佐賀大学 中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果


第1期中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、これまでに培われた諸分野にわたる教育研究を礎にし、地域の中核大学
として特色を活かし、豊かな自然溢れる風土や諸国との交流を通して育んできた独自の
文化や伝統を背景に、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学を目指し、
「佐賀大学
憲章」を制定するなど、法人運営の活性化に向けた取組が行われている。
中期目標期間の業務実績の状況は、平成 16 〜 19 年度までの評価では、すべての項目
で中期目標の達成状況が「良好」又は「おおむね良好」であったが、平成 20、21 年度の
状況を踏まえた結果、
「業務運営の改善及び効率化に関する目標」の項目で中期目標の達
成状況が「非常に優れている」ほか、それ以外の項目で中期目標の達成状況が「良好」
又は「おおむね良好」である。業務実績のうち、主な特記事項は以下のとおりである。
教育については、学生の意見を活用し、学部・学科等の教育組織による授業点検・評
価を行うなどの教育改善を立案する PDCA サイクルの創設、専門科目を教養科目として
履修できる「学内開放科目制度」の新設等のカリキュラム改善、学生の学習環境の整備
充実、学習相談・助言体制の強化や生活支援、ネットワークを駆使した教育インフラス
トラクチャーの整備等の取組を行っている。
研究については、医文理融合等の学部横断的な重点プロジェクトの実施、有明海総合
研究プロジェクトや海洋エネルギー研究等地域と密着した重点研究の推進等の取組を行
っている。
社会連携については、地域貢献推進室、産学官連携推進機構の設置による地域産業・
自治体との技術交流等を推進し、多様な社会貢献を行っている。
業務運営については、
全教職員を対象に人事評価を本格実施し、
その評価結果を平成 20
年度から処遇に反映しており、評価できる。また、事務業務及び事務組織の改善を図る
ため、新たに業務改善等検討会議を立ち上げ、縦割りの「係体制」の廃止による業務組
織のフラット化を実施するとともに、部課長を学長室、理事室の構成員として参画させ、
教員と協働して企画立案を行う体制を整備している。
財務内容については、競争的資金への申請を促進するため、競争的資金対策室におい
て、全学的な資金獲得体制を整備するとともに、様々な競争的資金の公募内容やリンク
先等の概要を「競争的資金対策室公募情報」として学内の研究者に電子メールを配信す
るなどの取組が行われている。
なお、平成 19 事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成 16 〜 19 事業年度)
に係る業務の実績に関する報告書において、財務内容に関する数値が誤って記載されて
いたことから、記載内容を十分に確認するとともに、より適正な自己点検・評価を行う
ことが期待される。
自己点検・評価については、中期計画及び年度計画の進捗管理、報告書作成等の作業
効率化を図るために、ウェブサイト上で取組状況の書き込みや閲覧を適時行うことがで
きる「中期目標・中期計画進捗管理システム」を導入し、実績報告書作成の試行を行う
など、平成 22 年度からの本格稼働に向けて準備を整えている。1 2 項目別評価
I.教育研究等の質の向上の状況
(I)教育に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「教育に関する目標」に係る中期目標(4項目)のうち、2項目が「良
好」
、2項目が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断し
た。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価結果は以下のとおりであった。
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「教育に関する目標」に係る中期目標(4項目)のうち、2項目が「良好」
、2項
目が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1 教育の成果に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「教育の成果に関する目標」の下に定
められている具体的な目標(11 項目)のうち、1項目が「非常に優れて
いる」
、4項目が「良好」
、5項目が「おおむね良好」
、1項目が「不十分」
であったことから、
「中期目標の達成状況が良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、1項目が「非常に優れ
ている」
、4項目が「良好」
、6項目が「おおむね良好」とし、これらの
結果に加え、学部・研究科等の現況分析における関連項目「学業の成果」
「進路・就職の状況」の結果も勘案して、総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「高等教育開発センターの3部門(教養教育部門、企画開発部門、教育支
援・教育評価部門)を充実し、これらを中核として教育改革を推進する」について、
高等教育開発センターの3部門の活動を平成 16 年4月から開始し、その後、
「修学支
援」
「教育支援」
「企画評価」
「教育開発」の4部門に再編して充実を図り、各部門長が
大学教育委員会及び関連の専門委員会に参加する体制を整備し、佐賀大学の教育改革
を推進する中核として機能を発揮するなどの取組により、佐賀で学ぶ学生のアイデン
ティティーを高め地域社会を理解し豊かな感性を養うためのカリキュラムが整備され2 ており、また学生による授業評価の集計結果から、学生の課題探求と問題解決力が養
われていることは、優れていると判断される。
(特色ある点)
しろまる 中期計画「アジア系言語の履修機会を拡大する」について、アジア諸国との国際交
流を重視し、アジア系言語の履修機会を拡大していることは、特色ある取組であると
判断される。
(平成16〜19年度の評価で指摘した「改善を要する点」の改善状況)
しろまる 平成 16 〜 19 年度の評価において、
中期計画「海外の大学との学生交流や国際学会・研究会、学術調査等への積極的
参加及び研究成果の発表を促し、そのための支援体制を整える」について、ライ
フサイエンスや文化系の取組についての自己分析がなされておらず、中期計画の
進捗状況が認められないことから、改善することが望まれる
と指摘したところである。
平成 20、21 年度においては、各学部・研究科等において、国際セミナーやシンポジ
ウムを開催するなど計画を実施している。また、学生への渡航費用の支援の実績もあ
り、平成 22 年2月ではあるが、奨励金給付要項を定めるなど学生への経済的支援を行
う制度を整備しており、ライフサイエンス系や文化系分野も含めて全学的に支援体制
を整えたことから、当該中期計画に照らして、改善されていると判断された。
(顕著な変化が認められる点)
しろまる 中期計画「海外の大学との学生交流や国際学会・研究会、学術調査等への積極的参
加及び研究成果の発表を促し、そのための支援体制を整える」について、ライフサイ
エンスや文化系の取組についての自己分析がなされておらず、また、達成状況報告書
の、循環物質工学の例のデータだけでは判断できない点で「不十分」であったが、平
成 20、21 年度の実施状況においては改善されており、
「おおむね良好」となった。(「平
成 16 〜 19 年度の評価で指摘した「改善を要する点」の改善状況」参照)
2 教育内容等に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「教育内容等に関する目標」の下に定
められている具体的な目標(9項目)のうち、2項目が「良好」
、7項目
が「おおむね良好」であったことから、
「中期目標の達成状況がおおむね
良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、3項目が「良好」、6項目が「おおむね良好」とし、これらの結果に加え、学部・研究科等の
現況分析における関連項目「教育内容」
「教育方法」の結果も勘案して、
総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「教育関連委員会と高等教育開発センターが連携して、全学的に教育改善3 を推進する」について、学生の意見を活用し、学部・学科等の教育組織による授業点
検・評価を行うなどして、教育改善を立案する PDCA サイクルを立ち上げ機能してい
ることは、優れていると判断される。
(特色ある点)
しろまる 中期計画「教養教育は全学年を通じて行う」及び「専門教育は1年次から導入する」
について、教養教育と専門教育を平行して教授しており、専門科目を教養科目として
履修できる「学内開放科目制度」は、特色ある取組であると判断される。
しろまる 中期計画「PBL(問題立脚型)学習システム、インターネットを利用した教育法等
の導入により、授業内容に応じた教育方法を推進する」について、医学部の PBL 学習
システムは学生による授業評価から満足度は高く、
特色ある取組であると判断される。
しろまる 中期計画「外国人留学生をティーチング・アシスタントとして採用し、少人数グル
ープ・チュートリアル形式の外国語学習時間を設ける」について、留学生を外国語学
習のティーチング・アシスタント(TA)として採用し、また、留学生を講師とした語
学講座等を開催していることは、特色ある取組であると判断される。
(平成16〜19年度の評価で指摘した「改善を要する点」の改善状況)
しろまる 平成 16 〜 19 年度の評価において、
中期計画「試験問題と模範解答
(解答例)
、解説、配点等の公開を全学的に進める」
について、模範解答の公示が少なく透明性に欠けることから、改善することが望
まれる
と指摘したところである。
平成 20、21 年度においては、オンラインシラバスに授業科目ごとの成績評価基準を
明示し、試験問題・レポート・課題等の模範解答又は解答例、配点等を開示する方法
について、記載することを決定し、推進している。その結果、それらの記載率が約 80
%に改善・向上し、全学生を対象に行ったアンケート結果からも、約 73 %の学生に開
示内容・方法が周知され、約 56 %の学生が授業担当者を訪れて解答例や配点等の成績
評価に関する詳しい情報を得ていることから、当該中期計画に照らして、改善されて
いると判断された。
(顕著な変化が認められる点)
しろまる 中期計画「試験問題と模範解答(解答例)
、解説、配点等の公開を全学的に進める」
について、平成 16 〜 19 年度の評価においては、模範解答の公示が少なく透明性に欠
ける点で「不十分」であったが、平成 20、21 年度の実施状況においては改善されてお
り、
「おおむね良好」となった。(「平成 16 〜 19 年度の評価で指摘した「改善を要する
点」の改善状況」参照)
3 教育の実施体制等に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「教育の実施体制等に関する目標」の
下に定められている具体的な目標(9項目)のうち、3項目が「良好」、6項目が「おおむね良好」であったことから、
「中期目標の達成状況がお4 おむね良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、3項目が「良好」、6項目が「おおむね良好」とし、これらの結果に加え、学部・研究科等の
現況分析における関連項目「教育の実施体制」の結果も勘案して、総合
的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画
「技術職員を教育支援担当者と位置づけて教育組織に組み込む」
について、45名の技術職員を教育支援者として教育活動にあたらせていることは、優れていると判
断される。
しろまる 中期計画「講義関連施設の現況、利用状況、教育機器類の充実度に関する調査結果
に基づき、講義室、実験・実習室、演習室、体育・スポーツ施設等の改修や教育機器
類の整備計画を策定し、実現を目指す」について、医学部会館の改修に伴い、プロブ
レム・ベースド・ラーニング(PBL)室の増設などにより、快適な学習・研究環境が
整備されており、学生に対するアンケートからも満足度が上昇し、利用者数も増加し
ていることは、優れていると判断される。
(特色ある点)
しろまる 中期計画「インターネット講義の開発研究を進め、教養教育科目を中心に拡大する」
について、現代的教育ニーズ取組支援プログラムに採択され、e-learning を利活用した
インターネット授業、ラーニング・マネジメント・システム(LMS)による学習指導
方法の研究開発を積極的に進めていることは、特色ある取組であると判断される。
4 学生への支援に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「学生への支援に関する目標」の下に
定められている具体的な目標(3項目)のうち、2項目が「良好」
、1項
目が「おおむね良好」であったことから、
「中期目標の達成状況が良好で
ある」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、2項目が「良好」、1項目が「おおむね良好」とし、これらの結果を総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「オフィスアワーを少なくとも週1日2時間程度確保し、シラバスに明記
する」及び「学生からの情報収集(学生モニター制の導入や専任教員の配置等)を行
う」について、学長をはじめとする執行部によるオフィスアワーの実施及び「どがん
ね、こがんよ、学生懇談会」の開催、
「学生なんでも相談窓口」や「学生の声 VOICE」
等、学習相談・助言体制の強化や生活支援の取組を行っていることは、優れていると
判断される。
(特色ある点)5 しろまる 中期計画「社会人学生のための受入環境を整備する」について、社会人大学院生の
臨床教育実習の試行は、特色ある取組であると判断される。
(II)研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「研究に関する目標」に係る中期目標(2項目)のすべてが「おおむ
ね良好」であることから判断した。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価結果は以下のとおりであった。
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「研究に関する目標」に係る中期目標(2項目)のすべてが「おおむね良好」であ
ることから判断した。
2.各中期目標の達成状況
1 研究水準及び研究の成果等に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「研究水準及び研究の成果等に関する
目標」の下に定められている具体的な目標(6項目)のうち、2項目が
「良好」
、4項目が「おおむね良好」であったことから、
「中期目標の達
成状況がおおむね良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、2項目が「良好」、4項目が「おおむね良好」とし、これらの結果に加え、学部・研究科等の
現況分析における関連項目「研究活動の状況」
「研究成果の状況」の結果
も勘案して、総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「目指すべき研究の方向性を教育研究評議会で検討し、重点研究を推進す
る」について、重点研究の方向性を検討し重点研究を推進するなどして、海洋エネル
ギー研究センターが全国共同利用機関となっていること及びシンクロトロン光利用の
研究がこの分野の中心的存在となっていることは、優れていると判断される。
2 研究実施体制等の整備に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況がおおむね良好である6 (判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「研究実施体制等の整備に関する目標」
の下に定められている具体的な目標(11 項目)のうち、1項目が「非常
に優れている」
、3項目が「良好」
、7項目が「おおむね良好」であった
ことから、
「中期目標の達成状況がおおむね良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、1項目が「非常に優れ
ている」
、3項目が「良好」
、7項目が「おおむね良好」とし、これらの
結果を総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「基礎的・基盤的研究の充実に加えて、学際的新研究や重点的研究を定め、
戦略的に研究体制を整備する」について、学部横断的な重点プロジェクト、特に医文
理融合による取組を実施し、概算要求等競争的資金を多数獲得していることは、優れ
ていると判断される。
しろまる 中期計画「重点的なプロジェクト研究に対して、研究者の配置を柔軟に行う」につ
いて、研究センターや重点研究プロジェクトの支援体制を整備し、学長のリーダーシ
ップによる重点研究分野の選択、重点的人員配置等、教育研究の目標に沿って機能し
ていることは、優れていると判断される。
(特色ある点)
しろまる 中期計画「統合して5学部(文化教育、経済、医、理工、農)になったメリットを
活かして、学部横断的研究プロジェクトを構築する」について、共同研究体制が構築
されており、有明海総合研究プロジェクト、海洋エネルギー研究等地域と密着した重
点研究として活動していることは、特色ある取組であると判断される。
しろまる 中期計画「評価に基づき、インセンティブを付与する方法を確立する」について、
学内措置として、
科学研究費補助金の応募申請で惜しくも不採択になった者に対して、
一定条件のもとで研究費を付与する「奨励研究費」の制度は、特色ある取組であると
判断される。
(顕著な変化が認められる点)
しろまる 中期計画「異分野間(学部間、学科・課程間、専攻間、個人間)の研究交流が容易
にできる環境を醸成し、独創的研究課題を設定する」について、平成 16 〜 19 年度の
評価においては、異分野間の研究交流としては十分とはいえない点で「不十分」であ
ったが、平成 20、21 年度の実施状況においては、重点研究プロジェクトに関する講演
会の実施や学部横断的な「低平地沿岸海域研究センター」の設置等により、異分野間
の研究交流を容易に行える環境が醸成され、独創的な研究課題も設定されていること
から改善されており、
「おおむね良好」となった。
(III)その他の目標
(1)社会との連携、国際交流等に関する目標7 1.評価結果及び判断理由
【評価結果】 中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 「社会との連携、国際交流等に関する目標」に係る中期目標(1項目)
が「良好」であることから判断した。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価結果は以下のとおりであった。
【評価結果】 中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 「社会との連携、国際交流等に関する目標」に係る中期目標(1項目)が「良好」
であることから判断した。
2.各中期目標の達成状況
1 社会との連携、国際交流等に関する目標
【評価結果】 中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 平成 16 〜 19 年度の評価結果は「社会との連携、国際交流等に関する
目標」の下に定められている具体的な目標(11 項目)のうち、3項目が
「非常に優れている」
、3項目が「良好」
、5項目が「おおむね良好」で
あったことから、
「中期目標の達成状況が良好である」であった。
平成 20、21 年度の達成状況を踏まえた結果は、3項目が「非常に優れ
ている」
、3項目が「良好」
、5項目が「おおむね良好」とし、これらの
結果を総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 中期計画「佐賀地域産学官連携推進協議会、地域貢献連絡協議会等を通して、地域
社会と連携・協力を推進する」について、地域貢献推進室、産学官連携推進機構を設
置して地域自治体等との交流を活発に行い、佐賀大学が保有する特許及び技術シーズ
の公開を通じて地域産業・自治体と技術交流を行うなど、地域に強く目を向けた多様
な社会貢献を行っていることは、優れていると判断される。
しろまる 中期計画「英語版のホームページを充実し、優秀な留学生の確保・受入に努める」
について、英語版のウェブサイトを充実し、入試手続き、奨学金、ガイドブック等の
受入れ体制の情報を掲載するなど、留学生の確保・受入れに努めたことは、留学生数
の増加につながった点で、優れていると判断される。
(改善を要する点)
しろまる 中期計画「本学を修了し、帰国した留学生との連携・交流システム(ネットワーク)
を構築する」については、平成 20、21 年度に行っている帰国留学生との懇談会や大学
教員となった帰国留学生と連携した集中講義等の実施だけでは、教育研究交流のシス
テム(ネットワーク)の構築がなされているとは認められないことから、中期計画は
十分には実施されていないと判断される。8 しろまる 中期計画「国際共同研究、学術交流シンポジウム等を推進し、共同研究者の受入れ
及び派遣を拡充する」については、国際シンポジウムが開催されているが、共同研究
者の受入れ及び派遣が拡充されたとは認められないことから、中期計画は十分には実
施されていないと判断される。
(特色ある点)
しろまる 中期計画「市民への情報サービスを向上させる」について、社会人のリカレント教
育や生涯教育及び初等・中等教育への支援体制を整備し協力を行っていることは、特
色ある取組であると判断される。
(2)附属病院に関する目標
地域中核病院として、地域医療の推進を図り、卒後臨床研修センターの機能を充実さ
せ、医療者教育に努めている。診療では、院内に横断的診療チーム(感染症治療専門チ
ーム、褥創対策チーム、横断的緩和ケアチーム、栄養サポートチーム等)を設けて、総
合的診療レベルの向上に取り組んでいる。
今後、佐賀県診療録地域連携システムを有効活用して、地域医療の質の向上を推進す
るとともに、部門別数値目標の設定等や管理体制の強化を図るためのさらなる取組が期
待される。
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
(教育・研究面)
しろまる 「県民医療アカデミーオブ e-JAPAN 事業」を通じた地域医療教育の推進や、また、
臨床研修においても、カウンセラーを配置して研修医のメンタルケアにきめ細かく対
応し、研修医が抱える問題点を指導医にフィードバックするなど、教育環境の充実を
図っている。
しろまる 「新卒後臨床研修センター」を建設して、医療人のためのスキル教育施設として教
育シミュレーターを設置するなど、教育体制の質の向上に取り組んでいる。
しろまる 遺伝子診断、再生医療等を推進しており、Beckwith-Wiedemann 症候群の遺伝子診断
症例数は全国トップであり、この他、3T MRI による心血管病診断法の開発、難治性
完全脱臼股関節に対する手術法の考案等、先端的臨床研究を推進している。
(診療面)
しろまる 「がんセンター」を設立して、運営委員会を整備し、外来化学療法室の拡張を行う
など、がん診療体制の強化を図っている。
しろまる 救命救急センターに新しいセンター長を迎え、総合診療との役割分担を明確化させ
た結果、受入患者数が増加するなど、診療活動が大幅に活性化されている。また、医
学生・研修生も参加する早朝救急カンファレンスの内容を充実させており、教育体制
の向上にも努めている。
しろまる 佐賀県診療録地域連携システムを構築し、県内の中核医療機関間で紹介患者の診療
情報を時系列で閲覧できる環境を整え、
地域医療サービスの質の向上に貢献している。9 (運営面)
しろまる DPC データの分析を基盤に独自の分析ツールを導入して、ベンチマーク方式による
診療科ごとの収支分析を行ない、物品購入での価格交渉、外部委託などの経費削減及
び病院経営指標の改善を図っている。
しろまる 病床管理委員会で稼働率等の指数を算出し、効率的な病床管理のために病床配分を
診療科ごとに固定しないフレキシブルな病床活用を図るなど、病床管理体制の整備を
図っている。
(3)附属学校に関する目標
文化教育学部附属学校園は、附属学校園における教育の実践及び実践的研究の質の向
上と教育実習の充実を目指しており、
そのための適切な組織体制の整備が図られている。
学部に所属する教職科目の担当教員と附属学校教員が学部・附属学校間で相互に教育
実践を行い、授業実践、教育実習及び教職員研修の効果的方法を研究する体制を整備し
ている。
また、教育実習を通した教育研究における理論と実践の接続の強化を図るため、附属
学校における高度教育実習を全教科について実施するなど、その改善が図られている。
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
しろまる 学部・附属学校共同研究推進委員会において、共同研究テーマ「学びをひらく教育
の創造」を定め、附属学校教員と学部の学校教育課程に所属する教員が全教科にサブ
テーマを設定して地域における教育の改善・充実に資する共同研究に取り組んでいる。
また、その成果は、学部教員が公開研究発表会や校内全体研究会、生徒・保護者・教
員を対象にした講座の開講等を通して、学校関係者や地域に対して発表している。
(IV)定員超過の状況
しろまる 平成 20、21 年度と一貫して教育学研究科の定員超過率が 130 %を上回っていること
から、今後、速やかに入学定員の見直しを含め定員超過の改善を行うことが求められ
る。10 II.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1運営体制の改善、2教育研究組織の見直し、3人事の適正化、
4事務等の効率化・合理化
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
しろまる 全教職員を対象に人事評価を本格実施し、評価結果を平成 20 年 12 月の勤勉手当及
び平成 21 年1月の査定昇給に反映しており、評価できる。
しろまる 平成 19 年度に大学憲章に沿った将来の目指すべき中長期ビジョンを策定し、各学部
においては、10 年後の将来構想をまとめ、平成 20 年度には構想を具現化する計画を
策定している。
しろまる 事務業務及び事務組織の改善を図るため、新たに業務改善等検討会議を立ち上げ、
縦割りの「係体制」の廃止による業務組織のフラット化を実施するとともに、部課長
を学長室、理事室の構成員として参画させ、教員と協働して企画立案を行う体制を整
備している。
しろまる 男女共同参画宣言及び基本方針を策定し、公表するとともに、
「かささぎサポート・
ラボ(女性研究者支援室)
」を設置し、研究者育成支援事業(キャリア支援部門)と研
究者支援事業(育児支援部門、介護支援部門)に専門スタッフを配置し、各部門の支
援事業を推進している。
しろまる 産学連携を推進するため、科学技術共同開発センター、佐賀大学 TLO 及び知的財産
管理室が実施してきた業務を一体化させ産学官連携推進機構を設置し、知的財産の創
出、管理及び技術移転等を効率的に行っている。
しろまる 全国共同利用を推進するため、海洋エネルギー研究センターを平成 19 年度から新た
に全国共同利用の研究施設とし、学長裁量定員の配置や学長経費の重点配分を行うな
ど、重点的に支援している。
しろまる 人文社会系大学院の設置について、教育学研究科と経済学研究科が相互に履修科目
の提供及び研究指導を行うことで、人文社会系大学院の修士課程レベル教育を実施す
る覚書を締結しており、着実な取組が期待される。
しろまる 医文理融合型の研究科及び社会科学系の博士課程の設置について、医学系研究科博
士課程に医文理融合型の「総合支援医科学コース」を設置するとともに、平成 22 年度
に向けて工学系研究科博士課程に社会科学分野を含むコース設置の準備を進めており、
今後の進展が期待される。
【評定】 中期目標の達成状況が非常に優れている
(理由) 中期計画の記載 43 事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認め
られるほか、全教職員を対象に人事評価を本格実施し、処遇へ反映させてい
る取組が行われていること等を総合的に勘案したことによる。
(参考)11 平成 16 〜 19 年度の評価は以下のとおりであった。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載 43 事項すべてが「中期計画を上回って実施している」又は「中期計画
を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金その他の自己収入の増加、2経費の抑制、
3資産の運用管理の改善
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
しろまる 提案公募型の受託研究への応募を支援するため、全国各地の提案公募型受託研究費
に関する情報収集を行い、周知するとともに、共同研究等による外部資金の獲得増を
図るため、自治体との相互協定の締結を促進するなどの取組を行った結果、受託研究、
共同研究及び寄附金による外部資金は、平成 21 年度で 10 億 9,138 万円(対平成 15 年
度比3億 5,625 万円増)となっている。
しろまる 競争的資金への申請を促進するため、競争的資金対策室において、全学的な資金獲
得体制を整備するとともに、様々な競争的資金の公募内容やリンク先等の概要を「競
争的資金対策室公募情報」として学内の研究者に電子メールにより配信するなどの取
組が行われている。
しろまる 光熱水料等の経費について削減目標を設定し取り組んだ結果、平成 21 年度は、平成
15 年度と比較して光熱水料 12.0 %減となっている。
しろまる 平成 19 事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成 16 〜 19 事業年度)に係
る業務の実績に関する報告書において、財務内容の改善に関する数値が誤って記載さ
れていたことから、記載内容を十分に確認するとともに、より適正な自己点検・評価
を行うことが期待される。
しろまる 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に
人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究
の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載7事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価は以下のとおりであった。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載7事項すべてが「中期計画を上回って実施している」又は「中期計画を
十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。12 (3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実、2情報公開等の推進
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
しろまる 中期計画及び年度計画の進捗管理、報告書作成等の作業効率化を図るために、ウェ
ブサイト上で取組状況の書き込みや閲覧を適時行うことができる「中期目標・中期計
画進捗管理システム」を導入し、実績報告書作成の試行を行うなど、平成 22 年度から
の本格稼働に向けて準備を整えている。
しろまる 教員の教育研究活動情報、財務情報、自己点検・評価等の情報や入学・就職等の基
本情報について、ウェブサイト等を通して迅速に発信し、情報公開の促進を図ってい
る。
しろまる 「研究成果閲覧コーナー」を附属図書館内に設置するとともに、研究論文、博士論
文、シンポジウム記録、特許記録等佐賀大学における知的情報を整え、公開するとと
もにウェブサイトでも公開している。
しろまる 教員の研究内容や技術・特許等についてインタビュー形式により作成した「佐賀大
学研究室訪問!!」のウェブサイト掲載等により、研究成果を社会・民間企業等に紹
介している。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載7事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価は以下のとおりであった。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載7事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認められ、上記の
状況等を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等、2安全管理
平成 16 〜 21 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
しろまる 施設データベースを構築して施設管理台帳、施設整備状況図及び経年別建物配置図
等を作成し、施設維持管理計画を策定するとともに、施設管理台帳を基に、全学の機
器等の更新年次計画を作成している。13 しろまる 施設等の有効活用を図るため「佐賀大学における施設等の有効活用に関する指針」
を策定し、確保した共同利用スペースを学内公募により研究スペースとして提供して
いる。
しろまる 基本理念と6つの行動指針からなる環境方針に基づき、環境保全対策に積極的に取
り組み、環境マネジメントシステム「エコアクション 21」の認証を取得している。
しろまる 情報システムの管理等に関する規程等を策定し、
「情報リテラシー・セキュリティ講
習」を実施するなど、情報セキュリティの維持向上に取り組んでいる。
しろまる 災害に適切に対応するため、災害対策要項、災害対策マニュアル及び災害対策ノー
トを策定して全学に周知するとともに、部局単位で災害発生時の緊急連絡網チャート
整備や災害対策マニュアルに沿った消防・避難訓練を実施している。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載 14 事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(参考)
平成 16 〜 19 年度の評価は以下のとおりであった。
【評定】 中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載 14 事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認められ、上記
の状況等を総合的に勘案したことによる。14 15

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