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国立大学法人佐賀大学の平成 年度に係る業務の実績に関する評価結果171 全体評価
佐賀大学は、地域文化の継承と発展を標榜し、佐賀学を基盤とする地方の中核大学と
して地域の特色を活かした教育研究を行っている。
同大学は学長のリーダーシップを支える運営体制を強化すべく、学長のシンクタンク
的機能を果たす学長特別補佐を増員するとともに、大学の理念・方針の明確化と共有を
「 」 、 、
図るために 佐賀大学憲章 を制定し 法人運営の活性化に向けた取組が行われており
学長のリーダーシップも発揮され始めている。
また、平成 年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、教員の個人業績評価の試行が実16施され、各学部で %に近い教員の自己点検・評価と学部等の評価組織による自己点100、 。 、
検・評価が実施されており 評価の充実に向けて努力していることは評価できる 今後
事務職員も含めた評価の本格実施及び評価結果の的確な活用が期待される。
一方、全学的な長期計画との調整の下に策定することとされている各学部の将来構想
については検討にとどまっていることから、早急な取組が求められる。
この他、財務内容については、研究支援及び外部資金獲得支援の機能を一元化した組
織が新設され、外部資金獲得の機能強化が図られているが、成果及び一層の取組が期待
される。
教育研究の質の向上については、教育先導大学を目指し、地域創成型学生参画教育モ
デルを構築している。また、医学系研究科と工学系研究科に文系教員が研究教育指導員
、 。
として参画し 学部の枠を超えた医文理融合型の大学院教育指導体制を立ち上げている
2 項目別評価
I.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化
1 運営体制の改善
2 教育研究組織の見直し
3 教職員の人事の適正化
4 事務等の効率化・合理化
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。17「 」 。
しろまる 大学の理念・方針の明確化と共有を図るために 佐賀大学憲章 が制定されている
しろまる 学長特別補佐を8名から 名に増員し、学長を補佐する体制を強化し、学長補佐会12議で大学運営や学長経費の在り方等に関して提言を行い、運営の方針・改善等につい
て学長のシンクタンクとしての機能を果たしている。
「 」 、 、 、
しろまる 予算編成の基本方針について を策定し 学長経費を確保し 大学改革推進経費
中期計画実行経費に区分し、学長のイニシアティブの下で重点的な施策と研究プロジ
ェクトに配分されている。また、役員会にて平成 年度の学長経費の事業報告と決算16書を査定し、配分方法の見直しを行い 「中期計画実行経費」については、実施報告書、とヒアリングによる事後評価を実施し配分に反映させることとしている。
しろまる 平成 年度に学部横断的な総合研究を行う「有明海総合研究プロジェクト」を5年17、 「 」 。
間の期限付きで設置し 地域研究の重要課題である 有明海研究 が推進されている
しろまる 原則任期付きの学長裁量の運用人員を 名(対前年度比4名増)とし 「地域学歴
18 、
史文化研究センター 「海洋エネルギー研究センター」等に運用されるなど、大学が」、
戦略的に進める教育研究活動の推進に活用している。
しろまる 「派遣雇用及び外部委託に関する指針」を策定し、知的財産関係、人事関係及び決
算の3業務について派遣労働者を雇用し、診療報酬明細書データ入力業務を外部委託
するなど事務の効率化が図られている。
しろまる 各種情報システムを更新し、教職員情報と学生情報を統合し、利便性を高めると同
時に運用コストが削減されている。
しろまる 企業OB、弁理士を佐賀大学 (技術移転機構)客員教授として採用し、技術移TLO転業務担当として活用している。
しろまる 経営協議会における地震等における危機管理体制の整備や附属病院における看護師
の増員等の指摘に対して、危機管理体制の確立の一環としての災害対策マニュアルの
整備や附属病院の人件費不足に対する学長経費の重点配分等、大学運営に反映させて
いる。
しろまる 3名の専任職員で構成される監査室により、法人及び全部局に対し定期監査及び臨
時監査を実施し、業務監査においては「大変革の認識−危機感」等 項目にわたる監10査ヒアリングの結果として、現場の実態が報告されている。なお、監事監査における
指摘に対して、旧外国人教師公舎の再利用や財務会計システムの業務マニュアルの整
備等、意見を大学運営に反映させている。この他、監事及び監査室により、すべての
全学委員会及び室の組織運営の状況等について検証が行われ、各委員会等に意見が付
されているが、これらの意見に対して鋭意対応することが期待される。
平成 年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。17しろまる 中期目標・中期計画達成に向け、人事評価システムの本格実施及び処遇への反映に
関するスケジュール設定が求められる。
しろまる 全学的な長期計画との調整の下に、各学部の将来構想案を策定することとしていた
が、検討にとどまっていることから、早急な取組が求められる。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載 事項中 事項が「年度計画を上回って実施している」
48 47
又は「年度計画を十分に実施している」 と認められるが、1事項について
「年度計画を十分には実施していない」と認められ、上記の状況等を総合的
に勘案したことによる。
(2)財務内容の改善
1 外部研究資金その他の自己収入の増加
2 経費の抑制
3 資産の運用管理の改善
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。17しろまる 研究支援及び外部資金獲得支援の機能を一元化した組織が新設され、外部資金獲得
の機能強化が図られている。今後、より一層の成果が期待される。
しろまる 附属病院収入については、入院期間の短縮等による診療単価の増、外来化学療法室
の本格稼働、大型機械設備「全身血管診断治療システム」の稼働及び無菌手術室の増
室等により高度な手術件数が増加し、約 億 万円(対前年度比約1億 万
114 6,900 3,200
円増)となっている。今後、医療サービスの維持・向上を同時に達成することが期待
される。
しろまる 電力経費の節減(夏季・冬季の空気調和設備の稼働時間の制限)により約 万
2,700
円(対前年度比 %減)を節減したほか、上下水道の節減により約 万円(対前
7.7 1,600
年度比 %減 、郵送料の節減により約 万円(対前年度比 %減 、コピー用紙
8.1 50 22) )の節減により約 万円(対前年度比 %減)の経費節減が図られ、一般管理費比率
300 16
は、 %(対前年度比 %減)となっている。
2.7 0.1
しろまる 学外非常勤講師経費を必要性について精査した上で平成 年度実績の3分の1相当15分が削減され、人件費比率は %(対前年度比 %減)となっている。なお、教
57.7 1.1
員の負担増になっていないか検証することが期待される。
しろまる 講義室、演習室等の有効利用促進のため、全学的な施設利用状況調査を実施し、そ
の結果を基に保有財産の効率的利用を図るための施設データベースの作成、外人教師
公舎のキャンパス内への移築及び跡地への外部資金による研究棟の建設が決定されて
いる。
しろまる 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標値が設定されている。な
お、今後、中期目標・中期計画の達成に向け、着実に人件費削減の取組を行うことが
期待される。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載7事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(3)自己点検・評価及び情報提供
1 評価の充実
2 情報公開等の推進
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。17しろまる 「大学評価の実施に関する規則」に基づき、教育、研究、国際・社会貢献、組織運
営の領域における教員の活動状況を点検・評価するための全学共通の「個人評価の実
施基準」及び「個人評価の指針」が策定されている。また、各部局等の特性に即した
、 。
個人評価の実施基準及び同指針を策定し 教員活動個人評価の試行が実施されている
なお、個人評価システムについては、教職員の身分・給与に関係させない顕彰(表彰
や研究費の傾斜配分等)を目的とする場合の他、人事考課制度(昇任・降格人事を含
む)も含めて、目的を明確にした評価基準の構築と運用が期待される。
しろまる 科学技術共同開発センターは、佐賀県農林水産商工部、佐賀商工会議所等の役員で
構成される外部評価委員会の評価を受け、産学連携の在り方について指摘を受け、指
摘を踏まえた改善目標が策定されている。
しろまる メールマガジンに「学長メッセージ」の欄を設け、学長の考えや方針等を全職員に
対し的確に伝える工夫がなされている。
しろまる 平成 年度評価結果で評価委員会が指摘した事項については、社会人学生の受入れ16及び教育研究指導体制の整備等の推進、教員の個人評価の試行実施、施設データベー
スを構築し共通的施設の管理等の維持管理体制の確立等の措置を講じるなど、改善に
向けた取組が行われている。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載7事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要事項
1 施設設備の整備・活用等
2 安全管理
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。17しろまる 全学的な施設利用状況調査を実施し、施設管理台帳、施設整備状況図、経年別建物
、 。
配置等の作成 施設データベース構築及び施設維持管理計画の策定が推進されている、しろまる 各事業場の安全衛生委員会による研究室等の立入検査及び安全衛生管理指導の実施
実験系廃棄物取扱手引書の作成、薬品管理システムの構築、学生向け「実験・実習の
安全の手引き」の改訂、安全教育、等が行われている。
しろまる 附属病院において 「インシデントアクシデントレポート」等、医療安全管理指針の、徹底、安全管理・事故防止講習会の実施、他の国立大学附属病院との医療安全管理に
関する相互チェックの実施等により、医療事故等の対応及び安全管理体制が強化され
ている。
しろまる 医療安全管理の一環として、医学部附属病院検査部が品質マネジメントシステム
( )の認証を取得し、検査データやサービスの品質保証・管理体制が国際的
ISO9001
に認められている。
しろまる ウェブサイトで「ヒヤット・ハット危なかった事例をお知らせください」という案
内を掲載し、学生・教職員から情報収集を行い、施設環境の改善に取り組んでいる。
しろまる 災害、薬品管理に関する全学的なマニュアルが策定されている。なお、事件・事故
等に関する全学的なマニュアルが策定されていないことから、早急な対応が期待され
。 、 、 。
る また 危機管理に関しては 全学的・総合的な危機管理体制の確立が期待される
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載 事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は16「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘
案したことによる。
II.教育研究等の質の向上の状況
評価委員会が平成 年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事17 項が注目される。
しろまる 地域創成型学生参画教育モデルが構築されている。
しろまる インターネット授業の効果を評価するため、授業内容、成績評価の対応を把握でき
る学習管理システムが導入されている。
しろまる 学生が参加しやすいインターンシップの在り方について検討し、学内で実施できる
を実施し、 名の参加を得ている。
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しろまる 大学院教育(博士課程)において、統合後の総合大学としての特性を活かし、医学
系研究科と工学系研究科に文系教員が研究教育指導教員として参画し、学部の枠を超
えた医文理融合型の大学院教育指導体制を立ち上げている。
しろまる 総合分析実験センターの実験機器類及び生物資源の維持・開発と放射性同位元素実
験に関する設備の利用方法を見直し、ウェブサイトから機器一覧による検索、予約や
各種申請を行える全学的利用システムを整備し、機器の有効利用が図られている。
しろまる 各学部、センター等において、部局の特徴を活かしたファカルティ・ディベロップ
メント( )フォーラム・研修を実施し、医学部においては、学生による評価が高いFD教員による模範授業をビデオ収録し、ウェブサイトに掲載して に活用している。FDしろまる 学生と副学長・教職員との懇談会を各キャンパスで2回ずつ開催し、教育環境の改
善について意見交換が行われている。
しろまる 学部学生についても大学院課程の授業科目を科目等履修生として聴講できる制度が
構築されている。
しろまる 佐賀大学 が経済産業省の認可を受け、技術相談等の便宜を図る企業会員制度をTLO創設するなど、知的財産の活用に向けた活動が開始されている。
しろまる 研究活動に関する調査資料を参考に、全学的に取り組む重点研究の方向性を定め、
学部横断的な研究を展開する計画として、4つの研究プロジェクトを重点研究に決定
し学長経費による支援が行われている。
しろまる シンクロトロン光応用研究センターが主導し、九州地区8国立大学等間で研究教育
の連携協力に関する契約を締結し、利用者連絡会議、流動教員による研究交流等の連
携協力体制を確立し、研究が推進されている。
しろまる 留学生支援基金の充実を図るため同窓会等へ働きかけ、また、留学生交流室の充実
及び民間(非営利組織( )法人等)との協力による外国人留学生用宿舎の安定確NPO保に努めている。
しろまる 学生の海外派遣先に、受入れのための働きかけ等を行った結果、派遣先大学が か14所(8大学増 、派遣学生数 名(8名増)となっている。) 19、 。 、
しろまる 助教授及び認定看護師を専従配置し 地域包括緩和ケア科が新設されている また
夜間小児救急電話相談の開始等、小児医療救急医療体制が整備されるなど、附属病院
の機能が充実されている。
しろまる 文化教育学部と附属学校の連携を深める取組を進め、学部教員による附属学校の授
業実践を始めるとともに、附属学校の教員が実地指導講師として学部授業を担当する
システムが整備されている。また、学部・附属学校共同研究推進委員会の下に、新た
に教材開発型共同研究プロジェクトが設置され、学部・附属学校間の共同研究発表が
件(対前年度比 件増)となるなど、学部と附属学校の一体となった取組が進め
32 23
られている。

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