75:佐賀大学【第2期】


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第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域における高等教育の機会を保障することを使命とし、教養教育を人間
形成の中心的な役割を担う教育の根幹と位置づけ、学士課程から大学院博士課程まで教養
を体系的に身に付ける高等教育を目指している。第2期中期目標期間においては、独自の
教養教育システムを創出し、際立つ個性と豊かな知性・感性を身に付け、現代社会の動向
を的確に捉えてリーダーシップを発揮するプロフェッショナルを育成すること等を目標と
している。
中期目標期間の業務実績の状況は、
「自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関
する目標」の項目で中期目標の達成状況が「非常に優れている」ほか、それ以外の項目で
中期目標の達成状況が「良好」又は「おおむね良好」である。業務実績のうち、主な特記
事項については以下のとおりである。
(教育研究等の質の向上)
学士課程において修得することが望まれる知識・技能能力等を示した佐賀大学学士力を
踏まえた学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針を、教養教育を重点的に位置付け
た内容に改定している。また、授業アンケートに基づく授業点検・改善報告書を作成し学
生や教員に公表しているほか、各部局で検証・改善活動等を実施することにより、教育の
質保証のためのPDCAサイクルの体制の確立を図っている。このほか、佐賀県との協働に
より、佐賀県立有田窯業大学校を移管して、美術・工芸等に地域の文化産業である有田焼
の振興を融合した教育課程を策定するなどの取組を行ったことにより、芸術地域デザイン
学部の設置につなげている。
(業務運営・財務内容等)
学長のリーダーシップの下、IRを大学改革のツールと位置づけ、
「佐賀大学版IR」として
客観的根拠に基づく大学経営を展開しており、現状のデータに基づく教育研究組織の改組
や、入試データに基づく新たな入試制度の導入、各種データを活用した学内予算配分等、
客観データの分析及びエビデンスに基づく改善を実施し、多大なる成果を上げている。
このほか、教育研究活動の成果を地域社会に発信・還元する場として、国立総合大学で
初めて「佐賀大学美術館」を設置・開館し、大学の特色である美術・工芸課程の学生作品
の展示や一般市民参加の関連イベント等を開催している。また、全学において環境方針、環
境目標、活動計画等を主とした内部監査を実施することで内部監査体制を確立しており、
この内部監査体制を中心として、環境負荷の削減の取組、環境関連法規の遵守、教職員及
び学生への環境教育の実施等により、PDCAサイクルを基本として継続的改善を図る環境
マネジメントシステムを確立している。
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2 項目別評価
I.教育研究等の質の向上の状況
<評価結果の概況> 非常に
優れている
良 好
おおむね
良好
不十分
重大な
改善事項
(I)教育に関する目標 しろまる
1教育内容及び教育の成果等 しろまる
2教育の実施体制等 しろまる
3学生への支援 しろまる
(II)研究に関する目標 しろまる
1研究水準及び研究の成果等 しろまる
2研究実施体制等 しろまる
(III)社会連携・社会貢献、
国際化等に関する目標
しろまる
1地域を志向した教育・研究 しろまる
2社会との連携や社会貢献 しろまる
3国際化 しろまる
(I)教育に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「教育に関する目標」に関する中期目標(3項目)のすべてが「おおむね
良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1教育内容及び教育の成果等に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「教育内容及び教育の成果等に関する目標」の下に定められている具体
的な目標(3項目)のすべてが「おおむね良好」であり、これらの結果を
総合的に判断した。
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<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 「佐賀大学学士力」を踏まえた方針の策定
学士課程において修得することが望まれる知識・技能能力等を示した佐賀大学学士力
を踏まえた学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針を、平成25年度に教養教育を
重点的に位置付けた内容に改定している。また、カリキュラムマップ、履修モデル等を
明示し、体系性と順次性に即して学生が授業を履修するシステムを構築している。
(特色ある点)
しろまる 学生の学習到達度を把握する仕組みの構築
平成23年度にポートフォリオ学習支援統合システムの運用を開始し、GPAに基づき学
生の学習到達度を把握する仕組みを整えている。平成26年度にはレーダーチャートによ
り可視化する機能を追加しており、チューター(担任)が学生の学習履歴等を把握して
履修指導を行っているほか、卒業時の学習成果を総合的に判断できる仕組みを構築して
いる。
2教育の実施体制等に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「教育の実施体制等に関する目標」の下に定められている具体的な目標
(4項目)のうち、1項目が「良好」
、3項目が「おおむね良好」であり、
これらの結果を総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 教育の質保証のためのPDCAサイクル体制の確立
平成25年度にティーチング・ポートフォリオを導入し、教育活動のすべてを対象とし
た標準版について、作成ワークショップを実施しつつ、70名の教員が作成している。併
せて、平成27年5月までに着任した全教員が標準版から特定の項目をピックアップした
簡易版を作成している。また、教員は授業アンケートに基づいて授業点検・改善報告書
を作成し、学生や教員に公表しているほか、各部局で検証・改善活動等を実施すること
により教育の質保証のためのPDCAサイクルの体制の確立を図っている。
3学生への支援に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「学生への支援に関する目標」の下に定められている具体的な目標(1
項目)が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
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<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる ラーニング・ポートフォリオの導入やチューター制度の実施
平成23年度以降の入学者はラーニング・ポートフォリオを利用しており、チューター
が割り当てられ、チューターの指導・助言の下に、学期ごとに自己評価と目標設定を行
っている。また、平成26年度大学院入学生より大学院教育にもラーニング・ポートフォ
リオの利用を拡充している。
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(II)研究に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「研究に関する目標」に関する中期目標(2項目)のすべてが「おおむね
良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1研究水準及び研究の成果等に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「研究水準及び研究の成果等に関する目標」の下に定められている具体
的な目標(2項目)のすべてが「おおむね良好」であり、これらの結果を
総合的に判断した。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 重点領域研究分野への研究支援
地域・社会のニーズにこたえるために重点領域研究分野を定め、
研究を実施する学部・
研究科・学内の研究センターに対して人的・財政的支援を行うとともに、地域・社会へ
成果の還元に努めている。地域医療科学分野では、佐賀県による寄附講座「肝疾患医療
支援学講座」
を設置し、
肝炎患者を支援する肝炎コーディネーターを約550名養成してい
る。また、認知症サポーター養成講座の取組を自治体や企業等と連携して取り組み、認
知症サポーターを約6万3,000名養成している。
2研究実施体制等に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「研究実施体制等に関する目標」
の下に定められている具体的な目標(3項目)のすべてが「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断
した。
<特記すべき点>
(特色ある点)
しろまる 次世代エネルギーに関する研究開発プロジェクトの実施
海洋エネルギー研究センターは、文部科学省の共同利用・共同研究拠点の期末評価に
おいてB評価であるものの、平成26年度から海洋エネルギーに関する国際プラットフォ
ーム人材育成事業を実施したほか、産学官連携の国際海洋資源・エネルギー利活用推進
コンソーシアムを設立し、海洋温度差発電に関する次世代海洋エネルギー発電技術研究
開発等のプロジェクトを実施している。
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(III)その他の目標
(1)社会連携・社会貢献、国際化等に関する目標
1.評価結果及び判断理由
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「その他の目標」に関する中期目標(3項目)のうち、1項目が「良好」、2項目が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
2.各中期目標の達成状況
1地域を志向した教育・研究に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況が良好である
(判断理由) 「地域を志向した教育・研究に関する目標」の下に定められている具体
的な目標(1項目)が「良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 地域の課題を解決する教育研究の推進
平成25年度に地(知)の拠点整備事業(COC)に採択された「コミュニティ・キャン
パス佐賀アクティベーション・プロジェクト」では、地域を志向した地域志向教育研究
経費事業等のプロジェクトを実施している。これにより、平成27年度の地(知)の拠点
大学による地方創生推進事業(COC+)に「さが地方創生人材育成・活用プロジェクト」
が採択され、地域の課題を解決するための教育研究の推進に結び付けている。また、佐
賀県との協働により、佐賀県立有田窯業大学校を移管して、美術・工芸等に地域の文化
産業である有田焼の振興を融合した教育課程を策定するなどの取組を行ったことにより、
平成28年度の芸術地域デザイン学部の設置につながっている。
2社会との連携や社会貢献に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「社会との連携や社会貢献に関する目標」の下に定められている具体的
な目標(1項目)が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判
断した。
3国際化に関する目標
【評価結果】中期目標の達成状況がおおむね良好である
(判断理由) 「国際化に関する目標」の下に定められている具体的な目標(1項目)
が「おおむね良好」であり、これらの結果を総合的に判断した。
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(2)附属病院に関する目標
臨床研修医のコミュニケーション能力向上に向けた実習や、シミュレーターを用いた基
本的臨床技能の向上に資する教育を行っているほか、地域の医療機関と連携して総合医の
育成に取り組むなど、質の高い医療人の養成に取り組んでいる。また、臨床研究における
医療情報データ活用を推進している。診療面では、がん診療連携拠点病院として、がん診
療地域連携パスにより、地域医療機関との患者ケア情報の一元化を図ったほか、地域医療
連携室の体制を強化し、地域の保健・医療・福祉施設等とシームレスな連携を図るととも
に、患者及び家族に寄り添った医療の提供に取り組んでいる。
<特記すべき点>
(優れた点)
(教育・研究面)
しろまる 佐賀県に根差す総合内科医育成に向けた取組
佐賀県に根差す総合内科医を育成するため、平成24年度に佐賀市立富士大和温泉病院
内に「佐賀大学医学部附属病院地域総合診療センター」を設置し、病院とセンター間で
ITシステム(リモート予約管理システム、リモート電子カルテ参照システム及びリモー
ト患者名寄せ管理システム)を導入して密な情報共有を図るとともに、附属病院の総合
内科教員を同センターに継続派遣して直接研修医の指導を行うことで、佐賀県の地域医
療再生計画の一環である「幅広く対応できる総合医」を育成している。
しろまる 臨床研究への医療情報データ活用環境の充実に向けた取組
平成22年度からデータウェアハウスシステム(DWH:電子カルテデータの二次利用を
促進するためのデータベース)から一部の臨床研究用データを抽出するための開発を進
めており、電子カルテからDWHデータベースのMARTデータ(検索・統計用形式のデー
タ)に医療情報を蓄積し、利用者端末から臨床研究に必要な病名などを条件としてデー
タを抽出する機能を構築するなど、臨床研究における医療情報データ活用の推進を図っ
ている。
平成22年度から27年度にかけて728件の医療情報検索依頼のうち525件にDWHが
活用されており、そのうち197件が臨床研究等に活用されている。
(診療面)
しろまる 患者及び家族に寄り添った医療の提供
地域医療連携室に、がんクリティカルパス・コーディネータ1名(平成24年度)
、医療
ソーシャルワーカー1名(平成25年度)を新たに配置し、平成25年度には看護師が医療
福祉連携士資格を取得するなど、患者及び家族の抱える経済的、心理的、社会的問題等
に対して適切な指導・助言を行い、それによって築いた信頼関係の中で医療を提供する
体制の充実を図っている。
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(運営面)
しろまる 自己分析等による増収に向けた取組
医療情報部の専任講師が管理会計システムによる部門別収支分析結果を各種会議等で
定期的に報告するとともに、各診療科に対して、クリティカルパスの改善や収益性が高
い症例・疾患について個別に指導・助言を行うことにより、それぞれが収支の改善に向
けた自己分析を行っている。また、病院長をはじめとする執行部と各診療科との間で、
1診療科としての目標、2診療報酬稼働額・診療単価の改善に対する取組、3診療科等
が抱える問題点等に関するヒアリングを行うことで意識改革を図り、手術室の運用の効
率化や診療報酬の上位加算の取得等に取り組んだ結果、平成27年度の診療報酬請求額は
177億円(対平成21年度比41億円増)となっている。
しろまる 職員の処遇改善に向けた取組
病院経営に貢献する労働を評価し、職員各層のモチベーションを高めるため、平成22
年度に医療従事者に対するインセンティブを導入するとともに、夜勤等の医師や看護師
等の労働環境を改善するため、
24時間保育可能な
「佐賀大学病院保育園キッズパレット」
を開園するなど、職員の処遇改善を図っている。
(3)附属学校に関する目標
附属学校園では、大学・学部の教育研究活動の実践の場として活用され、教育委員会と
の連携の下、地域のモデル校として成果を地域に還元することを目標としている。
大学・学部との連携については、文化教育学部と附属学校が連携して運営体制を構築し
ている附属学校運営委員会において、いじめ防止対策を含む「附属学校園における危機管
理」、「スクールカウンセリング体制」、「情報セキュリティマニュアル」、「組織改革の検討」
等、事件事故発生前から危機管理を定期的に検討している。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 附属学校園の運営
附属学校の目的を達成するため、文化教育学部と附属学校が連携して運営体制を構築
し、組織的な管理・運営を行うことを目的として、4附属の学校園長、副校園長、及び
学部長特別補佐や副学部長、教育実践総合センター長等を構成員とする、附属学校運営
委員会を設置している。会議では、各学校園の詳細な状況報告を受けるだけでなく、附
属学校園における危機管理やスクールカウンセリング体制、情報セキュリティ、組織改
革等、管理運営に関する議題についても協議・検討を行っており、
「学校いじめ防止基本
方針」や「危機管理マニュアル」を策定している。また委員会の主導により、附属学校
園の教職員に対して、情報管理の研修会やメンタルヘルスに係る職員カウンセリングを
実施している。
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第1期中期目標期間評価において指摘した定員超過の状況
しろまる 定員超過の改善
第1期中期目標期間評価において評価委員会が指摘した、教育学研究科における学生
収容定員の超過率が130%を上回っていたことについては、第2期中期目標期間におい
ては定員超過が改善されている。
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II.業務運営・財務内容等の状況
<評価結果の概況> 非常に
優れている
良 好
おおむね
良好
不十分
重大な
改善事項
(1)業務運営の改善及び効率化 しろまる
(2)財務内容の改善 しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 しろまる
(4)その他業務運営 しろまる
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善、2事務等の効率化・合理化
【評定】中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載9事項すべてが「中期計画を上回って実施している」又は「中
期計画を十分に実施している」
と認められるとともに、
下記の状況等を総合的に
勘案したことによる。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 学長補佐体制の強化
学長を支える業務執行体制として、学長室、理事室、評価室、学長補佐を置くととも
に、大学の運営に関し学長が特に必要と認める事項について意見交換を通じた情報共有
を図り必要な措置等を講ずるための「拡大役員懇談会」において高大接続改革に向けた
戦略の意見交換を行うなど、円滑な大学運営を支援している。平成27年度には、理事室
の見直しを行い、4理事室を教育室、学術室および企画・総務室の3理事室に再編して
機動的体制を強化し、第3期中期目標・中期計画の策定や教育研究組織の改組等を行う
とともに、学長室を廃止して学長直轄の経営戦略室を設置し、各部局から定性・定量デ
ータに基づく活動状況の報告を開始している。
しろまる 大学の強み・特色を生かした新たな学部や研究科の設置
佐賀県における教育課題への対応や、大学の強み・特色の伸長に向け、文化教育学部
を見直し、
「芸術で地域を拓き、芸術で世界を拓く」を理念とする「芸術地域デザイン学
部」の設置を決定(平成28年度〜)するとともに、教育学研究科及び経済学研究科を改
組することにより、芸術と経済・経営の融合的研究教育によって地域の活性化に貢献す
る人材を養成する「大学院地域デザイン研究科」を学部と同時に設置することを決定し
ている。
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しろまる 年俸制の導入
平成26年度から年俸制教員の採用を開始し、平成27年度末には70名の教員が年俸制と
なっている。また、平成26年度に採用した教員14名について部局評価を実施し、佐賀大
学年俸評価判定会議において業績評価の判定を行い、業績区分ごとに業績給に反映させ
ている。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄付金その他の自己収入の増加、2経費の抑制、3資産の運用管理の改善
【評定】中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載5事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認められ
るとともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 財務分析結果に基づく学内資源配分の実施
財務情報に基づく財務分析結果を大学運営に活用するため、財務指標の経年比較や大
学の財務状況と他大学の平均との比較等をまとめた財務レポートを作成するとともに、
前年度の予算編成における経営戦略の検証を行っている。平成26年度の予算編成を検証
した結果、指標改善に向けた増額投資を実施したものの、短期間では研究経費比率等に
顕著な改善はみられないことが判明したことから、自己収入の確保、外部資金の獲得の
強化と併せ、第3期中期目標期間に向けた大学の特色を活かした地域貢献の取組、大学
特有の教育研究活動に対する経費として「経営基盤支援経費」を新設し、重点的に予算
を措置している。
しろまる IRデータを活用した学内予算の重点配分
自己点検・評価結果を大学運営の改善に反映させるための取組として、平成22年度に
評価反映特別経費を設け、部局の教育研究活動を評価し、その評価結果に応じた予算を
配分するとともに、
平成23年度からは、
業務の実績に基づく評価も併せて実施している。
さらに戦略的・重点的な取組を一層推進するため、平成24年度から評価反映特別経費の
配分方法の見直しや評価項目の追加、重要課題に関する重点評価項目及びKPI
(指標)の
設定等を行い、平成27年度にはIR機能により教学、学術、社会貢献及び経営基盤の4視
点に関するデータを25項目収集・分析して業務を評価し、その結果に基づく予算配分を
行っている。
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(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実、2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期目標の達成状況が非常に優れている
(理由) 中期計画の記載2事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認められ
るとともに、
佐賀大学版IRを活用した大学運営を行っていること等を総合的に勘
案したことによる。
<特記すべき点>
(特筆される点)
しろまる 佐賀大学版IRを活用した大学運営
分析データを活用した戦略的な大学運営を行う体制を整えるため、学長のリーダーシ
ップの下、平成24年度にIR室を設置している。IRを大学改革のツールと位置づけ、
「佐賀
大学版IR」として客観的根拠に基づく大学経営を展開しており、現状のデータに基づく
教育研究組織の改組や、入試データに基づく新たな入試制度の導入、各種データを活用
した学内予算配分等、客観データの分析及びエビデンスに基づく改善を実施し、多大な
る成果を上げている。さらに、佐賀大学版IRについて各地から多数の来訪や研修講師の
依頼を受けるとともに、IRに関する書籍を刊行(2冊、約1,020部)し全国の国公私立大
学への頒布等を行うなど、全国の大学改革の推進や、そのためのIRの普及に大きく貢献
しており、評価できる。
(優れた点)
しろまる 美術館の活用やステークホルダーに合わせた積極的な広報活動の展開
教育研究活動の成果を地域社会に発信・還元する場として、平成25年度に国立総合大
学では初めて「佐賀大学美術館」を設置・開館し、大学の特色である美術・工芸課程の
学生作品の展示や地域の交流・情報発信及び地域の芸術文化振興を図る取組を実施して
おり、大学の博物館・美術館施設としては異例の3年目での来館者10万人を達成(平成27年
度)している。また、学生、市民、企業などステークホルダーごとにそのニーズに合わせた
分かりやすい情報発信を行うため、広報誌「かちがらす」において、学生の保護者から
要望の多かった学生に関する各種データや地域貢献の活動内容等の記事を充実するとと
もに、
新聞の掲載記事等に関して新聞社が行う読者アンケートの分析結果に基づき、
「面
倒見の良い大学」として学生支援室の活動内容やTOEICの全員受験の実現等を盛り込ん
だ記事を新聞に掲載している。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等、2安全管理と環境、3情報基盤、4男女共同参画の推進、5法令遵守
【評定】中期目標の達成状況が良好である
(理由) 中期計画の記載7事項すべてが「中期計画を十分に実施している」と認められ
るとともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
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<特記すべき点>
(優れた点)
しろまる 環境に関する内部監査の実施や学生の参画による環境マネジメントの推進
学内委員会である
「エコアクション21専門委員会」
委員から内部監査チームを選出し、
全学において環境方針、環境目標、活動計画等を主とした内部監査を実施することで内
部監査体制を確立している。この内部監査体制を中心として、環境負荷の削減の取組、
環境関連法規の遵守、教職員及び学生への環境教育の実施等により、PDCAサイクルを
基本として継続的改善を図る環境マネジメントシステムを確立している。また、エコア
クション21学生委員会の活動として、
新入生に対する環境教育や広報誌
「EArth」
の発行、
エコキャンパスカードを作成している。さらに、学内の内部監査、エコアクション21中
間審査及び更新審査へ参加している。

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