拝啓貴職におかれましては、地域の発展と住民福祉の向上のためにご尽力いただいておりますことに、感謝申し上げます。さて、今回、就職氷河期世代に対する支援及び男性育児休業の取得促進の二点について、ご協力をお願いいたしたく、お手紙を差し上げました。まず、就職氷河期世代への支援についてです。いわゆる就職氷河期世代は、希望する就職ができず、現在も、不本意ながら不安定な職に就いている、無業の状態にあるなど、様々な課題に直面されている方が多くおられます。これは個々人やその家族の問題だけではなく、社会全体の問題であり、この問題への対応は、我が国の将来に関わる重要な課題です。このため、政府では、昨年六月に「就職氷河期世代支援プログラム」を取りまとめ、三年間の取組により就職氷河期世代の正規雇用者を三〇万人増やすことを目指すとし、この間に集中的な支援に取り組む方針を打ち出しています。 さらに、昨年十二月には、支援プログラムに基づく具体的な取組を盛り込んだ「就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇一九」が取りまとめられました。総務省としては、「地域おこし協力隊」や「ローカル一〇,〇〇〇プロジェクト」、テレワークの推進、「社会人版ふるさとワーキングホリデー」の実施などにより、地方における雇用機会の創出などに取り組むとともに、地方公務員の中途採用の促進に向けた施策を行うこととしております。この中で、就職氷河期世代支援のための中途採用については、昨年来、先行的に取り組まれている団体がありますことに、心から敬意を表します。今後、支援プログラムや行動計画に沿ってさらに正規雇用者を増加させていくためには、組織トップである皆さまのリーダーシップにより中途採用者層に、就職氷河期世代を取り込んでいくことが重要と考えております。貴職におかれましては、本施策の趣旨をご理解いただき、積極的な中途採用の実施について、ご協力をお願い申し上げます。 次に、男性育児休業の取得促進についてです。平成二十八年に女性活躍推進法が施行されてから間もなく四年が経過する中、各地方公共団体においては、特定事業主行動計画に基づく取組を進めていただいており、女性職員の採用・登用等は、着実に進んできております。今後、女性活躍を加速する上で、男性の家事・育児参加の促進は、本人や家族にとってはもちろんのこと、男性を含めた働き方改革や少子化対策などの社会課題解決の契機になるものであり、「第四次男女共同参画基本計画」においては、令和二年までに男性職員の育児休業取得率一三%の達成が政府目標として掲げられています。また、国家公務員については、来年度から、子供が生まれたすべての男性職員が一か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指した取組を進めることとしております。しかしながら、地方公共団体における男性職員の育児休業取得率は、平成三十年度で五・六%であり、年々増加傾向にはあるものの、国家公務員(一二・四%)や民間企業(六・一六%)の男性と比べ低い状況にあります。 こうした状況の打開には、トップのリーダーシップが極めて重要であるため、貴職におかれましては、男性職員が育児休業等を取得しやすい環境づくりに向けて、関係部局に必要な指示をいただくとともに、職員に対しても積極的なメッセージの発信をお願い申し上げます。時節柄、ご自愛下さいませ。敬具令和二年一月二十三日総務大臣都道府県知事殿(市区町村長殿)

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