佐賀大学医学部・医学系研究科

‐3‐1‐
3.医学部・医学系研究科 I 医学部・医学系研究科の研究目的と特徴・3−2 II 分析項目ごとの水準の判断 ・・・・・・3−6 分析項目I 研究活動の状況 ・・・・・3−6 分析項目II 研究成果の状況 ・・・・・3−10 III 質の向上度の判断 ・・・・・・・・・・3−13
佐賀大学医学部・医学系研究科
‐3‐2‐
【医学部の基本理念】
医学部に課せられた教育・研究・診療の三つの使命を一体として推進することに
よっ て,社会の 要請に応え うる良い医 療人を育成 し,もって 医学・看護 学の発展 並
びに地域包括医療の向上に寄与する。
【医学系研究科の基本理念】
医学・医療の専門分野において,社会の要請に応えうる研究者及び高度専門職者
を育 成し,学術 研究を遂行 することに より,医学 ・医療の発 展と地域包 括医療の 向
上に寄与する。
I 医学部・医学系研究科の研究目的と特徴
1.医学部・医学系研究科の基本理念(基本方針)
佐賀大学医学部は,昭和 51 年 10 月1日に開学した旧佐賀医科大学を前身として,平成
15 年 10 月1日に旧佐賀大学と統合し,平成 16 年4月1日からの法人化により国立大学法
人佐賀大学医学部(医学科,看護学科)となり,現在に至っている。医学系研究科は,昭
和 59 年4月 12 日に旧佐賀医科大学に設置された医学研究科・博士課程を前身として,平
成9年4月1日の修士課程・看護学専攻を設置し,さらに平成 15 年4月1日に修士課程・
医科学専攻を設置したことにより,医師・看護師に加えて,地域包括医療を担う様々な領
域の専門職者を育成する高度専門教育課程が整備されている。
医 学 部 ・ 医 学 系 研 究 科 で は , 無 医 大 県 解 消 と い う 国 の 方 針 の も と に 建 学 し た 経 緯 か ら ,
地域包括医療の中核としての使命を担い,社会の要請に応えうる良い医療人の育成を第一
の目的として,以下の基本理念(方針)を掲げている。 この「教育・研究・診療を一体として推進する」という理念は,教育と研究および診療
は不可分の関係にあるとの認識に基づくもので,教育活動は研究・診療活動の進展・実施
に必須のものであり,研究活動は教育・診療活動を支えるのに必須のものと位置づけてい
る。これらの理念に沿って,医学部・医学系研究科では以下の基本方針とその方向性に沿
って研究活動を進めている。 2.研究の基本方針と方向性
(1)医学・看護学・医療科学の発展に寄与することを基本的な方針とする。
(2)医学・看護学・医療科学の分野における基礎的・基盤的研究及び応用研究を発展させ
る。
( 3) 特 に , 地 域 包 括 医 療 の 向 上 に 関 す る 研 究 ( 生 命 ・ バ イ オ , が ん , ア レ ル ギ ー , 生活
習慣病,地域医療科学など)に重点的に取り組む。 3.達成しようとする基本的な成果等
( 1) 研 究 活 動 を 通 じ て , 1 医 学 ・ 看 護 学 ・ 医 療 科 学 を 発 展 さ せ る こ と , 2 良 き 医 療 人 や
高度専門医療職者を育成すること,3医学・看護学研究者を育成すること等の成果を
達成することを目的とする。
( 2) こ れ ら の 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 世 界 に 向 け て 発 信 し , 各 領 域 の 発 展 に 寄 与 す る こ と
を目標とする。 なお,上記の基本方針,方向性,成果等は,佐賀大学憲章の研究の推進「学術研究の水
準を向上させ,佐賀地域独自の研究を世界に発信する」
,本学の中期目標・計画で掲げる基
本的な目標「地域の要望に応える研究に対して重点的研究体制を構築する」,目指すべき
研究の方向性「基礎的・基盤的研究の継続性を維持し,独創的研究を育て,地域に密着し
た研究に取り組む」,大学として重点的に取り組む領域「社会の要請に応える特色ある研
究を推進する。(海洋エネルギー,シンクロトロン,低平地,海浜台地,有明海,環境,
佐賀大学医学部・医学系研究科
‐3‐3‐
情報技術,生命・バイオ,地域医療科学,生活習慣病,地域経済等)」,目指すべき研究
の水準「基礎的・基盤的研究成果を世界へ発信する」に沿うものである。 4.医学部・医学系研究科の教育研究組織の特徴,特色
(1)教育研究組織の構成
医学部・医学系研究科の教育研究組織の構成は下表のとおりである。医学部の各講 座
等 に 配 置 され た 専 任 教員 が , 医 学・ 看 護 学 の専 門 的 研 究を 行 い , その 成 果 を 学部 学 生の
教 育 に 活 用し て い る 。ま た , 大 学院 で は 医 学系 研 究 科 委員 会 の 審 査を 受 け た 大学 院 指導
教 員 が 各 専攻 に 配 置 され , 各 専 門領 域 の 研 究を 行 う と とも に , そ の成 果 を 大 学院 学 生の
教育・研究指導に反映している。 教育研究組織の構成
【医学部】 ( 平 成 19 年 5 月 1 日 現 在 )
構 成 組 織 講 座 等
専 任
教 員数 学 生数 基 礎 医 学 系 講 座
( 4 講 座 )
分 子 生 命 科 学 ,
生 体 構 造 機 能 学 ,
病 因 病 態 科 学 ,
社 会 医 学 53 医 学 科
臨 床 医 学 系 講 座
( 16 講 座 )
内 科 学 ,精 神 医 学 ,小 児 科 学 ,一 般・消 化 器 外
科 学 ,胸 部・心 臓 血 管 外 科 学 ,整 形 外 科 学 ,脳
神 経 外 科 学 ,泌 尿 器 科 学 ,産 科 婦 人 科 学 ,眼 科
学 ,耳 鼻 咽 喉 科 学 ,放 射 線 医 学 ,麻 酔・蘇 生 学 ,
歯 科 口 腔 外 科 学 , 臨 床 検 査 医 学 , 救 急 医 学 81 570
看 護 学 科 ( 4 講 座 )
看 護 基 礎 科 学 ,成 人・老 年 看 護 学 ,母 子 看 護 学 ,
地 域 ・ 国 際 保 健 看 護 学
30 260
附 属 地 域 医
療 科 学 教 育
研 究 セ ン ター ( 3 部 門 )
医 療 連 携 シ ス テ ム 部 門 ,福 祉 健 康 科 学 部 門( 社
会 生 活 行 動 支 援 ) , 地 域 包 括 医 療 教 育 部 門
8 ‐
附 属 先 端 医
学 研 究 推 進
支 援 セ ン ター ( 2 部 門 , 1 室 ) 研 究 推 進 部 門 ,研 究 支 援 部 門 ,教 育 研 究 支 援 室 (1) ‐
寄 附 講 座 4 講 座
( 血 管 不 全 学 ) , 人 工 関 節 学 , 先 端 心 臓 病 学 ,
危 機 管 理 医 学
8(注記)
26 診 療 科
膠 原 病 ・リ ウ マ チ 内 科 ,呼 吸 器 内 科 ,神 経 内 科 ,
血 液 内 科 ,循 環 器 内 科 ,腎 臓 内 科 ,消 化 器 内 科 ,
肝 臓・糖 尿 病・内 分 泌 内 科 ,皮 膚 科 ,一 般・消
化 器 外 科 ,呼 吸 器 外 科 ,心 臓 血 管 外 科 ,脳 神 経
外 科 ,整 形 外 科 ,泌 尿 器 科 ,形 成 外 科 ,放 射 線
科 ,リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 科 ,精 神 神 経 科 ,小 児
科 ,麻 酔 科 蘇 生 科 ,産 科 婦 人 科 ,眼 科 ,耳 鼻 咽
喉 科 , 地 域 包 括 緩 和 ケ ア 科 , 歯 科 口 腔 外 科
75 ‐
16 中 央 診 療 施 設 等
検 査 部 ,手 術 部 ,放 射 線 部 ,材 料 部 ,救 命 救 急
セ ン タ ー , 総 合 診 療 部 , 集 中 治 療 部 , 輸 血 部 ,
病 理 部 ,光 学 医 療 診 療 部 ,医 療 情 報 部 ,リ ハ ビ
リ テ ー シ ョ ン 部 ,周 産 母 子 部 ,人 工 透 析 室 ,M
E セ ン タ ー , 感 染 制 御 部
22 ‐
附 属 病 院
薬 剤 部 ,看 護 部 ,安 全 管 理 対 策 室 ,地 域 医 療 連 携 室 ,治 験 セ ン タ ー ,
卒 後 臨 床 研 修 セ ン タ ー , 診 療 記 録 セ ン タ ー
3 ‐
計 272 (1) 830 備 考 : (注記) 寄 附 講 座 教 員 は 設 置 基 準 上 の 専 任 教 員 で は な い の で カ ウ ン ト し な い 。
教 員 数 は 現 員 で ( )は 選 考 中 。 佐賀大学医学部・医学系研究科
‐3‐4‐
【医学系研究科】 ( 平 成 19 年 5 月 1 日 現 在 )
課 程 専 攻 コ ー ス 等
指 導 教
員 数
学 生数 医 科 学 専 攻
基 礎 生 命 科 学 系 コ ー ス , 医 療 科 学 系 コ ー ス ,
総 合 ケ ア 科 学 コ ー ス
73 30
修 士 課 程
看 護 学 専 攻
基 礎 看 護 学 ,成 人 看 護 学 ,母 子 看 護 学 ,老 年
看 護 学 , 地 域 看 護 学
13 32
機 能 形 態 系 専 攻
生 体 制 御 系 専 攻
博 士 課 程
生 態 系 専 攻
(注記) 博 士 課 程 は 平 成 20年 度 か ら 1 専 攻( 医 科 学
専 攻 )3 コ ー ス( 基 礎 医 学 コ ー ス・臨 床 医 学
コ ー ス ・ 総 合 支 援 医 科 学 コ ー ス ) に 改 組
106 120
計 192 182
備 考 : 学 生 数 は 収 容 定 員 で 示 し て い る 。 (2)特色ある教育研究センター等
医学部・医学系研究科の目的に向けて研究を推進する組織の特徴として,次のものが挙
げられる。
1)医学部附属地域医療科学教育研究センター
地域包括医療の教育研究ならびに地域貢献活動の拠点として,地域包括医療の高度
化等に関する総合的,学際的な教育研究を行うことを目的として全国に先駆けて平 成
15 年に設置したもので,以下の3部門により地域医療機関や保健行政機関等との連携
のもとに,研究教育活動を展開している。
・地域包括医療教育部門
・医療連携システム部門
・福祉健康科学部門 2)医学部附属先端医学研究推進支援センター
医学部・医学系研究科における研究活動をより一層推進するため,学際分野を含む
医学研究の先端的・中心的な役割を担い,情報発信と教育研究の基盤となる高度な 技
術的支援とその研鑽を組織的に行うことにより,関連する医学・看護学の課題に関 し
て重点的に研究を発展させることを目的として,平成 19 年に設置したもので,以下の
2部門 1 室からなり,今後の成果が期待されるものである。
・研究推進部門
・研究支援部門
・教育研究支援室 3)寄附講座
平成 16 年度から,血管不全学,人工関節学,先端心臓病学,危機管理医学の4つの
寄附講座を順次設置し、専任教員を配置して各分野における先端的な基礎的・臨床 的
研究を展開している。なお,血管不全学講座は,当初の目的を達成し,平成 19 年 9 月
に終了した。
佐賀大学医学部・医学系研究科
‐3‐5‐
5.想定する関係者とその期待
上 記 の 基 本理 念 ・ 目 的に 照 ら し て, 研 究 活 動に お け る 関係 者 と そ の期 待 を 次 のよ う に
想定している。 想定する関係者 その期待
1) 本 学 で 学 ぶ 学 部 学 生 ,
大学院生,卒業・修了生
・研究活動を反映した医学・看護学の専門教育ならびに研究
者や高度専門医療職者を目指す大学院生の教育研究指導の
実施
・卒業・修了後の研究・社会活動における継続的支援
2) 各 研 究 分 野 の 研 究 者 及
び学会等
・基礎的・基盤的研究及び応用研究による医学・看護学・医
療の発展
・学会活動や世界に向けた研究成果の発信による各研究分野
の発展
・関連研究者との共同研究による研究の発展
3)地域及びその社会
・地域の行政機関や医療・保健機関及び企業との共同研究・
受託研究の推進
・地域に密着した研究成果の還元による地域包括医療並びに
健康生活と福祉の向上
4)国及びその社会
・国立大学としての研究活動の推進の責務と成果
・国の行政機関や医療・保健機関及び企業との共同研究・受
託研究の推進
5)本学の教職員
・理念・目的・目標の達成に向けて,教職員が意欲的に研究活
動に取組み,その成果を発揮できる研究組織体制の構築
佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目I
‐3‐6‐
II 分析項目ごとの水準の判断 分析項目I 研究活動の状況
(1)観点ごとの分析
観点 1−1 研究活動の実施状況
(観点に係る状況) 1.発表論文数については、実
質的な研究活動を反映する
と考えられる「欧文原著(総
説を含むしかく--しかく)」の延べ数は
年間212から325の間で推移
している。医学部の教員数は
附属病院を含めて 272 人で
あり、教員 1 人あたりの年間
発表論文数は 0.77〜1.19 で
ある。 2.発表論文の質を示す指標の
ひとつであるインパクトフ
ァクターは、16 年から 19 年
までの 4 年間の延べ総点数
2,570 であり、欧文論文(16
年から 19 年までの 4 年間の
延べ総数 1,088 本)1 本の平
均は 2.36 である。 3.学会発表は国際学会から地
方会規模の学会までまんべ
んなく発表が行われている。
年 間 の 延 べ 発 表 総 件 数 は
1,210〜1,628 で教員 1 人あ
たりの発表件数は 4.4〜5.9
である。 資料1発表論文数(延べ総数)0100200300400500
16 17 18 19
著書(欧文・和文) 原著・総説(欧文) 原著・総説(和文)
(数)
(年) (注記)出典 佐賀大学医学部研究業績年報
資料2
欧文原著(総説を含む)のインパクトファクター(延べ総点数)
平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 合計
859 点 513 点 594 点 604 点 2,570 点
(注記)出典 佐賀大学医学部教員個人評価
資料3学会発表数(延べ総件数) 02004006008001000
16 17 18 19
国際学会 国内学会(全国規模) 国内学会(地方規模)
(数)
(年)
(注記)出典 佐賀大学医学部研究業績年報
佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目I
‐3‐7‐
4.研究活動を支える研究費
(運営費交付金以外)の獲得
状況は以下のとおりである。
(1)文科省科学研究費補助金
は、90%前後の申請率で、
毎年度 78 件〜85 件採択さ
れ、133.8 百万円〜152.4
百万円(間接経費を除く)
が措置されている。
(2)厚生労働省科学研費補助
金(がん研究助成を含む)
についても、毎年 16〜24
件、51.4 百万円〜67.0 百
万円が措置されている。
資料4文部科学省科学研究費補助金 申請件数・採択件数・採択率05010015020025030016 17 18 190510152025303540申請件数 採択件数 採択率
(年度)
(件数) (採択率)
資料5文部科学省科学研究費補助金 交付額00.511.5216 17 18 19
(億円)
(年度)
(注記)出典 教授会資料
資料6厚生労働省科学研究費補助金 *額(千円) 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 件 額 件 額 件 額 件 額
主任 3 31,897 2 13,150 3 31,965 2 28,750
分担 12 20,500 22 32,798 21 35,020 16 28,600
計 15 51,397 24 45,948 24 66,985 18 57,350 資料7厚生労働省がん研究助成金 *額(千円) 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 件 額 件 額 件 額 件 額
分担 1 1,000 1 1,000 1 1,000 0 0
計 1 1,000 1 1,000 1 1,000 0 0
(注記)出典 佐賀大学医学部研究業績年報
佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目I
‐3‐8‐
(3)文科省 GP 等の教育研究
助成については、医学部が
中心となって実施してい
る「県民医療アカデミーオ
ブ e-JAPAN」
(期間:平成
17〜19 年度)、「がんプロ
フェッショナル養成プラ
ン」
(平成 19〜23 年度)、「安全・安心科学技術プロ
ジェクト」
(平成 19 年度)
の3件が採択されている。
(4)公的機関、財団、民間企
業等から研究助成金等と
して、
年間 18〜27 件、24.9百万円〜45.0 百万円を受
けている。また、奨学寄附
金は年間 493 件〜516 件の
申し込みがあり、335.8 百
万円〜407.6 百万円を受け
入れている。
5.民間企業から申し込みがあ
り、4つの寄附講座が立ち上
がった。寄附された人件費お
よび教育研究経費によりそ
れぞれに 2~3 名の専任教員
(教授、准教授、助教)が採
用され、教育研究活動を展開
している。
資料8文部科学省GP等採択助成金 (千円)
年 度
区 分
平成16
年度
平成17
年度
平成18
年度
平成19
年度
県民医療アカデミー
オブe‐JAPAN
‐ 43,100 40,930 22,500
がんプロフェッショナ
ル養成プラン
‐ ‐ ‐ 5,500
安全・安心科学技術プロ
ジェクト
‐ ‐ ‐ 12,000
(注記)出典 佐賀大学医学部教員個人評価及び病院企画室会議資料等 資料9研究助成金(公的機関・財団・民間企業等) *額(千円) 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
件数 18 26 21 27
金額 24,896 40,894 24,564 45,000
資料10奨学寄附金 *額
(千円) 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
件数 499 516 479 493
金額 355,215 366,310 407,591 335,778
(注記)出典 教授会資料 資料11寄附講座 (千円) 年 度
寄附講座名
平成16
年度
平成17
年度
平成18
年度
平成19
年度
血管不全学
(平成16年10月1日 から)
15,000 15,000 15,000
(平成19年9月30日
終了)
人工関節学
(平成17年1月1日 から)
22,000 22,000 22,000
25,000
(平成20年1月1日 更新)
先端心臓病学
(平成17年7月1日 から)
‐ 19,000 19,000 19,000
危機管理医学
(平成19年1月1日 から)
‐ ‐ 30,000 30,000
合 計 37,000 56,000 86,000 74,000
(注記)出典 教授会資料
佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目I
‐3‐9‐
6.国内外の大学・政府・自治
体・民間研究機関等との共同
研究は年間 154 件~303 件お
こなわれている。毎年、医学
部の 1 講座等(34 講座等)
あたりでは 4.5~6.9 件の共同
研究が行われている。受託研
究の受け入れは年間 75~94
件で、1 講座あたり 2.2~2.8
件となっている。 資料12共同研究・受託研究数 010020030040016 17 18 19
共同研究 受託研究
(件数)
(年度) (注記)出典 佐賀大学医学部教員個人評価 佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目I,II
‐3‐10‐
(2)分析項目の水準及びその判断理由
(水準)
期待される水準にある
(判断理由)
発表論文数、ならびに学会発表数は、本学の教員・学生等の数的規模を勘案すると、良
好な研究活動状況を示しており、本学で学ぶ学部学生・大学院生の期待(研究活動を反映した教育研究
指導の実施、卒後・修了後の継続的支援)
、各研究分野の研究者及び学会等の期待(医学・看護学・医
療の発展、研究成果の発信による各研究分野の発展)
、国及びその社会の期待(国立大学としての研究
活動の推進)等に十分に応えている。
文部科学省科学研究費補助金の申請率は 90%前後で活発な研究活動状況を示しており、研究資金の
獲得状況については、文部科学省科学研究費に加えて、多くの民間を含めた外部資金を獲得しており,
本学の教職員の期待(研究の推進と研究組織体制の構築)に十分応えている。
相当数の共同研究、受託研究および寄附講座の受け入れを行っており、これらは、研究者の期待(共
同研究による研究の発展)
、地域とその社会の期待(地域行政機関や医療・保健機関及び企業との共同
研究・受託研究の推進、地域包括医療並びに健康生活と福祉の向上)
、国及びその社会の期待(行政機
関や企業等との共同研究・受託研究の推進)に応えるものである。中でも寄附講座の受け入れ(4年間
で4件)は,本学に寄せる社会の期待の大きさと,それに応える優れた研究活動状況を示すもので,社
会の期待を上回っている。
以上のように、研究活動の状況は良好であり,想定するすべての関係者の期待に応え,或いはそれを
上回る状況であると判断する。
分析項目II 研究成果の状況
(1)観点ごとの分析
観点 2−1 研究成果の状況
分析項目 II 研究成果の状況
(1)観点ごとの分析
医学部及び医学系研究科では、
「基礎的・基盤的研究及び応用研究の発展」を研究の基
本方針として、特に「地域包括医療の向上に関する研究」を重点項目として取り組んで
いる。
1)基礎的・基盤的研究として卓越したあるいは優秀な水準にある研究業績は以下のも
のである。造血細胞・免疫系細胞の分化、巨核球増殖に関する液性因子、細胞表面受
容体の関与(業績 1003、1015、1019、1038)
、上皮細胞再生における支持組織細胞の
役割の重要性(業績 1026)
、骨代謝の恒常性維持に必要な転写因子の発現機序に関す
る研究(業績 1012、1019)が特筆すべきものである。
神経回路の同定とその応用である疼痛制御に関する研究について、脊髄神経におけ
る細胞特異的な興奮性と抑制性神経回路の同定と機序解明(業績 1005、1009)、痛覚
制御に関与する神経細胞の受容体とその信号伝達の制御機序に関する研究(業績 1006、
1007、1008)が代表的なものである。
2)応用研究として卓越したあるいは優秀な水準にある研究業績は以下のものである。
内視鏡による消化管腫瘍に対する粘膜切除の成果(業績 1034)
、特異な病像を示す遺
伝的疾患や難病における遺伝子異常や病態解明と治療の試み
(業績 1042、
1043、
1046、
1047、1051)
、血小板凝集に対する治療(業績 1057)
、胸腹部大動脈瘤治療における異
常走行血管の術前診断
(業績 1058)、麻酔薬による非可逆的神経損傷の解明
(業績 1059)、鎖骨下動脈穿刺手技の改善(業績 1060)などが特筆すべきものである。
3)地域包括医療の向上に関する研究の重点項目とした領域において、卓越したあるい
は優秀な水準にある研究業績は以下のものが挙げられる。 佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目II
‐3‐11‐
【生命・バイオ】
最先端の分子生物学や遺伝子改変動物作製の技術を駆使して、生命現象の基本的仕組
みの解明とそれを基にした病因病態解明について、以下のような研究成果を挙げた。骨
髄系細胞の活性化に必須の細胞内シグナル伝達分子の同定(業績 1029)
、転写因子 IκB
の活性化とユビキチン化におけるシグナル伝達解明(業績 1010)
、IL‐13 サイトカイン
とその受容体の相互作用の解明(業績 1013)
、ヘルパーT リンパ球の分化とサイトカイ
ンとそのレセプターによる制御機序解明(業績 1028)
、自然免疫系活性化に関与する造
血幹細胞の病原体認識分子の同定とその機能構造解析(業績 1030)などが特筆すべきも
のである。
また、染色体遺伝子のメチル化修飾やそれと関連するゲノム刷り込み現象の解析は国
内外の高い評価を受けている(業績 1020、1021、1022、1023、1024、1025)。この一連
の研究は、がんの発症機序解明や生活習慣病に関するエピジェネティック要因の解明へ
の応用として重要なものと位置づけている。
さらに、多発性硬化症や抗リン脂質抗体症候群における特異な自己抗体の同定(業績
1041、1045)
、糖鎖修飾関連酵素の機能構造解析(業績 1001)、心房・心室カリウムチ
ャンネルに関する研究(業績 1004)、また、家族性血球貧食症候群の遺伝子型解析(業
績 1049)、なども特筆すべきものである。
【がん】
種々の技術を応用して基礎・臨床の多方面から研究を進めている。基礎的研究として
は、細胞アポトーシスの細胞内信号伝達制御の解明(業績 1011)
、低酸素状態における
膵臓癌細胞の浸潤(業績 1055)
、ウィルムス腫瘍における遺伝子変異(業績 1061)
・肝
臓癌細胞浸潤機序の解明(業績 1052、1053)
、などが代表的なものである。臨床的研究
と し て は 、 大 腸 癌 に お け る ア ポ ト ー シ ス 関 連 遺 伝 子 の 不 活 化 と 化 学 療 法 感 受 性 ( 業 績
1054)
、ビタミン K 類似物質による肝癌細胞の増殖抑制(業績 1044)
、小児白血病におけ
る変異遺伝子産物の発現(業績 1050)
、不妊ホルモン療法と子宮体癌と異型増殖の関連
(業績 1062)
、新規ヒト癌抗原の同定(業績 1063)が挙げられる。
【アレルギー】
代表的なアレルギー疾患である気管支喘息に関する研究を中心に進めている。気管支
喘息における気道上皮繊維変性の解明(業績 1017、1018、1031、1039)
、成人の気管支
喘息における遺伝的多型の関与解明(業績 1016)などの研究成果を挙げた。
【生活習慣病】
この分野では、冠動脈ステント埋め込みと再狭窄(業績 1035、1037)に関する研究を
通じて新しい疾患概念として「血管不全」を提唱し、世界的な注目を集めている(業績
1036)。 【地域医療科学】
日本人を対象とした大規模疫学的調査研究の手法により、アルコール摂取と遺伝的多
型の関連解析をおこない、それらの肝臓がん発症についての解析(業績 1032)が行われ
ている。また、痙性対麻痺の日本人家系における遺伝子変異の解析(業績 1040)も代表
的な研究業績である。
4)その他
人類学の手法を用いて、ヒトの起源解明(業績 1002)は全国的に紹介され高い評価を
受けた。ウエストナイルウィルス媒介ベクター(蚊)の遺伝子交換に関する研究(業績
1027)も世界的注目を集めた。
社会・経済・文化的意義への貢献に優れた研究成果としては、高齢者へのインフルエ
ンザワクチン接種によるインフルエンザ様療法に対する予防効果(業績 1033)
、胃がん
細胞における高精度マーカーの研究(業績 1056)が特記すべきものである。
佐賀大学医学部・医学系研究科 分析項目II
‐3‐12‐
(2)分析項目の水準及びその判断理由
(水準)
期待される水準にある
(判断理由)
医学部・医学系研究科の研究に関する方向性は、
(1)医学・看護学・医療科学の分野における基礎的・基盤的及び応用研究の発展
(2)地域医療の向上に関する研究(生命・バイオ、がん、アレルギー、生活習慣病、地域医
療科学)である。これらの方向性のほぼすべての項目について、当該分野において学術
的 に 「卓 越し た 水準 」
、 お よび 「優 秀 な水 準」 の 研究 論文 を 多数 発表 し 、優 れた 研 究 成
果を挙げている。また、社会、経済、文化面においても論文数は少ないが「優秀な貢献」
と な る研 究成 果 を挙 げて お り, 看護 学 の分 野に お いて は、
「 卓 越した 」 ある いは 「 優 秀
な」研究成果を挙げるに至っていないが、基礎的・基盤的および応用研究の方向におい
て,良好な研究成果を挙げている。
以上のことから、研究成果については関係者の期待に十分応えていることから「期待
される水準にある」と判断した。 佐賀大学医学部・医学系研究科
‐3‐13‐
III 質の向上度の判断 1事例1「学会発表数および発表論文数」
(分析項目 I)
国内の全国規模での学会における発表数(延べ総件数)は平成 16 年度から毎年増加
している(資料3)
。これは,医学部・医学系研究科における研究活動の質的向上を反
映するものと判断する。 2事例2「研究費(運営費交付金以外)の獲得」分析項目 I
医学部の研究で達成しようとする
「地域包括医療の向上に関する研究」
を推進する様々
な取り組みが行われてきているが、その成果をさらに進展させるため、文部科学省「特
色ある優れた大学教育の一層の展開」
(特色 GP)において、
「地域医療等社会的ニーズ
に対応した医療人教育支援プログラム」に申請、
「県民医療アカデミー オブ e-JAP
AN」
のテーマが採択され、
平成 17 年度から平成 19 年度まで事業が展開された。
また、
「良き医療人や高度専門医療職者の育成」を進める取り組みの一環として文部科学省特
別経費「がんプロフェッショナル養成プラン」に九州大学が主幹となって共同申請した
「九州がんプロフェッショナル養成プラン」が平成 19 年度から 5 年間の予定で採択さ
れた。また、
「安全・安心科学技術プロジェクト」で、バイオテロに対する高感度検知器
の開発についての研究成果が挙がっている。
3事例3「寄附講座の開設と共同研究」
(分析項目 I)
民間企業からの寄附による寄附講座が、
平成 16 年度から4講座設置された
(資料11)。本学部の規模を勘案すると顕著な寄附講座数である。本学部の研究における「想定す
る関係者」の地域及びその社会が期待する「地域の行政機関や医療・保健機関及び企
業との共同研究・受託研究の推進」について、この寄附講座設置により格段の成果を
挙げた。
資料13 寄附講座研究業績
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
論文数 3 6 32 15
学会発表数 4 13 56 60
出典:佐賀大学医学部研究業績年報
4事例4「共同研究」
(分析項目 I)
共同研究については、平成 16 年度以降着実に件数が増加し続けている(資料12)。 件数が増加し続けている(資料12)。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /