第 71 回人口・社会統計部会議事概要
1 日 時 平成 28 年7月 25 日(月)15:55〜16:51
2 場 所 総務省第2庁舎6階特別会議室
3 出席者
(部 会 長) 白波瀬 佐和子
(委 員) 嶋﨑 尚子、永瀬 伸子
(審議協力者) 財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、東
京都、大阪府
(統計作成者) 総務省統計局統計調査部国勢統計課:栗田課長ほか
(事 務 局) 総務省統計委員会担当室:吉野政策企画調査官
総務省政策統括官付統計審査官室:谷輪統計審査官、佐藤調査官ほか
4 議 題 「人口推計の基幹統計としての指定について」
5 概 要
人口推計の基幹統計としての指定の適否や「公的統計の整備に関する基本的な計画」
(平成 26
年3月 25 日閣議決定)における指摘事項への対応状況等について審議が行われた。
その後、答申案の審議が行われ、了承された。答申案については第 100 回統計委員会(平成 28
年8月 25 日開催予定)において部会長から報告することとされた。
主な意見等は以下のとおり。
(1)第II期基本計画における指摘事項への対応について
・ 都道府県別・年齢別人口については、平成 24 年7月の住民基本台帳法の改正、25 年7月
の住民基本台帳ネットワークシステムの運用開始を経て、外国人の都道府県間移動に関する
データが得られるようになったことから、当該データの追加に伴う新たな推計方法及び集計
事項の検討を行った。新たな推計方法の適用時期としては、時系列比較の観点も考慮し、基
準人口切替時が適切であることから、平成 27 年国勢調査(確定人口)を基準人口とした「平
成 28 年 10 月1日現在人口」
(平成 29 年4月公表予定)から、
「都道府県別年齢5歳階級別
日本人人口」を追加して公表することとしている。
(別添1参照)
→ 総人口から日本人人口を差し引くと外国人人口を算出できるとのことであるが、外国人
人口を表章しないのはなぜか。
日本人人口については、全国では各歳別に公表することとしているが、都道府県別では
各歳別表章は難しいので、5歳階級別表章により公表するという理解でよいか。
→ 住民基本台帳法の改正等により外国人の都道府県間の移動情報が得られるようになっ
たが、外国人人口の総人口に占める比率は1%程度とかなり少なく、また、千人単位で表
章している人口推計について、都道府県別の集計においてそれらの表章を行うと千人単位
未満となる階級が多数見込まれることから、外国人人口の表章は控えている
また、都道府県別日本人人口は十分な精度の確保等を考慮し、5歳階級で公表すること
としている。
(2)基幹統計としての指定の範囲(集計事項)について
・ 人口推計において、
新たに
「都道府県別・年齢別日本人人口」
を公表することとしている。
これにより、都道府県別の合計特殊出生率について、より精度の高い算出が可能になると考
えられる。
(別添2参照)1 → 現在、合計特殊出生率はとても重要な指標になっている中、
「都道府県別・年齢別日本
人人口」の公表によって、今後、合計特殊出生率は何か影響を受けることになるのか。
→ 都道府県別の合計特殊出生率の算定に当たって、分子の日本人出生数に対し、これまで
は分母として、国勢調査の実施年は日本人の女性人口を用い、それ以外の年は人口推計に
よる女性の総人口を用いていた。このため、時系列でみた場合、国勢調査の実施年とそれ
以外の年とで数値に若干のギャップが生じていたが、今後は、人口推計による都道府県別
の日本人女性人口を用いることが可能となるため、当該ギャップが解消されていくのでは
ないかと考えている。
→ 合計特殊出生率そのものがより厳密な数値になることから、公表に当たっては、そのこ
とについて説明することが重要である。
(3)基幹統計として指定する統計の名称について
・ 「人口推計」
は、第1回国勢調査(大正9年)以降の各年の人口の推計を行ってきており、
当初から、推計によって得られる統計全体を意味する名称として「人口推計」を用いてきて
いる。この名称には、現在の人口という意味が概念的に含まれていると考えており、統計利
用者に無用の混乱を生じさせないためにも、名称は「人口推計」のままとすることが適当で
あると考えている。
→ 「人口推計」という名称は、今後の人口の見通しを作成しているかのような誤解を生じ
させるおそれがあるのではないか。日本語ではこれまで現在人口の推定(estimate)及び
将来人口の推計(projection)、この両者ともに前者は「人口推計」
、後者は「将来人口推
計」という言葉が使われており、新聞紙面等での略称としては両者ともに「人口推計」と
いう言葉が使われている。このために現在人口について「人口推計」とすることは、一般
国民に内容についての誤解を生じさせるおそれがあるのではないか。
→ 「人口推計」という名称については、統計利用者間において定着しているものと考えて
おり、また、当該名称により「将来推計人口」との関係で誤解や紛れが生じたといった意
見等は特に寄せられていない。しかしながら、御指摘を踏まえ、今後とも統計利用者に誤
解等が生じないよう、広報として各方面へ説明を行う際には、本統計の内容について十分
説明を行ってまいりたい。
→ 「人口推計」は現在の人口を推計するものであり、
「将来推計人口」とは異なるもので
あることなど、
「人口推計」について分かりやすい形で説明することが本統計に係る広報
の面からも重要である。
6 次回予定
審議が全て終了し、
答申案について部会として了承されたことから、
平成 28 年8月 25 日
(木)
に開催予定の統計委員会において答申案を諮ることとされた。2 「平成26年10月1日現在人口」まで 「平成28年10月1日現在人口」以降日本人都道府県・年齢(注記)1
・男女 都道府県・年齢(注記)1
・男女外国人全国・年齢(注記)1
・男女 都道府県・年齢(注記)1
・男女日本人都道府県・年齢(注記)2
・男女 都道府県・年齢(注記)1
・男女外国人- 都道府県・年齢(注記)1
・男女人口移動報告住民基本台帳出入国管理統計論点に対する回答について
1 第II期基本計画における指摘事項への対応について
「公的統計の整備に関する基本的な計画」
(平成 26 年3月 25 日閣議決定。以下「第II期基本計
画」という。
)では、
「現在推計人口の基幹統計化について、集計の充実に向けて都道府県間移
動等に係る外国人人口に関する新たな推計方法の検討を推進し、結論を得る」とされていると
ころ、どのような対応を行ったのか。
<回答>
人口推計の集計体系は「各月1日現在人口」、「各年 10 月1日現在人口」、「補間補正人口」となる
が、このうち「各年 10 月1日現在人口」における「都道府県別年齢5歳階級別人口」については、
「住民基本台帳人口移動報告」
(総務省)の平成 22 年結果から、日本人の都道府県間移動に係る年齢
別データが得られることとなった。一方、外国人については、住民基本台帳の対象に新たに加えるこ
との検討が行われていたところであり、
外国人の都道府県間移動に関するデータは得られていなかっ
た。
その後、平成 24 年7月には住民基本台帳法(昭和 42 年法律第 81 号)が改正され、住民基本台帳
の対象に新たに外国人が加わったことにより、外国人住民に対して住民票が作成され、25 年7月か
らは住民基本台帳ネットワーク等についての運用が開始された。これに伴い、平成 26 年度以降、
「出
入国管理統計」
(法務省)においては、外国人の都道府県別出入国者データ、
「住民基本台帳人口移動
報告」
(総務省)においては、外国人の都道府県間転出入者データが利用可能となった。
(別紙参照)
<住民基本台帳法改正に伴う人口推計を作成するために用いる情報の変更内容>
注1)平成27 年10 月1日現在の人口は国勢調査の結果による。
注2)
「平成26 年10 月1日現在人口」までの外国人の都道府県別データについては、
「出入国管理統計」
(法務省)及び「在留外国人統計」
(法務省)をもとに、在留外国人統計の都道府県別増減数の構成
比により推計している。
注3)(注記)1は各歳、(注記)2は5歳階級。
「住民基本台帳人口移動報告」
(総務省)の日本人データは、推計方法の検討に伴い、使用する年齢
区分を変更。
第71 回人口・社会統計部会 資料3-2(抜粋) 別添13 前年10月1日現在 出生児数 死亡者数 入国者数 出国者数 転入超過数 国籍異動人口
県、各歳人口 + 県 - 県、各歳 + 県、各歳 - 県、各歳 + 県、各歳 + 県、各歳
日本人人口 日本人 日本人 日本人 日本人 日本人 日本人
前年10月1日現在 出生児数 死亡者数 入国者数 出国者数 転入超過数 国籍異動人口
県、各歳人口 + 県 - 県、各歳 + 県、各歳 - 県、各歳 + 県、各歳 + 県、各歳
外国人人口 外国人 外国人 外国人 外国人 外国人 外国人
当年10月1日現在
= 県、各歳人口
日本人人口
当年10月1日現在
= 県、各歳人口
外国人人口
都道府県別人口
総人口、日本人人口
当年10月1日現在
全国、各歳人口
総人口、日本人人口
当年10月1日現在
当年10月1日現在
県、5歳階級別人口
総人口、日本人人口
外国人の都道府県間移動に係るデータが利用可能となったことから、平成 27 年度にかけて都道府
県別集計の推計方法及び集計事項の検討を行い、
1データを追加することによる推計方法の検証を行
ったこと、
2人口推計は5年ごとに行われる国勢調査の確定人口を基準人口としていることから、平成 27 年国勢調査人口を基準とする「平成 28 年 10 月1日現在人口」
(平成 29 年4月公表予定)の推
計から「都道府県別年齢5歳階級別日本人人口」を追加することとした。
(図3参照)
(注記)「各月1日現在人口」及び「補間補正人口」の集計事項について変更はない。
図1 <推計の基本式(各年 10 月1日現在人口)> 【全国及び都道府県】
(注)図2は省略23
(注記)のデータについては、
現行の推計では
「全国各歳人口」
及び
「都道府県別人口」
をもとに推計しているが、
住民基本台帳法改正に伴い「出入国管理統計」の外国人の都道府県別出入国者データ、
「住民基本台帳人口
移動報告」
の外国人の都道府県間転出入者データが利用可能となったため、
これまで行っていた推計が不要
となった。
(注記)4 図3
人口推計の集計項目追加に伴う表章イメージ
(単位
千人)
(単位
千人)総数
0〜4歳
5〜9
10〜14総数
0〜4歳
5〜9
10〜1401北海道01北海道02青森県02青森県03岩手県03岩手県04宮城県04宮城県05秋田県05秋田県〜〜
(単位
千人)総数
0〜4歳
5〜9
10〜1401北海道02青森県03岩手県04宮城県05秋田県〜総人口
総人口
男女計
男女計〜〜全国全国全国
日本人人口
男女計〜<都道府県、年齢5歳階級、男女別人口>
変更前
変更後
追加表
(注記)
内訳として「男」「女」の表を作成
(注記)
(注記)
(注記)5 (別紙)参考
住⺠基本台帳法の改正
しろまる
外国人住⺠の住⺠基本台帳制度の開始
<イメージ>
「総務省
外国人住⺠に係る住⺠基本台帳制度のご案内パンフレット」抜粋
我が国に入国・在留する外国人が年々増加していること等を背景に、市区町村が、日本人と同様
に、外国人住⺠に対し基礎的行政サービスを提供する基盤となる制度の必要性が高まりました。
そこで、外国人住⺠についても日本人と同様に、住⺠基本台帳法の適用対象に加え、外国人住
⺠の利便の増進及び市区町村等の行政の合理化を図るための、「住⺠基本台帳法の一部を改正
する法律」が第171回国会で成立し、平成21年7月15日に公布、平成24年7月9日に施行されま
した。
「総務省HP
外国人住⺠に係る住⺠基本台帳制度のページ」抜粋6 2 基幹統計としての指定の範囲(集計事項)について(1)(2)
(3)人口推計の利活用について、個別具体的には、どのように利活用されているのか。さらに、新
たな推計方法によって得られる情報との関係で、その前後での利活用面で、更に充実化が図られ
るといった点はないか。
<回答>(抜粋)(3)(略)
また、合計特殊出生率(厚生労働省)を算出するため、人口推計の年齢別人口が分母人口として
利用されている。
これまで、都道府県別の合計特殊出生率については、国勢調査が実施された年は、分母の女性人
口には国勢調査による日本人人口が用いられ、国勢調査が実施されない年は、人口推計による総人
口が用いられてきた。
今回、人口推計において「都道府県別年齢別日本人人口」を新たに公表することにより、厚生労
働省では、人口推計による都道府県別日本人人口を分母に用いる予定としており、より精度の高い
合計特殊出生率の算出が可能となると考えられるところ。
(図7参照)
図7 合計特殊出生率の基礎資料として利用(概要)
別添2
第71 回人口・社会統計部会 資料3-2(抜粋)
(略)7

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