佐賀大学 評価結果


75 佐賀大学
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第3期中期目標期間(4年目終了時評価)に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学として、地域を志向した社会
貢献・教育・研究を推進することで、
地域活性化の中核的拠点となることを目指している。
第3期中期目標期間においては、学生の能動的かつ主体的な学修を育み、総合大学の強み
を生かした多様な教育かつ質の高い専門教育により、国際的な視野で変容する社会で活躍
できる学生を育成すること等を基本的な目標としている。
中期目標期間の業務実績の状況及び主な特記事項については以下のとおりである。
(教育研究等の質の向上)
従来の試験方法では測れない能力や適性等を測るため佐賀大学版CBT(Computer Based
Testing)を開発・導入し、CBT開発に関する技術について2件の特許出願並びに商標登録
を行い、他の国立大学等3機関に採用される段階まで事業展開している。また、キャリア
ガイダンスを充実させるとともに、正課外における就職活動支援策を強化する継続的な取
組を実施することによって、高い就職率を達成している。
一方で、
「研究に関する目標」の項目2事項、
「社会との連携や社会貢献及び地域を志向
した教育・研究に関する目標」
の項目1事項及び
「その他の目標」
の項目1事項について、
「中期計画を十分に実施しているとはいえない」ことから、改善に向けた取組が求められ
る。
(業務運営・財務内容等)
予算編成の基本方針に基づき、学長のリーダーシップにより、戦略的かつ効果的に「ヒ
ト、モノ、カネ、スペース利用」の資源配分を行えるように佐賀大学版IRデータを活用
している。また、有田キャンパスの開設にあたり、佐賀県から旧有田窯業大学校の土地と
建物を無償で譲渡してもらうとともに、譲渡後、窯業後継者の人材育成事業に使用する場
合には無償で使用できるようにするなど、多様な財源を活用した施設整備を行っている。
特筆 計画以上の進捗 順調 おおむね順調 遅れ 重大な改善
教育研究
教育 しろまる
研究 しろまる
社会連携 しろまる
その他 しろまる
しろまる
しろまる
しろまる
しろまる
業務運営
財務内容
自己点検評価
その他業務
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2 項目別評価
I.教育研究等の質の向上の状況
<評価結果の概況> 特筆
計画以上
の進捗
順調
おおむね
順調
遅れ
重大な
改善事項
(I)教育に関する目標 しろまる
1教育内容及び教育の成果 しろまる
2教育の実施体制 しろまる
3学生への支援 しろまる
4入学者選抜 しろまる
(II)研究に関する目標 しろまる
1研究水準及び研究の成果 しろまる
2研究実施体制等の整備 しろまる
(III)社会連携及び地域に関する
目標
しろまる
(IV)その他の目標 しろまる
1グローバル化 しろまる
(I)教育に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成に向けて計画以上の進捗状況にある
(判断理由) 「教育に関する目標」に係る中期目標(中項目)4項目のうち、2項目が
「計画以上の進捗状況にある」2項目が「順調に進んでいる」であり、これ
らの結果に学部・研究科等の現況分析結果(教育)を加算・減算して総合的
に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1-1教育内容及び教育の成果等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(判断理由) 「教育内容及び教育の成果等に関する目標」に係る中期目標(小項目)
2項目のうち、2項目が「進捗している」であり、これらを総合的に判断
した。
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1-1-1(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる アクティブ・ラーニングの推進
アクティブ・ラーニングを教育手法に基づいて5つのカテゴリーに分類し、全学教員
の認識を統一している。令和元年度開講授業科目のうち、アクティブ・ラーニングを導
入している科目は全体の99.76%に至り、能動的な学生の学びに結びついている。
(中期
計画1-1-1-2)
しろまる ラーニング・ポートフォリオによる学修成果の可視化
学生自らが自己の学修成果を証明するための仕組みとして、ラーニング・ポートフォ
リオによる学修成果の可視化を進めたことで、学生自身の成長実感を通じた主体的な科
目選択を支援する環境を整えている。また、学生が自身の学修成果を証明して卒業申請
を行う卒業申請制度の構築を進めている。
(中期計画1-1-1-3)
1-1-2(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 学部・大学院統合型教育の実施
平成30年度から学部・大学院統合型教育「大学院先行履修制度」を実施し、本制度を
利用して研究科での学修に早期に開始することにより、進学後の教育研究活動の充実を
図っている。
科目数は平成30年度60科目
(開講科目中41.0%)、令和元年度92科目
(同51.1%)
となっている。
(中期計画1-1-2-1)
しろまる 大学院教養教育プログラムの導入
大学院における汎用的知識・技能を教授する分野融合型の大学院教養教育プログラム
を総合大学の特色を生かして多様な専門領域にわたって開設し、学校教育学研究科以外
の全研究科において必修又は選択必修としている。令和元年度の単位取得者数は、延べ
935名(単位取得率97.1%)であり、プログラムを構成する科目についても随時見直しを
行っている。
(中期計画1-1-2-2)
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1-2教育の実施体制等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(判断理由) 「教育の実施体制等に関する目標」に係る中期目標(小項目)3項目の
うち、1項目が「優れた実績を上げている」2項目が「進捗している」で
あり、これらを総合的に判断した。
1-2-1(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗し、優れた実績を上げている
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。また、特記事項を判断
要素とし、総合的に判断した結果、
「IRデータを活用した教育貢献度指標
の導入」が優れた点として認められるなど「優れた実績」が認められる。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる IRデータを活用した教育貢献度指標の導入
IRデータを活用して教育貢献度指標を定義し、
教員個々の教育面の評価を行っている。
例えば授業担当時間数を主とした教育貢献度指標を定義し、教員一人一人の授業担当の
評価を通じて、貢献度の高い上位60人程度に給与でのインセンティブを付与する等、現
状把握と改善点を明確にし、
教育面だけではなく人事面等の施策に生かしている。
(中期
計画1-2-1-1)
(特色ある点)
しろまる 教学マネジメント体制の進展
教学マネジメント体制の確立に向けて、教育の質保証体制を大学レベル、学部学科レ
ベル、教員レベルの3階層に区分し、責任部局を明確化するとともに、各階層での質保
証体制に関わる規程等を平成30年度に整備している。
教育課程の分析やPDCAサイクルの管理体制を充実させるために、各教育課程の質保
証サイクルを統括する教育コーディネーターを配置し、全部局で組織的な教育活動の点
検・改善を開始している。
(中期計画1-2-1-1)
1-2-2(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
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<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 新型コロナウイルス感染症下の教育
新型コロナウイルス感染症による影響下においても、
学生の学修機会を確保するため、
遠隔授業と対面授業を同時に行うハイフレックス型授業の導入やVRを活用した実習の
仕組みを開発するなどの取組を行っている。
1-2-3(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる ティーチング・ポートフォリオの学内への普及
標準版ティーチング・ポートフォリオを基に、教育の責任・理念・方法に焦点を絞っ
た簡易版ティーチング・ポートフォリオを開発し、ワークショップを通じて定期的な更
新を図っている。その結果、簡易版の作成・更新率は100%となっている。
(中期計画1-
2-3-2)
1-3学生への支援に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて計画以上の進捗状況にある
(判断理由) 「学生への支援に関する目標」に係る中期目標(小項目)1項目のうち、
1項目が
「優れた実績を上げている」
であり、
これらを総合的に判断した。
1-3-1(小項目)
【判定】中期目標の達成に向けて進捗し、優れた実績を上げている
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。また、特記事項を判断
要素とし、総合的に判断した結果、
「就職活動支援による就職率の好業績」
が優れた点として認められるなど「優れた実績」が認められる。
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<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 就職活動支援による就職率の好業績
キャリアガイダンスを充実させるとともに、正課外における就職活動支援策を強化す
る継続的な取組によって、平成28年度から令和元年度までの学部と大学院を合わせた平
均就職率は98.9%を維持しており、第2期中期目標期間の学部と大学院を合わせた平均
就職率の96.5%を上回っている。
なお、
令和元年度の学部の就職率99.6%は過去最高とな
っている。
(中期計画1-3-1-4)
(特色ある点)
しろまる 学生支援の強化
個別支援シートや出席管理システムのデータから、支援が必要な学生をスクリーニン
グし、組織的な対応をしている。また、学生支援室やキャンパスソーシャルワーカーに
よる学生相談・カウンセリングにより学生の生活支援や社会活動支援等を充実させると
ともに、学生へのメンタルヘルスケアの強化に取り組み、休学や退学の防止に効果をあ
げている。
(中期計画1-3-1-3)
1-4入学者選抜に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて計画以上の進捗状況にある
(判断理由) 「入学者選抜に関する目標」に係る中期目標(小項目)1項目のうち、
1項目が
「優れた実績を上げている」
であり、
これらを総合的に判断した。
1-4-1(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗し、優れた実績を上げている
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。また、特記事項を判断
要素とし、
総合的に判断した結果、
「佐賀大学版CBTの開発」
が優れた点と
して認められるなど「優れた実績」が認められる。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 佐賀大学版CBTの開発
従来の試験方法では測れない能力や適性等を測るため佐賀大学版CBT(Computer
Based Testing)を開発・導入している。本取組は日本経済新聞(全国版)にて紹介されて
いる。また、CBT開発に関する技術について2件の特許出願並びに商標登録を行い、他
の国立大学等3機関に採用される段階まで事業展開している。
(中期計画1-4-1-1)
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しろまる 多面的・総合的選抜の効率化
学力の3要素のうちの主体性等評価を目的に特色加点制度を考案・導入している。主
体性等評価の課題を克服する手法を考案し、選考書類の申請から採点作業までの業務を
一貫してペーパーレスで行うことができる電子書類採点システムを開発している。学生
のアンケートや学業成績分析により、制度の導入がアドミッション・ポリシーに沿った
学生の受入に寄与していることが確認されている。また、電子書類採点システムは特許
を取得し、すでに他の国立大学等7大学へ導入又は導入予定となっている。
(中期計画1-
4-1-1)
(特色ある点)
しろまる 高大連携活動の拡充
高等学校と大学の教育接続のための継続・育成型高大連携カリキュラム(とびらプロ
ジェクト)を開発・実施し、入試と高大連携活動を一体的に捉えた高大接続改革モデル
を実践している。当初想定されていた教育分野(教育学部)
、科学分野(理工学部・農学部)、医療分野(医学部)の3分野から、社会科学分野(経済学部)
、芸術分野(芸術地
域デザイン学部)まで実践は拡大している。これにより、佐賀大学の全ての分野におけ
るカリキュラム導入を実現し、全学的な取組として展開している。
(中期計画1-4-1-2)
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(II)研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(判断理由) 「研究に関する目標」に係る中期目標(中項目)2項目のうち、1項目が
「順調に進んでいる」1項目が「おおむね順調に進んでいる」であり、これ
らの結果に学部・研究科等の現況分析結果(研究)を加算・減算して総合的
に判断した。
2.各中期目標の達成状況
2-1研究水準及び研究の成果等に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(判断理由) 「研究水準及び研究の成果等に関する目標」に係る中期目標(小項目)
2項目のうち、2項目が「進捗している」であり、これらを総合的に判断
した。
2-1-1(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 卓越研究者への報奨
インセンティブの充実、研究における評価の可視化、研究の活性化等の観点から、教
員の研究における報奨制度としての佐賀大学エスタブリッシュド・フェロー
(Established
Fellow)制度を創設し、個人研究のみならず学際領域研究の組織的研究の中核的な人材
として、研究分野において先駆的・先導的役割を担う者を選定している。
(中期計画2-1-
1-1、2-1-1-2)
しろまる 基礎的・基盤的研究の推進
国際的水準の基礎的・基盤的研究の推進を目指して、論文数等(特に英語論文)の増
加を図るため大学として研究費支援を行っている。教員数が減少する中、査読付英語論
文数の着実な増加が見られるとともに、論文数の数値目標も達成可能な見込みとなって
いる。また、若手研究者を対象に学術室主導で研究室訪問及び理事とリサーチ・アドミ
ニストレータ(URA)による2人体制の申請前査読等を実施し、採択率を高めることに
成功している(全体採択率が27.1%に対して対象者の採択率36.4%)。(中期計画2-1-1-1、
2-1-1-2)
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2-1-2(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 地域の歴史・文化的資料の積極的な公開
「小城鍋島文庫」を用いた小城市との共同研究・協力事業を実施し、共催展を継続し
て開催している。また、佐賀大学が所蔵する佐賀の歴史・文化資料「小城藩日記」のデ
ータベース化に取り組み、その成果を公開している。この取組は優れた目録・書誌つく
りの研究を顕彰するゲスナー賞のデジタルによる知の組織化部門銀賞等複数の賞を受け
ている。
(中期計画2-1-2-2)
2-2研究実施体制等の整備に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(判断理由) 「研究実施体制等に関する目標」に係る中期目標(小項目)3項目のう
ち、1項目が「進捗している」2項目が「十分に進捗しているとはいえな
い」であり、これらを総合的に判断した。
2-2-1(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて十分に進捗しているとはいえない
(判断理由) 中期計画の判定において
「中期計画を十分に実施しているとはいえない」
がある。また、
「海外研究機関との共同研究の状況」に改善を要する点が
指摘されたため、小項目の達成が十分に見込まれない。
<特記すべき点>
(改善を要する点)
しろまる 海外研究機関との共同研究の状況
「国際的な頭脳循環を促進するために、海外の研究機関との共同研究を第2期中期目
標期間の最終年度より10%増加させる。」は、目標未達であり、今後残された中期目標
期間で目標を達成するための具体的な方策が不足している。(第3期中期目標期間目標
値40件に対し、平成30年度16件、令和元年度20件)(中期計画2-2-1-1)
2-2-2(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
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<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 地域の発展に貢献する研究
藻類研究プロジェクトでは佐賀市産微細藻類培養株を確立し、佐賀市産イカダモの血
圧低下・抗肥満活性及び創傷治癒促進効果及び、微細藻類の高速脱水条件の把握等の存
在を確認している。また、農水圏プロジェクトでは、高オレイン酸大豆品種「佐大H01
号」を品種登録申請するとともに、マメ科植物としては生育が極めて遅い甘草について
着生能力が高い根粒菌系統の単離を行い、この根粒菌の接種により根粒数の増加と生育
速度の改善が可能であることを確認している。
(中期計画2-2-2-1)
しろまる 海洋エネルギー研究センターの共同研究
海洋エネルギー研究センターは、共同利用・共同研究拠点として共同研究(異分野連
携・融合分野含む)を毎年50件以上受け入れ、設備の共同利用を促進している。また、
国際的な研究者ネットワークの中核的拠点として、次世代研究者の育成事業を開催し、
若手研究者人材育成に貢献している。さらに、平成30年度地球規模課題対応国際科学技
術協力プログラム(SATREPS)の採択を受け、マレーシア工科大学との共同研究を開始
し、海洋温度差発電の実証研究を進めている。
(中期計画2-2-2-2)
2-2-3(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて十分に進捗しているとはいえない
(判断理由) 中期計画の判定において
「中期計画を十分に実施しているとはいえない」
がある。また、
「研究者の多様化の推進の状況」に改善を要する点が指摘
されたため、小項目の達成が十分に見込まれない。
<特記すべき点>
(改善を要する点)
しろまる 研究者の多様化の推進の状況
「若手研究者や外国人•女性研究者を第2期中期目標期間の最終年度より10%増加さ
せる」という中期計画について、若手研究者が平成27年度末26.6%から令和元年度末
19.6%、女性研究者が18.3%から17.6%、外国人研究者が3.3%から2.3%となっており、
女性及び若手教員の積極的採用については更なる有効性のある取組が必要である。
また、
外国人研究者の増加に関する目処も立っていない。
(中期計画2-2-3-1)
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(III)社会との連携や社会貢献及び地域を志向した教育・研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(判断理由) 「社会との連携や社会貢献及び地域を志向した教育・研究に関する目標」
に係る中期目標(小項目)2項目のうち、1項目が「進捗している」1項目が「十分に進捗しているとはいえない」
であり、
これらを総合的に判断した。
2.中期目標の達成状況
3-1-1(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて十分に進捗しているとはいえない
(判断理由) 中期計画の判定において
「中期計画を十分に実施しているとはいえない」
がある。また、
「地元就職率の状況」に改善を要する点が指摘されたため、
小項目の達成が十分に見込まれない。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 窯業に関する共同研究・受託研究の推進
「伝統技術と電磁気的効果を併用した陶磁器の革新的製造技術の開発」、「伝統の有田
磁器技術に、新しい強化陶磁器技術、誘導加熱技術を融合して実現する、高耐久性と実
用性を備えた高機能磁器の開発」、「やきものイノベーションによる地域共創プロジェク
ト」等、県窯業技術センターや地元陶磁器産業関連企業との協働・連携が6件の受託・
共同研究として形になり、その一部については、知財化に向けた手続きを進めている。
(中期計画3-1-1-1)
(改善を要する点)
しろまる 地元就職率の状況
「地元就職率を対平成26年度比10%増加させる」ことを中期計画に設定しているとこ
ろ、就職希望者に対する地元就職率は、平成26年度26.6%に対して平成28年度から令和
元年度まで29.1%、25.8%、30.2%、29.2%と推移している。目標達成のためには地元企
業の情報をきめ細かく学生に伝えることや、両者のマッチングの機会を低学年から設け
ることが必要である。また、地元企業側からのフィードバックをさらに求め、既存の事
業を見直す必要がある。
(中期計画3-1-1-2)
3-1-2(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定がおおむね「中期計画を実施している」以上であり、か
つ中期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
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<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 地域との共同研究成果の社会還元
教育研究の成果を積極的かつ効果的に地域社会に還元するため、成果の発信、研究推
進・産学連携体制の強化を図っている。具体的には、企業との共同開発商品開発13品目
(フォーケア多機能いす、さがんルビーを原料としたスキンケア製品、手首とひじへの
負担を軽減する授乳補助クッション等)、発明届出件数55件
(対平成27年度比71.88%増)、佐賀県内企業との共同研究締結数47件、2,509万8,000円(対平成27年度比20件増、1,823
万6,000円増)
、URAによる外部資金獲得件数23件、5,461万1,000円となっている。
(中期
計画3-1-2-1)
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(IV)その他の目標
(1)その他の目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(判断理由) 「その他の目標」に係る中期目標(中項目)1項目のうち、1項目が「お
おむね順調に進んでいる」であり、これらを総合的に判断した。
2.中期目標の達成状況
4-1グローバル化に関する目標(中項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けておおむね順調に進んでいる
(判断理由) 「グローバル化に関する目標」に係る中期目標(小項目)2項目のうち、
1項目が「進捗している」1項目が「十分に進捗しているとはいえない」
であり、これらを総合的に判断した。
4-1-1(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて進捗している
(判断理由) 中期計画の判定が全て「中期計画を実施している」以上であり、かつ中
期計画の実施により、小項目の達成が見込まれる。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる SPACE-ARITAプログラムの展開
佐賀大学独自の受入れプログラム
「芸術地域デザイン学部のSPACE-ARITAプログラム」
(有田キャンパスにおける窯芸教育に特化した交換留学生受入れプログラム。平成29年
度から令和元年度に計8名を受入)及び「経済学部のSPACE-ECONプログラム」
(日本語
による経済学・経営学・法学に関する授業の履修、セミナーへの参加等を通して社会科
学と日本社会について学ぶプログラム)を運営している。SPACE-ARITAプログラムにお
いては留学生がプログラムで制作した作品が世界最大級の国際見本市で受賞しており、
別の留学生の作品が世界三大見本市のうちの一つで特集されるなどの効果が出ている。
(中期計画4-1-1-2)
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4-1-2(小項目)
【評価結果】中期目標の達成に向けて十分に進捗しているとはいえない
(判断理由) 中期計画の判定において
「中期計画を十分に実施しているとはいえない」
がある。また、
「海外研究機関との研究者交流の状況」に改善を要する点
が指摘されたため、小項目の達成が十分に見込まれない。
<特記すべき点>
(改善を要する点)
しろまる 海外研究機関との研究者交流の状況
「研究者交流を第2期中期目標期間の平均より30%増加させる」については、目標値
946に対して平成28年度634、平成29年度599、平成30年度702、令和元年度745と推移して
いる。目標達成のためには、学内の研究者交流支援制度による各学部・研究科等におけ
る研究者交流の支援を充実させる必要がある。また、各学部・研究科等は、その支援制
度の積極的活用と学外の研究者交流制度の積極的活用を図る必要がある。
(中期計画4-1-2-1)(2)附属病院に関する目標
臨床実習のカリキュラム改良や指導体制等の検討を実施するとともに、卒後臨床研修に
ついても実践的なプログラムを実施した結果、卒後の研修プログラム登録者の割合を増や
したほか、臨床研究センターを中心とした臨床研究支援のコンサルティング業務を積極的
に実施して、実施件数を増やしている。また、
「総合内科医」を育成し、地域医療に貢献す
ることを目的として設立された「地域総合診療センター」の運営は好調であるとともに、
県受託事業として肝疾患センターを設置するなど、地域の医療ニーズを踏まえた取組を行
っているほか、胃がん対策推進事業センターでは、将来の胃がん発生を防止する取組とし
て、県内全ての中学3年生を対象とした検査を全額公費負担で行うなど、地域の医療需要
に応える事業を継続して実施している。
<特記すべき点>
(優れた点)
(教育・研究面)
しろまる 地域医療を支える医療人の育成
「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂に伴い、実習期間の延長、カリキュ
ラム改良について検討するとともに、臨床実習統括委員会を設置し、指導体制の整備に
ついて組織的に検討を行ったほか、卒後臨床研修センターにおいて、模擬患者等の協力
を得て、コミュニケーション能力等実践力を養うプログラムを実施するなど、地域医療
を支える良い医療人の育成のため様々な取組を実施した結果、卒業後に佐賀県内基幹病
院に初期研修登録する者の割合、また、初期研修終了後に本院の後期研修プログラムに
登録する者の割合が高くなっている。
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しろまる 臨床研究支援の継続
臨床研究センターを中心として、臨床研究計画の作成データマネジメント、統計解析
支援等のコンサルティング業務を積極的に実施し、令和元年度は実施件数が対前年度比
84%増と大幅に増加し、独自に開発したバイオ3Dプリンタを用いて、自身の細胞のみ
から作製された「細胞製人工血管」を世界で初めてヒトへ移植する臨床研究を開始する
など、研究支援を継続して実施している。
(診療面)
しろまる 地域総合診療センターの運営
臓器や疾患を限定せずに幅広く対応できる「総合内科医」を育成し、地域医療に貢献
することを目的として設立された「地域総合診療センター」の運営は、入院患者、外来
患者ともに増加しており、好調な状況である。
しろまる 肝疾患センターの設置による肝炎治療への取組
平成28年4月に佐賀県受託事業として、院内に「肝疾患センター」を設置するととも
に、肝炎ウイルス検査受検者数及び精密検査の受診率の向上を目指し、検査や治療費助
成データの一元管理により、効果的な医療政策や研究の促進、県内の肝炎コーディネー
ターの養成とスキルアップの継続な取組を行っている。
(運営面)
しろまる 地域総合診療センターによる地域医療への貢献
平成24年4月、佐賀市立富士大和温泉病院内にサテライト診療センターとして「地域
総合診療センター(富士大和)
」を開設し、さらに平成28年4月には国立病院機構嬉野医
療センター内にもセンターを開設することで、総合内科医を目指す後期研修医等の医師
を常駐させ、地域医療に貢献できる医師育成に取り組むとともに、年3回の実務者会議
を通じて実績を検証し、対平成28年度比で入院患者数や外来患者数はどちらも増加する
など、地域医療に貢献している。
しろまる 未来へ向けた胃がん対策推進事業センター
県内の胃がん死亡率を低下させるため、
将来の胃がん発生自体を予防していく取組(一次予防)として、県内全ての中学3年生を対象に、検査から除菌治療、除菌判定検査ま
でを行っている。本事業は佐賀県が全国で初めて全額公費負担で実施し、全国で大きな
注目を集めている。
(3)附属学校に関する目標
佐賀県教育委員会や教職大学院と連携して授業や教育実習の改善に取り組み,その研究
成果や支援教育の方法を教員養成カリキュラムに生かすなど,学部教育にフィードバック
する仕組みを構築している。
教育実習の際、心身への注視が必要な学生に対して、挫折することなく教育実習に取り
組む体制を整備しているほか、質の高い教育実習ができるようカリキュラム上の工夫を行
っている。
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<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 佐賀県と連携した教員研修・授業改善
「佐賀大学教育学部、佐賀大学大学院学校教育学研究科及び佐賀県教育委員会との連
携・協力協議会」を通じて教員養成改革や実践的指導力向上等、地域の教育課題解決や
教員研修、授業改善に関する事業を毎年度実施するとともに、学部の教員養成教育へと
フィードバックする仕組みを構築している。
しろまる 教育実習を行う学生へのケア
心身への注視が必要な学生の増加を受け、附属教育実践総合センターを中心に、スト
レスへの対処や心身のケアが必要な学生でも挫折することなく取り組むことができる環
境を整備している。また、学部1年次から段階的に学校現場に足を運ぶことにより、学
部3年次以降の本格的な教育実習をスムーズに行うことがでるようカリキュラム上の工
夫を行っている。
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II.業務運営・財務内容等の状況
<評価結果の概況> 特 筆
計画以上
の進捗
順 調
おおむね
順調
遅れ
重大な
改善事項
(1)業務運営の改善及び効率化 しろまる
(2)財務内容の改善 しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 しろまる
(4)その他業務運営 しろまる
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善 2教育研究組織の見直し 3事務等の効率化・合理化
【評定】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 中期計画の記載8事項全てが「中期計画を十分に実施している」と認められる
とともに、
下記の状況等を総合的に勘案したことによる。(「戦略性が高く意欲的
な目標・計画」
に認定された計画
(1事項)
についてはプロセスや内容等も評価)
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 業務効率化の取組
事務改善委員会の下に若手から副課長級までの事務系職員18名により構成する全学的
なRPA導入検討プロジェクトチームを立ち上げ、人事システムでの退職者処理作業や外
部資金集計業務等4つの業務にRPAを導入することとし、
年間換算合計で従来の462時間
から90時間へと372時間の減となり、
81%の業務時間削減を達成するとともに、
人工知能
(AI)チャットボットを利用した「AIヘルプデスク」については、受験生向けのみだっ
たものから在学生向けへとサービスを拡大し、1年間で約1万2,000件の質問があり、事
務職員1名の6月分の業務量に相当する省力化を達成するなど、業務の効率化が図られ
ている。
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しろまる IRを活用した戦略的な経営資源の最適化
予算編成の基本方針に基づき、
学長のリーダーシップにより、
戦略的かつ効果的に
「ヒ
ト、モノ、カネ、スペース利用」の資源配分を行えるように佐賀大学版IRデータを活
用している。令和元年度は、学長裁量経費として国の提示額(3億5,739万円)の110%以
上(3億9,313万円以上)の8億2,978万円を確保しており、学長裁量経費には「大学経営
戦略実行経費」
「教育研究環境整備経費」
「評価反映特別経費」、「学長裁量定数経費」を
計上し、このうち「教育研究環境整備経費(うち設備整備関連経費)」(3,500万円)を老
朽化している教育研究設備の整備のための予算として確保するとともに、評価反映特別
経費(事業の評価:3,000万円)を,KPIを付した戦略的プロジェクトを実行するため
の経費として確保している。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加 2経費の抑制 3資産の運用管理の改善
【評定】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 中期計画の記載4事項全てが「中期計画を十分に実施している」と認められる
とともに、
下記の状況等を総合的に勘案したことによる。(「戦略性が高く意欲的
な目標・計画」
に認定された計画
(1事項)
についてはプロセスや内容等も評価)
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 財務構造の持続的発展のための仕組みの構築
平成30年度から各学部や研究センター等については、外部資金等の獲得による収益の
増加及び経費削減を使命とする「プロフィットセンター」とし、事務局、図書館等の全
学共通の部局は、あらゆる角度からの経費削減及びプロフィットセンターの支援を行う
ことを使命とする「コストセンター」として予算部局(予算単位)を変更して整理して
いる。効果的な資源投資を行う「プロフィットセンター」と「コストセンター」に区分
したことによる成果・検証を行うための分析例として、当該区分の平成30年度における
固定費・変動費の発生状況をグラフ化し会議にて提示するなど、費用の発生状況を示す
ことで全教職員各人の財務活動への関与について意識付けを醸成している。
これらの取組により、
コストセンターの令和元年度の一般運営経費は8億4,360万円と
平成30年度の8億6,660万円から約2.6%削減となっている。
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(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実 2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 中期計画の記載2事項全てが「中期計画を上回って実施している」又は「中期
計画を十分に実施している」と認められること等を総合的に勘案したことによ
る。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等 2安全管理と環境 3法令遵守
【評定】中期目標の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 中期計画の記載6事項全てが「中期計画を上回って実施している」又は「中期
計画を十分に実施している」
と認められるとともに、
下記の状況等を総合的に勘
案したことによる。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 多様な財源を活用した整備手法による施設整備に関する事項
有田キャンパスの開設にあたり、旧有田窯業大学校について佐賀県から普通財産、物
品を譲渡するための普通財産譲渡契約及び物品譲渡契約を締結するとともに、佐賀県が
土地及び建物を大学に譲渡後、窯業後継者の人材育成事業等の用途に使用する場合には
土地建物の一部を無償で使用できるように土地建物の使用貸借協定を締結している。こ
れにより、本来であれば多額の予算を必要とする大学の施設設備整備を佐賀県との連携
による寄附により実現している。加えて、本庄キャンパスと有田キャンパス間の移動に
ついては、大学でバスを運行する等、学生の教育環境の整備を行っている。

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