佐賀大学医学部
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6.医学部
(1)医学部の教育目的と特徴 ・・・・・・・・・・・ 6-2
(2)「教育の水準」の分析 ・・・・・・・・・・ 6-3
分析項目I 教育活動の状況 ・・・・・・・・ 6-3
分析項目II 教育成果の状況 ・・・・・・・・ 6-15
【参考】データ分析集 指標一覧 ・・・・・・ 6-21
佐賀大学医学部
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(1)医学部の教育目的と特徴
本学医学部の使命は、「医及び看護の実践とその科学的創造形成の過程を通じて医学及
び看護学の知識技術並びに医師又は看護職者たるにふさわしい態度を習得し、かつ、これ
らを生涯にわたって創造発展させることのできる人材を養成することを目的とし、もって
医学及び看護学の水準及び地域医療の向上に寄与する。」ことである。
この使命を果たすことのできる人材を育成するための教育方針をより具体化するため
に、教育目的や教育目標を以下のように定めている。
【医学教育の目的】
医の実践において、
強い生命倫理観に基づくとともに、
広い社会的視野の下に包括的に問
題をとらえ、その解決を科学的・創造的に行うような医師を育成する。
【医学科における卒業時学修成果】
1.プロフェッショナリズム
2.医学的知識
3.安全で最適な医療の実践
4.コミュニケーションと協働
5.国際的な視野に基づく地域医療への貢献
6.科学的な探究心
【看護学教育の目的】
高い倫理観に基づき健康についての問題を包括的にとらえ、柔軟に解決する実践能力を
持った看護職者を育成する。
【看護学科における教育目標】
1.看護職者にふさわしい豊かな感性を備え、ひとを尊重する態度を身につける。
2.的確な看護実践ができるように看護の知識と技術を修得する。
3.看護の多様な問題に対処できるように、自ら考え解決する習慣を身につける。
4.社会に対する幅広い視野をもち、地域における保健医療福祉の活動に貢献できる基
本的能力を養う。
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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(2)「教育の水準」の分析
分析項目I 教育活動の状況
<必須記載項目1 学位授与方針>
【基本的な記載事項】
・ 公表された学位授与方針 (別添資料 7506-i1-1)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
(特になし)
<必須記載項目2 教育課程方針>
【基本的な記載事項】
・ 公表された教育課程方針 (別添資料 7506-i1-1)(再掲)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
(特になし)
<必須記載項目3 教育課程の編成、授業科目の内容>
【基本的な記載事項】
・ 体系性が確認できる資料 (別添資料 7506-i3-1〜3)
・ 自己点検・評価において体系性や水準に関する検証状況が確認できる資料
(別添資料 7506-i3-4)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 医学科では、医学部の使命に基づいて「卒業時学修成果(アウトカム)」を 2017 年に
策定し、教育課程との関連及び修得度段階を示した「修得過程表(ロードマップ)」(別添資料 7506-i3-5) を作成している。[3.1]
しろまる 毎年実施している医学部及び医学系研究科自己点検・評価において、「佐賀大学学士
力」と科目区分との対応表を作成、整合性を確認している。また、シラバスには科目ご
とに対応している学士力をそれぞれ明記している。(別添資料 7506-i3-6)[3.1]
しろまる 学生が受講する授業科目について、その学問分野と水準を容易に確認して主体的に学
ぶことを支援するとともに、教育組織による学問分野と水準に基づいた教育カリキュラ
ムの体系性や順次制の検証・改善に資するため、2016 年度からコースナンバリング制度
を導入し、全学的見地から教育課程の体系性と水準を点検している。[3.1]
しろまる 医学部ではひとつの科目を複数の教員で担当することが多いため、シラバス作成の際
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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に担当教員同士でその内容を点検する、相互チェックを行っている。また、評価方法や
基準が明記されているかなど、事務職員も点検を行っている。シラバスの点検結果はシ
ラバス点検報告としてまとめ、全学の教育委員会に報告している。[3.1]
しろまる 全学的な取組として行っている教育質保証の一環として医学部においても、学科ごと
に教育コーディネーターを置き、教育内容を確認するPDCAサイクルや規程等の体制を
2019 年度に整備し、各会議の役割が明確になった。(別添資料 7506-i3-7)[3.1]
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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<必須記載項目4 授業形態、学習指導法>
【基本的な記載事項】
・ 1年間の授業を行う期間が確認できる資料(別添資料 7506-i4-1〜4)
・ シラバスの全件、全項目が確認できる資料、学生便覧等関係資料
(別添資料 7506-i4-5〜15)
・ 協定等に基づく留学期間別日本人留学生数(別添資料 7506-i4-16)
・ インターンシップの実施状況が確認できる資料(別添資料 7506-i4-17)
・ 指標番号5、9〜10(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 医学科教育課程の特徴は、学問領域別に行う基礎医学の土台の上に、臓器・系統別に
再編成した臨床医学をPBL(Problem-based Learning: 問題基盤型学習)で行うこと
により、系統的知識基盤の構築と、問題発見・解決能力の養成を両立させたところにあ
る。さらにTBL(Team-based Learning: チーム基盤型教育)やCBL(Case-based
Lecture: 症例基盤型講義)といった新しい教育方略を組み合わせることにより、日本
の学生や教育環境に適した能動的学修(アクティブ・ラーニング)のあり方を常に追い
続けている。また、開院当初から診療参加型臨床実習を導入しており、「社会の要請に
応えうる良き医療人」を養成すべく取り組んでいる。以上のPBLを中心とした教育改
革による成果としては、学生の講義出席率の向上や講義評価の改善、国家試験・共用試
験の成績向上、外来患者の医学生面接・診察に対する満足度評価向上など、学生の反応
や学力試験の成果だけでなく、臨床現場における学生のパフォーマンスレベルの評価改
善などがある。[4.1]
しろまる 看護学科においては、講義と臨地実習が効果的に相互活用できる教育を行い、病院や
地域社会での保健医療福祉の高度化・多様化に対応できる能力の育成を重視している。
そのため、「成人看護援助論」「成人看護学演習」など多くの科目で小グループ学習を
取り入れ、グループワーク後には発表を行い評価に取り入れるなど、情報の修得やプレ
ゼンテーションスキルの開発も重視している。[4.1]
しろまる 2018 年度は、アクティブ・ラーニングの導入・実施状況調査を実施し、未導入科目の
担当者にはFDを実施した。また看護学科では 2018 年度の医学・看護学教育ワークシ
ョップにおいてアクティブ・ラーニングに関するFDを実施した。実施後のアンケート
結果では、講義の内容に価値があった、今後役に立つという回答が 70%以上であり、今
後の教育内容の充実に期待できる結果となった。[4.1]
しろまる 医学科では、一般外来診療だけではなく、訪問診療や訪問看護も含め、地域の医院、
診療所等で実際に行われている第一線の医療を体験し、地域医療の特徴や地域医療に対
する住民のニーズを知るとともに、大学病院等における専門診療との連携のあり方につ
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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いて学ぶ「地域医療実習」を6年次の必修科目として実施している。その他にも、1年
次の「アーリーエクスポージャー(医療入門の一環として実施し、医の倫理についての
基本的考え方を身につけさせるとともに、地域医療の現場を見学させ、学習の動機付け
とする。)」など6年間を通じて実施される様々な形での地域医療に関するカリキュラ
ムを構築している。(別添資料 7506-i4-18)[4.1]
<必須記載項目5 履修指導、支援>
【基本的な記載事項】
・ 履修指導の実施状況が確認できる資料(別添資料 7506-i5-1)
・ 学習相談の実施状況が確認できる資料(別添資料 7506-i5-2)
・ 社会的・職業的自立を図るために必要な能力を培う取組が確認できる資料
(別添資料 7506-i5-3)
・ 履修上特別な支援を要する学生等に対する学習支援の状況が確認できる資料
(別添資料 7506-i5-4)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
履修指導の実施状況
しろまる 医学部では、入学時及び各学年の初めに学年ごとにオリエンテーションを行い、その
際に学習要項(シラバス)を配付した上で学習の目的・目標、学習内容の概要、ならび
に各授業科目の内容について説明している。また、臨床・臨地実習前にも綿密な指導を
行い、学習支援ガイダンスを適切に実施している。[5.1]
しろまる 5〜6名の学生につき1名の教員がチューターとして学修・生活・進路など広範囲に
わたって支援するチュートリアル制度を、前身となる佐賀医科大学開学時から継続して
実施している。さらに留年者には特別チューター制度があり、個々の留年者に対して担
当教員が配置され、学修の状況や単位取得などについてより密にモニタを行っている。
さらに 2011 年からはラーニング・ポートフォリオを導入し、チューターはこれを確認
した上できめ細かい学習支援を行っている。[5.1]
しろまる 医学科での臨床実習において、学生が各診療科における自己目標、経験した症例、医
行為などを記録するコンピューター上のポートフォリオシステム(e-クリニカルクラー
クシップ)を 2017 年度から稼働している。学生は自己目標と学んだことや到達度の自
己評価を自らが行うことにより臨床実習においてより能動的な学習が促進され、さらに
各診療科が実習記録を共有することが可能となることで、個々の学生の経験や評価を踏
まえた一貫した指導が可能となった。また、従来のラーニング・ポートフォリオは臨床
実習中の学生には一部内容がなじまない部分があったため、2019 年度5年生からは e-
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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クリニカルクラークシップに進路や学習、学生生活に関し、4年次までのラーニング・
ポートフォリオに含まれている項目を含むようにし、実習における学修に関して広範囲
に支援できるようにした。(別添資料 7506-i5-5〜6)[5.1]
しろまる 学生の教務関連総合サイトでは全教員のオフィスアワー情報を掲載し、学生から教員
へのアクセスの利便性を図っている。[5.1]
<必須記載項目6 成績評価>
【基本的な記載事項】
・ 成績評価基準(別添資料 7506-i6-1〜3)
・ 成績評価の分布表(別添資料 7506-i6-4)
・ 学生からの成績評価に関する申立ての手続きや学生への周知等が明示されてい
る資料(別添資料 7506-i6-5)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる【知識の評価】
実習などの一部科目を除き、全ての科目において筆記試験を行っている。とりわけ、
MCQ(Multiple Choice Question)、MEQ(Modified Essay Question)、論述試
験は、知識基盤の構築過程で習得度合いを客観的に評価するのに適しているため医学科
4年時の PhaseI〜IIIで活用している。また、低学年の「臨床入門I」、
「生命倫理学」、
「肉眼解剖」では学習意欲やグループ活動における態度も含めて評価するため、試験的
にルーブリック評価を導入している。医学科4年次1月には共用試験CBTにより評価
する。[6.1、 6.2]
しろまる【技能の評価】
医学科3年次後学期に「臨床入門」で簡易OSCEを実施し、臨床的技能の習得度に
ついてフィードバックしている。また、4年次2月に臨床実習前OSCEを実施、
PhaseIV臨床実習の参加要件としている。診療参加型実習では、医療行為に関する到達
度の自己評価に加え、実習中の観察記録による全科共通のコンピテンシー到達度を指導
医が評価する「e-クリニカルクラークシップ」を導入している。[6.1、 6.2]
しろまる【態度の評価】
主として講義への出席や教育活動への参加により評価している。態度の評価について
は、
Personal Growth という観点から、
評価のあり方を再検討する必要がある。
[6.1、6.2]
しろまる「学生の評価」において今後検討すべき取組
医学部は 2019 年 12 月に日本医学教育評価機構による医学教育分野別評価を受けた。
この際、卒業判定や単位取得認定の主体を成す学生の評価方法(試験)の信頼性と妥当
性の更なる検証が必要である、との指摘を受けた。このことは、医学部における教育管
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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理体制を今一度確認し、必要に応じて見直す必要があることを意味している。[6.0]
以下について、次期の中期目標として含むことを検討すべきと考えられる。
検討対象 推奨される取組
試験[6.1]
出題者以外の教員による検証を行う(教育IR部門による解析を要する)
基本的知識の修得と統合的学修を推進する観点から、試験の回数を再度
見直す。
客観的評価
[6.2]
評価の信頼性と妥当性を組織的に検証する仕組みを構築する
学生が段階的に学修成果を修得していることを保証するシステムを構築
する。
学生が自分自身の学修進度を知り、自らの学修を改善することができる
ようになるための形成的評価を行う。
しろまる 看護学科は、2年次末の進級判定と3年次前期末に実施する臨地実習適格審査によっ
て学修成果の判定を行っている。[6.1]
<必須記載項目7 卒業(修了)判定>
【基本的な記載事項】
・ 卒業又は修了の要件を定めた規定(別添資料 7506-i7-1〜3)
・ 卒業又は修了判定に関する教授会等の審議及び学長など組織的な関わり方を含
めて卒業(修了)判定の手順が確認できる資料(別添資料 7506-i7-4)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 医学科では、臨床実習及び臨床実習後OSCE(2018 年度から公益社団法人医療系共
用試験実施評価機構トライアル参加)、総括講義(卒業試験に相当する 26 領域 800 問
のMCQ)の合格をもって、卒業時学修成果をAのレベルで修得したと判定し、卒業認
定を行っている。[7.1]
しろまる 医学部における卒業認定は、医学部教育委員会及び教授会において、学則に明示され
成績評価方針に基づいて判定された個々の学生の全履修科目の成績表が呈示され、卒業
(修了)要件の審査・確認が行われる。[7.1]
年 度
医学科 看護学科
対 象 学
生数
卒 業 認
定者数
卒 業 延
期者数
対 象 学
生数
卒 業 認
定者数
卒 業 延
期者数
2019 126 120 6 59 58 1
2018 103 100 3 60 60 0
2017 97 93 4 56 56 0
2016 111 107 4 58 58 0
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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<必須記載項目8 学生の受入>
【基本的な記載事項】
・ 学生受入方針が確認できる資料(別添資料 7506-i8-1)
・ 入学者選抜確定志願状況における志願倍率(文部科学省公表)
・ 入学定員充足率(別添資料 7506-i8-2)
・ 指標番号1〜3、6〜7(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 医学部では、多様な入学者選抜を行い、人材の確保を目指している。その特徴として、
全ての選抜において面接を実施し、将来優れた医師・看護職者になるための適性を判断
していること、そして選抜試験の種類により、大学入試センター試験、学力検査、小論
文、面接、調査書、高等学校長の推薦書、自己推薦書など選抜方法の組み合わせは異な
るが、これらを総合して学力のみならず問題解決、論理的思考、表現の各能力を判断し
ている。[8.1]
選抜の区分(2019年度入試)
区 分入学定員
募 集 人 員
一 般 選 抜 特 別 選 抜
編入学
(3年次)
前期日程 後期日程 推薦入学
帰国
子女
佐賀県
推薦
入学
社会人
医学科 106 50 10 44 (注記)1 若干人 2 - -
看護学科 60 35 5 20 (注記)2 - - 若干人 若干人
計 166 85 15 64 2
(注記)1)一般枠20人、佐賀県枠23人、長崎県枠1人。
(注記)2)うち、2人以内を専門系の科及び総合学科から募集。
しろまる 高校生が3年間を通じて高度な教育や研究に触れ、将来の進路を考える機会を提供す
る「継続・育成型高大連携カリキュラム」の一環として、2017 年度から、将来医師を目
指す高校生を対象に「医療人へのとびら」を開始、2018 年度からは看護師を目指す高校
生を対象に看護学科でも開催、新規受講者は毎年増加している。[8.0]
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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「医療人へのとびら」登録者数(人)
<選択記載項目A 教育の国際性>
【基本的な記載事項】
・ 協定等に基づく留学期間別日本人留学生数 (別添資料 7506-i4-16)(再掲)
・ 指標番号3、5(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 医学英語教育:医学科においては、3・4年次学生を対象として通算2年間の医療・
医学専門英語教育(EMP: English for Medical Purposes)を開講している(全学生
必須科目)。EMPは、
PBLで学修している専門分野の教材を、
The New England Journal
of Medicine 、若しくは First Aid for the USMLE 等のジャーナル又はテキストに求め、
英語で医学を学ぶことの生涯学習の端緒として学生に受講させている。[A.0]
また、医学科3・4年次学生には、日本医学英語教育学会の医学英語検定試験の受験
を勧奨しており、2019 年は同検定試験4級に 36 名が、同3級試験に2名が合格した。
[A.0]
国際交流締結校との学部交流(医学科)(A.1)
年度
ハワイ大学医学部 輔仁大学医学部(台湾)
受入れ 派遣 受入れ 派遣
2016 4 名 8 名 3 名 4 名
2017 4 名 6 名 3 名 3 名
2018 4 名 7 名 3 名 4 名
2019 4 名 6 名 4 名 4 名
国際交流締結校との学部交流(看護学科)(A.1)0501002017 2018 2019
医学科 看護学科
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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年度
輔仁大学医学部(台湾) 淅江中医薬大学(中国)
受入れ 派遣 受入れ 派遣
2016 4 名 4 名 - ―
2017 4 名 4 名 4 名 0 名
2018 4 名 4 名 ― ―
2019 4 名 4 名 ― ―
*ハワイ大学 John A. Burns School of Medicine:2002 年に学部レベルでの正式交流締結*輔仁カトリック大学医学部:2013 年に学部レベルでの正式交流締結
<選択記載項目B 地域・附属病院との連携による教育活動>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 地域医療機関との連携 [B.1]
臨床実習のうち6年次前学期に必修科目として「地域医療実習」を開設している。こ
の実習では、診療(プライマリ・ケア)、すなわち、一般外来・入院診療だけではなく、
地域の中核病院、診療所等で実際に行われている訪問診療や訪問看護も含め第一線の医
療を体験し、地域医療の特徴や地域医療に対する住民のニーズを知るとともに、地域完
結・循環型医療のあり方、地域包括ケアシステムの実際について学ぶ。本学と臨床医学
教育実習協定書を締結する地域医療機関で1週間の実習を行っている。医療機関として
は、池田内科・消化器科、SAGA なんでも相談クリニック、さかえまち整形外科、七山診
療所など地域密着型医療機関・クリニックと、佐賀市立富士大和温泉病院や国立病院機
構佐賀病院などの地域中核病院での実習を行っている。
(根拠資料)7506-i4-18(再掲)
しろまる寄附講座 [B.1]
以下の寄附講座開設により、大学と社会との連携、創薬研究及び新規患者マネジメン
ト戦略、及び先進的医学教育の推進を図るとともに、医師や国公立の研究機関等、実務
に精通した者が教員として教育に加わり、PhaseI(教養科目)、PhaseII(基礎医学)
の学びを踏まえ、臨床医学を中心とした社会医学、行動科学の知識を学ぶ臨床統合医学
といえる PhaseIIIにおいて主に講義を行っている。(2015 年以前と合わせ、2019 年度末
現在7つの寄附講座)。
・人工関節学講座(2005 年1月〜)
・地域医療支援学講座(2010 年4月〜)
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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・先進外傷治療学講座(2013 年1月〜)
・老年循環器病学講座(2019 年4月〜)
・先進不整脈治療学講座(2019 年4月〜)
・創薬科学講座(2017 年4月〜)
・先進心不全治療学講座(2017 年4月〜)
<選択記載項目C 教育の質の保証・向上>
【基本的な記載事項】
(特になし)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 教員開発 Faculty Development [C.1]
本学部でのFDは、1)学部教育、2)入試面接、3)ダイバーシティ推進、4)新
任教員研修をテーマとして、2017 年度に 21 回、2018 年度に 16 回、2019 年度に 16 回、
それぞれ開催している。学部教育に関するFDではPBL tutoring、ティーチング・
ポートフォリオ作成、学習要項の改訂に関する医学・看護学教育ワークショプ、OSC
E評価者講習会、等を企画・実施した。
しろまる 医学教育分野別評価基準日本版 Ver.2.31)に基づく自己点検 [C.2]
2019 年 12 月に、表記内容について日本医学教育機構による外部評価を受けた。
2018 年度当初から医学教育を管理する9分野について自己点検を行うチームを編成し、
各分野のエリアリーダーを選任、医学部附属地域医療科学教育研究センターのスタッフ
を中心として自己点検を行った。5日間にわたる外部評価により、本医学部としての特
色・特徴や優れた点が評価されたと同時に、今後、教育の更なる質向上のために取り組
むべき課題も挙げられた。今後は、外部評価を受けるための準備ではなく、医学部執行
部、
上記センター、
エリアリーダーによる幹事会が中心となって、
医学教育の自己点検・
評価・改善を恒常的に運用する計画を立て、実行する仕組みを構築した。(下図参照)
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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<選択記載項目D リカレント教育の推進>
【基本的な記載事項】
・ リカレント教育の推進に寄与するプログラムが公開されている刊行物、ウェブ
サイト等の該当箇所(別添資料 7506-iD-1〜3)
・ 指標番号2、4(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 「佐賀県地域医療再生計画」に基づき、県内の肝がん死亡率を低下させるため寄附講
座「肝疾患医療支援学講座」及び附属病院内に「肝疾患センター」を 2012 年1月に設
置、肝炎患者の早期発見を目的に専門医療機関とかかりつけ医の協力体制を構築した。
肝炎ウイルス検査受検者数及び精密検査の受診率の向上を図るなどの様々な取組の一
環として、県内の医療職者を対象に肝炎医療コーディネーター養成のためのスキルアッ
プ研修開催等の取組を継続的に行っている。実績は以下のとおり。 [D.1]
「肝炎医療コーディネーター養成研修」
開催日時 受講者数 内容
2016年11月19日〜20 延べ 202 人 佐賀県の肝炎の現状、B型及びC型肝炎、肝がん
について、公的助成制度の活用について etc
研修終了後は修了試験実施。
2017年10月29日 340 人
2018年11月18日 163 人
しろまる 地域の医療課題に的確に対処できる質の高い看護職者育成のための継続教育及びキャ
佐賀大学医学部 教育活動の状況
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リア形成支援を目的として、
2014 年4月に医学部附属看護学教育研究支援センターを設
置し、地域で働く看護職者の個々のニーズに沿った教育プログラムや研究支援を実施し
ている。一例として、佐賀県糖尿病看護師育成研修(2017 年度6名育成、2018 年度7
名育成、2019 年度2名育成)、看護部主催スキルアップ研修(2016 年度6回開催、2017
年度8回開催・延べ 198 名参加、2018 年度 11 回開催・延べ 187 名参加、2019 年度延べ
7回開催)、看護師のための臨床に役立つ解剖学スキルアップ講座
(2017 年度5名参加、
2018 年度8名参加、2019 年度8名参加)などがある。また、佐賀県内の看護職者のキ
ャリア形成システムの一環として、eラーニング教材(感染対策、フィジカルアセスメ
ント等のテーマ)を作成し、県民に安全で質の高い看護の提供を支援している。 [D.1]
佐賀大学医学部 教育成果の状況
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分析項目II 教育成果の状況
<必須記載項目1 卒業(修了)率、資格取得等>
【基本的な記載事項】
・ 標準修業年限内卒業(修了)×ばつ1.5」年内卒業(修了)率
(別添資料 7506-ii1-1)
・ 指標番号 14〜20(データ分析集)
・ 医学課程卒業者の医師国家試験合格率(厚生労働省公表)
・ 看護学課程卒業者の看護師国家試験合格率(厚生労働省公表)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 全学生の履修科目修得状況にするデータ [1.1]
修了率を示す指標(逆指標)として、下記に医学部の留年率・休学率・退学率を示す。
2019 年 12 月の日本医学教育評価機構による医学教育分野別評価において、佐賀大学
医学部医学科は留年率が比較的高いのではないか、との指摘を受けた。在学生が学修目
標に到達していないことの背景として、学生の学修不足以外に、試験内容や成績評価の
あり方についても教育委員会が主体となって見直す必要がある(選択記載項目C 教育
の質の保証・向上の記載事項参照)。
しろまる 卒業が承認されるまでの期間に関するデータ[1.1]
標準修業年限の期限内の卒業率を 95%程度まで高めるよう、
学生及び教員の双方が共通
の認識を持つことが必要であると考える。
医学科卒業者のうち佐賀県内基幹型病院での初期臨床研修プログラム採用者数は以下
のとおりであり、県内定着率は高い割合となっている。
2016 年度 2017 年度 2018 年度 2019 年度
佐賀大学医学部医学科卒業者数 102 名 90 名 92 名 114 名
年度 学生数 留年率 休学率 退学率
2016 897 2.6%(23 名) 0.2%(2 名) 0.4%(4 名)
2017 894 2.8%(25 名) 0.9%(8 名) 0.6%(5 名)
2018 906 2.5%(23 名) 0.8%(7 名) 0.7%(6 名)
2019 906 2.6%(24 名) 0.8%(7 名) 0.3%(3 名)
年度 卒業者 標準修業年限内の卒業率 ×ばつ1.5 年以内の卒業率
2016 165 89.7%(148 名) 100%(165 名)
2017 150 91.3%(137 名) 99.3%(149 名)
2018 160 85.0%(136 名) 100%(160 名)
2019 178 90.3%(150 名) 96.3%(160 名)
佐賀大学医学部 教育成果の状況
- 6-16 -
(国試不合格者を除く)
うち、佐賀県内基幹型病院での初
期臨床研修プログラム採用者数
33 名 31 名 43 名 49 名
また、佐賀大学医学部附属病院関連初期臨床研修プログラム修了予定者のうち、専門医
制度で本院の専門研修プログラムに登録した者は以下のとおりで、さらに高い割合となっ
ている。
2016 年度 2017 年度 2018 年度 2019 年度
本院初期研修修了者数(注記) 30 名 37 名 24 名 22 名
うち、本院後期研修登録者数 26 名 35 名 19 名 19 名
(注記)自治医大卒医師を除く
<必須記載項目2 就職、進学>
【基本的な記載事項】
・ 指標番号 21〜24(データ分析集)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
医師国家試験合格状況 [2.2]
年 度 受験者数 合格者数 合格率(%)
全国平均
合格率2019新卒者 120 115 95.8
94.9%
既卒者を含む
全受験者
129 122 94.62018新卒者 100 92 92.0
92.4%
既卒者を含む
全受験者
106 96 90.62017新卒者 94 90 95.7
93.3%
既卒者を含む
全受験者
98 92 93.92016新卒者 107 102 95.3
91.8%
既卒者を含む
全受験者
110 105 95.5
看護師国家試験合格状況 [2.2]
年度 受験者数 合格者数 合格率(%)
全国平均
合格率2019新卒者 58 58 100
94.7%
既卒者を含む
全受験者
58 58 1002018新卒者 59 59 100
94.7%
既卒者を含む
全受験者
59 59 1002017新卒者 56 56 100
96.3%
既卒者を含む
全受験者
56 56 100
佐賀大学医学部 教育成果の状況
- 6-17 -2016新卒者 58 58 100
94.3%
既卒者を含む
全受験者
58 58 100
卒業者のうち社会人として医療に携わる職に就いた者の割合
地域別の就職先内訳
区分 年度
就職
者数
就職先の地域
佐賀県内 九州地区・県外 九州地区以外
医学科
2018 92
43 36 13
46.7% 39.2% 14.1%
2017 90
31 34 25
34.4% 37.8% 27.8%
2016 102
32 48 22
31.4% 47.1% 21.6%
看護科
2018 59
31 23 5
52.5% 39.0% 8.5%
2017 55
28 25 2
50.9% 45.5% 3.6%
2016 58
33 18 7
56.9% 31.0% 12.1%
医学科卒業生の佐賀県内の就職先としては、佐賀大学医学部附属病院、佐賀県医療セ
ンター好生館が多い。また、令和元年度現在で、佐賀県内の地域の多くの拠点病院にお
いて、本学部出身者が病院長あるいは病院幹部として地域医療を推進している。
(下図
参照)九州地区・県外としては福岡県(九州医療センター)、及び長崎県(長崎医療セ
ンター)など、隣県が多い。看護学科卒業生も医学科と同様の傾向にある。 [2.1]
年度 卒業・修了者数 卒業者に占める就職者の割合
2016 165 97%(160 名)
2017 150 96.7%(145 名)
2018 160 94.4%(151 名)
2019 178 95.5%(170 名)
佐賀大学医学部 教育成果の状況
- 6-18 -
<選択記載項目A 卒業(修了)時の学生からの意見聴取>
【基本的な記載事項】
・ 学生からの意見聴取の概要及びその結果が確認できる資料
(別添資料 7506-iiA-1〜2)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 自己学習の程度及び講義内容の修得・理解の程度(学生自身の省察)に比べ、講義の
重要性の認識や講義内容への興味(および総合的満足度)に関する評価は幾分高い。こ
のことは、医学部における教育内容を再検討することよりも、学生の理解度や習得度を
形成的に評価するための教育の質的評価を行うことの重要性を示唆していると考えら
れる。[A.1]
しろまる 復習や関連事項の自己学習の程度、授業内容の修得・理解の程度、学生が感じた授業
科目の重要性の程度、授業の内容に対して抱いた興味の程度について、5段階評価で学
生による授業評価を実施している。また、卒業直前に全教育課程を振り返った授業評価
を卒業予定者に実施し、医学部の教育目標達成に対する各授業科目の有効性の程度を調
査した結果では、授業科目の全てにおいて5段階評価で医学科概ね 3.5 以上、看護学科
3.7 以上と高い評価になっており、医学部が編成した教育課程を通じて、意図する教育
の効果並びに学習成果があったと、学生自身が判断しているといえる。[A.1]
佐賀大学医学部 教育成果の状況
- 6-19 -
<選択記載項目B 卒業(修了)生からの意見聴取>
【基本的な記載事項】
・ 卒業(修了)後、一定年限を経過した卒業(修了)生についての意見聴取の概
要及びその結果が確認できる資料(別添資料 7506-iiB-1〜5)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
しろまる 2017 年度に本学の教育目標、教育方針に基づいた医学科の「卒業時アウトカム(卒業
時に備えている能力)」を整備し、医学科卒後2年目の研修医を対象に教育目標や卒業
時アウトカムに対する各自の到達度(⇒卒業時に初期臨床研修を始める上で支障のない
レベルに達していたか)のアンケート調査を実施した。下記に示すように、本調査結果
を見る限り、教育目標とする学力、技術、資質等の達成状況から学位授与方針や教育目
的に則した学習成果が得られているとの評価を得ている。 [B.1]
医学科卒後2年目研修医へのアンケートの結果
1.医学科教育目標 卒業時に到達した
1)高い倫理観と豊かな人間性を育み、他者と共感
できる人間関係を作ることができる
51/54 名 94%
2)医学の知識・技術を修得するとともに、自己学
習の習慣を身に付ける
41/54 名 76%
3)つねに科学的・論理的に思考し、問題の本質に
迫った解決に努める
40/54 名 74%
4)国内外に広い視野を持ち、地域の特性に応じた
医療を理解し、実践する
37/54 名 70%
2.卒業時アウトカム 卒業時に到達した
1)プロフェッショナリズム 50/54 名 93%
2)医学的知識 44/54 名 81%
3)安全で最適な医療の実践 49/54 名 91%
4)コミュニケーションと他者との協働 48/54 名 89%
5)国際的視野に基づく地域医療への貢献 33/54 名 61%
6)科学的な探求心 30/53 名 56%
佐賀大学医学部 教育成果の状況
- 6-20 -
<選択記載項目C 就職先等からの意見聴取>
【基本的な記載事項】
・ 就職先や進学先等の関係者への意見聴取の概要及びその結果が確認できる資料
(別添資料 7506-iiC-1〜6)
【第3期中期目標期間に係る特記事項】
医学部卒業生の勤務先指導者へのアンケート調査(2017 年、2018 年に実施)[C.1]
五段階評価平均点
質問項目
医学科卒業生 看護学科卒業生
研修医 後期研修医 医員等 新卒者 卒業 1 年以上
学力 4.0 4.3 4.6 3.0 4.0
技術 3.8 4.2 4.6 3.0 3.3
問題解決能力 4.0 4.0 4.2 3.0 4.0
倫理感、態度等 4.4 4.3 4.6 4.0 4.3
協調性、リーダーシップ 3.8 4.2 4.2 4.0 4.3
アンケート回答数:医学科 9/10病院、看護科3/3病院
経験年数が増えるにつれて評価が上がることは好ましい傾向であると考えるが、以下の
ような意見も聴かれている。現在、卒前・卒後の教育支援体制を強化する計画が進んでお
り、今後以下の内容についても評価の上対応を進めていく予定である。
学部教育において再考を要するアンケート意見(抜粋)
・ポケットマニュアルでも良いが、テキストや文献も読んで欲しい
・後期研修でも知識が不十分な者もいる
・「とりあえずコンサルト」の姿勢もみられる
・言葉使い、態度など、周囲スタッフを不快にさせるようなこともある
・机上論では長けているが、実践面での努力が不足しているところもみられる
・時間的な約束が守れない者も散見される
・大学在学中にカルテの書き方に関しても一定の指導をして欲しい
・大学で低学年のうちにコミュニケーションスキルのトレーニングを多く取り入れる方が
よい
佐賀大学医学部
- 6-21 -
【参考】データ分析集 指標一覧
(注記) 部分の指標(指標番号8、12〜13)については、国立大学全体の指標のため、
学部・研究科等ごとの現況調査表の指標には活用しません。
区分
指標
番号
データ・指標 指標の計算式
1 女性学生の割合 女性学生数/学生数
2 社会人学生の割合 社会人学生数/学生数
3 留学生の割合 留学生数/学生数4正規課程学生に対する
科目等履修生等の比率
科目等履修生等数/学生数
5 海外派遣率 海外派遣学生数/学生数
6 受験者倍率 受験者数/募集人員
7 入学定員充足率 入学者数/入学定員
8 学部生に対する大学院生の比率 大学院生総数/学部学生総数
9 専任教員あたりの学生数 学生数/専任教員数
10 専任教員に占める女性専任教員の割合 女性専任教員数/専任教員数
11 本務教員あたりの研究員数 研究員数/本務教員数
12 本務教員総数あたり職員総数 職員総数/本務教員総数13本務教員総数あたり職員総数
(常勤、常勤以外別)
職員総数(常勤)/本務教員総数
職員総数(常勤以外)/本務教員総数
14 留年率 留年者数/学生数
15 退学率 退学者・除籍者数/学生数
16 休学率 休学者数/学生数
17 ×ばつ1.5年以内での卒業・修了者
数/卒業・修了者数
19 受験者数に対する資格取得率 合格者数/受験者数
20 卒業・修了者数に対する資格取得率 合格者数/卒業・修了者数
21 進学率 進学者数/卒業・修了者数
22 卒業・修了者に占める就職者の割合 就職者数/卒業・修了者数
23 職業別就職率 職業区分別就職者数/就職者数合計
24 産業別就職率 産業区分別就職者数/就職者数合計
4.卒業後の進路
データ
2.教職員データ
3.進級・卒業
データ
1.学生入学・在籍
状況データ

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