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国立大学法人佐賀大学の平成23年度に係る業務の実績に関する評価結果
1 全体評価
佐賀大学は、地域における高等教育の機会を保障することを使命とし、教養教育を人
間形成の中心的な役割を担う教育の根幹と位置づけ、学士課程から大学院博士課程まで
教養を体系的に身に付ける高等教育を目指している。第2期中期目標期間においては、
独自の教養教育システムを創出し、際立つ個性と豊かな知性・感性を身に付け、現代社
会の動向を的確に捉えてリーダーシップを発揮するプロフェッショナルを育成すること
等を目標としている。
この目標達成に向けて学長のリーダーシップの下、
「佐賀大学学士力」に基づく新たな
全学教育組織として「全学教育機構」を設置し、運営体制の整備を進めるとともに、教
養教育カリキュラムの設計等、新たな教育システムの導入準備を行っているなど、
「法人
の基本的な目標」に沿って計画的に取り組んでいることが認められる。
2 項目別評価
I.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善、2事務等の効率化・合理化
平成 23 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 大学改革のためのツールとして「佐賀大学版 IR(Institutional Research)
」の検討を開
始し、学長をトップとした IR-PT(プロジェクトチーム)を立ち上げ、大学の活動全
般を対象に多面的に検討するとともに、各部課の事務職員による IR-事務 PT を置き、
データ収集・分析の体制や方法の検討を進めている。
○しろまる 効率的な大学運営を図るため、
「全学委員会の見直し等について」を策定し、各種委
員会の統廃合の検討を行い、
大学評価委員会等の3つの委員会を見直しの対象として、
その機能を教育研究評議会、中期目標・中期計画実施本部等の運営組織や類似の委員
会等に集約することにより2つを廃止し、機動的な運営体制の整備を図っている。
【評定】 中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載 15 事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加、2経費の抑制、
3資産の運用管理の改善
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平成 23 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 科学研究費助成事業の申請において、研究コーディネーターによる申請書の査読、
奨励研究費の支給等の取組強化の結果、採択件数は 239 件(対前年度比 13 件増)
、採
択金額は4億 4,005 万円(対前年度比 5,726 万円増)となっている。
○しろまる 財務指標を活用し、その結果を大学運営に活用するため、第1期中期目標期間から
の経年比較や平成 22 年度における財務状況と他大学の平均との比較等をまとめた「財
務レポート 2011」を作成し、その結果を活用し、
「平成 24 年度予算編成の基本方針」
及び「平成 24 年度予算編成における経営戦略について」を策定している。
○しろまる 総人件費改革を踏まえた人件費削減については、平成 18 年度からの6年間で6%以
上の削減が図られている。
【評定】 中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載5事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実、2情報公開や情報発信等の推進
【評定】 中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られることによる。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等、2安全管理と環境、3情報基盤の強化、
4男女共同参画の推進、5法令遵守
平成 23 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 新入生に対し、オリエンテーションや教養教育科目において環境教育を継続して実
施するとともに、新規採用職員研修等にエコアクション 21 に関する説明や講演を組み
入れ、環境方針の徹底を図っているほか、エコアクション 21 学生委員会の活動拠点を
設けて必要な物品の調達等、委員会がより活動しやすい環境の整備や各種活動の支援
を行うなど、全学的にエコアクション 21 に取り組んでいる。
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【評定】 中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載 10 事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認め
られ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
II.教育研究等の質の向上の状況
平成 23 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
○しろまる 学習支援機能の充実及び教育改善の支援を目的として、
「ポートフォリオ学習支援統
合システム」の本格運用を開始している。
○しろまる 所得等とは無関係に成績優秀な学生を奨学生として、年額 30 万円を給付する独自の
制度「かささぎ奨学金」を創設し、47 人に対し支援している。
○しろまる 「佐賀大学国際戦略構想」の6つの基本構想と7つの国際戦略を実施するため、
「国
際交流推進センター」を設置し、地域社会と連携しつつ、海外の教育研究機関との国
際交流の進展に寄与する支援体制を構築し、佐賀地域全体の国際交流のさらなる発展
を目指すこととしている。
○しろまる 旧佐賀大学と旧佐賀医科大学との統合 10 周年を迎える記念事業として、成果を地域
・社会に発信するとともに教育・研究に活用する「佐賀大学美術館」の設置とシンボ
ルとなる正門整備を行うことを決定し、美術館に求める機能やデザイン等の方向性等
を検討し、美術館設置の基本計画をまとめている。
○しろまる 平成 22 年度から開始した学長及び理事等による企業等訪問は、平成 24 年 3 月に訪
問した新聞社で目標の 100 社(機関)を達成しており、訪問で得られた企業等のニー
ズ、人材育成、就職関係、外国人留学生への要望及び意見等を報告書としてとりまと
めている。
○しろまる 平成 23 年度教員研修センター研究助成に採択された「小中接続教育推進に向けた学
部教員と附属小・中学校教員のティーム・ピア・エデュケーション(TPE)による、
教員研修支援カリキュラム開発」の一環として、附属学校教員を活用した研修体制や
研修プログラムの提供等、実験的・先導的な研究開発を推進している。
共同利用・共同研究拠点関係
○しろまる 海洋エネルギー研究センターのプロジェクト「全国共同利用海洋エネルギー研究セ
ンターにおける実証研究の推進」に係る学内負担額を平成 22 年度の 400 万円から平成
23 年度は 630 万円に増額し、大学の支援を強化している。
附属病院関係
(教育・研究面)
○しろまる 寄附講座「重粒子線がん治療学(寄附者:公益財団法人佐賀国際重粒子線がん治療
財団)
」を設置し、教授1人及び助教2人を配置するとともに「九州国際重粒子線がん
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治療センター」の整備に関する助言、先進的がん治療体制の整備に備えるため、先導
的に重粒子線がん治療の学術的・実証的な教育・研究を開始している。
(診療面)
○しろまる 感染制御部に「日本感染症学会専門医」等の専任医師4人を配置し、卒後臨床研修
医の指導を行うスタッフを充実したほか、院内感染制御チームは、平成 23 年9月から
毎月第1火曜日に「安全院内ラウンド」を実施し、委員6人で病棟・中央診療施設等
の医療安全・医薬品に関するチェックを行っている。
(運営面)
○しろまる 医師・看護師の負担軽減のため、
医療事務等の資格取得者を 52 人配置するとともに、
臨床工学技士を1人増員し、手術室や人工透析室の医師の負担軽減を図ったほか、イ
ンセンティブ付与の項目を見直し、医療人教育に資する措置を行った医師や国・地方
公共団体等からの要請により被災地域に派遣された職員等の項目を追加し、労働意欲
向上に努めている。
III.東日本大震災への対応
○しろまる 医師等からなる「心のケアチーム」を宮城県に派遣し、Jヴィレッジ(福島県双葉
郡)に医師を派遣したほか、岩手県、宮城県、福島県の病院や避難所等に医師や看護
師等を派遣するなど、医療支援活動等を展開している。
○しろまる 被災した大学の学生や教職員に対し、附属図書館や総合情報基盤センターの利用を
可能としている。
○しろまる 被災した志願者に対し、検定料免除の経済的支援を行っている。