質問本文情報
令和七年十月二十一日提出質問第一号
就労系障害福祉サービスにおける在宅支援に関する質問主意書
提出者 日野紗里亜
就労系障害福祉サービスにおける在宅支援に関する質問主意書
就労移行支援、就労継続支援A型及びB型等の就労系障害福祉サービスは、障害のある人の自立と社会参加を支える重要な制度である。原則として通所による支援提供を基本としているが、感染症の流行、障害特性、さらには近年深刻化する夏季の異常高温などにより、通所が困難となる利用者も少なくない。
厚生労働省は令和三年度報酬改定以降、一定の条件下で在宅支援を認めているが、実際の運用は各自治体に委ねられており、その可否や手続、運用の実態には大きな地域差が生じている。
また、障害種別を理由として在宅支援の利用を一律に制限する自治体もあり、「知的障害のある者は在宅での作業が困難」「支援効果が見込めない」といった理由により排除されている事例も報告されている。これは合理的配慮の原則や障害者差別解消法の趣旨に反するおそれがある。
さらに、現行制度の枠組みでは支援が届かない障害者も少なくない。長年外出していない者、人と接することが困難な者、体力的に通所が著しく難しい者などである。こうした人々が自宅にいながら事業所に所属し、リモートで作業や内職を行い、成果に応じて工賃を得られる仕組みは、社会参加への第一歩として重要である。事業所が進捗や成果をリモートで確認し、段階的に通所や地域との交流へつなげていく仕組みは、就労支援の目的にも合致する。通所中心の発想にとらわれない新たな在宅支援制度の検討が求められる。
よって、以下質問する。
一 就労移行支援、就労継続支援A型及びB型における在宅支援について、自治体によって利用の可否や手続に差がある現状を政府はどのように認識しているか。地域差の是正や全国的な基準整備の必要性について、政府の見解を示されたい。
二 在宅支援の利用に関し、障害種別を理由として一律に判断している自治体が存在することについて、政府は障害者差別解消法及び合理的配慮の観点からどのように考えるか。障害種別ではなく、個別の支援ニーズや環境調整の可能性に基づいて判断すべきではないか、政府の見解を示されたい。
三 現行制度では、長期に外出していない者、人と接することが困難な者、体力的理由から通所が著しく困難な者など、いずれの職場やコミュニティにも所属していない障害者が支援の対象から漏れている実態がある。こうした者が自宅にいながら事業所に所属し、リモートで作業や内職を行い、成果に応じて工賃を得る仕組みは社会参加への第一歩として有効と考えるが、政府の見解を示されたい。
また、このような在宅支援を通じて事業所が進捗や成果を管理し、段階的に通所や地域との交流につなげていく新たな制度の構築について、検討する考えはあるか。
右質問する。