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平成29年度に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学として、地域を志向した社会
貢献・教育・研究を推進することで、
地域活性化の中核的拠点となることを目指している。
第3期中期目標期間においては、学生の能動的かつ主体的な学修を育み、総合大学の強み
を生かした多様な教育かつ質の高い専門教育により、国際的な視野で変容する社会で活躍
できる学生を育成すること等を基本的な目標としている。
この目標の達成に向け、学長のリーダーシップの下、高大連携として継続・育成型高大
連携カリキュラムの展開をするとともに佐賀大学版CBTとして「基礎学力・学習力テス
ト」を実施するなど、
「法人の基本的な目標」に沿って計画的に取り組んでいることが認め
られる。(「戦略性が高く意欲的な目標・計画」の取組状況について)
第3期中期目標期間における「戦略性が高く意欲的な目標・計画」について、平成29年
度は主に以下の取組を実施し、法人の機能強化に向けて積極的に取り組んでいる。
○しろまる 平成28年度に作成した佐賀大学版CBTシステムの基本仕様書に基づいて、タブレ
ット端末を使用した「基礎学力・学習力テスト」を理工学部と農学部の特別入試(推薦
入試募集人員36名)の受験者(65名)を対象に実施しており、当該テスト終了後に帳票
出力して、その後の面接試験の参考資料として活用している。
「基礎学力・学習力テス
ト」は、試験時間内に自動採点や解答プロセスの制御を行うことで、基礎学力とともに
学習力を問うものであり、新しい技術として2件の特許出願に繋がっている。
(ユニッ
ト「高大接続改革」に関する取組)
○しろまる IR室から、
中期目標の達成及び内部統制の実質化を支援するために、
中期目標や大
学運営上の各指標を踏まえた月例データを役員、部局長等からなる大学運営連絡会に
提供し、各種データに基づいた学内のモニタリングを進めて課題などを定期的に共有
している。
このことにより、
例えば光熱水等の使用料の削減や就職率の向上等に向けた
各部局の意識が高まり、平成29年度の目標達成につながっている。
(光熱水料:15,411
千円削減(第2期終了時と比較)、就職率:平成29年度98.6%(第2期平均96.5%))(ユ
ニット「佐賀大学版IRの高度化」に関する取組)
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2 項目別評価
<評価結果の概況> 特 筆
一定の
注目事項
順 調
おおむね
順調
遅れ
重大な
改善事項
(1)業務運営の改善及び効率化 ○しろまる
(2)財務内容の改善 ○しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 ○しろまる
(4)その他業務運営 ○しろまる
I.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善 2教育研究組織の見直し 3事務等の効率化・合理化
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載10事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
こと等を総合的に勘案したことによる。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加 2経費の抑制 3資産の運用管理の改善
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載6事項全てが「年度計画を上回って実施している」又は「年度
計画を十分に実施している」
と認められるとともに、
下記の状況等を総合的に勘
案したことによる。
平成29年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる URAによる資金獲得への取組と貢献
研究サポート体制を充実し戦略的な研究支援体制を構築するため、リサーチ・アドミ
ニストレーター(URA)2名を採用し、シニアURA1名、主任URA1名、URA
1名の3名体制として平成29年10月に産学・地域連携機構を改組して「リージョナル・
イノベーションセンター」を設置し、URAの活動を中心とした研究戦略の実践などに
取り組んでいる。その結果、科学研究費補助金新規採択件数が77件から87件に増加し、
獲得額が188,440千円(前年度比28,410千円)と増加するとともに、共同研究123件(前年
度比18件増)
、受託研究115件(前年度比6件増)の締結件数増加につながっている。
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(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実 2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載2事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
こと等を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等 2安全管理と環境 3法令遵守
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載8事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
とともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
平成 29 年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる 情報セキュリティに関する大学間相互監査の実施
九州工業大学、長崎大学と九州地区国立大学法人3大学間で情報セキュリティ相互監
査の試行について意見交換及び監査項目の検討の後、CISO間で覚書の締結を経て、
相互監査の試行を実施し、他大学における情報セキュリティへの取組等で参考になる点
が得られている。
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II.教育研究等の質の向上の状況
平成29年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる 高大接続改革を推進する「継続・育成型高大連携カリキュラム」の全学的展開
高校生が3年間を通じて高度な教育や研究に触れ、将来の進路を考える機会を提供す
る「継続・育成型高大連携カリキュラム」に取り組んでおり、平成29年度は「教師への
とびら」、「科学へのとびら」に加えて、新たに「医療人へのとびら」を3つ目のプロジ
ェクトとして実施し、県内の高校生延べ1,349名が参加している。このうち、
「教師への
とびら」では、3年間すべてのプログラムに参加した36名のうち、23名が受験、11名(教
育学部)が入学しただけでなく、他の修了者も他大学の教員養成学部に進学するなど高
大連携の実質化が一層進み、同カリキュラムの目的が達成できている。
○しろまる 佐賀大学エスタブリッシュド・フェロー(Established Fellow)制度の創設
研究を活性化し、研究における評価を可視化することを目的として、研究領域におけ
る報奨制度(佐賀大学エスタブリッシュド・フェロー(Established Fellow)
)を新たに創
設し、称号授与に関する要項「佐賀大学エスタブリッシュド・フェローの称号授与につ
いて」により、6名の研究者を第1期(平成29〜31年度)佐賀大学エスタブリッシュド・
フェローとして選考しており、教員の研究業績評価を可視化し表彰することで、相乗的
に外部資金獲得に向けた意欲向上を図っている。
附属病院関係
(教育・研究面)
○しろまる 臨床研究件数の増加に向けた取組
臨床研究センターに生物統計学を専門とする助教を専任として配置し、研究に関する
コンサルティングを実施するとともに、電子カルテと連携し検査データ等の経時的推移
をデジタルデータとして抽出する体制を構築した結果、
実施臨床研究779件
(対前年度比
87件増)
、新規申請198件(対前年度比35件増)となり、臨床研究の機能強化を図ってい
る。
(運営面)
○しろまる 経営指標の活用による経営収支の改善
各診療科に過去の経営指標の実績値を提示したうえで、新入院患者数、新来患者数、
稼働額等の経営目標値、診療科独自の収益増減指標項目と目標値及び達成行動目標を設
定させた上で、国立大学病院管理会計システム(HOMAS2)による分析データ等を用い
て13診療科に対して病院長ヒアリング等を行うなど、病院経営収支改善に取り組んでい
る。