-1-第171回統計委員会・第19回企画部会(合同開催) 議事録
1 日 時 令和3年12月24日(金)13:25〜15:20
2 場 所 総務省第二庁舎 7階 大会議室
3 出席者
【委 員】
椿 広計(委員長)
、津谷 典子(委員長代理)
、秋池 玲子、伊藤 恵子、川﨑 茂、
清原 慶子、佐藤 香、白塚 重典、菅 幹雄、櫨 浩一、福田 慎一、松村 圭一
【臨 時 委 員】
宇南山 卓、加藤 久和、川口 大司、清水 千弘
【幹 事 等】
総務省政策統括官(統計制度担当)
、総務省統計局長、文部科学省大臣官房審議官(総
合教育政策局担当)
、経済産業省大臣官房調査統計グループ長、国土交通省大臣官房政
策立案総括審議官
【審議協力者】
内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官、総務省統計局統計調査部長、日本銀行調
査統計局参事役、東京都総務局統計部調整課長
【事務局(総務省)】金子総務大臣、明渡大臣官房審議官
統計委員会担当室:萩野室長、栗原次長、小山次長、重里次長
政策統括官(統計制度担当)
:吉開政策統括官、佐藤統計企画管理官
4 議 事
(1)諮問第156号の答申「就業構造基本調査の変更について」
(2)諮問第157号の答申「学校保健統計調査の変更について」
(3)諮問第158号「石油製品需給動態統計調査の変更について」
(4)建設工事受注動態統計調査について
5 議事録
しろまる椿委員長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第171回統計委員会と第19回企
画部会を合同で開催いたします。
本日は、村上委員が欠席です。また、後ほど金子恭之総務大臣に御出席いただく予定で
す。
昨今の情勢に鑑み、会議の時間を短くするため、事務局による議事と資料の説明は省略
させていただきます。 -2-本日は、議事次第のとおり、答申、諮問、それから建設工事受注動態統計調査について
説明があります。本日はこのように進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いい
たします。
しろまる萩野総務省統計委員会担当室長 それでは、カメラ撮りは一旦ここまでといたします。
本日はウェブ参加者もおられますので、
事務局にてウェブ画面上に資料を投映いたします。
つきましては、委員の方々、説明者、及び質疑対応者などにおかれましては、御発言の際
に必ず資料名、ページ番号を冒頭にお示しいただくようお願いいたします。スムーズな運
営に向けまして、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
しろまる椿委員長 それでは、早速、議事に入ります。
諮問第156号、就業構造基本調査の変更の答申案につきまして、津谷部会長から御説明い
ただければと思います。よろしくお願いいたします。
しろまる津谷委員 それでは、
就業構造基本調査の変更に関する答申案について報告いたします。
本件については、10月の統計委員会で諮問した後、3回にわたる部会審議を行い、本日
配布されている資料1のとおり、答申案をまとめました。本調査については、この統計委
員会においても、皆様から活発な御議論を頂きました。部会では、それらも踏まえて審議
を行い、今回お示ししている答申案では、可能な限り丁寧に、皆様の御意見を反映させる
形で文書化を行っております。
まず、
(1)承認の適否でございますが、全体的な結論として、今回の変更については承
認して差し支えないと判断いたしました。ただし、審議の過程において、
「計画の修正など
が必要」との意見が示された部分がございますので、それについては(2)で具体的に説
明いたします。
最初に「ア 報告を求める事項の変更」
、つまり調査事項の変更についてです。ここでは
働き方改革関連とそれ以外ということで、
(ア)と(イ)に分けて記載しております。
まず(ア)働き方改革関連でございますが、変更内容自体が多岐にわたっておりますの
で、6ページの別紙1にまとめておりますが、部会審議においてフリーランスの扱いが特
に議論となりました。
そこで、1ページに戻っていただいて、bでフリーランスについて記載しております。
調査事項の変更としては、bの2行目にございますとおり、
「実店舗の有無」の選択肢を追
加するというものです。
調査事項の具体的な変更案については、2ページに図を示しておりますので、御覧いた
だければと思います。この図の左側が、該当箇所の申請案になりますが、役員、自営業主、
内職のそれぞれについて「実店舗の有無」が当初は設けられておりました。
もう一度本文1ページに戻りますと、この「実店舗の有無」の選択肢を設けること自体
については、bの1と2で説明しておりますように、1今回のフリーランスの集計が、閣
議決定を受けて策定されたガイドラインの定義に準拠するものであること、そして、2フ
リーランスが、時間と場所の制約が少ない働き方であることを調査事項として具体化しよ
うとしたものであることから、全体的な評価としては、
「おおむね適当」といたしました。
ただし、次の「しかし」の段落に記載しましたように、内職については、本調査の定義 -3-においても、従前から、自宅で行うことを前提としておりました。そのため、部会では、
「内職について、実店舗の有無を聞くのは、細か過ぎる」との御意見が出されました。こ
れを踏まえて、2ページの図の右側のとおり、内職については、選択肢を設ける必要はな
いことを指摘したいと考えております。
なお、今回の審議では、フリーランスの定義についても活発に議論がなされましたが、
それについては、集計事項の項目で取り上げておりますので、後ほど御覧いただきたいと
思います。
次に、フリーランス以外の働き方改革関連については、c及びdに記載しております。
調査事項の変更そのものについては、
「適当」と評価いたしました。しかし、部会の審議に
おいて、報告者が回答するに当たり紛れが生じる部分があるのではとの懸念が、いくつか
の点で示されました。具体的には、
「実店舗」
「内職」
「テレワーク」の定義、そして職種の
区分における「運搬」と「輸送」の違いについてです。これらについては、調査票の記入
要領等において、分かりやすく明確に説明するよう指摘したいと考えております。
以上が、働き方改革関連の調査事項についての説明でございます。
今回の変更では、
7ページの別紙2にまとめましたように、
それ以外の調査事項の変更、
削除等についても申請されております。これらについては、2ページの(イ)に記載しま
したとおり、
利活用を踏まえた変更や削除といったことから、
「適当」
と評価いたしました。
以上が調査事項に関する部分でございます。
次に、3ページの「イ 集計事項の変更」でございます。変更内容としては、1調査事
項の変更に伴う見直し、2利活用ニーズを踏まえた変更、そして、
「都道府県編」と「主要
地域編」を「地域編」に統合する、というものでございます。これらにつきましては、
「お
おむね適当」と評価いたしましたが、先ほど申し上げましたとおり、フリーランスの集計
については多数の御意見が出され、それを(イ)としてまとめております。
まず、3ページの枠囲みで記載したものが、フリーランスガイドラインの定義でござい
ます。そして、これが本調査において準拠することが想定されていたものです。ガイドラ
インに準拠すること自体については、i)からiii)に記載しましたように、ガイドライン
が公的な定義であること、本調査が公的統計の中核であること、そして、フリーランスの
定義について様々なものが見られる中にあって、本調査における調査事項を組み合わせる
ことで、
他の定義による集計も可能ということから、
「おおむね適当」
と評価いたしました。
しかしながら、定義案のうち「自身の経験や知識、スキルを活用して」という要件につ
いては、今回、これに対応する調査事項が設けられていません。そのため、この定義で集
計したと言ってしまいますと、
「経験やスキルの有無について、どこで判断したのか」とい
う疑義を招きかねないという懸念がございます。そもそも、統計調査における集計上の定
義は、調査で設定された調査事項により画定されるのが基本です。そこで、本調査で集計
する「フリーランス」の定義については、4ページの次の枠囲みの記載のとおりシンプル
にした上で、
「自身の経験や知識、スキルの活用」を、本調査で、どのように整理したかに
ついて、別途丁寧に説明すべきであると指摘したいと考えております。
また、
フリーランスの集計について、
もう1点ございます。
次のbの部分でございます。 -4-これまで本調査で把握してきた従業上の地位や雇用形態、具体的には、雇用者、役員、自
営業主、内職といった区分は、いわば縦割りの概念といえるものです。これに対して、今
回、新たに集計するフリーランスは、これらに横断的な概念として入ってくるものになり
ます。したがいまして、両者の相互関係を具体的に示すという観点から、一部の集計表に
ついて、フリーランスの内訳を示すことが必要と指摘したいと考えております。
以上が集計事項に関する部分でございます。
次に、
「ウ 報告者数の変更」でございます。今回の変更は、世帯数を約52万世帯から約
54万世帯に変更するものですが、これについては、1世帯当たりの平均世帯人数の減少と
いう人口の構造的変化を踏まえた対応であり、必要な世帯員数の情報を確保するための対
応として、
「適当」と評価いたしました。
そして、変更事項の最後、
「エ 調査方法の変更」についてです。ここでは大きく2点ご
ざいます。
まず、
(ア)の郵送回収の導入についてです。これについては、昼間不在世帯やオートロ
ックマンションの増加のほか、昨今の状況として、新型コロナウイルスの感染防止対策等
の観点も踏まえて、
「おおむね適当」
と評価いたしました。
ただし、
部会の審議を踏まえて、
1の第2段落、4ページの下から3行目となりますが、に記載されているように、郵送で
提出された分も含めて調査票の提出状況管理システムを整備するということですので、そ
のシステムを扱いやすいものにすることを通じて、現場への支援を十全のものにする必要
があること。また、5ページの2になりますが、郵送提出された調査票は市町村に届きま
す。その結果、市町村における審査業務の負担の増加が見込まれます。このこともあり、
市町村との連携・調整の必要性についても指摘したいと考えております。
調査方法の2点目は、
(イ)のオンライン調査に関するものです。これは、前回答申で示
された課題への対応に当たる部分でもあります。
調査実施者である総務省統計局において、
1オンラインによる回答を促進するためのリーフレットを新たに作成し配布すること、2
レスポンシブデザインによる電子調査票を開発すること、の二つが予定されていることか
ら、課題への対応は、
「適当」と評価いたしました。
以上が、今回の変更内容に関する部会としての評価になります。
次に、
「2」の前回答申時の課題への対応については、今回の変更と併せて審議いたしま
したので、その該当箇所を記載するにとどめております。
最後に、今回の審議を通して想定される「今後の課題」について、
「3」で二つ挙げてお
ります。まず一つ目は、今回の審議でも多くの御意見を頂きましたように、フリーランス
については、様々な定義が見られ、今回、準拠する公的な定義自体も、今後変更される可
能性もございます。したがいまして、フリーランスの定義の変化について今後も注視し、
的確な集計が継続的に行われるよう対応すること、
また、
経験やスキルの把握については、
今回、調査事項として具体化されておりませんが、今後の定義の在り方とあいまって、引
き続き検討することを課題として記載しております。
もう一つの課題は、今回から導入される郵送提出についてです。郵送提出は、報告者や
調査員にとって一定の長所がありますが、その一方で、調査票の未記入や誤記入が増加す -5-ることも懸念されます。そこで、調査の実施後、調査票の提出方法ごとに記入状況につい
て検証し、郵送提出の導入による影響を確認することを課題として記載しております。
私からの説明は以上でございます。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただ今の御説明につきまして、何か御質問等があれば、よろしくお願いいた
します。川﨑委員、お願いいたします。
しろまる川﨑委員 ありがとうございます。質問というよりも、お礼と感想を申し上げたいと思
うのですが、この調査は本当に複雑・多岐にわたる事項を調べておりまして、その中で今
回、新しい事項が、フリーランスに限らず、いろいろ入っているわけですが、特に私から
フリーランスについていろいろ質問を申し上げ、大変検討にお手数をおかけしたかと思い
ます。
ただ、この結論等を拝見しておりますと、フリーランスを含めまして、大変丁寧に検討
しておられまして、私はこの結論に全く賛成ということです。特にこの新しい事項につい
ての留意点とか今後の課題などについても的確に書いておられるので、そういう点でも全
面的に賛成です。ということで、大変難しい調査を検討されました部会の委員の皆様、ま
た、担当部局にお礼を申し上げたいと思います。
そして、ちょうど今回は、フリーランス、テレワーク、転職、副業、育児・介護という
あらゆる働き方関係の事項が入っておりますので、是非この調査が円滑に実施されて、良
い結果を出していただけたらと思って、一言お礼を申し上げました。以上です。
しろまる椿委員長 川﨑委員、ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
清原委員、白塚委員の順で。清原委員から、まずどうぞ。
しろまる清原委員 ありがとうございます。清原です。私も部会の皆様の御検討に感謝を申し上
げたいと思います。
川﨑委員も言われましたように、本当にコロナ禍の中で、働き方改革の必要性が高まる
中で、キーワードとなりました「フリーランス」
、あるいは「テレワーク」について丁寧に
検討していただいて、調査項目にも含まれました。これを「就業構造基本調査の変更点」
として是非PRしていただいて、回答していただく方に、より実態に即した回答をしてい
ただくように願いたいと思います。
2点目に、今後の課題として2点目に提起していただきました「郵送提出の導入による
影響の検証」ということ、これは誠に重要なポイントだと思います。一方で、
「オンライン
調査の更なる利用の促進」ということを、これまで統計委員会でも議論してきましたし、
是非回答者の負担を減らす意味でも、
「オンライン調査」あるいは「郵送調査」は有効では
あるのですが、適切な回答を得ることについて、信頼度を増すためにも類型化して検証を
行うという御提案は、他の調査にも関係して大変重要な視点であり、このことを通して全
体としての公的統計の新しい回答手法、そして、その信頼性が確保されるための改善すべ
き点、あるいは取り組むべき点が明らかになっていくのではないかと思います。この問題
提起を大変重要なものとして受け止めましたことを、私からお話ししておきたいと思いま
した。 -6-本当にありがとうございました。内容について賛同いたします。
しろまる椿委員長 清原委員、ありがとうございました。
引き続きまして、白塚委員、よろしくお願いいたします。
しろまる白塚委員 ありがとうございました。白塚です。私も答申については、よく検討してく
ださってありがとうございましたとお礼を申し上げたいと思います。
最後のところ、清原委員とかぶりますけれども、回答方法の検証ですが、これは個票が
あるので、是非どういう人が郵送を選んだのかとか、そういう点をきちんと検証して、回
答方法の多様化が有効な回答にきちんとつながっているかどうかをきちんと検証して欲し
いと思います。いろいろな統計でそうした情報を積み上げて、今後の統計の改善につなげ
ていっていただければいいかと思っております。以上です。
しろまる椿委員長 白塚委員、ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。松村委員、よろしくお願いします。
しろまる松村委員 津谷委員、
どうも答申をありがとうございました。
中身については賛成です。
私からは1点、集計事項の変更のところで申し上げたいと思います。今回、人口30万人
未満の市についての集計を廃止するということですけれども、この影響について、地方公
共団体にはヒアリングをされていたようですが、民間の統計ユーザー、例えば地場の人材
派遣企業なども使っているかもしれませんので、以前、この場で白塚委員からもお話があ
りましたけれども、オーダーメード集計等のフォローアップ等、必要に応じて是非行って
いただければ有り難いと思います。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。二次的利用については総務省統計局の方で
順次、対応していただければと思います。
他に、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、私の方で取りまとめに入りたいと思います。今回の変更では、近年の働き方
改革に関連して、様々な対応が予定されたところです。特に、本調査で集計されるフリー
ランスについては、近年、非常に注目を集めている概念でして、調査結果への期待も非常
に大きいのではないかと想像します。本委員会においても非常に活発に、様々な意見があ
りました。今回は、この新たな概念を捉える「第一歩」として、この集計、こういう調査
を行うと理解しております。
部会では、フリーランスについて、今日、御説明があったように、どのような定義で捉
えていくべきか、また、報告者にとっての分かりやすさとか、回答のしやすさについても
踏み込んで、丁寧に、時間をかけて審議していただきました。その結果、大変充実した答
申案を整理していただいたと思います。
また、今回準拠することとされている定義による集計のほか、産業別とか職業別など他
の調査事項も含めた場合の集計も可能ということですので、今後のデータの蓄積あるいは
分析結果を踏まえて、引き続き、概念自体の改善などに進んでいくのではないかと期待す
るところです。
それでは、答申案についてお諮りしたいと思います。就業構造基本調査の変更につきま
しての本委員会の答申は、資料1の案のとおりとしてよろしいでしょうか。 -7-(
「異議なし」の声あり)
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
それでは、答申案のとおりとさせていただきます。
今回の審議に当たっては、津谷部会長を始め、人口・社会統計部会に所属された委員の
皆様、部会での御審議、本当にありがとうございました。大変御尽力いただいたことを心
から感謝申し上げます。
それでは、次の議事に移らせていただきます。諮問第157号、学校保健統計調査の変更の
答申案につきまして、これも津谷部会長から御説明いただければと思います。よろしくお
願いします。
しろまる津谷委員 それでは、
学校保健統計調査の変更に関する答申案について報告いたします。
本件については、変更内容が「調査票の提出期限」、「調査結果の公表時期」の二つの事
柄に限られていたことから、先月の統計委員会に諮問された際、椿委員長から、効率的に
部会の意見を取りまとめてほしい旨の御意見を頂きました。このことを踏まえ、部会長の
判断として、統計委員会運営規則の規定に基づき、部会を書面により開催することといた
しました。この書面審議の結果、資料2のとおり答申案をまとめましたので、御覧いただ
ければと思います。
まず、承認の適否でございますが、全体的な結論として、今回の変更については承認し
て差し支えないと判断いたしました。変更内容ごとの判断については(2)で記載してお
りますが、本件については計画の修正意見は特に付しておりません。
アの「調査票の提出期限の変更」については、表1のとおり、学校から都道府県への提
出期限、そして都道府県から文部科学省への提出期限を共に繰り下げる、というものでご
ざいます。これについては、1に記載いたしましたように、報告者である学校の負担軽減
を図るものであり、また、2に記載いたしましたように、調査系統である都道府県につい
ても負担軽減を図るとともに、調査を効率化するものであることから、適当と評価いたし
ました。
次に、イの「調査結果の公表時期の変更」でございます。本調査は、これまで調査結果
について短い期間で速報、そしてその後の確報と公表を2回行っておりました。しかしな
がら、今回の変更により、公表を統合した上で、確報の公表の時期について以前よりも1
か月ほど早期化するというものでございます。この変更は、先ほど申し上げた「調査票の
提出期限の繰下げ」に伴うものですが、次の1から3に掲げましたとおり、1確報の公表
早期化は利便性の向上に資するものであること、2短期間に2度行われてきた集計・公表
事務を集約することにより、文部科学省における事務負担の軽減に資するだけでなく、文
部科学省が行う集計の過程で二次的に発生する疑義照会も集約できること、そして3そも
そも速報はいわば暫定値として公表されていたものであり、速報を取りやめた場合にも特
段の支障が生じないことが確認されていることから、適当と評価いたしました。
以上が今回の変更についての御説明でございますが、11月に諮問した際には、調査の効
率化や、学校における更なる負担軽減についても御意見を頂きました。そこで、部会構成
員の皆様の賛同を頂きまして、今後の課題においてその旨を記載しております。 -8-本調査の関係で申し上げますと健康診断情報になりますが、それについても全国ベース
で見ますと電子化は道半ばといったところでございます。
しかし、
文部科学省においては、
学校事務における様々なデータを一元的に管理する
「統
合型校務支援システム」の導入を始め、校務の情報化について推進されていると伺ってお
ります。そこで、統合型校務支援システムと政府統計共同利用システムとの連携により、
学校が保有する健康診断情報をそのまま調査への回答として利用することができれば、学
校の回答作業を大幅に省略・軽減することができるなど、
更なる負担軽減に資すると考え、
今回の課題としたところでございます。
私からの説明は以上でございます。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただ今の御説明につきましても、何か御質問等があればよろしくお願いいた
します。清原委員、よろしくお願いします。
しろまる清原委員 ありがとうございます。
清原です。
ただ今の答申案について賛同いたします。
津谷部会長を始め部会では、統計委員会での意見も反映しながらおまとめいただきまし
て、大変適切な答申案をおまとめいただいたと思っています。特に、
「学校における働き方
改革」及び「文部科学省における働き方改革」
、すなわち「公務員の働き方改革」
、あるい
は「教員の働き方改革」に資するという観点も重要ですけれども、一方で学校保健統計調
査は、特にコロナ禍において子供たちの健康を把握し、また教員がそれを活用していくと
いう意味でも、有益な調査だと思っております。
そこで、
「学校における働き方改革」の趣旨というのは、教員が子供たちと向き合う時間
を確保し、長時間化するということでございました。そういう意味で申しますと、教員も
この統計調査のユーザーとしても、子供たちと向き合いながら、子供たちの心身の健康を
確保していくという方向性で、
「学校における働き方改革」が活きていくのではないかと思
いました。
2点目に、
「今後の課題」で書いていただきましたことも極めて重要で、今、小・中学校
では、GIGAスクールという、1人1台タブレットの普及による、まさにICTを活用
した教育が推進されています。他方で、教職員が1人1台パソコンを持っているかという
と、まだなかなか厳しい状況にあるようでございます。
したがいまして、
今、
推進されている
「統合型校務支援システムの導入を加速化させる」
とともに、
「政府統計共同利用システムとの連携を進める」という御提案は、文部科学省に
依頼するというよりも、政府全体において「こども家庭庁(仮称)
」もできることでござい
ますし、9月にできたデジタル庁でも、12月22日に「デジタル化5原則」が公表され、
「行
政改革・規制改革・デジタル改革について、まさに国民の視点から適切な効率化、そして
充実を図っていく」ということでございますので、今回の学校保健統計調査が一つの契機
となって、国民の視点からも有益な統計のデジタル化の適切な改革も進んでいくことを願
っています。
文部科学省におかれましては、コロナ禍の中で本当に子供たちの健康管理のために、学
校現場が、あるいは教育委員会が苦労している状況を支えていただいておりますので、こ -9-の調査の変更によって少しでも現場の負担が減るとともに、先ほど申し上げました教職員
が、特に教員が子供と向き合う時間を確保するために、この変更が少しでも活きることを
願っています。
津谷部会長、皆様、ありがとうございました。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。
他に。白塚委員、よろしくお願いします。
しろまる白塚委員 白塚です。私もこの答申は基本的にこれでよいかと思っています。
大事なのは最後の「今後の課題」のところで、清原委員とかぶりますけども、この学校
保健統計調査だけではなく、学校関連統計全体に共通する課題であると認識していただい
て、是非取り組んでほしい、というのが1点目です。また、いま一つ全体像がよく分かっ
ていないのですけれども、そのときに公立学校と私立学校で、こういうシステムが両方と
もうまくシームレスでつながるような工夫も今後大事なのかと思いました。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。
他に、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、私の方で取りまとめに入りたいと思います。今回の変更ですけれども、調査
票の提出期限の繰下げにより、学校はもちろん都道府県の事務負担も軽減することができ
る。それから、確報公表時期の早期化によって利用者の利便性向上にも資する。速報とい
うものは暫定値であって、今までどれくらい活用されていたかという問題もあると思いま
すが、そういうことはございますけれども、各方面にとって有益な変更となっていると考
えております。
ただ、学校現場の負担軽減については、働き方改革の一環として文部科学省においても
重点的に取り上げるなど、今後も社会的な関心は非常に強いものになると考えています。
調査実施者におきましては、今回の変更に限らず、先ほどから議論がありますように、
オンライン環境の学校における整備や、引き続き学校の負担軽減のための取組、まさにD
X化等の取組について検討いただければと思っているところです。
それでは、答申案についてお諮りしたいと思います。学校保健統計調査の変更につきま
しての本委員会の答申は、資料2の案のとおりとしてよろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
それでは、答申案のとおりとさせていただきます。
津谷部会長を始め、人口・社会統計部会に所属された委員の皆様、部会での大変迅速な
御審議をどうもありがとうございました。
それでは、次の議事でございます。諮問第158号、石油製品需給動態統計調査の変更につ
きまして、総務省政策統括官室と経済産業省から説明いただきたいと思います。
しろまる中村総務省政策統括官(統計制度担当)付統計審査官 総務省政策統括官室でございま
す。石油製品需給動態統計調査の変更につきまして御説明申し上げます。
資料3-1の1ページを御覧いただければと思います。この調査の概要です。調査の目
的は、石油製品の需給の実態を明らかにすることであり、調査対象の範囲は、石油製品の
-10-
製造、輸入、それから販売、受入れ等に携わる事業所であって、石油製品を輸入若しくは
販売するもの、又は輸入された原油若しくは国内で生産された原油を直接受け入れるもの
としています。ただし、国家石油備蓄基地に係る事業所を除くことになっています。ここ
で言う石油製品は(注1)にございますとおり、ガソリン、ナフサ等、12種類のものが該
当しています。
それから、調査対象約300事業所についての全数調査でして、燃料用石油製品につきまし
ては、
「石油の備蓄の確保等に関する法律」により登録簿に登録された事業所の名簿、それ
から届出を行った事業所名簿から選定されるもの、
燃料用以外の石油製品につきましては、
業界団体名簿を用いて選定しています。
報告を求める事項、調査事項ですが、石油製品は受入量、出荷量、消費量等々、それか
ら原油につきましても、受入量、消費量、出荷量、在庫量で、需給実態をしっかり把握す
るということです。
調査方法について、配布は民間事業者を通じて行っており、郵送、オンラインを用いて
います。
月次の調査を行っております。
2ページを見ていただきまして、調査結果の主な利活用については、税制改正の参考資
料、それから石油製品の安定供給確保政策の企画・立案の基礎資料ということで、先月、
岸田首相から備蓄石油の放出という話がございましたが、そのような判断をする際の基礎
資料です。それから、総合エネルギー統計の作成にも利用されています。
3.の主な変更内容です。調査対象の範囲から「液化天然ガス」を削除したいとしてお
りまして、
この表の備考にありますが、
石油製品のうち、
「液化天然ガス」
につきましては、
調査設計当時、昭和49年から新たなエネルギーとしてかなり期待されて、研究も行われて
きたのですが、貯蔵が難しいという問題がございまして、基本的にマイナス162度以下を維
持して保管しなければなりません。発電用の燃料、都市ガスの原料以外には、現時点でも
用途がほとんど広がっておらず、電力とガスにつきましてはそれぞれの統計がございまし
て、資料自体を把握することは可能です。それから、国別の輸入量につきましても貿易統
計で把握することが可能で、今回、報告者負担の軽減という観点から削除したいというこ
とです。
3ページです。確認のポイントについては、液化天然ガス(LNG)の用途が広がって
いないため、本調査で調査対象事業所における受払量等を把握する必要性が薄れている一
方で、国内需給の実態、それから国別の輸入量につきましては他の統計で把握できること
から、今回の変更は報告者負担軽減の観点から、おおむね適当であると考えています。
「ただし、
」として、念のため確認いただきたいものが2点ございます。液化天然ガスの
用途が広がらなかった背景事情と、液化天然ガスに関する主要なデータの他の統計による
代替可能性、この2点につきまして確認いただければと考えています。
私からの説明は以上です。
しろまる椿委員長 それでは、引き続き経済産業省、御説明をよろしくお願いいたします。
しろまる守谷経済産業省大臣官房調査統計グループ統計企画室長 経済産業省より、
資料3-3、
-11-
石油製品需給動態統計調査の変更について説明いたします。
1ページでございます。液化天然ガス(LNG)の用途が広がらなかった背景事情です
けれども、昭和44年にLNGの輸入を開始したところでありますが、技術開発の研究も進
められましたけれども、保管などの管理が一般向けに適さないことから、一般への普及は
極めて限定的である一方、電気事業者のLNG火力発電へのシフトや、都市ガス事業者の
燃料転換が進み、LNG基地数は調査を開始した時点の5倍まで増加し、国内でのLNG
の重要性が高まっています。
現在のLNGの需要者は、電気事業者、都市ガス事業者、またそのいずれかからLNG
の液売りで供給を受ける事業所に限定されています。他の需要としては、LNG車が事業
用としてごく少数ありますが、将来にわたって需要規模は無視できるほど小さいと考えて
います。今後、国際的にもカーボンニュートラルの実現に向けた政策が加速する中、LN
Gの需要の動向には注視が必要ですが、需要者の属性など普及可能な範囲が大きく変動す
るような社会情勢の変化は考えにくいと考えております。
2ページでございます。液化天然ガス(LNG)に関する主要なデータと他の統計との
比較でございます。一番左の青いところですけれども、生産量については国内の生産実績
はありません。輸入量、これは普通貿易統計(業務統計)ですが、ここの国別輸入量によ
って代替可能となっています。国内向け販売量ですが、緑にありますガス事業生産動態統
計調査の液売り量に相当するデータとなっております。輸出量は輸出実績がありません。
一番下の月末在庫量ですが、ガス事業生産動態統計調査の月末在庫と、電力調査統計の月
末貯蔵量の二つを合算すると全国値になりますので、相当するデータを得ることができる
と考えております。
私からの説明は以上です。
しろまる椿委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、本件はただ今御説明がありましたように、調査対象の範囲を変更するという
ことで、
論点が非常に限られていると考えます。
このため、
私としては部会には付託せず、
本委員会で直接議論いただいて結論を得たいと考えておりますけれども、そのような対応
でよろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきます。
まず、ただ今の御説明につきまして、御質問あるいは御意見はございますか。菅委員、
よろしくお願いします。
しろまる菅委員 今回の変更は報告者負担を大幅に軽減できるので、大変適切な変更ではないか
と思われます。他の統計でも代替可能であると言えると思います。
資料3-3、2ページの液化天然ガスに関する主要データの他の統計との比較が非常に
分かりやすいので、これをユーザーが見えるところに示していただけたらと思います。
しろまる椿委員長 白塚委員、よろしくお願いします。
しろまる白塚委員 白塚です。私も基本的にこの変更は良いと思っています。基本的に天然ガス
-12-
は、日本は液化して輸入するしかないので、輸送や貯蔵に非常に大きな投資が必要で、利
用範囲が広がらなかったというのは仕方がないと思います。ただ、用途が広がっていない
からその重要性は低いということではないと思います。電力と都市ガスはコアなエネルギ
ーですし、
さらに、
今後、
環境により相対的に優しいエネルギーという点もありますから、
重要なエネルギー源であることは間違いないと思います。
そういう意味で、今、菅委員もおっしゃっていましたが、代替的な統計が使えるという
ことであれば、それで全体像を把握することは大事ですけれども、私はもう少し踏み込ん
で、代替的な統計も含めて、天然ガスも含めた全体的な石油関連の需給動向がどうなって
いるのかということを、統計公表時にきちんと示すことが大事だと思っています。この調
査をやめること自体はいいですけれども、代替的な統計を組み合わせて、きちんと全体像
を明確に示してほしいということを希望したいと思います。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
他に、いかがでしょうか。松村委員、よろしくお願いいたします。
しろまる松村委員 私も今回のこの変更については賛成でございます。報告者負担軽減の観点か
ら、報告者、企業側からすると大変有り難いと思っております。今回は経済産業省で、同
一の省庁内の統計の場合ですと、こうしていろいろと工夫していただけることがあるので
すが、一方で、省庁間での重複のようなもの、例えば景況、業況、設備投資などを聞く調
査は、実は日銀短観を始めとして非常にいろいろなところで行われていて、同じような回
答をすることが多いということもあります。
今回こうしたことがありましたけれども、引き続きそのような点についても是非、御配
慮いただければ有り難いと思っております。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。今回の調査に限らず、今のような視点は重要
かと思います。
いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、取りまとめさせていただきたいと思います。石油製品需給動態統計調査の変
更につきましては、今、御審議いただき、これに関して異論はなかったと判断いたします
ので、まだ答申案という形の文書化はできておりませんけれども、統計委員会の判断とし
ては、おおむね次に私が申し上げるような内容になるのではないかと思います。
まず、調査対象の範囲から「液化天然ガス」を削除する変更につきましては、発電用燃
料、及び都市ガスの原料以外に液化天然ガスの用途が広がっていないため、本調査におい
て調査対象事業所における月間受払量などを把握する必要性が低下している一方で、その
国内需給の実態や国別輸入量について他の統計によっても把握できるため、報告者負担軽
減の観点から、これは適当と判断させていただきたいと思います。
ただし、先ほどから議論があったとおり、引き続き我が国の石油製品の需給の全体像を
示すため、本調査の結果公表に際して、利活用に資する参考情報として、液化天然ガスの
国内需給の実態に関する他の統計の数値も併せて明示する、これが重要であると付言した
いと思います。文書化したときには、おおむね以上のような内容に整理したいと考えてい
るところです。
-13-
これにつきまして、よろしいでしょうか。
それでは、ただ今申し上げた内容を文書化したものにつきましては、この委員会終了後
速やかに委員の皆様方にお送りしたいと思います。この内容でよければこの場で採択させ
ていただき、文言につきましては私に御一任いただければと思います。このような進め方
でよろしいでしょうか。
それでは、そのようにいたします。
それでは、改めて答申案についてお諮りいたします。ただ今申し上げた内容を石油製品
需給動態統計調査の変更につきましての本委員会の答申としてよろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきます。御審議ありがとうございました。
しろまる萩野総務省統計委員会担当室長 それでは、ここで一旦報道のカメラが入ります。
では、これからのカメラ撮りを可といたしますけれども、議事が始まりましたら、撮影
音やフラッシュにつきましては、発言者への御配慮をお願いいたします。スムーズな運営
に向けまして、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
しろまる椿委員長 それでは、次の議事に移ります。建設工事受注動態統計調査についてです。
御承知のとおり先週から様々な報道がなされておりまして、委員の皆様方にも御承知のこ
と、あるいは御心配のことではないかと存じます。
統計委員会としては、統計の専門的な観点から今回の事案について対応を考えていくこ
とが求められています。そのために必要な状況把握の一環として、まず、事務局から本件
に関する全般的な状況を御説明いただきます。その後、国土交通省から状況の御報告をい
ただくこととしております。
それでは、政策統括官の方でよろしくお願いいたします。
しろまる吉開総務省政策統括官
(統計制度担当) 政策統括官の吉開でございます。
まずは今回、
建設工事受注動態統計調査の事案をめぐりまして、委員長を始め、委員の皆様には大変御
心配をおかけしております。
本件につきましては一連の報道で大きく取り上げられたほか、国会でも審議が行われま
した。その中で、本件に関する資料は5-1から始まる束でございますけれども、最後の
資料5の参考という、タイトルが「国会における関連の審議の状況について(抜粋)
」とい
うのがございますので、御覧いただきたいと思います。
まず岸田総理から、本件の対応につきまして、国土交通省で第三者委員会をつくって検
証する。それから総務省においては、統計委員会において検証するということが答弁され
ております。次の総理の答弁では、この不祥事についてしっかり反省し、再発防止策を検
討するということが述べられております。
それから、金子総務大臣からは、国土交通省の第三者委員会の報告を統計委員会で受け
て、精査していただくということを述べておられます。次の金子総務大臣の答弁では、建
設工事受注動態統計調査への総務省の対応についてどうであったかということを統計委員
会で精査すると答弁しております。
-14-
こうした状況の中で総理の指示を踏まえて、統計委員会に審議をお願いしたい事項を資
料5-1に整理させていただいております。
一つ目が国土交通省の対応についての精査の関連でございます。国土交通省において、
昨日でございますが、名称は検証委員会になったと聞いておりますけれども、第三者委員
会を立ち上げて事実関係等の検証が進められますので、基本的にはその結果の報告を受け
て、本統計委員会で精査をいただきたいということでございます。本日、議論のスタート
といたしまして、後ほど国土交通省から、現時点で判明している事実関係の説明を受ける
こととしております。
二つ目が、総務省政策統括官室の対応についての精査でございます。統計制度を担当す
る私どもといたしまして、本件へのこれまでの対応が適切であったかどうか、そうした観
点から精査することも求められているということでございます。
三つ目が、公的統計に対する国民の信頼の確保方策の検討でございます。上記二つの課
題に係る精査を行った上で、統計的な観点からの課題を抽出し、国民の信頼を確保するた
めの方策について検討が必要であるというものでございます。
また、この資料5-1の冒頭に「基本的スタンス」ということで書かせていただいてお
りますけれども、これは委員長とも御相談いたしまして、本件に関する審議に対する基本
的スタンスの案を示したものでございます。
このように検討すべき課題は多岐にわたりますけれども、統計委員会での精査、それか
ら検討の御議論につきまして、何とぞよろしくお願い申し上げます。
しろまる椿委員長 統括官、どうもありがとうございました。
それでは、次に国土交通省から状況の御説明をお願いいたします。なお、御案内のとお
り、本件につきましては、既に国土交通省で第三者委員会、
「建設工事受注動態統計調査の
不適切処理に係る検証委員会」
が設置されておりまして、
検証が開始されているものです。
当委員会において本格的に御議論いただくのは、その検証報告をいただいた後になると考
えます。そのため、本日は国土交通省において、現状で把握している内容を説明いただく
ことといたします。
それでは、国土交通省から御報告をよろしくお願いいたします。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 国土交通省政策立案総括審議官、高田で
ございます。まず、このたび当省所管の建設工事受注動態統計調査におきまして、かつて
不適切な集計方法が取られていたことにつきまして、統計委員会の委員の皆様方には多大
な御心配をおかけしておりますこと、そして関係の皆様に御迷惑をおかけしておりますこ
とをお詫び申し上げます。
それでは、御説明を申し上げます。資料4-1を御覧ください。
1ページを御覧ください。
建設工事受注動態統計調査の概要でございます。
この調査は、
建設業者の建設工事の受注について、その動向や受注工事の詳細を把握するものです。し
たがって、工事の出来高を調査するものではございません。
調査時期は毎月であり、調査対象は、甲調査については、建設工事施工統計調査におい
て完工高が1億円以上の業者から抽出した約1万2,000業者となっております。調査方法
-15-
は郵送又はオンラインで、郵送の場合の調査系統は、甲調査の場合、報告者は都道府県に
翌月の10日までに調査票を提出し、都道府県からは調査票を回収・整理して20日までに国
に提出いただきます。
2ページを御覧ください。建設工事受注動態統計調査に係る経緯でございます。欄外に
ありますように、現時点で把握している範囲で整理したものでございます。
1行目にありますとおり、本統計調査は平成12年に開始されております。2行目にあり
ますとおり、いつからか開始時期は不明でございますが、期限を過ぎて提出された調査票
につき、翌月以降における合算を行う集計を行っております。
これにつきましては3ページを御覧ください。イメージでございますが、3事業者がい
る場合において、事業者Aが10億円、事業者Bが20億円と受注実績を記載した調査票の提
出が期限までにあった一方、事業者Cについては、実際には30億円受注実績があったもの
の、期限までに調査票が提出されなかったケースです。この場合、7月の実際の受注額は
60億円ですが、集計値はAとBの分30億円となります。8月になって、Aからは30億円、
Bからは40億円と提出があり、Cについては7月30億円と8月50億円の調査票がまとめて
提出された場合、8月に7、8月の合計80億円、7月は受注実績がゼロとなるように調査
票を書き換えて提出するよう、自治体にお願いしていたものです。これにより調査票の数
値と集計値は合計で一致しますが、各月の数値は実際と一致しないことになります。
2ページにお戻りください。3行目、平成22年1月、回収率が低いことを踏まえ、期限
後提出調査票に限らずですが、その月に提出がなかった調査票について、推計方法の変更
について国土交通省内に検討会を設置し、同年3月に結論を得ております。この結果、期
限までに調査票が提出されなかった場合、一定の受注があったと推定し、他事業者の平均
を計上することとされました。その後、平成23年7月に統計委員会の諮問、同年9月に答
申をいただき、平成25年4月分から推計方法が変更されました。この変更により一部の受
注実績が重複して計上されることとなりました。
これにつきましては4ページを御覧ください。平成25年4月分からは、実態を踏まえ、
調査票が提出されなかった事業者も一定の受注があったと考える。すなわち回収率の逆数
を掛ける集計方法に変更されました。下の図で言いますと、事業者Cが期限までに調査票
の提出がなかった7月に、提出のあったA事業者とB事業者の平均15億円の受注があった
と集計することになりました。一方で、期限を過ぎた8月に提出されたC事業者の7月分
について8月分に合算するという運用を続けたことにより、一部の受注実績が重複して計
上されることとなりました。
2ページにお戻りください。その後、統計に関する会計検査が行われる中、令和2年1
月、国土交通省より都道府県に対し、期限を過ぎて提出された調査票は合算せず、そのま
ま国に提出するよう指示いたしました。令和2年1月分からは、各月分について、新たに
改善した方法による集計と従前の方法による集計の両方を公表しております。
5ページを御覧ください。新たに改善された方法においては、事業者Cのところ、7月
までに提出がなかった場合、他事業者の平均を計上することは変わりません。そして、期
限を過ぎた8月に7月の調査票が提出された場合、
カウントせずに数字を計上いたします。
-16-
そして、遅れて提出された調査票の情報については、右下にございますように、翌年度に
精査し、遡及して前年度の数値を修正する運用に改めております。
最後、また2ページにお戻りいただきまして、下から2行目でございますが、令和3年
4月分からは従前の方法、翌月以降の合算をやめ、改善した方法による集計のみを行って
おります。そして今年の9月には、建設工事受注動態統計調査における期限を過ぎて提出
された調査票の取扱いについて、会計検査での結果報告におきまして指摘があったところ
でございます。
資料4-2を御覧ください。1枚おめくりいただきまして、別紙1でございます。今般
の建設工事受注動態統計調査の不適切処理について、令和3年12月15日に先ほどございま
した総理からの指示があったことを踏まえまして、検証委員会を設置することを国土交通
省より発表させていただいております。スケジュールとしましては、令和4年1月中旬ま
でに報告を行う予定となってございます。
私どもとしましては、今後、同委員会の検証に真摯に対応してまいりたいと考えており
ます。以上で説明を終わります。
しろまる椿委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、質疑に入りたいと思います。先に申しましたように、国土交通省で検証が開
始されているところなので、むしろ統計委員会としては、専門的な立場から今後の検討に
生かせる視点というような意見を頂戴できればと思いますので、是非よろしくお願いいた
します。
白塚委員、よろしくお願いいたします。
しろまる白塚委員 白塚です。資料4-1の4ページの事例は、あまり適切でないと思います。
遅れて集計された8月分というのは、この統計の性格から言うと、多分、回収率が100%で
はないはずです。なので、8月分の、4ページの前の重複集計があった状況だと、重複集
計された150億円を基に、残りの未回答の部分が回収率の逆数で増幅されていることにな
ります。問題は単に重複集計されているだけでなく、更に欠測値の補完を通じて統計全体
に増幅されているはずです。この事例で説明されると誤解が生じると思いますので、資料
を見直した方がいいかと思います。
あと、今の説明でよく分からなかったのですが、過去の部分は遡及して訂正できる可能
性はあるのでしょうかというのがもう一つ確認したいところです。
しろまる椿委員長 現在、回答できる範囲で、国土交通省の方で回答いただければと思います。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 まずどこまでできるかという話、そのよ
うなところにつきましては、まさにこれから検証委員会でも事実の認定などもいただくと
いうことでございますので、この場でお答えは差し控えさせていただければと思います。
また、その前に御指摘いただきました件については、3事業者がいた場合のモデルという
イメージで書かせていただいておりますが、どのように......御指摘が、申し訳ございませ
ん、もう一度。
しろまる白塚委員 だから、Dという人がいて、それが7月も8月も提出していない状況だとい
う想定で書かれた方がいいと思います。
-17-
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 御指摘を参考にさせていただければと思
います。
しろまる白塚委員 遡及できるかどうかは、個票がきちんと残っているかどうか次第だと思いま
すけれども、そこが何かよく分からないというような報道もあったので、そこについて事
実関係を教えてもらえればと思います。
それぐらいは分かるのではないかと思うのですが。
しろまる椿委員長 よろしくお願いします。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 申し訳ございません。そこもまさに検証
委員会でこれから検証もしっかりいただいた上でということでございますので、大変申し
訳ございませんが、ここでお答えは差し控えさせていただければと思います。大変申し訳
ございません。
しろまる椿委員長 検証委員会で1月に結論が出た段階で、私どもに今のような事実関係が正確
に報告されるという認識でよろしいですか。
他にいかがでしょうか。福田委員、よろしくお願いいたします。
しろまる福田委員 お答えいただけるかどうか分かりませんけれども、私も質問ですが、調査で
甲調査と乙調査があると思いますけれども、
乙調査は大手の49業者を対象としたものだと。
こちらは特に問題が発生していなかったのか、こちらにも遅れて提出があって問題が発生
していたのかということも、お答えできる範囲であればお答えいただいて、できないので
あれば調査結果が出た後、こちらも含めてお知らせいただければと思います。
しろまる椿委員長 よろしくお願いします。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 乙調査は全数調査でございまして、問題
がなかったかにつきましては、申し訳ございません、まさに検証委員会がどこまで検証い
ただくかにもよりますので、現時点において私どもの部局として、これについて問題があ
るということを把握しているものではございません。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
菅委員、よろしくお願いいたします。
しろまる菅委員 このような状況が報道発表されて以来、この調査の今の状況についてお伺いし
たい。今、例えば調査に何か支障等は起きていますか。特に問題がないのか、あるいは回
答を拒否するとかいうような事象とかは起きていますか。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 現時点では、この報道が出ましてからま
だ時間も間もないこともございまして、承知はしておりません。
しろまる椿委員長 いかがでしょうか。他に。佐藤委員、よろしくお願いいたします。
しろまる佐藤委員 先ほどの説明で聞き漏らしたかもしれないですけれども、平成25年に推計方
法を変更されたということですが、これは統計委員会で審議を経ての変更だったのでしょ
うか。
しろまる椿委員長 よろしくお願いいたします。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 失礼いたしました。先ほども申し上げま
したが、統計委員会の諮問・答申をいただいて、変更を行っているところでございます。
具体的には23年7月に諮問させていただき、9月に答申をいただいているところでござい
-18-
ます。
しろまる佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
しろまる椿委員長 他に確認しておくこと、あるいは逆に国土交通省の第三者委員会で検討いた
だけたらというような要望でもよろしいかと思います。
川﨑委員、よろしくお願いします。
しろまる川﨑委員 ありがとうございます。この後の問題が大変難しい気がしているので、今、
データの保存のことをお尋ねになりましたが、その関連で、私ももう少し掘り下げて今後
第三者委員会でも確認していただけたらと思うことがあります。
それはデータの保存が、今ここでの簡単な絵での説明では、恐らく総額だけの、第1面
の数字のお話です。ところが、この調査票は第2面の裏側にも詳細が書かれているので、
データの保存は表だけではなくて裏側もあるし、その辺りをどうされているのかというの
がよく分からない。まずは、裏側とか調査票全体の保存状況を是非確認していただきたい
というのが1点です。
それから、それとの関連で申せば、この話は恐らくプロセスの調査票を処理する手作業
部分と、その後のコンピューター処理で推計する部分とで不整合が起こった。それが問題
の本質だと思いますので、プログラムの修正は、一体どういう体制でチェックしたり、あ
るいは定期的に見直すとか、推計方法が変わったときに指示するとかそういうことをされ
ているのか、マニュアルといいますか、そういう手順書をどのように管理しておられるの
か、そこら辺がこの後の問題解明、あるいは対策の鍵になるので、是非それをお願いした
いと思います。
3点目は、第三者委員会の問題かどうか分からないのですが、この件で非常に気になる
のは、もう2013年ほどの前の問題になりますと、今の方が直接的にその原因の責任を負い
かねないところは確かにあるのですが、しかし、チェックしきれなかったこと、また今回
変更されたときにこういう推計の変更といいますか、是正されたことについて全く公表さ
れていないように見えるのです。全くここは公表しないでもいいという認識だったのか、
あるいはどこかで何か示されたのか、そこら辺がよく分からないので、今後の問題発生に
対して情報提供の在り方を考える上では、一つ反省点として考えていかなければいけない
かと思うので、
この辺りは第三者委員会で検討していただいた方がいいかと思うのですが、
もし今の段階でおっしゃっていただけることがあれば、おっしゃっていただけたらと思い
ます。
しろまる椿委員長 いかがでしょうか。
しろまる高田国土交通省大臣官房政策立案総括審議官 申し訳ございません。まさに公表の在り
方についても、現段階で私どもからは申し上げられないところでございます。申し訳ござ
いません。
しろまる椿委員長 いずれにせよ、今、川﨑委員がまとめていただいたことは、私ども統計委員
会が国土交通省の御説明を正確に受けた後に相当きちんと議論しなければならないことか
と思いますし、できれば国土交通省の第三者委員会においてもその種のプロセス、実際に
何か変更点が起きたときにどういう対応であって、どこが漏れてしまったかということも
-19-
分かるような形で我々に御報告いただけると、私どもも大変議論しやすくなるのではない
かと思います。
白塚委員、よろしくお願いします。
しろまる白塚委員 今、川﨑委員が質問されたので、もう一つ気になっていることがあって、4
ページのような状況で、8月に7月分もまとめて報告した人がいるときに、7月分を訂正
することがシステム上できたのか、
できなかったのか、
どちらだったのかが一つ疑問です。
もしできたのだとすれば何でまとめて集計したのかということになります。もし訂正でき
ないようなシステムだったのでこのようになったということであれば、その場合、何でシ
ステムを修正しないでこういうことを継続したのかについても、きちんと何か状況が確認
できるといいかと思います。
しろまる椿委員長 これも現時点ではそういうことですので、また逆に言えば、今、統計委員会
の委員の皆様から出てきているような点は、我々の会議は公開しているわけですから、国
土交通省の第三者委員会においてもそのようなことを考えていただいて、きちんとした経
過とか経緯をもう少し具体的なプロセスが分かると、基本的には先ほどの業務プロセスも
含めてどういうことで、変更後こういうことが起きてしまったかについて、それを我々が
きちんと議論できることによって、
今後の再発防止等々に資するのではないかと思います。
国土交通省におかれましての第三者委員会は誰にとっても非常に関心事でございますの
で、今の私どもの意見を伝える機会があったら是非よろしくお願いいたします。
ただ今、金子総務大臣が控室に入ったと伺っております。今まさに入室されることにな
りますので、ここで議論を一度ペンディングにさせていただいて、大臣の入室を待たせて
いただければと思います。
(金子総務大臣 入室)
しろまる椿委員長 ただ今、金子恭之総務大臣がお見えになりました。
それでは、金子総務大臣から御挨拶を頂戴したいと思います。大臣、よろしくお願いい
たします。
しろまる金子総務大臣 総務大臣の金子恭之でございます。委員の皆様方には、公的統計の改善
や発展のために、熱心に日頃から御審議をいただいておりまして、心より感謝を申し上げ
たいと思います。
言うまでもなく、統計は国民の意思決定を支える重要な情報基盤であり、各方面の方々
に御協力いただいて作成される国民の共有財産でございます。平成31年に毎月勤労統計の
不適切事案を受け、全ての政府統計の一斉点検を行いました。また、公的統計基本計画を
改定いたしまして、統計人材の確保、育成や統計作成プロセスの改善などの取組を政府全
体で進め、国民の公的統計に対する信頼の回復に努めてまいりました。
このような中で、このたびの建設工事受注動態統計調査に係る事案が発覚したことは大
変遺憾であります。皆様には、なぜこのような事案が生じたのか、早い段階で気付き改善
することはできなかったかなど、総務省における過去の対応を含めて、統計の専門家とし
て、第三者の立場から経緯や原因の検証を徹底的に行っていただきたく存じます。また、
真に役立つ品質の高い統計を将来にわたって確実に提供するために、どのような対策や仕
-20-
組みを講じていくべきか、統計の専門家としての御知見も是非とも賜りたいと思います。
政府統計の信頼を取り戻すべく、いただいた御意見につきましては、総務省としてその
実現に向けて全力で取り組んでまいります。
皆様のお力添えを何とぞお願い申し上げまして、
私からの御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
しろまる椿委員長 金子総務大臣、どうもありがとうございました。大臣、ひいては国民の期待
に沿うべく、統計委員会としても全力を尽くしたいと存じます。
金子総務大臣におかれましては、ここで公務のため御退席されると聞いております。本
日は御出席いただき、大切な指針を提示していただいたことに統計委員会を代表して感謝
申し上げます。どうもありがとうございます。
しろまる金子総務大臣 どうもありがとうございました。
(金子総務大臣 退室)
しろまる萩野総務省統計委員会担当室長 それでは、カメラ撮りはここまでといたしますので、
よろしくお願いいたします。
しろまる椿委員長 それでは、先ほどまで国土交通省に対していろいろな今後の調査についても
含めて御意見を頂戴したところですけれども、もし他にあれば承りますが、よろしいです
か。
それでは、続きまして、総務省の対応に関する精査について説明をお願いしたいと思い
ます。統括官、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
しろまる吉開総務省政策統括官(統計制度担当) 先ほど御覧いただきました資料5-1をもう
一回御覧いただければと思うのですが、この中で整理しております二つ目の総務省政策統
括官室の対応についての精査でございます。
国会の審議におきましては、国土交通省だけではなくて、総務省に対しても厳しい指摘
等をいただいております。中身を簡単に御紹介しますと、先ほど資料5の参考という議事
録がございましたけれども、それの裏面、2ページにいくつか挙げております。例えば先
ほどもお話がありましたように、
毎月勤労統計の不適切事案の後に一斉点検を行ったのに、
なぜこの事案が見つからなかったのかということです。それから、会計検査院の検査報告
が令和3年9月に出たのですが、それに先立つ8月20日の時点で、国土交通省から総務省
に情報提供があったのですけれども、その時点でもっと何らかの対応をとるべきだったの
ではないかという点です。それから、統計の司令塔である総務省統計委員会として、直ち
に問題を究明することが問われていると。それから、統計を所管する総務省としても、こ
うした事態が起こったことをどのように受け止めているのか、どういう対応をするのかと
いうことを御指摘いただいておりまして、私ども総務省といたしましても、これらの御指
摘を真摯に受け止めているところでございます。
これらを踏まえまして、政策統括官室における本統計調査への対応として、これまでの
私どもの対応が適切であったか、あるいはもっと別な対応をとる余地はなかったのかなど
について、統計委員会におきまして精査をいただきたいと考えております。この精査につ
きましては、国土交通省の検証委員会での検証と並行して、本委員会の下で進めていただ
-21-
きたいと考えております。そのため、この統計委員会でどういう体制をとっていただくか
についてはこの後で御議論いただくと承知しておりますので、
よろしくお願いいたします。
以上でございます。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。ただ今御説明があったとおり、本件につい
ては総務省政策統括官室として、今回の事案をめぐる対応として適切であったか、あるい
はもう少しこういう対応をとることが考えられたのではないかなどにつきまして、統計委
員会として精査が求められたところです。
ただし、本件に関しては短時間での対応が求められていることから、機動的に開催でき
るようにすることとし、できれば企画部会の下にタスクフォースを設けてはどうかと考え
ているところです。メンバーですけれども、私のほか、津谷委員、川﨑委員、清原委員の
統計委員会委員、及び清水臨時委員を企画部会に指名の上メンバーに加わっていただきた
いと思います。清水臨時委員は建設統計に関係したエキスパートと承知しております。委
員の皆様には随時情報提供を行いつつ、来月中旬までに結果を取りまとめていきたいと考
えております。
先ほどの事務局からの説明、
及びこのような形で進めさせていただくことにつきまして、
是非御意見いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
川﨑委員、よろしくお願いいたします。
しろまる川﨑委員 先ほどの大臣の御発言を伺いまして、大臣御自身も相当危機感を持っておら
れるということで、これは真摯に対応しなければいけないと思います。そして椿委員長が
受けられたように、確かに統計委員会としても至急に、迅速にこの問題に対処していくこ
とが必要だと思いますので、このようなタスクフォースの設置は賛成で、私もメンバーに
入れていただいたので一生懸命やっていきたいと思います。
その上で、実は私だけの問題かどうか分からないのですが、どうしても新聞、テレビな
どの情報だけで情報を得て、いろいろなことを思いめぐらせております。あまりそのよう
な予断を持って臨むのはよくないだろうと思いますので、今後はできるだけ、特に総務省
の方々を中心に事実をお聞きして対応していきたいと思っております。そして、例えば先
ほど吉開統括官から説明いただいたお話の中に令和3年8月20日の時点で何かあったとい
うことですけれども、その前段にある会計検査院の検査報告書も話には聞くのですが、ど
ういうものかを見たことがないので、そのような基礎的な情報も含めてできるだけ早めに
提供していただいて、それを検討しながらまたいろいろ事情を聞かせていただきたいと思
っております。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
他にいかがでしょうか。伊藤委員、よろしくお願いいたします。
しろまる伊藤委員 どうもありがとうございます。このようなタスクフォースを設置していただ
くことについて私も賛成ですし、短期間ではありますけれども、いろいろと検証、審議を
お願いしたいと思います。
質問させていただきたい点があるのですが、
先ほど国土交通省からの資料の2ページで、
令和元年に入ってから会計検査院から指摘を受ける。その後、都道府県に対して、期限を
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過ぎて提出された調査票は合算しないようにという指示をする。その後、従来の方法の集
計と新たに改善した方法による集計を両方公表するとか、いろいろと変更がされてきたよ
うなのですが、それはこの統計委員会や総務省には何も報告がなかったということでしょ
うか。その報告等をせずに、国土交通省でこのような対応をやるということ自体、特に何
も規定等がなく問題がないという話なのか、その辺りがよく分からなくてお聞きしたいと
いうのが1点です。
あと、国会の審議の中でも御質問が出ていたようなのですけれども、以前、厚生労働省
の統計のところでいろいろ大きな問題になりまして、多分、そのとき統計委員会の中でも
いろいろな御議論があったのではないかと思います。私、その当時は統計委員会に入って
いなかったので、もし差し支えない範囲でどういった議論があり、かつその後のフォロー
アップといいますか、この間、統計委員会の中でどのようなフォローアップがされてきた
か。その辺のことに関しても少しお尋ねできればと思います。
よろしくお願いいたします。
しろまる椿委員長 大変重要な点をありがとうございました。統括官室からよろしくお願いしま
す。
しろまる吉開総務省政策統括官(統計制度担当) 私からお答え申し上げます。令和元年11月以
降の話につきましては、まさに検証の対象でございまして、国土交通省からどのような報
告があって、私どもがそれをどのように受け止めて、どう対応したのかということはまさ
に検証の対象でございますので、国土交通省の検証委員会と統計委員会のタスクフォース
の中で御検討いただくことかと思っております。
それから平成23年9月の答申、統計委員会におけるフォローアップというお話もござい
ましたけれども、そこも検証の中で含めて検討していただければと思います。
しろまる椿委員長 川﨑委員、よろしくお願いいたします。
しろまる川﨑委員 先ほどの伊藤委員の御質問に関係して、これは私がお答えするのがいいかど
うか分からないのですが、毎月勤労統計のときの問題については、当時私は委員でありま
したし、また、そのときの点検・検証ということで、その前面といいますか、私が部会長
だったのではないですがメンバーとしてやらせていただきましたので、メンバーも大分変
わっておられるので、情報共有を兼ねて当時のことを少し申し上げたいと思います。
あのときは2019年1月の統計委員会で、急速にこの毎月勤労統計の問題が広がって、そ
れでどう対応するかということで、
当時の統計委員会もちょうど今の状況とよく似ていて、
突然問題が出てきてどうすればいいかというのが見えない状況だったわけですが、そのと
きに総務大臣から統計委員会委員長に対して、当時は西村委員長でしたけれども、この問
題についてきちんと点検・検証をしてほしいと要請があったということで、統計委員会で
議論が始まったと承知しております。
そのときに私の記憶では、かなり慎重な御意見もありました。そして、そうはいっても
こんなに問題が大きくなっているから、きちんと統計委員会でこのような問題を解明し、
対策を検討しようということで、結局、意見交換の末、統計委員会では各省の統計の問題
に対して監査とか、徹底的な立入検査などの権限は全くないけれども、その中でもできる
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範囲で、
厚生労働省に限らず全体を全府省の協力を得て検証を行っていこうということで、
一斉点検をやるということになったわけです。しかも今回と全く似たパターンですが、極
めて限られた時間で検討するということで、その頃ですと、最初の検討結果がまとまった
のは確か6月と記憶しておりますが、1月から6月の間に各府省の統計担当の方に相当出
席いただいて、委員でヒアリングを徹底的にやったということで、まとまったのが6月の
報告ということでした。それを建議として総務大臣に提出したということです。
そういうプロセスの中で、そもそもの大前提として当時問題になったのが、統計法の総
務大臣への各省からの報告の手続、届出の手続が実は十分に行われていなかったという問
題意識がありました。毎月勤労統計でそういう問題があったので、そういうことを中心に
一斉点検をやったということですが、全府省の一斉点検といっても、深く調べることは困
難だというのは当初から認識しておりました。ですから当時、確か西村委員長から、これ
は重点化するしかないと発言されたと思います。最初にまず広く網をかけて、特に手続的
にいろいろ問題が大きいと思われるところを重点化して調べるようなアプローチでいくこ
とでやったということです。そういう中で確かにこの件も見つかればよかったのでしょう
けれども、そのアプローチで、その期間、そのリソースでこの問題、しかも2013年という、
毎月勤労統計による検証や対策が講じられるはるか前の処置が原因だということなので見
つけようがなかったというのが実態だと思います。
もちろんもっと目を光らせて、もっとリソースを投入して点検すればできたかもしれま
せんが、それやろうとしたら恐らく1年では済まない。また、人手も膨大にかかるという
ことだろうと思いますので、そのような点検がなぜ不十分だったのかと言われると、これ
はもう時間的リソースの制約があるのでやむを得ないということは是非御理解いただきた
いと思います。当時この議論に参画した者として、こういうことが起こるのは大変残念に
思っているのですが、しかし、これは現実として受け止めていただくしかないだろうと思
います。今の代の委員の方々は、多分この背景を御承知ないかと思いますので、一応当時
を経験した者として、情報共有として申し上げました。以上です。
しろまる椿委員長 川﨑委員、どうもありがとうございました。点検・検証部会に実際に参加さ
れていたという方はここの中ではなかなか少ないので、大変貴重な意見を頂戴できたと思
います。
福田委員、よろしくお願いします。
しろまる福田委員 こういう問題が起こったことは非常に残念で、再発防止のために過去の問題
を検証していただくということは非常に重要なので、
是非やっていただきたいと思います。
それと同時に、もう起こってしまったことは取り返しがつかないのですけれども、統計と
してはどういうふうに再現できるのか。今ある限られたデータかもしれませんけれども、
どれだけ再現できるのかということも、前向きだとは思うのですが、そういうこともでき
るだけ検証していただく。例えば毎月勤労統計の場合は、私の理解ではそれなりに再現で
きたのではないかと思っていますので、今回もどれだけそういうことが再現できるのか、
限られた資料の中でもどれだけ再現できるのかということも検証していただく、あるいは
提言していただくということが大事なのではないかと思います。
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しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。それは是非実現したいと思います。
他に、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、先ほど三つの論点があって、国土交通省に関する部分、総務省、あるいは統
計委員会自身の、我々の問題、それと同時に、大臣もおっしゃられていましたけれども、
公的統計に対する国民の信頼の確保という問題、これが与えられた検討課題となっている
ところです。本件につきましては、もちろん先ほどの国土交通省の中の調査・精査、総務
省の対応の精査を受けて、本格的に議論しなければならないと考えています。いかに信用
を与えるプロセスをきちんとつくっていくかということです。今回、ある意味で再発いた
しましたけれども、統計というもの自体が注目されている中でどのように正しい統計をつ
くっていくかということは非常に重要なメッセージではないかと思います。
本日はまず、私自身の問題意識を少しお話しさせていただきたいと思います。その上で
委員の皆様方にも是非、現在のお考え、こういうふうにすべきだということに関して披露
いただければ幸いです。
言うまでもなく今回の事案が、再発したと言うと語弊がありますけれども、2019年の毎
月勤労統計をめぐる問題に次いで明らかになったということがございます。先ほどから申
し上げましたように、これが公的統計に対する協力というものに対して、国民が信頼を失
って協力していただけないような状況になることが最も危惧するところでありまして、そ
れが今回の事案が大変残念なことであり、遺憾なことであるということでございます。
ただ、これを一つの、誰かに責任があるというような問題ではなくて、統計をつくる仕
組みとかプロセスに反映させていくのが統計委員会のミッションだと信じております。統
計委員会は、言うまでもなく統計の専門的な機関として設置されているわけです。今回の
事案に対して、国土交通省あるいは総務省の対応のプロセス、対応の仕組みについて精査
を行うことに加えて、それを通じて、我々が統計の作成プロセス、集計のプロセスとかを
是正する、改善すること、そしてミスが起きにくいようなものにすることによって、国民
の信頼回復に向けて、全体に必要な対応を審議、議論していくということが必要なのだと
考えています。
統計といっても、私は統計の中でもどちらかというとメソッドとか、そういう分野をや
っている人間です。統計に関しては経済的なニーズに関してもきちんとしたことが分から
なければ妥当性がありません。これは統計を作成するプロセスに関しては、現場のエキス
パートの知見とかいろいろなものがある。数理的な部分だけではなくて、学術的な部分、
実務的な部分、そういうもの全体を整理して統計というものはできあがって、そういう大
きなプロジェクトだということで、多数の方々、多数の専門性、多数の実務性が加わって
できているプロジェクトということは明らかです。この種の課題とか問題が発生した場合
に、そういう部分に関して、冷静にきちんと分析していくということは、統計委員会だか
らこそ求められているのではないかと思っています。基本的に原因をきちんと分析する。
その原因に対して対策を打っていく。そういうことが我々に求められていると思います。
それが我々の出すべき解決策だと考えています。
こういうことが国民全体に対して、公的統計の精度がこういう形で出せるのだと。先ほ
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どの問題もありますけれども、欠測がたくさんあるとか、いろいろな部分でデータをきち
んと出してもらうのが、調査を受ける方々の負担がなかなか大きいとかいろいろな問題が
ある中で、有用性や精度の向上を図らなければならない。これに対して、今回はきちんと
論点を絞った議論ができればと考えています。
今後、統計委員会の委員の皆様方には、様々な分野の専門性を持って参加されておりま
すので、御協力いただいた上で、私どもとして全力で、かつ効果的、効率的な取組をして
いきたいと思いますので、何とぞ御協力よろしくお願いいたします。
私の意見は以上ですけれども、皆様方からも、国民の信頼回復のための一助になるよう
な意見を頂戴できればと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
清原委員、よろしくお願いいたします。
しろまる清原委員 ありがとうございます。清原です。
私は三鷹市長を務めておりましたので、公共工事については公明正大な透明性の高い入
札をするという責務を担当しておりまして、市長時代に、国土交通省の「中央建設業審議
会」の委員を発注者として拝命しておりました。すなわち建設事業について、談合とかそ
ういうものを排除し、そして公明正大な発注・受注を検討するということで、発注者側の
都道府県、市区町村の代表と、ゼネコンの建設事業者の方、あるいはそういう現場で働く
人などと一緒に議論した経験がございます。
また、国土交通省においては、
「アカウンタビリティ研究会(当時の技監主宰)
」という
のを持たれた時期があり、私も自治体を代表して、建設工事について、いかに国民、市民
に「アカウンタビリティ」を果たしていくか、
「説明責任」を果たしていくかというような
取組にも参画いたしました。
「アカウンタビリティ」という言葉で検討を始めたのは府省庁
の中でも国土交通省が最初だということで、国土交通省の職員の方は大変誇りに思ってそ
の検討もされていた経過があります。
したがいまして、この統計については、建設業者の建設工事受注動向を見ることによっ
て、建設というと何かハードだと思われるかもしれませんけれども、建設によって建てら
れた施設を使って、国民、市民の皆様が人生の中で大切な学ぶこと、働くこと、暮らす(住
まう)こと、そしてスポーツや文化活動などをされているわけですから、まさに「建設と
いう側面から国民生活を支えるための統計」というふうに言うことができます。
したがいまして、残念ながら今回、集計において不適正なことがあったということが、
国民の皆様の統計に対する不信感を招くだけではなくて、建設そのものに対する不信感と
か忌避感を招いてはとても残念だと考えます。そこで是非、短期集中型になると思います
けれども、私もタスクフォースのメンバーに入れていただきましたので、まさに国民の視
点に立って、どのように統計委員会として、国土交通省の皆様と御一緒に、あるいは独立
して説明責任、アカウンタビリティを果たしていけばいいのかと、そのような思いで取り
組ませていただければと思います。その誠心誠意な取組による説明によって、改めまして
国民の皆様の統計に対する信頼を回復していければと願っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
しろまる椿委員長 清原委員、どうもありがとうございます。是非そのような形で活動できれば
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と思います。
佐藤委員、よろしくお願いします。
しろまる佐藤委員 公的統計に対する国民の信頼という点では、とにかくデータをきちんと公表
することしかないと思います。それは例えばその月の、できるだけ細かく毎月やっていま
すけれども、
何年何月は回収率がどれだけで、
そのためにこういう推計を行ったけれども、
翌月分と足してみたらばそのかい離はいくらだったみたいなデータをきちんと示す。分か
りやすく国民に示して、そして修正力がある。統計には推計ということで間違いが発生す
るかもしれないけれども、きちんと統計調査を行っていれば修正が効くということを皆様
にお示しして、理解していただく。もうこれが最良で唯一の方法だと思いますので、是非
そうできるように、国土交通省の方にも御協力いただいてお示ししたいと思います。私は
そのように考えております。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。今の点は国土交通省に限らず、そういう形の
ものが重要だということです。
櫨委員、よろしくお願いします。
しろまる櫨委員 私も椿委員長がおっしゃったように、この問題をどのようなプロセスを改善す
るためにどうしたらいいかということが大事だと思います。統計のデータとかいったもの
は予定しているとおりにちゃんと集まってこなくて、当然遅れて出てくるとか、あるいは
誤った数字が来るとかいうことはあり得るわけです。それを適切な形で統計に反映できる
ように、何か問題があったときに、早く公表していただき、直していくということが必要
ではないかと思います。
今回、実際どういうことか分かりませんけれども、犯人探しをするようなことが我々の
目的ではなくて、こういう問題が起こったときにいかに正しい統計を発表できるようにす
るかという前向きな検討をしていただきたいと思います。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。
櫨委員と佐藤委員がおっしゃったように、
統計自体が無謬
むびゅう性せい、基幹統計って何か完璧性、
完全性というのが昔から前提になっているけれども、もうそういう問題ではないという現
状を踏まえて、そのプロセスも含めて、期日に来ない調査票に対してどう扱うかというこ
とだって大きな問題なので、是非そういうことに関しても調査・検討させていただければ
と思っているところです。
他にいかがでしょうか。松村委員、よろしくお願いします。
しろまる松村委員 ありがとうございます。冒頭、委員長がおっしゃられた考え方には賛成であ
りますし、また、今、櫨委員からもありましたけれども、そうしたときにどう対応してい
くかというのは非常に重要になるかと思います。その際に統計の作成者とか報告者、利用
者、それぞれの目線からの実務上のフィージビリティ、すなわち集計作業上のフィージビ
リティや回答可能性のフィージビリティ、例えば期間などの問題も整理して対応できれば
と思ったところであります。
それから、今回このようなことが起きまして、改めて申し上げるまでもなく、統計とい
うのは国のEBPMの基本ですし、企業にとっては経営計画等を立てる上での重要な材料
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になると。今のような趣旨のことは今回の建設工事受注動態統計の企業に渡されているパ
ンフレットにも書かれています。しかし、とある省庁で私も統計のメーカーの立場で携わ
ったことがありますが、なかなか現場の方では、その重要性を認識して、もしくは気概を
持って対応しているかというと、必ずしもそうではないと感じた部分もありますので、作
成側の統計への意識、すなわちその重要性を認識していくのが大切かと思いました。以上
です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。まさに統計をつくるプロフェッショナルの意
気込みというか、それがバリューを実現する形でやっているかどうかも含めて、これも以
前からいろいろ議論されていたことかと思いますけれども、もう一度再確認させていただ
ければと思うところです。
他にいかがでしょうか。伊藤委員、よろしくお願いいたします。
しろまる伊藤委員 ありがとうございます。これまで出てきた御意見には本当に私も賛成で、そ
んな方向で進めていただきたいと思っております。
追加的な意見ですが、詳しく説明をしていくとか、情報を開示するとか、統計を作成す
る側が十分な信念を持って、しっかり信頼できる統計をつくるということも十分大事です
けれども、国民全体に統計や数字に対する教育をもっと強化していく必要があると思って
います。もちろん最近、データサイエンスがどんどん注目されていて、政府としてもこの
ような数学や統計に対する教育を拡充していくという方針は出しているのですが、まだま
だ足りないと。実際に大学で教育に携わっていても、経済・経営を専攻している学生です
ら、もうほとんど統計学を習っていないというような、習わずに卒業していくという学生
も多く、高校のときに特に私学文系ですと、ほとんど数学を習わずして経済・経営系の大
学に入ってきて、そのままほとんど数学も統計学もやらずに卒業していくという人が非常
に多いと。そのような時間がかかることかもしれないですけれども、小学校から大学まで
の統計や数学に関する教育をとにかく拡充するというのが一番重要であると私は思ってい
ます。長期的な視点ですけれども、重要かと思います。
あと、先ほどリソースが足りないというか、リソースの制約の下であまり十分な検証が
正直できていなかったというような話もあったのですが、確かにリソースを無制限に増や
せるわけではないというのは理解しますけれども、ある程度のリソースは重要だというこ
とも申し上げたいと思います。
他の先進国の統計当局では非常に多くの人材を抱えていて、
それも非常に高度な専門知識を持った人材がこのようなセンサスとか統計をつくるところ
にたくさんいるわけで、先進各国と比較しても、日本はもっとそのような人材やリソース
を増やす必要があると思っています。
もちろん国民に対する説明とか、今の状況で改善できる点はまだまだあると思うのです
が、それより更に一歩進んで、これからリソースをどうやって増やしていけるか。また、
統計部局の政府内での地位といいますか、いくつかの国では中央集権的に統計を扱ってい
るような国がある一方で、分権的な国もあるわけですけれども、どのようなガバナンスと
いうか、どのような組織の在り方がより公平、客観的な統計を整理するのに望ましいかと
いった議論も必要ではないかと考えています。
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以上です。ありがとうございました。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございます。恐らく統計委員会の長期的な計画、次期の計
画にも関係するようなコメントをいただいたのではないかと思いました。
私の不手際で大分時間を超過してしまって、大変恐縮です。また委員の皆様、個別に私
の方にインプットいただければ大変助かります。本日非常に貴重な意見を頂戴できたこと
を有り難く思います。今回の事案に関する検討のスタートとして、国土交通省から報告を
いただいたということになります。
今回の建設工事受注動態統計調査に係る事案につきましては、公的統計への信頼に係る
大変重要な、重大なことであるということは事実でありまして、国土交通省には第三者委
員会の検討というものを是非進めていただいて、
今後の対応を検討していただくとともに、
我々統計委員会としては、この統計の専門的な観点、専門的な観点といっても、先ほど言
いましたようにいろいろ多様な観点ですけれども、そこから課題等を明らかにして、建設
工事受注動態統計調査の今後の改善に資するだけではなくて、公的統計全体の一層の精度
向上、あるいは国民からの信頼の確保につなげていけるように、是非、統計委員会全体で
知恵を出し合いながら考えていければと思います。今日はその意味で貴重な意見を頂戴で
きたと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれては、今回の国土交通省からの説明を受けて更に確認したいこと、
あるいは総務省における対応の精査が直ちに始まりますけれども、これに関しても御提案
などがある場合については、恐縮ですが、事務局の方に至急御連絡をいただければと思い
ます。どうぞよろしくお願いいたします。
本件につきましては以上となります。どうもありがとうございました。
本日、用意した議題は以上となります。
それでは、次回の委員会の日程などにつきまして、事務局から連絡いただければと思い
ます。
しろまる萩野総務省統計委員会担当室長 次回の委員会については調整中です。時間、日時、場
所につきましては別途連絡いたします。以上です。
しろまる椿委員長 どうもありがとうございました。本日は諮問・答申も含めて非常に重要な案
件につきまして、自由闊達に議論いただいたことを心から感謝申し上げます。
統計にとって来年が良い年でありますようにということで、この会を締めたいと思いま
す。今日はどうもありがとうございます。

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