佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科
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2.芸術地域デザイン学部・
地域デザイン研究科
(1)芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科の研究目的と
特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2-2
(2)「研究の水準」の分析 ・・・・・・・・・・・ 2-3
分析項目I 研究活動の状況 ・・・・・・・・ 2-3
分析項目II 研究成果の状況 ・・・・・・・・ 2-8
【参考】データ分析集 指標一覧 ・・・・・・ 2-9
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究成果の状況
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(1) 芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科の研究目的と特徴
本学部・研究科は 2016 年4月に新規設置された。芸術系の新設学部・研究科が設置
できた背景には、前身の教育学部から数えると半世紀以上にも及ぶ文化教育学部の美
術・工芸課程の人材養成と地域貢献の実績があった。
設置に際し、総合大学の持つ人的リソースを生かしつつ(文化教育学部、経済学部、
理工学部から教員を配置換え)、本学部・研究科の特徴にあった領域分野の教員を新
たに採用・配置したことで、領域横断的・学際的な特徴を持った学部となっている。
研究目的
・「芸術を基盤とした地方創生」として、佐賀県及びその周辺の産業振興、地域振興
のため、有田焼をはじめとする伝統工芸、伝統産業のリノベーション、ブランド力
向上などに大学の知的資源を投入し地域貢献を実践することであり、また、伝統産
業に限らず、地域の文化的・歴史的資源の保存・活用への協力(例えばデジタル表
現技術の利活用)により地方創生を芸術の面から担うことである。
・「芸術-科学-マネジメント」が融合した学際的研究を目的とする。
特徴
・本学部は、佐賀・地域の特色を生かした多角的な研究(芸術表現、セラミック工学、
都市工学、経済学・経営学、歴史学・考古学、異文化コミュニケーションなど)が
特徴である。また本研究科は、芸術系と人文・社会科学系(経済・経営、国際文化、
地域生活文化)の連結による高度な学術研究が特徴である。
・芸術と科学の融合による「やきものイノベーション」の創出
有田セラミック分野では、
2017 年度に開設された肥前セラミック研究センターと
連携し陶磁器産業における伝統的技術・工芸とファインセラミックスの先進技術要
素を組み合わせた新しい素材・製造方法の開発、新しいやきもの表現活動、新時代
に合ったプロダクトデザイン等の研究開発を行う。
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究活動の状況
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(2)「研究の水準」の分析
分析項目I 研究活動の状況
<必須記載項目1 研究の実施体制及び支援・推進体制>
【基本的な記載事項】
・ 教員・研究員等の人数が確認できる資料(別添資料 7502-i1-1)
・ 本務教員の年齢構成が確認できる資料(別添資料 7502-i1-2)
・ 指標番号 11(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 地域コンテンツデザイン分野、フィールドデザイン分野、キュレーション分野の
研究活動は地域の文化資源から地域の魅力を発掘し地域への還元を念頭に基盤的
環境の整備、機能強化を進めている。[1.1]
しろまる 有田キャンパスにおいて、2017年度に開設した肥前セラミック研究センターと連
携し、有田セラミック分野におけるものづくりの開発、及び、有田・佐賀地域社
会・産業界との連携共同研究の推進等を行っている。その成果については、毎年
、佐賀県、有田町、有田の窯業関係団体による地域連絡会で実績報告や研究成果
発表会を実施している。[1.1]
しろまる 同じく有田キャンパスにおいて、窯業の地域文化を基盤としたセラミック産業で
の国際的学術拠点を、自治体等との協働により整備する構想も視野に入れた機能
強化を進めており、佐賀県窯業技術センター・佐賀県立九州陶磁文化館・佐賀県
立有田窯業大学校(2017年度に本学と統合)・芸術地域デザイン学部・肥前セラ
ミック研究センターの5者で連携協定を締結し、連絡会議を開催している。[1.1]
しろまる 学部に各コースから2名計4名の委員による研究推進委員会を設け、研究支援、
研究論文の編集・発行等を行う体制を整えている。また、学部長を委員長とする
評価委員会を中心に、研究活動の検証等を行っている。[1.1]
<必須記載項目2 研究活動に関する施策/研究活動の質の向上>
【基本的な記載事項】
・ 構成員への法令遵守や研究者倫理等に関する施策の状況が確認できる資料
(別添資料 7502-i2-1〜3)
・ 研究活動を検証する組織、検証の方法が確認できる資料
(別添資料 7502-i2-4〜7)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 全学的な科学研究費助成事業申請と採択率向上の取組に応じ、外部講師を招聘し
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究成果の状況
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レクチャーや個別の申請内容に関し面談を行うほか教員間で申請前に相互査読を
実施するなどして、採択率を着実に伸ばしてきた。
(新規採択率 2017 年0%、2018
年 8.0%、2019 年 16.7%)[2.1]
しろまる 2017 年度から芸術学系「若手・女性研究者等支援事業」を設け、年度総額 50 万
円で5件程度の研究課題に対し1件5万円〜10 万円の研究費のインセンティブを
付与し研究支援を行っている。若手や女性研究者が継続して取り組む研究や特色の
ある研究に対して支援を行っており、少しずつではあるが地域の活性化に貢献でき
る研究が進んでいる。2017 年度5件、2018 年度5件、2019 年度7件[2.2]
しろまる 研究推進委員会では、
研究成果発信として 2017 年度から毎年度、
学部研究論文集
を刊行し、附属図書館との連携による大学リポジトリ登録を行った。(別添資料
7502-i2-8) [2.1]
<必須記載項目3 論文・著書・特許・学会発表など>
【基本的な記載事項】
・ 研究活動状況に関する資料(総合文系)
(別添資料 7502-i3-1)
・ 指標番号 41、42(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 特になし
<必須記載項目4 研究資金>
【基本的な記載事項】
・ 指標番号 25〜40、43〜46(データ分析集) (注記)補助資料あり
(別添資料 7502-i4-1〜7)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 2017 年度に「大学を活用した文化芸術推進事業」に採択され、3年間総額 39,847
千円(2017 年度 14,142 千円、2018 年度 10,705 千円、2019 年度 15,000 千円)の文
化芸術振興補助金(SMMART)を獲得した。当事業は、地域の人を対象にセミ
ナーによる学びの場の提供や実践的な活動を展開するもので、
アーティスト・イン・
レジデンス事業のマネジメント実践や展覧会開催に携わったり、地域の情報を収
集・発信する実践力を身に付けるために、受講生自ら取材を行い当事業の文化芸術
情報広報誌「ぽたりニュース」を発行するなどして、地域の特色ある文化芸術に関
する情報やアートを通じて人々が交流する「アートカフェ」の実現に向けたアート
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究活動の状況
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マネジメント人材の育成とネットワークづくりに貢献した。
<選択記載項目A 地域連携による研究活動>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 有田セラミック分野は、有田キャンパスにおいて本学肥前セラミック研究センタ
ーと連携し、陶磁器の共同研究強化のため佐賀県窯業技術センター等から客員研究
員4名を招聘するとともに、
地元の研究機関、
企業等 17 者との共同研究体制を構築
し、セラミック産業での地域の教育研究拠点として活動を推進している。さらに毎
年、研究成果発表会を行っている。[A.1]
〇 美術・工芸分野の彫塑領域では、明治維新 150 年を記念して佐賀県が主催をした
「肥前さが幕末維新博覧会」において、佐賀が生んだ賢人たちの認知度を高め、後
世に伝えるという目的を達成するために、像高4m20cm の鍋島直正公銅像、大隈重
信、江藤新平などの佐賀十賢人の等身大像、北海道開拓の父である島義勇像(2
m50cm)など大小 12 体の人物像を短期間で制作するため工法を研究・制作し、通常
工法では作れない巨大な銅像を分割形式で作る方法や、短期間で作る工法を開発、
制作して街中に建立し、全ての銅像を佐賀市に永久設置した。これにより佐賀十賢
人の知名度上昇や博覧会の効果に貢献した。[A.1]
〇 本学と佐賀市及び県内IT企業4社でつくる
「次世代コンテンツ開発共同企業体」
によるコンテンツ開発と実践教育を行う拠点
「redeco(リデコ)」
を 2019 年度から始
動し、「MR等リッチメディアを活かしたコンテンツ開発と教育プログラム」の共
同研究を実施している。MR(複合現実)をはじめとする最先端技術の研究開発及
び学生参加によるコンテンツ開発の実践教育での人材育成を行い、佐賀県で最先端
技術に対する研究開発や実践教育・人材雇用を活発化させる。[A.1]
〇 キュレーション分野では、地元の洋画家青木繁の代表作「海の幸」を模した緞帳
の修復を 2017 年 12 月から手掛け、
2019 年 3 月に本学美術館で公開修復展を開催し
た。やまた、2017 年 10 月から佐賀の伝統工芸品「佐賀錦」の人間国宝古賀フミの
資料の研究と保存を行っている。[A.1]
<選択記載項目B 国際的な連携による研究活動>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 キュレーション分野では、JICA大エジプト博物館保存修復センターと東京芸
術大学の共同研究の一端でツタンカーメン衣装の保存修復の研究を行っており、
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究成果の状況
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2019 年9月のICOM(アイコム)京都大会の関連イベント「ファラオの至宝をま
もる 2019」でその成果を公表した。
またアルメニア歴史博物館とアルメニア正教総本山エチミアジン大聖堂付属博
物館にて祭礼染織品、
考古資料を対象に調査研究と保存修復の共同研究を行うとと
もにアルメニア人修復家へ技術支援を行っている。[B.1]
〇 有田セラミック分野では、韓国窯業技術院と陶磁器に関する研究協力の基本合
意を結び、韓国国民大学校との研究者交流を推進している。[B.2]
<選択記載項目C 研究成果の発信/研究資料等の共同利用>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 本学は、全国的にも珍しい国立大学の美術館を有しており、本学美術館を活用し
教員が制作した絵画、彫刻、やきもの等の成果発表を実施している。開催回数数は
2016 年度3件、2017 年度5件、2018 年度8件、2019 年度 10 件である。 [C.1]
〇 教員等の研究活動成果として 2017 年度に『佐賀大学芸術地域デザイン学部研究
論文集』第1号を刊行し、2018、2019 年度も同研究論文集第2、3号を刊行した。
さらに佐賀大学図書館にリポジトリ登録で公開している。[C.1]
〇 教育研究、地域連携、イベントなどの取組に関してメディアで報道された件数は
2016 年度 88 件、
2017 年度 106 件、
2018 年度 139 件、
2019 年度 170 件である。
[C.1]
<選択記載項目D 総合的領域の振興>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 教育研究領域として、地域デザインコースにおいては、地域の活性化に貢献す
る総合研究に取り組んでおり、地域の課題や地域の魅力を見つけ、その資源・遺
産・景観等を評価しコンテンツを映像や情報メディアなどを用いてデザイン化す
る研究や資源等保存の研究、また、地域創生の観点から地域をマネジメントする
研究を実施している。 [D.1]
・県内IT企業4社でつくる「次世代コンテンツ開発共同企業体」と佐賀市及
び本学部の官民学によるコンテンツ研究開発
・自治体の名所映像作品アーカイブや遺跡の保存研究
・佐賀駅前再開発構想の研究
・肥前さが幕末維新博覧会での銅像設置
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科 研究活動の状況
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<選択記載項目E 学術コミュニティへの貢献>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 国際機関ユネスコが設立したイクロム(国際文化財保存修復センター)の夏期
セミナーを 2019 年9月に有田キャンパスで開催した。イクロム本部があるイタ
リア・ローマ以外での開催は本学が初めてであり、陶都 400 年の歴史がある有田
町で開催した。世界 16 か国 16 名の文化財の保護に携わる専門家が参加し、文化
遺産保存スキルの更なる育成強化と国際的ネットワークの構築に取組、研究者の
国際交流に結び付けた。また、有田町の窯元や佐賀県立九州陶磁文化館のフィー
ルドワーク及び地元の人と郷土料理を作るなどの交流を通してコミュニティと
の関わりも持った。 [E.1]
写真 イクロム夏期セミナー参加者と有田町関係者との交流
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分析項目II 研究成果の状況
<必須記載項目1 研究業績>
【基本的な記載事項】
・ 研究業績説明書
(当該学部・研究科等の目的に沿った研究業績の選定の判断基準)
本学部及び本研究科では、研究成果を地域や社会に還元することを目指している。ま
た、学部、研究科ともに、人文系、社会科学系、芸術表現系、そして自然科学系の多様
な研究分野を専門とする教員から構成され、学際的な教育・研究を行っている。以上の
ことから、1.地域や社会へ与える影響の大きさ(社会、経済、文化的意義の有無)、
そして、2.学部・研究科の特色を表す、異分野・異領域からの優れた研究の選定(学
術的意義の有無)の2つを評価・選定基準とする。そして、1の評価指標をメディアへ
の露出度、メディアの情報から判断される地域や社会の反応、展覧会・イベント等の来
場者数などに置く。一方、2の評価指標としては、論文の場合は、掲載雑誌の引用統計、
査読の有無等に置く。また、作品の場合は、展覧会・コンペティション自体の評価(国
際展か国内展か、応募点数等)と、作品・研究自体の評価(各種レビュー、表現技法上
のオリジナリティーの有無)に置く。
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
〇 本学は、全国的にも珍しい国立大学の美術館を有している。本学部では、この美
術館を活用し、美術・工芸分野をはじめとする教員の研究活動成果を展覧会の企画
などで、県民をはじめとする地域の方々の観覧に供しており、地域の文化・芸術の
発展に貢献している。[1.0]
しろまる 日本の磁器発祥の地で 400 年の歴史がある有田に、有田キャンパスがあり、本学
部はセラミック分野をはじめ肥前セラミック研究センターと連携し、「やきもの」
の表現技術や素材の研究、開発及び流通・マーケティング等の研究を行っている。
また、佐賀県窯業技術センター等の地元の研究機関、企業等との共同研究体制を構
築し、セラミック産業での地域の教育研究拠点として活動を推進している。[1.0]
佐賀大学芸術地域デザイン学部・地域デザイン研究科
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【参考】データ分析集 指標一覧
区分
指標
番号
データ・指標 指標の計算式
2.教職員データ 11 本務教員あたりの研究員数 研究員数/本務教員数25本務教員あたりの科研費申請件数
(新規)
申請件数(新規)/本務教員数
26 本務教員あたりの科研費採択内定件数
内定件数(新規)/本務教員数
内定件数(新規・継続)/本務教員数
27 科研費採択内定率(新規) 内定件数(新規)/申請件数(新規)
28 本務教員あたりの科研費内定金額
内定金額/本務教員数
内定金額(間接経費含む)/本務教員数
29 本務教員あたりの競争的資金採択件数 競争的資金採択件数/本務教員数
30 本務教員あたりの競争的資金受入金額 競争的資金受入金額/本務教員数
31 本務教員あたりの共同研究受入件数 共同研究受入件数/本務教員数32本務教員あたりの共同研究受入件数
(国内・外国企業からのみ)
共同研究受入件数(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
33 本務教員あたりの共同研究受入金額 共同研究受入金額/本務教員数34本務教員あたりの共同研究受入金額
(国内・外国企業からのみ)
共同研究受入金額(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
35 本務教員あたりの受託研究受入件数 受託研究受入件数/本務教員数36本務教員あたりの受託研究受入件数
(国内・外国企業からのみ)
受託研究受入件数(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
37 本務教員あたりの受託研究受入金額 受託研究受入金額/本務教員数38本務教員あたりの受託研究受入金額
(国内・外国企業からのみ)
受託研究受入金額(国内・外国企業からのみ)/
本務教員数
39 本務教員あたりの寄附金受入件数 寄附金受入件数/本務教員数
40 本務教員あたりの寄附金受入金額 寄附金受入金額/本務教員数
41 本務教員あたりの特許出願数 特許出願数/本務教員数
42 本務教員あたりの特許取得数 特許取得数/本務教員数
43 本務教員あたりのライセンス契約数 ライセンス契約数/本務教員数
44 本務教員あたりのライセンス収入額 ライセンス収入額/本務教員数
45 本務教員あたりの外部研究資金の金額
(科研費の内定金額(間接経費含む)+共同研
究受入金額+受託研究受入金額+寄附金受入
金額)の合計/本務教員数
46 本務教員あたりの民間研究資金の金額
(共同研究受入金額(国内・外国企業からのみ)
+受託研究受入金額(国内・外国企業からのみ)
+寄附金受入金額)の合計/本務教員数
6.その他外部
資金・特許
データ
5.競争的外部
資金データ

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