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点検検証部会第1ワーキンググループ第5回会合 議事概要
1 日 時 平成31年4月25日(木)9:00〜12:03
2 場 所 総務省第2庁舎 6階特別会議室
3 出席者
【委 員】
河井 啓希(座長)
、川﨑 茂、嶋﨑 尚子
【専 門 委 員】
大西 浩史、篠 恭彦
【説明者(各府省等)】
厚生労働省
【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官、平野大臣官房審議官、澤村統計審査官
統計委員会担当室:櫻川室長、永島次長、阿南次長、柴沼次長
4 議 題
(1)厚生労働省の基幹統計調査について(ヒアリング)
(2)その他
5 概 要
(1)厚生労働省所管の基幹統計調査について(ヒアリング)
ア 毎月勤労統計について
事務局(統計委員会担当室)から、毎月勤労統計の書面調査について総括的な説明が行
われ、厚生労働省から補足説明の後、ヒアリングが実施された。
主な発言は以下のとおり
・雇用保険のシステムのプログラムミスにより、毎月勤労統計の結果数値に訂正が生じた
とは具体的にはどういうプログラムミスか。
→毎月勤労統計の集計においては、
基本となる経済センサスの母集団情報をより新しいも
のに更新するため雇用保険の事業所情報を活用しているところ、
雇用保険のプログラム
において、産業分類変更のあった事業所について誤ったデータを作成し、毎月勤労統計
のシステムに渡してしまったというもの。
・毎月勤労統計の側ではチェックが困難な誤りということか。
→データの受け取り側では把握することが困難な誤り。
・であるならば、再発防止策として「受注者に対し、必要なテストの確実な実施のための
チェック体制を整備するよう指示し、発注者としてもその状況の確認を行った。
」とあ
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るが、行うべき対策が違うのではないか。
→再発防止策の記述は、
雇用保険システムの発注者である厚生労働省の労働市場センター
業務室が受注者であるシステム開発事業者に対してとった措置を、
同センターの視点か
ら述べた内容となっている。
・雇用保険システムから生データを受け取り、自分たちで集計した方が、むしろミスが生
じにくいということはないか。
→統計部門は雇用保険制度には詳しくないので、そのデータの内容に精通しておらず、雇
用保険部門にデータを作成してもらった方が効率的と認識している。
・根本的な課題として、長年を経てプログラムが複雑化し、直接手書きでコーディングさ
れる等の集計プログラムをチェックできる人材が少なくなっていて、
全容が把握しきれ
ない状態となっており、
他にもあるかもしれない過去のプログラムのバグをチェックし
きれなくなっているのではないか。
→処理の変更をするときには、テストを重ねて結果を点検している。しかし、変更を加え
ていない部分の処理については、再確認を行ってはいない状況。
・問題が起きた都度その場その場で対処をしている状況と理解した。COBOL等の言語自体
が悪い訳ではないが、そのプログラムを読める人も少なくなっていくのは事実であり、
当時「なぜ、そのようなプログラムを書いたか」がわかっているベテラン職員の方々が
在職されているうちに、やはり根本的にシステムのオープン化を推進することが必要。
→長い目でみた場合、人材確保に限界があるという認識はある。システム改修費用につい
ては、目前に必要な改修に手一杯であるというのが現状で、今後20年を見渡してどうす
るべきか、計画的に予算を考えるということができていない状況。
・人材という点では厚生労働省は10年以上の経験者が多く、他府省に比べれば体制は充実
している。そのような中でなぜ今回の問題が起こってしまったのか、厚生労働省のみな
らず全ての府省が学ぶべき教訓があると思われる。
・10年以上の経験を持つ職員は、キャリアパスとして育成されているのか。
→毎月勤労統計調査の実査を担当する係については、若手時代に経験した職員が、他の統
計業務を経験した後に再び毎勤担当に就任する等、
統計部門内で経験年数を積み重ねる
人事が行われている。
一方、今回の問題では企画調整担当の業務が原因の大きな部分を占めているが、企画
調整の担当者は統計専門の人事ではなく、
統計部門の経験が浅い職員が就任することも
ある。統計専門の職員と統計経験の浅い職員との間で、意思疎通や問題意識が共有でき
ていなかったということが今回の問題の一因であり、
考えなければならない課題と認識。
・システム部門の人材確保についてはどうか。
→システム開発担当には、統計システムの経験が長い職員が配置されている。
・今回の事案の最大の発生原因は何で、それに対してどのような対策をとろうとしている
のか整理していただきたい。
→特別監察委員会からは、
不適切な処理であることを知りながら安易に前例踏襲して誤り
を改めることなく、不適切な取り扱いを正当化しようとする規範意識の欠如、統計の重
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要性に対する認識が備わっていない、
幹部職員においても統計に対する無関心から問題
を解決せず放置していた、
適切な手続きを踏むことなく担当課のみの判断で調査方法の
変更をしていた等、組織としての認識が甘い、あるいは組織としてのガバナンスが欠如
しているのではないかという部分が厳しく非難されるべきものと指摘されている。
今後の取組についてはまだ省内で検討推進中であるが、現時点では、統計に関する認
識・リテラシーの向上、統計業務の改善、組織の改革とガバナンスの強化という3点を
柱とした改革案の具体化により再発防止に取り組みたいと考えている。
・内容として規律を守るという対策が中心のように思えるが、問題が起こったときに外部
からでも見える透明性の確保も大事ではないか。
→情報提供についても不十分なところがあり、正確な統計を示すというのは、正確にどの
ように統計をとっているかを外部に情報開示することも必要と考え、
例えば調査した事
業所数、回収率についても公表することとした。今後、東京都の500人以上の事業所を
全数調査とした結果についても一定の分析結果を提供するなど考えたい。
・地方公共団体の業務の履行確認についても改善が必要と思うが、その点については具体
的な仕組みは考えているか。
→今回の事案は厚生労働省自身の判断で行ったところであるが、
地方公共団体との間でも
よい統計を協力して作っていくという体制ができていなかったのは事実と認識してお
り、実効ある体制の構築は必要と認識。
・集計段階のチェックは目視のみとされているが、システム的なチェックを導入すること
はできないか。
→書面調査票に記載してはいないが、
労働日数が1月の日数を超えている等のチェックは
エクセル上で行っており、
目視チェックは前年同月に比べて異常値が出ていないかのチ
ェックを行っているもの。外れ値だからといって誤りとは限らないので、一律のシステ
ムチェックが最適ともいえない部分がある。
・システム関係については、やはり作業が錯綜していて現場の混乱があるのではという印
象。部局長級の幹部が長期的な改善方針を立てて取り組むべきではないか。
→問題意識は持っており、どこかで決断が必要という認識はある。一方で毎月の業務を滞
らせてはならないことが必要であり、
それを言い分けにして後手に回ってきてしまった
というのが正直なところ。
ご指摘を踏まえ、
今後の視点を立てていくという取組は必要。
イ 賃金構造基本統計、医療施設統計、患者統計について
事務局から資料に基づき概要を説明後、政策統括官(統計基準担当)付統計審査官及
び厚生労働省から補足説明を行った後、ヒアリングが実施された。
主な発言は以下のとおり。
・賃金構造基本統計について、本日、未公表・未集計について追加報告のあった事案を発
見した利用者は、どのような利用目的をもっていて発見したのか。
→利用者からは5人から9人の職種別の統計表はどこにあるかという素朴な問合せがあ
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ったものであり、利用目的まで把握していない。
・問題が見つかったときの発見の端緒という情報は、その統計の需要、重要度をはかると
いう意味で有益。今後で良いので、是非精査した方がよい。
→今後確認したい。
・今回未公表、未集計と判明した分は、今後は公表するのか。
→サンプル数を踏まえた統計的信頼性についても検証が必要なので、
今後の扱いは計画変
更という選択肢も念頭に総務省と相談していきたい。
・医療施設調査について、保険事業の有無についての誤りはどのような原因と分析してい
るか。初歩的なプログラムミスと思われるが、同様なミスが他にもないか横断的なチェ
ックは行われているか。
→手作業で作成されている部分のプログラムミス。
プログラムを追加した際にはその部分
の基本的な確認をしていると思うが、
常にシステムで横断的にチェックしている訳でな
く、プログラムミスが見つかれば逐次対応している状況。
・エクセルへの貼り付けミスという事案は他の府省においても目についた。この作業はで
きるだけ自動化もしくはアウトプットとしてエクセルへわざわざ貼り付ける作業自体
の真の要否を検討するべき。
・患者調査について、年次推移表の誤りをかなり過去にさかのぼって訂正しているが、な
ぜこのような遡及訂正が発生したのか。
→おそらく、
前回のデータに新しいデータを付け加えていく形で毎年データを作成してお
り、過去の一時点で確認不十分により誤ったデータを記載し、それ以降その誤りが受け
継がれてしまったものと考えられる。平成26年にしっかりと見直したところ、過去の誤
りが発見されたというもの。
・患者調査の集計プログラムのミスとはどういう内容か。
→傷病分類のコード付けにおいて、システムに与える条件の誤りがあったもの。プログラ
ム作成者のヒューマンエラー。
・問題事象を横並びで分析すると、COBOL等の言語で書かれたプログラムにより処理され
ている統計は同類のミスがずっと同じように発生している。
昭和何年に書かれたプログ
ラムの潜在バグが残っている可能性は大いにあるため、
オープン化に向けた取り組みは
やはり重要である。
・賃金構造基本調査について、地方労働局に対する履行確認の状況について説明を。
→調査員調査とされているところを実態は郵送調査で行っていたことについて、
地方労働
局の調査の実施状況を、本省において把握していきたい。調査員の任命状況についても
これまで把握しておらず、今回の事案で初めて照会をかけて実態を把握した。今後は労
働局から報告を受ける仕組みに取り組む。
・これまでは実施状況把握のための措置はなかったということか。
→統計調査員の人数については、予定人数の報告は受けていたものの、実際の任命結果に
ついては把握していなかった。
・賃金構造基本統計調査について、同じ事業所に重複回答を求めていたといった誤りのお
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それはないか。
→都道府県番号と事業所番号で管理されているので、重複は生じない。
・事業所母集団データベースと異なる調査独自の事業所番号を用いる理由は何か。他の統
計と突き合わせることができるように、
事業所母集団データベースの事業所番号をその
まま使えないか。
→調査において、
調査対象事業所に一連番号を割り付けた方が管理しやすいという事務の
効率性のため。
名簿情報の中には事業所母集団データベースのコードも付与されている
ので、連結すれば一意につなぐことは可能。
・厚生労働省の統計関係職員数について、直近5年ではそれほど目立たないが、10年前と
比べると、他府省に比べ減り方が大きい。どこの部門が減っていて、その影響はないの
か検証が必要なのではないかと思われる。
(2)その他
河井座長より、第1ワーキンググループは今回を持って終了し、部会への結果報告のと
りまとめについては座長一任としてよいか発言があり、了承を得た。
(以 上)
<文責 総務省統計委員会担当室 速報のため事後修正の可能性あり>

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