1第3回第4ワーキンググループ会合 議事概要
1 日 時 令和4年8月3日(水)10:00〜12:20
2 場 所 遠隔開催(Web会議)
3 出席者
【委 員】
川﨑 茂(座長)、清原 慶子、佐藤 香、櫨 浩一
【臨時委員】
加藤 久和、清水 千弘
【専門委員】
細川 努
【審議協力者】
人事院、内閣府、総務省、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、
経済産業省、国土交通省、環境省
日本銀行、東京都、埼玉県
【事務局】
(総務省)萩野室長、栗原次長、吉野調査官、越企画官
4 議 事
(1)統計基盤のデジタル化の推進について(ビッグデータの活用)
(2)EBPM の推進・民間での活用の促進について(統計ニーズの把握、統計リテラシー
の向上)
5 議事概要
(1)統計基盤のデジタル化の推進について(ビッグデータの活用)
事務局及び総務省(統計改革実行推進室)から資料1-1及び資料1-2に基づ
き、ビッグデータの活用に関する取組状況並びに次期基本計画における取扱い及び基
本的な考え方(案)について説明があり、審議の結果、基本的な考え方はおおむね了
承された。
主な発言は以下のとおり。
しろまる 国連において「Big Data for Official Statistics」としてビッグデータの定義
付けを行っているので参照するとよい。また、政府がビッグデータを活用する意義
は、第一義的には公的統計への直接利用として報告者負担の軽減や精度の向上にフ
ォーカスするべきであり、現在の公的統計で測定できない外側の世界を見るという
ことは、第二義的に随分後に置いてもいいのではないか。このほか、横の連携とし
て、産業分類コードや住所コード等のコードインフラを民間にも使ってもらえるよ 2う積極的に開放・連携して、win-win の関係を作る必要がある。加えて、国際的な
連携についても積極的に進めていくと良いのではないか。
しろまる 基本的な考え方において、ビッグデータを可能な限り公開するトライアルの取組
を進めていくことを明記したことは評価したい。ビッグデータの質は様々な人が分
析してみないと評価できないので、こうした取組は質の向上にも役立つ。また、ビ
ッグデータと公的統計の関係については、単なる公的統計の代替だけではない柔軟
な方針が示されており、妥当と考える。ビッグデータの作成者との win-win の関係
を構築することが重要であり、ビッグデータの作成者が、ビッグデータを共有・公
開すること等についてどういう意向をもっているか、ネゴシエーションの状況につ
いても可能であれば明記すると進めやすくなるのではないか。
しろまる ビッグデータについては、東日本大震災の際に交通量のデータから道路の遮断状
況を把握するなど、災害時の緊迫した状況の中で活用された事例などもあり、自治
体関係者は、公的統計の作成における正確なデータ把握や負担軽減に活用できない
か強い問題意識を持って注目してきた経緯がある。資料1-2の「ビッグデータの
更なる活用の方向性」の整理は、統計委員会の中でも指摘され、注目されていた視
点を充実させたもので、極めて重要な出発点であり、このことを引用して次期基本
計画における取扱いに整理しているのは適切だと思う。
ただし、
その冒頭にある
「今
後は既存の枠組みにとらわれない外部の視点等も取り込みつつ」については、トラ
イアルやシェアリングを進める上で根拠となる視点だと思うので、アジャイル型の
視点等を具体的に書いた方がよい。また、ビッグデータ連携会議でも指摘されてい
るが、ビッグデータの活用に当たっての透明性の確保など、より丁寧かつ慎重な取
組を期待したい。
しろまる 基本的な考え方に賛成。その上で、ビッグデータの質は様々で、例えばウェブス
クレイピングデータのように質の評価が難しいものがある一方、人工衛星データや
物流データは客観的であり、信頼出来ると思う。一方で、ビッグデータありきで活
用が始まる部分があるので、ニーズとのマッチングが難しく、政府が使えるビッグ
データがどこにあるのかを同時に検証・検討していくことが必要。
また、ビッグデータ・トライアルは非常に重要な取組。統計分析の経験はあって
も、ビッグデータを使った経験がある研究者は少ないと思うので、どう使っていく
かも改めて考えていくべき。
しろまる ビッグデータの利活用を拡大するためには、情報セキュリティの観点から、個人
が特定されないよう確実に匿名化すること、データ消去に関する取り決めを明確化
すること、
不正アクセス対策を徹底することなど、
官民でデータを安全にシェアし、
活用するための前提を整備することが重要。
また、ビッグデータ利用の利便性向上として、従来のリモートデスクトップによ
る利用だけでなく、匿名化、セキュリティ対策、漏洩・悪用・法的リスク対策を踏
まえた、ブラウザベースの利便性の高い利用環境を検討してはどうか。
さらに、コストの高止まり対策として、分析する時以外はコストを抑制するため 3の工夫が必要。このほか、アジャイルアプローチとして、上述のような前提を踏ま
え、データ整備、分析環境、ライブラリの整備など、利用者に早期の段階から参加
いただき実施してはどうか。
しろまる ビッグデータ・ポータルの利用者の範囲が捉えにくいが、どういう人がどう使う
か想定はあるか。
→ ポータルの利用者は、特に限定しているわけではないが、主に地方公共団体と民
間企業を想定している。ポータルの取組はデジタル田園都市国家構想基本方針にも
記載されており、地方の課題解決に役立てていくことが求められている。どういう
機能を盛り込むかについては、現在ヒアリング等でニーズを把握しているところ。
しろまる ビッグデータ・トライアルは地方公共団体の参加が想定されており、また、第III
期基本計画にも取組の主体として地方公共団体と明示されていることから、次期計
画にもビッグデータに関する取組の連携の担い手として、地方公共団体や民間を明
記するのが良いと思う。
(2)EBPM の推進・民間での活用の促進について
ア 統計ニーズの把握
事務局及び総務省(政策統括官室)から資料2―1及び資料2-2に基づき、統計
ニーズの把握に関する取組状況並びに次期基本計画における取扱い及び基本的な考え
方(案)について説明があり、審議の結果、基本的な考え方はおおむね了承された。
主な発言は以下のとおり。
しろまる 資料の2-2の(参考)提案の主な内容を見ると、報告者の負担や手法に関する
ものが多いが、
例えば研究者から調査項目を追加してほしい、
各府省の EBPM の観点
から公的統計の現在のデータ以外にこれについて調べてほしいなど、集めているデ
ータや分析についての提案は寄せられているのか。
→ 提案者の属性まで細かく把握してはいないため、研究者からの提案かどうかは分
からないが、御指摘のような提案も「統計の改善・充実に関する事項や統計データ
の利活用に関する事項」として含まれている。また、EBPM との関係では、調査の設
計に当たり、調査事項の確認等は適宜行われているので、各府省のニーズはおおむ
ねカバーされていると思う。
→ 次期基本計画における取扱いとして、報告者の負担に対してかなり慎重に配慮事
項が書かれている印象を受ける。しかし、本来目指すべきは公的統計の品質向上、
国民や利用者ニーズへの対応、さらには行政が良い政策を実現するための統計の整
備であり、そのことを理解してもらう働きかけが大事であるからこそ、こちらから
の調査協力についてのお願いだけではなく、
「ニーズや提案を受ける双方向の取組」
が重要であるという論理の立て付けになると思う。
EBPM を実現するために更に幅広
い関係者のニーズの把握に努める必要があることを強調した上で、報告者に過度な
負担をかけるのは望ましくないとすることには留意しつつ、適切な調査手法の改善
などによって対応していくという方向性がいいのではないか。 4しろまる EBPM を軸とするなら、府省側のニーズは大事なので、どちらかに偏るのは問題で
あり、交通整理が必要ではないか。また、報告者の負担軽減のため質問数を減らす
とこれまでの時系列データが使えなくなる弊害があり、さらに、同じ分野の統計を
統一してほしいという話があったとしても、統計はそれぞれ異なった目的で作られ
ているので、実施側のニーズも踏まえて必要性を説明し、説得してほしい。
しろまる ニーズ把握は継続してほしいが、これを個別の問題としてでなく、もう少し大き
なテーマとして掲げてはどうか。また、ニーズに対応するには調査負担が増えるこ
とが強調されすぎているのでバランスを取ってほしい。例えば時系列データの充実
などは、必ずしも調査をしなければニーズに応えられないわけではない。特に統計
改革によって昔からのデータがつなげられなくなっているところもあるため、利用
者の利便のために時系列データの充実を次期基本計画のテーマとして取り上げられ
ないか。今のリソースで遡及データまで求めるのは難しいので、学界などの協力を
得てデータを整備するなどの方向性が打ち出せないか。
しろまる 経済政策の分野で EBPM が重要なのは理解されているが、統計メーカーとしての
意味も強調できないか。例えば、なぜその統計が必要かという利用者側の視点が作
成者側においても理解が深まると、当事者意識をもって統計作成に関わることがで
き、よりよい統計を作る、働きがいが高まるといった好循環が生まれてくると思う
ので、そういったことを強調できればいいのではないか。
イ 統計リテラシーの向上
事務局及び総務省(統計局及び統計研究研修所)から資料2―3及び資料2-4に
基づき、統計リテラシーの向上に関する取組状況並びに次期基本計画における取扱い
及び基本的な考え方(案)について説明があり、審議の結果、基本的な考え方はおお
むね了承された。
主な発言は以下のとおり。
しろまる 児童・生徒・学生・社会人、また教職員に対して充実したプログラムが組まれて
いることは高く評価。資料2-3の取組状況の概要については、類似している内容
を整理して簡潔に記述するのがよいのではないか。また、現行の基本計画で統計リ
テラシーの観点も含め掲げられている統計調査員の問題は、非常に重要であり、高
齢化が進み、人数も減っている中、学生調査員の育成だけではなく、今後の統計調
査にそのスキルを持った人材をどのように活用していくかの工夫が必要であるので、
課題として述べておいた方がいいのではないか。
このほか、国・地方公共団体等の職員向けの研修については、各府省の統計担当
職員のリテラシーが思い起こされるので、別の項目として立てた方がいいのではな
いか。その上で、特に国の統計担当職員がどのくらい研修を受けたのかについての
記述があると、さまざまなアクシデントへの対応として取り組んでいる印象が伝わ
ると思うので、工夫してほしい。 5→ 職員向けのリテラシー向上については、人材育成の話でもあり、統計リソースに
関する審議でも検討したい。
しろまる 総務省統計局や統計研究研修所が提供している学習サイト、コンペティション等
は非常にレベルが高くていいものであるのにも関わらず、
なかなか知られていない。
学生や社会人にどう届けるかが大事。
また、
人材の問題で一番大事なのは、
初心者、
とりわけ高校生や中学生に教える人材が少ないことであり、そうした人材について
も考えていただけるとありがたい。
→ 教える側の人材の問題は、官学を挙げて取り組んでいくべき課題でもある。
しろまる 子供から社会人まで統計リテラシーの醸成の機会を設けることが重要。現在、初
等中等教育段階では「GIGA スクール(1 人 1 台端末)」が実現されており、デジタ
ル教材の在処さえ分かれば自学自習、グループ学習で学んでいける。総務省統計局
のコンテンツをぜひ PR してもらい、文科省等と連携して、「GIGA スクール」の取
組の中で統計リテラシー向上をリンケージしていくことを提案したい。
また、
大学、
大学院でデータサイエンスに関する教育機会が充実しているので、政府としても、
統計リテラシーの向上に向けて高等教育機関との更なる連携をしていくことが望ま
しい。
また、国及び自治体職員の研修について、ライブ配信、オンライン配信を継続し
てほしい。コロナ禍で生まれたこのような取組が功を奏しており、地域間格差、デ
ジタルデバイドを超えて実現しており、
国民全般へのリテラシー向上の機会拡充と、
資格付与に向けた手法としてのオンライン配信等が学びの保証として活かされる。
今までの取組に加えて拡充してほしい。
しろまる 統計教育は、データ駆動型社会への移行の中核となる取組。公的機関の職員には
統計のメーカーもいればユーザーもいるという意味で、底上げ的な視点が強く出て
いるが、高度統計専門人材といった、先頭を走って上から引っ張っていく視点と、
底上げしていくという2つの視点が必要ではないか。高等教育機関との連携にもつ
ながる話であると思う。
しろまる コンテンツをアクセスしやすい、アピールしやすい形に発展させてほしい。例え
ば、YouTube でも統計関係のチャンネルがあり、数万人単位の登録者がいる。統計
については、データサイエンティスト希望者、大学の学生、または中高生で興味の
ある学生もいるので、
公表可能なものについてはアピールする取組をしてはどうか。
また、デジタル技術の進化に応じて、統計の在り方や活用の仕方も進化するので、
適宜反映すると活用しがいのあるものになるのではないかと思う。
以上
<文責 総務省統計委員会担当室 速報のため事後修正の可能性あり>

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