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令和七年十月二十一日提出
質問第一〇号

文化庁が「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」と発言したとの報道に関する質問主意書

提出者 八幡 愛




文化庁が「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」と発言したとの報道に関する質問主意書


日刊工業新聞(令和七年九月三日付報道)によれば、文化庁はクリエーターへの対価還元を実現するためにAI向けのデータセット流通環境の構築事業を始め、令和八年度予算の概算要求に三億円を盛り込んだと承知している。報道によれば、初年度には統括事業者を選定し、データセット形式や契約例の整備を進めるとされている。当該報道の中には、「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しいため統括事業者にはコンサルティングができる事業者を選ぶ」との発言が記されている。
記事が報じる予算額や事業方針は、文化庁以外の主体が答え得る性質のものではなく、文化庁関係者の説明によらなければ成立し得ない。すなわち本発言は文化庁自身が行ったものとみなさざるを得ず、クリエーターや権利団体を一律に「知見が乏しい」と断定し、軽視する姿勢を示すものであり、仮に発言が行われていないとすれば、文化庁が即時に訂正を求めるべき性質のものであると考える。したがって、報道が真実である場合には、文化庁がクリエーターや権利団体を一律に「知見が乏しい」とみなしていることになり、報道が誤りである場合には、訂正要請を行わなかった理由が問題となる。
文化庁は文部科学省設置法に基づき、国民の文化的所産の振興及び向上を所掌し、文化芸術活動を担う人材の育成と支援を使命とする機関である。その文化庁自らが、クリエーターや権利団体を「知見が乏しい」との前提に置くこと自体、所掌事務と真っ向から矛盾し、到底容認できない姿勢であると考える。
以上を踏まえ、政府に質問する。

一 政府は上記報道にある「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」との表現について事実関係を承知しているか。承知している場合、そのような趣旨の説明を文化庁が行ったのか明らかにされたい。
二 当該報道にある発言を実際に行った文化庁職員の職名、所属、発言日時及び発言場所を明らかにされたい。
三 クリエーターや権利団体のAI技術や契約に関する知見について、政府の公式な立場は、当該発言を行った官僚の認識と同様であるのか、政府の見解を明らかにされたい。
四 クリエーター自身や権利団体を統括事業者に充てない理由は何か、政府の見解を具体的に説明されたい。
五 文化庁は、過去においても「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」との前提に基づいて政策を推進してきた事例があるのか、あるならば可能な限り具体的に示されたい。
六 著作権法第三十条の四は、「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」との前提を置いて立法されたものか、政府の見解を明らかにされたい。
七 国会会議録や文化庁が公表した資料の中において、同様に「クリエーターや権利団体はAI技術や契約の知見が乏しい」との前提を示した説明が存在するか。存在する場合、その具体的内容と時期を可能な限り示されたい。
八 現下のコンテンツ産業においては、多くのクリエーターや権利団体がAI技術や契約に関して高度な専門性を持ち、また国際的な交渉や訴訟にも関与している事実があると承知しているが、文化庁の立場はこれと異なるという理解でよいか。
九 仮に一部のクリエーターや権利団体に知見不足があるとしても、それを補うのは本来、文化庁自身の支援事業の役割であると考える。統括事業者を選定するにあたり、クリエーターを「知見が乏しい」と位置づけるのではなく、当事者の主体性を尊重し、対等なパートナーとして参画できる仕組みを構築すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
十 本事業において統括事業者を選定する際、クリエーターや権利団体が十分に関与し、意思決定に反映される仕組みをどのように確保するのか。政府の方針を具体的に示されたい。

右質問する。

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