佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科
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5.理工学部・理工学研究科・
工学系研究科
(1)理工学部・理工学研究科・工学系研究科の研究目的と特徴
・・・・・・・・・・ 5-2
(2)「研究の水準」の分析 ・・・・・・・・・・ 5-3
分析項目I 研究活動の状況 ・・・・・・・・ 5-3
分析項目II 研究成果の状況 ・・・・・・・・ 5-10
【参考】データ分析集 指標一覧 ・・・・・・ 5-12
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科
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(1)理工学部・理工学研究科・工学系研究科の研究目的と特徴
1.基本理念
人類の継続的な繁栄を実現するためには、高度科学技術の発展が不可欠である。
大学の使命は、科学技術の健全な発展を通して豊かな社会生活の実現と世界平和に
寄与することである。 佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科は、既存の
枠組みに捉われない理系と工系の学科・専攻からなる教育研究組織を配置し(理工
融合)、自由な発想に基づく原理的な発見を基礎として人類に有効な技術を確立し、
社会の要請に基づく諸問題を解決し(社会に開かれた大学)、広く地域や国際社会
に還元すること(国際性)を目指している。
2.研究目的
(a) 基本方針
理工学部・理工学研究科・工学系研究科では、研究に取り組む基本方針を以下の
ように定める。
1 教員の自由な発想に基づく基礎的・基盤的研究の推進
2 地域・社会の要請に基づく実用研究の推進
3 学部・研究科の資源を活用した独創的プロジェクト研究の推進
(b) 達成しようとする基本的な成果
高度科学技術時代に対応できる先端的な研究に加えて、基礎的・基盤的研究に積
極的に取組、国際的視野にたって質の高い研究成果を生み出すことを達成目標とす
る。得られた研究成果を社会に還元するために、研究成果を評価の高い国内外の学
術雑誌に投稿するとともに国内外の学会で積極的に研究発表を行う。これらのアウ
トプットをもって、
学問の発展に寄与し、
地域社会及び国際社会の発展に貢献する。
(c) 研究組織
佐賀大学理工学部は、上記の基本理念に基づき、1966 年4月に理系学科と工系学
科からなる全国でも数少ない理工融合型学部として設置された。2019 年度から、理
工学部1学科、理工学研究科修士課程1専攻、工学系研究科博士後期課程1専攻に
なり、本学部・研究科と連携して独自の研究活動を展開している研究組織(以下、
各研究センター)がある。
(d) 研究分野
理工学部・理工学研究科・工学系研究科が取り組む研究は、4分野からなる。
I. 基礎科学研究:基礎科学の立場から研究に取り組むとともに、その成果の応
用を試みている。
II. 地域に根ざした研究:佐賀地域の地勢と環境に配慮した研究並びに研究施設
を活用した研究を行っている。
III. 人に優しい情報・生産システムの開発研究:理工学的な視点から人間志向と
環境福祉に関する研究を行っている。
IV. 資源・エネルギーの効率的利活用技術の開発研究:地球環境を維持し、エネ
ルギー資源を確保するための研究を行っている。
3.研究の特徴
理工学部・理工学研究科・工学系研究科は、教員同士の活発な交流が行われ、バ
ックグラウンドの異なる教員が共同研究によって新しい研究分野を立ち上げるな
ど、「理工融合」を活かした多くのプロジェクト研究に基づく研究組織が芽生えて
いる。このように、「理工融合」に基づく柔軟な研究組織が構成できるところに理
工学部・理工学研究科・工学系研究科の特徴がある。この結果、基礎的分野から現
実的な応用分野までの幅広い研究分野への対応を可能としている。
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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(2)「研究の水準」の分析
分析項目I 研究活動の状況
<必須記載項目1 研究の実施体制及び支援・推進体制>
【基本的な記載事項】
・ 教員・研究員等の人数が確認できる資料(別添資料 7505-i1-1)
・ 本務教員の年齢構成が確認できる資料(別添資料 7505-i1-2)
・ 指標番号 11(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 本学部・研究科の研究分野に密接に関係する分野のセンターとして、
共同利用・
共同研究拠点の海洋エネルギー研究センター、佐賀大学学内共同教育研究施設の
総合分析実験センター、総合情報基盤センター、シンクロトロン光応用研究セン
ター、肥前セラミック研究センター、リージョナル・イノベーションセンターを
設置し、これらのセンター教員及び全学教育機構教員も学部・大学院の研究・教
育に参加しており、最先端の装置・技術により教育研究の先進化を進めている。
[1.1]
しろまる 外部研究機関との組織横断的研究チームを構成し、「マレーシアにおける革新
的な海洋温度差発電(OTEC)の開発による低炭素社会のための持続可能なエ
ネルギーシステムの構築」、「セラミックス内部構造評価のための光音響イメー
ジング技術の開発」、「高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル
技術の研究開発事業」、「α型酸化ガリウム高品質自立基板の研究開発」など、
第3期中期目標期間において2件の大型受託事業、1件の大型共同事業、6件の
大型受託研究、1件の大型共同研究を実施している。[1.1]
しろまる リージョナル・イノベーションセンターは、産学・地域連携の窓口となるとと
もに、URA を配置して研究成果の紹介や共同研究に向けた調整などを行う体制と
している。(別添資料 7505-i1-3) [1.1]
しろまる 本学では、佐賀大学プロジェクト研究所(SUPLA)を設置し、理工学部関
連では「グリーンエレクトロニクスプロジェクト」、「在来知歴史学研究プロジ
ェクト」、「ICTまちづくりデザインプロジェクト」として総合的領域の振興
に向けて取り組んでいる。(別添資料 7505-i1-4) [1.1]
◯ 理工学部では、社会の要請をとらえ、理工学部の特色を活かして、人類社会の
発展と福祉に資する先端的研究を育み、あわせて教員相互の有機的なネットワー
クを構築して組織的な研究活動を活性化するとともに、理工学部の戦略的研究を
育成することを目的として理工学部研究会を設置している。2019 年度は、「コミ
ュニティデザイン研究会」、「ものづくり匠研究会」、「膝関節シミュレータ開
発研究会」を理工学部研究会として設立し、県内自治体、企業などとの共同研究
を通して学術コミュニティへ貢献している。(別添資料 7505-i1-5) [1.1]
<必須記載項目2 研究活動に関する施策/研究活動の質の向上>
【基本的な記載事項】
・ 構成員への法令遵守や研究者倫理等に関する施策の状況が確認できる資料
(別添資料 7505-i2-1〜11)
・ 研究活動を検証する組織、検証の方法が確認できる資料
(別添資料 7505-i2-12)
・ 博士の学位授与数(課程博士のみ)(入力データ集)
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 佐賀大学プロジェクト研究所(SUPLA)のひとつとして、「ICTまちづ
くりデザイン・プロジェクト」の体制を学内研究者と構築し、地域資源としての
活用が期待されている歴史的地方都市を、ICTを用いながらまちづくりデザイ
ンしていく研究に取り組んでいる。特に、守(防災)・美(景観)・活(民泊経営)を主たるテーマとして研究に取り組んでいる。
2019 年度は3件の科学研究費、
1件の独立行政法人日本学術振興会(JSPS)外国人特別研究員、2件の民間
助成金を取得し、特に佐賀県鹿島市肥前浜宿を研究モデル地区とする研究を行
い、その成果の実装に向けた実験・モニタリングなどを行っている。また、タイ・
韓国・カザフスタン・オーストリアなどの海外研究者とも共同研究に取り組んで
おり、海外からの共同研究者や学生の受入れ、及び修士・博士学生の研究協力も
得ており、国内学会等での教員受賞3件(国内学会2件、佐賀大学エスタブリッ
シュド・フェロー1件)、学生の学会発表での受賞3件などの成果も上がってい
る。(別添資料 7505-i2-13)[2.1]
しろまる 肥前セラミック研究センターでは、サイエンス・アート・マネジメントの3つ
の視点から佐賀県の特色ある産業のひとつである窯業に関連した研究を連携し
て実施している。特に、セラミックサイエンス研究部門には理工学部・理工学研
究科から8名の教員が参画し、地域に密着した研究を行っている。例えば、
(株)
香蘭社、岩尾磁器工業(株)、(株)匠等の地元企業や佐賀県県窯業技術センタ
ーと共同研究を結んで新しいセラミックス素材の研究開発を進めたり、有田町歴
史民俗資料館等と連携してセラミックスを通した歴史研究を行ったりしている。
また、これらの研究の一部は A-STEP(科学技術振興機構・A-STEP・研究成果最適
展開支援プログラム・試験研究タイプ)にも採択されている。(別添資料 7505-
i2-14)[2.1]
しろまる 海外研究機関と組織横断的に共同研究体制 Asia Europe Design Labs を構築
し、グローバル社会における文化多様性に着目した環アジア国際研究セミナーを
実施している。中期目標期間内に現時点で8件の外部教育支援資金(JASSO)
に採択され、かつ佐賀大学海外研修支援事業や留学生受入支援、学会の間接的支
援を用いて、海外の研究者や学生の派遣・受入を実施している。それらにより、
佐賀大学の学生との国際交流を図りながら、歴史的環境を生かすまちづくりに向
けた建築・都市デザインの共同調査・提案などを行っている。(別添資料 7505-
i21-15)[2.1]
しろまる 佐賀大学構内に本店を構える東証一部上場企業の OPTiM とのクロスアポイント
メントによる人材確保を計画しており、佐賀県が抱える大きな問題である就農人
口の減少に対応する農業の自動化に向けた研究として、農学部との協力の下で、
植物工場における収穫ロボットの研究開発を進めている。
(別添資料 7505-i2-16)
[2.2]
<必須記載項目3 論文・著書・特許・学会発表など>
【基本的な記載事項】
・ 研究活動状況に関する資料(総合理系)(別添資料 7505-i3-1)
・ 指標番号 41〜42(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
2016 年度 2017 年度 2018 年度 2019 年度
専任教員数 175 169 168 165
著書数 日本語 4 1 4 2
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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外国語 3 0 0 2
査 読 付 き 論 文数日本語 39(36) 18(13) 42(28) 19(18)
外国語 294(237) 194(130) 177(88) 219(205)
その他 60 21 21 60
<必須記載項目4 研究資金>
【基本的な記載事項】
・ 指標番号 25〜40、43〜46(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 福祉機器コンテスト 2018 で優秀賞を受賞した研究成果「腰を浮かせる腰痛軽
減装具"フワット"」の実用化に向けてクラウドファンディングを実施した結果、
280 万円の資金を調達し、製品化に向けてベンチャー企業を立ち上げた。(別添
資料 7505-i4-1)[4.0]
しろまる 大型の受託研究として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機
構から「高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発
事業」の受託研究で、38,000 千円の受託研究費、国立研究開発法人科学技術振興
機構 ImPACT 研究開発プログラム:イノベーティブな可視化技術による新成長産
業の創出での「セラミックス内部構造評価のための光音響イメージング技術の開
発」の受託研究で、20,000 千円の受託研究費、国立研究開発法人新エネルギー・
産業技術総合開発機構再生可能エネルギー熱利用技術開発での「再生可能エネル
ギー熱利用技術開発/コストダウンを目的とした地中熱利用技術の開発/地中
熱利用要素技術の開発」の受託研究で、21,600 千円の受託研究費、九州総合通信
局戦略的情報通信研究開発推進事業での「アクティブ光空間通信システムの通信
品質向上に関する研究開発」の受託研究で、19,357 千円の受託研究費、国立研究
開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構エネルギー・環境新技術先導プロ
グラム事業での「エネルギー・環境新技術先導プログラム α型酸化ガリウム高
品質自立基板の研究開発」の受託研究で、17,158 千円の受託研究費、佐賀県との
共同事業である「再生可能エネルギー等イノベーション共創プラットフォーム事
業」において、20,000 千円の受託研究費を獲得している。 [4.0]
しろまる 大型の共同研究費として、鹿島市との共同研究「アンペア級酸化ガリウムパワ
ーデバイスの開発」で、37,800 千円の共同研究費、民間企業との共同研究「肥前
浜駅駅前広場等整備デザイン研究」
及び
「肥前浜駅整備デザイン研究」
で、
18,948
千円の共同研究費を獲得している。[4.0]
しろまる 科研費・新学術領域研究
「ミルフィーユ構造の材料科学 -新強化原理に基づく
次世代構造材料の創製-」
に研究分担者
(代表者:東京大学)
として参画し、
18,000
千円の配分を受けている。(別添資料 7505-i4-2)[4.0]
<選択記載項目A 地域連携による研究活動>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 2018 年度に県が策定した「佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想」の
実現に向け、佐賀県と連携・協力して、オープンイノベーションを基軸に、産学
官連携による再生可能エネルギーを中心としたエネルギー関連分野の研究開発
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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や市場開拓などを進めることで、県内の関連産業創出を加速し地域社会の発展に
寄与することを目的に、佐賀大学と佐賀県の間で「再生可能エネルギー等先進県
実現に向けた協定」を締結した。この協定に基づき、産学官連携の「再生可能エ
ネルギー等イノベーション共創プラットフォーム(CIREn)」を立ち上げ、地域の
エネルギーに関する要望などにワンストップで対応する研究開発体制を構築し
た。現在、9つの研究分科会が設置され、24 社が会員企業として参加している。
2019 年 11 月には設立記念講演会を開催し、トヨタ自動車株式会社相談役の張富
士夫氏にご講演をいただくなど会員企業に対して価値提供に向けた取組を行っ
ている。(別添資料 7505-iA-1)[A.1]
◯ 長崎新幹線のリレー方式開通を 2022 年に見据えて、
2017 年度より嬉野市との共
同研究「嬉野市新幹線新駅開発に付随する地方創生デザイン研究」に取り組んで
いる。地域創生学 III の受講生、大学院修士課程1年・2年の学生が参加し、嬉
野の地域活性化に向けたソフト事業の提案、嬉野新駅周辺整備計画の提案などを
行なった。2019 年8月8日には、嬉野市で研究成果の発表会を行い、地域から約
50 名の参加があり、活発な議論を行った。(別添資料 7505-iA-2)[A.1]
しろまる 佐賀県と佐賀大学は、水素・燃料電池分野を中心としたエネルギー関連分野の
佐賀県内における産業創出に資するために、共同事業として、県内企業を対象と
した遠隔監視研究会を 2015 年から実施しており、
本研究会は、
再生可能エネルギ
ー等イノベーション共創プラットフォームの遠隔監視研究分科会へと繋った。
(別添資料 7505-iA-3)[A.1]
<選択記載項目B 国際的な連携による研究活動>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる ブルゴーニュ大学のESIREM
(材料情報工学グランゼコール)
と 2018 年よ
り交流を開始し、現在までに2年連続して計4名の留学生を受け入れ、のべ3名
の研究者、および3名の大学院学生の派遣を行っている。JSPSから共同申請
を2件、また、ドイツマインツ大学を加えて国立研究開発法人科学技術振興機構
(JST)日独仏共同研究への3国共同申請を行っている。(別添資料 7505-iB-
1)[B.1]
しろまる インドネシアの各大学とインドの大学との交流として、インドネシアのカリマ
ンタン工科大学に関して、
2016 年度〜2018 年度に
「JSTさくらサイエンスプラ
ン」によって、3名の学部生と1名の大学院生を短期留学生として受け入れた。
工学系研究科環境・エネルギー科学グローバル教育プログラム(PPGA)の国
費留学生として、大学院博士前期課程に1名の学生が入学した。2020 年 1 月に学
部間協定を締結した。(別添資料 7505-iB-2) [B.1]
インドネシアのスラバヤ工科大学に関して、
2016 年度〜2018 年度に
「JSTさく
らサイエンスプラン」によって、スラバヤ工科大学から7名の学部生・大学院生
を短期留学生として受け入れた。また、工学系研究科から1名の大学院生がスラ
バヤ工科大学主催の CommTech の研修に参加した。
また、
共同研究の成果として2
件の論文を国際誌に発表することができた。2019 年度には大学間協定を締結し
た。[B.1]
インドのガンジーグラムルーラル大学に関して、
2016 年度〜2018 年度に
「JST
さくらサイエンスプラン」によって、3名の大学院生を短期留学生として受け入
れた。また、共同研究の成果として1件の論文を国際誌に発表した。[B.1]
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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しろまる 中国の北京工業大学建築工程学院との交流として、のべ2名の研究者の受入れ
と、のべ6名の研究者の派遣、のべ3件の講演を行っている。共同研究の成果を
1件の学術論文として発表している。(別添資料 7505-iB-3)[B.1]
しろまる タイのカセサート大学工学部環境工学科と 2013 年度から共同研究「チャオプ
ラヤー川感潮域における水質挙動に関する研究」を実施している。低平地沿岸海
域研究センターと都市工学科主催の Asian Lecture プログラムにカセサート大学
工学部や建築学部などから教員と学生を招いた。
2019 年4月にカセサート大学工
学部長、副学部長(研究担当)、教職員が佐賀大学理工学部を訪問し、今後の共
同研究及び学部生レベルのインターンシップ(佐賀大学理工学部の研究室にて短
期研究)の受入れについて意見交換を行った。[B.1]
しろまる フランスのリール大学から、特別研究学生として1名を3ヶ月間受け入れ、ま
た、佐賀大学から1名の大学院生が「トビタテ」制度を活用して、リール大学に
3ヶ月派遣された。また、8報の論文を共同執筆した。さらに国際会議で共著1
件の口頭発表を行った。[B.1]
しろまる ドイツのドレスデン工科大学との交流として、5名の留学生の受入れ、4名の
留学生の派遣、のべ2名の研究者の受け入れ、のべ3名の研究者の派遣、のべ5
件の講演を行っている。また、共同研究の成果を2件の学術論文として発表して
いる。[B.1]
しろまる インドネシアのガジャマダ大学数理及び自然科学部との交流として、2名を国
費留学生(修士課程)として受け入れている。また、のべ3名の研究者の受入れ、
のべ4名の研究者の派遣、のべ9件の講演を行っている。また、共同研究の成果
を6件の学術論文として発表している。独立行政法人国際協力機構(JICA)
プログラムを共同申請している。[B.1]
<選択記載項目C 研究成果の発信/研究資料等の共同利用>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 本学における理工学研究の成果を網羅して紹介するために、広報誌 ScienTech
及び理工学集報を発行している。(別添資料 7505-iC-1)[C.1]
しろまる 「教員活動データーベース」として、各教員の研究活動を分かりやすく本学の
ホームページで公開し、研究成果の発信を行っている。(別添資料 7505-iC-2)
[C.1]
しろまる 産学・地域連携に関する窓口としてリージョナル・イノベーションセンターを
設置し、URAを配置することで、研究成果・研究資料など共同利用を推進して
いる。(別添資料 7505-i1-3)(再掲) [C.1]
<選択記載項目D 総合的領域の振興>
【基本的な記載事項】
(特になし)
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 佐賀大学プロジェクト研究所「在来知歴史学研究プロジェクト」は、日本と中
国等近隣諸国の科学技術と経済社会の発展に在来知が果たしてきた役割を解明
し、持続可能な 21 世紀の社会への展望を開くことを目的として研究会を組織し、
これまで続けてきた国際シンポジウムを継続して実施するとともに、研究成果の
出版や学会運営等の活動の拠点とするものである。第3期中期計画期間は、日本
と中国においてそれぞれ隔年で国際シンポジウムを計4回開催し、国内外から毎
回 100 名を超える参加者があり、活発な議論が交わされた。また毎年9回程度の
国内研究会を開催し、さまざまな分野の研究者による在来知歴史学の学際的研究
の情報交換・意見交換がなされた。(別添資料 7505-iD-1)[D.1]
しろまる 佐賀大学プロジェクト研究所
「ICTまちづくりデザインプロジェクト」
では、
「ICT活用型の歴史的環境の有機的まちづくりに関する研究」をテーマに研究
を進めている。2016 年度以降の成果としては、外部資金が科研費3件、民間助成
2件を得ている。著書1件(共著)、査読付き学術論文 13 件、国際会議論文 30
件、学会発表 14 件がある。その他、地域での研究報告を行いながら、実装に向け
た取組を行っている。(別添資料 7505-iD-2)[D.1]
◯ 2019 年度より「佐賀大学スマート化プロジェクト」が立ち上がり、理工学部内
のみならず、農学部、医学部と連携した研究が始まっており、主に地域貢献を重
視した研究開発プロジェクトを推進している。佐賀地域の注目分野を農水産業、
造業、療健康福祉と考え,これらをスマート化(AI,IoT,自律化)により
活性化する。ここで、スマート化とは、センサ、ネットワーク、AI、可視化な
どの高度な情報処理技術により、新しい価値を生み出すことを指すが、このよう
な狭義のスマート化だけに拘らず、域の現場で真に必要とされる研究開発にも積
極的に取り組んでいる。(別添資料 7505-iD-3)[D.1]
しろまる 2019 年度理工学研究科修士課程の改組前の工学系研究科先端融合工学専攻で
は、少子高齢化が進展する社会において、その持続的発展を実現するため、人々
の健康と福祉の増進に貢献することを目指し、既存の機械工学,電気電子工学,
化学の境界領域にあって三者を有機的につなぐ融合学問分野である医工学及び
機能材料工学の教育・研究を推進してきた。先端融合工学専攻での教育・研究内
容は、2019 年度に設置された先進健康科学研究科に引き継がれた。(別添資料
7505-iD-4)[D.1]
しろまる 佐賀大学プロジェクト研究所
「グリーンエレクトロニクスプロジェクト」
では、
3件のNEDOプロジェクトから支援を受け、現在より格段に高効率で大電力の
制御が可能になるダイヤモンド半導体と酸化ガリウム半導体の研究を推進した。
ダイヤモンド半導体では、素子構造を新しくしたことにより電流値、電圧値とも
に上昇し、58.8W/mm と窒化物半導体素子の約 1.5 倍の電力値が得られた。また酸
化ガリウムでは、エミッション顕微鏡という新しい原理の、動作中の素子を観測
する顕微鏡を製作し、それによって、実用化の問題となっている漏れ電流の経路
を特定する成果をあげた。(別添資料 7505-iD-5)[D.1]
<選択記載項目E 学術コミュニティへの貢献>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 本学部の教員が中心となり、1993 年 11 月に産学官連携の「低平地研究会」を
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究活動の状況
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設置し、セミナーやシンポジウムなどを継続的に実施している。本学部・研究科
の教員が運営委員長や幹事長を務め、運営の中心的な役割を果たすことで学術コ
ミュニティへ貢献している。毎年4月に総会を行って特別講演会も実施してい
る。2019 年度は、川村嘉応氏(佐賀大学農学部 特任教授)により「有明海にお
ける水環境とノリ生産の現状」の講演がなされ、外部からも多くの聴講者が参加
した(約 70 名)。また、基盤整備、都市空間、環境、地域創生、歴史・文化の5
つの専門部会を設けて、各々でセミナーやシンポジウム、見学会を実施している
他、冊子を発行して地域への知の還元に精力的に取り組んでいる。(別添資料
7505-iE-1)[E.1]
◯ 本学では、理工学部と総合情報基盤センターの教員が中心となり、2000 年より
認証情報の統合を進めてきた。その成果に基づき、2007 年より「統合認証シンポ
ジウム」を毎年度開催し、全国の大学及び民間企業から、毎年 80 名程度の参加者
を得てきた(2019 年度は延期)。第3期中期目標・中期計画期間では、多要素認
証技術を中心とした話題を扱い、認証技術に関する情報共有を進めてきた。(別
添資料 7505-iE-2)[E.1]
◯ 理工学部研究会「コミュニティデザイン研究会」では、2019 年度に3つの講演
会と1つの国際ワークショップに取り組んだ。講演会では、2019 年8月に「集ま
って住むかたち」(参加者 49 名)、2019 年 12 月に建築談叢さが「シェアする住
まいのデザイン– フィールドワークと実作から -」(講師:篠原聡子)(参加者
72 名)、2020 年1月には第 19 回コミュニティデザインカフェ(講師:山梨知彦、
三坂育正)(参加者 70 名)を行った。また、国際ワークショップは、修士1年生
の学生をタイ・バンコクに派遣し、タマサート大学(タイ)及びパラサットラ大
学(カンボジア)の学生・教員とともに、バンコク市内の歴史的空間の再生デザ
インに取組、その成果を発表するなど、国際交流を行った。(別添資料 7505-iE-
3)[E.1]
◯ 理工学部研究会「ものづくり匠研究会」は、理工学部機械工学部門の強み及び
実績を基に、実習工場を拠点に機械工学部門の関連教員と理工学部技術部機械部
門の職員が連携して、「ものづくり」の分野で「地域への貢献」「共同研究の推
進」及び、その役割を担う組織の構築・強化を図っている。2019 年度は1回セミ
ナーを開催し、16 名の参加があり、技術相談を1件受けるなどの活動を行った。
(別添資料 7505-iE-4)[E.1]
◯ 理工学部研究会「膝関節シミュレータ開発研究会」は、高齢者の多くが膝関節
を動かすときに伴う痛みや、膝関節が腫れて通常の動きが難しくなる変形性膝関
節症(OA)の診断を簡便化するために、AE(Acoustic Emission)技術を用い
て新たな炎症診断装置の開発を目的として設立した。本会では、1年間の共同研
究を通じて、膝関節の簡易シミュレータを設計製作し、膝関節の軟骨損傷関連予
備実験を実施した。実験は病院の患者さんやボランティアの方々など 60 名以上
に対して実施した。データの解析を通じて変形性膝関節症が初期段階で診断でき
るような新たな診断方法を明らかにし、シミュレータの精度向上に役立てようと
している。(別添資料 7505-iE-5)[E.1]
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究成果の状況
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分析項目II 研究成果の状況
<必須記載項目1 研究業績>
【基本的な記載事項】
・ 研究業績説明書
(当該学部・研究科等の目的に沿った研究業績の選定の判断基準)
理工学部・理工学研究科・工学系研究科は、先端的な研究に加え、基礎的・基盤
的研究に積極的に取り組み、国際的視野から質の高い研究成果を生み出すとともに、
地域活性化の中核的拠点として研究を通じて地域の課題を解決する目的を有してお
り、
「理工融合」に基づいた研究組織という特色がある。したがって、評価の高い学
術雑誌に投稿することで学問の発展に寄与し、国際社会や地域に貢献するという点
が最も重要と考えている。
学術的意義の視点では、
国際的通用性を重視し、
論文の被
引用数の分野別パーセンタイルおよび掲載されたジャーナルのグレードを重要な判
断材料とするとともに、当該分野の権威ある賞の受賞などを判断材料として、イン
パクトの高い業績を選定した。また、社会・経済・文化的意義の観点では、研究成果
の地域への貢献と社会実装を重視し、特許取得・標準化・製品化・調査研究などに顕
著な貢献のあったものを選定した。
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
◯ 市街地の集約化の限界と都市計画制度の設定の在り方の研究において、人口減
少社会における都市の撤退や集約の在り方を、特に災害危険性の高い低平地都市
を対象として、交通網及び都市計画制度の視点から明らかにした。(別添資料
7505-ii1-1)[1.0]
◯ ベンチャーによる研究成果の社会実装において、
認定
「佐賀大学発ベンチャー」
第1号をはじめ、佐賀大学の研究成果を社会実装する会社を3社起業した。3社
とも、佐賀大学が所有する特許技術を利用し、代表者はいずれも学生である。日
本最大級のビジネスプランコンテストにおける最優秀賞受賞や、佐賀県最大級の
助成金を複数獲得している。(別添資料 7505-ii1-2)[1.0]
◯ 生体において酸素はエネルギー産生に必須であるだけではなく、細胞死の制御
に関わる、生体の生と死を決める重要な分子であり、それゆえ、酸素は各種の病
態形成に深く関わっている。生体・臓器・細胞における酸素測定と病態解明への
応用において、新規の in vivo/in vitro 酸素測定法の開発を通じて、酸素分子と
生体の関わりを探求した研究を実施している。(別添資料 7505-ii1-3)[1.0]
◯ これまでにあまり活用されてこなかった空間パラメータを活用した新しい通信
方式を実現するアクティブアンテナである、偏波切替え機能付きアクティブアン
テナに関する研究を行っている。これは、発振器と偏波切替用の変調器を一体集
積化したものである。(別添資料 7505-ii1-4)[1.0]
◯ 放射光とレーザーを組み合わせたビスマスナノ構造の研究において、構造や層
数に依存して特異な電子状態を示すビスマス原子層及び表面超構造について、放
射光とレーザーを組み合わせた光電子分光により実験的に明らかにした。(別添
資料 7505-ii1-5)[1.0]
◯ 構造物点検におけるカメラ・画像操作のみによるマルチコプター操縦システム
の開発において、橋梁下点検をマルチコプターに搭載したカメラによる映像を用
いて行う際に、マルチコプターを自律飛行制御する手法を開発した。(別添資料
7505-ii1-6)[1.0]
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科 研究成果の状況
- 5-11 -
◯ 軽量な認証・署名方式の開発において、IoT機器での利用を目的として、軽
量な認証・署名方式を開発した。開発した方式は、低密度パリティ検査符号を応
用し、符号ベースの認証・署名方式によって計算量を削減している。また、Io
T機器の一対多接続の環境において、認証相手に秘密情報を漏えいさせない対策
として、ゼロ知識証明型認証方式を実現している。
(別添資料 7505-ii1-7)[1.0]
佐賀大学理工学部・理工学研究科・工学系研究科
- 5-12 -
【参考】データ分析集 指標一覧
区分
指標
番号
データ・指標 指標の計算式25本務教員あたりの科研費申請件数
(新規)
申請件数(新規)/本務教員数
26 本務教員あたりの科研費採択内定件数
内定件数(新規)/本務教員数
内定件数(新規・継続)/本務教員数
27 科研費採択内定率(新規) 内定件数(新規)/申請件数(新規)
28 本務教員あたりの科研費内定金額
内定金額/本務教員数
内定金額(間接経費含む)/本務教員数
29 本務教員あたりの競争的資金採択件数 競争的資金採択件数/本務教員数
30 本務教員あたりの競争的資金受入金額 競争的資金受入金額/本務教員数
31 本務教員あたりの共同研究受入件数 共同研究受入件数/本務教員数32本務教員あたりの共同研究受入件数
(国内・外国企業からのみ)
共同研究受入件数(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
33 本務教員あたりの共同研究受入金額 共同研究受入金額/本務教員数34本務教員あたりの共同研究受入金額
(国内・外国企業からのみ)
共同研究受入金額(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
35 本務教員あたりの受託研究受入件数 受託研究受入件数/本務教員数36本務教員あたりの受託研究受入件数
(国内・外国企業からのみ)
受託研究受入件数(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
37 本務教員あたりの受託研究受入金額 受託研究受入金額/本務教員数38本務教員あたりの受託研究受入金額
(国内・外国企業からのみ)
受託研究受入金額(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
39 本務教員あたりの寄附金受入件数 寄附金受入件数/本務教員数
40 本務教員あたりの寄附金受入金額 寄附金受入金額/本務教員数
41 本務教員あたりの特許出願数 特許出願数/本務教員数
42 本務教員あたりの特許取得数 特許取得数/本務教員数
43 本務教員あたりのライセンス契約数 ライセンス契約数/本務教員数
44 本務教員あたりのライセンス収入額 ライセンス収入額/本務教員数
45 本務教員あたりの外部研究資金の金額
(科研費の内定金額(間接経費含む)+共同研
究受入金額+受託研究受入金額+寄附金受入
金額)の合計/本務教員数
46 本務教員あたりの民間研究資金の金額
(共同研究受入金額(国内・外国企業からのみ)
+受託研究受入金額(国内・外国企業からのみ)
+寄附金受入金額)の合計/本務教員数
6.その他外部
資金・特許
データ
5.競争的外部
資金データ

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