佐賀大学海洋エネルギー研究センター

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6.海洋エネルギー研究センター
I 海洋エネルギー研究センターの研究目的と特徴・6-2
II 「研究の水準」の分析・判定・・・・・・・・・6-7
分析項目I 研究活動の状況 ・・・・・・・・6-7
分析項目II 研究成果の状況 ・・・・・・・・6-13
III 「質の向上度」の分析 ・・・・・・・・・・・6-15
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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I 海洋エネルギー研究センターの研究目的と特徴
1.目 的
海洋エネルギー研究センターの目的は,海洋エネルギーに関する我が国の共同利用・
共同研究拠点として,海洋エネルギーに関する研究・教育を総合的かつ学術的に行い,
その研究基盤を確立するとともに,その利用促進に貢献することにより,国際的な先導
的中核研究拠点として,地球規模でのエネルギー問題と環境問題の解決に寄与すること
である。
また,全国の研究者や学協会等からの海洋エネルギーに関する要望に対応して,所有
する海洋温度差発電関連を中心とした研究施設と設備を開放し,国内外の研究者ととも
に,我が国の海洋エネルギーの学術研究を推進することである。
2.特 徴
(1)研究組織
研究は,
『I 基幹部門』と『II 利用・開発部門』の2部門で遂行し, 基礎的,
応用的研究から,
実証的研究を学際的に取り組むことを特徴としている。
各部門は,
次の分野から構成される(資料1〜2)。資料1 海洋エネルギー研究センターの研究組織
機構図
【 出 典 : 平 成 26 年 度 研 究 活 動 状 況 調 査 ( 文 部 科 学 省 提 出 )】【各部門の主な目的】
基 幹 部 門:海洋エネルギーを創造するための基礎的,応用的研究
利用・開発部門:海洋エネルギーの利用等に関する研究・開発
海洋温度差エネルギーシステム分野
海洋エネルギー研究センター
基幹部門
海洋流体エネルギーシステム分野
センター長
海洋エネルギーシステム分野
海洋エネルギー物質創生分野
利用・開発部門
海水淡水化分野
海洋エネルギー環境情報分野
海洋深層水利用科学技術分野
海洋エネルギー利用推進分野
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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資料2 海洋エネルギー研究センターの研究体制
しろまる 基幹部門
海洋温度差エネルギー分野は,本学において約 40 年間,海洋温度差発電の基礎と応
用に関する研究・教育を行い,我が国唯一の海洋温度差発電に関する中核的な研究施
設として,これまで下記のような特徴を持って,実績を積んできた。
1 特色ある設備・施設
佐賀県伊万里市に,全国で唯一,海洋温度差発電実験関連の多数の大型研究設備
を有し,海洋温度差発電に関する学術研究で多くの学術論文を発表している。平
成 26 年に沖縄県久米島に「久米島サテライト」を開所し,実海水を用いて,海
洋温度差発電と組み合わせた海水淡水化実験も可能となった。
2 国際交流
マ レ ー シ ア 工 科 大 学 や 大 連 理 工 大 学 海 洋 科 学 技 術 学 院 と 新 規 に 学 術 交 流 協 定 を
締結し,研究・教育で国際的な連携を推進している。
基幹部門に平成 17 年度に新設された海洋流体エネルギー分野では,
波力発電システ
ムと潮流発電システムの開発を行っており,下記のような特徴を持っている。
1 浮体型の波力発電装置の開発
振動水柱型の波力発電装置に用いる新型の空気タービンを開発し,
このタービン
を搭載した浮体型の波力発電装置(振動水柱型)を開発している。また新しい流
体性能解析法を提案している。
2 潮流発電の設備
平成 26 年に,潮流発電の性能評価実験が可能な回流水槽を新設し,潮流発電に
関する実験を開始した。新型のタービンを提案している。
しろまる 利用・開発部門
海洋に賦存する有用資源の回収やエネルギー貯蔵,海水淡水化,深層水の利用科学
技術など幅広い研究・教育に取り組んでいる。利用・開発部門での研究は,基幹部門
と連携しながら基礎からその応用まで多岐に亘って行っている。学術論文も基礎から
応用分野まで広範囲で,非常に多くの研究発表がなされている。
上記2部門での主要なテーマは,以下の表に示すとおりである(資料3)。 佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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資料3 主要な研究テーマ基幹部門
しろまる 海 洋 温 度 差 発 電 シ ス テ ム の ト ー タ ル 性 能 の 高 度 化
しろまる 海 洋 温 度 差 発 電 シ ス テ ム の 構 成 機 器 の 性 能 向 上 , 特 に , 蒸 発 器 , 凝 縮 器 , タ
ー ビ ン な ど
しろまる 高 効 率 波 力 発 電 装 置 の 開 発
しろまる 高 性 能 潮 流 発 電 装 置 の 開 発
しろまる 海 洋 エ ネ ル ギ ー 施 設 の 設 置 基 盤 と し て の 低 動 揺 ・ 安 定 浮 体 構 造 物 の 開 発利用・開発部門しろまる 海 洋 温 度 差 発 電 の 複 合 利 用 と し て の 高 度 化( 淡 水 化 ,水 素 製 造 ,リ チ ウ ム 回 収 ,
海 洋 牧 場 な ど )
しろまる 海 洋 エ ネ ル ギ ー の 水 素 を 利 用 し た エ ネ ル ギ ー 貯 蔵
しろまる 海 洋 環 境 の 評 価 と 保 全
しろまる 海 洋 資 源 の 回 収
(2)共同利用・共同研究拠点としての共同研究の受入と支援
当センターは,我が国唯一の海洋エネルギーに関する共同利用・共同研究拠点と
して,国内 外の大学等 の公的研究 機関からの 研究を受け 入れ支援す ることに よ り ,
海洋エネルギーの研究開発の進展に貢献している。
(3)地域との連携
佐賀県や伊万里市との連携の強化を,長年,図っている。現在,本拠点の伊万里
サテライト が位置する 佐賀県伊万 里市は,国 から構造改 革特区「伊 万里サス テ イ ナ
ブル・フロ ンティア知 的特区」の 認定を受け ており,当 該地区の研 究集積と 産 業 集
積に貢献している。
「海洋温度差発電実証フィールド」
(沖縄県)と「潮流発電及び洋上風力発電の実
証フィールド」
(佐賀県)の政府認定取得と,実証フィールド建設 に 貢 献 し て い る 。
また,佐賀県が推進する「佐賀県海洋エネルギー産業クラスター研究会」におい
て中心的な 役割を担っ ている。セ ンターが中 心となり, 海洋再生可 能エネル ギ ー の
利活用に関 する技術開 発・国際貢 献を目的と した産学官 (東京大学 ,琉球大 学 , 沖
縄科学技術大学院大学,政府機関,産業界)によるコンソーシアムを平成 27 年度設
立,一般社団法人化して社会貢献を推進している。
(資料4)に社会やコミュニティ
ーへの主な貢献を示す。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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資料4 地域社会および研究者コミュニティーへの貢献
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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(4)国際貢献
海洋エネルギーの創造とその利用技術に関する国際的な先導的学術研究拠点を目
指し,以下のように,海外の関連機関との連携強化を図って,貢献している。
1 共同利用・共同研究の受入
海外(中国,マレーシア,インドネシアなど)からの研究も受け入れ,研究を
支援している。
2 海洋エネルギーに関する若手研究者の人材育成
日 韓 の 研 究 者 に よ る 研 究 者 ネ ッ ト ワ ー ク を 構 築 し て い る 海 洋 エ ネ ル ギ ー に 関 す
る「若手研究者の人材育成セミナー」や英国,オランダ,インドネシア,東大,
九 大 な ど , 国 内 外 の 公 募 に よ る 「 若 手 研 究 者 の た め の 国 際 人 材 育 成 プ ラ ッ ト フ
ォーム事業」を平成 26 年度より新たに実施している。
3.達成しようとする基本的な成果等
1 我が国の『海洋基本計画』で策定された海洋再生可能エネルギーの利用促進
2 共同利用・共同研究拠点として,世界的な海洋エネルギー産業の発展に資する研
究開発と人材育成に貢献
上記の達成しようとする成果は,佐賀大学の中期目標「研究水準及び研究の成果等に
関する目標」及び「研究実施体制等に関する目標」とも合致している。
4.想定する関係者とその期待
共同利用・共同研究拠点として,海洋エネルギーに関する研究者コミュニティーへの
貢献と,政府が「海洋基本計画」で推進する人材育成への貢献が期待されている。想定
する関係者としては,共同利用・共同研究のユーザーである国内外の大学・研究所・国・
地元自治体等の研究者・技術者等と大学の大学院生等が挙げられる。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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II 「研究の水準」の分析・判定
分析項目I 研究活動の状況
観点 研究活動の状況
(観点に係る状況)
1.研究の実施状況
専任教員 10 人によって公表された査読有の学術論文は,6年間で英語 179 編,日本語
47 編の合計 226 編で,専任教員一人当たり年平均 3.8 編となっている。著書は 10 編で
ある。また,一般講演については,6年間で英語 287 件,日本語 342 件である。一方,
併任教員9人によって公表された査読有の学術論文は,6年間で英語 325 編,日本語 38
編である。一般講演については6年間で英語 170 件,日本語 309 件である。活発な研究
活動が実施されている。
(資料5)
資料5 論文・著書・学会での講演状況
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
2.研究資金の獲得状況
専任教員による科研費の新規と継続を合わせた採択率は,年ごとに変化はあるものの
平均すると 44%である。平成 27 年度は 66%であり,増加の傾向にある。
共同研究については,
年に8〜9件受け入れており,
合計 137,588 千円
(年平均 22,931
千円)である。受託研究については,年に2〜8件受け入れており,合計 278,482 千円
(年平均 46,424 千円)である。これらは,海洋温度差発電関連のNEDOの研究開発の
受託の寄与が大きい。
奨学寄附金については,
年に3〜5件受け入れており,
合計 20,613
千円(年平均 3,436 千円)である。
(資料6,資料7)
資料6 科研費採択状況
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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資料7 共同研究・受託研究・競争的資金・奨学寄附金の受入状況
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
3.若手研究者の支援
若手研究者の国際的な人材育成支援および海洋エネルギーに関する国際的な若手研究
者 の 人 材 育 成 の 拠 点 を 目 指 し , 日 韓 の 4 大 学 に よ り 「 若 手 研 究 者 の 人 材 育 成 セ ミ ナ ー 」
(平成 14 年より延べ 14 回)の継続実施や「若手研究者のための国際人材育成プラット
フォーム事業」を平成 26 年より新たに実施している(平成 27 年度 9カ国,28 年度 14
カ国)。件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円)
10 30,850 9 23,254 10 15,925 8 9783 7 15,508 9 38,412
1 3,856
10 30,850 9 23,254 10 15,925 8 9,783 7 15,508 10 42,268
件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円)
0 0 2 3,865 2 10,957 1 22,412 3 69,212 1 3,105
3 21,393 3 36,315 4 93,969 1 0 0 0 0 0
0 0 0 0 1 1,756 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 1 14,998 0 0 0 0 1 500
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
3 21,393 5 40,180 8 121,680 2 22,412 3 69,212 2 3,605
競争的資金
競争的外部資金区分 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円)
総務省
文科省:21世紀COEプログラム
文科省:特色ある大学教育
支援プログラム
文科省:科学技術振興調整費
文科省:戦略的創造研究
推進事業
文科省:現代的教育ニーズ取組
支援プログラム経費
その他
厚生労働省
農林水産省
経済産業省 3 36,314 3 320,817 2 78,140
国土交通省
環境省
その他省庁等
地方自治体等の助成金
民間からの助成金 1 389
海外からの助成金
0 0 3 36,314 0 0 3 320,817 3 78,529 0 0
件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円) 件数 金額(千円)
4 4,690 5 7,250 3 1,450 5 3,133 5 2,390 4 1,700
共同研究
H22 H23 H24 H25H27国内企業
独立行政法人
その他公益法人等
地方公共団体
その他
H26 H27
国内企業
受託研究
H22 H23 H24 H25 H26H27政府等の助成金
奨学寄附金
H22 H23 H24 H25 H26 H27
H22 H23 H24 H25 H26
合計
合計
合計
独立行政法人
年度(平成)
年度(平成)
年度(平成)
年度(平成)
合計
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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4.国際的共同研究および我が国の代表としての国際的な活動
海洋エネルギーに関する我が国の国際的な中核拠点として,米国,インドネシア,マ
レーシアなどの関係機関と国際的な共同研究などを実施している。
海洋エネルギーに関する国際的な活動に関して,我が国の代表として,国際エネルギ
ー機関(IEA)
,国際電気標準会議(IEC)などで貢献している。特に,IECに関
しては,平成 26 年度より,我が国の代表となった。
(水準)
期待される水準を上回る。
(判断理由)
海洋エネルギー研究センターの専任教員は 10 人であり,
公表された1人当たりの査読
有の学術論文は,年平均 3.8 編となっており,十分な水準にあると判断される。また,
共同研究・受託研究・競争的資金は,6年間の合計で 851,730 千円(1 人当たり年平均
14,196 千円)を受け入れており,高い水準にあると判断される。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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観点 大学共同利用機関、大学の共同利用・共同研究拠点に認定された附置
研究所及び研究施設においては、共同利用・共同研究の実施状況
(観点に係る状況)
1.共同利用・共同研究課題の採択状況と実施状況
全国の大学,高専,独立行政法人等から,毎年平均 44 件の共同利用・共同研究を受
け入れ,10 人の専任教員と9人の併任教員で支援しており,海外からの共同研究も毎
年2〜5件受け入れている。
(資料8)
研究募集は,
年度ごとに公募を行う特定研究
(海洋温度差発電と波力発電関連に特化,
研 究 費 と 旅 費 を 支 援 ) 及 び 共 同 研 究 A ( 海 洋 エ ネ ル ギ ー 全 般 の 研 究 , 研 究 費 と 旅 費 を
支援)
,並びに随時受け入れの共同研究B(旅費を支援)の種類に分けて,行っている。
資料8 共同利用・共同研究課題の採択状況
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
2.共同利用・共同研究に関する施設・設備の提供及び利用状況等
(1)施設・設備等の提供
研究課題ごとに,研究内容に関係する専任教員を受入担当教員として配置して
いる。また,共同研究の推進に当たっては,非常勤研究員の支援を得て,センタ
ーの研究設備の使用方法について説明・指導を行う等,設備の共同利用サービス
の向上に努めている。
(資料9,10)
資料9 施設・設備一覧
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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資料 10 共同利用・共同研究に供する設備の利用状況
< 海 洋 温 度 差 発 電 シ ス テ ム >
シ ス テ ム は 、
「 海 洋 温 度 差 発 電 実 験 装 置 」、「 海 水 淡 水 化 基 礎 実 験 装 置 」、「 水 素 製 造 及 び 貯
蔵 に 関 す る 基 礎 実 験 装 置 」、「 リ チ ウ ム 回 収 基 礎 実 験 装 置 」、「 海 洋 深 層 水 環 境 実 験 装 置 」か
ら 構 成 さ れ る 。
< 化 学 分 析 機 器 >
機 器 は 、
「 シ ー ケ ン シ ャ ル 型 高 周 波 プ ラ ズ マ 発 光 分 析 装 置 」、「 イ オ ン ・ ク ロ マ ト グ ラ フ 」、「 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 計 」、「 全 有 機 炭 素 窒 素 分 析 計 」、「 分 光 光 度 計 」、「 光 学 顕 微
鏡 」、「 走 査 電 子 顕 微 鏡 」 等 か ら 構 成 さ れ る 。
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
(2)採択方法等
研究テーマの採択に当たっては,2段階による厳正な審査(申請書の採否,予算
額の査定)を実施している。第一次:技術専門委員会(学外4人、学内4人),第二次:センター協議会(学外6人,学内4人)
。センター運営は,センター協議会
からの意見等により改善している。
(3)研究成果の情報発信等
毎年9月に,前年度の共同利用・共同研究成果発表会と,海洋エネルギーに関
するシンポジウムを,また,毎年3月,国内外の海洋エネルギーの専門家を招聘
した国際セミナーと,センターの年度末研究成果発表会を実施している。さらに,
「日韓4大学による海洋エネルギーに関する若手研究者育成のための合同研究セ
ミナー」や,
「若手研究者のためのプラットフォーム人材育成事業」を実施してい
る。
(資料 11-1,11-2)
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目I
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資料 11-1 センター主催のシンポジウム・セミナー・講演会等の参加者
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
資料 11-2 情報発信の状況
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
1共同利用・共同研究の実施状況は,概ね適正な受入数である。年平均概ね 44 件の共
同研究を受け入れており,専任教員 10 人としては多い方である。
2研究テーマの採択及び成果の評価は,学内外の委員で構成された技術専門委員会,
センター協議会において,厳正に行われている。
3共同利用・共同研究の成果は,毎年実施される「共同利用・共同研究成果発表会」
において公表されている。
4毎年実施される「海洋エネルギーシンポジウム」,「国際セミナー」
「若手研究者のた
めのプラットフォーム人材育成事業」等で,海洋エネルギー研究の進展や研究者の
人材育成に貢献している。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目II
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分析項目II 研究成果の状況
観点 研究成果の状況(大学共同利用機関、大学の共同利用・共同研究拠点
に認定された附置研究所及び研究施設においては、共同利用・共同研
究の成果の状況を含めること。)(観点に係る状況)
1.研究業績の選定について
海洋エネルギー研究センターを代表する研究業績として,センターの目的に沿っ
て行われた研究の中から,基幹部門から3件,利用・開発部門から1件を研究業績
説明書に示した。
(1)海洋温度差発電の高性能化と実証(業績番号4)
・当センターで開発した技術の移転により,実海水のみを用いた"世界唯一"の「海
洋温度差発電実証プラント」
(沖縄県久米島)が発電に成功した。この成果で,
「海
洋深層水利用学会 学術賞(平成 25 年)
」を受賞した。
・大型プロジェクトを受託し,世界で初めて,新発電システム(15kW2段ランキン
サイクルシステム)を構築した。
・共同研究・共同利用の特筆すべき成果として,沖縄県久米島周辺海域等の海域調
査を水産大学校と実施しデータを公開している。
・地域・社会の発展に貢献した点として,沖縄県及び久米島町が進める「久米島モ
デル」に対し,中心的な役割を担い、深層水利用の新しいモデルとして国内外に
示した。
(2)空気タービンを用いる振動水柱型波力発電装置の開発(業績番号3)
・振動水柱型の波力発電装置に用いる世界最高水準(Max45%)の新型タービンを開
発した。NEDOから,民間企業他と共同で大型プロジェクトを受託し,山形県
酒田市の沿岸固定型実証実験で,このタービンの有効性を示した。また,このタ
ービンを搭載した浮体型波力発電装置の高効率特性(Max30%)を大型水槽実験で
証明した。
(3)燃料電池自動車搭載タンクへの高圧水素急速充填に関する解析(業績番号2)
・高圧水素貯蔵タンク内の熱解析に提案した解析法が,水素ステーションから燃料
電池自動車に水素を安全に供給するための国際水素充填基準(SAE J2601 Protocol,
日本版 JPEC-S003(2014))の作成に利用され,国際的に非常に高い評価を得てい
る。
・地域・社会の発展に貢献した点として,燃料自動車の実用化を推進し,環境問題
解決へ寄与している。
(4)高性能の臨界流量計(業績番号1)
・燃料電池の高圧水素充填に関し必要となる臨界流量計の基礎的研究を行い,設計
に 有 用 な 成 果 を 得 た 。
( イ ン パ ク ト フ ァ ク タ ー が 工 学 雑 誌 と し て は 極 め て 高 い :
5-year Impact Factor---3.659 に掲載されている)
佐賀大学海洋エネルギー研究センター 分析項目II
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2.共同利用・共同研究を通じて得られた成果等
センターでの共同利用・共同研究を通じて得られた成果については,
(資料 12)の
とおりである。
資料 12 共同利用・共同研究を通じて得られた卓越した研究成果
( 出 典 : 海 洋 エ ネ ル ギ ー 研 究 セ ン タ ー 資 料 )
(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
1海洋温度発電に関しては,NEDOの再生可能エネルギー白書(平成 25 年度版)に
おいて,当センターの技術は「世界トップ水準にある」と評価されている。
2波力発電に関しては,
空気タービンの性能が世界最高効率(Max45%)を示した。
また,
浮体型装置も高効率の発電特性(Max30%)を示した。
3センターで開発した高圧水素充填に関する解析法が,国際的にも非常に高い評価を
得ている。
4共同利用・共同研究の成果に関しては,海洋温度差発電,波力発電,洋上風力発電
等に関して卓越した成果が得られ,海外ジャーナルに公表されている。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
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III 「質の向上度」の分析
1.分析項目I 研究活動の状況(1)「共同利用・共同研究拠点としての研究受け入れ体制の充実とサービス向上」
平成 26 年度に,潮流発電装置の性能評価に必要な回流水槽を導入し,潮流発電に
関する共同研究のサポート体制を整えた。同時に,当センターでも潮流発電の研究
開発をスタートさせた。これらの設備は,共同利用・共同研究拠点としての研究受
入体制充実に寄与し,第2期の採択課題数は 44 件/年(専任教員一人当たりの課題
数は 5件/年)となり,第1期の採択課題数 31 件/年と比べて 41%と増加した。よ
って,研究の質が向上していると判断できる。(2)「実証研究の推進と我が国の代表としての国際的な貢献」
政府が平成 26 年度から新たに推進する「海洋エネルギーの実証フィールド」に関
して,その設置および利用推進に貢献し,我が国における海洋エネルギーの実証研
究の推進に寄与した。当センターは,海洋エネルギーに関する我が国の代表として
担っているIEAとともに,平成 27 年度より,新たにIECにおいても当センター
長が我が国の代表を務めるなど,我が国の代表として国内の研究者コミュニティー
および関係機関の研究活動を推進している。
以上のことから,研究を通して,学内にとどまらず地域社会や国際的な貢献に我
が国代表として積極的に参画するなど研究の質の向上に繋がっていると判断できる。
2.分析項目II 研究成果の状況(1)「海洋温度差発電の研究成果」
当センターで開発した海洋温度差発電システムに関する技術が,沖縄県久米島の
実海域実証プラントの建設と世界に先駆けた発電の成功に生かされた。また,新し
い発電システム(2段ランキンサイクルシステム)を構築した。NEDOの再生可
能エネルギー白書(平成 25 年度版)において,当センターの海洋温度差発電の技術
は「世界トップ水準にある」と評価されている。
以上のことから,海洋温度差発電の実用化に向けた研究が,基礎的研究から実証
研究へとステージがあがり,技術面では外部から高い評価を得ていることにより高
い質を維持していると判断した。(2)「波力発電装置(振動水柱型)の開発
当センターで開発した世界最高効率の空気タービンが,山形県酒田市で実施され
たNEDOの沿岸固定型の実証実験プロジェクトで,所定の性能を示し実用化に貢
献した。また,このタービンを搭載した浮体型装置を開発し,水槽実験で高効率特
性(Max30%)を持つことを証明した。
以上のことから,当センターの開発したタービンが学内プロジェクトだけでなく,
N E D O プ ロ ジ ェ ク ト で 採 用 さ れ 高 い 成 果 を 残 す な ど 技 術 面 で 高 い 質 を 維 持 し て
いると判断した。

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