1第1回 統計制度部会 議事概要
1 日 時 平成30年11月9日(金)10:00〜11:40
2 場 所 総務省第2庁舎6階特別会議室
3 出席者
【委 員】
北村 行伸(部会長)
【臨時委員】
縣 公一郎、石井 夏生利、藤原 靜雄
【審議協力者】
財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、日本銀行、
東京都、千葉県
【諮問者】
総務省政策統括官(統計基準担当):津村統計企画管理官室参事官
越統計企画管理官室統計企画管理官補佐
【事務局(総務省)】
横山大臣官房審議官
統計委員会担当室:櫻川室長、上田次長
政策統括官(統計基準担当):北原統計企画管理官
4 議 事
統計法施行規則の改正について
5 議事概要
(1)部会の運営等について
部会の運営について、今回の諮問案件は公開とすることが決定された。
また、北村部会長より、部会長代理として清原委員が指名された。
(2)諮問第120号「統計法施行規則の一部改正について」
諮問者から、資料1-1、1-2に基づき、説明が行われた後、事務局(統
計委員会担当室)から、論点について説明された。
主な質疑は以下のとおり。
<(1)調査票情報の提供等の条件としての「相当の公益性を有する統計の
作成等」> 2【論点】くろまる調査票情報等の具体的な利活用の範囲(相当の公益性を有する統
計の作成等)として適当なものか
・平成19年の統計法改正では、研究者が調査票情報を使いたいので色々工夫して
くれということだったが、そもそも論として、今回の改正で利用者の範囲は
根本的に変わっているのか。具体的に問題になるものとしては、官民共同研
究とグローバル研究(国際共同研究)があると思う。官民共同研究の話は事
前に聞いていたが、グローバル研究(国際共同研究)の話はどうなっている
のか聞いていなかった。責務規定や倫理という話があったが、ほかの分野で
いうと医学研究やゲノム研究では、厚労省・経産省・文科省の三省が研究会
を立ち上げて、定期的に指針の見直しをしており、そちらは匿名化したデー
タの話だが、外国と共同研究するときに倫理をどうするのか、どこまで縛る
のかが論点となっていた。担保措置といってもチームを組んで相当多くの人
がやるのか、個人でやるのかで違うだろうし、規定に反したら研究費をもら
えなくなるとか、科研費に応募できなくなるとかであれば別だが、単なる倫
理規定であれば(違反者が)真摯な対応をしていなかったというだけだ。ど
の担保措置とするのか考えないといけない。
→現状の取扱いとしては、調査票情報と匿名データについては、海外では適正管
理義務を果たせないという考え方から、持ち出せないと理解している。
・持ち出しではなく、研究プロジェクトに外国の大学が入っている場合はどうか。
→国籍などの制限はしていないと理解している。
→現行法で認められている、科研費、行政機関との共同研究、委託研究の中に外
国人が入っていてもそれをもって認めないというわけではない。
・外国の大学・研究者と合同して、外国の統計との比較などを行う場合はどうな
るのか。プロジェクトとして連携する、委託しあうケースは結構あるのでは
ないか。
→おそらくミクロデータを外国の研究者に見せるということは外国でも行ってい
ないのではないか。
・日米欧の研究者がそれぞれの国のデータを持ち寄り比較するという研究は、利
用者をそれぞれの国の人に限定して、それぞれが分析して共通の枠組みで比
較することで、相互に(ミクロデータを)利用する必要はないようにしてい
るのが多いと思う。
・今回の改正で広げる公益法人の公募研究などは、科研費と同じものと類推して
いるのか。
→公益法人では採択時に採択委員会を開くなどしていると聞いており、研究の質
や成果が挙がることが、一定程度担保されていると理解している。
・改正規則案第19条第1項第1号イ(1)〜(3)は、応募時に満たすべき必要
条件であり、その上で提供者が更に個別に判断するということになるのか。
その判断基準は同号イ(4)にも共通して適用されることとなるのか。 3→(1)〜(3)であれば公益性が推定されるが、具体には提供者が個別に判断
する。
(4)の場合は、公益性が推定されるわけではないので、更に要件を加
重するという議論もあり得る。・(提供が不可だった場合)申請者が不満をもったらそれで終わるのか。
→行政処分ではなく行政契約であるため、契約を結べないということになると思
うが、更に条件を付けて契約するということもあり得る。不服を申し立てる
という制度を作ることは想定していない。
・改正案第19条第1項第1号イ(1)〜(3)は、公益性が推定されるというこ
とだが、提供者の裁量の範囲内で推定がくつがえることはあるか。例えば公
益法人は、公益認定により公益性が担保されていると考えるのか、その上で
更に個別の判断を行うのか。
→公益性があるとされても、学術研究能力や適正管理能力があるかを含め判断せ
ざるを得ないと考えている。
・調査票情報の管理主体として一義的に責任を負うのは提供を受けた大学や教員
という解釈でよいのか。また、専修学校について、改正規則案19条第1項第1
号イ(1)は専門課程に限定しているが、
(2)は限定されていないのか。
→提供を受ける者は法人の場合も個人の場合もあり、更に法人の中の情報を取り
扱う者もいるので、適正管理措置は、提供を受ける者として課される場合、
提供を受ける者の一部として課される場合を場合分けして規定している。専
修学校は(1)で「以下同じ」としているので、
(2)も専門課程に限定され
る。
・専門課程はどの専修学校でも置かれているものか。
→専門課程とは、高等学校卒業レベルが対象で、高等専門学校同様に大学への編
入学も可能である。
・専修学校についてあまり詳しくはないが、専門課程があるところもないところ
もあって、ないところも調査研究をすることもあると思うし、専門課程のあ
る専修学校に所属する教員でも、
(専門課程以外にも)色々な業務を担当して
いる場合があると思うが、学術研究の発展に資するかどうかについて、専門
課程の有無という差は適切なものなのか。
→専修学校の教員資格は、文部科学省の決定で定められており、専門の教育がで
きる者として、その学校を卒業して実務経験がある者などとされている。例
えば、看護学校などがあるが、専門性の高い研究をしている方もいる。
・前提として専修学校の教員にも研究者としてのポテンシャルを有しているが、
一時的に籍がそこにある場合があり、そういう者にも門戸を閉ざさないよう
権利を与えるのか、ルールをよりはっきりさせた方がよいのかご意見をいた
だきたい。
・専修学校の教員をどうするかは、設置基準に細かく定められている教員資格に
より定型的に一定の基準に合格したものとして測ることや、個人情報を適正 4に管理できる能力があるかどうかで見るとするか、それ以上に精緻に見るの
か、そもそも精緻に見ることができるのかあると思うが、オーダーメード等
でどのくらい利用件数があるかを踏まえて検討するのではないか。利用件数
はほとんどないのではないかと思うがどうか。
→専修学校の教員の利用ニーズは確認するが、ポジの部分(
(1)〜(3)
)を広
く認めつつ学術研究の発展に資するかどうかで更にチェックするか、ポジの
部分(
(1)〜(3)
)は狭くして、
(4)で拾えるように認め得るものをガイ
ドラインに例示するなどするか、2つのやり方があると思うが、ご意見を伺え
ればと思う。
・学術研究の発展に資するかの判断は、学問の自由との関係もあり、将来のこと
は誰にも分からないことも考えると、実質的な審査ができないことを前提と
すべきではないか。
・科研費であれ、公益法人の採択委員会の審査であれ、同業者のピアレビューな
どで審査しており、学術研究の発展に資するかどうかの一次的な審査は可能
と思う。
・そうした一次的な審査がなされているものをポジで書いているのであれば(そ
れをくつがえすことはなく)
、それ以上の審査は適正管理できるかどうかを定
型的にチェックすることになるのではないか。
・大学等の範囲や教員の範囲については、皆さん、いろいろと御意見がありそう
なので、次回また議論させていただくこととして、名義貸しへの措置等はど
うするか議論いただきたい。・(1)や(2)に「これら以外の者」とあるが、適正管理する能力があるかを
事前に審査するのか。そうした者が広くいても事前審査ができるのか。
→現在の取扱いでも調査票情報を取り扱う者は全て名前を出してもらい特定する。
・その特定した者が適正管理する能力があるか審査するのか。
→法人であれば組織として情報管理をどうやるのかを、個人であれば共同研究者
とどういうふうにやるのかを出してもらう。
・名義貸しの論点について、研究代表者と研究実務者が異なる場合でも、研究実
務者全員の適正管理能力が審査されているのであれば、問題ないと考えるの
ではないか。
→適正管理義務はそういった形で守ることが可能。一方、名義貸しの論点につい
ては、例えば、営利企業との共同研究などで形式的には学術研究目的だが、
実質的には営利目的という場合があり得たときに、これをどう考えるのかと
いう趣旨でご意見を伺えればと思う。
→現在の規則案では、
「相当の公益性」を大学等の研究者が行う研究であるとい
うことで担保している。その点が実態として外れてしまう場合は望ましくな
いと考えるかどうか、何かアドバイスはないか。
・法人が受ける場合、個人が受ける場合それぞれあるということだが、学内での 5オーソライズを求めるなら分離して考える必要はあるのか。研究代表者に学
長・学部長の承認、あるいは倫理委員会での審査を求めるなど学内でのオー
ソライズを必須とし、法人として担保してもらうこととするのか。組織に所
属する研究者として、あくまで自由裁量で応募できるのか。法人が担保する
なら審査はいらなくなるが、応募はしにくくなる。
→研究者としての独立性もあり、組織としてどこまで担保しなければならないと
するのか難しいところがある。EBPMの理念からいうと、政府の政策が適
切なエビデンスに基づいているかの研究を阻害しないようにしたいとは考え
ており、組織として決めたものに限るとしてしまうのはどうかと考えている。
一方、質は高くないと困る。
・ゲノム研究の場合では大学の倫理委員会での審査が必要で、これがハードルと
なっていることへの不満もあり、議論が続けられている。組織を絡ませれば
審査は楽になるが。
・営利目的の場合、
「学術研究の用に供することを直接の目的とすること」に
引っかかってくるのではないか。共同研究にせよ委託にせよ調査票情報の利
用は適正管理措置に依存するという印象。
→個人情報を守る観点については適正管理措置で縛ることが可能である。それ以
外に、理念として、学術研究目的については、営利の関与の制限が必要かど
うかが問題。当然、営利目的が多少あったとしても、それをもって学術研究
の発展に資さないというわけではない。こうしたものは(4)で判断するこ
とが適当かどうか、感触をいただきたい。・(改正規則案19条は)学術研究目的を評価する条文だが、学術研究は調査票情
報を利用して行うので、その適性管理とセットで評価できるよう、学術研究
の主体と調査票情報の管理主体の整理が必要。
→まずポジの条件として学術研究目的(公益性)がなければ提供は認められない。
それがネガの条件としての適正管理措置と密接に関連しているので、一緒に
判断せざるを得ないところが分かりにくい部分だとは思うが、学会の常識・
感触や個人情報の保護の観点からご意見をいただきたい。
・具体的な担保措置について、だれがどう担保すればよいか、各委員のご知見の
ある分野でのプラクティスがあれば伺いたい。
・学術研究目的であっても、調査票情報を扱う主体は別に考えなければならない
ということか。つまり、調査票情報を民間に丸投げした方がよい研究ができ
る場合もあることをどう考えるのかということか。
・その場合に責任の主体や評価すべき主体が変わってくるのではないか。
→丸投げする主体の責任もあるが、直接提供を受ける主体が契約をする主体であ
り、適正管理の責任を負う。そこから先でだれがどうするか、例えば情報管
理は別にやりますということがあれば、それを示していただくこととなる。
また、今回の広がる範囲である第33条の2の調査票情報の提供は、オンサイ 6ト施設で利用することを前提に考えているので、条件については、実際には
学術研究の発展を中心に見ることになると考えている。
・オンサイト施設に(研究者と)別の人が来てもよいのか。
→全員を名簿に書かせる。
・名簿全員の審査をするのか。オンサイト施設では利用者の本人確認をするのか。
・まずオンサイト利用の条件とどのように提供されるのかが議論の前提となるの
で、説明した方がよいと思う。
→統計法上の規律(守秘義務等)は、委託先を含めて調査票情報を取り扱う者に
は全て課されている。その上で、ご指摘の点は次回までに整理したい。
【論点】くろまる調査票情報の提供等を受ける者にとって分かりやすく明確な基準(範
囲)となっているか
・省令に網羅的に書くとかえって分かりにくいものとなる。
・前の論点について整理がなされた上で、それをどう分かりやすく示すかという
ことで、今の状況では具体的な意見を申し上げにくい。
→次回改めて整理したい。
次回の統計制度部会は、11月16日(金)13時30分から総務省第2庁舎6階特別会議
室において開催する予定である旨、事務局から案内された。
以上

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