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第4回 点検検証部会 議事概要
1 日 時 令和元年5月16日(木)9:00〜11:51
2 場 所 総務省第2庁舎7階大会議室
3 出席者
【委 員】
河井 啓希(部会長)、西郷 浩(部会長代理)
、川﨑 茂、嶋﨑 尚子
【専 門 委 員】
大西 浩史、川口 大司、西 美幸
【審議協力者】
内閣府大臣官房企画調整課長
総務省統計局総務課長
財務省大臣官房総合政策課経済政策分析官
文部科学省総合教育政策局調査企画課長
厚生労働省政策統括官付参事官付審査解析室長
農林水産省大臣官房統計部統計企画管理官
経済産業省大臣官房調査統計グループ統計企画室長
国土交通省大臣官房政策立案総括審議官
環境省大臣官房環境計画課計画官
埼玉県総務部統計課長
東京都総務局統計部長
【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官、平野大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、永島次長、阿南次長、柴沼次長
政策統括官(統計基準担当)付:澤村統計審査官
4 議 題
(1)基幹統計の一斉点検事案の影響度評価について
(2)一般統計調査の点検について
(3)第1次再発防止策素案について
(4)重点審議の対象について
(5)その他
5 概 要
(1) 基幹統計の一斉点検事案の影響度評価について
河井部会長から、本日の議題について説明。続いて、事務局(統計委員会担当室)か
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ら、資料1-1及び資料1-2により基幹統計の点検結果の整理について説明が行わ
れ、了承された。
主な発言は以下のとおり。
・1月に政府の一斉点検結果が公表された際、56の基幹統計のうち22統計で問題ありと
いうことが公表されたが、この22統計がどういうものかについてあまりていねいに開
示されておらず、不安だけが先走った。この度の点検評価において、一つ一つの影響
度を評価して知らせることは統計利用者にとって大変重要。
(2) 一般統計調査の点検について
<一般統計調査の点検について(資料2-1)>
事務局(統計委員会担当室)から、資料2-1に基づき一般統計調査の点検について
の説明が行われた後、質疑が行われた。
主な発言は以下のとおり。
(復元推計を行っていなかった調査(2調査)について)
・最低賃金に関する実態調査は名前からすると最低賃金に直結するようにみえるが、実
態はどうか。最低賃金審議会ではどのような反応であったか。
→統計的に見て、より良いものは復元したものであり、されていないことは残念とのこ
とであった。ただし、重要項目は復元推計されており問題ない。周辺情報ということ
で確認いただき、過去のものに影響を与えたものではないという判断を頂いたとこ
ろ。
・一番大事なところは母集団推計が行われていたが、一部で行われていなかったとのこ
とだが、プログラムミスではないということであれば、集計計画の中で、ある一部で
は母集団推計が行われていて一部では行われていないというのは想像しにくいが、わ
かっていることがあれば教えてほしい。
→最低賃金に関する実態調査は、復元推計を行った重要な統計表は内部できちんと確認
しながら進めていたが、参考資料的に作成していた周辺情報は外部に委託して集計し
ており、そこのチェックが仕様書も含めてしっかりしていなかったこともあり、きち
んとした復元がされていなかった。労務費率調査は、1「労務費率に係る統計表」は
審議会にも提出する資料であり、先にきちんと計算してよくチェックしていたが、2
「下請事業者数別構成割合」
、3「確定保険料額別構成割合」及び4「延労働者数別構
成割合」は 29 年調査時に担当者が集計、公表する必要性を認識しておらず、1 年以上
遅れて急いで作業したため、集計作業時の確認不足により誤りが発生してしまった。
・なぜミスが起こったかは今の説明で理解できた。利活用上重大な影響はないと思われ
るため影響度はIIIとしたが、復元推計という基本的で非常に重要な作業をしていない
こと、外部委託における仕様書のミス、担当者の認識不足によって急いで作業を行っ
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た結果、ミスを起こったというプロセス上の問題もあるので、今回の一般統計調査の
一斉点検結果の中では一番問題が大きいものと判断した。この 2 つの調査について
は、さらに丁寧に検証してみたいと思うがいかがか。
→当該2調査は影響度区分IIIと確認された。また、これらを6月以降の重点審議の対
象とすることが提案され、了承された。
(その他の結果数値訂正が必要な調査(14 調査)について)・(特に意見なし)
→当該 14 調査については影響度区分IIIと確認された。
(結果精度への影響について確認を要する調査(11 調査)について)
・結果精度の影響がほとんどないとする判断に異論があるわけではないが、調査対象の
一部を調査していないことは、やはり基本はあってはならないことが起こったという
ことである。賃金構造基本調査について、全体の0.3%の影響で構成比が少ないか
ら微細とのことだが、それが累積すれば大きな影響ともなりかねない。人口・社会統
計部会では、
「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を調査するよう求めたところであ
り、構成比が小さいので微細な誤りとの認識が共有されてしまうことについては危惧
を覚える。
・ご指摘の危惧は共有する。現在の案は誤解を与える表現であったかもしれないが、全
体平均に与える影響は低いということ。すべての業種別のデータが必要とされる場合
であれば、この業種の情報がないことは問題にもなりかねないが、業種別にどこまで
詳細に調べるかは調査実施者の判断で差し支えないと思われるので、全体としては大
きな影響がなかっただろうというのが私の理解。
・今回の点検は影響がどういったところに出るのかが判断基準になると理解しており、
影響が大きくないという判断に違和感はない。再発防止、品質向上の観点ということ
でなぜこれらが調査から除外されたのかを明らかにした上で、再発防止に取り組めば
良い。調査が難しいなどといった何らかの妥当な判断があれば、そのような判断に至
った経緯を明らかにした上で、改善の方向に持っていくことができれば良い。
・これら11の調査は、結果数値に重大な影響があるか、数値に誤りがあるかという点で
区分しているが、本来あってはならない誤りもあり、その点は留意する必要がある。
→当該 11 調査については、影響度区分I又はIIと確認された。
(その他結果数値に影響の無い手続き上の問題のみの調査(129 調査)について)
・8 つのカテゴリーに整理したがこれについてはいかがか。・(特に意見なし)
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<一斉点検で報告のあった調査等の影響度評価について(資料2-2)>
河井部会長から、資料2-2に基づき一斉点検で報告のあった調査等の影響度評価に
ついて説明が行われた後、質疑が行われた。
主な発言は以下のとおり。
・まとめの検討に関わった立場からコメントする。整理の結果を見ていくと、重大な影
響があるもの、重大な影響はないが外形的な影響があるものが見つかったが、当初思
っていたより少ない数字で安堵した。しかし、油断するわけにはいかず、一般統計だ
ったから影響は少なかったが、もし基幹統計だったらもっと重大な影響を及ぼしたか
もしれない事案もある。特に、標本設計や復元推計、プログラムミスはトータルの品
質に決定的な影響を及ぼすので、重点的な検討対象とすべきであり、引き続きこの部
会や委員会で議論していきたい。
・いまの意見はすべての統計に通じるものである。本部会でも検討を行うし、本部会で
得た知見を統計委員会でも改めて議論するという形を取りたい。
(3) 第1次再発防止策素案について
事務局(統計委員会担当室)から、資料2-3に基づき第1次再発防止策素案(たた
き台)について説明が行われた。続いて、川﨑委員から資料「点検検証部会の審議と
りまとめにおける視点」について説明が行われた後、質疑が行われた。
主な発言は以下のとおり。
・まず直近で現出している問題に対して講ずるべき短期的再発防止策については、実効
性の担保が最重要と考える。これまでの問題事象を分析すると、
「計画の期限通りに公
表していなかった」
「計画通りの公開方法で公開していなかった」といった初歩的な問
題が多い。例えば、計画をHPで単に公開するだけではガバナンスの効果が薄いため、
計画に対する実施状況をステータス管理できるデータベース化を行い、期限前のアラ
ートや公開方法漏れがないか等のチェックを可能とし、統計に係る職員へのサポート
機能を提供すべきではないか。こうした計画に対する実績を評価できる仕組みを構築
し、フォローアップを行う上でも今回の書面調査のワードのような「いかようにでも
編集できる」OAソフトを使用するのではなく、システム化することが実効性の担保に
直結する。また、指摘のあった間違いの多くは印刷用にエクセルを編集する際のコピ
ー&ペーストのミスに起因しているため、基本的にセルの結合等を行わず、公表デー
タはCSVをベースとしたマシンリーダブルな形式を優先すべき。一方、中長期的には、
各府省が公開する統計データのクロス活用や民間事業者の保有データをマッシュアッ
プしたよりダイナミックな活用を行いたい場合に求められる政府統計のデータ品質や
活用の目指すべき姿については、基幹統計だけで数百ある調査票様式の見直しや府省
間の用語の統一化を図ったり、調査客体が一度回答した過去の情報を呼び出し、それ
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を少し編集することで回答が簡単に行える等のデータファーストの仕組みを目指して
いくべきであり、対処療法ではない抜本的な解決の方向性も示しておくべきではない
か。
・ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)のISO27001には情報の「完全性」、「可用性」、「機密性」を担保するというものがある。これを統計に置き換えてみる
と、
「正しく、早く、使いやすく」というのが大きなコンセプトではないか。それを実
現するためには、取捨選択も場合によっては必要であり、正確性への寄与、スピード
への貢献、利活用への貢献という視点で精査するとよい。職員の手間はコスト増に直
結するため、各省庁での実現性という観点でも施策を検討できればよい。
・二次利用の拡大は、誤りの発見のみならず、設計や集計方法の改善に向けて貢献でき
る部分もあると思うので是非促進していただきたい。オンサイト施設の拡大とある
が、現行の利用方法も排除されているわけではない。現行の利用申請審査は、申請側
の負担が重いので統計法改正の趣旨を踏まえ、審査ガイドラインの見直しが必要だと
思う。
・データの保存に関しては、調査票情報だけではなく、周辺情報も含めて、何かあった
時にもう一回集計することを確保するために有用。業務委託で統計の集計が行われて
いるケースも多いので、仕様書あるいは契約で担保されるような対応も考える必要が
ある。
・プロジェクトの種類によっては、過渡期でなくても外部人材を受け入れることが必要
なのではないか。
・職員の育成に関する記述の中に、ICTは統計技術の一部であることをはっきり入れ
て欲しい。データサイエンティストと呼ばれる人ももちろん必要だし、統計学だけで
なく情報技術もセットで職員を育成するべき。統計パッケージソフトを使いこなした
り、DBを管理したりすることが出来て当然なので、そのような人材をしっかり育て
ないといけない。
・この第1次再発防止策はフィロソフィーが前面に出てきており、これまでの議論に加
わっていない人にとっては理解が難しいと思われる。もう少し具体的な話から始まっ
て、その後ろで、こういうプロセスで作って品質、信頼度が高まり、利用者が活用
し、それによって作成している者も誇りを持ってそのプロセスに加われるような、そ
の保証になるものを定めるべき。また、後者の記述の検討はもう少し後の段階になる
のでは。
・再発防止策という標題の下には、今すぐに手を打っておかないと重大な間違いにつな
がるというものをまとめておかないといけない。将来の品質改善に結びつけるような
ミスがない体制をまず整え、その体制が整った後で、将来もっと全般的な品質を向上
させるという書き方にするべき。
・御指摘のあった再発防止としての即効性の話はこれまであまり議論していない。スケ
ジュール的に今後部会の開催回数が少ないことを考えると各委員から意見を事務局に
メールを送って集約していくとよいのでは。今後追加する内容の具体的なイメージと
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しては、例えば、資料3にあるものの中で即効性に注目して再発防止策の中で優先度
を高く述べるといったような提案をいただくとよいと思う。
→送っていただければ次回それを反映させた形で提案できるのでよろしく御願いした
い。
(4) 重点審議の対象について
事務局(統計委員会担当室)から、資料4「重点審議の対象の候補について」の説明
が行われた後、質疑が行われた。
主な発言は以下のとおり。
・5つ程度が限度ではないかと思う。これまでの議論では毎月勤労統計はやるべきとの
意見があった。一般統計では、先ほどの議論で、復元推計を実施していなかった2調
査は更に深くヒアリングすべきということになったと思う。
・港湾調査に関してはちょうどこれから別部会で計画変更の審議をするので、当部会と
の役割分担も考えていくと良い。適切なデータの保存の観点は、計画変更審議の観点
として入れていただき、当部会では扱わない、というような分担も可能。
・関与する組織の数が多くて、ミスが発生しやすい統計については、取り上げた方が良
いのではないか。審査の段階で出て来たのは人口動態統計調査である。
・学校統計基本調査も、統計委員会で話題になり、改善点もあるだろうと思われるの
で、対象とした方が良いと思う。
・学校統計基本調査は、システムになかなか機動力が無いというような事を聞くので、
その統計自体の課題ということと、併せて他の統計への示唆を含めて幅広い課題を出
すという観点からも取り上げたら良いと思う。
→本議題については、必要に応じて事務局の方へ意見を送ることとし、それを反映し
た上で、次回部会で最終的に決定することとされた。
(5) その他
次回部会日程は5月 23 日(木)9時 30 分からとし、詳細は改めて連絡する旨、事務局
から案内された。
(以 上)
<文責 総務省統計委員会担当室 速報のため事後修正の可能性あり>

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