-1-第106回 人口・社会統計部会 議事録
1 日 時 令和元年7月26日(金)9:00〜12:00
2 場 所 総務省第2庁舎7階中会議室
3 出席者
【委 員】
白波瀬 佐和子(部会長)、北村 伸行、嶋﨑 尚子、永瀬 伸子
【専門委員】
川口 大司(東京大学大学院経済学研究科教授)
【審議協力者(各省等)】
財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省
【調査実施者】
厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室:中原室長ほか
【事務局(総務省)】
統計委員会担当室:櫻川室長、鈴木次長、吉野政策企画調査官
政策統括官(統計基準担当)付統計審査官室:金子審査官、山崎調査官ほか
4 議 題 賃金構造基本統計調査の変更について
5 議事録
しろまる白波瀬部会長 おはようございます。暑い中、ありがとうございます。よろしくお願い
いたします。定刻となりましたので、ただ今から、第106回人口・社会統計部会を開催いた
します。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、7月5日に開催した前回部会に引き続きまして、賃金構造基本統計調査の変更
について審議を行います。本日の部会は、当初、10時からの開催を予定していましたけれ
ども、前回部会の審議の進行状況を踏まえまして、開始時間を1時間早め、9時からの開
催に変更させていただくことになり、皆様方には御迷惑をおかけいたしました。申し訳ご
ざいません。12時までの3時間の審議を予定しておりますが、御協力のほど、どうぞよろ
しくお願いいたします。
それでは、本日の配布資料について、事務局から説明をお願いします。
しろまる伊藤総務省政策統括官(統計基準担当)付 本日の配布資料について説明いたします。
本日の配布資料は、資料1として、前回部会において整理・報告を求められた事項に対
する調査実施者の説明資料、資料2-1として、審査メモ、資料2-2として、審査メモ
で示された論点に対する調査実施者の回答、参考資料として、先週7月18日に開催された
統計委員会に報告した前回部会の審議状況を整理した資料と、席上配布資料として、統計
委員会における委員からの意見の要旨及び北村委員からの御意見の要旨をお配りしていま
す。資料に過不足等ございましたら、事務局にお申し出ください。 -2-事務局からの説明は以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
本日の部会の進め方についてですけれども、本日の部会では、まず、前回部会において
委員等から整理・報告を求められた事項について、調査実施者からの補足説明を踏まえて
審議した後、審査メモに沿って、残された論点について審議することとします。
審議に入る前に、先週7月18日開催の統計委員会において、前回部会の審議状況につい
て報告を行った際に、委員から本調査に対する御意見がございましたので、その内容につ
いて、事務局から紹介をお願いします。
しろまる小日向総務省政策統括官(統計基準担当)付副統計審査官 それでは、席上配布資料を
御覧ください。先週の統計委員会における委員からの御意見について紹介させていただき
ます。
始めに、
野呂委員から、
「事業所票における新規学卒者の初任給額を把握する調査事項を
削除し、個人票を用いて代替集計する方法については、引き続き、よく確認・審議をお願
いしたい。
また、
代替集計により対応する場合であっても、
統計利用者への影響を考慮し、
現在、初任給については、調査実施年の11月に公表しているところであるが、この公表時
期から大幅に遅れることがないよう、配慮していただきたい」といった御意見がありまし
た。
この御意見に対しまして、厚生労働省から、
「個人票の調査結果については、現在の変更
計画では、調査実施翌年の2月末から3月の公表予定となっているため、個人票のデータ
を用いて行う代替集計の公表も、これと同時期にならざるを得ず、これまでと同様の時期
に公表することは難しい」といった発言がありました。
また、白波瀬部会長からは、
「代替集計によるデータの正確性の確保と併せて、公表時期
の早期化の余地についても検討したい」といった御発言があり、西村委員長からは、
「統計
利用者の立場からは非常に重要な点であるため、
部会において十分な審議をお願いしたい」
といった御発言がありました。
また、最後に、西村委員長からは、
「新規学卒者の初任給額の削除については、代替集計
の方がより正確であるなど、削除する積極的な理由を明らかにするとともに、短時間労働
者の学歴の把握については、更なる検討が必要との部会審議の方向性には強く賛同する。
また、厚生労働省においては、結論ありきではなく、エビデンスベースで、根拠となるバ
ックデータを提示した上で、より丁寧な説明・対応をお願いしたい」といった御発言があ
りました。以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
ただ今の統計委員会における御意見につきましては、適宜、関係する論点に係る審議の
中で、併せて検討することとしたいと思います。
それでは、審議に入ります。
まず、資料1に基づき、前回部会において整理・報告を求められた事項について審議を
行います。4点ございました。
まず1点目として、1事業所において調査票に記入する労働者数の最高人数はどれぐら -3-いか。
2点目として、現行の初任給額に係る調査結果と個人票を用いた代替集計データとのか
い離の具体的な要因と、現行の初任給額に係る調査事項を削除することを適当と位置付け
るだけの積極的な理由。
3点目として、学歴区分の定義の他調査との対応関係と短時間労働者の学歴把握の再検
討。
そして、4点目として、職種区分に関し、日本標準職業分類と異なる形で区分の統合や
細分化が行われている部分に係る具体的な設定基準や新職種区分と現行職種との対応関係
等についてです。これらの事項について、調査実施者に整理・報告を求めたところです。
また、本件につきましては、北村委員から、今回の部会開催前に事務局を通じて、厚生
労働省の回答について、御質問・御意見をいただいておりますので、その内容について、
席上資料として配布しております。これらの御質問・御意見については、別途、議論の際
に御紹介させていただきます。
また、
本審議の進め方ですけれども、
初任給額に係る調査事項を削除する点については、
先ほど事務局から紹介がありました、先週7月18日の統計委員会における野呂委員からの
御意見を踏まえまして、公表時期についても審議する必要があり、これに一定の時間を要
すると考えられるため、本日最後の議題としてあらかじめ時間を確保させていただいた上
で、可能な限り議論を行い、結論については、8月5日の3回目の部会において出すこと
としたいと考えております。3回目の部会に御欠席の委員もいらっしゃることと思います
ので、御欠席の委員には、事務局を通じて事後的に、3回目の部会の審議状況を御説明さ
せていただきたいと考えております。このような進め方でよろしいでしょうか。よろしく
お願いいたします。
それでは、まず、本件審議に当たりまして、
「学歴区分の定義の他調査との対応関係と短
時間労働者の学歴把握の再検討」について、北村委員から、
「学歴不問の職種であれば、あ
えて学歴を聞くことはしなくてもよいと思うが、コンピュータのSE関係など高度専門職
であれば、正社員・正職員以外でも学歴は必要である場合もある。特に高度専門職の裁量
労働を認めようという政策も取られている中で、学歴を調査しなくてよいという判断は疑
問である。
」との御意見をいただいております。
北村委員から、何か追加でコメント等あれば、よろしくお願いいたします。
しろまる北村委員 いえ、特に追加はないのですけれども、疑問であるというより、そんな早々
と調査できませんと諦めないでくださいということをお願いしたいのです。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。それでは、北村委員からの御指摘も踏まえまし
て、前回部会における指摘に対する回答について、資料1に基づき、厚生労働省から説明
をお願いいたします。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 それでは、資料1に基づきま
して、この順番で説明させていただきます。
まず1番目、1ページ目でございます。1事業所当たり、最高で何名の労働者について
記入することになるのかという御質問でした。平成30年調査の状況ですが、
最高で364名と -4-いう事業所がございました。実際の個人票の枚数別事業所数の状況ですが、4枚まで、40
人までということですが、ここで全体の9割を占めているといった状況です。
続きまして、2ページ目でございます。労働者の「最終学歴」の選択肢の細分化につき
まして、専門学校の課程別の扱いなど、学歴の定義の他調査。特に就業構造基本調査など
との対応ということの御質問がございました。こちらの表に示しておりますとおり、就業
構造基本調査につきましては、専門学校、細かくとっておりますが、他調査の状況と比べ
ますと、今後の変更後の賃金構造基本統計調査の区分につきましては、専門学校の関係に
つきましては、就業構造基本調査までは細かくないですけれども、ほぼ同じような形と考
えているところです。
続きまして、3ページ目です。こちらは短時間労働者の学歴調査の関係です。こちらの
再検討状況です。
再検討の結果ですけれども、
結果につきまして説明させていただきます。
短時間労働者のうち、試験調査で一定の記入率が確保されました「正社員・正職員」に
ついて学歴を調査するという方法で考えております。
ただし、集計表につきましては、全体のサンプルサイズがかなり小さいところもござい
まして、クロスする項目の次元を落とすことが必要ではないかと考えています。
正社員・正職員以外の短時間労働者の学歴把握につきましては、把握が必要であるとい
う認識は、
厚生労働省も考えておりますけれども、
記入者負担のことも考えますと、
「不明」
の選択肢を設定することを念頭に検討を進めたいと思っております。ただ、これにつきま
しては、以下で説明させていただきますが、現状においては慎重に検討すべきでないかと
考えていますので、その点につきまして、これから説明させていただきます。
短時間労働者の学歴把握の可能性ですが、試験調査におけます学歴の未記入率ですが、
5ページのところ、試験調査の未記入率です。一般労働者につきましては、雇用形態、産
業、
規模別で見ましても、
大体二、
三%程度といったところで収まっているところですが、
短時間労働者につきましては、企業規模計で20%超えているといった状況です。また、セ
ルによりましては、かなり高い未記入率といった状況がございます。
その下の同じページの下の方に、アンケート調査におけます短時間労働者の学歴の回答
が困難である理由につきましてまとめておりますが、こちらの中で、短時間労働者につき
ましては、学歴のデータ管理を行っていないとか、あと、履歴書から別途調べる必要があ
るということ。また、労働者に確認をとっているという話。また、短時間労働者につきま
しては、入社時に学歴を調べていないというお話がございました。
また、次のページでございますが、併せて、私ども、35社に対しまして企業ヒアリング
を実施しております。
この中の意見でございますが、
短時間労働者の学歴につきましても、
正社員と同様にシステムで管理しているという企業が5社ありました一方、アンケートと
同様に、
履歴書から確認する必要があるといった社が12社、
履歴書の提出を求めていない、
また、学歴を記入させていないところが4社、管理していないし、把握もしていないとこ
ろが10社、処遇に学歴は関係ないとしているところは14社といった状況でした。
このような状況等々踏まえまして、短時間労働者の学歴調査への負担感の大きさという
ことがかなりうかがえた状況でございます。短時間労働者の学歴調査につきましては、記 -5-入者負担が相当大きくなることが想定されるということ。また、未記入率が高くなるとな
りますと、調査拒否につながりかねない危惧もございまして、現行の一般労働者の学歴と
同様の方法で短時間労働者の学歴を調査することは困難ではないかと判断したところです。
そこで、学歴欄に「不明」の項目を設定することを検討したところですが、これにつき
ましては、次のような課題があると考えております。4ページですが、1として、属性別
に、全体的に半数近く不明を選択するセルもあるということが見込まれまして、属性別表
章に十分なサンプルサイズが確保できるかどうかという懸念がございます。ただ、これに
つきましては、
クロスの次元を落とすことで対処可能ではないかと考えているところです。
2ですが、
「不明」の選択肢を設定した場合、結果的に学歴が分かるところに該当すると
いった偏りが生じるのではないかと。その偏りの影響につきましては、企業規模計、産業
計で大きくなるのではないかという課題が懸念されております。
これにつきまして、課題としてはあるところですが、調査の特性としての情報提供を十
分行う、このような状況の中で調査しているという情報提供を行うことで、一定の対処は
可能ではないかと考えています。
3ですが、
「不明」の選択肢を設定した場合、現在、調査しております一般労働者につい
ても
「不明」
の選択肢を選択する場合が相当程度発生することが想定されるところでして、
一般労働者の調査結果に影響を与えかねないのではないかと危惧されています。
5ページの真ん中の表は、試験調査と同時に実施したアンケート調査の結果ですが、こ
ちらは「学歴区分の記入が可能か」を一般労働者、短時間労働者それぞれについて聞いて
おります。短時間労働者について、右側にございますが、
「回答できる」が71%、
「負担が
大きい」が18%、
「困難」が11%となっているところ、一般労働者につきましても、それぞ
れ75.6%、
18.1%、
6.3%で、
「負担が大きい」
については同じぐらいの率となっています。
「回答が困難」というところは、一般の方が若干少なくなっていますが、傾向として同じ
ぐらいということでして、やはり一般労働者についても負担感が大きいことがうたわれて
いまして、やはりこの場合についても「不明」を選択することが懸念されておりまして、
そのような場合、やはり時系列数値に断層が生じるのではないかが想定されているところ
です。
そのようなところから、今後「不明」の選択肢を設定する検討をさせていただきたいと
考えておりまして、可能な限り、早期に結論を出したいとも考えていますけれども、その
対応としまして、試験調査の実施など、回収率、一般労働者の学歴への記入状況に与える
影響を検証した上で、調査に踏み切りたいと考えています。
正社員・正職員につきましては、試験調査におけます記入率が比較的高いことから、事
業所の負担感も比較的少ないと推測され、調査上の工夫などを加えて調査していきたいと
考えています。
続きまして、7ページになります。労働者の「職種番号」の見直しについてです。1番
目は職種区分統合の細分化など、個々の職種区分の具体的な設定基準についてのこと。2
番目としましては、新職種区分と現行職種との対応関係といったところです。
これにつきましては、下の囲みの中で記載されているものが具体的な設定基準としてい -6-るところですが、これは審査メモへの回答、11ページに記載されているものにそれぞれの
基準も書き加えたものとなっています。a)
、全職業を網羅する体系とするということ。b)、日本標準職業分類の中分類を基本的な分類とする。ただし、必要に応じて、統合・
細分するというところですが、統合・細分の基準ですが、基本的には国勢調査の雇用者数
で判断しておりまして、雇用者数200万人以上の場合は分離を検討する。2万人以下の場合
は統合を検討するといったところです。c)、現行の職種の1つと標準職業分類の小分類の1つが比較的近い範囲となる場合、当該範囲に一定数の労働者がいることが見込まれる場合につきましては、その併せたものを
新たな1つの職種とすることにしております。この基準ですが、国勢調査でいいますと、
2万人以上いる程度、賃金構造基本統計調査の労働者数1万人以上を目安としています。d)、標準分類の小分類を更に細分化することはできるだけ避けるとしておりますが、一方で、その小分類の一部を構成するものであっても、相当数の労働者がいることが見込ま
れる、また賃金構造、賃金水準が特徴的であり、なおかつ、当該職種に該当する労働者と
それ以外の労働者を分けることが容易と考えられるものにつきましては、必要に応じて、
新職種区分で独立した職種として存続させるとしています。
相当数の労働者につきましては、おおむねですが、賃金構造基本統計調査で5万人を目
安としています。このような基準で存続させるものにつきましては、一定数の労働者がい
る、あるいは賃金が特徴的であるというところで、看護師と准看護師を分けておくとか、
大学教員につきまして、
大学教授などに分けておく。
また、
航空機客室乗務員については、
その数は少ないのですけれども、これまでの小分類からしますと特徴的といいますか、賃
金が非常に高い分類ですので、
これは分けるべきだといったところで判断したところです。e)、行政運営等で必要なデータにつきましては存続させるように配慮する、
ということ
でして、これにつきまして、保育士、介護関係の職種、自動車運転者関係が該当するとこ
ろです。f)、国勢調査で用いる職業分類も参考とするということで、例えば、製造技術者の開発
と開発を除いた標準分類は別ですが、国勢調査では同一の分類でして、賃金構造基本統計
調査の現在の定義でも、国勢調査の方に親和的であることもありまして、国勢調査の方に
合わせることをしております。
具体的には、別紙としてA3の資料を付けておりますので、そちらで御確認いただけれ
ばと思います。こちらに新職種区分と現行職種との対応関係も付けさせていただいていま
す。
この表の中で、日本標準職業分類の一致状況の欄が右の方でございます。ここでにじゅうまるを付
しているところが中分類と一致している。
しろまるを付しているところが小分類と一致している。
しろさんかくを付しているところが複数の小分類を統合しているところです。その隣にあるb、c、
d、e、fの記号ですが、これは考え方にありますb、c、d、e、fの記号と一致して
います。
この中で、一般事務につきまして前回いろいろお話がございました。一般事務につきま
しては、日本標準職業分類の中分類であるところですが、
一つの分類として労働者数200万 -7-人を超えていまして、分割を検討したところですが、企業の状況等も踏まえまして、これ
につきましては、基本的には中分類のところで合わせていく。ただ、電話応接事務につき
ましては特徴的であるということで、これだけを別に分け、ほかは一本化することで整理
させていただいています。
8ページ、9ページにつきましては、企業ヒアリングで職種関係に当たるものを御紹介
させていただいています。
続きまして、10ページです。事務職につきまして、民間のマーケティング、企画、宣伝、
調査、国際、人事、法務等の仕事内容がどの職種分類に入るかという御質問でした。基本
的にこの部分につきましては、一般事務のところに記載されていますが、それぞれ一般事
務従事者の更に細かい小分類で該当するところを例示しております。御質問のありました
ものにつきまして、下線を引いております。
続きまして、11ページです。大企業におきまして、特に事務職の未記入率が高い理由の
整理です。試験調査を行いまして、アンケート調査におきまして、このような職種番号の
記入状況について確認したところ、やはり大企業で回答が困難という意見が多かったとこ
ろです。ただ、一方で、試験調査の結果を更に精査したところ、実は非常に復元倍率が高
い大企業の1事業所、これは本社事業所です。今回、試験調査の関係上、大規模の事業所
につきましては、抽出数をかなり少なく絞っておりまして、その関係で倍率が非常に高く
なっている状況でした。
こちらの事業所が全ての労働者につきまして、職種未記入ということで、一応これにつ
きましても問い合わせ、確認等したのですが、回答については協力が得られなかった状況
です。
これが全体の回答率を結果的に大きく引き下げたところでして、企業規模1,000人以
上におけます「分類不能の職業」のほとんどを占めておりました。
結果的にこの事業所は本社事業所というところもありまして、そのような関係で、やは
り一般事務従事者の記入が少なくなってしまった結果につながっていったと考えています。
以上です。
しろまる白波瀬部会長 時間の関係上、3点について、まとめて御回答いただきました。最初の
点についてです。これについては質問といいますか、御要望ということで、基礎データを
示して欲しいということで、1点目の説明、アについてです。資料1のアについては、こ
のようになって、1事業所で調査票3枚を記入したというのが、大体、全体の8割ぐらい
となっています。調査票4枚まで行くと、全体の9割を網羅しているということです。こ
れについて何か御意見、御質問ありますか。これでよろしいでしょうか。
それでは、次に、最終学歴について、1として、学歴区分の定義のほかの調査、特に就
業構造基本調査等との対応についてということで、対応表を出していただきました。これ
については、よろしいでしょうか。
2として、大卒の非正規職員に関する政策ニーズをという北村委員からの御質問もあっ
たのですけれども、
この短時間労働者の学歴を調査することについての御説明なのですが、
調査実施者から、かなり詳しい説明が出ております。これについて御質問、御意見はござ
いますか。北村委員、お願いします。 -8-しろまる北村委員 正規職員以外の短時間労働者の学歴把握についても、
「不明」
の選択肢を入れ
て、今後検討していきたいというのは、最初のお答えより随分改善されているのですけれ
ども、確かに5ページで示されているように、未記入率も短時間労働者だからといって、
そんなに低い訳では必ずしもなくて、
特に業種といいますか、
労働者数1,000人以上の事業
所の数字が増えているとか、あるいは「宿泊業,飲食サービス業」とか「卸売業,小売業」
とか、その辺りで数字が高くなっているのですけれども、
「医療,福祉」とか「建設業」、「製造業」とかですと、あまり一般労働者と変わらないような数字になっていたりします
ので、必ずしも、前回お答えになったように、手間だし、聞いていないから分からないこ
とが大半というイメージではないです。
「不明」
に答える人が増えるだろうという懸念は理
解できるのですけれども、ただ、賃金関数みたいなものを推計したりしようとすると、川
口委員、永瀬委員の方が詳しいと思うのですけれど、学歴というのは、やはり非常に重要
な情報ですし、それが短時間労働者であっても、同じことが言えると思いますので、なる
べく情報を吸い上げる努力をしていただきたいと思います。
「不明」の試みについて、トラ
イされることを期待しています。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。永瀬委員、どうぞ。
しろまる永瀬委員 少なくとも短時間労働者のうち、正規社員、正職員については、学歴を調査
すると決まったようですので、これはとても良かったなと思っております。というのは、
短時間の正社員の実態としては、かなり増えているのではないかと思われますので、少な
くとも、ここが決まったということを歓迎したいと思います。更なる検討をお願いしたい
と思っております。
しろまる白波瀬部会長 よろしいですか。それでは、川口委員、どうぞ。
しろまる川口専門委員 ありがとうございます。やはり、同一労働・同一賃金の話とか、政策の
効果を推定することを考えると、短時間労働者と一般労働者が、労働者の属性を一定にし
たときに、
同じような賃金をもらっているかどうかが非常に重要な問題になると思うので、
短時間労働者についても、やはり学歴は聞くような方向で、もう一度検討していただけな
いかなと思います。
それで、理由なのですけれども、まず、短時間労働者の中で、企業規模経営で未記入の
方が2割ぐらいということで、高いと言えば高いですけれども、逆に言うと、8割の人が
答えている訳で、そのデータが使えないかというと、そういうこともないだろうと思いま
す。それとあと、アンケートにおける学歴区分の回答可能性を拝見しますと、正社員と言
いますか、一般労働者についても24%ぐらいの方は、負担が大きいとか、回答が困難と言
っていて、一方で、それでは短時間労働者はどうかというと、合計で29%ということなの
で、
24.4%と29%の人ということで、
ここもそれほど大きな差でもないようにも思います。
そのような意味で、学歴を聞くことによって、全体の回収率が下がってしまうなどのデメ
リットがあまりにも大きいのであれば、無理して聞く必要はないと思うのですけれども、
必ずしも、この資料をもって、短時間労働者の学歴を聞くことが望ましくないという結論
にはならないように思いましたので、もう一度検討していただけないかというのがお願い -9-です。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 統計実施者といたしましては、
やはり本体のアンケート、ヒアリングにおきましても、一番懸念されましたのが労働者自
身に聞いて、記入しているというお話がございました。やはりそれにつきましては、個人
情報の関係で色々懸念があるといったところです。そのようなところを踏まえますと、や
はり「不明」という項目を作ったらいいのではないかという結論に至ったわけでございま
して、それについて一般労働者の影響について、一度確認したいといったところです。
しろまる白波瀬部会長 これはどうも2段階になっているみたいで、ここで出していただいてい
るデータについて、短時間労働者についてのみ学歴を聞くのは困難であるというバックア
ップデータのようですけれども、少なくとも、納得させられるデータにはなっていないと
いうことと、ここでアンケート調査とおっしゃっているのは、これは大体何件ぐらいで、
どういうところにアンケートされたのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 アンケートにつきましては、
試験調査を一緒に行っております。ですので、ほぼ試験調査の回答企業と同じ、回答事業
所と同じ数ですが、アンケートのみ答えてくれたところも数件ございます。
しろまる白波瀬部会長 試験調査は、大体、どれぐらいの事業所数だったのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 大体1,000件ぐらいです。
しろまる白波瀬部会長 1,000件ぐらいですよね。
試験調査ということで、
1回項目を入れたらと
いうことなのですけれども、試験調査の結果が実際の調査結果を代表できるようなサンプ
ルサイズとなっていて、
そして、
偏りがないことを保証したものになっているかというと、
なかなかそうではない。一つの目安にはなるかもしれないのですが、その結果を用いて、
変更について正しいと言えるのかどうか。逆に言えば、やはり目安になるということと、
変更することの根拠になるのかということでは、若干違いがあるというのが1点です。
恐らく、ここで御説明されているのは、もちろん推計等で必要なだけの数というのはあ
るのですけれども、現場の方の調査状況ということがきっとあって、それはこういうデー
タの背景にある実態なのだと思うのですけれども、今、おっしゃったように、本人に聞い
て記載させていると。これはもう明らかに越境で、そういう形で聞いてほしいという方に
は聞くべきではないと思うのですよね。調査実施者としては、そういう形で聞いてくださ
いと言っていない訳ですから。ですから、そういう強制性があるとみなすのは、若干難し
いところかと思います。
加えて、雇用の実態として、どうやら学歴を聞かないで短時間労働者を雇用していると
いうのも一つの実態ですし、あと、学歴が分からない。これだけの規模の中で、実際に契
約をするときに、学歴は分からないとか、学歴を聞いていないということが、どの程度あ
るのかが分かるというのは非常に大きいことだと私は思うのですね。
つまり、結果として、8割のデータで、これをどう一般化しますかという話もあるので
すけれども、調査の実態として、こういうものがあるということなのです。そこでもう一
つ御懸念されているのは、今までは、そういう意味で、実態として御本人に聞いて記入す
-10-
るぐらいの、ある意味の強制性があったところを、
「不明」というカテゴリーを入れること
によって、そこの強制性という機能がもう期待できなくなって、実質的には、調査として
質的にかなり低くなるのではないかという御懸念をお持ちと言うことですね。
この辺りを一つの目安として調査したいということなのですけれども、やはり調査方法
のそもそも論から考えたときに、カテゴリー別に属性を一方は聞いて、一方は聞かないと
いうような聞き方がまずおかしいです。と言いますか、そこで分析したり、作り込めない
と言いますか、どちらを目的にして、何を見たいのかといったときに、もうカテゴリーで
決め打ちで、ある特定のものを聞かないというのは、非該当というのはいいのですけれど
も、その辺りのところが最後まで気になるところではあるのですね。ですから、ここでの
一番の問題は、
「不明」を入れることによって、今まで回答してくれていた被調査者が回答
してもらえなくなることにつながるのではないかというところで、このデザインでの試験
調査を1回行うかどうかということではないかと思うのです。あるいは、もう一度再検討
していただいて、一般労働者と同様に学歴を聞いていただくか、2つあるような気がする
のですけれど、その辺りいかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 いずれにいたしましても、学
歴を調査する方向性については、調査実施者としては全く異論ない状況です。ただ、現在
の、今の御指摘踏まえまして、ここで方針どうこうと言いましても、全部回答はできない
状況ですので、持ち帰って検討させていただければと思いますし、それについてもいろい
ろまだ御議論とか御指導いただければと思っております。
しろまる白波瀬部会長 それでは、是非、今回の意見をお持ち帰りいただいて、御検討いただき
たいと思います。その上で、またこちらの方でも引き続き議論を進めたいと思います。再
検討するということで、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題、職種番号の見直しにつきまして、御質問、御意見はございますで
しょうか。永瀬委員。
しろまる永瀬委員 すみません。10ページの事務職について、例えば、マーケティング、企画、
宣伝、調査、国際、人事、法務等の仕事が、どの職種分類に入るかについて、それぞれこ
こだと回答いただいたのですけれども、
今回いただいたA3の大きな表と見合わせますと、
例えば、人事系事務員というのは、試験調査では301番の庶務・人事事務員に含まれるけれ
ども、最終的な提案としては、このA3の2ページの25の一般事務従事者の中の25aの庶
務・人事事務員ではあるけれども、日本標準職業分類では251と252の庶務・人事事務員、
人事事務員であるけれども、結果として、賃金構造基本統計調査では201番として、一般事
務従事者とするという見方でいいのでしょうか。
あるいは、302の企画事務員ですけれども、それについては、日本標準職業分類では、こ
のA3で見ますと、253番の企画事務員に当たるけれども、賃金構造基本統計調査では、一
般事務従事者という201番に統合する。あるいは、受付などについても、日本標準職業分類
では254番に当たるけれども、
賃金構造基本統計調査では一般事務従事者に統合する。
秘書
についても同様に255番で、日本標準職業分類では分かれているけれど、賃金構造基本統計
調査では201番に統合する。電話応対事務員だけは256番で、日本標準職業分類で分かれて
-11-
いて、賃金構造基本統計調査でも202番として電話応対事務員とする。
それと、306番の総合事務員というのは、どこにあるかよく分からないのですが、やはり
一般事務員で、
その他一般事務従事者というのは259番で、日本標準職業分類では分かれて
はいるけれど、
賃金構造基本統計調査では、
やはり201番の一般事務従事者に統合するとい
う、
つまり、
ここに記載してあるのは、
日本標準職業分類上は結構分かれているけれども、
賃金構造基本統計調査では一般事務従事者ということで統合するという御回答と思ってよ
ろしいのでしょうか。教えてください。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 御指摘のとおりでございまし
て、一般事務従事者でくくるということです。
しろまる永瀬委員 その理由というのは、
8ページから9ページということでしょうか。
つまり、
個別の聞き取りによると、と言いますか、前回の統計委員会で不明が多かったと出ていた
のでしょうか。どういうことでしたでしょうか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 お答えいたします。このA3
のちょうど2ページの右の方に、一般事務従事者についての考え方を抜粋して記載してい
るところですけれども、基本的に中小規模事業所におきまして、事務全般を横断的・総合
的に行っているといった状況でございまして、それぞれの区分に分けることが難しいとい
った実態がございました。また、大規模事業所におきましても、人事異動によって、その
都度配属先の業務を行っているにすぎないといった話がございまして、特別、特定の職種
を担っているということではないといった状況ですので、
そのようなことから考えますと、
一般の従事者を更に細かく分類分けしていくことは難しいと考えておりまして、この中で
比較的独自性が高いのではないかと考えられる点を、事務員のみを単独の区分として、そ
の他統合するといったことで、こうした区分設定を考えたところです。
しろまる永瀬委員 理由は理解できなくもないのですが、同一労働・同一賃金ですとか、職種別
にはどうなのかが非常に大きな政策課題でもあり、知りたいことでもあると思うのですけ
ど、これで見ますと、国勢調査の就業者数ですと、700万人ぐらいが1つの分類になってし
まうのは、せっかく見直しをする中で残念なことだと思います。
例えば、大企業で、そのときそのときに就く仕事が違っているというのであれば、その
時点での仕事を回答してもらえば良いのではないかなとも思うのですが、その辺はどうな
のでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 新しくカテゴライズされた新職種では、そこが統合されたというのが一
番大きいところですけれども。つまり、少し分かりにくい資料になっていて、旧分類と新
分類をとにかく対応させてくださいということだったのです。それで、ここでの一番大き
な変化は、
一般職のところで分類がゼロというのが一番大きいところですか。
そうしたら、
その背景には、一般職自体の中身について、そういう人事管理を行っている事業所と行っ
ていない事業所があるからというところと、今回の一般職の未回答率の高さの背景に、特
定の大企業が答えなかったのが大きかったということでしたので、それを差し引いて、他
との状況は確認されましたか。持ち帰りますか。どうされますか。
-12-
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 そうですね。持ち帰らせてい
ただければと。
しろまる白波瀬部会長 はい。それでは、職業分類というのは結構煩雑なことですので、もう一
度、持ち帰っていただいて、ここで最初に確認したいのは、新分類と旧分類で何が一番大
きな違いなのかと。
これはポイントで出していただき、
そこのところで一番大きなものは、
ある特定の分野を統合しているということであれば、その中身が分かるようなデータを出
してもらって、結局、今の永瀬委員の御指摘は、それを統合することは改悪なのではない
かという御意見です。ですけども、改悪ではないという御説明でした。
しろまる永瀬委員 改悪かどうかは分からないですけれども、日本の事務職の分類が非常に大き
くなって、先ほど700万人と申しましたが、確認しましたら、800万人がほぼ1分類になっ
てしまうことについて、もう少し何かできないのか御検討いただきたいということなので
すけど。
しろまる白波瀬部会長 もう少し何かできないかということは統合しないということですね、こ
こでは。
しろまる永瀬委員 そうですね。例えば、人事と庶務と何かが一緒になっているというのでした
ら、そういうものが統合されている分類と別の分類もあり得るのかなと思うのです。それ
から、大企業の場合、例えば、企画職に就いていた人が、またしばらく経つと、営業に就
くとしても、そのときそのときの職種を回答するというので、私は情報としては良いので
はないかなと思いますけれど、その辺を御検討いただければということです。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 1点だけコメントさせていた
だきますと、やはり大企業ではその辺りが分かれていることもあるかと思うのですけれど
も、中小企業になりますと、それぞれを横断的にやっている実態がございますので、試験
調査の結果をもう一度確認した上で御回答させていただきたいと思います。
しろまる白波瀬部会長 そうですね。1つに統合するか、そこで2つぐらいに分けてみるとか、
少し結果の中身と、今申し上げましたけれど、未記入率が高くなったのは、特定企業によ
るということでしたので、
その企業を抜いた状態で確認していただいたときの未記入率が、
もしそれほど遜色ないものであれば、それは特定企業によるところと考えられますが、御
検討いただけますか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 未記入の事業者もございます
し、数字の出方、国勢調査との整合性も視野に入れながら検討させていただきたいと思い
ます。
しろまる白波瀬部会長 よろしいでしょうか。それでは、再検討をよろしくお願いします。
4点目について、他にいかがですか。北村委員。
しろまる北村委員 大企業において事務職の未記入率が高いというところですね。説明だと、1
つの事業所がかなり未記入なために、それによってバイアスがあるということなので、確
認なのですけれど、先ほどの5ページの試験調査における未記入率のところも、その企業
が影響を与えていると考えていいのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 5ページの方は、学歴の未記
-13-
入率ということでございまして、職種等が違います。職種の未記入率は、この全体的な未
記入率でございますけれども、手持ちの資料が今すぐ出てこないのですけれども、学歴に
ついてはかなり低い状況がありましたけれども、短時間労働者の学歴ですね。学歴以外、
あったのですけど、それ以外につきましては大体9割ぐらい。高いところですと、9割以
上は記入されていた状況でございました。
しろまる北村委員 1社、1事業所で答えなかったところがあって、9割以上の事業所は、学歴
については答えたと考えていいのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 すみません。手元に資料がな
くて、申し訳ございません。単純な平均での未記入率の数ですけれども、大体9割ぐらい
の事業所は記入されていたということです。
しろまる白波瀬部会長 多分、言い換えれば、職種の中だけ拒否されたと聞いたのですけど、そ
ういうことではないのですか。
しろまる北村委員 私は、全般的に、この1事業所の回答率が悪くて、調査票全体が未記入だっ
たのか、それとも職種のところだけ未記入で、他の項目は丁寧に答えていたのか、どうい
うタイプの事業所だったのかを確認したいと思ったのです。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 職種だけ調査拒否という形で
記入されていた状況です。
しろまる白波瀬部会長 あとはよろしいですか。
しろまる北村委員 はい。
しろまる白波瀬部会長 よろしいですか。要するに、4番目は、特定1社の未記入によって率が
高くなっているということだったということなのですね。職種と学歴については再検討と
いうことでよろしくお願いいたします。
それでは、次に進みたいと思います。新規学卒者の給与については、後の方で議論した
いと思いますので、資料2-1の審査メモに沿って、残された論点についての審議に入り
ます。
審査メモ8ページの「オ 「役職番号」及び「経験年数」の調査対象事業所の変更」に
ついて、事務局から説明をお願いします。
しろまる山崎総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 それでは、最初に、審査メモ9ペー
ジの「
(ア)
「役職番号」を把握する範囲の変更」について説明いたします。
役職番号につきましては、
企業規模100人以上の事業所を対象として、係長以上に相当す
る労働者の役職を把握しております。
今回、
役職者を含む全ての労働者の職種区分を把握するよう変更することに伴いまして、
職種別の集計結果との接続を可能とするため、試験調査による検証結果を踏まえ、役職番
号を把握する事業所の範囲について、事業所規模10人以上の事業所に変更する計画です。
これにつきましては、職種区分との整合性を確保することにより、職種別結果とのクロス
集計を可能とし、労働者の賃金のより的確な実態把握に資するものであることから、おお
むね適当と考えておりますが、試験調査時の計画から変更した事項や、更なる改善の余地
はないかなど、論点を6つに整理しております。
-14-
次に、審査メモ10ページの「
(イ)
「経験年数」を把握する範囲の変更」について、併せ
て説明します。
「経験年数」を把握する調査事項につきましては、企業規模にかかわらず、本調査の対
象となる常用労働者5人以上の民営事業所及び常用労働者10人以上の公営事業所の全てを
対象に、先に述べました「役職番号」に該当する係長級以上の役職者を除いた労働者につ
いて、
「職種番号」に加え、現在の職場だけではなく、他の企業・事業所においても同一職
種に従事していた場合は、その年数を含め、当該職種に従事している通算の年数を把握す
るものです。
しかしながら、従来から事業所規模10人以上の事業所のみを集計対象としており、事業
所規模5人以上9人未満の事業所に係る集計は行っておりません。調査結果の利活用が図
られていない状況も踏まえまして、今回、
「経験年数」を把握する事業所の範囲を事業所規
模10人以上の事業所に変更する計画です。
これにつきましては、報告者負担の軽減に資するものの、調査結果の利活用等の観点か
らみて適切かなど、5つの論点を整理しております。
事務局からは以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。それでは、厚生労働省から、論点に対する回答
をお願いします。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 それでは、御回答を申し上げ
ます。資料2-2の17ページ「オ 「役職番号」及び「経験年数」の調査対象事業所の変
更」ところです。
「役職番号」を把握する範囲の変更。論点1ですが、本調査事項に係る集計結果、過去
5年間、どのように推移しているかですが、これは別紙1-4で示させていただいている
とおりです。御確認いただければと思います。
論点の2つ目です。本調査事項の集計結果については、具体的にどのような利活用ニー
ズに応じて、集計・提供してきたものかというものです。
役職につきましては、賃金決定の基本的要素の一つとして賃金構造の分析に欠かせない
変数と考えております。また、役職者に占めます女性割合を算出し、女性の職業生活にお
ける活躍の推進に関する法律におけます企業認定基準、
「えるぼし認定
(女性活躍推進法に
基づき女性活躍を推進する企業におくられる認定制度)
」とかもございますけれども、
その
ような設定のための基礎資料とか、働き方改革実行計画の指標であります民間企業におけ
ます女性管理職比率状況の確認資料として、特に女性関係で、行政上ではよく使われてい
ます。
論点の3番目でございます。
「企業規模100人以上の事業所」を、本調査事項の調査対象
事業所としてきた理由は何か、というところです。
現在の役職者の定義につきまして、別紙4で付けておりますので、こちらを御覧くださ
い。別紙4で、部長級でいいますと、ここの説明事項の中にありますとおり、事業所で通
常「部長」又は「局長」と呼ばれる者としておりますけれども、その組織が2課以上から
なる、又は、その構成員が20人以上のものの長をいう、としております。
-15-
同じ別紙4の右の方、課長級ですが、ここの人数要件的なものといたしまして、2つの
係以上からなり、又は、その構成員が10人以上という基準も設けているといったところで
す。
このように役職者の定義を呼称のみではなく、職務の内容及び責任の程度に応じて定め
ておりまして、
「企業規模100人未満の事業所」と「100人以上の事業所」で、この状況につ
いて違いがあるのではないかと考えられているところです。
同じ役職でも、企業規模ごとに意味合いが違うところがありまして、大企業、中小企業
で単純に比較は難しいのではないかということもありまして、
「企業規模100人以上の事業
所」に限定して調査してきたとところです。
論点の4番目でございますが、試験調査において、全ての事業所を対象に役職の調査を
実施した理由は何かです。試験調査の結果がどのようなものであったか。また、本件の変
更申請で、調査対象事業所を「事業所規模10人以上」と限定した理由は何かといったこと
です。
現行ですけれども、職種の関係で説明させていただきますと、職種については、役職者
以外について調査しており、役職者については、職種を調査していないといった調査体系
となっておりました。
そのようなこともございまして、職種の調査対象を役職者を含む全労働者に拡大すると
いうことが今回の考え方でして、今後、職種別集計につきましては、役職者が含まれる状
況になります。今後、この現在の集計の接続性を確保する必要性もありまして、そのため
に、役職者を除いた職種別集計表が必要ではないかと考えております。
そのようなこともありまして、試験調査では全事業所の労働者について役職を調査する
こととし、その記入可能性について確認したところです。
試験調査の結果につきましては、この資料2-2の18ページに表を付けておりますとお
りです。一番上の表、賃金の状況ですが、これは各規模ごとに見ましても、部長、課長、
係長の順という数字も出ておりまして、役職別にその傾向が出ていると考えています。
一方で労働者数のところですが、その2番目の表を御覧ください。企業規模「1,000人以
上」、「100〜999人」
、この2つの規模では、上位の役職で少なく、下位の役職で多くなって
いますが、
「10〜99人」では同程度、
「5〜9人」では部長が多くということで、逆転して
いる状況となっています。
これにつきましては、
「5〜9人」のところにつきましては、先ほど資料で説明いたしま
したとおり、現在の定義とは相入れないところがありまして、そのようなことから、この
ような結果が出ているところです。
今回の調査計画の変更につきまして、どのような範囲とするかですが、企業規模10人以
上のところにつきましては、
この定義の中で比較的記入が可能であると考えておりますが、
やはり企業規模5〜9人につきましては、定義の見直しも伴わないと、難しいのではない
かというところもありますし、やはり5〜9人のところに報告者負担をどこまで求めるか
もありまして、そのようなことも踏まえて、役職者の調査対象範囲については、企業規模
10人以上、少なくとも事業所規模10人以上と同等の賃金構造と同じ意味合いでございます
-16-
けれども、そこに限るとしたところです。
5番目の論点です。調査対象事業所の範囲を変更することにより、過去の調査結果の時
系列比較についての支障はないかということですが、これまで説明いたしましたとおり、
企業規模によって、同じ役職でも意味合いが異なるであろうことは十分考えられるところ
でして、利用者の誤解を招かないように、従来どおりの企業規模100人以上という集計区分
を残すこととし、新しく10〜99人について調査するわけですけれども、これは分けた状態
で集計表を作成することで考えております。
論点6点目です。利活用の点から見て、本調査事項の把握範囲の変更は、十分かつ適切
なものとなっているかですが、これにつきまして、これまで企業規模100人以上としたとこ
ろを10人以上とすることで、職種別集計の接続性の確保に資するのみではなく、これまで
調査対象外としていた10〜99人につきましても、役職者の賃金の実態が明らかになると期
待しているところです。
なお、5〜9人につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、本調査の定義と相入
れないところがございますので、この区分につきましても調査は見送ることとしたいと考
えております。
続きまして、
「経験年数」です。資料2-2の20ページです。
「経験年数」の過去5年間
の推移ですが、これは別紙1-5のとおりの状況です。
論点の2番目、本調査事項の集計結果について、具体的にどのような利活用ニーズに対
応して集計・提供してきたものか、ということです。経験年数につきましては、専門性の
高い職業を中心として、中途採用時につきましては、当該職種でのそれまでの経験が賃金
額に大きく影響することが多いと考えられるということです。これにつきましては、勤続
年数、年齢とはまた異なる賃金決定要素として、経験年数が1つの重要な変数であると考
えられることから調査・集計してきたところです。
論点の3番目です。本調査事項につきまして、従来、5〜9人未満の事業所に係る集計
を行っていない理由は何かということですが、
これにつきましては、
別紙5を御覧下さい。
職種、性別の標本労働者数、サンプル労働者数ですが、その状況になります。この区分に
つきましては、職種別の集計対象労働者数は少ないという状況があります。一番多いとこ
ろで、別紙5の表面の下の方で、営業用大型貨物自動車運転者が618人、中ほど少し下の方
に、販売店員566人、裏面の方で、自動車整備工668人が多いところです。御覧のとおり、
大体2桁とか1桁といったところが非常に多い状況でして、これを経験年数別に更に細か
くしますと、十分なサンプル数が得られないといった状況がございました。そのようなこ
ともありまして、表集計をできなかったといったものです。
今回の変更につきましても、このような5〜9人の事業所にかかります職種別集計につ
きまして、クロス集計を行うのは、属性は性別のみを考えておりまして、経験年数につき
ましても同等と考えているところです。
論点の4番目です。調査票情報の二次的利用等の面で支障が生じるおそれはないのかで
す。これにつきましては、調査票情報の二次利用につきましては、実際に5〜9人の事業
所の経験年数の提供実績がありまして、主として研究機関におけます賃金動向等の多変量
-17-
解析などの研究目的で利用されていると承知しております。ただ、今回の変更につきまし
ては、一次集計ということで、集計に利用しない項目ですので、今回、調査を行わないこ
とはやむを得ないと考えています。
論点の5つ目、利活用等の観点から見て、本調査事項の記入対象範囲の変更は、適切な
ものになっているかです。
今回の変更につきましては、
集計予定のない範囲につきまして、
記入対象から除外するものですので、報告者負担軽減の観点からは適切なものと考えてい
ます。以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明を踏まえまして、御意見、御質問のある方は、発言をお願いし
ます。いかがでしょうか。
まず、役職のところですね。事業所規模100人以上から10人以上になったということで、
それは改善というか、中が見えやすくなっているということと、10人未満ということにな
ると、そもそもの定義のところで無理が生じているので、今回については10人以上という
ような御説明だったと思いますけれども、この辺りはよろしいですか。川口委員、いかが
ですか。よろしいですか。
しろまる川口専門委員 はい。
しろまる白波瀬部会長 それでは、次の論点としまして、
「経験年数」を把握する範囲の変更につ
いて、いかがでしょうか。
これについても、集計してみたけれど、非該当と言いますか、統計的に耐え得るだけの
該当件数がないところもあってというお話もあったと思うのですけれども、件数そのもの
はやはり重要だと思うのですが。
しろまる嶋崎委員 最後のところにありますように、集計に実際には使わないということですの
で、報告者負担の軽減と、小規模のところについては、御提案のとおりで結構だと思いま
した。
しろまる白波瀬部会長 はい。基本的にサポートしていただいているという感じでよろしいでし
ょうか。永瀬委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、ただ今の説明を踏まえまして、この件につきましては、変更計画案に特段の
異論はありませんでしたので、とりあえず現時点で適当と整理させていただきます。あり
がとうございます。最終的には全ての変更事項について再度確認しますけれども、この時
点では適当ということで、ありがとうございました。承認いただきました。
続きまして、審査メモ11ページの「カ 労働者の「通勤手当」、「精皆勤手当」、「家族手
当」を把握する調査事項の削除」について、事務局から説明をお願いします。
しろまる山崎総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 それでは、審査メモ11ページの「カ
労働者の「通勤手当」、「精皆勤手当」、「家族手当」を把握する調査事項の削除」について
説明します。
本調査では、これまで最低賃金の審議に係る検討の基礎資料とするため、
「製造業」、「卸
売業,小売業」、「物品賃貸業」などのうち、一定規模以下の比較的小規模な事業所のみを
対象として、
「決まって支給する現金給与額」の内訳として、
「通勤手当」、「精皆勤手当」
-18-
及び「家族手当」を把握してまいりましたが、調査対象範囲が比較的小規模の事業所に限
定されるため、他の利活用には使い勝手が悪いデータとなっており、また、最低賃金の審
議には、他の統計調査結果により代替可能であることを理由として、今回、本調査事項を
削除する計画です。
これにつきましては、報告者負担の軽減に資するものの、削除に伴う結果利用上の支障
等が生じないかなど、論点を4つに整理しています。事務局からは以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。それでは、厚生労働省から、論点に対する回
答をお願いいたします。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 御回答申し上げます。資料2
-2の22ページになります。
論点の1点目です。本調査に係る集計事項、過去5年間、それぞれどのように推移して
いるのかということです。
まず、回答の前に、この調査項目の利用状況についてお話しいたします。この「通勤手
当」、「精皆勤手当」、「家族手当」
、これは「3手当」と呼んでおりますが、これまで最低賃
金の審議資料に賃金構造基本統計調査を活用するため調査してきたところです。これは特
定産業の小規模の事業所に限り調査を行ってきているところですが、資料2-1審査メモ
の11ページの現行の調査票にありますとおり、(17)、(18)、
(19)の赤く囲んであるところ
ですが、製造業では99人以下の事業所、卸売・小売、飲食サービス等々では29人以下の事
業所のみ記入ということで、特定の小さい事業所にのみ調査をしているところでして、全
体をあらわすものでない状況です。そのようなこともありまして、専ら最低賃金の審議の
資料作成で使っているのみでして、賃金構造基本統計調査では集計を行っていなかったと
ころです。
そのような状況から、この3手当を最低賃金の審議でも特段それのみを抜き出している
わけではありません。その数字を活用いたしまして、いわゆる未満率とか影響率を出して
おります。これにつきましては資料6を御覧いただければと思いますが、平成30年度の最
低賃金に関する審議の中で使われた資料でございますが、未満率とか影響率の数字につい
て出させていただいております。未満率といいますのは、最低賃金額を改正する前に、最
低賃金を下回っている労働者割合。影響率といいますのは、最低賃金額を改正した後に、
更にその後に最低賃金を下回ることになる労働者割合でして、このグラフのイメージのよ
うなところです。このような形で数字は使われていたところです。
論点の2番目です。本調査事項の集計結果については、具体的にどのようなニーズに対
応して集計・提供してきたものか。集計結果以外に、他の調査事項の審査・分析等に活用
していないのか。また、二次的利用の使用例はどうなっているのかです。
3手当につきましては、先ほど説明いたしましたとおり、政策立案、行政運営上の活用
につきまして、専ら最低賃金の審議資料に活用するのみで調査してきたものです。本調査
結果として、集計・公表していないことから、その他の行政運営及び集計によります一次
利用での利用実績はないといった状況です。
なお、統計法33条に基づきます調査票情報の二次利用につきましては、平成29年度で5
-19-
件、平成30年度で13件の実績があるという状況です。
論点の3番目です。本調査事項につきまして、他の統計調査の結果に代替可能な情報は
入手できるのかですが、今後の最低賃金の審議資料につきましては、
「最低賃金に関する実
態調査」というものを行っておりまして、こちらを用いて作成すると整理をさせていただ
いています。
また、厚生労働省が実施しております「就労条件総合調査」におきまして、5年に一度
ですけれども、
「通勤手当」、「精皆勤手当」などの諸手当について、制度を有する企業割合
や労働者1人平均支給額などを調査しています。
論点の4つ目です。
「上記1から3の結果等からみて、削除による支障等は生じないか」
ということですが、現在、この3手当につきましては、一部の小規模事業者のみ調査して
いるところでして、一般的な利用としては、全体をあらわしていないこともありまして、
利用勝手が悪いと考えています。
最低賃金の審議資料につきましては、他の調査で作成可能であることから、今後につき
ましては、この3手当の調査事項を削除することにつきまして、行政運営及び一般利用上
の支障は想定しておりません。
二次利用につきましては、利用実績がございますけれども、今後、一次利用の見込みが
ないところから、報告者負担を考慮しますと、削除はやむを得ないと判断しています。以
上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明を踏まえまして、御意見、御質問ある方は、発言をお願いいた
します。川口委員。
しろまる川口専門委員 今の回答の1点目なのですけれども、この削除する項目が、大体、全体
の何%ぐらいだったのかに関して、今の回答ですと、本調査結果としては、3手当の集計
公表は行っていないというだけの回答になっており、これはもっともな質問だと思います
ので、もう一度、再集計などを行って、この部分に関しては、しっかりと回答するべきで
はないかと思いました。
その上で、手当の割合が下がってきているなどがあれば、ここは要らないという話にな
ると思います。
それから、3番目の代替可能な情報なのですけれども、この最低賃金に関する実態調査
を使って、これは恐らく未満率とか影響率を計算していくことになると思うのですけれど
も、サンプルサイズの点などで、賃金構造基本統計調査は非常に大きな調査ですので、非
常に高い精度で今まで計算できていたと思うのですけれども、その点、高い精度が今後も
得られる見込みがあるのでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 1点目につきましては確認さ
せていただきたいと思っております。
2点目につきましては、こちらは、最低賃金に関する実態調査の担当に確認しないと答
えられないところもありますけれども、この調査自体の対象は、調査票に記載されており
-20-
ます、この規模の区分でやっておりまして、基本的に最低賃金は小規模事業所の最低賃金
の状況、低賃金でそのような状況を調べてありますので、小規模事業所に限って調査して
いますので、そのような観点からすると可能ではないかと考えられますけれども、調査担
当とも確認させていただきたいと思っております。
しろまる白波瀬部会長 川口委員からの御質問は、
非常に重要な点だったのですけど、
1点目は、
やはり限定的な対象と言っているのですが、その対象が全体の中でどれぐらいのパーセン
トを占めていて、その結果、どのようになっているのかという、大変基本的なところをお
聞きになっているのですね。そこで、全体の中の割合等がどうなっているのか、結果表を
出してもらったらいいということで、それで下がっているか、要らないかどうかは、私は
分からなかったのですけれども。
ですが、
そのトレンドをまず確認してくださいというところが一番大きいと思いますね。
それと今、最後のところの最低賃金に関する実態調査で代替したいということで、こちら
の方が有益だからということだったのですけれども、その妥当性、つまり、最後に言われ
たところは、ある意味では、非常に難しいのだけれども、この賃金構造基本統計調査で得
られる結果と同じぐらいの精度をこの代替するという一般統計調査において確保できるの
ですかという御意見、御質問だったのですね。それについて、まず、具体的なサンプルサ
イズとか、どれほどの回収率とか、それをもって、こちらとしては最低賃金に特定化して
いる、極めて精度が高いと判断できる、テーマもピンポイントなので、より適切なもので
ある、そういう説明がほしいということなのです。今、3つ申しましたけれども、それら
について資料を作ってください。よろしいでしょうか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 確認させていただきます。
しろまる白波瀬部会長 他には、いかがでしょうか。北村委員。
しろまる北村委員 これは後で議論すると思うのですけれども、初任給のところでは、代替集計
によると、通勤手当を含むものにしますという議論だったと思うのですけれども、こちら
では、それは削除しますという議論になっていて、それって何か同じ調査の中で、どうい
った哲学と言いますか、どこまでどういうことをきちんと捉えた方が良いのかの議論につ
いて、お考えをお聞きしたいのです。
しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 まず、通勤手当のとり方につ
きましては両方の側面があるということは十分あるのですけれども、それぞれの事象とし
て捉えて、今回判断したところがあります。まず通勤手当含めた3手当につきましては、
専ら最低賃金の審議ですね。下の方の活用目的として調査してきたところがありまして、
今回の整理に基づきまして、本来の目的からは調査しない、必要ないといった状況になり
ましたので、廃止することとしました。廃止するにつきましては、繰り返しになりますけ
れども、やはり特定のところについてのみ調査していて、全体をあらわしていないところ
もあり、廃止は適当と考えています。
初任給につきましては、
通勤手当を更にとるかという話はあるかと思うのですけれども、
やはり更にこの通勤手当を、初任給から排除するために更に調査しようとしますと、調査
-21-
範囲の拡大にもなりますし、通勤手当もまた今まで記入対象でないところまで記入を求め
なければいけないといった問題等も踏まえまして、改正すべきといったところを考えてお
りますが、御指摘の点につきましては、なかなか整理が難しいところも実はあると思って
おります。
しろまる白波瀬部会長 北村委員、いかがですか。
しろまる北村委員 いろいろな福利厚生みたいなものを含めないで、本当の実質的な賃金を見た
いというのが、この調査の本来の目的であるならば、それに従って調査をデザインすべき
で、そうしますと、労働者の通勤手当とか家族手当とか、そういう最低賃金のときに除い
ているものについては、除いた賃金で比較する。その場合は、普通の従業員、雇用者であ
っても、初任給であっても、同じ定義で把握するのがすっきりしていて、考え方としては
良いのですけれども、片方は使っていないから除きます、もう片方は除くのが難しいから
入れますというのは、いかがかなというところなのですが。
しろまる白波瀬部会長 初任給のところは話が多分違っているかもしれないので、それはまた改
めて、後ほど議論させていただくということなのですけれども。北村委員の御意見の重要
なところは、やはり哲学の問題で、まずは今まで最低賃金もきちんと見ることができてい
たというところと、多分、調査実施者はどちらかというと、現場の負担感の話が少し前面
に出ていて、それを何とかして説明しようとしているから、とても変な構造になっている
と思うのですね。
現場の負担感は、
それはそれで無視はできなくて、
表の中の小さい字で、
この箇所とこの箇所に該当するところだけ答えて下さいというのは、やはり私も調査自体
としては、あまり良くないとは個人的には思います。でも、現場の負担感というのが非常
に大きいとか、記入に際して非常に困難であるというような、そういった御意見があるの
ですかね。その辺りの聞き取り調査の結果とかは、ありますでしょうか。そこはお調べで
はないのでしょうか
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 この点については聞き取りな
ど実施しておりません。
しろまる白波瀬部会長 これについては、実施していないけど、現場ベースでは、やはり負担だ
という声が上がってくる。もちろん負担と言い始めたら、何でも負担になってしまうので
すけれども、現場から声が上がってくるというのが、やはり必要になっているから、そう
したら、調査実施者だけがそう思っているだけではないのですかと言われたら、とてもや
はり心外だと思うのですよね。その辺りは、今日、東京都、御出席でしたでしょうか。今
日はいらしていないのですね。現場からの御意見が聞こえないのですが、その辺りの根拠
をどうしますか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 現場で調査をしています労働
局の職員ですとか、審査の状況など確認させていただければと思います。
しろまる白波瀬部会長 多分、理由がそこですから、やはり現場からの御意見をしっかり把握し
て、理由を挙げてもらわないといけないですね。最低賃金といっても、特定規模の特定業
種のところで最低賃金の把握はもう行っている訳ですよね。ですから、そこの限界性とい
うのは1つあるのではないかというのが問題提起だと思いますので、その辺りを整理して
-22-
御説明していただけますでしょうか。
他にいかがでしょうか。永瀬委員。
しろまる永瀬委員 統計法第33条申請に基づく二次利用で、利用実績がかなり平成30年度は13件
と多いのですけれども、これは最低賃金への関心で行われているのか、それとも、そうで
はなくて、むしろ手当が毎年分かるという、就労条件総合調査では5年に一度しか分から
ないのに対して、賃金構造基本統計調査は、すごく限定的ではあるけれども毎年分かると
いうところが、第33条申請の利用目的なのか。その辺について教えていただけますか。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。そこまで分かりますか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 詳細なところまでは御説明で
きない状況なのですけれども、双方あるという状況です。最低賃金に関するものまでは、
それ以外の目的にもなるといった状況です。
しろまる白波瀬部会長 ですから、ここで資料を作るのでしたら、第33条申請があったもののう
ち、最低賃金関係での利用目的とするものは、全体の何%ぐらいあるというようなデータ
があると良いかなという感じです。
しろまる永瀬委員 扶養手当の関係で、かなり最低賃金が色々議論になりましたよね。2016年に
500人以上事業所へのパートの短時間の適用拡大とか、それから、税金での就業調査の話と
かで、2015年、2016年、2017年辺り、この扶養手当の関心が非常に高まったと思うのです
けれども、確かに、これは中小企業だけなので、そこの議論とは全然関係ないような気は
するのですけれども、統計として、そういう関心が高まっていることに対して、この第33
条申請が増えたのかなと思ったということです。
私は、個人的には、就労条件総合調査は5年に一度となっていますので、少し不便にし
たことがあったものですから、質問させていただきました。
しろまる白波瀬部会長 その辺りは検討して、次回、御説明をお願いできますか。
あとはいかがでしょうか。
よろしいですか。それでは、
今の基礎データを含めて、次回、
追加のデータを出してください。よろしくお願いいたします。
続きまして、審査メモの13ページの「キ 調査事項の見直しを踏まえた事業所票と個人
票の統合」について、事務局から説明をお願いします。
しろまる山崎総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 それでは、
「キ 調査事項の見直しを
踏まえた事業所票と個人票の統合」について説明します。
本調査は、従来、事業所の属性や基本的事項等を把握する「事業所票」及び当該事業所
に雇用される各労働者の属性や賃金等の状況を個別に把握する「個人票」の2種類により
構成されています。
ここまで御審議いただきましたとおり、今回は、幾つかの調査項目を削除することとし
ているほか、後ほど御審議いただきますが、オンライン調査の導入に伴う電子調査票の作
成も考慮し、今回、事業所票と個人票を1つの調査票に統合し、再編する計画です。
この調査票の統合につきましては、調査票の縮減に伴い、報告者の心理的負担の軽減の
みならず、調査票の配布・回収、内容審査等の調査業務の効率化に資するものであること
から、おおむね適当と考えておりますが、報告者にとって紛れがなく、回答しやすい調査
-23-
票様式となっているかなど、2つの論点を整理しております。
事務局からは以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
厚生労働省から論点に対する回答をお願いいたします。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 それでは、資料2の24ページ
になります。
論点の1点目です。調査票の統合に伴い、報告者にとって分かりやすく、回答のしやす
い調査票様式となっているか。
特に、
従来の事業所票で把握していた調査事項については、
統合により、調査事項の設問形式やレイアウト等が変更されることとなり、報告者に紛れ
が生じるなどの支障はないかといったものです。
2点目、統合後の調査票ですが、資料2-1の13ページにございますとおり、回答欄以
外の箇所に着色をするといった視認性を高めるといったこと。
「労働者に係る事項」
部分の
選択肢、1人目の回答欄のみを文字で記載して、2人目以降は番号のみとすることで、ス
ペースを節約しつつ報告者に記入内容が視覚的に分かりやすいように改善することを考え
ております。
また、3点目としまして、給与額を記入する調査項目におきまして、報告者が賃金台帳
等から転記する際の四捨五入の負担をなくすため、
従来の100円単位の記入欄を改め、円単
位の記入欄といたします。
これにつきましては、
報告者負担といった部分もございますが、
実務上、どう見ても円単位で記載してくるところもございまして、それに対する対応とい
うのもございます。
4点目といたしまして、記入労働者、従来、抽出労働者数の欄でございますが、この欄
の記入を5項目から3項目に減らしているところです。
これは男女別につきまして、
うち、
女性、女とするなどの工夫をしているところです
調査票レイアウトにつきましては、基本的に従来と記載の順序が変わらないよう回答欄
を設置しています。
また、
回答を求める内容が従来の調査票と同一の事項につきましては、
基本的に同一の説明書きを利用して、内容に変更がある記入事項には調査票に詳細な説明
書きを行う。また、記入要領や記入要領早見表というものも用意しまして、現在もやって
おりますが、こちらの方で説明をすることで、報告者に紛れが生じないようにしたいと考
えています。
論点の2つ目です。統合後の調査票については、調査事項の縮減、レイアウトの見直し
など、更なる改善を図る余地はないかとありますが、調査票を1種類に統合することによ
りまして、従来の2種類の調査票を用いる場合と比べ、紙面のスペースが限られるという
状況が生じておりますが、
「新規学卒者の初任給」
、これらも審議いただくところですが、
この調査項目の削除に加え、スペースに無駄が生じないようなレイアウトの見直しを行う
ことで、必要な説明書きを減らさないことなど、報告者に分かりやすい調査票となるよう
にしております。
以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
-24-
それでは、ただ今の説明を受けまして、御意見、御質問のある方は、発言をお願いいた
します。いかがでしょうか。嶋崎委員。
しろまる嶋崎委員 1つ教えていただきたいのですけれども、この調査票の現物をコピーで資料
としていただいていますけれども、サイズはA4の配られたものが実際のサイズなのでし
ょうか。
それとも実際にはB4ぐらいになるのでしょうか。
配布されているものは、
随分、
一つ一つの選択肢、
特に学歴のところなど、
丸を付けるのは相当大変なように思いますが、
教えてください。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 この調査票のサイズはA4で
考えております。確かに区分のところがありますけれども、ここの今の調査票につきまし
ては、全てについて、例えば学歴ですと、それぞれ中学、高校、専門学校、短大、大学、
大学院と記載する形にしておりますけれども、一番上にのみ記載することで、記入がしや
すいような工夫を今回考えているところです。
しろまる嶋崎委員 それは分かりやすくなっていると思いますけれども、特に雇用形態は一つ一
つ破線を入れて、恐らく、これは大変重要な変数なので、セルを大きくしているのだと思
いますけれども、特に今回、学歴が2カテゴリー増えましたので、本当に細かいことで恐
縮ですけれども、もう少し調整されると良いのではと思いました。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 御指摘ありがとうございます。
そこは検討させていただきたいと思います。もう少しスペースをとれるかどうかですね。
全体のバランスをもう少し考えたいと思います。
しろまる白波瀬部会長 まだ今後カテゴリーも変わるかもしれませんし、それは分かりませんか
らね。御検討ください。
あとはいかがでしょうか。はい、どうぞ。
しろまる嶋崎委員 他の調査の審議の際にも出てきておりますし、白波瀬部会長もどこかの部会
でおっしゃっていましたけれども、やはり、オンライン調査が主流になってきたときに、
オンライン調査の調査票の形式ですとか、そこはどこの部会でも今まだ出てきておりませ
んので、オンライン固有の形式等の工夫などもあると思います。その辺りも、今回のこの
賃金構造基本統計調査の審議の場が適切かは分かりませんけれども、いずれかの段階で検
討する一つの項目になってきていると思います。感想として申し上げました。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。調査方法その他のところでまた戻りたいと思い
ます。
あとはいかがでしょうか。この点につきましては、よろしいでしょうか。ありがとうご
ざいます。それでは、この点につきましては、変更計画案を承認するという形で基本的に
進めさせていただきます。最終的なレイアウトについて、もう少し分かりやすくという御
意見もありましたけれども、現時点では原則承認したという形にしたいと思います。よろ
しいですか。
それでは、続きまして、審査メモの順番とは前後しますけれども、審査メモ17ページの「(3)集計事項の変更」と、審査メモには含まれておりませんけれども、推計方法の見直
-25-
しについて、先に審議を行いまして、審査メモ15ページの「
(2)調査方法の変更」につい
ては、本事項の後に審議することといたします。
推計方法については、承認事項である調査計画に記載されているものではありませんけ
れども、第III期基本計画において、回収率を考慮した労働者数の推計方法の変更が課題と
されていることを踏まえまして、厚生労働省から推計方法の見直し案が提出されているた
め、その内容についても併せて審議いたします。
それでは、審査メモ17ページの「
(3)集計事項の変更」について、事務局から説明をお
願いいたします。
しろまる山崎総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 説明いたします。今回の変更計画で
は、集計事項につきまして、既に御審議いただきましたが、幾つかの調査事項を削除する
こととしているほか、日本標準職業分類と整合的な職種区分への見直しを予定しているこ
とを踏まえ、今回、調査事項の削除に伴う集計事項の削除ですとか、産業と職業とのクロ
ス集計事項を追加するなどの変更を行う計画となっております。
また、今年4月26日開催の統計委員会におきまして、厚生労働省から、一部の集計事項
について、未集計・未公表となっているとの報告があったことを踏まえまして、改めて集
計事項の整理・見直しを行い、精度確保の観点から表章困難な集計事項を削除するほか、
これまで特別集計により作成していた集計事項の追加等を行う計画でございます。
これらにつきましては、調査精度の確保や利活用等の観点からみて、十分かつ適切なも
のとなっているか、更なる改善の余地はないかなど、7つの論点を整理しております。
事務局からは以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、厚生労働省から論点に対する回答をお願いいたします。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 では、資料2-2の32ページ
になります。集計事項の変更でございます。
論点の1点目、追加する集計事項の表章様式は、具体的にどのようなものか。当該集計
事項については、どのような利活用等が予定されているのか。また、職種区分の変更に当
たっては、これまでの集計結果との対応にも配慮されたものとなっているかです。
今回、職種区分を日本標準職業分類と整合的な区分にし、また、全労働者を網羅した職
種区分を調査することに伴いまして、職種別集計につきましては、職業大分類別の集計を
追加することを考えております。合わせて、産業(大分類)と職業(大分類)のクロス集
計を行う計画をしているところです。
これは、職種区分の見直しに伴いまして、調査事項から、
「労働者の種類」を削除してい
る関係から、この集計を拡大したものと位置付けられると考えているところですし、産業
によります職種別賃金の差異を把握できるなど、職種別賃金分析の有用性を高めるものに
資するものと考えております。
また、短時間労働者の経験年数につきましては、短時間労働者の職種、経験年数別集計
表を追加することとしております。短時間労働者につきましても、専門的・技術的職業を
中心に経験年数により大きく時間当たり賃金が異なることも考えられることから、集計表
-26-
の追加によりこうした状況の把握が可能になると考えております。
なお、
職種区分の変更に当たりましては、
過去の調査結果や他の統計との比較に配慮し、
現行の職種の対応関係、また、日本標準職業分類との対応関係について情報提供を行って
いきたいと考えています。
論点の2点目、過去の調査結果において未集計・未公表となっている個々の集計事項と
は、具体的にどのようなものか。
論点の3点目は、未集計・未公表となっていた集計事項の始期はいつか、また、未集計・
未公表に至った経緯は何かですが、これにつきましてまとめて説明いたします。
総務大臣の承認を受けました調査計画におけます集計事項のうち、未集計・未公表とな
った事案について、4月25日の点検検証部会のワーキング、翌26日の統計委員会で御報告
させていただきました。審査メモの方でも御指摘あったところです。その内容につきまし
ては、企業規模5〜9人にかかる小規模企業の集計表でございますが、この中で、
「職種、
年齢階級別所定内給与額等」、「初任給額等」、「標準労働者の特定年齢別所定内給与額分布」、「初任給額の分布」の4表が未集計・未公表となっておりました。
未集計・未公表となっていた時期ですが、
1番目の「職種、
年齢階級別所定内給与額等」
につきましては、昭和62年までは閲覧公表という形をしておりましたが、昭和63年から未
公表の状態になっておりました。
「初任給額等」につきましては、初任給額、昭和51年から調査をしておりますが、同51
年から未公表の状態となっておりました。
「標準労働者の特定年齢別所定内給与額分布」は人数の分布表ですけれども、そもそも
標準労働者の集計につきましては、企業規模10人以上を対象としておりまして、これは調
査計画上、5〜9人のところは除くと記載しているところです。平成17年から集計事項に
入れておりましたが、こちらの方に5〜9人を除くというところがなかったもので、結果
的に調査計画のそごが生じていたものです。
4番目の「初任給額の分布」ですが、これも平成17年から追加したものでございます。
それにつきまして、
平成20年まで未集計の状況、
平成21年から未公表となっておりました。
集計はしておりましたが、未公表となっていた状況です。
この状況及び経緯ですが、企業規模5〜9人につきましては、企業規模10人以上と同様
に集計しますと、特に集計対象が限定される集計表となります。また、集計区分が多岐に
わたっている集計表となっておりまして、統計精度としては担保されない部分がある中、
調査計画を変更して公表を取りやめる判断をしないまま、ここまで至ってきたというとこ
ろです。
主要な統計につきましては、5〜9人についても公表しておりまして、これらの未公表
の集計表に関する問い合わせ等もこれまで特段ございませんでした。
ただ、
一方で、
今回、
問い合わせをきっかけとしまして、この件が発覚したというものでもございます。
本件のこのような状態につきましては、昭和51年、平成17年といった各調査事項の追加
を行う際、調査計画変更後の集計時において生じておりまして、調査計画への反映・確認
等の際に事務処理に不備があったのではないかと推定されるところです。
-27-
論点の4点目です。
未集計・未公表事案につきまして、
具体的にどう対応するのかです。
職種、年齢階級別所定内給与額についてですが、こちらは別紙5を御覧下さい。これは先
ほども別の集計表で御覧いただいた表ですが、平成30年調査で職種別に一般労働者の集計
対象労働者を見た表です。最も多い職種で、
「営業用大型貨物自動車運転者」、「自動車整備
工」で600人を超えるといった程度でして、8割以上の職種で集計対象労働者数が200人以
下となっている状況です。
企業規模10人以上の区分と比べましても、
全体として1桁程度少なくなっておりまして、
このようなところから、性、年齢階級別の表章区分ごとのサンプルサイズは極めて小さい
という状況です。平成30年調査の状況で言いますと、職種と性と年齢階級、これをクロス
したサンプル数で言いますと、過半数がゼロ人といった状況、83%が5人以下、95%が20
人以下といった状況でして、表章に耐え得る結果が得られないと考えております。そのよ
うなところから、5〜9人につきましては、職種について調査していますので、年齢計の
み公表することといたしまして、年齢階級別集計の公表は見送ることとしたいと考えてい
ます。
年齢計につきましては、現在、作業中ですが、昭和63年以降の分を今年の3月までに追
加公表する計画です。
続きまして、順番が変わりますが、
「3 標準労働者の特定年齢別所定内給与額分布」で
す。標準労働者につきましては、学校卒業後直ちに企業に就職し、同一企業に継続してい
ると見なされる労働者について集計しているものです。その定義に該当する者を集計して
いるものですが、そのようなところもありまして、
「企業規模5〜9人」の区分におけます
標準労働者の比率は、学歴計で、一般労働者の約7%と状況となっております。集計の対
象となる労働者数はごく一部に限られています。平成30年調査につきましては、当該集計
事項について、集計を行っております。結果の数字につきましては非公表ですので、サン
プル数ということで、別紙7の方でまとめさせております。こちらの方を御覧いただけれ
ばと思っておりますが、こちらの表にございますとおり、5〜9人につきましては、多く
の区分では該当労働者数が「0」、「バー(-)
」となっております。又は、極めて少数とい
う状況でして、これは統計精度を確保できないと考えており、
「企業規模5〜9人」につい
ては公表を見送りたいと考えています。
続きまして、初任給です。初任給額全体と初任給額の分布についてですが、こちらにつ
いては、別紙8で、集計の事業所数、誤差率などについてまとめております。
この区分におけます新規学卒者数ですが、非常に少ない状況になっておりまして、復元
労働者数で見て、ここでは表には出しておりませんが、高校卒で1,750人、大学卒で850人
という状況になっております。
集計対象事業所数、集計対象標本数に該当するものですけれども、ここの表にございま
すとおり、高校卒で35人、大学卒で40人というところです。ここの網かけしていますとこ
ろは、賃金構造基本統計調査において大体5%を目標精度としているところを、それを超
えているところ。あるいはサンプル数3以下について注意を要するとしており、そのよう
なものについて網かけをしておりますが、ほとんどのところで、そのような注意を要する
-28-
項目になっているところです。
このようなところから、初任給額そのものはもう難しい状況ですし、分布表になります
と、更にこれは細かくなる状況ですので、これについては公表を見送りたいと考えており
ます。
論点の5点目でございます。
「上記を含め削除を予定している集計事項について、
削除す
ることによる結果利用上の支障はないか」ということですが、今回、削除を予定している
ものにつきましては、精度が確保できないものです。また、
「初任給」や「労働者」の種類
につきましては、今後は調査事項の廃止と、今後御議論もございますが、そのようなもの
に伴うと考えておりますので、適当ではないかと考えております。
また、
「労働者の種類」に関する集計は、製造業、鉱業などでとっていたもので、
「生産
労働者」と「管理・事務・技術労働者」別ですが、職種区分の対応関係を情報提供し、ま
た、先ほど御説明いたしましたが、産業(大分類)
、職業(大分類)のクロス集計を行うこ
とによって、利用上の支障が生じないように配慮していきたいと考えています。
論点の6点目です。これは調査計画事項ではございませんが、回収率を考慮した労働者
数の推計方法の変更についてです。今回の変更に伴いまして、過去の調査結果の断層はど
れぐらいなのか、遡及推計についてどうするのか、ということです。
まず現在の復元方法ですが、事業所抽出率の逆数に労働者抽出率については、事業所労
働者抽出の逆数を乗じることにより行っておりまして、
回収率を考慮していない状況です。
そのため、推計労働者数が母集団の労働者数よりも少なくなっている状況です。
また、層別の推計労働者数の構成比ですが、これは層ごとの回収率の影響を受けること
から、中長期的に回収率がやはり低下しているところがありますので、その層ごとの回収
率のばらつきが平均所定内給与額などの推計値に影響を与える可能性は否定できない状況
と考えています。
そこで、回収率を考慮した推計方法としまして、この囲みで示しております3案につい
て検討したところです。
案1ですが、これは事業所調査としては最も一般的な方法ではないかと考えております
が、現在の推計方法に回収率の逆数を掛けたもの、すなわち事業所抽出の逆数に労働者抽
出の逆数を乗じて、回収率の逆数を乗じるという方法です。
案2ですが、調査結果の常用労働者数が母集団の常用労働者数に一致するように復元す
る方法が案2です。
案3ですが、これは母集団におけます有効回答率の労働者数シェアの逆数を用いる方法
です。
それぞれの囲みにつきましては、この下にある囲みのとおりですが、案1につきまして
は、法人企業統計など、多くの事業所調査でとられている方法と承知しています。
また、母集団情報からの時点変化につきましては、事業所の改廃状況は、やはり反映さ
れないところがありますが、回答事業所におけます労働者数の時点変化については対応し
ているものです。
案2ですが、
これはもう母集団の常用労働者数をターゲットとして戻しておりますので、
-29-
母集団の情報にほぼ一致ですが、母集団情報からの時点変化につきましては、事業所の状
況、労働者数とも反映ができていないものです。
案3ですが、これは抽出層の層内で事業所規模による回収率に差がある場合を想定した
ものですが、一般的に規模が大きいほど、回収率がいい傾向となりますので、その影響に
より、労働者数が過大になる可能性を少なくできないか考えた方法です。これにつきまし
ては、臨時労働者数の復元について課題があるといった状況です。
それぞれの案につきまして、
労働者数及び所定内給与額の試算を行ってみましたところ、
労働者数につきましては、36ページのグラフのとおりで、案1から案3とも現行調査より
も母集団労働者数に近くなっています。案1と案3では母集団労働者もやや多くなってい
ます。案2につきましては、母集団を若干下回るといった状況になっております。
所定内給与額につきましては、一般労働者につきまして、37ページの上のグラフ、短時
間労働者が37ページの下のグラフといった状況になっておりますが、産業計で見ますと、
一般労働者、短時間労働者ともにいずれの案でも現行調査と比べて、プラスマイナス1%
以内の差異という状況でございます。これにつきまして、労働者数につきましては、案2
が母集団に最も近くなっていますが、これは母集団時点の労働者に戻るように復元したも
のです。
先ほど35ページの囲みの特徴で説明しましたことの繰り返しになりますが、母集団時点
からの時点変化が全く反映されないことに注意が必要であると考えています。そのような
ことから、調査実施者といたしましては、回答事業所におけます労働者数の時点変化が反
映されます案1、または、案3を採用することが適当と考えています。
案3につきましてですが、層内で事業所規模による回収率が下がる場合に優位であると
考えて検討したものですが、案1と案3で推計したところ、推計労働者数にほとんどかい
離がない状況を踏まえますと、案1によって、常用労働者数が過大もしくは過小に推計さ
れる懸念はさほど大きくないと考えられまして、これを理由として、案3を採用する必然
性は小さいと考えています。
また、この2つの案の賃金額についての試算結果につきましても、大きな差異は見られ
ないことから、簡潔性の観点、それと、他調査でも行っている方法という観点からしまし
て、案1を採用することが適当と考えています。
案1の復元倍率におけます産業別、企業別の推計結果。これにつきまして、別紙11、別
紙12となります。別紙11は労働者構成比、別紙12で一般労働者の所定内給与額を出してお
ります。それぞれ回収状況に応じ、それぞれいろいろ差が出ているところですが、このよ
うな状況となっています。
また、調査結果の遡及推計ですが、データの保存状況を考慮しますと、平成18年以降は
技術的に可能と考えています。それ以前につきましても、いわゆる電子媒体のデータがな
い状況もありますので、必要に応じて検討ということで、基本的には平成18年以降と考え
ているところです。
論点の7点目です。集計結果について、調査結果の精度確保や利活用の観点から見て、
十分かつ適切なものになっているかですが、今回の申請におけます集計事項につきまして
-30-
は、統計精度の観点から、表章に耐えない統計表は削除する一方、基本的に従来公表して
いた統計表は引き続き集計・公表することとしております。また、職種区分の見直しに伴
いまして、職業の大分類別の集計表や産業と職業のクロス集計、これは大分類で想定して
おりますけれども、この追加も予定しておりまして、本調査の利活用ニーズを一層満たす
ようなものになるところです。
以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明を踏まえまして、盛りだくさんだったのですけれども、集計事
項の変更及び推計方法の見直しについて、御意見、御質問のある方は、発言をお願いいた
します。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
どうぞ。川口委員、お願いします。
しろまる川口専門委員 35ページの回答の真ん中の四角囲みの案1のところについて、質問があ
るので教えて欲しいのですけれども、この青の文字で、常用労働者数というのが分子に来
ていて、標本常用労働者数というのが分母に来ているのですけれども、この分子の常用労
働者数は、昔の事業所票に当たるところで答えられている労働者数で、標本常用労働者数
というのは、個々人の何人答えてくれているかという理解でよろしいのでしょうか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 そうです。事業所票で記載し
ていただいた労働者数が分子、事業所で回答された労働者数が分母になります。
しろまる川口専門委員 分かりました。
どうもありがとうございます。
もう一点よろしいですか。
しろまる白波瀬部会長 はい。
しろまる川口専門委員 この3つの復元方式で比較されているのですけれども、これは平均値み
たいなもので評価されていて、比較されているのですけれども、これは難しいのかもしれ
ないのですが、標準誤差で見たときに、この3つの復元方法で何か精度に違いは出てくる
のでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
しろまる長山厚生労働省政策統括官付参事官付統計・情報総務室補佐 標準誤差率ですけれども、
案2は不偏推定量になっていないので、標準誤差率をどのように出せばいいのか分からな
いため、算出していないのですけれども、案1と案3を比べると、ほとんど誤差率につい
ては差はありませんでした。
しろまる川口専門委員 ありがとうございます。
しろまる白波瀬部会長 よろしいですか。
それで、調査実施者としては、案1を採用したいということですね。はい。この辺り、
いかがでしょうか。
ここでの一番の論点は、案1を採用して良いかということだと思うのです。確かに、労
働者数のときはこれで給与額、全体コストの問題もありますので、それも加味しますと、
案1を採用したいということのようなのですけれども、いかがでしょうか。御意見、何か
ありますか。
今の段階では、御提案のとおりでよろしいでしょうか。これはもう少しいろいろ確認を
-31-
しませんと、大丈夫かなという気が個人的にはしておりまして、やや不安なのですけれど
も、私もこの辺りの専門家ではないので、そこも弱いところなのですが。
しろまる北村委員 本当は、もう少し丁寧に統計を出してもらわないといけないし、案1と案3
の場合でも、案1の場合に誤差が生じる可能性も指摘されているので、そういうのはきち
んと本当に統計的にチェックしないといけないのですけれども、あまりそれをやり過ぎて
しまうのも、チェックしてもらうとなりますと、とても収拾がつかなくなるかもしれませ
んが、でも、どうなのでしょう。案1も案3も、それほど確かに表では変わりはないよう
に見えるのですけれども、そのことで問題無いとして良いのかどうかは少し不安もありま
す。
しろまる白波瀬部会長 そうなのです。私、最初は案2ではないかというようなことも思ったの
ですけれども、
確かに、
これは常用労働者数ですから、
やはり給与額と試算額のところで、
標準偏差については、どちらでもそれほど違わないという確認がとれている。それでも、
一応、データとしては、きちんと出していただいて、議論しませんと。ですから、追加で
資料を出していただけますか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 はい。次回提出させていただ
きます。今、手元にありますけれども、次回出させていただきます。
しろまる白波瀬部会長 はい。ここに出していただいたものも、最後のプロダクトだけなのです
けれども、適宜、やはり過程の段階のデータを出して、ここに至りましたということをお
示し頂きたいのです。せっかく作業をたくさん行っておられるわけですから、根拠とする
ときに、過程の段階も貴重なデータだと思うのです。次回、追加の資料を出していただい
て、現時点ではどの委員も、この案でしょうというだけの強い新たな判断と言えるぐらい
の材料もないので、この方向性でよろしいのではないかということなのですけど、データ
を出してください。
はい、どうぞ。永瀬委員。
しろまる永瀬委員 私自身も復元方法について、どの案が最適か、それほど明確に判断できると
いう意見があるというよりは、これが出てきたときに、結構賃金が下がっている、あるい
は業界によっては上がっているという結果ですよね。この別紙12を見ますと。例えば、大
規模企業では賃金が下がって、そうではないところでは、若干ですけれど、上がっている
とかですね。これがどうして生じているのかが分かるように説明がつかないといけないの
かなと思います。例えば、こういうところの回収率が低かった部分を考慮したら、どのよ
うになったのかとかですね。そうしたことを説明していただかないと、どうして賃金が下
がったのかという、非常にそこにばかりに注目が集まる可能性もありますので、きちんと
分かりやすい日本語で説明する必要があるのかなとは思いました。
しろまる白波瀬部会長 分かりやすい日本語でというのがなかなか厳しいのですけれども。です
けれども、今、永瀬委員がおっしゃったように、もちろん統計的に優位かどうかというこ
とはないのですけれども、傾向性というのがありますよね。ここで例えば、資料12で出さ
れたこのデータは、結局、これでパターンに大きな差がないので、これでよろしいのでは
ないかというような含みもあるのではないかと読み込んでしまったのですけれども。
でも、
-32-
例えば、大企業で若干下がるとか、特定業種で差が出るというパターンは、時系列的に大
体同じと言いますか、例えば、学術研究のところは、最近の傾向とかいろいろあるのです
けれども、その背後にあるメカニズム、この傾向がどうしてこういうことになっているの
かは、特定の手法で復元率をとったときに、多分、そこで回収率の業界の違いといったこ
とが当然反映されている訳ですよね。ですから、それはもう当然分かっていることだと思
ったとしても、それがやはりそのようであるという説明は、しっかり分かりやすく出して
いただいた方が良いと思います。
それでは、
それも含めて、
資料を作っていただけますか。
あと1つ。33ページ下半分の「また、未集計・未公表に至った状況及び経緯」として、
3つの理由が記載されています。このうちの2つ目にある「未公表等の集計表に関する問
い合わせ等もこれまでなかった」という理由がありますが、こうした説明でこういった書
き方というのは、なかなか厳しいのではと思います。どうしてかと言いますと、これは調
査実施者として、きちんと担保すべき「質」のところであって、問合せがあって初めて行
っているという状況を逆に再確認しているかのような感じになっていますので、やはりこ
ういう理由付けはあまり良くないと思うのですね。ですから、この理由をもって、未集計・
未公表であった事を肯定すると言いますか、それは理由にはならないと私は思います。
しろまる北村委員 今の部会長の発言部分を追加で申しますと、未集計・未公開となった理由と
していますけれども、これは多分、昭和51年から調査を開始して、初任給はずっと未公表
だった訳ですね。でも、それというのは多分、統計審議会か何かでこうした調査をしなさ
いという諮問があって出てきたのだと思いますし、分布についても多分、私たちよりずっ
と前に決められたのだと思います。それにもかかわらず、調査結果を公表していなかった
というのは、どういうチェック機能だったのかと思います。ここでそうしたことにあまり
細かく言う気はないですけれども、とは言え、結構ずさんだなと思います。何かそれにつ
いては分かるものがあるのですか。事務的な誤りがあったということが記載してあるので
すけれども。
しろまる白波瀬部会長 事務的な誤りということでよろしいですか。その辺り、いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 これにつきましては、反省す
るしかないということが1点目だと思っております。やはり確認することが足りなかった
というのが事実だと思っておりまして、その結果として、せっかく記入していただいた情
報にもかかわらず、活用されていなかったことに対しては、もう調査実施者として、報告
者に対して申し訳ないと考えている、としか申し上げられない状況だと思っております。
ただ、私の分かる範囲で答えさせていただきますと、ここで言います3、4の分布表で
すけれども、
この表につきましては、
平成17年の改正の際に、
集計事項に入れております。
ですが、従来から報告書などに、10人以上と、載っていた表でしたので、そういう状況で
あれば、集計事項に加えるべきであろうという判断などもあり、ここで追加したところで
ございますけれども、そもそも標準労働者につきましては、先ほど説明させていただいた
とおり、標準労働者本体の集計の方は、5〜9人の分は除くと記載しているところです。
それを付け忘れたといった、事務処理のミスが要因だと思っております。
初任給額の分布につきましても、これについても確認が少し足りなかったという事務処
-33-
理の不備だと考えておりまして、大いに反省しているところです。
しろまる白波瀬部会長 その点については、やはり、公表の仕方だと思いますけれども、自発的
に調査実施者から改善することが一番正しいと思いますので、そういう意味では、反省し
ていただくことも非常に重要なのですけれども、それについてしっかり公表していただい
て、やはり負担を強いるぐらいの調査をしているので、それは基本的に集計して、有効活
用していただくことになるかと思いますので、この点について、どういう計画で実施され
るかは、
またどこかで、
今後の課題に入れるというのもあるかもしれないのですけれども、
検討させていただきたいと思います。
あとはよろしいですか。はい、永瀬委員。
しろまる永瀬委員 32ページの(3)の集計事項の変更のところなのですけれども、今回、職種
区分の変更は、相当大きな目玉だと思うのですが、これを読んだだけで十分にどういう変
更なのかが分からないのです。それほど明確に分かった訳ではないのですけれども、大き
なA3の表を見ますと、職種によっては、人数が非常に小さくなっています。11万人ぐら
いとかがございます。一方で職種によっては、先ほど申しましたように、800万人近い職種
もありますので、人数によって集計は変えた方が良いのではないかなと思います。
例えば、一般事務職に関して言うと、経験年数をとった集計というのは、今まで公表さ
れたことがないと思うのです。勤続年数はあっても。しかも、学歴も今回から分かります
ので、そのような意味で、非常に価値は大きいですから、結局のところ、分類が難しいと
いう結論に至った職種があるとすれば、そこの集計事項については、少し丁寧に検討して
いただくと、今回新しく職種区分を非常に見直したことで分かることもより多く出てくる
ように思います。
一方、それを全部に適用できるかというと、とても人数が少ない職種区分があるため、
できないところもたくさんあるだろうと思いますので、その辺について御検討いただけれ
ばと思います。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。いかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 今、
直ちにここを集計します、
しませんという回答は難しいところですけれども、どのようなくくりまでするかについて
は、調査結果を見ながら、引き続き検討させていただければと思っております。先ほど未
集計・未公表のところもありましたけれども、やはりここで「やる」、「やらない」を決め
ることは難しい部分もありますので、御指摘の点や今回の結果等も踏まえて考えたいと、
整理させていただきたいと思います。
しろまる白波瀬部会長 積極的に改善し、御提示いただければ幸いです。
よろしいでしょうか。嶋崎委員。
しろまる嶋崎委員 申し訳ありません。先ほどの未公表に至った経緯、状況のところですけれど
も、点検検証部会等々で、やはり今出ています調査計画への反映、確認の際の誤りという
部分は、これは未集計の部分についてだと思いますので、未公表の部分は、最終的なチェ
ックがなかったという事になるかと思います。
調査計画上の集計事項にはある訳ですから、
最終的な調査計画の履行確認を怠ったという、やはりそこの一言は入れておいていただか
-34-
ないといけないと思います。未集計の部分についてはいいのでしょうけど、未公表の部分
については、そこも文言を入れておいていただくと、既に点検検証部会等での議論もあり
ましたので、そこをお願いしたいと思います。
しろまる白波瀬部会長 点検検証部会の方で比較的とっていただくということになるかと思いま
すけれども。
しろまる嶋崎委員 はい。
しろまる白波瀬部会長 文言については、委員から強い御意見がございましたので、少し正確に
検討しましょうか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 これにつきましては、点検検
証部会のワーキングの中でも説明させていただいた内容で、賃金構造基本統計調査につき
ましては、10人以上を専ら使っているという状況があった場合に5〜9人を見落としてし
まったという経緯も事実としてございますので、そのような観点で追記させていただきた
いと思います。
しろまる白波瀬部会長 そうですね。資料として出しているのだったら、そういうトレンドとい
うことにしましょう。それでは、その点、修正よろしくお願いします。
あとはいかがですか。よろしいですか。
それでは、幾つかの宿題が出てしまいましたので、再確認ということにいたします。繰
り返しですけれども、この推計については、基本的にこの方向で良いのではないかとの御
意見だと思います。ただ、それに際しては、少し丁寧に追加データの提示をお願いしたい
と思います。基本的に、御提案については、この時点では承認させていただきたいと思い
ます。ありがとうございました。
それでは、最後に議論することといたしました初任給に係る調査事項の削除について、
審議いたします。繰り返しになりますけれども、前回部会では、現行の初任給額に係る調
査結果と個人票を用いた代替集計データとの乖離の具体的な要因と、現行の初任給額に係
る調査事項を削除することを適当と位置付けるだけの積極的な理由について、調査実施者
に整理・報告を求めたところです。
また、
北村委員からは、
席上配布資料のとおり、
「代替集計は通勤手当を控除してもなお、
現行初任給額との乖離が生じているとのことであるが、そもそも、現行方法で初任給を低
く報告するインセンティブは何なのか。学校卒業後に就職した事業所を短期間で離職し、
調査対象事業所に再就職した者等を排除できないが、こうした者の数は多くはないと考え
られ、
影響は軽微であると考えられるとあるが、これらの者が全体に占める率3.6%がなぜ
軽微と言えるのか。離職者の絶対数ではなく、何と比較するかで判断すべきではないか。
少なくとも、これら離職者が増加傾向にあると考えられる中、政策的に無視できる水準の
問題とは言えないのではないか。現行の初任給データは、行政運営等で重要な指標や給付
額等に直接利用されておらず、これにより行政運営等に大きな支障はないとのことである
けれども、初任給に関して、政府としての政策判断は行っていないし、分析も必要ないと
いうことなのか」との御意見をいただいております。
北村委員から、何か追加でコメント等あれば、お願いいたします。
-35-
しろまる北村委員 いえ、ここに記載したとおりなので、言葉が足りないところもあるかもしれ
ませんけれども、例えば、
「低く報告するインセンティブは何か」と最初のところに記載し
ているのですが、インセンティブと言いますか、事前にもらった資料ですと、例えば、住
宅手当とかそういうものも含めて、初任給から控除しているので、それによって低めに出
ているのだと記載されているのですけれども、そもそも調査としては、そういうものも含
めて記載してくださいとお願いしているのか、
判断が付きにくいように記載してあるので、
決まって支給する額よりも関係ないものについては、全部控除している事業所もあると考
えるのでしょうか。その辺が何か混乱が生じているのであれば、あるいは純粋に決まって
支給する額を調査すると理解している人と、通勤だけを除いていて、それも含めて報告し
ているところが混ざっていて、混乱しているということなのか。いろいろここは説明がま
だクリアでなかったので説明をお願いします。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、これらの指摘について資料1に基づき、厚生労働省から説明をお願いいたし
ます。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 資料1の12ページになります。
新規学卒者の初任給額等についてです。
まず1点目としまして、代替集計に移行することの妥当性と現行調査結果との乖離の要
因です。ここの図で示しておりますとおり、代替集計と現行の初任給額の時系列的な変動
は、
全く一致しているわけではありませんが、
おおよそ一致していると考えておりまして、
代替集計でも傾向としてはおおむね安定した数字が得られると考えていたところです。
ただ、一方で、代替集計におけます初任給額、現行の初任給額と1万円強の乖離が見ら
れるところですが、その要因としては、これまでの議論の繰り返しになりますが、現行の
初任給額の調査は、通勤手当を含まないのに対し、代替集計は通勤手当を含んでいるとい
うこと。それと、現行の初任給額につきましては、職種などにより初任給が異なる場合に
は、最も多くの者に適用される額を記入することとなっており、この記入方法による差が
生じているのではないかということが挙げられると考えられたところです。
ここでまず、代替集計と現行集計の乖離を分析するため、通勤手当の調査対象であり、
労働者抽出率が1/1である産業、事業所規模の事業所について、事業所票で新規学卒者
として計上されている者の個人票データを特定し、
その所定内給与額を集計してみました。
その結果につきまして、この表にありますとおりでして、通勤手当控除前は1万円前後の
差がありましたが、手当を控除するとおおむね二、三千円程度の差になりました。
これについて、やはり依然として差が生じているということは事実です。ただ、この差
が生じている理由といたしましては、北村委員のお話にありましたけど、住居手当などが
控除して、いわゆる基本額給与として記入されているのではないかという可能性も示唆さ
れたところです。ただ、一方で、そこの詳細のところまでの確認までは至っていないのも
事実です。
代替集計に移行することによりまして、水準のシフトは発生しますけれども、現行の初
任給データにつきまして、活用状況でございますが、厚生労働省内でもいろいろ確認させ
-36-
ていただいたところです。その結果、行政運営上で重要な指標、給付額、そのようなもの
に直接利用されているものはございませんでした。ただ、一方で、経済指標として見ると
いうことは当然ございますので、そのような面で全く必要ないということではないと考え
ているところです。
代替集計値を公表するに当たりましては、現行の初任給額と代替集計の定義上の差異を
統計利用者に明示するとともに、過去に遡って代替集計値の提供を行うことによって、統
計利用者の利便性を損なわないようにしていきたいと考えているところです。
なお、この代替集計の結果ですが、ここにつきましては、勤続0年で、なおかつ、最低
年齢又はその1つの上の者を集計することにしておりましたけれども、学校卒業後就職し
た事業所を短期間で離職して、また、その調査事業所に再就職した者を排除する、しない
という話ですが、これにつきまして、新規学卒者についての数字は統計上、確認できなか
ったものですから、就業構造基本調査の中で、新規学卒者のみではなくて、転職者全体の
中での1年以内の転職者数と割合を見ますと、3.6%。人数でいいますと、そのような人も
含めていますので、9万7,500人と、非常に大きい数字ですけれども、人数ベースでは分か
らないので、3.6%というところがあると考えています。これについて、大きいか、小さい
かは、私どもとしては、影響は少ないのではないかと考えていますが、いろいろな御議論
もあろうかと考えています。
続きまして、今回、事業所票によります初任給調査を取りやめて、個人票による代替集
計に移行する背景など御説明させていただきます。
1番目といたしまして、初任給額が職種等によって異なる場合の対応ということでござ
います。この右の15ページのところで、初任給額の調査方法を記載していますが、このよ
うな形で記載しておりまして、各区分につきまして、一つの金額のみを記入すると。それ
と、全体の採用人数を記載いただくと。この金額につきましては、複数の採用者がいる場
合については、最も多くに対応しているものを記入してくださいとしています。そのよう
なところですが、個人票データを使うことにより、個々の新規学卒者の平均値そのものが
集計できるというメリットがございます。
2番目ですが、個人票調査を今後充実させていくための状況もありますので、それに対
する報告者の負担軽減という観点からも考えたところです。本調査の個人票につきまして
は、この集計値のみならず、2次利用によります個票による分析などでも広く活用されて
いるところです。また、その充実が求められているところでして、今回の改正におきまし
ても、職種調査の充実、最終学歴の細分化を予定しているところでして、こうした個人票
の充実を円滑に進めていくためには、報告者が個人票の回答に注力できるようにしていく
ことが必要と考えています。
現行の事業所票による初任給調査は、個人票とはまた別に御記入いただいているところ
でして、全体の新規学卒者を抽出すること、学歴、性別による振り分け、また、通勤手当
の控除をした所定内給与額の確認と、最も多くの者に適用された額の集計といったもの、
そのような作業等もありまして、このような作業は、個人票の記入とはまた別に行わなけ
ればいけない状況があります。このような負担を個人票による代替集計に移行することに
-37-
よりまして、報告者負担を個人票の記入に集中することができるのではないかと考えたと
ころです。
3点目ですが、調査事務の効率化と個人票集計結果公表の早期化に関してです。現行の
事業所票による初任給調査を個人票によります代替集計に移行することによりまして、事
業所票を廃止できることで、調査事務の効率化が可能になると思っております。また、そ
の関係を個人票の精度向上に充てることが可能と考えております。
また、現在の初任給額につきましては、公表を11月ごろに行っていますが、事業所票に
よります初任給調査の事務処理作業等を廃止することにより、個人票の集計結果の公表を
現行、大体、調査年の翌年の2月としているところですが、これより前倒しが可能と考え
ています。この代替集計の結果につきましては、ほかの個人票と同じ時期とならざるを得
ないところがございますけれども、このような効率化等を踏まえて、1か月程度早期化を
目指してまいりたいと考えています。
なお、規制改革推進会議等々におきましても、統計調査に係る行政手続コストの2割削
減を求められておりまして、そういう事情があるところも付け加えさせていただきたいと
思っています。
以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明につきまして、御意見、御質問のある方は、発言をお願いいた
します。
北村委員、お願いします。
しろまる北村委員 大分、今の説明で分かったのですけれども、最初にいただいた26日付の資料
ですと、結構、乱暴に要らない理由が記載されてあったので、もう少しきっちり記載した
方が良いというのが全体的なトーンで、先ほど嶋崎委員からも御発言がありましたが、未
記入とか未回答のところの記載もそうですけれども、使われていないから要らないとか、
意見がなかったので仕方ない、気が付かなかったとか、そういった記載は書類としては非
常に困るということで、気を付けて記載してくださいという意見が多かったのですけれど
も、一つ、根本的には、事業所票で把握するのが良いのか、個人票で把握するのが良いの
かという問題があります。個人票にまとめて把握したいという意見も分かりますし、考え
方も分かるのですけど、初任給みたいな調査事項は、もしかしたら事業所票で一括して記
載した方が良いということで、現在の調査形式になってきたのではないかと思うのです。
それを変えるというのが本当に説得的な理由になるのか、個人票にまとめた方が効率的に
なる、利用促進も図れるというのは確かに分かりますし、負担軽減という意味でもそうな
のかもしれません。しかし、もしかしたら、そういう方向に変えることによって、今まで
調査できていた数字が把握できなくなることもあるかもしれないという懸念がありました
ので質問したのです。
そこは他の皆様の意見にもよると思いますけれども、とりあえず、今の説明は、ある程
度納得しました。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。
-38-
いかがでしょうか。川口委員。
しろまる川口専門委員 資料1の上の方を見ると、マッチングされて、差を計算されているので
すけれども、この現行との差を見ると、年によって結構差異が生じている訳ですよね。恐
らく、これはすごくサンプルが限定されているので、サンプルサイズが小さいからなのか
なと思うのですけれども、やはりこういう表には、サンプルサイズを記載した方が良いと
思いますし、この差、標準誤差というのもしっかりと報告して、このぶれが誤差の範囲内
なのだということが分かるような報告の仕方をしていただいた方が良かったと思います。
しろまる白波瀬部会長 そこはいずれにしても追加していただけますか、サンプルサイズについ
てです。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 サンプルサイズについては持
っていますが、誤差については技術的に少し厳しいところがありまして、サンプルサイズ
の提供はさせていただきます。
しろまる白波瀬部会長 はい。分かりました。
他にいかがですか。北村委員。
しろまる北村委員 13ページの下の方にも記載してあるのですけれども、新しい調査になると、
結構段差が生じるのですよね。そのための説明を十分してほしいということで記載してあ
るので、それを信じますけれども、説明責任があるので、きちんと混乱がないようにして
ください。
しろまる白波瀬部会長 他にいかがですか。永瀬委員、どうぞ。
しろまる永瀬委員 統計委員会のときに、特に野呂委員から、民間の方で、これは結構重要だと
いうコメントがあったと思うのですけど、その辺は対応できそうなのでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 その詳しいことについて、今、問い合わせ中です。どれぐらい実際に使
われているということも含め、問い合わせていて、まだ返信が来ていませんので、これも
含めて、次回お知らせいたします。次回出席できない委員につきましては、分かり次第、
すぐに事務方からお知らせすることになるかと思います。
いかがでしょうか。北村委員。
しろまる北村委員 今のことにも関連します。公表時期ですけれども、初任給について、これま
で11月ぐらいに公表されていたのが2月か3月になるかもしれない。それで、今の厚生労
働省のお答えだと、もう少し早く公表できるかもしれないということですけれども、何か
目途はあるのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 実際に初任給ということで、
別に集計事務等行っておりますので、その分がなくなるということで、早期化は可能と判
断しています。
しろまる北村委員 いつぐらいに公表というのは分かるのですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 今のところ、1か月程度は前
倒しできるのではないかというところで、1か月程度を目標と記載させていただいていま
す。
しろまる白波瀬部会長 ですから、それはトレードオフになるということですね。よろしいです
-39-
か。何かありますか。
確認なのですけれども、やはり理由自体は、改善は見られたということで、確かに最初
よりは少し書きぶりも分かりやすくはなっているのですが、最初から、代替と今までとの
間の差分で説明しようとしているのですね。でも、そういうことはあり得ない。つまり、
最初に比較して、まず今調査事項となっているもの、質問項目を継続するかしないかを判
断する。そして、もし調査しないとなった場合、何によって代替するのか。そして、その
代替することに対して、どれぐらいの差が生じて、その差は許容範囲なのかという理論だ
と思うのです。それを最初から代替することで持ってきて、それが何とかだと言うから、
まずありきの説明になっているのではないかと私は思うのです。ですから、そこが下手か
うまいかではないですけど、論理破綻している部分があると思うのです。
こういう議論が出てくる背景には、おそらく、やはり現場の負担感というのが実際ある
のではないかと思います。北村委員からは、事業所で記載してもらう意義があったから、
こういうスタイルだったのではないですかという御意見もあったので、その歴史的なこと
があったら、教えてもらいたいのです。それが1点目です。
2点目は、やはり、これは実際に記載してもらって、ぶれるというか、ノイズになって
いるのは、該当する人が複数人数いたら、この値はその最頻値を持ってくるのですね。そ
れで、複数人数は何人と見ているかなのです。そこでやはりすごくノイズになるので、私
でしたら、
個人票の方で全部、
新規学卒者が分かるような設定にした方が、ずっと、
今後、
有効利用といいますか、正確なところが分かるのではありませんか。ですから、初任給自
体が代替でと言わなくて、個人票のところで特定化するようなことも考えても良いのでは
ないでしょうか。繰り返しになりますけれども、何か転記してもらって、その転記も単純
な転記じゃなくて、複数あったら、それの中の最頻値を記入してください。そして通勤手
当は抜いて下さいと。それもまた複雑になりますよね。だから、統計調査として、その工
程自体が持続可能ではないのではないかと思うのです。
そして、何か改善策を考えるとしたら、今のようなやり方はやめてとは言っても、初任
給自体が非常に重要数値ですので、別の方策で把握できるようにすると言いますか、正確
に新規学卒者が把握できて、調査実施者側で平均値を計算できれば良いのではないかと思
うのです。ただ、そのときにもう一つの欠点は、手当等が分からなくなるかもしれないと
いうことなので、明らかに段差になりますし、脚注において説明していくといいますか、
今後を考えたときに、これで初任給を把握していくというのは、私は一つの方策ではない
かなと考えるのですけど、いかがでしょうか。
やはり理由としている背景が分かりにくいというか、そこが正直なところじではないか
と思いますが。少し深入りしてしまったのですけれども、その辺りはいかがですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 まず理由としては、やはり個
人票作成に事業主の方は注力していただきたいというのが大きなところです。それとやは
り、それを最頻値で記載していただいているところについての改善もあるのではないかと
思っております。ただ、一方で、いろいろ御指摘ある中で、やはり3千円程度の差がどう
しても残ってしまっているのも事実ですので、例えば部会長の今の御提案は、個人票の方
-40-
で新規学卒者に該当します、しませんというのを付けるという御提案ということになるわ
けでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 そうですね。該当した場合に、しろまるが付されるということです。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 その上で、初任給とはこうい
うものだとの脚注をつけるということでしょうか。
しろまる白波瀬部会長 若干程度が違いますから、それは段差になるのですけれども、推計する
ときに差し引くことで調整は可能かもしれません。何かそういう感じですよね。構造がか
なり違ってくるのですけれども、繰り返しですが、このやり方はやはり事業所に複数を記
載してもらうことになった場合、大企業ほど質が落ちてしまうことが予想されますよね。
そういう懸念があるのでしたら、考え直しても良いのではないかなと私は考えます。これ
は提案です。
ですけれども、繰り返しになりますが、ここの負担感があるという改善でしたら、そう
いう提案もまずありきと言いますか、そこで何か推計して、勤続年数のゼロ値で、それを
若干、前後をもって、もしかしたら短期間でやめた人も入っているかもしれないと考え、
直球で聞くというのは、一つの方策かもしれないと考えます。
しろまる北村委員 これは実験のようなものはまだ行っていないのですよね。個人票に記載され
たもので、事業所票で記載されている新卒者の初任給のようなものと近似するかどうかの
点については。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 今回、
これは確認作業ですね。
この説明しましたところの差分のところですね。小規模事業所で、全員の労働者を調べて
いる事業所がありますので、そこについてマッチングしてみて、なおかつ、ここではもう
通勤手当も調べているところになってしまうのですけれども、そのような感じでは見ては
いるのですけれども、結果的にそれを見ても何らかの差はあったのは事実です。
しろまる北村委員 でも、これは事業所で、色々なタイプの労働者が複数人いる訳です。ですか
ら、
その集約の仕方をどうしているのかが誤差を生じさせているのではないかと思います。
まず、これは多分、平均的な初任給を出してきて、現行の調査による結果とマッチングし
たものと比べているだけだと思うのですけれども、その辺、何か集約の仕方によって差が
出ているのか、それとも、本当に純粋に色々な手当の違いで差が出ているのか。色々と分
かりませんので、そこはもう少し本当は精査しないといけないと思います。
しろまる白波瀬部会長 本当はそうですね。もう少し考えていただけますか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 若干分かるところで説明させ
ていただければと思うのですけれども、実際のところ、マッチングしながら、複数の労働
者がいるといいますか、やはり規模が小さいところですので、そこはあまり多くなかった
というのが事実であります。
だから、
そこについて確認が十分とれなかったのは事実です。
一方で、初任給を除いて一致するという労働者が3分の2程度という状況でした。残り3
分の1程度がどうしても一致しないという状況だったことは事実ですね。
しろまる白波瀬部会長 その残り3分の1程度のパターンと言いますか、何か特徴のようなもの
はありますか。そうしたら、また色々次に続くような気がするのですが。
-41-
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 そこまで今は確認がとれてい
ません。どこまでできるかも難しいと思うのですけれども。
しろまる白波瀬部会長 そこは作業がとてもかかるということですね。
川口委員、何かありますか。
しろまる川口専門委員 関心から聞くのですけど、この事業所内で複数いるところが少ないとい
う話でしたので、あまり関係ないかもしれないのですけど、事業所内の最頻値をとってか
ら、事業所平均を計算することはできる訳ですよね。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 個人票で新たに把握した場合
であれば、それは大企業で全ての新規採用者が記入されるわけではないので、そのような
場合は残すのは当然ありますけれども、そのような対応はほかの方もいます。
しろまる白波瀬部会長 逆に言えば、調査票が提出された段階がブラックボックス化しているの
で、その中身を見るということ自体が、この構造のままだと検証されていないような気が
します。そこが一番分からなくて、それが全部明確に分かれば、そこで色々、それこそた
だ単に平均したものとか、最頻値をきちんととっているというので見てみるとか。あとは
手当を差し引いてみる。そういうことが色々できそうな気がするのですけれども、そうい
った検証を行わないで、今のままで検証するというのは疑問が残ります。ここがブラック
ボックスになっていて、やはり手当だけではないのではないかという気がします。それで
言及もございましたけれども、記入している人自体が結構、通勤手当だけを抜いているの
ではなくて、他も抜いていることも多分あるのですよね。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 検証という意味でまず答えさ
せていただきますと、やはり複数人います。事業所規模が大きくなってきますと、労働者
を抽出して個人票を記載してもらっていますので、必ずしも特定できないところがありま
すので、そこの検証という問題は、現状の仕組みでは難しいと考えています。
しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。
そもそも論に戻ってしまうのですけれども、初任給をまず質問項目として入れなくて良
いか、削除するという御提案については、いかがでしょうか。削除して良いと思われるの
か、それは待てと思われるのか。委員の御意見の確認が必要ではないでしょうか。
しろまる北村委員 削除すると言いますか、代替集計を入れるから、それで良いですかという質
問だと理解したのですけれども。事業所票から削除します。それで、個人票にそういう情
報を入れます。個人票のデータを用いて代替的に計算できるので、それで良いですという
御提案。全部まとめて、これで良いですかという話ではない。
しろまる白波瀬部会長 いや、2つあるのですよ。やはり最初のこの提案は、削除したいという
ことなのですよね。削除しても、代替して、こういう結果が出たので大丈夫ですというこ
とをバックアップしているというのが、今、厚生労働省の説明なのです。でも、その手当
の差分だけで全部解決するかというと、
そうではないので、
現段階での推計と言いますか、
代替で良いのかどうかを、私の方から問題提起させていただきました。
しろまる北村委員 分かりました。その代替する集計は、他の統計でとってくるのですね。
しろまる白波瀬部会長 賃金構造基本統計調査で調査してくるのでしょう。個人票で把握すると
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いうことです。
しろまる北村委員 個人票で把握する。
そうですか。
それでは、
失業保険とかではないのですね。
しろまる白波瀬部会長 ないのです。ですから、個人票で代替すると、今の結果のままの、現状
のままではなくて、幾ら代替しても、何をしても、差分についても入っているということ
ですよね。手当については入り込んでいることになります。
しろまる北村委員 でも、そうしますと、事業所票ですと、ある程度事業所が雇った高校卒業の
人、大学卒業の人の初任給の賃金は分かったのだけれども、個人票ですと、たまたま調査
に該当した人が新卒の人であれば、初任給は分かりますけれども、全員がカバーされる訳
ではないので、事業所票で把握していたときの初任給の値と、個人票でたまたま該当した
場合の初任給の値が違ってもおかしくはないということになるのですね。個人票に全員新
卒の人が入る訳ではないので。
しろまる白波瀬部会長 そうです。そういうことです。そこで1度抽出されているので、そうい
うことになりますよね。ですから、二重サンプリングのような形になります。全数ではな
いので。
しろまる嶋崎委員 かつ、これまでの今日の資料や説明で分かったことは、これまでのこの初任
給というのは、最頻値を企業、事業所が特定しているという点で、かなり恣意性が入って
いたことが今日明らかになったということですよね。
しろまる白波瀬部会長 明らかになったと言いますか、そういう調査があるのですよ。賃金構造
基本統計調査とは、そういう調査であるということです。
しろまる嶋崎委員 そういう調査だったということを、ここで一応明らかになったと。
しろまる白波瀬部会長 でも、それについては、そういうやり方でずっと把握してきたというこ
とですので、それによって把握されてきた値自体をどう評価するかについては、部会での
審議の枠を超えますので、それは差し控えたいと考えています。
しろまる北村委員 でも、
個人票で代替するといっても、
個人票で最頻値の人たちが、
要するに、
全員がカバーされれば、その統計を再集計して、最頻値で計算できますけれども、そのサ
ンプルの結果、結構高い賃金の人だけが残ったりすると、平均値は全然違いますよね。
しろまる白波瀬部会長 そうなります。
しろまる北村委員 そういう設計で良いということ、それを提案されていると考えればいいので
すか。
しろまる白波瀬部会長 設計と言いますか、個人票に入ってくる人が、もちろんおっしゃったよ
うに全数ではありませんので、そこの段階でサンプリングされていて、入ってきた人にと
って、おっしゃったように、たまたま新規学卒だったら丸がついていた場合に持ってくる
ということですからね。それは一つの提案、単なる提案なのですけれども。
しろまる嶋崎委員 そうした御提案として議論するには、やはりここの採用人数という、この事
業所票の項目を無くすという場合に、無くなる変数としては採用人数という、実際には使
っていないのかもしれませんけれども、この事業所票で把握している数値には新規学卒採
用人数という数値がある訳ですよね。それがある程度、今度の統合した調査票に入れば、
その中でどれほどが個人票の中で抽出されてということで誤差が分かるということにはな
-43-
る。
しろまる白波瀬部会長 ですから、ここは人数、ウェイトを付けるときに使っているのですけれ
ども、それが無くなるということですよね。
しろまる嶋崎委員 その項目を今度の個人票のこの上の部分に加えるという方法もあり得るとい
うことだと思うのですけど。
しろまる白波瀬部会長 ですから、それは要検討というか、今は思いつきで行ったというか、要
検討ということなのですけれども。ですから、それは二重構造になっている訳です。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 私どもとしてどのように対処
するかは、今のお話しからいたしますと、難しい状況かと思います。方向性として、個人
票の中で新規学卒者を特定させたものを集計していくという方向性を検討するのであれば、
持ち帰って検討させていただきたいと思いますが、そのような方向でいいのかどうか、と
いうところだと思っています。
しろまる白波瀬部会長 もし持ち帰っていただいたときに、今申しましたように、個人票に出て
くる人たち自体も全数ではないところが一つの問題としてありますので、それも含めて御
検討いただけるということですよね。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 まず個人票の方で特定した集
計をすることについて、検討させていただいて、次回報告させていただくという方向で持
ち帰らせていただければと思います。
しろまる白波瀬部会長 そうですね。今の流れですと、そうなりますね。永瀬委員。
しろまる永瀬委員 全然方向が違うのですけども、例えば雇用保険でしたら、もう11月には公表
できるのですか。実際に賃金構造基本統計調査での初任給のデータは、誰がどのくらい、
どのように使っているかということが、やはりとても重要だと思うのですけれども。私は
個人的にはあまり使っていないのですけれども、民間の方はかなり注視しているかもしれ
ないのかなと思いまして、あるいはもっと代替的な調査がいろいろあるから、別に影響は
それほどでもないのか。その辺が少し気になります。例えば、雇用保険のデータの初任給
がすごくはっきり分かるのであれば、それは雇用保険がある人については、全員が分かる
訳ですから、その集計で事足りるものなのでしたら、何もいろいろと検討しなくてもいい
のではないかなという気もするのですが、どうなのでしょう。今までの議論と突然違う話
で、大変申し訳ないのですけれども。
しろまる白波瀬部会長 いえいえ。そうしたら、もうない、出しても良いということですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 雇用保険データの方なのです
けれども、実は御提案のような方法で把握できないかという方向性については、私どもも
検討いたしました。
ただ、
雇用保険の側でも、
やはり行政手続コストの削減はありまして、
今、
入職時の賃金を聞いているわけなのですけれども、
これを廃止する方向性も出ており、
雇用保健を使った把握についての検討が今、立ちどまっている状況となっています。
しろまる白波瀬部会長 雇用保険を使ったものは、未来永劫的には使えないかもしれない訳です
ね。でも、一応検討されたのでしたら、その検討したものを報告してもらえるとありがた
いのですが。それを活用できるか検討したということだけですか。そういう意味ですか
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しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 実は資料1の12ページのグラ
フの中で、点線で雇用保険データによる数値を載せております。これを載せた理由は、本
来の今の雇用保険の状況であれば、削除しているのかもしれないと思った状況でございま
すけれども、まさしくこれについては検討した事実はございますが、このような事情があ
って、そこについては今のところ、舵は切れないという状況です。
しろまる白波瀬部会長 この時点で明らかにしておきたい一つの結論は、やはり事業所票の初任
給の質問項目について削除したいという御提案に対しては、すぐに了解できないというこ
とですね。質問項目そのものを削除するということよりも、御提案の方法で代替というこ
とになるのですけれども、初任給データについては、こういう形で試算できるという形に
するのか。かなり把握方法は違うのだけれども、もし個人票に入れるとすれば、これまで
のような結果が出せるのか。それは次の部会での御提案のときに少し丁寧に見て、データ
として出してもらえますか。今の問題として上がっているのは、私がこの場で申し上げた
だけですけれども、対象者全員から上がってくるのではなくて、サンプリングされた者の
情報が上がってくるという事実がありますので、その辺りは確認が必要になってくるかと
思います。はい。
しろまる北村委員 このマッチングの結果は、1分の1で、要するに、全数が把握できるものに
ついてマッチングしているのですけれども、実際には色々なタイプの事業所からのデータ
も出てくるので、抽出している事業所での結果がどれぐらいのギャップが生じるのかとか
の検証を行わないと、提案の方法で差し支えないとは言えないということは、はっきり申
し上げておきたいと思います。
しろまる白波瀬部会長 1対1だけでしたので簡単だったのだけれども、そうではない場合に、
どういう状況かと言いますのは、それはシミュレーションですから、網羅的に確認するの
は時間的にもかなり大変だと思いますので、一つだけでも構いませんので、御検討願いた
いのですけれども、いいですか。
しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 正直、作業的に次回までとい
うのは厳しいのかなと、思います。
しろまる白波瀬部会長 今の審議での提案について、とりあえず持ち帰っていただいて、厚生労
働省において、どれぐらい可能性があるのか御検討ください。現段階ではなかなか結論が
出ないという状況だと思いますので、ペンディングということですね。よろしくお願いい
たします。
しろまる金子総務省政策統括官(統計基準担当)付統計審査官 事務局からなのですけれども、
1点だけ、今のシミュレーションという関係で、色々なタイプがサンプリングされるかも
しれないということと同時に、小さい企業の場合は、新卒者の出現があまりない、要する
に、出現してこないということもあり得ますよね。その辺の可能性と言いますか、状況が
もしある程度分かるようであれば、次回、できる範囲で教えていただければと思います。
しろまる白波瀬部会長 はい。それでは、よろしいでしょうか。もうあと3分で予定時間になり
ます。御協力いただきまして、かなりいろいろ多岐にわたった議論となりました。内容か
ら考えまして、なかなか簡単にはいかないであろうと思っていたのですけれども、調査実
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施者も色々御準備していただきまして、大変ありがとうございました。引き続き御協力を
お願いすることになります。
多くの宿題が出ましたので、次回部会で御回答いただくことが多くなったと思いますけ
れども、少し方向性が出てきたようにも思います。頭ごなしに議論を判断するということ
でもなかったと思いますので、それぞれの背景にある理由をしっかり説明していただけれ
ば、変更していくことについては、良い方向であれば、それはやぶさかではないとなるか
と思います。
それでは、次回、残りの審議内容についても引き続き進めたいと思いますけれども、本
日の審議内容につきまして、追加で質問やお気づきの点がございましたら、短時間ですけ
れども、来週7月31日までに事務局までメールにより御連絡いただければ幸いでございま
す。
また、次回の審議を効率的に行うため、残りの審議事項について質問などございました
ら、同様に7月31日までに事務局に御連絡いただきますよう、お願いいたします。
それでは、次回の部会について事務局から連絡をお願いします。
しろまる伊藤総務省政策統括官(統計基準担当)付 次回の部会は8月5日月曜日の14時から開
催いたします。会場につきましては、本日と場所が変わりますが、3階第一会議室で開催
することを予定しております。
次回は、本日の審議事項で、調査実施者において改めて確認・整理が必要とされた事項
について審議した後、残りの論点について審議したいと考えております。
また、委員及び専門委員の皆様におかれましては、本日お配りした資料につきまして、
お荷物になるようであれば、席上に置いたままにしていただければ、事務局において保管
の上、次回部会において席上に御用意いたします。事務局からの連絡は以上です。
しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
本日の部会の議事概要につきましては、
後日、
事務局からメールにて照会いたしますので、御確認のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、長時間御協力いただきまして、大変ありがとうございました。以上をもちま
して、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。

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