75 佐賀大学
第3期中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学として、地域を志向した社会
貢献・教育・研究を推進することで、
地域活性化の中核的拠点となることを目指している。
第3期中期目標期間においては、学生の能動的かつ主体的な学修を育み、総合大学の強み
を生かした多様な教育かつ質の高い専門教育により、国際的な視野で変容する社会で活躍
できる学生を育成すること等を基本的な目標としている。
中期目標期間の業務実績の状況及び主な特記事項については以下のとおりである。
顕著な成果 上回る成果 達成 おおむね達成 不十分 重大な改善
教育研究
教育 ○しろまる
研究 ○しろまる
社会連携 ○しろまる
その他 ○しろまる
業務運営 ○しろまる
財務内容 ○しろまる
自己点検評価 ○しろまる
その他業務 ○しろまる
(教育研究等の質の向上)
従来の試験方法では測れない能力や適性等を測るため佐賀大学版CBT(Computer Based
Testing)を開発・導入し、CBT開発に関する技術について2件の特許出願並びに商標登録
を行い、他の国立大学等3機関に採用される段階まで事業展開している。また、キャリア
ガイダンスを充実させるとともに、正課外における就職活動支援策を強化する継続的な取
組を実施することによって、高い就職率を達成している。
一方で、
「研究に関する目標」の項目1事項及び「社会との連携や社会貢献及び地域を志
向した教育・研究に関する目標」の項目2事項について、
「中期計画を十分に実施している
とはいえない」ことから、改善に向けた取組が求められる。
(業務運営・財務内容等)
予算編成の基本方針に基づき、学長のリーダーシップにより、戦略的かつ効果的に「ヒ
ト、モノ、カネ、スペース利用」の資源配分を行えるように佐賀大学版IRデータを活用し
ている。また、有田キャンパスの開設にあたり、佐賀県から旧有田窯業大学校の土地と建
物を無償で譲渡してもらうとともに、譲渡後、窯業後継者の人材育成事業に使用する場合
には無償で使用できるようにするなど、多様な財源を活用した施設整備を行っている。
75 佐賀大学
2 項目別評価
I.教育研究等の質の向上の状況
<評価結果の概況> 顕著な
成果
上回る
成果
達成
おおむね
達成
不十分
重大な
改善事項
(I)教育に関する目標 ○しろまる
1教育内容及び教育の成果 ○しろまる
2教育の実施体制 ○しろまる
3学生への支援 ○しろまる
4入学者選抜 ○しろまる
(II)研究に関する目標 ○しろまる
1研究水準及び研究の成果 ○しろまる
2研究実施体制等の整備 ○しろまる
(III)社会連携及び地域に関する
目標
○しろまる
(IV)その他の目標 ○しろまる
1グローバル化 ○しろまる
(I)教育に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標を上回る成果が得られている
(理由) 「教育に関する目標」に係る中期目標(中項目)4項目のうち、2項目が「中期目標を上回る成
果が得られている」
、2項目が「中期目標を達成している」であり、これらの結果に学部・研究科
等の現況分析結果(教育)を加算・減算して総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1-1教育内容及び教育の成果等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標を達成している
(理由) 「教育内容及び教育の成果等に関する目標」に係る中期目標(小項目)2項目のうち、2項目が
「中期目標を達成している」であり、これらを総合的に判断した。
75 佐賀大学
1-1-1(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる アクティブ・ラーニングの推進
アクティブ・ラーニングを教育手法に基づいて5つのカテゴリーに分類し、全学教員
の認識を統一している。令和元年度開講授業科目のうち、アクティブ・ラーニングを導
入している科目は全体の99.76%に至り、能動的な学生の学びに結びついている。
(中期
計画1-1-1-2)
○しろまる ラーニング・ポートフォリオによる学修成果の可視化
学生自らが自己の学修成果を証明するための仕組みとして、ラーニング・ポートフォ
リオによる学修成果の可視化を進めたことで、学生自身の成長実感を通じた主体的な科
目選択を支援する環境を整えている。また、学生が自身の学修成果を証明して卒業申請
を行う卒業申請制度の構築を進めている。
(中期計画1-1-1-3)
1-1-2(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 学部・大学院統合型教育の実施
平成30年度から学部・大学院統合型教育「大学院先行履修制度」を実施し、本制度を
利用して研究科での学修に早期に開始することにより、進学後の教育研究活動の充実を
図っている。科目数は平成30年度60科目(開講科目中41.0%)
、令和元年度92科目(同
51.1%)となっている。
(中期計画1-1-2-1)
○しろまる 大学院教養教育プログラムの導入
大学院における汎用的知識・技能を教授する分野融合型の大学院教養教育プログラム
を総合大学の特色を生かして多様な専門領域にわたって開設し、学校教育学研究科以外
の全研究科において必修または選択必修としている。令和元年度の単位取得者数は、延
べ935名(単位取得率97.1%)であり、プログラムを構成する科目についても随時見直
しを行っている。
(中期計画1-1-2-2)
75 佐賀大学
1-2教育の実施体制等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標を達成している
(理由) 「教育の実施体制等に関する目標」に係る中期目標(小項目)3項目のうち、1項目が「中期目
標を達成し、優れた実績を上げている」
、2項目が「中期目標を達成している」であり、これらを
総合的に判断した。
1-2-1(小項目)
【判定】中期目標を達成し、優れた実績を上げている
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。また、特記事項を判断要素とし、総合的に判断した結果、
「IRデータを活
用した教育貢献度指標の導入」が優れた点として認められるなど「優れた実績」が認められる。
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる IRデータを活用した教育貢献度指標の導入
IRデータを活用して教育貢献度指標を定義し、教員個々の教育面の評価を行ってい
る。例えば授業担当時間数を主とした教育貢献度指標を定義し、教員一人一人の授業担
当の評価を通じて、貢献度の高い上位60人程度に給与でのインセンティブを付与する
等、現状把握と改善点を明確にし、教育面だけではなく人事面などの施策に活かしてい
る。
(中期計画1-2-1-1)
(特色ある点)
○しろまる 教学マネジメント体制の進展
教学マネジメント体制の確立に向けて、教育の質保証体制を大学レベル、学部学科レ
ベル、教員レベルの3階層に区分し、責任部局を明確化するとともに、各階層での質保
証体制に関わる規程等を平成30年度に整備している。教育課程の分析やPDCAサイクルの
管理体制を充実させるために、各教育課程の質保証サイクルを統括する教育コーディネ
ーターを配置し、全部局で組織的な教育活動の点検・改善を開始している。
(中期計画
1-2-1-1)
1-2-2(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
75 佐賀大学
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 新型コロナウイルス感染症下の教育
新型コロナウイルス感染症による影響下においても、学生の学修機会を確保するた
め、遠隔授業と対面授業を同時に行うハイフレックス型授業の導入やVRを活用した実習
の仕組みを開発するなどの取組を行っている。
1-2-3(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる ティーチング・ポートフォリオの学内への普及
標準版ティーチング・ポートフォリオを基に、教育の責任・理念・方法に焦点を絞っ
た簡易版ティーチング・ポートフォリオを開発し、ワークショップを通じて定期的な更
新を図っている。その結果、簡易版の作成・更新率は100%となっている。
(中期計画1-
2-3-2)
1-3学生への支援に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標を上回る成果が得られている
(理由) 「学生への支援に関する目標」に係る中期目標(小項目)が1項目であり、当該小項目が「中期
目標を達成し、優れた実績を上げている」であることから、これらを総合的に判断した。
1-3-1(小項目)
【判定】中期目標を達成し、優れた実績を上げている
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。また、特記事項を判断要素とし、総合的に判断した結果、
「就職活動支援
による就職率の好業績」が優れた点として認められるなど「優れた実績」が認められる。
75 佐賀大学
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 就職活動支援による就職率の好業績
キャリアガイダンスを充実させるとともに、正課外における就職活動支援策を強化す
る継続的な取組によって、平成28年度から令和元年度までの学部と大学院を合わせた平
均就職率は98.9%を維持しており、第2期中期目標期間の学部と大学院を合わせた平均
就職率の96.5%を上回っている。なお、令和元年度の学部の就職率99.6%は過去最高と
なっている。
(中期計画1-3-1-4)
(特色ある点)
○しろまる 学生支援の強化
個別支援シートや出席管理システムのデータから、支援が必要な学生をスクリーニン
グし、組織的な対応をしている。また、学生支援室やキャンパスソーシャルワーカーに
よる学生相談・カウンセリングにより学生の生活支援や社会活動支援などを充実させる
とともに、学生へのメンタルヘルスケアの強化に取り組み、休学や退学の防止に効果を
あげている。
(中期計画1-3-1-3)
1-4入学者選抜に関する目標(中項目)
【評価結果】期目標を上回る成果が得られている
(理由) 「入学者選抜に関する目標」に係る中期目標(小項目)が1項目であり、当該小項目が「中期目
標を達成し、優れた実績を上げている」であることから、これらを総合的に判断した。
1-4-1(小項目)
【判定】中期目標を達成し、優れた実績を上げている
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
また、
特記事項を判断要素とし、
総合的に判断した結果、
「佐賀大学版CBT
の開発」が優れた点として認められるなど「優れた実績」が認められる。
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 佐賀大学版CBTの開発
従来の試験方法では測れない能力や適性等を測るため佐賀大学版CBT(Computer
Based Testing)を開発・導入している。本取組は日本経済新聞(全国版)にて紹介さ
れている。また、CBT開発に関する技術について2件の特許出願並びに商標登録を行
い、他の国立大学等3機関に採用される段階まで事業展開している。
(中期計画1-4-1-1)75 佐賀大学
○しろまる 多面的・総合的選抜の効率化
学力の3要素のうちの主体性等評価を目的に特色加点制度を考案・導入している。主
体性等評価の課題を克服する手法を考案し、選考書類の申請から採点作業までの業務を
一貫してペーパーレスで行うことができる電子書類採点システムを開発している。学生
のアンケートや学業成績分析により、制度の導入がアドミッション・ポリシーに沿った
学生の受入に寄与していることが確認されている。また、電子書類採点システムは特許
を取得し、すでに他の国立大学等7大学へ導入又は導入予定となっている。
(中期計画
1-4-1-1)
(特色ある点)
○しろまる 高大連携活動の拡充
高等学校と大学の教育接続のための継続・育成型高大連携カリキュラム(とびらプロ
ジェクト)を開発・実施し、入試と高大連携活動を一体的に捉えた高大接続改革モデル
を実践している。当初想定されていた教育分野(教育学部)
、科学分野(理工学部・農
学部)
、医療分野(医学部)の3分野から、社会科学分野(経済学部)
、芸術分野(芸術
地域デザイン学部)まで実践は拡大している。これにより、佐賀大学の全ての分野にお
けるカリキュラム導入を実現し、全学的な取組として展開している。
(中期計画1-4-1-2)75 佐賀大学
(II)研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標をおおむね達成している
(理由) 「研究に関する目標」に係る中期目標(中項目)2項目のうち、1項目が「中期目標を達成して
いる」
、1項目が「中期目標をおおむね達成している」であり、これらの結果に学部・研究科等の
現況分析結果(研究)を加算・減算して総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
2-1研究水準及び研究の成果等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標を達成している
(理由) 「研究水準及び研究の成果等に関する目標」に係る中期目標(小項目)2項目のうち、2項目が
「中期目標を達成している」であり、これらを総合的に判断した。
2-1-1(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 卓越研究者への報奨
インセンティブの充実、研究における評価の可視化、研究の活性化などの観点から、
教員の研究における報奨制度としての佐賀大学エスタブリッシュド・フェロー
(Established Fellow)制度を創設し、個人研究のみならず学際領域研究の組織的研究
の中核的な人材として、研究分野において先駆的・先導的役割を担う者を選定してい
る。
(中期計画2-1-1-1、2-1-1-2)
○しろまる 基礎的・基盤的研究の推進
国際的水準の基礎的・基盤的研究の推進を目指して、論文数等(特に英語論文)の増
加を図るため大学として研究費支援を行っている。教員数が減少する中、査読付英語論
文数の着実な増加が見られるとともに、論文数の数値目標も達成可能な見込みとなって
いる。また、若手研究者を対象に学術室主導で研究室訪問及び理事とURAによる2人体制
の申請前査読などを実施し、採択率を高めることに成功している(全体採択率が27.1%
に対して対象者の採択率36.4%)。(中期計画2-1-1-1、2-1-1-2)
2-1-2(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
75 佐賀大学
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 地域の歴史・文化的資料の積極的な公開
「小城鍋島文庫」を用いた小城市との共同研究・協力事業を実施し、共催展を継続し
て開催している。また、佐賀大学が所蔵する佐賀の歴史・文化資料「小城藩日記」のデ
ータベース化に取り組み、その成果を公開している。この取組は優れた目録・書誌つく
りの研究を顕彰するゲスナー賞のデジタルによる知の組織化部門銀賞など複数の賞を受
けている。
(中期計画2-1-2-2)
2-2研究実施体制等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標をおおむね達成している
(理由) 「研究実施体制等に関する目標」に係る中期目標(小項目)3項目のうち、2項目が「中期目標
を達成している」
、1項目が「中期目標を十分に達成しているとはいえない」であり、これらを総
合的に判断した。
2-2-1(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。なお、4年目終了時に指摘した改善を要する点は改善されている。
2-2-2(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 地域の発展に貢献する研究
藻類研究プロジェクトでは佐賀市産微細藻類培養株を確立し、佐賀市産イカダモの血
圧低下・抗肥満活性及び創傷治癒促進効果及び、微細藻類の高速脱水条件の把握等の存
在を確認している。また、農水圏プロジェクトでは、高オレイン酸大豆品種「佐大H01
号」を品種登録申請するとともに、マメ科植物としては生育が極めて遅い甘草について
着生能力が高い根粒菌系統の単離を行い、この根粒菌の接種により根粒数の増加と生育
速度の改善が可能であることを確認している。
(中期計画2-2-2-1)
75 佐賀大学
○しろまる 海洋エネルギー研究センターの共同研究
海洋エネルギー研究センターは、共同利用・共同研究拠点として共同研究(異分野連
携・融合分野含む)を毎年50件以上受け入れ、設備の共同利用を促進している。また、
国際的な研究者ネットワークの中核的拠点として、次世代研究者の育成事業を開催し、
若手研究者人材育成に貢献している。更に、平成30年度地球規模課題対応国際科学技術
協力プログラム(SATREPS)の採択を受け、マレーシア工科大学との共同研究を開始
し、海洋温度差発電の実証研究を進めている。
(中期計画2-2-2-2)
2-2-3(小項目)
【判定】中期目標を十分に達成しているとはいえない
(理由) 中期計画の判定において「中期計画を十分に実施しているとはいえない」がある。また、
「研究
者の多様化の推進の状況」
に改善を要する点が指摘されたため、
小項目を十分に達成しているとは
いえない。
<特記すべき点>
(改善を要する点)
○しろまる 研究者の多様化の推進の状況
若手研究者や外国人・女性研究者を第2期中期目標期間の最終年度より10%増加させ
るという目標について、若手研究者では平成28年度から令和3年度にかけて-26.3%から
-9.0%の間にとどまっている。外国人研究者では平成28年度から令和3年度にかけて-
30.3%から-3.0%にとどまっている。女性研究者では-3.8%から+2.7%にとどまってい
る。したがって、3指標とも目標を達成していない。
(中期計画2-2-3-1)
75 佐賀大学
(III)社会との連携や社会貢献及び地域を志向した教育・研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標をおおむね達成している
(理由) 「社会との連携や社会貢献及び地域を志向した教育・研究に関する目標」に係る中期目標(小項
目)2項目のうち、2項目が「中期目標を十分に達成しているとはいえない」であり、これらを総
合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
3-1-1(小項目)
【判定】中期目標を十分に達成しているとはいえない
(理由) 中期計画の判定において「中期計画を十分に実施しているとはいえない」がある。また、
「地元
就職率の状況」に改善を要する点が指摘されたため、小項目を十分に達成しているとはいえない。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる 窯業に関する共同研究・受託研究の推進
「伝統技術と電磁気的効果を併用した陶磁器の革新的製造技術の開発」、「伝統の有田
磁器技術に、新しい強化陶磁器技術、誘導加熱技術を融合して実現する、高耐久性と実
用性を備えた高機能磁器の開発」、「やきものイノベーションによる地域共創プロジェク
ト」等、県窯業技術センターや地元陶磁器産業関連企業との協働・連携が6件の受託・
共同研究として形になり、その一部については、知財化に向けた手続きを進めている。
(中期計画3-1-1-1)
(改善を要する点)
○しろまる 地元就職率の状況
地元就職率を平成26年度比10%増加させるという目標について、平成28年度+2.5%、
平成29年度-0.8%、平成30年度+3.6%、令和元年度+2.6%、令和2年度+2.7%、令和3
年度+0.6%になっており、一定程度の取組は行われているものの、目標に及ばない。
(中期計画3-1-1-2)
3-1-2(小項目)
【判定】中期目標を十分に達成しているとはいえない
(理由) 中期計画の判定において「中期計画を十分に実施しているとはいえない」がある。また、
「教員
養成系学部の卒業生に占める教員就職率の状況」
に改善を要する点が指摘されたため、
小項目を十
分に達成しているとはいえない。
75 佐賀大学
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 地域との共同研究成果の社会還元
教育研究の成果を積極的かつ効果的に地域社会に還元するため、成果の発信、研究推
進・産学連携体制の強化を図っている。具体的には、企業との共同商品開発13品目(フ
ォーケア多機能いす、さがんルビーを原料としたスキンケア製品、手首とひじへの負担
を軽減する授乳補助クッション等)
、発明届出件数55件(平成27年度比71.88%増)
、佐
賀県内企業との共同研究締結数47件、2,509万8,000円(平成27年度比20件増、1,823万
6,000円増)
、URAによる外部資金獲得件数23件、5,461万1,000円となっている。
(中期計
画3-1-2-1)
(改善を要する点)
○しろまる 教員養成系学部の卒業生に占める教員就職率の状況
教員養成系学部の卒業生に占める教員就職率について、第3期中期目標期間中に80%
確保するという目標に対して、平成28年度67.9%、平成29年度57.4%、平成30年度
67.4%、令和元年度69.7%、令和2年度75.2%、令和3年度71.2%となっており、一定
程度の取組は見られるものの、目標を達成していない。
(中期計画3-1-2-4)
75 佐賀大学
(IV)その他の目標
(1)その他の目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標を達成している
(理由) 「その他の目標」に係る中期目標(中項目)が1項目であり、当該中項目が「中期目標を達成し
ている」であることから、これらを総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
4-2グローバル化に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標を達成している
(理由) 「グローバル化に関する目標」に係る中期目標(小項目)2項目のうち、2項目が「中期目標を
達成している」であり、これらを総合的に判断した。
4-1-1(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。
<特記すべき点>
(特色ある点)
○しろまる SPACE-ARITAプログラムの展開
佐賀大学独自の受入れプログラム「芸術地域デザイン学部のSPACE-ARITAプログラ
ム」
(有田キャンパスにおける窯芸教育に特化した交換留学生受入れプログラム。平成
29年度から令和元年度に計8名を受入)及び「経済学部のSPACE-ECONプログラム」(日本語による経済学・経営学・法学に関する授業の履修、セミナーへの参加などを通して
社会科学と日本社会について学ぶプログラム)を運営している。SPACE-ARITAプログラ
ムにおいては留学生がプログラムで制作した作品が世界最大級の国際見本市で受賞して
おり、別の留学生の作品が世界三大見本市のうちの一つで特集されるなどの効果が出て
いる。
(中期計画4-1-1-2)
4-1-2(小項目)
【判定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の判定がすべて
「中期計画を実施している」以上であり、
かつ、
中期計画の実施により、
小項目を達成している。なお、4年目終了時に指摘した改善を要する点は改善されている。
75 佐賀大学
(2)附属病院に関する目標
臨床研究センターの体制整備を行い、多岐にわたる研究支援を実施し、臨床研究の更
なる推進に取り組んでいるほか、産学共同開発を推進し、複数の取組を通じて多くの成
果を上げている。診療面では、
「総合内科医」を育成し、地域医療に貢献することを目的
として設立された「地域総合診療センター」について、平成24年に佐賀市立富士大和温
泉病院内に設置したことに加えて、平成28年に国立病院機構嬉野医療センター内にも設
置し、
新たなセンターの開設に向けた検討を進めるなど、
後方支援病院との連携を高め、
地域医療体制の充実を図っている。
<特記すべき点>
(優れた点)
(教育・研究面)
○しろまる 研究支援の充実による臨床研究の推進
平成28年度から臨床研究センターの体制整備を行い、研究立案や申請支援、モニタリ
ングなど多岐にわたる研究支援を実施した結果、
臨床研究実施件数は、
平成28年度の692
件から、令和3年度には803件まで増加しており、
「臨床試験の実施件数を6年間で平成
28年度比10%増加させる」という中期計画を達成するなど、研究支援の充実による臨床
研究の更なる推進を図っている。
○しろまる 産学共同開発の推進
産学共同開発による技術「AG-PROTEX®」を応用した世界初の抗菌性人工股関節が、令
和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞するとともに、当該技術を応用した人
工股関節が国内の6,000件以上の手術で使用されている。
また、
特殊な素材を必要とせず、
安価で大量生産が可能な紙製の使い捨てフェイスシールド「ハコデフェイスシールド」
等を共同開発するとともに、
当該製品に関する論文が英文学術誌International Journal
of General Medicine(I.F2.0)に掲載されている。さらに、令和2年度に民間企業等と
共同による「共同研究講座」制度を創設し、同制度を活用して開設された「創薬科学共
同研究講座」において、病気の進行とともに遺伝子に蓄積する「さび(メチル化異常)」
を取り除く新しい化合物OR-2100が成人T細胞白血病(ATL)に効果を示すことを動物
実験で確認するなど、新しい抗がん剤としての利用が期待される研究成果を挙げている
ほか、産学官の連携により美と健康の知的クラスター形成・イノベーションの創出を目
指す佐賀県の取組である
「コスメティック構想」
に寄与する
「化粧品科学共同研究講座」
を開設するなど、産学共同開発を推進している。
75 佐賀大学
(診療面)
○しろまる 地域総合診療センターによる後方支援病院との連携
臓器や疾患を限定せずに幅広く対応できる「総合内科医」を育成し、地域医療に貢献
することを目的として設立された「地域総合診療センター」について、平成24年に佐賀
市立富士大和温泉病院内に設置したことに加えて、平成28年に国立病院機構嬉野医療セ
ンター内にも設置し、年3回の実務者会議を重ねて実績を検証しており、両センターと
もに、コロナ禍であっても外来、入院、紹介件数、救急搬送数が順調に推移するなど、
効果的な後方支援病院との連携を図っている。また、第3の地域総合診療センター設置
に関する協議を地域総合診療センター合同実務者会議において行うなど、更に地域医療
へ貢献するための体制整備を進めている。
○しろまる 肝疾患センターの設置による肝炎治療体制の充実
平成28年4月に佐賀県受託事業として、院内に「肝疾患センター」を設置するととも
に、肝炎ウイルス検査受検者数及び精密検査の受診率の向上を目指し、検査や治療費助
成データの一元管理により、効果的な医療政策や研究の促進、県内の肝炎コーディネー
ターの養成とスキルアップ等の継続的な取組を行うなど、肝炎治療体制の充実を図って
いる。
(運営面)
○しろまる 胃がん発症リスク低減に向けた取組の推進
佐賀県の胃がんの粗死亡率は、全国平均よりも高く、早急な対策が必要であったこと
から、県内の胃がん死亡率を低下させるため、将来の胃がん発生自体を予防していく取
組(一次予防)として、県内全ての中学3年生を対象に、検査から除菌治療、除菌判定
検査までを行う事業を実施しており、本事業は佐賀県が全国で初めて全額公費負担で実
施し、全国で大きな注目を集めるなど、佐賀県の子供たちの将来における胃がん発症リ
スクを低減する取組を推進している。
(3)附属学校に関する目標
佐賀県教育委員会や教職大学院と連携して授業や教育実習の改善に取り組み,その研究
成果や支援教育の方法を教員養成カリキュラムに生かすなど,学部教育にフィードバック
する仕組みを構築している。
教育実習の際、心身への注視が必要な学生に対して、挫折することなく教育実習に取り
組む体制を整備しているほか、質の高い教育実習ができるようカリキュラム上の工夫を行
っている。
75 佐賀大学
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 大学学部カリキュラムへの成果還元
令和3年度は附属学校園で開発・実践した授業等について、大学の教職科目の授業26
科目や卒業研究指導において、附属学校園の研究紀要や授業動画の紹介・解説や分析を
行っている。その結果、受講生は質の高い授業設計について学ぶことができ、学生の実
践力へとつながっている。
○しろまる 働き方改革及び多様な児童生徒受入れのための推進
附属中学校では、全部活動の外部指導者制度及び勤怠管理システムの導入等を行い超
過勤務時間の顕著な短縮を行っている。附属小学校では、勤怠管理システムを導入し、
超過勤務時間の短縮等働き方改革を行っているほか、附属特別支援学校においても業務
の見直しを行い、超過勤務時間数を大幅に短縮している。
また、附属学校園の入試改革を実施し、特別支援分野専門の教育学部教員が入学試験
に携わることで、発達障害児等多様な入学者の確保を行っている。
○しろまる 佐賀県と連携した教員研修・授業改善
「佐賀大学教育学部、佐賀大学大学院学校教育学研究科及び佐賀県教育委員会との連
携・協力協議会」を通じて教員養成改革や実践的指導力向上等、地域の教育課題解決や
教員研修、授業改善に関する事業を毎年度実施するとともに、学部の教員養成教育へと
フィードバックする仕組みを構築している。
○しろまる 教育実習を行う学生へのケア
心身への注視が必要な学生の増加を受け、附属教育実践総合センターを中心に、スト
レスへの対処や心身のケアが必要な学生でも挫折することなく取り組むことができる環
境を整備している。また、学部1年次から段階的に学校現場に足を運ぶことにより、学
部3年次以降の本格的な教育実習をスムーズに行うことができるようカリキュラム上の
工夫を行っている。
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II.業務運営・財務内容等の状況
<評価結果の概況> 顕著な
成果
上回る
成果
達成
おおむね
達成
不十分
重大な
改善
(1)業務運営の改善及び効率化 ○しろまる
(2)財務内容の改善 ○しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 ○しろまる
(4)その他業務運営 ○しろまる
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善 2教育研究組織の見直し 3事務等の効率化・合理化
【評定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の記載8事項全てが「中期計画を上回って実施している」又は「中期計画を十分に実施
している」と認められるとともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。(「戦略性が高く
意欲的な目標・計画」に認定された計画(1事項)についてはプロセスや内容等も評価)
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 指導的地位に占める女性の割合
女性教員の比率向上に対する取組として、
「女性教員任用における公募の実施に関す
る申合せ」を策定しており、申合せに則って女性限定公募や女性優先公募を実施し、女
性限定公募については3件で3名採用している。また、本申合せの目的を踏まえ、管理
職に女性を積極的に登用したことで、指導的地位に占める女性の割合は、令和3年4月
1日21.7%、令和3年10月1日には22.1%となっており、中期目標期間の最終年度にお
ける目標である「15%以上」を上回っている。
○しろまる 業務効率化の取組
事務改善委員会の下に若手から副課長級までの事務系職員18名により構成する全学的
なRPA導入検討プロジェクトチームを立ち上げ、人事システムでの退職者処理作業や外
部資金集計業務等4つの業務にRPAを導入することとし、年間換算合計で従来の462時間
から90時間へと372時間の減となり、
81%の業務時間削減を達成するとともに、
人工知能
(AI)チャットボットを利用した「AIヘルプデスク」については、受験生向けのみだっ
たものから在学生向けへとサービスを拡大し、
1年間で約1万2,000件の質問があり、事務職員1名の6月分の業務量に相当する省力化を達成するなど、業務の効率化が図られ
ている。
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○しろまる IRを活用した戦略的な経営資源の最適化
予算編成の基本方針に基づき、
学長のリーダーシップにより、
戦略的かつ効果的に
「ヒ
ト、モノ、カネ、スペース利用」の資源配分を行えるように佐賀大学版IRデータを活
用している。
学長裁量経費として、
令和2年度は、
7億7,205万4,000円、
令和3年度は、
11億9,084万5,000円を計上しており、
令和2及び3年度ともに国の提示額
(3億5,738万
8,000円)の110%以上を確保しており、学長裁量経費には「大学経営戦略実行経費」
「教
育研究環境整備経費」
「評価反映特別経費」、「学長裁量定数経費」
を計上し、
このうち
「教
育研究環境整備経費(うち設備整備関連経費)」(3,500万円)を老朽化している教育研究
設備の整備のための予算として確保するとともに、
評価反映特別経費
(事業の評価:3,000
万円)を、KPIを付した戦略的プロジェクトを実行するための経費として確保している。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加 2経費の抑制 3資産の運用管理の改善
【評定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の記載4事項全てが「中期計画を上回って実施している」又は「中期計画を十分に実施
している」と認められるとともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 財務構造の持続的発展のための仕組みの構築
平成30年度から各学部や研究センター等については、外部資金等の獲得による収益の
増加及び経費削減を使命とする「プロフィットセンター」とし、事務局、図書館等の全
学共通の部局は、あらゆる角度からの経費削減及びプロフィットセンターの支援を行う
ことを使命とする「コストセンター」として予算部局(予算単位)を変更して整理して
いる。効果的な資源投資を行う「プロフィットセンター」と「コストセンター」に区分
したことによる成果・検証を行うための分析例として、当該区分の平成30年度における
固定費・変動費の発生状況をグラフ化し会議にて提示するなど、費用の発生状況を示す
ことで全教職員各人の財務活動への関与について意識付けを醸成している。
これらの取組により、コストセンターの令和3年度の一般運営経費は8億5,380万円
(運営費交付金の特殊要因経費除く)となり、平成30年度の8億5,540万円(運営費交付
金の特殊要因経費除く)から約0.2%削減となっている。
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(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実 2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の記載2事項全てが「中期計画を上回って実施している」と認められるとともに、下記
の状況等を総合的に勘案したことによる。(「戦略性が高く意欲的な目標・計画」に認定された計画
(1事項)についてはプロセスや内容等も評価)
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 学内外データの活用基盤整備(迅速かつ効率的なデータ収集・可視化)
令和元年度に導入したデータウェアハウス「Dr.sum」に保存するデータを拡充すると
ともに、可視化ツール「Motion Board」を用いて、
「経営基盤」、「教学」、「学術」、「社会
貢献」、「他機関の分析データ」の5つの分野について、データ粒度を動的に操作して可
視化する分析ツールを作成している(全 65 種類)
。これにより、学内外の最新データを
リアルタイムで把握できる環境を整備しつつある。さらに、内閣府エビデンスシステム
「e-CSTI」を積極的に活用し、他大学とベンチマーキングを行うことで、佐賀大学の立
ち位置や取組の成果等を客観的に把握し、
大学執行部へのフィードバックを行っている。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等 2安全管理と環境 3法令遵守
【評定】中期目標を達成している
(理由) 中期計画の記載6事項全てが「中期計画を上回って実施している」又は「中期計画を十分に実施
している」と認められるとともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
<特記すべき点>
(優れた点)
○しろまる 多様な財源を活用した整備手法による施設整備
有田キャンパスの開設にあたり、旧有田窯業大学校について佐賀県から普通財産、物
品を譲渡するための普通財産譲渡契約及び物品譲渡契約を締結するとともに、佐賀県が
土地及び建物を大学に譲渡後、窯業後継者の人材育成事業等の用途に使用する場合には
土地建物の一部を無償で使用できるように土地建物の使用貸借協定を締結している。こ
れにより、本来であれば多額の予算を必要とする大学の施設設備整備を佐賀県との連携
による寄附により実現している。加えて、本庄キャンパスと有田キャンパス間の移動に
ついては、大学でバスを運行する等、学生の教育環境の整備を行っている。