限定されてお
り、非常勤の職に係る臨時的任用については対象外となっていま
すので、施行日前に行われた非常勤の職に係る臨時的任用につい
ては、施行日の前日までを終期として設定することが必要となり18 ます。
3 いわゆる「空白期間」の適正化
臨時的任用職員の任期の設定については、基本的には、各地方
公共団体において適切に判断されるべきものです。
しかしながら、退職手当や社会保険料等を負担しないようにす
るため、再度の任用の際、新たな任期と前の任期との間に一定の
期間
(いわゆる
「空白期間」)を設けることは適切ではありません。
また、任用されていない者を事実上業務に従事させる場合、公務
上重大な問題を生じるおそれがあります。
会計年度任用職員については、
下記3(1)5イにあるとおり、
任命権者が任期を定める際に「職務の遂行に必要かつ十分な任期
を定めるもの」とする配慮義務に係る規定を設けたところであり、
不適切な「空白期間」の是正を図ることとしたものです(新地方
公務員法第22条の2第6項)。臨時的任用職員のいわゆる「空白期間」の取扱いについては、
会計年度任用職員と考え方は同様であり、不適切な「空白期間」
の是正を図る必要があります。
4 給付
ア 給与水準の考え方
新地方公務員法第22条の3第1項又は第4項に基づく臨
時的任用職員の給与の決定(再度の任用の際の決定を含む)に
当たっては、常勤職員に適用される給料表及び初任給基準に基
づき、学歴免許等の資格や経験年数を考慮して適切に決定する
こととなります。したがって、常勤職員と同等の職務の内容や
責任を有する場合に、下位の級に格付けを行ったり、各級の最
高号給未満の水準を上限として設定したりするといった取扱
いは改める必要があることに留意ください。
イ 手当の支給
新地方公務員法第22条の3第1項又は第4項に基づく臨
時的任用職員については、
「常時勤務を要する職」
に就く職員と
して位置付けられるため、
退職手当を含め、
諸手当については、
常勤職員と同様に支給する必要があることに留意ください。19 5 年金制度、医療保険制度及び公務災害補償制度
年金制度及び医療保険制度においては、新地方公務員法第22
条の3第1項又は第4項に基づく臨時的任用職員については、令
和4年10月1日以降は、2月以内の任期を定めて使用される者
であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれな
いものを除き、年金制度上、第1号厚生年金被保険者として厚生
年金保険の適用対象となり、医療保険制度については、地方公務
員等共済組合法上の短期給付及び福祉事業の適用対象となりま
す。
その上で、
厚生年金保険の被保険者資格については、
「有期の雇
用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われる場
合においても、雇用契約又は任用の終了時にあらかじめ、事業主
と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が明らかであ
るような事実が認められるなど、事実上の使用関係が中断するこ
となく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合に
は、
被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要」
(平成26
年1月17日付厚生労働省通知「厚生年金保険及び健康保険の被
保険者資格に係る雇用契約又は任用が数日空けて再度行われる
場合の取扱いについて」)があるとされており、
再度の任用を行う
場合には適切に対応する必要があります。
(注記) 関連する厚生労働省事務連絡
1 「短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡
大の対象となる地方公共団体の事業所に係る取扱いについ
て」
(平成28年8月3日付け事務連絡)
(厚生労働省保険局
保険課・厚生労働省年金局年金課・厚生労働省年金局事業管
理課)
2 「平成29年4月以降の短時間労働者に対する厚生年金保
険・健康保険の適用拡大の対象となる地方公共団体の事業所
に係る取扱いについて」
(平成29年2月10日付け事務連絡)(厚生労働省保険局保険課・厚生労働省年金局事業管理課)また、地方公務員等共済組合法の適用に関し、任用が1日ない
し数日の間を空けて再度行われる場合においては、任用の終了時
にあらかじめ、任命権者と職員との間で次の任用の予定が明らか
であるような事実が認められるなど、事実上、任用関係が中断す20 ることなく存続していると、勤務の実態に照らして判断される場
合には、組合員資格は喪失しないものとして取り扱うこととなり
ます。公務災害補償制度においては、臨時的任用職員については
地方公務員災害補償法第2条第1号に規定する「職員」となるこ
とから、任用の日から同法が適用されることになります。
3 会計年度任用職員制度の整備
(1)会計年度任用職員制度の設計に当たっての留意事項
以下、1任用等(募集・能力実証、任用)
、2服務及び懲戒、3勤
務条件等、4人事評価、5再度の任用、6人事行政の運営等の状況
の公表、7制度の周知について、留意事項を示します。
1 任用等
ア 募集・能力実証
各地方公共団体においては、採用に当たって、ホームページ
上で公開する等、できる限り広く募集を行うなど適切な募集を
行った上で、客観的な能力の実証を行う必要があります。
会計年度任用職員の採用の方法については、その従事する業
務の性質などを踏まえ、競争試験によることを原則とする任期
の定めのない常勤職員とは異なり、競争試験又は選考により採
用する特例を設けたところです(新地方公務員法第22条の2
第1項)。したがって、競争試験によらず、選考によることとし、その
方法として面接や書類選考等による適宜の能力実証の方法に
よることができます。
また、会計年度任用職員の募集及び採用に当たっては、以下
の関係法令に留意ください。
(ア)募集時における勤務条件の明示
労働者の募集を行う者は、その募集に当たって、労働者が
従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件
を明示しなければならないとされています(職業安定法第5
条の3)。この場合において、
・ 労働契約の期間に関する事項
・ 就業の場所、従事すべき業務の内容に関する事項21 ・ 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、
休憩時間、休日に関する事項
・ 賃金の額に関する事項
・ 健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険及び雇用
保険の適用に関する事項
については、書面の交付又は電子メールにより行わなければ
ならないことが規定されています。
会計年度任用職員の募集の際には、勤務条件の明示が的確
に行われているか、書面で示すべき事項を書面で示している
か、上記の規定を踏まえ、対応してください。
特に任期については、後述の任期に関する考え方も踏まえ、
任期終了後の再度の任用の可能性について明示する場合で
あっても、手続なく「更新」がなされたり、長期にわたって
継続して勤務できたりするといった誤解を招かないよう、明
確に説明することが必要です。
なお、当初示した勤務条件が任用を行う前に変更される場
合、変更内容について明示する必要があります。
また、地方公務員法上の服務に関する規定(服務の宣誓、
法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、信用失墜行為の
禁止、秘密を守る義務、職務に専念する義務、政治的行為の
制限、営利企業への従事等の制限(パートタイム勤務の者を
除く。
)等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対象となること
についてもあらかじめ説明することが必要です。
(イ)均等な機会の付与及び客観的な能力の実証
新地方公務員法第13条においては、全て国民は平等に取
り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分等
によって差別されてはならないとされています。
これに関連して、労働施策の総合的な推進並びに労働者の
雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働
施策総合推進法」という。
)においては、事業主は、労働者の
募集及び採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与
えなければならないこととされており、期間の定めのある労
働契約に関する募集及び採用に当たっては、年齢制限を設け
ることはできないこととされています(労働施策総合推進法
第9条)。また、
雇用の分野における男女の均等な機会及び待
遇の確保等に関する法律(以下「男女雇用機会均等法」とい22 う。)においては、
事業主は、
労働者の募集及び採用について、
その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならな
いこととされています(男女雇用機会均等法第5条)。これらの規定自体は地方公務員については適用除外とさ
れていますが、
会計年度任用職員の募集・採用に当たっては、
新地方公務員法第13条の平等取扱いの原則を踏まえ、年齢
や性別にかかわりなく均等な機会を与える必要があります。
イ 任用
(ア)名称
会計年度任用職員の募集や任用に当たっては、当該職員の
服務、勤務条件の内容等を明らかにするため、会計年度任用
職員としての任用であることを明示しなければなりません。
一方、実際の募集に際して、個々具体の会計年度任用の職
についてどのような呼称を用いるかについては、各地方公共
団体で適切に判断されるべきものです。
(イ)任用時における勤務条件の明示
労働基準法第15条により、使用者は、労働契約の締結に
際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明
示しなければならないとされています。
この場合において、
・ 労働契約の期間に関する事項
・ 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関す
る事項
・ 就業の場所、従事すべき業務に関する事項
・ 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、
休憩時間、休日、休暇等に関する事項
・ 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金、賞与その他
これらに準ずる賃金を除く。
)の決定、計算及び支払の方
法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
・ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)については、書面の交付により行わなければならないことと
されています。
この規定については、地方公共団体に対しても適用されて
います。このため、会計年度任用職員の任用手続の際には、
勤務条件の明示が的確に行われているか、書面で示すべき事23 項を書面で示しているか、上記の規定を踏まえ、対応してく
ださい。
また、地方公務員法上の服務に関する規定(服務の宣誓、
法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、信用失墜行為の
禁止、秘密を守る義務、職務に専念する義務、政治的行為の
制限、営利企業への従事等の制限(パートタイム勤務の者を
除く。
)等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対象となること
についても任用の段階で明確に示すことが必要です。
(ウ)任期
i)会計年度任用職員の任期については、その任用の日から
同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で、任命
権者が定めるものとなります。
この際、従来の取扱いと同様、当該会計年度任用職員と
同一の職務内容の職が翌年度設置される場合、同一の者が、
平等取扱いの原則や成績主義の下、客観的な能力の実証を
経て再度任用されることはあり得るものです。
ii)具体的な任期の設定に当たっては、下記5イにおいても
後述しますが、任用されていない者が事実上業務に従事す
ることのないよう、あくまで職員に従事させようとする業
務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めなければな
りません。
iii)任期の明示については、上記1イ(イ)のとおり任用の
際に書面で示すことが必要ですが、
その際、
上記1ア
(ア)
と同様、手続なく「更新」がなされたり、長期にわたって
継続して勤務できたりするといった誤解を招かないよう、
採用の段階で明確に示すべきです。
(エ)条件付採用
改正法においては、任用期間、勤務日数又は勤務時間の長
短や前職の勤務実績の有無等にかかわらず、会計年度任用職
員を含む全ての一般職の職員について条件付採用を適用す
ることとした上で、会計年度任用職員の条件付採用期間につ
いて、常勤職員が6月のところ、1月とする特例を設けてい
ます(新地方公務員法第22条の2第7項)。また、会計年度任用職員の実際の勤務日数が少ない場合に
は、能力を実地で実証する条件付採用の趣旨を踏まえ、条件24 付採用期間を延長することができます。これについては、人
事委員会規則若しくは公平委員会規則又は任命権者の定め
る規則において、国の非常勤職員の取扱いとの権衡を考慮し、
採用後1月間の勤務日数が15日に満たない場合には、その
日数が15日に達するまで(最長任期の末日まで)延長でき
る旨を規定すべきものです(下記IV1参照)。なお、再度の任用の場合においても、新たな職に改めて任
用されるものと整理すべきものであることから、条件付採用
期間を省略することはできません。
2 服務及び懲戒
会計年度任用職員については、新地方公務員法上の服務に関す
る次の各規定が適用され、かつ、懲戒処分等の対象となることを
踏まえ、公務運営の適正確保の観点から、関係規定の適切な運用
に留意ください。
・ 服務の根本基準(新地方公務員法第30条)
・ 服務の宣誓(新地方公務員法第31条)
・ 法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(新地方公務員法
第32条)
・ 信用失墜行為の禁止(新地方公務員法第33条)
・ 秘密を守る義務(新地方公務員法第34条)
・ 職務に専念する義務(新地方公務員法第35条)
・ 政治的行為の制限(新地方公務員法第36条)
・ 争議行為等の禁止(新地方公務員法第37条)
・ 営利企業への従事等の制限(新地方公務員法第38条)
なお、服務の宣誓は、任命権者が別段の定めをすることがで
きる旨を条例で定め、任用形態や任用手続きに応じた方法で行
うことも可能です。
また、職務専念義務が適用されることに伴い、営利企業への
従事等にあたっては、常勤職員との権衡に留意し、職務専念義
務の免除についても適切に取り扱う必要があります。
パートタイムの会計年度任用職員については、営利企業への
従事等の制限の対象外としましたが、職務専念義務や信用失墜
行為の禁止等の服務規律が適用となることに留意ください。
なお、勤務時間の長短にかかわらず、パートタイムの会計年
度任用職員に対し、営利企業への従事等を一律に禁止すること25 は適切ではありませんが、例えば、職務専念義務に支障を来す
ような長時間労働を行わないよう指導することなどは考えられ
ます。
3 勤務条件等
ア 給付
(ア)改正法の趣旨
改正法により、フルタイムの会計年度任用職員については、
給料、旅費及び一定の手当の支給対象とし(新地方自治法第
204条)、パートタイムの会計年度任用職員については、報酬、費用弁償及び期末手当の支給対象とするものです(新地
方自治法第203条の2)。また、新地方自治法第203条の2及び第204条におい
ては、報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法、給料及び
手当の額並びにその支給方法は、条例で定めなければならな
いこととされています。
改正法により、会計年度任用職員が一般職の地方公務員と
して明確に整理されたことから、新地方公務員法第24条が
適用になります。このため、各地方公共団体の条例やその委
任に基づく規則等において会計年度任用職員の具体の給料
又は報酬等の制度や水準を定める際には、新地方公務員法第
24条に規定する職務給の原則、均衡の原則等に基づき、従
事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域、地域の民間
企業において同一又は類似の職種がある場合には、その労働
者の給与水準の状況等に十分留意しつつ、地域の実情等を踏
まえ適切に決定することが必要です。
民間企業の労働者の給与水準との権衡については、各地方
公共団体において、人事委員会による公民比較を通じて民間
給与との均衡が図られている常勤の職員の給与を基礎とす
ることにより、間接的に実現されると考えられます。また、
給与情報開示の取組を徹底することを通じて、適正な給与水
準の確保を図ることも重要です。
国の非常勤職員の給与水準との権衡については、国の非常
勤職員の給与が、
「基本となる給与を、
当該非常勤職員の職務
と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初
号俸の俸給月額を基礎として、職務内容及び職務経験等並び
に在勤する地域の要素を考慮して決定する」とされており、26 会計年度任用職員についても同様の考え方をとっています。
(イ)フルタイムの会計年度任用職員
i)給料水準の考え方
給料水準については、フルタイムの会計年度任用職員の
職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の
級の初号給の給料月額を基礎として、職務の内容や責任、
職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を
考慮して定めるべきものです。(【参考資料2】参照)
ii)一定の手当の支給
手当については、新地方公務員法第24条に規定する職
務給の原則、均衡の原則等に基づき、以下のとおり取り扱
うべきものです。
しろまる 時間外勤務手当、宿日直手当、休日勤務手当及び夜間
勤務手当
時間外勤務手当については、正規の勤務時間を超えて
勤務することを命じた場合
(週休日を含む。)には、
その
超えた勤務時間に対して、労働基準法第37条の規定に
基づく基準を下回らない額を適切に支給する必要があ
ります。
また、宿日直手当、休日勤務手当及び夜間勤務手当に
ついても、休日等の勤務を命じた場合には適切に支給す
る必要があります。
しろまる 通勤手当
通勤手当については、その費用弁償的性格を踏まえ、
適切に支給する必要があります。
しろまる 期末手当
期末手当については、任期が相当長期にわたる者に対
して支給する必要があります。
この場合において、
「相当
長期」とは会計年度任用職員の任期が最長でも1年であ
ることを踏まえ、6カ月以上を目安とすることが考えら
れます。また、基礎額、支給割合及び在職期間別割合の
取扱い等、具体的な支給方法については、常勤職員の取27 扱いとの権衡等を踏まえて定める必要があります。
基準日については、常勤職員と同様に6月1日、12
月1日に設けることが基本と考えられますが、一方で、
各団体の実情、任用の実態等に応じて、細部において異
なる制度設計とすることも差し支えありません。
例えば、
平成32年12月2日から33年6月1日ま
で任用され、その後、任用がなかった職員の場合、33
年度内の任用期間は6カ月以上となりませんが、この場
合であっても、常勤職員や他の会計年度任用職員との権
衡から、33年6月期の期末手当を在職期間別割合10
0/100として支給するといったことも考えられます。
なお、
会計年度任用職員に対して期末手当を支給しな
い目的で基準日を外した任用を行うことは避ける必要
があると考えられます。
また、
常勤職員について、
基準日前1か月以内に退職、
失職又は死亡した者に対し、在職期間を反映した期末手
当の額を支給している等の場合、会計年度任用職員につ
いても、同様の制度とすることが考えられますが、これ
についても、各団体の実情、任用の実態等に応じて、細
部において異なる制度設計とすることは差し支えあり
ません。
しろまる 退職手当
退職手当については、常時勤務に服することを要する
職員について定められている勤務時間以上勤務した日
が18日(令和4年10月1日以降の期間については、
1月間の日数
(地方公共団体の休日を除く。)が20日に
満たない日数の場合にあっては、18日から20日と当
該日数との差に相当する日数を減じた日数)以上ある月
が、引き続いて6月を超えるに至った者で、その超える
に至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務する
こととされているものは、職員とみなして、退職手当を
支給することとされており(職員の退職手当に関する条
例(案)第2条第2項及び職員の退職手当に関する条例
の一部を改正する条例
(案)
(昭和37年9月29日自治
丙公発第20号)
附則第5項)、この支給要件を満たす場
合には、各地方公共団体の条例に基づき適切に支給する28 必要があります。
しろまる 特殊勤務手当等の職務給的な手当、地域手当、初任給
調整手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)及びへき地手当(これに準ずる手当を含む。)特殊勤務手当等の職務給的な手当、地域手当、初任給
調整手当、
特地勤務手当
(これに準ずる手当を含む。)及
びへき地手当
(これに準ずる手当を含む。)については、
各地方公共団体において、会計年度任用職員の勤務形態、
従事する職務の内容や責任、それぞれの手当の趣旨等を
踏まえつつ、地域の実情等を踏まえ、適切に判断する必
要があります。また、地方自治法に加え個別の法令等に
定めのある手当については、当該法令等及び所管府省の
示す取扱いに留意ください。
しろまる 上記以外の手当
上記以外の手当については、支給しないことを基本と
します。
ただし、地方自治法に加え個別の法令等に定めのある
手当については、当該法令等及び所管府省の示す取扱い
に留意ください。
(ウ) パートタイムの会計年度任用職員
i)報酬水準の考え方
報酬水準については、パートタイムの会計年度任用職員
と同種の職務に従事するフルタイムの会計年度任用職員
に係る給与決定の考え方との権衡等に留意の上、職務の内
容や責任、在勤する地域、職務遂行上必要となる知識、技
術及び職務経験等の要素を考慮しつつ、職務に対する反対
給付という報酬の性格を踏まえて定めるべきものです。そ
して、勤務の量に応じて支給することが適当と考えられま
す。
また、
正規の勤務時間を超えての勤務
(週休日を含む。)や、休日等の勤務を命じた場合には、労働基準法の規定を
踏まえ、時間外勤務手当等に相当する報酬を支給するなど、
労働基準法の規定に沿って適切に対応すべきです。(【参考
資料2】参照)29 ii)費用弁償
通勤に係る費用については、費用弁償として適切に支給
すべきものです。
iii)期末手当
期末手当については、上記(イ)iiと同様、任期が相当
長期にわたる者に対して支給すべきものです。この場合に
おいて、
「相当長期」
とは会計年度任用職員の任期が最長で
も1年であることを踏まえ、
6カ月以上を目安とし、
また、
基礎額、支給割合及び在職期間別割合の取扱い等、具体的
な支給方法については、常勤職員やフルタイムの会計年度
任用職員の取扱いとの権衡等を踏まえて定めるべきもの
です。
なお、会計年度任用職員の期末手当については、常勤職
員に適用される制度を基本としつつ、各団体の実情、任用
の実態等に応じて、細部において異なる制度設計とするこ
とも差し支えありません。
したがって、例えば週当たり15時間30分未満((注記))の
勤務時間の会計年度任用職員に対しては期末手当を支給
しないこととする制度も想定されるものではありますが、
他の会計年度任用職員との権衡に十分留意ください。
(注記) 参考
週当たり15時間30分未満と例示した理由としては、一般に、週2
日に見合う勤務時間未満では、本格的に職務に従事するとは言い難いも
のと考えられていること、また、国の再任用短時間勤務職員(週の勤務
時間が15時間30分以上フルタイム未満)に対しては、期末手当を支
給するものとされていることを踏まえたもの。
また、各府省等の申合せ(国家公務員の非常勤職員の給与に係る当面
の取扱いについて(平成29年5月24日人事管理運営協議会幹事会申
合せ)
)においては、
「非常勤職員に対し、その勤務実態(中略)等を適
切に考慮の上、
期末手当
(中略)
に相当する給与を支給するものとする」
とされているが、
「勤務日数が少ない
(出勤すべき日が平均週2日未満相
当)非常勤職員(例:健康管理医、客員教授等)
」についてはその「対象
から除く」とされている。30 また、基準日の考え方や在職期間別割合の取扱い、基
準日1ヶ月前に退職した場合等の取扱いについては、上
記(イ)iiに記載のとおり、フルタイムの会計年度任用
職員の取扱いとの権衡等を踏まえて定めるべきものです。
イ 勤務時間及び休暇
(ア)条例等による勤務条件の規定
会計年度任用職員に係る勤務時間、休暇等の勤務条件につ
いても、新地方公務員法第24条第5項に基づき条例で定め
ることとされており、会計年度任用職員が自らの勤務条件に
ついて把握することができるように、条例又はその委任を受
けた規則等で明確に定める必要があります。
(イ)勤務時間
会計年度任用職員の任用に当たっては、職務の内容や標準
的な職務の量に応じた適切な勤務時間を設定することが必
要です。
改正法では、会計年度任用職員についてフルタイムでの任
用が可能であることを法制上明確化したところであり、こう
した任用は、柔軟な人事管理や勤務条件の改善による人材確
保にも資するため、職務の内容等に応じて、積極的な活用を
検討することが求められます。
なお、単に勤務条件の確保等に伴う財政上の制約を理由と
して、合理的な理由なく短い勤務時間を設定し、現在行って
いるフルタイムでの任用について抑制を図ることは、適正な
任用・勤務条件の確保という改正法の趣旨に沿わないもので
あることに留意ください。
(ウ)休暇等
会計年度任用職員については労働基準法が適用されるこ
とから、労働基準法に規定する公民権行使の保障(労働基準
法第7条)
、年次有給休暇(労働基準法第39条)
、産前産後
休業(労働基準法第65条)
、育児時間(労働基準法第67条)、
生理休暇
(労働基準法第68条)
を制度的に設けなけれ
ばなりません。また、育児休業、介護休業等育児又は家族介
護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業
法」
という。)第61条において、
地方公務員に関する介護休31 業
(介護休暇)、短期の介護休暇及び子の看護休暇に係る規定
が設けられており、これらの規定については、勤務期間等一
定の条件を満たす会計年度任用職員にも適用されます。
会計年度任用職員の休暇については、国の非常勤職員との
権衡の観点(新地方公務員法第24条第4項)を踏まえ、国
の非常勤職員について人事院規則15-15(非常勤職員の
勤務時間及び休暇)に定められている以下の休暇について、
対象者の範囲等も踏まえつつ、必要な制度を確実に整備する
ことが必要です。(【参考資料3】、【参考資料4】参照)
なお、異なる所属で任用される場合であっても任命権者
(権限が委任されている場合には委任前の任命権者をいう。)が同一の場合、人事院規則15ー15を踏まえ、勤務日数に
より休暇の付与を定めているものについては、双方の勤務を
合わせた実績により判断することとなります。
i)有給の休暇
年次休暇、公民権行使、官公署出頭、現住居の滅失等、
出勤困難、退勤途上、忌引、結婚、夏季、不妊治療、産前、
産後、配偶者出産、育児参加休暇
会計年度任用職員の再度の任用は、新たに設置された職に
改めて任用されたものですが、労働基準法における「継続勤
務」の要件に該当する場合には、前年度に付与された年次有
給休暇を繰り越すことが必要です。なお、国の非常勤職員の
年次休暇は、20日を限度として次の 1 年間に繰り越すこと
ができるとされています。
「継続勤務」の要件については、
「勤務の実態に即して判断
されるべきものであるので、
期間の定めのある労働契約を反
復して短時間労働者を使用する場合、
各々の労働契約期間の
終期と始期の間に短時日の間隔を置いているとしても、
必ず
しも当然に継続勤務が中断されるものではないことに留意
すること」
(平成19年10月1日付厚生労働省通知「短時
間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正す
る法律の施行について」
)とされており、各地方公共団体に
おいては、
年次有給休暇の繰越について、
「継続勤務」
に該当
するか否かにより適切に対応をする必要があります。
また、平成32年4月の施行時において、任用根拠を変更
し、例えば特別職非常勤職員であった者を会計年度任用職員
として任用した場合であっても、
「継続勤務」
の要件を満たす32 場合は、年次有給休暇を繰り越すことが必要です。
この取扱いは、一般職に属する地方公務員に適用される労
働基準法第115条において、同様に適用される労働基準法
第39条に規定する年次有給休暇の請求権の消滅時効が2
年とされていることに基づくものです。
ii)無給の休暇
保育時間、子の看護、短期介護、介護休暇、介護時間、
生理日の就業困難、妊産疾病、公務上の傷病、私傷病、骨
髄等ドナー
ウ その他の勤務条件等
上記の他にも、地方公務員育児休業法は、一定の条件を満た
す非常勤職員にも適用されること、労働安全衛生法、男女雇用
機会均等法等の労働関係法令は、適用除外が定められていない
限り会計年度任用職員についても適用があること等を踏まえ、
各法令に基づく適用要件に則り、かつ、国の非常勤職員との権
衡にも留意し、適切に対応する必要があります。
(ア)地方公務員育児休業法等に基づく措置
地方公務員育児休業法に基づく育児休業や部分休業は、勤
務期間等一定の条件を満たす会計年度任用職員にも適用さ
れ、育児休業等の利用に関する言動に起因する問題に関する
雇用管理上の措置を講ずることも併せて必要となるもので
す。
なお、育児休業を行うための勤務期間等一定の条件につい
ては、総務省からお示ししている「職員の育児休業等に関す
る条例
(案)」において、
非常勤職員のうち以下のいずれにも
該当する職員について育児休業の取得が可能となっていま
す。
・子が1歳6か月に達する日までに、その任期(再度の任用
がなされる場合はその任期)が満了すること及び引き続き
任用されないことが明らかでないこと
・人事委員会規則で定める勤務日数以上の勤務を行うこと
1点目の要件について、
「その任期が満了すること及び引33 き続き任用されないことが明らか」である場合の該当例は、
その職が廃止される場合で再度の任用をしないことが明示
されている場合などをいうもので、
それら以外の場合は1点
目の要件を満たし得るものです。
2点目の要件について、
国においては1週間の勤務日が3
日以上又は週以外の期間によって勤務日が定められている
場合、
1年間の勤務日が121日以上である非常勤職員とさ
れています。
よって、
会計年度ごとに置かれる職に就く会計年度任用職
員であっても、前述の条例(案)に示す2つの要件を満たす
場合があり、
こうした場合で当該職員から請求があった場合
は育児休業を承認しなければなりません。
また、育児・介護休業法第61条において、介護休業(介
護休暇)等に加え、所定外労働の免除の義務化、時間外労働
の制限及び深夜労働の制限に係る規定が設けられており、こ
れらの規定については、勤務期間等一定の条件を満たす会計
年度任用職員にも適用されます。
国の非常勤職員については、人事院規則10-11(育児
又は介護を行う職員の早出遅出勤務並びに深夜勤務及び超
過勤務の制限)において、育児や介護を行う職員の深夜勤務
や超過勤務の制限が規定されているところです。
現在、一般職非常勤職員に係る育児休業等に関する条例等
を整備していない地方公共団体にあっては、会計年度任用職
員制度の整備に伴い、
・ 地方公共団体として、職員の育児等に係る制度を推進す
る責務を有すること
・ 国家公務員及び民間については、要件を満たす非常勤職
員は育児休業の取得が可能であり、それとの権衡を図る必
要があること
・ 改正法に係る審議の際にも会計年度任用職員に係る制度
の整備を推進すべきことについて議論が行われていることに留意し、確実に制度の整備を図ることが必要です。また、
あわせて、会計年度任用職員に対し、育児休業等に係る制度
内容を周知することが必要です。34 (イ)労働安全衛生法に基づく健康診断
会計年度任用職員については原則として労働安全衛生法
が適用されることから、労働安全衛生法に基づき健康診断
(雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康
診断など)
を行わなければなりません。
主なものを挙げると、
事業者は、常時使用する労働者に対し、1 年以内ごとに 1 回
定期に、医師による健康診断を行わなければならないと規定
されており(労働安全衛生法第66条第 1 項及び労働安全衛
生規則第44条)、また、
医師又は保健師等による心理的な負
担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行わ
なければならないと規定されています(労働安全衛生法第6
6条の10及び労働安全衛生規則第52条)。この「常時使用する労働者」とは、地方公務員の任期の定
めのある者においては、その事業場における週勤務時間数が
同種の業務に従事する常勤職員の 1 週間の所定勤務時間数の
4分の3以上で、次のいずれかに該当する者となります。
・ 任期が 1 年(特定業務に従事する者については6月)以
上である者
・ 再度の任用により 1 年以上任用されることが予定されて
いる者
・ 再度の任用により 1 年以上引き続き任用されている者
なお、国の非常勤職員については、その勤務時間数が同種
の業務に従事する常勤職員の 1 週間の勤務時間数の2分の1
以上であり、6月以上継続勤務している場合は、健康診断及
びストレスチェックの実施が義務付けられ、6月以上の任期
が定められている者が6月以上継続勤務していない場合で
あっても、健康診断の実施が努力義務とされています。
(ウ)男女雇用機会均等法等に基づく措置
男女雇用機会均等法等に規定する以下の措置については、
地方公務員である会計年度任用職員に対しても適用されま
す。
i)職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管
理上の措置等(男女雇用機会均等法第11条)
ii)職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題
に関する雇用管理上の措置等(男女雇用機会均等法第1
1条の3)35 iii)女性労働者の妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置
(男女雇用機会均等法第12条及び第13条)
iv)職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に
関する雇用管理上の措置等
(育児・介護休業法第25条)
v)職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する
問題に関する雇用管理上の措置等(労働施策総合推進法
第30条の2)
なお、上記iiiに関連し、国の非常勤職員については、人事
院規則10-7(女子職員及び年少職員の健康、安全及び福
祉)における保健指導又は健康診査を受けるための職務専念
義務の免除が適用されています。
これらの法令の規定及び国の非常勤職員の取扱いとの権
衡に留意し、適切に対応する必要があります。
(エ)研修及び厚生福利
会計年度任用職員については新地方公務員法上の研修や
厚生福利に関する規定が適用されることから、会計年度任用
職員の従事する業務の内容や業務に伴う責任の程度に応じ
て、適切に対応する必要があります。
なお、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律は、
公務員は適用除外とされていますが、短時間労働者の雇用管
理の改善等に関する法律においても、教育訓練や福利厚生施
設に関する取扱いについて短時間労働者への配慮義務等が
規定されていますので留意ください。
エ 社会保険及び労働保険の適用
(ア)年金制度及び医療保険制度
会計年度任用職員について、2月以内の任期を定めて使用
される者であって、当該定めた期間を超えて使用されること
が見込まれないものを除き、
1 任用が事実上継続していると認められる場合において、
常時勤務に服することを要する地方公務員について定め
られている勤務時間以上勤務した日が18日(令和4年1
0月1日以降の期間については、1月間の日数(地方公共
団体等の休日を除く。
)が20日に満たない日数の場合に
あっては、18日から20日と当該日数との差に相当する36 日数を減じた日数)以上であるもの(当該勤務した日が1
2月を超えないものに限る。)2 1以外の者で勤務時間が常時勤務に服することを要す
る地方公務員の4分の3以上であるもの
3 1及び2以外の者で以下の3要件を満たすもの
・ 週の所定勤務時間が20時間以上であること
・ 報酬月額が8.8万円以上であること
・ 学生でないこと
のいずれかの要件に該当する場合には、令和4年10月1日
以降は、年金制度については、第1号厚生年金被保険者とし
て厚生年金保険の適用対象となり、医療保険制度については、
地方公務員等共済組合法上の短期給付及び福祉事業の適用
対象となります。
(地方公務員等共済組合法施行令第2条第
1項第5号〜第7号及び同令第24条の2第1項等)。上記に該当しない会計年度任用職員については、国民年金
及び国民健康保険に加入することとなります。
なお、常時勤務に服することを要する地方公務員について
定められている勤務時間以上勤務した日が原則として18
日(令和4年10月1日以降の期間については、1月間の日数(地方公共団体等の休日を除く。)が20日に満たない日数
の場合にあっては、18日から20日と当該日数との差に相
当する日数を減じた日数)以上ある月が、引き続いて12月
を超えるに至った者で、その超えるに至った日以後引き続き
当該勤務時間により勤務することを要することとされてい
るものについては、当該要件に該当するに至った日以後、地
方公務員等共済組合法上の長期給付、短期給付及び福祉事業
が適用されることとなります。
(イ)公務災害補償制度
非常勤職員の災害補償については、
その職種や勤務形態に
応じて適用される制度が以下のとおり異なりますので留意
ください。
特に会計年度任用職員について、常時勤務に服することを
要する地方公務員について定められている勤務時間以上勤
務した日が18日(令和4年10月1日以降の期間について
は、
1月間の日数
(地方公共団体等の休日を除く。)が20日
に満たない日数の場合にあっては、18日から20日と当該37 日数との差に相当する日数を減じた日数)以上ある月が引き
続いて12月を超えるに至った者で、引き続き勤務すること
を要することとされているものは、下記i)の常勤的非常勤
職員として地方公務員災害補償基金により補償されます。
また、この要件を満たさない会計年度任用職員は、ii)労
働者災害補償保険制度により補償対象となる者を除き、iii)
議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する
条例により補償されることとなります。
i)地方公務員災害補償基金により補償対象となる者
・再任用短時間勤務職員
・任期付短時間勤務職員
・育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員
・常勤的非常勤職員((注記))
(注記) 関連する総務省告示
「地方公務員災害補償法における常勤職員に準ずる非常勤職員の
範囲等について」
(昭和42年自治省告示第150号)
ii)労働者災害補償保険法及び他の法律により補償対象とな
る者
・労働者災害補償保険法の適用を受ける者(水道・交通・
病院・船員など労働基準法別表第1に掲げる事業に従事
する者)
・消防組織法、水防法及び消防団員等公務災害補償等責任
共済等に関する法律の適用を受ける者(消防団員、水防
団員)
・公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災
害補償に関する法律の適用を受ける者(学校医、学校歯
科医、学校薬剤師)
iii)議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に
関する条例により補償対象となる者
地方公務員災害補償法の「職員(上記i)の常勤的非常
勤職員)
」とならず、また上記ii)の労働者災害補償保険法
により補償対象とならない会計年度任用職員の公務災害
については、地方公務員災害補償法第69条第1項に基づ38 き定めることとされている各地方公共団体の議会の議員
その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例によ
り補償されます。地方公務員災害補償法第69条第3項に
おいては、当該条例で定める補償の制度は、地方公務員災
害補償法及び労働者災害補償保険法で定める補償の制度
と均衡を失したものであってはならないこととされてい
ます。各地方公共団体においては、条例を地方公務員災害
補償法及び労働者災害補償保険法で定める補償の制度と
均衡を失しないよう定めるとともに、適切に補償がなされ
るよう、運用を行うことが必要です。
なお、今回の改正で会計年度任用職員に期末手当が支給
可能となることに伴い、現在、議会の議員その他非常勤の
職員の公務災害補償等に関する条例施行規則(案)に福祉
事業として示している傷病特別給付金、障害特別給付金、
遺族特別給付金については、これまで、期末手当が支給さ
れていた議会の議員にのみ支給することができるとされ
ていましたが、期末手当が支給される会計年度任用職員に
対しても支給することが可能となりますので留意くださ
い。
(ウ)雇用保険
雇用保険については、以下の3つの要件を満たした場合、
事業主は労働者の雇用保険加入手続きを行わなければなり
ません。
・ 一週間の所定労働時間が20時間以上であること
・ 31日以上継続して雇用される見込みであること
・ 雇用保険の適用事業所に雇用されていること
なお、上記ア(イ)ii)
しろまる 退職手当」に示す要件を満た
し、職員の退職手当に関する条例(案)の適用を受けるに至
った場合には、適用を受けるに至ったときから被保険者とな
らないこととなりますので留意ください。
(エ)年金制度、医療保険制度及び公務災害補償制度の留意点
地方公務員等共済組合法及び地方公務員災害補償法の適
用については、会計年度任用職員であっても変わることはな
く、当該要件に該当する会計年度任用職員について、引き続
きこれらの法令を適切に適用していくことが必要です。その39 際、これらの法令を適用しないようにするために、不適切な
「空白期間」を設定することは、適正な任用・勤務条件の確
保という改正法の趣旨に沿わないことから避ける必要があ
り、これらの法令が適切に適用されるよう、留意ください。
その上で、地方公務員等共済組合法及び地方公務員災害補
償法の適用に関し、会計年度任用職員に係る上記「任用が事
実上継続している」か否かの判断に当たっては、勤務の実態
に照らして個別具体的に判断する必要があり、任用が1日な
いし数日の間を空けて再度行われる場合においても、任用の
終了時にあらかじめ、任命権者と職員との間で次の任用の予
定が明らかであるような事実が認められるなど、事実上、任
用関係が中断することなく存続していると、勤務の実態に照
らして判断される場合には、この期間を引き続く期間として
取り扱うこととなります。また、地方公務員等共済組合法が
適用されている会計年度任用職員について、任用が1日ない
し数日の間を空けて再度行われる場合において、上記と同様、
事実上、任用関係が中断することなく存続していると、勤務
の実態に照らして判断される場合には、組合員資格は喪失し
ないものとして取り扱うこととなります。
また、
厚生年金保険の被保険者資格については、
「有期の雇
用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われ
る場合においても、雇用契約又は任用の終了時にあらかじめ、
事業主と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が
明らかであるような事実が認められるなど、事実上の使用関
係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らし
て判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく
取り扱う必要」
(平成26年1月17日付厚生労働省通知
「厚
生年金保険及び健康保険の被保険者資格に係る雇用契約又
は任用が数日空けて再度行われる場合の取扱いについて」)があるとされており、再度の任用を行う場合には適切に対応
する必要があります。
(注記) 関連する厚生労働省事務連絡
1 「短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大の対象と
なる地方公共団体の事業所に係る取扱いについて」
(平成28年8月3日
付け事務連絡)
(厚生労働省保険局保険課・厚生労働省年金局年金課・厚
生労働省年金局事業管理課)40 2 「平成29年4月以降の短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保
険の適用拡大の対象となる地方公共団体の事業所に係る取扱いについて」
(平成29年2月10日付け事務連絡)
(厚生労働省保険局保険課・厚生
労働省年金局事業管理課)
4 人事評価
新地方公務員法上、会計年度任用職員は、常勤職員と同様、任
期の長短にかかわらず、あるいは、フルタイムかパートタイムか
にかかわらず、人事評価の対象となります。
会計年度任用職員については、任期ごとに客観的な能力の実証
を行った上で任用することが求められます
(下記5ア
(イ)
参照)。再度の任用を行う場合の客観的な能力実証に当たり、前の任期に
おける人事評価結果を判断要素の一つとして活用することが考
えられます。このほか、人事評価結果を研修などの人材育成に活
用することも想定されます。
また、任期の定めのない常勤職員として採用する場合の能力実
証に際し、会計年度任用の職に就いていた者が会計年度任用職員
であった時の人事評価による勤務実績を、必要に応じて一定程度
考慮することは可能です。ただし、その任用に際して、いかなる
優先権をも与えるものではないことに留意ください。
具体的な人事評価の実施方法等については、新地方公務員法上、
各任命権者に委ねられているため、職務内容や勤務実態等に応じ
て柔軟な形で人事評価を実施することも可能です。その際、平成
27年度「地方公共団体における人事評価に関する研究会」で示
されている「人事評価記録書例(非常勤(事務補助)職員)」(
【参
考資料5】
)も参照ください。
5 再度の任用
ア 基本的な考え方
(ア)再度の任用の位置付け
上記1イ(ウ)のとおり、会計年度任用職員はその任期を
1会計年度内としています(新地方公務員法第22条の2第
1項及び第2項)ので、会計年度任用の職は1会計年度ごと
にその職の必要性が吟味される「新たに設置された職」と位
置付けられるべきものです。
会計年度任用の職に就いていた者が、
任期の終了後、
再度、
同一の職務内容の職に任用されることはあり得るものです41 が、
「同じ職の任期が延長された」
あるいは
「同一の職に再度
任用された」という意味ではなく、あくまで新たな職に改め
て任用されたものと整理されるべきものであり、当該職員に
対してもその旨説明が必要です。
(イ)再度の任用についての留意事項
上記(ア)の考え方に基づき、再度の任用を行う場合であ
っても、同一の者が長期にわたって同一の職務内容の職とみ
なされる会計年度任用の職に繰り返し任用されることは、長
期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、会計年度任
用職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさ
せるおそれがあることに留意が必要です。
地方公務員の任用における成績主義や平等取扱いの原則
を踏まえれば、繰り返し任用されても、再度任用の保障のよ
うな既得権が発生するものではないことから、会計年度任用
の職についても他の職と同様に、任期ごとに客観的な能力実
証に基づき当該職に従事する十分な能力を持った者を任用
することが求められます(上記4参照)。この考え方は、条件付採用についても同様であることから、
再度の任用であっても任期ごとに改めて条件付採用の対象
とすることが必要です。
一方で、募集に当たって、任用の回数や年数が一定数に達
していることのみを捉えて、一律に応募要件に制限を設ける
ことは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべき
ものであり、上記1ア(イ)に述べた均等な機会の付与の考
え方を踏まえた適切な募集を行うことが求められます。
イ いわゆる「空白期間」の適正化
会計年度任用職員の任期の設定については、基本的には、各
地方公共団体において適切に判断されるべきものです。
しかしながら、退職手当や社会保険料等を負担しないように
するため、再度の任用の際、新たな任期と前の任期との間に一
定の期間
(いわゆる
「空白期間」)を設けることは適切ではあり
ません。また、任用されていない者を事実上業務に従事させる
場合、公務上重大な問題を生じるおそれがあります。
また、仮に、空白期間を置いた場合であっても、年次有給休
暇の繰り越し(3(1)3イ(ウ)
)や厚生年金保険及び地方公42 務員共済制度の適用(3(1)3エ(エ)
)については、勤務の
実態に即して判断されているところです。
このため、新地方公務員法においては、任期について、国の
期間業務職員に関する人事院規則も参考とし、
「職務の遂行に必
要かつ十分な任期を定めるもの」などとする配慮義務に係る規
定を設けたところであり、不適切な「空白期間」の是正を図る
必要があります
(新地方公務員法第22条の2第6項)。各地方
公共団体においては、
「退職手当や社会保険料等を負担しないよ
うにするため」
の空白期間の是正を図ることはもとより、
「職務
の遂行に必要かつ十分な任期」を適切に定めていることについ
て、職員や住民に対して説明責任を果たす必要があります。
ウ 手続
同一の者を同一の職務内容の職に再度任用する際にも、新た
な職への任用として、上記1ア及びイと同様、改めて職務内容
を含めた勤務条件の提示を行い、平等取扱いの原則や成績主義
も踏まえつつ能力の実証等を経た上で、本人の意思を確認し、
辞令の交付や勤務条件の明示を行うべきです。
なお、結果として複数回にわたって同一の者の任用が繰り返
された後に、能力実証の結果や業務の見直しによる業務自体の
廃止その他の合理的な理由により再度の任用を行わないこと
とする場合においては、事前に十分な説明を行う、他に応募可
能な求人を紹介する等配慮をすることが望ましいです。この点
については、公務員は適用除外とされているものの、労働基準
法第14条第2項に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇
止めに関する基準
(厚生労働省)」において、
契約を更新しない
場合の予告や理由の明示等が定められていることにも留意く
ださい。
エ 給付水準
会計年度任用職員に対する給付については、上記3アのとお
り、新地方公務員法第24条に規定する職務給の原則、均衡の
原則等に基づき、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する
地域、地域の民間企業において同一又は類似の職種がある場合
には、その労働者の給与水準の状況等に留意しつつ、地域の実
情等を踏まえ適切に決定することが必要となるものですが、こ
れは再度の任用の際にも同様です。43 この場合において、毎年度の給料又は報酬の水準の決定に際
し、同一又は類似の職種の常勤職員や民間企業の労働者の給与
改定の状況等を考慮し、給料額等を変更することはあり得るも
のです。
また、同一の者が同一の職種の職に再度任用される場合であ
っても、職務内容や責任の度合い等が変更される場合には、異
なる職への任用であることから、給料額等を変更することはあ
り得るものです。具体的には、一定の勤務経験や実績などのあ
る会計年度任用職員である保育士について、より責任の程度が
高い職に新たに任用する場合には、当該職員の勤務経験などに
より、一層向上した能力を踏まえた職務を行うことを考慮し、
給料額等を設定することが考えられますので、こうした考え方
も踏まえ、適切に給料又は報酬の水準を決定するよう、留意く
ださい。
オ 再度の任用と産休等との関係
会計年度任用職員が、産前産後休暇、介護休暇、育児休業に
ついて、その取得要件を満たしている場合には、
・ 会計年度任用職員の任期の末日(任期の末日が年度末であ
る場合には、年度末)まで取得することができ、
・ 翌年度に再度の任用がなされた場合には、改めて取得する
ことにより、
年度をまたいで当該休暇、
休業を継続することが
できます。
この場合において、
再度の任用により、
改めて条件付採用期
間が設定されることとなりますが、
条件付採用期間中であるこ
とをもって当該休暇、
休業の取得が妨げられるものではありま
せん。なお、任命権者において、実地での能力の実証が不足し
ていると考える場合には、1イ(エ)のとおり、条件付採用期
間を延長することが可能です。
6 人事行政の運営等の状況の公表
新地方公務員法第58条の2においては、以下の義務が課され
ています。
・ 任命権者から地方公共団体の長に対する、職員の任用、人事
評価、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、退職
管理、研修、福祉並びに利益保護などの人事行政の運営の状況
の報告(新地方公務員法第58条の2第1項)、44
・ 人事委員会又は公平委員会から地方公共団体の長に対する業
務の報告(新地方公務員法第58条の2第2項)、・ 地方公共団体の長による上記の報告に関する概要及びその内
容の(対外的)公表(新地方公務員法第58条の2第3項)
改正法により、フルタイムの会計年度任用職員は、給料、旅費
及び一定の手当の支給対象となり、人件費の管理等の観点から適
正な取扱いを確保する必要があることを勘案し、フルタイムの会
計年度任用職員については、その任用や勤務条件等に関し、任命
権者から地方公共団体の長に対する報告や、長による公表等の対
象に追加したものです。公表等に当たってはその趣旨を踏まえて
実施する必要があります。
7 制度の周知
勤務条件をあらかじめ明示するという観点等から、現に任用さ
れている臨時・非常勤職員に対し、
会計年度任用職員に係る任用・
勤務条件の内容等について周知を図る必要があります。
(2)職員団体との協議等に係る留意事項
1 職員団体との協議
会計年度任用職員の勤務条件については、新地方公務員法に基
づき、登録職員団体から適法な交渉の申入れがあった場合におい
ては、その申入れに応じる必要があることに留意が必要です。
各地方公共団体においては、平成30年度までを目途に適宜必
要な協議を行っていただくよう、お願いします。
2 特別職非常勤職員が組織し、又は加入する労働組合との関係
特別職非常勤職員
(旧地方公務員法第3条第3項)
については、
旧地方公務員法が適用されないため、旧地方公務員法に基づく職
員団体ではなく、労働組合法に基づく労働組合を組織し、又はこ
れに加入することができることとなっているところです。
これに対し、改正法施行後に会計年度任用職員制度に移行した
後は、任期の定めのない常勤職員と同様、職員団体による交渉な
ど新地方公務員法に定める勤務条件に関する交渉制度が適用さ
れることとなります。
また、その代償措置として、
・ 勤務条件条例主義
・ 人事委員会又は公平委員会に対する措置要求や審査請求45 などが認められることになることに留意が必要です。
任用根拠の変更後の勤務条件については、改正法施行後に適用
されるものではありますが、各地方公共団体においては、特別職
非常勤職員やこれらの職員が組織し、又は加入する労働組合に対
し、丁寧に説明することが重要です。46

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