1第2回第1ワーキンググループ会合 議事概要
1 日 時 令和4年7月6日(水)15:00〜16:50
2 場 所 遠隔開催(Web会議)
3 出席者
【委 員】
福田 慎一(座長)、伊藤 恵子、川﨑 茂、白塚 重典、菅 幹雄、櫨 浩一
【臨時委員】
宮川 幸三、山澤 成康
【専門委員】
小巻 泰之、斎藤 太郎、新家 義貴
【審議協力者】
内閣府、総務省、財務省、経済産業省
【事務局】
(総務省)
明渡大臣官房審議官、北原大臣官房付
統計委員会担当室:萩野室長、吉野政策企画調査官
4 議 事
(1)QEの推計方法に関する包括的な見直しについて
(2)2次QEにおける建築物リフォーム・リニューアル統計の活用について
(3)サービスを中心とした第一次年次推計から基準年推計に至る推計手法のシームレス
化について
(4)法人企業統計の一部早期化について
5 議事概要
(1)QEの推計方法に関する包括的な見直しについて
事務局から資料1-1に基づき説明後、内閣府から資料1-1の参考3に基づ
く説明があり、質疑が行われた。委員からは、1次QEの公表早期化の検討自体は
支持されたが、それとこれまで基本計画で進めてきた推計手法のシームレス化(改
定差の縮小)との優先順位を明確化すべきとの意見もあった。このため、次期基本
計画における取扱い及び基本的な考え方については、現段階では事務局提案どおり
とするが、第4回会合において事務局から提示される課題の優先度を踏まえて改め
て確認することとされた。また基礎統計の公表早期化については事務局を通じて他
のワーキンググループに要望を出すこととなった。 2主な発言は以下のとおり。
・ 現行の推計手法を変更することなく1次QEの公表時期だけを早期化すれば
誤差が生じるのは当然である。大括りで推計する、指標を絞る、供給側だけを用
いる、諸外国の推計方法を参考とするなど包括的に推計方法を見直して公表を早
期化すべき。30日がよいのか40日がよいのかはあるが、日本だけQEの公表が遅
い状況は改善した方がよい。
→ 供給側推計のみを用いることは一つの考え方としてはあり得る一方で、公表
早期化が可能かは基礎統計の公表時期に一義的に依存することに留意が必要。
大括りで推計する、指標を絞るとの御提案については、これまでSNA部会
において、品目を細分化し粒度を高めて精緻化する方向で議論いただいていたた
め、これまでの方針との整合性との関係があり、慎重に考えているところ。
なお諸外国の状況としては、理解している範囲では、英国では統計データの
欠落月についてARIMA予測値を適用しており、アメリカではジャッジメンタ
ルトレンドという形で何らかのトレンドを使用している。諸外国の状況について
は引き続き確認していきたい。
・ 家計調査、家計消費状況調査及び国際収支統計の3ヶ月目を1次QEの基礎
統計から除外すれば、一週間程度1次QEの公表を早期化できるのではないか。
家計調査は、QEの推計に占めるウエイトが低下しており、推計に取り込む必要
があるかという議論もある。国際収支統計は、3か月目の貿易統計については既
に公表されているため、多少の精度の低下はあるが、1次QEで取り込む基礎統
計から除外することも可能だと思う。
→ 相対的に公表タイミングが遅い家計調査及び家計消費状況調査を推計に取り込
まないことも一つの選択肢ではあ りうると思 う。ただし、現在でも推計値の
チェック等を含めて1次QE公表までにリダンダンシーのないスケジュールで作
業している中で、推計プロセスで切り詰められるところがどれくらいあるか等に
よる。
・ 1次QEと2次QE、2次QEと年次推計のシームレス化は、現行基本計画に
おいて一番大きな課題と認識している。法人企業統計の一部早期化や需要面と供
給面の話など未だ解決に至っていない課題も残っている。QEの公表早期化は必
要であるが、シームレス化を優先させるとなると方向性が異なるため、課題は列
挙するのではなく、優先順位をつけて提示すべきではないか。
→ 課題が全て出揃う第4回会合において優先度を提示予定である。事務局として
は、現行計画で明示されまだ道半ばにあるシームレス化は重要な課題と考えてい
る。一方、1次QEの公表早期化は研究課題と整理している。
・ 1次QE公表の早期化と1次QEから年次推計までの改定差縮小は矛盾する方
針と感じる。優先度というよりは、どちらの方針にするかを明確にしないと両方
出来なくなるのではないか。 3→ 第4回会合において、次期基本計画における取扱い及び基本的な考え方の表現
振りや優先順位を審議いただきたい。
・ 1次QEの公表早期化と改定差縮小を両方進めると、どっちつかずとなるこ
とを懸念する。公表早期化については、基礎統計の公表の早期化に関して詰めた
方がよいと思う。家計調査や鉱工業指数は以前もう少し早く公表していた。この
2つを含め前倒し公表が可能な統計があるのではないか。
→ 家計調査や鉱工業指数に係る御指摘については、事務局内で共有のうえ、第2
または第3WGにおいて適切に御審議いただくよう連携していく。
(2)2次QEにおける建築物リフォーム・リニューアル統計の活用について
事務局から資料1-2に基づき説明後、内閣府から資料1-2の参考に基づき
説明があった。委員からは特に意見等はなく、次期基本計画における取扱い及び基
本的な考え方は「適当」と評価された。次回は国土交通省から検討結果について説
明予定。
(3)サービスを中心とした第一次年次推計から基準年推計に至る推計手法のシーム
レス化について
事務局から資料1-3に基づき説明があり、質疑応答が行われた。審議の結果、
冒頭の「サービスを中心とした」という文言を削除することとなった。
主な発言は以下のとおり。
・ 製造業の中には、基準年推計において生産動態統計を使用しているものがあ
るが、経済センサスへの切り替えを検討すべきと考えている。
(このように財も
検討対象であるため)
「サービスを中心とした」という文言は記載しなくてもよ
いのではないか。
→ サービスにおいて改定差の拡大が予想されることから「サービスを中心とし
た」としたが、財も検討対象である。それをより明確にするという主旨から当該
部分の削除が適当との御指摘であるので、そのように修正したい。
→ 基準年推計の課題として、産業連関表の製造業部門の推計担当である経済産
業省ともよく連携して対応してまいりたい。
・ サービス産業動向調査については、早期化とともに、経済センサス及び経済構
造実態調査との整合性について検討し、調査の概念や調査事項のシームレス化に
ついても議論していくべき。
(4)法人企業統計の一部早期化について
事務局から資料1-4に基づき説明後、内閣府から資料1-4の参考に基づき
「全国企業短期経済観測調査(短観)を用いた試算の改善」及び「法人企業景気予
測調査等を用いた試算」について説明があった。また内閣府からは、本年第1四半 4期における1次QEから2次QEへの改定の主因が仕掛品在庫である旨の説明が
あった。委員からは、設備投資については必ずしも附帯調査に依存しなくてよいと
いう意見があった。また在庫については引き続き課題であることを確認した。これ
らを踏まえ、次回のワーキンググループにおいて、次期基本計画における取扱い及
び基本的な考え方を審議することとなった。
主な発言は以下のとおり。
・ 設備投資の推計については、附帯調査も含めて精度向上に顕著に効果があっ
たものはなかった。附帯調査を実施するかは、在庫の改善に寄与するという点と
調査実施のコストとのバランスをどのように考えるかであるが、非常に悩ましい
ところ。
・ 現行1次QEとの比較について、民間企業設備の需要側推計値の仮置値を推
計する際、2020年1-3月期から2021年7-9月期に関しては、
(季節調整の)
AOダミーを暫定的に置いて推計していたため、1次QEから2次QEにかけて
の改定差が拡大した可能性があるとのことであるが、そのAOダミーを外した場
合の試算結果は出ているのか。
→ 現時点では試算はお出ししていない。新型コロナウイルス感染症対応で実施
した季節調整の異常値処理が適切であったかについては、それほど遅くないタイ
ミングでSNA部会において御報告したい。
・ 異常値処理の検証は必要。ただし、リアルタイムで異常値処理を行う以上、
事後的にそれが不適切であったと判明したとしても、それゆえ次回は実施しない
という結論にはならないと思う。
→ 御指摘のとおりと考えており、SNA部会に検証結果を提示する際には、Q
Eのリアルタイムの段階において異常値処理をより適切に実施するためにはどの
ようにすべきかについても御議論いただきたい。
・ 附帯調査を実施するとQEの公表早期化も進まないため、附帯調査をやめて、
2次QEでも法人企業統計を使用せずに推計すれば、QEと年次推計の改定差も
縮小するなど、QEの公表早期化とシームレス化が両方改善する方法もあるので
はないか。
→ 法人企業統計を使用しないこと自体は一つの選択肢としてはありうると思う
一方で、法人企業統計を使用しないことで(改定差を小さくしつつ)1次QEの
公表早期化が可能なのかは分からない。
以上
<文責 総務省統計委員会担当室 速報のため事後修正の可能性あり>

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