Taro13-76佐賀.jtd


国立大学法人佐賀大学の平成 年度に係る業務の実績に関する評価結果161 全体評価
佐賀大学は、人格形成の礎となる教養教育から、社会の要請に応える知識・技術を修
得する専門(職業)教育、また、基礎研究から応用研究・実用開発にいたるまで、学生
と社会の要望に応える教育と研究を展開し、統合前の佐賀大学及び佐賀医科大学が取り
組んできた教育、研究、地域・社会貢献、国際貢献の諸活動を継承するとともに、統合
によって生まれる新たな「知の創造」を追究することを目標としている。
旧佐賀大学と佐賀医科大学との統合(平成 年 月)により、法人化に
同大学は、 15 10
向けての準備は半年で行われ、合意形成等、調整に時間を要したようであるが、学長の
リーダーシップを高めつつ、中期目標の達成に向けて、全学的な経営戦略を策定する努
力がなされてきた。なお、統合と法人化の二重課題に同時に直面したこともあり、全体
的に体制の整備に時間を傾注した感があり、中期目標達成に向けた具体的な取り組みや
それに伴う成果については、平成 年度以降の進展が期待される。また、統合後の佐賀17大学の特性を踏まえ個性を発揮した取り組みが望まれる。
財務内容の改善については、外部研究資金獲得に向けた支援体制を強化し、申請状況
・採択状況に関するデータの調査や受託研究に関する情報収集を行い、教員への周知を
図ったことにより、科学研究費補助金については、申請件数、採択件数、採択額ともに
前年度を上回っており、受託研究等についても大幅に増加しており、全体として中期目
標の %増が達成されたことは評価できる。引き続き、外部研究資金の獲得に向けた積20極的な取り組みが期待される。経費節減についても、重点事項としてエネルギー資源の
節約と刊行物購入経費の節減等を推進し、省エネに対する意識改革等の成果も現れてい
る。今後の経費節減に向けた更なる取り組みが期待される。
教育研究に関する取り組みとしては、学生による授業改善のためのアイディア・コン
ペ、教職員及び学生が教育改善に参画する「 ・ フォーラム (授業改善学生会議)
FD SD 」
の開催等、学生の声を反映させる取り組みも行われている。今後、これらの結果も踏ま、「 」 。
え 教育先導大学 としての教育組織・体制の見直し・整備を進めることが期待される
なお、若手教員の渡航援助を行う「国際交流基金」制度については、設置についての検
討にとどまっており、当初の中期計画より遅れている。取り組みを早急に進めることが
求められる。また、博士課程において、学生収容定員の充足率が %を満たされなかっ85たことから、今後、速やかに定員の充足や入学定員の適正化に努める必要がある。
2 項目別評価
(1)業務運営の改善及び効率化
1 運営体制の改善
2 教育研究組織の見直し
3 人事の適正化
4 事務等の効率化・合理化
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される(又は課題がある 。16 ) しろまる 博士課程において、学生収容定員の充足率が %を満たされなかったことから、今85後、速やかに定員の充足や入学定員の適正化に努める必要がある。
しろまる 学長が指示する特定事項の企画・立案に従事する学長特別補佐を8名任命し、学長
直轄の組織として学生支援室等6室、教育研究評議会の下に中・長期教育研究検討部
会等3部会が設置され、企画執行組織が整備されている。なお、それぞれが適切に機
能するとともに意思の疎通が図られ迅速な意思決定に繋がることが期待される。
しろまる 各種委員会が見直され、半数以上の委員会で教職員一体の体制を整備し、事務職員
が運営に参画しているが、今後、委員会への事務職員の参画による成果を見守ってい
く必要がある。
しろまる 教育研究経費の %を学長経費として、大学改革推進経費、学内 経費、運用
20 COE
定員経費の事項を新設し、個性豊かな教育研究に重点配分されている。
しろまる 人件費から教員 名相当分を運用仮定定員として留保し、学長のイニシアティブに14より重点配分されている。特に、教育を重視する観点から「学生への教育経費」は重
点経費として配分されている。
しろまる 職種毎の職務内容を見直し、事務職員と教員とが職種の区分にとらわれない、連携
協力できるシステムが整備されている。
しろまる 経営協議会については、平成 年度は6回開催されており、会議におけるタイムマ16、
ネジメントの確立や私立大学の運営についての訪問調査の実施について提言がなされ
。 、 、
提言を踏まえた取り組みが実施されている 引き続き 大学運営を改善していく上で
経営協議会の積極的な活用が期待される。
しろまる 監事監査については、規程を定め、監査計画に基づき実施されている。なお、監事
からの指摘事項として、資産の有効活用、知的財産の管理体制の整備等があげられ、
指摘を踏まえた取り組み又は検討が行われている。また、監事を補佐する監査室を設
置し、内部監査規程に基づき、監事監査の支援と定期的な内部監査及び業務運営の点
検が実施されている。
しろまる 「派遣雇用及び外部委託に関する指針(案 」が策定されているが、今後中期計画の)中でどのように実施していくか検討されることが求められる。
本項目については、評価委員会の検証の結果、年度計画の記載 事項すべてが「年45度計画を順調に実施している」又は「年度計画を上回って実施している」と認められ
るが、大学院博士課程において、学生収容定員の充足率が %を満たされなかったこ85とや人事に関して方針を策定したにとどまっている事項があること等を総合的に勘案
すると、進行状況は「おおむね計画通り進んでいる」と判断される。
(2)財務内容の改善
1 外部研究資金その他の自己収入の増加
2 経費の抑制
3 資産の運用管理の改善
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。16 しろまる 科学研究費補助金の申請件数増加策として、部局等における申請及び採択状況に関
24.6 7.6 14.5
するデータを公開した結果 申請件数対前年度比 % 採択件数 %増 採択額
、 、 、
%増となった。また、公募型の受託研究費に関する情報収集を行い、各構成員に周知
し応募促進した結果、対前年度比で受託研究費 %となり、全体として中期目標の112増収目標 %が達成されたことは評価できる。なお、外部研究資金の更なる獲得に向20けた具体的方策の検討が期待される。
しろまる エネルギー資源の節約と刊行物購入経費等の削減を推進し、光熱水費は、対前年度
約 %、定期刊行物類は、対前年度比約 %の経費が削減された。今後の経費節
3.8 32.6
減に向けた更なる取り組みが期待される。
しろまる 独身者の世帯用宿舎への入居促進や客員教員・任期付教員及び医員(研修医)への
入居資格拡大により宿舎の利活用が図られた。
しろまる 体育館施設・講義室等を地方公共団体のほか、学習塾や予備校にも貸し出しの門戸
を広げ、施設の利活用が図られている。
本項目については、評価委員会の検証の結果、年度計画の記載7事項すべてが「年
」 「 」 、
度計画を順調に実施している 又は 年度計画を上回って実施している と認められ
上記の状況等を総合的に勘案すると、進行状況は「計画通り進んでいる」と判断され
る。
(3)自己点検・評価及び情報提供
1 評価の充実
2 情報公開等の推進
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される(又は課題がある 。16 )しろまる 電子図書館システム「とんぼの眼」の整備を促進し、研究業績、教員基礎情報、図
書・雑誌の目録等が収集・公開されている。
しろまる 広報室の外部アドバイザーとして、民間企業、ジャーナリスト、地元自治会等の参
加を求め、地域社会からの意見や要望を取り入れる体制を整備し、各部局の入学、就
職、教育研究活動、自己点検・評価、共同研究、外部資金獲得等の諸活動についてウ
ェブサイトにおいて積極的に広報されている。
しろまる 学長・役員会の下に「評価室」及び「大学評価委員会」を設置し、全職員による自
「 」 、
己点検評価を含めた 国立大学法人佐賀大学大学評価の実施に関する規則 等を定め
評価体制に関する基盤が整備された。本評価は、教員だけでなく事務職員等も含めた
全職員を対象としており、注目に値する。なお、平成 年度は基盤整備にとどまって16おり、今後、具体的な取り組みが求められる。
本項目については、評価委員会の検証の結果、年度計画の記載7事項すべてが「年
度計画を順調に実施している」と認められるが、評価に関して規程の整備にとどまっ
ていること等を総合的に勘案すると、進行状況は「おおむね計画通り進んでいる」と
判断される。
(4)その他業務運営に関する重要事項
1 施設設備の整備・活用等
2 安全管理
平成 年度の実績のうち、下記の事項が注目される(又は課題がある 。16 )しろまる 佐賀県の都市計画との連携により、旧制佐賀高等学校の伝統的風景を継承するミニ
パークが整備された。
しろまる 災害対策マニュアル、災害対策ノート等を整備し全学的な対応策と体制の構築が図
られた。
しろまる 労働衛生コンサルタントと指導契約を結び、指導・助言を受けながら安全衛生のノ
ウハウの修得が推進された。
しろまる 附属学校園について、各附属学校園に教育環境・安全環境委員会を設置し、教育環
境及び安全確保に関わる現状を調査し、また、監視カメラの設置、非常時のためのマ
ニュアル作成、地震対策のためのキャビネット等の固定、避難訓練の実施等、教育環
境の改善と幼児・児童・生徒の安全の確保に努められている。
、 、
しろまる 施設データベースシステムの導入の準備として 全学部の講義室利用状況を調査し
施設等の有効活用に関する指針を策定するとともに、維持管理体制を確立するため施
設管理台帳(案)の作成が開始された。今後、速やかに体制が整備され施設等の有効
活用が図られることが求められる。
本項目については、評価委員会の検証の結果、年度計画の記載 事項すべてが「年13度計画を順調に実施している」又は「年度計画を上回って実施している」と認められ
るが、施設の維持管理体制について準備段階の事項があること等を総合的に勘案する
と、進行状況は「おおむね計画通り進んでいる」と判断される。
(5)教育研究等の質の向上
評価委員会が平成 年度の進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される16(又は課題がある 。)しろまる 専任教員による教養教育担当科目数(コマ数)の拡充を図り、少人数教育が拡大さ
れた(前年度比 科目、 %増 。
43 11.5 )
しろまる 学生による授業改善のためのアイディア・コンペ、教職員及び学生が教育改善に参
画する「 ・ フォーラム (授業改善学生会議)の開催による学生参加型の教育改
FD SD 」
革が推進された。
しろまる 過去5年間分の就職先企業等のリストアップ並びに情報整理作業が実施された。
しろまる 学生中心の大学作りの一環として「学生支援室」を設置し、高大連携推進部門、学
生相談支援部門、就職支援部門の3部門を設け、教員と事務職員で構成する室員と学
外のアドバイザーと連携する形で活動されている。また、勤務時間の割り振りを工夫
し窓口対応・各種申請について学生の利便に対応されている。
しろまる 知的財産管理室が設置され、研究成果等の知的財産の一元管理のための法的整備を
、 ( ) 、
行い 知的財産に関する相談窓口の一本化や外部からの人材登用 弁理士を採用 等
体制の整備が図られた。成果等については今後の取り組みが期待される。
しろまる 内部型 (技術移転機関)を設置し、大学保有の知的財産を活用することによっTLOて得られる対価を大学の研究に活用することとされている。
しろまる 海外の大学との学術交流締結、デュアル・ディグリー・プログラムの導入等により
国際的学術交流が推進されている。
しろまる 市民への蔵書の貸出、相互貸借を実施し、また、県立図書館との県内図書館横断検
索システムに参加し、その運用が開始された。
しろまる 附属学校について、大学、学部と一体となった取り組みを一層推進されることが求
められる。

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