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平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学として、地域を志向した社会
貢献・教育・研究を推進することで、
地域活性化の中核的拠点となることを目指している。
第3期中期目標期間においては、学生の能動的かつ主体的な学修を育み、総合大学の強み
を生かした多様な教育かつ質の高い専門教育により、国際的な視野で変容する社会で活躍
できる学生を育成すること等を基本的な目標としている。
この目標の達成に向け、学長のリーダーシップの下、全学的な入試改革の実現に向けて
佐賀大学版CBTの開発を進めるなど、
「法人の基本的な目標」
に沿って計画的に取り組んで
いることが認められる。(「戦略性が高く意欲的な目標・計画」の取組状況について)
第3期中期目標期間における「戦略性が高く意欲的な目標・計画」について、平成28年
度は主に以下の取組を実施し、法人の機能強化に向けて積極的に取り組んでいる。
○しろまる 佐賀県内の高校生を対象に、
特定の分野をテーマとした一連の講話等からなる
「継続・
育成型高大連携カリキュラム」を提供している。平成28年度は、教職や教育分野に関す
る「教師へのとびら」が3年目を終え、カリキュラムとしてのパッケージを完成させて
いるほか、科学的思考力の育成を目的とした「科学へのとびら」を新たに開始している。
「教師へのとびら」に参加しポートフォリオを作成した48名のうち半数以上が教員免許
を取得できる分野に進学したことが確認できており、カリキュラムの目的がおおむね達
成されている。
(ユニット「高大接続改革」に関する取組)
○しろまる 窯業の地域文化を基盤としたセラミック産業での国際的学術拠点の構築を目指して、
肥前陶磁器の伝統的技術・工芸とファインセラミックスの先進技術の要素を組み合わせ
た素材開発、プロダクトデザイン研究開発及び人材育成を行うバーチャル型研究組織で
ある「佐賀大学プロジェクト研究所」として「肥前セラミック研究所」を設置している。
同研究所では佐賀県窯業技術センターと素材開発等に関する共同研究を開始するほか、
アイントホーフェン・デザイン・アカデミー(オランダ)等と研究者交流に向けた大学
間学術交流協定を締結するなど、拠点化に向けた取組を進めている。
(ユニット「芸術と
科学の融合による『やきものイノベーション』の創出」に関する取組)
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2 項目別評価
<評価結果の概況> 特 筆
一定の
注目事項
順 調
おおむね
順調
遅れ
重大な
改善事項
(1)業務運営の改善及び効率化 ○しろまる
(2)財務内容の改善 ○しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 ○しろまる
(4)その他業務運営 ○しろまる
I.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善 2教育研究組織の見直し 3事務等の効率化・合理化
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載10事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
とともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
平成28年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる IR機能を活用した学長裁量経費の配分
学長裁量経費の配分に当たって、
IRデータによる現状分析に基づき設定した行動指標・成果指標を活用して重点配分を行っている。特に、学長裁量経費の一部である評価反映
特別経費(8,000万円)については、大学の強み・特色を生かした部局の取組に対する評
価である「事業の評価」と併せて、IRデータを活用して教学・学術・社会貢献及び経営
基盤の評価項目により評価する「業務の評価」を実施しており、この視点を配分に取り
入れた結果、全教員によるティーチング・ポートフォリオの作成や、授業点検・改善評
価報告の入力率の改善等の効果が得られている。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加 2経費の抑制 3資産の運用管理の改善
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載6事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
とともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
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平成28年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 委託元機関の研究による受託研究採択の増
受託研究の増加につなげるため、医療分野の基礎から臨床、実用化までの一貫した研
究開発や環境の整備、助成を行う国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の
ミッションや事業内容についての理解を深めるための講演会や担当者による個別相談会
等を開催した結果、平成27年度に比べて受託研究の件数が7件増加し18件、収入額が
3,382万円増加し約2億2,754万円となっている。
(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実 2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載2事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
こと等を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等 2安全管理と環境 3法令遵守
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載7事項全てが「年度計画を上回って実施している」又は「年度
計画を十分に実施している」と認められること等を総合的に勘案したことによ
る。
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II.教育研究等の質の向上の状況
平成28年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 全学的な入試改革の実現に向けた佐賀大学版CBTの開発
従来のペーパーテストでは測定が困難な能力や適性等について、デジタル技術を活用
して評価を行う佐賀大学版CBT(Computer Based Testing)システムの開発に向けて、タ
ブレット端末を50台購入して本稼働に向けた開発環境を整備するとともに、地域の高等
学校の生徒延べ100名を対象に実証実験を実施している。
実証実験の結果等を踏まえ、佐賀大学版CBTシステムの仕様書を策定している。
○しろまる 大学教職員のICT活用能力向上に向けた全国的な取組の推進
教育関係共同利用拠点としてクリエイティブ・ラーニングセンターを開設し、全国の
大学の教職員がICTを教育に活用するためのスキルを習得する研修を実施するとともに、
学生と地域事業者がチームを組んでコンテンツ作成等を行うプログラム等を実施してい
る。
附属病院関係
(教育・研究面)
○しろまる 臨床研究支援体制の強化
生物統計学、データマネージ及びモニタリングを専門とする准教授、データマネージ
ャー1名及びプログラマー1名を臨床研究センターへ新たに配置し、論文作成のための
統計手法等を含む統計ソフトの講習会、
統計解析コンサルトや臨床研究計画立案の指導・支援等を行うなど、臨床研究支援体制の強化を図っている。
○しろまる 地域医療を支える総合内科医の育成
独立行政法人国立病院機構嬉野医療センターに、法人として2カ所目となる地域総合
診療センターを開設し、総合診療部から病棟医長クラスの医師1名、総合内科専門医を
取得した医師1名、後期研修医1名を配置し、附属病院の医師が定期的に訪問して指導
や回診を行うVisit Teachingを実施するほか、附属病院と直結する電子カルテ等のIT関連
インフラを整備するなど、地域医療を担う総合内科医の育成を推進している。
(診療面)
○しろまる 地域医療連携の強化による地域包括ケアシステムの推進
地域の各医療機関等との連携を強化し、地域包括ケアシステムを推進するため、各医
療機関等へ出向いて情報共有や顔の見える関係作りに努めている。併せて、地域医療連
携室から各診療科等に対して患者紹介等を促す電子メールを配信するとともに、附属病
院内の月例会議において、毎月の紹介率等の報告を行い、情報の共有を図った結果、平
均逆紹介率は90.1%(対前年度比8.6%上昇)となっている。
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(運営面)
○しろまる 経営目標値に基づく安定的かつ効率的な手術部の運営
各診療科が策定した平成28年度の経営目標値(手術件数等)及び目標達成のための具
体的な取組に基づき、病院長及び副病院長ヒアリングを実施して経営改善を促すととも
に、各診療科に対する手術枠の適正配分、手術部委員会におけるモニタリングによって
安定的な稼働を図った結果、手術件数は6,454件(対前年度比301件増)となっている。