佐賀大学経済学部・経済学研究科

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2.経済学部・経済学研究科
I 経済学部・経済学研究科の研究目的と特徴・・2−2 II 分析項目ごとの水準の判断・・・・・・・・・2−5 分析項目I 研究活動の状況・・・・・・・・2−5 分析項目II 研究成果の状況・・・・・・・・2−11 III 質の向上度の判断 ・・・・・・・・・・・・2−13
佐賀大学経済学部・経済学研究科
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I 経済学部・経済学研究科の研究目的と特徴 1 基本理念
経済学は、社会の土台を形成する経済活動や社会構造そのものを解明する社会科学であ
るという認識に基づいて、
経済活動の基礎をなす労働・組織の経営、
公共部門による政策、
グローバル化した各国経済の相互依存関係と、これらの社会構造に対応する法の世界に係
る総合的な研究を行うことを、研究目的とする。この研究目的のもとに、研究の分野を経
済、経営、法律・政治に及ぶ社会科学の広い領域をもった研究組織を構成している。 2.沿革
経済学部と経済学研究科は研究・教育目的を達成するために、組織を編成してきた。昭
和 41 年4月に文理学部の改組により経済学部(経済学科)を発足させ、昭和 50 年4月に
管理学科、昭和 54 年4月に経営学科を設置し、平成 10 年4月に3学科を、経済システム
課程(国際経済社会コース・総合政策コース)及び経営法律課程(企業経営コース・法務
管理コース)に改組することによって、経済、国際経済、経営、法律の分野を総合・融合
した学部とした。
平成4年に大学院経済学研究科(修士課程)を設置し、経営学と企業関係の法律を含め
た企業経営専攻、政策と国際経済を含む金融・経済政策専攻を設置して、専門的な知識を
もつ人材育成を目指した。
さらに、平成元年4月に地域経済研究センターを置き、地域社会と協力し、地域社会に
寄与するための研究組織を創設した。 3.想定する関係者とその期待
経営学分野では、企業の経済活動を支える組織、管理、財務、会計、経営戦略などの企
業組織の構造と機能を明らかにすることによって、地域の中小企業経営に寄与することが
期待されている。地域政策分野では、経済政策、金融、財政、社会保障、農業、地域経済
などの公共部門の役割・機能を解明して、
地方自治体等の政策形成に寄与することが求めら
れている。
国際経済社会分野では、グローバル化する経済の構造やその歴史を解明することを目的
とし、アジアとの交流を深め、東南アジア諸国の経済発展に寄与する。従って経済理論・
情報分野の研究は、以上のような研究分野の基礎理論を研究する。法政策分野は経済・社
会に対応する法規範を研究することによって、地域社会や裁判員制度に寄与することが期
待されている
このようにして、地域の知的拠点、地域及び諸外国との社会に関する連携協力を重視し、
学術的に貢献するために、経済学部・研究科の研究組織をつくり関係者の期待に応えてい
る。
(図1、図2参照) 佐賀大学経済学部・経済学研究科
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図1 経済学部及び経済学研究科の組織
図2 研究組織と研究分野
経営システム講座
地域政策講座
国際経済社会講座
経済情報講座
法政策講座 研 究 組 織地域経済研究センター
経営学分野
政策分野
国際経済・歴史
理論経済・情報
法律分野
経 済 、経 営 、法 律 及
び 政 治 の 学 問 分 野
を 融 合 さ せ 、 企 業 、
地 域 、国 家 、国 際 社
会 に 視 野 を 広 げ 、地
域 社 会 及 び 国 際 社
会 の 発 展 に 寄 与 する
佐 賀 大 学 経 済 学 会
に よ る 研 究 成 果 の
公 表 、社 会 へ の 還 元
経済システム課程
経営法律課程
企業経営専攻
金 融 ・ 経 済
政 策 専 攻
経 済 学 研 究
国際経済社会コース
総合政策コース
企業経営コース
法務管理コース
統計情報・経営管理
会計・企業関係法
経済学部 経 済 学 研 究 科
(修士課程)
数量経済分析・金融
政 策 分 析 ・ 比 較 経
済・地域福祉政策
佐賀大学経済学部・経済学研究科
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4.基本方針
経済学部・経済学研究科の教員は、それぞれの専門分野の研究と共同研究によって次の
ような研究活動を行う。
(1) 研究を継続的、体系的に行い、その成果を著書及び論文として、広く社会に公表する
ことによって、社会に寄与する。中期計画(089,090,092)に掲げている成果の社会
への還元を推進する。
(2) 学会や研究会において、研究成果を積極的に発表し、研究者間の交流を深め、研究水
準の向上を図る。
(3) 他大学や研究機関の研究者と共同して研究を推進し、
科学研究費や受託研究費などを
活用して研究を進める。
(4) アジア地域の研究者との共同研究を進め、
地域社会の発展に寄与する研究を推進する。
本学の中期計画
(084)の「地域に密着した研究に取り組む」
こと、
また、
中期計画
(092)
に掲げる地方公共団体との調査活動と連携すること、および、中期計画(088)に掲げ
たアジアをはじめとする各国の研究者との国際協力・国際共同研究を推進する。 5.達成しようとする成果
(1) グローバル化した経済のなかで、
とくにアジア地域の研究者との共同研究、
研究協力、
シンポジウム開催などにより、研究の国際協力を進める。アジア地域経済の発展に寄
与する研究を行う。
(2) 地域社会の抱える諸問題について、大学の内外の関係者が協力する研究活動を進め、
佐賀地域経済研究会を運営することによって、地域社会におけるさまざまな分野の政
策形成に寄与する研究を行う。
(3) 経済学部教員を中心とする佐賀大学経済学会を組織し、研究活動を助成し、研究成果
を広く公刊することにより、学界における研究を深化させ、社会にたいして知識と情
報を発信する。 6.研究の特徴
経済学部・経済学研究科は、研究について次のような特徴をもっている。
(1) 佐賀大学経済学会を組織して、
「佐賀大学経済論集」を発刊し、研究会を開催し、ま
た、研究成果を出版助成して著書を刊行している。
(2) アジア地域の研究者との共同研究プロジェクトを推進している。
とくに、
スリランカ、
タイなどの東南アジア地域やニュージーランドの研究者と共同研究を行い、シンポジ
ウムを開催して、その成果を公表している。
(3) 中国・韓国の研究者と共同研究を行い、日韓中国際シンポジウムを開催し、
その成果を著書などで公表している。
(4) 地域社会に寄与するため、佐賀県内の市町村と連携して、地域活性化や地域経済の諸
問題について研究会を開催し、受託研究を行い、その成果を公表している。また、市
町村の地域史について研究調査を行い、市町村史の作成に参画している。
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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II 分析項目ごとの水準の判断 分析項目I:研究活動の状況
( 1 ) 観 点 ご と の 分 析
観点1−1:研究活動の実施状況
(観点に係る状況) 経 済 学部 ・経 済 学研 究科 で は、 研究 の 目的 に 従 い 次 の よ う な 研 究 活 動 を 実 施 し て い る 。 1 研究活動の継続により体系的な著書として研究成果を公表し、佐賀大学経
済学会による研究会開催や出版の助成をしている。これまで 16 冊(16 名)の刊行を助成
し、教員の研究支援と公表に寄与している。年に2〜3回の研究会を開催し、教員の研究
深化のための情報交換・議論の場としている。
『佐賀大学経済論集』を年間6回発行してい
る。年間6回の発行は全国的に見ても多く、教員の研究の質の向上に寄与している。
(表1
参照) 表1 佐賀大学経済学会叢書リスト (平成 16 年度〜平成 19 年度)
第 11 号 Piyadasa
Ratnayake"Lost
Opportunities
‐Sri
Lanka's
Economic
Relationship
with Japan"Karunaratne & Sons Ltd.(平成 16 年 5 月)
第 12 号 岩永忠康『現代日本の流通政策』創成社(平成 16 年 10 月)
第 13 号 常盤洋一『人口データの蓄積と分析』慧文社(平成 17 年 12 月)
第 14 号 米倉茂 『落日の肖像‐ケインズ‐』イプシロン(平成 18 年 3 月)
第 15 号 畑山敏夫『現代フランスの新しい右翼』法律文化社(平成 19 年 4 月)
第 16 号 J.D.Macarthur"Claiming Your Portion of Space"北星堂書店(平成 19 年 3
月) 2 アジア地域の各国の研究者と協力して、日本、韓国、中国の研究機関や大学
の研究者と日韓中シンポジウムを毎年開催しているほか、
「国際協働プロジェクト」をたち
あげ、アジア地域の研究者と共同研究を行い、その成果を公表している。
日韓中国際シンポジウムは、中国の社会科学院世界経済政治研究所、南京大学、韓国の
全南大学、その他の研究機関が協定を結び、3カ国が輪番で平成2年から開催し、時々の
東アジア経済の課題をテーマとする研究交流を行っている。シンポジウムの内容を『佐賀
大学経済論集』の別冊・特集号で公刊している。
(表2参照) 表2 日韓中国際シンポジウム
開催地 シンポジウムのテーマ 参加者数
第 15 回
平成 16 年 10 月
韓国
全南大学
"Regional development in
East Asian Countries"
日本 4 名、韓国 8
名、中国 4 名
第 16 回
平成 18 年 9 月
日本
佐賀大学
「労働移動(移民)
・技術移
転とアジアの経済発展」
日本 12 名、
韓国 7
名、中国 4 名
第 17 回
平成 19 年 10 月
中国
南京大学
"Economic and Social
Development Model of East
Asia"
日本 4 名、韓国 4
名、中国 6 名 国際的な研究協力のため、アジア国際共同比較研究経費(学長経費)により、韓国、タ
イ、スリランカ、中国等の研究者と共同研究を行い、表3に記すシンポジウムを開催して
いる。
平成 16 年の共同研究のうち、1「アジア経済社会諸問題に関する研究・教育・国際交
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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流プロジェクト」は、本学部の教員のほか、スリランカのペラデニア大学、タイのカセサ
ート大学、鹿児島大学など内外の研究者によるものである。2「日中企業の比較」共同研
究は、本学部教員と中国の社会科学院世界経済政治研究所の研究者との共同研究である。
1と2は、平成 16 年 12 月に共同でシンポジウムを行った。
平成 17 年の共同研究のうち、1「中国経済の現状と課題」
「中国会計のグローバル化へ
の取り組み」は、本学部教員のほか長崎、横浜市立、同志社大学の研究者と、中国の天津
財経大学、復旦大学、社会科学院研究者等との共同研究である。2「アジアの経済発展の
ための海外援助と国際金融」をテーマとする共同研究は、本学部教員のほかスリランカ、
スウェーデン、タイ、ニュージーランドの研究者との共同研究である。
共同研究を「2004 年活動報告書」
「2005 年活動報告書」
としてまとめ、
以下の著書を編集・
刊行した。
1 山下寿文編集代表
『中国における国際化への課題〜経済、
ビジネス、
会計を考える〜』
中央経済社、平成 19 年。
2 W.D. Lakshman and Piyadasa Ratnayake ed., Mobilising money , people and
resources for economic developmen t , The Economic Association of Saga
University,2007. 表3 国際協働プロジェクトによるシンポジウム
開催日 シンポジウムのテーマ 開催場所
平成 16 年 12 月 国際協働プロジェクト
「アジアにおける経済発展の動向」
佐賀大学 平成 17 年 09 月
国際協働プロジェクト
New Approaches to Foreign Aid and
International Finance For Economic
Development in Asia 佐賀大学
平成 17 年 10 月 国際協働プロジェクト「中国経済の現状と課題」 佐賀大学
平成 18 年 01 月 国際協働プロジェクト
「 中 国 会 計 の グ ロ ー バ ル 化 へ の 取 り 組 み 〜 現 状 と 課 題
〜」
佐賀大学
平成 18 年 10 月 国際協働プロジェクト
「日本から見た中国ビジネス事情」
佐賀大学
平成 19 年 02 月 国際協働プロジェクト
Mobilising money , people and resources for
economic development 佐賀大学
平成 19 年 09 月 国際協働プロジェクト
Labour Export‐Impact Policy and its Impact
On Socioeconomic Development in Asia 佐賀大学 3 経済学部地域経済研究センターを設置し、地域のまちづくり、中心市街地の再生など
地域社会が抱えている問題について調査研究を行い、地方自治体関係者を含めた研究会を
企画することにより、地域社会の政策形成に寄与している。地域経済研究センターには、
経済学部教員全員が参加し、地域経済研究のための資料収集やデータの蓄積、研究交流を
行っている。地域経済研究センターでは、
『佐賀大学地域経済研究センター年報』
(年 1 回)
を刊行し、調査報告集を刊行している。
(表4参照) 佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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表4 経済学部地域経済研究センターの研究活動
1.佐賀地域経済研究会の開催 平成 16 年度〜平成 19 年度
平成 16 年度
第 121 回 「まちづくりカレッジ in 佐賀」に参加地域経済研究センター
第 122 回
「住民参加による公共事業の計画・建設そして管理〜公園改修と環境基本計画の
策定として〜」(株)アースクリエーション代表取締役 小野仁
第 123 回 行政部会「行政部会の発足と地域機材研究会の事業について」
第 124 回 行政部会「中心市街地再生プロジェクトの立ち上げについて」
第 125 回 「市民が主役のまちづくり〜ワークショップの実践を通して〜」
(株)アーバンデザインコンサルタント取締役営業開発部長 十時裕
第 126 回
「〜子づれ DECHA・CHA・CHA!を軸とした〜21 世紀のバリアフリー街づくり計画」
NPO 法人男女・子育て環境改善研究所理事長 濱砂圭子 平成 17 年度
第 127 回 行政部会「中心市街地再生プロジェクトアンケート調査の結果について」
座長 長安六
第 128 回 現地視察「宗像市のコミュニティを中心としたまちづくりについて」
宗像市市民部コミュニティ課推進担当係長 大隈義仁、日の里地区コミュニテ
ィ運営協議会事務局長 平川周造
第 129 回 「 み ず か ら 創 り み ず か ら 育 て る 国 土 ( く に ) と 都 市 ( ま ち )
〜21 世紀オランダ・モデルに学ぶ市民参加と生活哲学〜」 九州大学大学院芸
術工学研究院助教授 藤原恵洋
第 130 回 行政部会「今年度の活動についての意見交換」
第 131 回 「新年度のプロジェクトについての意見交換」 平成 18 年度
第 132 回 「行政と協働による住民主体のまちづくり」
宗像市市民部コミュニティ課推進担当係長 大隈義仁
第 133 回 「中心市街地のまちづくり〜補助金でつくる街から人がつくる街へ〜」
佐賀市街づくり推進課長 池田剛
第 134 回 「地域経営の理論と実践〜福岡における都心再生と郊外開発管理の試み〜」
(財)福岡アジア都市研究所主任研究員 後藤太一
第 135 回〜141 回 行政部会 各市の中心市街地調査(視察)察」
第 142 回 「中心市街地再生プロジェクト調査の取りまとめ」
第 143 回 「佐賀県内における市町村合併の現状と課題」本学部教授 濱内繁義
第 144 回 「山口亮一旧宅について」 NPO法人まちづくり研究所理事長 三原宏樹
第 145 回 「世界に羽ばたけ!有田焼〜有田焼万華鏡の開発を通じて〜」
(有)佐賀段ボール商会代表取締役副社長 石川慶蔵
第 146 回 「まちづくり三法とTMOの今後について」TMO佐賀タウンマネージャー伊豆哲也
第 147 回 「佐賀県CSOの現状と課題」
NPO法人佐賀県CSO推進機構代表理事 川副知子
第 148 回 「ITによるコミュニティ・ネットワークの構築」本学部教授 長 安六 平成 19 年度
第 149 回 「人口減少時代の到来と地域経済」
(財)九州経済調査協会調査研究部次長 縄田真澄
第 150 回 第 150 回記念シンポジウム「人口減少時代の到来と地域経済」
第 151 回 「人口減少社会と社会福祉」 佐賀大学文化教育学部教授 北川慶子
第 152 回 「人口減少社会における社会資本整備の手法の研究―中山間地域(・離島)地
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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域―」 佐賀大学農学部准教授 五十嵐勉
第 153 回 「人口減少期における持続的都市構築の課題」
佐賀大学理工学部教授 外尾一則 2.調査研究報告書(佐賀県に係る調査報告)平成 16 年度〜平成 19 年度
No.18「佐賀県の自治体における地域課題一平成 17 年度の調査報告‐」
(平成 17 年)
本学部教授 岩永忠康、長安六
No.19「佐賀県 7 市における中心市街地再生方策の比較研究一佐賀県中心市街地再生 コ
ミュニティタウン・ネットワーク構想‐」
(平成 17 年) 本学部教授 長安六
No.20「旧大和紡績佐賀工場の経営史的研究」
(平成 17 年) 本学部助教授 山本長次
No.21 「出前講座 in 鳥栖 講義集」
(平成 19 年) 「『フラット化』時代における地域・空間」 本学部准教授 戸田順一郎
「新聞記事に見る有明海・諌早湾」 本学部教授 樫澤秀木
「鳥栖市における企業誘致」 本学部准教授 山本長次 3.受託研究
農産物需給関係学術研究情報収集推進事業「需給飼料稲の増産に果たすコントラクターの
役割に関する実証研究」
(代表:本学部准教授品川優)
(平成 18 年度)
佐賀県受託研究「人口減少下の社会資本整備」
(代表:本学部教授長安六)
(平成 19 年) 4 全国地域の研究者と協力して、科学研究費など外部資金を活用しながら共同研究を行
い、その成果を学会や著書・論文で公表している。 経済学部・経済学研究科教員の具体的な研究の実施状況は、図3及び表5のとおりであ
る。著書は、平成 16 年度9冊、平成 17 年度9冊、平成 18 年度 11 冊、平成 19 年度8冊で
ある。編著、単著および編著の内訳は図3のとおりである。
図3 年度別著書の推移024681012H16 H17 H18 H19
年度
冊数
共著
単著
編著
表5 年度別著書の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
編著(内英文) 0(0) 1(0) 1(1) 3(1)
単著(内英文) 5(1) 1(0) 1(1) 2(0)
共著(内英文) 4(0) 7(0) 9(0) 3(1)
合 計 9(1) 9(0) 11(2) 8(2)
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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論文は、平成 16 年度 15 本、平成 17 年度 20 本、平成 18 年度 24 本、平成 19 年度 23 本
と法人化後増加傾向にある。
論文のうち、英文審査付論文、英文審査なし論文、和文審査付論文、及び和文審査なし
論文の内訳は図4及び表6のとおりである。論文の掲載誌は、
『佐賀大学経済学論集』及び
他大学の論文集が多く、
『週刊社会保障』
『社会保障法』
『季刊労働法』
『会計』
『企業会計』
『産業経理』
『エコノミスト』
『国際金融』
『世界経済評論』
『証券経済研究』などの専門雑
誌、及び『学術情報処理研究』
『社会政策学会誌』
『経営財務研究』などの学会誌である。 図4 年度別論文の推移051015202530H16 H17 H18 H19
年度
本数
和文審査なし論文
和文審査付論文
英文審査なし論文
英文審査付論文
表6 年度別論文の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
英文審査付論文 3 2 3 6
英文審査なし論文 0 0 1 2
和文審査付論文 8 9 15 6
和文審査なし論文 4 9 5 9
合 計 15 20 24 23 学会発表等は、平成 16 年度9回、平成 17 年度7回、平成 18 年度6回、平成 19 年度 11
回と法人化後一時減少したが、その後増加している。国際的学会、国内全国規模学会、及
び地方規模学会の内訳は、図5及び表7のとおりである。 佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I
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図5 年度別学会発表等の推移024681012H16 H17 H18 H19
年度
回数
地方規模学会
国内全国規模学会
国際的学会
表7 年度別学会発表等の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
国際的学会 2 1 1 4
国内全国規模学会 4 2 0 3
地方規模学会 3 4 5 4
合 計 9 7 6 11 この他学会活動として、学会役員が平成 16 年度3人、平成 17 年度 10 人、平成 18 年度
12 人、平成 19 年度 12 人と法人化後増加している。 科研費の年度別採択率は、表8のように平成 17 年度に一時低下したが、その後回復基調
にある。また、件数は採択率の低下と継続件数の期限切れに伴い年々減少している。その
結果、科研費の総額が年々減少している。採択件数の減少の原因としては、申請件数の停
滞が挙げられる。これについては、個人の研究状況を再検討し、申請件数の増加を図る。
受託研究費及び奨学寄附金は、表9及び表 10 で見られるように、法人化後採択に向けて
努力を行ったその成果が見られる。さらに、継続して採択の増加を図る。 表8 年度別科研費の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
新規 申請件数 17 16 10 11
採択件数 5 1 2 2
金額(千円) 8,000 2,900 2,000 1,700
採択率(%) 29.4 6.2 20.0 18.2
継続 件 数 4 8 5 1
金額(千円) 4,343 10,157 6,700 500
計 件 数 9 9 7 3
金額(千円) 12,343 13,057 8,700 2,200
(注 1)採択率は少数第 2 位を四捨五入している。
(注 2)金額については、支出ベース(直接経費のみ)にて計上しており、間接経費は含
まれない。
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目I,II
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表9 年度別受託研究費の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
件 数 0 0 1 1
金額(千円) 0 0 300 7,780 表 10 年度別奨学寄附金の推移
平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度
件 数 0 0 0 1
金額(千円) 0 0 0 1,000 (2)分析項目の水準及びその判断理由
(水準)
本学部及び本研究科の研究活動の状況は、期待される水準を上回る。
(判断理由)
1 研究活動の成果としての著書・論文を多数公表しており、学会活動も活発である。
2 アジア地域の研究者と共同研究を行い、その成果を公表することにより国際的な研究
協力を進めている。
3 地域経済研究センターを中心として、地域社会の抱える政策課題について調査研究を
進めており、地域社会に貢献している。 分析項目II:研究成果の状況
( 1 ) 観 点 ご と の 分 析
観点2−1:研究成果の状況
(観点に係る状況)
経済学部・経済学研究科の研究目的に沿って、企業経営、国際経済、国際政治、地域の
歴史、産業と労働分析など、研究成果の範囲は幅広い分野にわたっている。
1 日本の産業・企業は独特な歴史的発展の姿をとっているが、その特質に基づきつつ、
新たな国際的環境のもとでの今後の産業や企業組織、労働の姿を展望することが、企業経
営の現場や社会からは求められている。このような課題に応える研究として、以下の研究
成果がある。
岩 永 『 現 代 日 本 の 流 通 政 策 』 は 、 日 本 の 中 小 企 業 の 小 売 商 業 政 策 を 明 ら か に し て い る 。
(本書は日本流通学会賞、商業学会賞を受賞)
。大坪『日本企業のリストラクチャリング』
は、1990 年代の日本企業のリストラクチャリングによる、企業活動の再生の実証研究を行
っている。
山下『偶発事象会計の展開』は、会計の国際化の流れのなかでの新たな会計基準の動向
や具体的会計処理について追求した。
飯盛『構造改革とサービス産業』は、サービス産業化の進む日本経済において、サービ
ス産業の今後の役割を考察した。
平地『労働過程の構造分析』は、鉄鋼産業における生産管理のなかで熟練労働の中身が
変遷したことを明らかにしている。
(本書は社会政策学会で高い評価を受けている。) 富田『開発部門・生産技術部門の仕事、管理、労使関係』は、国際競争力をもつ日本の
自動車産業を支えている開発・生産技術部門の仕事管理を調査した研究である。
(労働政策
研究・研修機構の外部評価で高く評価されている。) 2 地域社会に文化的・社会的に寄与する研究として、宮島による伊万里市
史の編纂、松浦党についての研究は、地方史研究として高い評価を受けている。地方の歴
史史料編纂は一つの文化的遺産である。
佐賀大学経済学部・経済学研究科 分析項目II
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3 グローバル化のなかに置かれた各国経済と政治の実証分析は、国際経済の
なかでの経済成長や発展の道を展望するために不可欠の研究であり、各国の研究者との研
究協力が求められている分野でもある。以下の研究成果はそのような課題に応えるもので
ある。
ラタヤーナカ"Lost
Opportunities: Sri
Lankaʼs
Economic
Relationship
with
Japan"
は、未成熟なスリランカ経済の実態を、教育・技能や政治的環境などの要因を含めて考察
し、
経済発展のための具体的方策を考えるための指針を示唆している。
同じく、
"Mobilising
Money,People and Resources for Economic Development" は、国際的な共同研究の成
果を公刊したもので、移民や海外援助などの経済発展への寄与について検討し、途上国と
先進国間の関係を分析している。
国際経済の発展のためには国際通貨体制をどのように築くのかも重要な課題である。米
倉『落日の肖像 ケインズ』は、戦後の IMF(国際通貨基金)成立の基礎を追求するため
に、ケインズとその理論の果たした役割を再検討した。
国 際 政 治 分 野 の 畑 山 『 現 代 フ ラ ン ス の 新 し い 右 翼 ‐ル ー ペ ン の 見 果 て ぬ 夢 』 は 、 グ ロ ー
バル化する経済社会における移民労働者や外国人の社会的包摂を課題とする一方で、摩擦
のなかからフランスの右翼政治が台頭することを明らかにした。 (2)分析項目の水準及びその判断理由
(水準)
本学部及び本研究科の研究活動の状況は、期待される水準を上回る。
(判断理由)
地域社会、アジア地域との共同研究及び理論並びに政策研究活動の成果としての著書・
論文が学会等により高く評価されている。活動も活発である。
佐賀大学経済学部・経済学研究科
‐2‐13‐
III 質の向上度の判断 事例1「アジア地域の研究者との共同研究」
(分析項目I・分析項目II)
スリランカ、タイ、オーストラリア、韓国及び中国の研究者との共同研究を行い、シン
ポジウムを開催し、その成果を著書や『佐賀大学経済論集』で公表している。国際的な研
究者の協力、連携により、日本を含めた国際社会の相互依存関係や多様性についての知見
を深めることに寄与している。
こ れ は 、 佐 賀 大 学 の 中 期 計 画 ( 088) に 掲 げ る 、 ア ジ ア 地 域 の 大 学 や 研 究 機 関 と の 国 際
共同研究の促進、学術交流国際シンポジウムの開催などの目的を達成するものである。(根拠資料 表2、表3) 事例2「地域社会への貢献する研究」
(分析項目I)
本学部地域経済研究センターにおいて、地域の町おこし、中心市街地活性化、市町村合
併など地域社会に密接した研究を行い、その成果を『地域経済研究センター年報』
『調査研
究報告書』などで公表(ホームページ掲載)している。佐賀地域経済研究会により定期的
に研究会を企画し、その成果を『佐賀地域研究会報告書』で公表している。
こ れ は 、 中 期 計 画 ( 084,090,092) に 掲 げ た 目 標 、 地 域 に 密 着 し た 研 究 の 推 進 、 地 域 と
の連携、地方公共団体の調査活動への協力、共同研究の受け入れなどの目的を達成してい
る。
(根拠資料 表4) 事例3「学術研究の推進」
(分析項目III)
研究成果の公表のため経済学部経済学会により出版助成を行い、6冊の著書(うち、学
会賞1冊)を刊行し、学会及び書評により取り上げられる成果を挙げた。また、外部資金
は、科研費 13 件、その他2件を獲得している。
研究グループによる共同研究を進めて成果を公表すること、基礎的、基盤的研究を継続
して独創的な研究を育てるなどの、中期計画目的(083,088)を達成している。
(根拠資料
表1)

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