1第3回 評価分科会 議事概要
1 日 時 令和元年6月27日(木)14:30〜15:55
2 場 所 総務省第2庁舎7階大会議室
3 出席者
【委 員】
西郷 浩(分科会会長)、北村 行伸(分科会長代理)
【臨時委員】
岩下 真理、神林 龍、美添 泰人
【審議協力者】
財務省大臣官房総合政策課経済政策分析官、厚生労働省政策統括官付参事官付統計企
画調整室室長補佐、農林水産省大臣官房統計部企画管理官補佐(統計調整班担当)、
経済産業省大臣官房調査統計グループ鉱工業動態統計室室長、経済産業省大臣官房調
査統計グループ鉱工業動態統計室参事官補佐、国土交通省総合政策局情報政策課建設
経済統計調査室企画専門官、日本銀行調査統計局経済統計課統計総務グループ、東京
都総務局統計部社会統計課長、神奈川県統計センター企画分析課課長
【説明者】
総務省統計委員会担当室:上田次長
総務省統計研究研修所:西新規情報活用技術研究官ほか
【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、阿南次長、上田次長、鈴木次長、福田補佐
4 議 事
(1)建築着工統計調査(補正調査)の移行期の集計方法について
(2)経済産業省生産動態統計調査の欠測値補完方法の検証について
(3)その他
5 議事概要
(1)建築着工統計調査(補正調査)の移行期の集計方法について
総務省から、資料1に基づき、建築着工統計調査(補正調査)の標本設計見直
し移行時期の結果推定方法に関する国交省への提案の説明が行われ、質疑応答が
行われた。委員の意見を踏まえ、次回、分科会としての提言を「審議結果報告
書」の形でとりまとめていくこととなった。 2主な発言は以下のとおり。
・簡易な方法を使うことに賛成。それ以上手間をかける必然性は見当たらないの
で原案で良いと思う。
・完工時の調査なので、補正率の分母にある届出時の総額や面積には、1年前の
ものや、2年前のものが混在している。大きな建物とそうでない建物で比率が
同じになっていないか。ある時期に建築資材が急に上がったということがある
と、工事に長期かかるものと短期かかるものが混ざっている補正率に問題が生
じるなど、元々解釈に難しいところがある。完成までに何年かかるかが層別の
重要な条件だから、標本抽出の際に、届出1年後調査なのか2年後調査なのか
で層を作れば、大規模工事と小規模な工事が反映されるのではないか。
→調査した建築物の床面積当たりの単価の届出時と完成時の比較をする、その単
価は、総床面積当たりの総工事実施金額としている。
・当年に完成した建築物に関する調査なのか。
→そうである。
・抽出するのは着工届けがあった時とすると、完成予定時と実際の完成時期がず
れた時はどうなるのか。
→予定より完成が伸びたら伸びた時点で調査。予定より前に終わっていた場合は、
1年に1回集計するので、12か月で予定していたものが、10か月で工事が終
わっていたら、10か月のところにその標本を入れて計算するということにな
る。
・簡易な方法の採用についてはこれで良いと思うが、移行期の対応上問題が無い
かどうか判断するには、2014年から2016年のところがずれている理由が分
かっていた方が良いと思う。
→リサンプリング実験により若干のずれが生ずるリスクがあるということまでは
確認したが、何があるとずれるかといったことの解明にまでは至っていない。
・層を統合した形で乗率を計算するという簡易な方法で良いと思う。両者を直節
比較する方法としてシミュレーションをしたわけだが、ウェイトそのものを
比較するという方法もあるのではないか。細かく層別している場合のウェイ
トの付き方がどうだったのか、それが統合した層の場合どのように変わって
いるのか、その違いが分かると、全体の中で一か所だけかい離が大きいよう
に見える、2014年から2016年のところの原因も見えてくるのではないか。
・届出年と完成年を組合せて、それを1つ1つの層として全部で9つの層にした
上で、一番細かな層を基準にしてどういうウェイト・乗率をかけたら良いの
かを検討し、妥当な方法を見つけ出したということだと思う。このような考
え方は移行期に限らず、新しい方法に移行した後についても通用するのでは
ないか。届出年と完成年の組合せを1つの層として見て層別した方が層内が
安定するということであれば、移行期に限らず、移行した後もそのアイデア
は生かせるのではないか。 3・完成するまでの期間の切り方だが、年単位か、月単位では切らないのか。
→実験は年で議論したが、実際に持っている情報は月である。
・その辺りも完全に移行した後は、少し検討した方が良い。あまり負担のかかる
方法は賛成できない。
→最終形態にいったときは、毎年の抽出率・建物の規模と、構造別に見たときに、
本来、ネイマン配分だときちんと毎年標本数を配分し直さないといけないの
だが、抽出した時の配分で計算した方が楽ではないかということも少し提案
の中に入れている。
・委員の皆様からいただいた御意見を勘案して、次回、分科会の提言として「審
議結果報告書」をまとめたい。
(2)経済産業省生産動態統計調査の欠測値補完方法の検証について
総務省から、資料1に基づき、経済産業省生産動態統計調査(以下「生産動
態統計調査」という。
)の欠測値補完方法についての検証について説明が行われ、
質疑応答が行われた。委員の意見を踏まえ、次回、分科会としての提言を「審議
結果報告書」の形でとりまとめていくこととなった。
主な発言は以下のとおり。
・生産動態統計調査の目的は、母集団全体の動向を調べることか、それとも調査
対象事業者の動向か、まず確認したい。
→生産動態統計調査の目的は、各製造業が生産している各品目の生産・出荷・在
庫の毎月の動向を把握すること。調査対象事業所は、工業統計調査を母集団と
し、従事業者数について一定のしきい値を設けて、それに該当する全事業所を
捕捉対象としている。
・売上のカバレッジの基準はどのくらいか。
→現在は、調査対象事業所の選定基準に売上のカバレッジは無い。
・いつ変更されたのかは気づかなかったが、従来とは調査対象事業所の選定基準
が違っている。現在の基準では、母集団は対象事業所の集団となる。そうであ
れば、欠測値への対応として、長期間回答しない事業所は、調査対象から外し
ても良いのではないか。大規模な事業所は回答を得る努力が必要としても、規
模に関してボーダーライン上にあり、協力が得られない事業所を調査対象に含
めることが、見かけ上、マイナスの影響を与えるのであれば、調査対象から外
す方が良いのではないか。調査目的を考えて、欠測値の補完方法を考えるべき
である。
・母集団として何を考えるかということだと思う。「生産量又は販売金額の8割
ぐらいが捕捉できていれば、それが全体の動きを表している」という考えで
あったのではという記憶がある。
→製造業全体の動きは鉱工業指数で8割以上の動きを把握することを目指してい 4たと認識している。生産動態統計調査ではそれに資するため、新規事業所と、
捕らえられていない大規模事業所を捕捉するという形で、名簿をブラッシュ
アップしてきた。欠測値補完の意味は、調査の範囲に該当していた事業所から
突然回答が得られない場合、何らかの形で推計しないと、時系列に断層が生じ
てしまうため、その推計をどの程度の期間可能なのかを今回検証してもらった。
・回答しない事業所はシステマティックに回答しないのか、ランダムに回答しな
いのかでシミュレーションの仕方が変わってくる。常に回答しない事業所は、
その事業所の属性を基にどうあれば良いのかという形で補完していく。ランダ
ムに発生しているのであれば、シミュレーションもそのような形で実施すれば
良い。
→1年以上回答がない事業所は少ない。回答がない事業所については、回答の提
出が速報の集計に間に合うか否かというレベルではランダムに発生しているた
め、速報と翌月に公表する確報では状況が異なる。
・シミュレーションで長期的にかい離が極端に拡大する傾向が観測されなかった
という結論について、「一部の特殊な品目を除いて」という条件があったが、
それはどのようなもので、どのような傾向を示しているのか。
→参考1-2の10ページにあるとおり、特殊自動車が最も大きな動きをしている。
スノーモービルなど特殊な用途のものが含まれており、販売額が2003年の開始
時の半分になるなど数値の動きが大きく、2009年からかい離が大きくなってし
まうという動きをしている。
・グラフを見て、かい離があまりないという判断であれば、5年周期の経済セン
サスで補完を見直すという提案は妥当である。
・自動車以外の他の品目に対しても同様に適用するかについては、やはり業種に
よって大きく違うだろう。生産動態統計調査の品目全てをチェックすることは
とても無理であろうから、余力次第で1品目ぐらい追加で検証してはどうか。
それで同じような傾向が見えたということであれば説得力がある。欠測値補完
の技術的な方法としては、この程度の種類で良いと思う。
・資料1のグラフで伸び率による補正のかい離率が2012年から続けて上昇してい
るのはなぜか。
→2012年と2013年の間で、大規模な事業所が移転等をしたのではないかと思われ
るデータがあったが、個票データからは判断できないため、シミュレーション
では別事業所として扱った。移転前と思われる事業所は欠測値の扱いにして他
の事業所の情報から伸び率を計算している。移転後と思われる事業所について
は、今までゼロだったところに急に数字が入ってくる。伸び率をかけると新し
く入ってきた事業所の数字が跳ね上がる結果になる。このため、シミュレー
ションの都合上、2012年と2013年の間で、断層のようなものが発生してしまっ
ている。
・前月と今月でそろっている事業所だけで比率を計算しているのではないのか。 5→シミュレーションで使っているデータセットは、元々事業所数が7から10いく
つとかなり少なく、ある年には存在していなかった事業所が入ってくる場合も
ある。
・比率を計算するのに、事業所の規模や業種が異動した事業所まで入れているの
か。事業所の改廃が考慮されていないということか。
→そのとおり。事業所の改廃までは考慮できていない。
・補完方法を検証するのであれば、他の条件は固定した方が良い。参入・退出の
ようなものが入ってくると効果が分からなくなる。
・シミュレーションのやり方自体も細かく見ると、他に方法があるのではないか
といったことがありそうである。
・新規事業所が入ってきた場合、データが無ければ推定のしようがない。それに
もかかわらず、シミュレーションではそういった事業所も欠測の扱いにしてい
る。新規事業所がまだ無い状態と比較して、伸び率を計算するのはおかしい。
生産動態統計調査の実際の集計では、事業所が新しく入ってきた場合どうして
いるのか。
→新規事業所が入ってきた場合で、捕らえられた段階が生産開始からしばらく
たってからという場合、リンク係数という係数を乗じて比較対象年の数値を処
理する必要がある。その後、過去に遡及した正しい数字が入手できれば、翌年
の年間補正のタイミングで数値を入れ替え、リンク係数は不要となる。
・そのやり方と同様に、断層が生じている部分でリンク係数をかければ、伸び率
による補正の精度は上がるのではないか。
→シミュレーション上、断層ができているが、通常ならば、伸び率による補正を
欠測値補完の方法として採用した場合は、それ以外の事業所から計算した前年
同月比を回答が得られなかった当該事業所に適用して、推計するということに
なると思う。
→データについて、もう少し精査をさせていただくということでいかがか。
・もう少し他の業種でも見てみないと判断が難しい。他の統計調査の経験でいう
と、LOCF(過去の回答結果を使用した単一補完)と伸び率による補正結果
がこれほど似ているはずはない。自動車はサンプルサイズが小さく、特殊なの
ではないか。電気機械製造業などでもう少し検討してもらえると安心できると
思う。
・この結果だけ見ると、平均値が安定していて、伸び率による補正でもLOCF
でも似たような動きになっている。こうしたケースでは縮小推定を使いたくな
る統計専門家もいるだろう。
・自動車の他に検証してみるのは、規模の大きな業種、電気機械や情報通信あた
りか。情報通信は新規事業者も多いので大変だが、機械類でやっていただけた
らと思う。
・このテーマについても、委員の皆様からいただいた御意見を勘案して、次回、 6分科会の提言として「審議結果報告書」をまとめたい。
(3)その他
・事務局から、資料3に基づき説明が行われ、当面の評価分科会の進め方につい
て確認された。
・次回の評価分科会は、9月目途、場所と日程は改めて調整する旨、事務局か
ら案内された。
以上

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