佐賀大学農学研究科

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10.農学研究科
I 農学研究科の教育目的と特徴 ・・・・・10-2
II 「教育の水準」の分析・判定 ・・・・・10-4
分析項目I 教育活動の状況 ・・・・・10-4
分析項目II 教育成果の状況 ・・・・・10-16
III 「質の向上度」の分析 ・・・・・・・・10-22
佐賀大学農学研究科
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I 農学研究科の教育目的と特徴
【農学研究科の教育目的と特徴】
昭和 45 年に設置された大学院農学研究科は,安全な食料の確保,健康な生活の維持,
各種生物の機能,多様な生物が共存できる環境の構築などについて教育と研究を通して,
多くの課題を解決できるリーダーとなる人材,社会のニーズに応えられる人材を養成する
ことを主たる教育目的としている。
【教育目標】
大学院農学研究科は,自ら課題を発見し,その課題を解決する能力を身につけることを最
大の目標として掲げ,社会に即応できる高度な専門職業人の養成を目指す。
生物資源科学専攻1専攻の下に,主コース5コース(応用生物科学コース・生物環境保全
学コース・資源循環生産学コース・地域社会開発学コース・生命機能科学コース)
,副コー
ス1コース(農業技術経営管理学コース)からなる。
1高い倫理意識と国際性豊かな教養を有し,情報収集・分析能力及び優れたコミュニケー
ション能力を活かして,企業や社会において指導的立場で能力を発揮できる専門職業人の
養成。
2生物資源の開発と機能解析,環境保全と持続的農業生産,生命化学と食糧科学,地域社
会の持続可能な開発などの分野で,先端的・応用的・実用的な能力を発揮できる高度な専
門職業人の養成。
3高度な農業技術と経営管理能力を有し,中・北部九州及びアジアの諸地域における地域
農業組織・企業・団体・行政・研究所等の職場で,実行力のある指導的立場で活躍できる
高度な専門職業人の養成。
【入学者の状況】
平成 22〜27 年度の入学者数は(表1)のとおりである。学部生の進学者数は平成 21 年
度(H22.3 卒業)42 人(42/152=27.6%)
,平成 22 年度(H23.3 卒業)58 人(58/163=35.6%),平 成 23 年 度 (H24.3 卒 業 )45 人 ( 45/167=26.9 % )
, 平 成 24 年 度 (H25.3 卒 業 )39 人
(39/158=24.7%)
,平成 25 年度(H26.3 卒業)41 人(41/159=25.8%)
,平成 26 年度(H27.3
卒業)51 人(51/163=31.3%)であり,変動に一定の傾向はない。学部から本学大学院への
入学者は平成 22 年度 38(学部の進学者数との差:-4)人,平成 23 年度 40(-18)人,平
成 24 年度 43(-2)人,平成 25 年度 34(-5)人,平成 26 年度 36(-5)人,平成 27 年
度 44(-7)人であり,他大学院等への転出の影響もあるが,他大学からの入学者は平成
22 年度6人,平成 23 年度2人,平成 24 年度7人,平成 25 年度3人,平成 26 年度1人,
平成 27 年度5人であった。地球科学特別コース(留学生対象)には,平成 22〜24 年度に
6人が入学している。
表1 農学研究科の入学者数
生 物 資 源 科 学 専 攻 募 集 人 員
入 学 者 数
22 年 度 23 年 度 24 年 度 25 年 度 26 年 度 27 年 度
一 般 選 抜 40 41 40 47 35 36 45
社 会 人 選 抜 若 干 人 1 0 1 0 0 0
外 国 人 選 抜 若 干 人 2 2 2 2 1 4
計 40 44 42 50 37 37 49
【副コース:農業版MOT教育の概要】
本教育プログラムは,修士課程の学生を対象とする「高度な農業技術経営管理者」を育成
するもので,農業版MOT教育によって高度な農業技術と経営管理能力を有し,中・北部
九州及びアジアの諸地域における地域農業組織・企業・団体・行政・研究所等の職場で,
指導的立場で活躍できる高度な専門職業人の養成を行うものである。そこで,本研究科生
物資源科学専攻の副コース(農業技術経営管理学コース)において,近年の農業法人や集
佐賀大学農学研究科
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落営農組織体の増加,農地法改正に伴う農業への企業参入及びWTOやFTAなどの地域
的・国際的な農業・社会情勢に柔軟に対応でき,アジアの途上国を含む地域農業生産と農
村の振興に向けてリーダーシップを発揮する農業のプロフェッショナルの育成を目指すも
のである。
【想定する関係者とその期待】
農学研究科の教育目標と特徴と対比して,農学研究科関係者と関係者の期待を,次の通
り想定している(表2)。表2 農学研究科が想定する関係者と関係者の期待
想 定 す る 関 係 者 関 係 者 の 期 待
入 学 志 願 者 研 究 科 の 教 育 目 的 ・ 目 標 の 分 か り や す い 公 表
在 学 生 学 生 の 期 待 に 応 え る 体 系 的 な カ リ キ ュ ラ ム の 編 成
学 生 の 学 習 意 欲 に 応 え る , 分 か り や す い 授 業 の 提 供
学 生 が 学 習 し や す い 環 境 の 整 備
修 了 生 社 会 人 と し て 活 躍 す る た め に 必 要 な 教 養 と 専 門 知 識 の 修 得
修 了 後 も 相 談 に の れ る 研 究 科 の 体 制 整 備
在 学 生 の 保 護 者 ( 家 族 ) 学 生 に 対 す る 良 好 な 学 習 環 境 の 提 供 , 学 力 の 定 着 , 就 職 ・ 進学修 了 生 の 受 入 れ 企 業 ・
地 方 自 治 体 ・ 国
社 会 生 活 に 必 要 な 教 養 と 職 務 遂 行 に 必 要 な 基 礎 的 な 専 門 知 識
自 ら 学 び 取 る 積 極 性 を 持 つ 人 材 の 育 成
地 域 社 会 地 域 社 会 と 地 域 産 業 の 理 解 者 と , 地 域 の 担 い 手 の 育 成
本 学 の 教 職 員 本 学 お よ び 農 学 研 究 科 の 理 念 ・ 目 標 ・ 目 的 を 達 成 す る た め の
教 育 活 動 を 実 践 し や す い 組 織 ・ 制 度 の 整 備
佐賀大学農学研究科 分析項目I
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II 「教育の水準」の分析・判定
分析項目I 教育活動の状況
観点 1-1 教育実施体制
1-1-1 教員組織編成や教育体制の工夫とその効果
教員は,1専攻5コース7講座 39 教育研究分野のいずれかに所属し,研究指導適格審
査により研究指導教員あるいは研究指導補助教員として教育と研究指導を担当している。
教育研究分野の構成は,
「教育課程編成・実施の方針」に基づいてなされており,教育研究
に対する社会的な要請に弾力的に応えることができる(表3)。本学では,男女共同参画を推進しており,女性教員の積極的な登用により,平成 22〜26
年度に2人の女性教員の新規採用を行った。また既採用の女性教員1人のキャリア形成を
支援し,大学院担当資格取得を促した。さらに学校教育法の改正を受けて,講師・助教な
どの若手教員の大学院担当資格を厳格かつ積極的に認定し,大学院教育の質的改善を進め
ている。業績評価に基づく審査結果は,教員の昇格・昇給などに反映させている。外国人
教員1人が在職しており,日本人学生の視野の拡大・国際化において大きな役割を果たし
ている。留学生を対象とした英語による特別教育カリキュラムとして「地球科学特別コー
ス(前身は,国際環境学特別コース)
」を工学系研究科と共同で運営している。
表3 農学研究科の教育組織
専 攻 コ ー ス 講 座 教 育 研 究 分 野
生物資源科学応用生物科学
生物資源開発学
熱帯作物改良学,動物資源開発学,植物代謝解
析学,蔬菜花卉園芸学,果樹園芸学,植物遺伝
育種学
生物資源制御学
植物病制御学,
植物ウィルス病制御学,
線虫学,
昆虫学,システム生態学,動物行動生態学
生物環境保全学 生物環境保全学
地圏環境学,水環境工学,浅海干潟環境学,環
境地盤学,海浜環境情報学,生物環境学
資源循環生産学 資源循環生産学
農業生産機械学,生産システム情報学,施設農
業生産学,作物生態生理学,家畜医療応用学,
アグロフィールド保全学,植物遺伝資源学,資
源循環生物学
地域社会開発学 地域社会開発学
地域ビジネス開発学,
地域資源学,
人類生態学,
島嶼社会経済学
生命機能科学
生命化学
生化学,機能高分子化学,応用微生物学,
☆分子細胞生物学
食糧科学
生物資源利用学,食品化学,
食糧安全学,食品栄養化学,活性天然物学
☆ 総 合 分 析 実 験 セ ン タ ー の 教 員 の 担 当 分 野
( 出 典 : 農 学 研 究 科 「 履 修 案 内 」) 佐賀大学農学研究科 分析項目I
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1-1-2 多様な教員の確保の状況とその効果
農学研究科は,自然科学と社会科学の融合を特色とする農学の教育と研究を推進するた
めの教員組織の構築に努めてきた。
農学部教員(アグリ創成教育研究センター教員を含む)および総合分析実験センターの
教員で組織されている農学研究科は,各教員の専門を活かした教育を担当している。大学
院 担 当 資 格 を 持 つ 教 員 数 の 構 成 は ,
( 表 4 ) の 通 り で あ り , 専 攻 の 入 学 定 員 と 各 コ ー ス 在
籍学生数は(表5)の通りである。
表4 農学研究科の大学院担当教員数
コ ー ス 名 講 座 数
教 育 研 究
分 野 数
大 学 院 担 当 教 員 数
教 授 准 教 授 講 師 助 教 合 計
応 用 生 物 科 学 2 1 2 8 (*
1) 7 (* *
1) * * *
1 0 1 6
生 物 環 境 保 全 学 1 6 2 5 (* *
1) 0 * * *1 8資 源 循 環 生 産 学 1 8 6 3 * * *
2 0 1 1
地 域 社 会 開 発 学 1 4 4 2 (* *
1) 0 0 6
生 命 機 能 科 学 2 9 6 6 * * *
1 * * *
1 1 4*外 国 人 教 員 数 ・ * *
女 性 教 員 数 ・ * * *
研 究 指 導 補 助 教 員 数 を 示 す 。
( 出 典 :平 成 27 年 度 大 学 院 履 修 案 内 )
1-1-3 入学者選抜方法の工夫とその効果
農学研究科を構成する1専攻5コースの教育目的にそったアドミッションポリシー【求
め る 学 生 像 】,【 入 学 者 選 抜 の 基 本 方 針 】 を 策 定 し ,
( 表 6 ) そ れ に基 づ い た 入 学 者 の 選 抜
を実施している。
表6 農学研究科 1 専攻 5 コースのアドミッションポリシー
しかく 生 物 資 源 科 学 専 攻
【 求 め る 学 生 像 】
農 学 を 基 盤 と し た 人 類 の 生 存 に 必 要 な 食 料 , 環 境 ,資 源・エ ネ ル ギ ー , 経 済・社 会 ・
文 化 , 生 命 な ど に 関 わ る 5 つ の 教 育 研 究 コ ー ス を 擁 し て い ま す 。 本 研 究 科 は , 科 学 技 術
の 高 度 化 ・ 国 際 化 を 踏 ま え つ つ , 各 コ ー ス に お け る 学 習 と 研 究 を 通 じ て 当 該 専 門 分 野 に
お け る 専 門 職 業 人 又 は 研 究 者 と し て の 知 識 ・ 技 能 を 高 め , リ ー ダ ー と し て 社 会 に 貢 献 す
る 人 材 を 育 成 し ま す 。 そ の た め に , 以 下 に 示 す よ う な 学 生 を 求 め て い ま す 。
1 専 門 分 野 に お け る 基 礎 知 識 を 持 ち , か つ 明 確 な 問 題 意 識 を 持 つ 人
2 研 究 課 題 に 取 り 組 む 旺 盛 な 意 欲 と 研 究 を 貫 徹 す る 実 行 力 の あ る 人
3 語 学 力 な ら び に 高 い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 有 す る 人
4 本 研 究 科 で の 研 究 を 通 じ て 社 会 に 貢 献 し よ う と い う 意 識 の 高 い 人
5 農 学 系 大 学 院 博 士 後 期 課 程 に 進 学 し て , 農 学 関 連 の 研 究 者 や 専 門 技 術 者 を 目 指 す 人
1 応 用 生 物 科 学 コ ー ス:有 用 な 動 植 物 の 育 種 開 発 な ら び に 生 物 制 御 機 構 の 解 明 と 応 用 を
中 心 と し た バ イ オ サ イ エ ン ス に 関 す る 知 識 の 修 得 と 研 究 を 志 す 人
2 生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス:環 境 負 荷 の 少 な い 生 物 生 産 環 境 の 創 出 と 保 全 な ら び に 地 球 レ
ベ ル か ら 地 域 ま で の 幅 広 い 保 全 と 創 造 に 関 す る 知 識 の 修 得 と 研 究 を 志 す 人
表5 専攻の入学定員及び各コースの在籍学生数
平成27年5月1日 現 在
専 攻 入 学 定 員 1 年 次 2 年 次 計
生 物 資 源 科 学 専 攻 40 49 36 85
( 女 子 学 生 数 ,留 学 生 数 ) - ( 21,4) ( 12,1) ( 33,5)
( 出 典 : 佐 賀 大 学 概 要 )
佐賀大学農学研究科 分析項目I
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3 資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス:資 源 循 環 型 の 生 物 生 産 シ ス テ ム の 構 築 な ら び に 環 境 に 配 慮 し
た 農 産 ・ 加 工 と バ イ オ エ ネ ル ギ ー 開 発 に 関 す る 知 識 の 修 得 と 研 究 を 志 す 人
4 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス : 農 林 水 産 に 関 す る 政 策 ・ 流 通 経 済 ・ 経 営 管 理 シ ス テ ム , 農
村 の 社 会 構 造 と 集 落 維 持 シ ス テ ム な ら び に 産 業・地 域 開 発 に 伴 う 環 境 問 題 と 健 康 問 題 に 関
す る 知 識 の 修 得 と 研 究 を 志 す 人
5 生 命 機 能 科 学 コ ー ス:生 命 現 象 と 遺 伝 機 能 の 化 学 的 解 明 な ら び に 生 物 の 機 能 性 を 利 活
用 し た 食 品 の 製 造 ・ 貯 蔵 な ど に 関 す る 知 識 の 修 得 と 研 究 を 志 す 人
( 出 典 : ア ド ミ ッ シ ョ ン セ ン タ ー ホ ー ム ペ ー ジ )
【 入 学 者 選 抜 の 基 本 方 針 】
農学研究科の教育・研究理念に基づき,教 育 目 的・教 育 目 標・教 育 方 針 に 沿 っ た 人 材 を 育
成 す る た め に ,開 放 性 ,客 観 性 ,公 平 性 を 旨 と し た 多 様 な 入 試 方 法 と 多 面 的 な 評 価 方 法 に
よ り 入 学 者 を 受 け 入 れ ま す 。
一 般 入 試 : 入 学 の 機 会 を 広 く 保 障 す る た め に ,大学院受験資格を有する全ての者を対象とし
た一般入試を行います。本入試では,大学院で学ぶために必 要 な 基 礎 学 力 ,専門分野の専門的
知識及び研 究 遂 行 能 力 等 を 有 し て い る か を , 外国語と専門科目に関する筆記試験及び成 績 証
明 書 に よ っ て 評 価 し ま す 。ま た ,各 コ ー ス に 対 す る 明 確 な 志 望 動 機 や 入 学 後 の 研 究 意 欲 等
を , 面 接 試 験 と 志 望 理 由 書 に よ っ て 評 価 し ま す 。
社 会 人 特 別 入 試:大学卒業後に社会における専門分野の職業経験を持つ者を対象とした社会人
特別入試を行います。本入試では,大学院で学ぶために必 要 な 基 礎 学 力 ,専門分野の専門的知
識及び研 究 遂 行 能 力 等 を 有 し て い る か を ,研 究 計 画 書 ,研究業績書を踏まえた口述試験及び
成 績 証 明 書 に よ っ て 評 価 し ま す 。ま た ,各 コ ー ス に 対 す る 明 確 な 志 望 動 機 や 入 学 後 の 研 究
意 欲 等 を , 面 接 試 験 と 志 望 理 由 書 に よ っ て 評 価 し ま す 。
外 国 人 留 学 生 特 別 入 試:外 国 人 留 学 生 に 対 す る 入 学 の 機 会 を 保 障 す る た め に ,外 国 人 留 学
生入試を行います。本入試では,大学院で学ぶために必 要 な 基 礎 学 力 ,専門分野の専門的知識
及び研 究 遂 行 能 力 等 を 有 し て い る か を ,
口 述 試 験 と 成 績 証 明 書 に よ っ て 評 価 し ま す 。
ま た ,
各 コ ー ス に 対 す る 明 確 な 志 望 動 機 や 入 学 後 の 研 究 意 欲 等 を ,
面 接 試 験 と 志 望 理 由 書 に よ っ
て 評 価 し ま す 。
( 出 典 : 農 学 研 究 科 募 集 要 項 )
な お 多 様 な 学 生 の 入 試 機 会 を 保 障 す る た め , 一 般 選 抜 ( 1 次 , 2 次 )
, 社 会 人 特 別 選 抜 お よ び 外 国 人
留 学 生 特 別 選 抜 を 実 施 し て い る 。そ の ほ か ,留 学 生 を 対 象 と し た 英 語 で 教 育 と 研 究 指 導 を 行 う「 地 球 科
学 特 別 コ ー ス 」 を 工 学 系 研 究 科 と 共 同 で 設 置 し て い る 。
特 に 社 会 人 や 留 学 生 の 受 け 入 れ を 促 進 す る た め に ,秋 季 入 学 制 度 の 導 入 を 検 討 し ,秋 季 入 学 に 向 け た
カ リ キ ュ ラ ム 編 成 の 点 検 を 行 い , 通 年 制 を セ メ ス タ ー 制 に 見 直 す な ど の 改 善 を 行 い , 平 成 22 年 度 よ り
実 施 し た 。 こ れ に よ り , 平 成 22〜 27 年 度 に お い て 入 学 者 6 人 /志 願 者 19 人 と 一 定 の 増 員 効 果 が 見 ら れ
た 。
( 出 典 : 秋 季 入 学 制 度 に よ る 入 学 者 の 受 け 入 れ 状 況 )
1-1-4 教員の教育力向上や職員の専門性向上のための体制の整備とその効果
農学研究科の教育課程の編成や教育方法等の改善に係る重要事項は,各専攻から選出さ
れた教員で構成される大学院教育委員会で審議され,具体的な方策等が関係教員に周知さ
れている。ファカルティ・ディベロップメント(以下,FDと略す。
)の立案は農学部FD
専門委員会が担当している。農学部FD専門委員会は,大学教育委員会FD専門委員会,
と全学教育機構高等教育開発室が担当している大学全体のFD活動と連携しながら,FD
を 実 施 し て き た ( 表 7 )
。 本 委 員 会 は , 農 学 部 教 育 委 員長 , 農 学 部 教 育 委 員 , 大 学 院 教 育
委員会委員,及び農学部FD専門委員会が推薦する教員で構成されており,学部と大学院
の接続を視野に入れたFDを実施できる体制になっている。
佐賀大学農学研究科 分析項目I
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表7 平成22-27年度農学部・農学研究科におけるFD活動一覧
年 度 実 施 日 時 ・ 内 容 ・ 講 演 者 FD 効 果
2 2 7/7( 水 )
:F D 研 修 会( 西 郡 ア ド ミ ッ シ ョ ン
セ ン タ ー 准 教 授 )
本 学 の FD へ の 取 り 組 み に つ い て 理
解 を 深 め た
10/20( 水 )
:F D 研 修 会( 滝 澤 ポ ー ト フ ォ リ
オ 専 門 委 員 長 )
本 学 の ポ ー ト フ ォ リ オ シ ス テ ム に
つ い て 理 解 を 深 め た
11/10( 水 )
: 知 財 セ ミ ナ ー (ホ エ ブ ス 代 表 取
締 役 川 上 由 基 人 )
知 財 に つ い て 理 解 を 深 め た
12/1( 水 )
:佐 賀 大 学 学 士 力 に つ い て (大 石 高
等 教 育 開 発 セ ン タ ー 長 )
本 学 の 学 士 力 に つ い て 理 解 を 深 めた2 3 7/6( 水 )
:テ ィ ー チ ン グ ポ ー ト フ ォ リ オ に つ
い て ( 滝 澤 ポ ー ト フ ォ リ オ 専 門 委 員 長 )
本 学 の テ ィ ー チ ン グ ポ ー ト フ ォ リ
オ シ ス テ ム に つ い て 理 解 を 深 め た
7/20( 水 )
:TA 研 修 会( 小 林 恒 夫 教 授・長 裕
幸 教 授・光 富 勝 教 授:鹿 児 島 大 学 大 学 院 連 合
農 学 研 究 科 連 大 代 議 員 )
テ ィ ー チ ン グ ア シ ス タ ン ト 制 度 の
活 用 の 仕 方 に つ い て 理 解 を 深 め た
10/19( 水 )
: ハ ラ ス メ ン ト ~思 い や り の な い
行 動 ~( 佐 藤 武 教 授 : 佐 賀 大 学 保 健 管 理 セ ン
タ ー 長 )
ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 理 解 を 深 めた11/9( 水 )
: 最 近 の 大 学 生 を ど う 理 解 し , 対
応 す る か( 安 田 郁:佐 賀 大 学 保 健 管 理 セ ン タ
ー ・ カ ウ ン セ ラ ー )
学 生 へ の 理 解 ・ ・ 対 応 の 仕 方 に つ
い て 理 解 を 深 め た
2 4 8/10( 金 )
:TA 研 修 会( 長 裕 幸 教 授:鹿 児 島
大 学 大 学 院 連 合 農 学 研 究 科 連 大 代 議 員 )
テ ィ ー チ ン グ ア シ ス タ ン ト 制 度 の
活 用 の 仕 方 に つ い て 理 解 を 深 め た
9/5( 水 )
:佐 賀 大 学 の EA21 活 動 の 現 状 と 課
題 ( 佐 賀 大 学 EA21 委 員 )
本 学 の エ コ ア ク シ ョ ン 2 1 へ の 取
り 組 み に つ い て 理 解 を 深 め た
1/23( 水 )
: 卒 論 ・ 修 論 教 育 な ど ス ト レ ス 時
の 学 生 へ の 対 応 及 び ス ト レ ス 解 消 法
( 山 内 一
祥 助 教 : 全 学 教 育 機 構 特 任 助 教 )
卒 論 ・ 修 論 教 育 に お け る 学 生 へ の
対 応 に つ い て 理 解 を 深 め た
2 5 6/12( 水 )
: 佐 賀 大 学 の EA21
活 動 の 現 状 及 び 農 学 部 に お け る 節 電 対 策 に
つ い て ( 近 藤 文 義 : 農 学 部 安 全 衛 生 委 員 会
EA21 担 当 )
本 学 の エ コ ア ク シ ョ ン 2 1 へ の 取
り 組 み と 本 学 部 で の 問 題 点 に つ い
て 理 解 を 深 め た
7/3( 水 )
:T A 研 修 会( 稲 岡 司 教 授・野 間 口
眞 太 郎 教 授・石 丸 幹 二 教 授:鹿 児 島 大 学 大 学
院 連 合 農 学 研 究 科 連 大 代 議 員 )
テ ィ ー チ ン グ ア シ ス タ ン ト 制 度 の
活 用 の 仕 方 に つ い て 理 解 を 深 め た
1/22( 水 )
: こ の 時 期 , 学 生 を ど の よ う に 支
援 し ,
研 究 の 進 展 を 促 す か 〜 そ の 取 組 方 法 に
つ い て 〜 (山 内 一 祥 氏 :全 学 教 育 機 構 高 等 教
育 開 発 室 )
学 生 教 育 と 研 究 推 進 の 取 り 組 み 方
に つ い て 理 解 を 深 め た
2 6 7/16( 水 )
:T A 研 修 会 (野 間 口 眞 太 郎 教 授 ・
石 丸 幹 二 教 授・鈴 木 章 弘 教 授:鹿 児 島 大 学 大
学 院 連 合 農 学 研 究 科 連 大 代 議 員 )
テ ィ ー チ ン グ ア シ ス タ ン ト 制 度 の
活 用 の 仕 方 に つ い て 理 解 を 深 め た
1/14( 水 )
: 初 等 教 育 へ の e ラ ー ニ ン グ 教 材
導 入 に つ い て( 久 家 淳 子 氏 ,穂 屋 下 先 生:e
ラ ー ニ ン グ ス タ ジ オ )
初 等 教 育 へ の e-ラ ー ニ ン グ の 活 用
に つ い て 理 解 を 深 め た
1/22( 水 )
:FD 講 演 会:こ の 時 期 ,学 生 を ど
の よ う に 支 援 し ,
研 究 の 進 展 を 促 す か 〜 そ の
取 組 方 法 に つ い て 〜 (山 内 一 祥 氏 :全 学 教 育
機 構 高 等 教 育 開 発 室 )
卒 業 研 究 , 修 士 研 究 時 の 指 導 方 法
に つ い て , 最 近 の 大 学 生 の 特 性 を
踏 ま え た 対 応 策 に つ い て 理 解 を 深
め た
2 7 9/9( 水 )
:FD 講 演 会:
「 佐 賀 大 学 に お け る 障
害 学 生 支 援 の 現 状 と 課 題 」
参 加 者 43 人 が ,佐 賀 大 学 に お け る
障 害 学 生 支 援 に つ い て 理 解 を 深 めた3/4( 水 )
:FD 講 演 会:
「 キ ャ リ ア セ ン タ ー の
就 職 活 動 支 援 状 況 と 学 生 へ の 進 路 指 導 」
参 加 者 45 人 が ,キ ャ リ ア セ ン タ ー
の 就 職 活 動 支 援 状 況 と 学 生 へ の 進
路 指 導 に つ い て 理 解 を 深 め た
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
佐賀大学農学研究科 分析項目I
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1-1-5 教育プログラムの質保証・質向上のための工夫とその効果
「大学院課程における教育の質保証に関する方針」及び「大学院課程における教育の質
保証の推進に係るガイドライン」に基づき,教育プログラムお及び教育・研究指導プロセ
スの検証を行い,次のような改善と質の向上に取り組んでいる。
・主指導教員に加えて副指導教員を置き,複眼的に教育・研究指導を行うことにより教育・
研究指導プロセスの改善を図るために,研究科規程を改正して全てのコースで複数指導
教員体制を敷いた。
・ラーニング・ポートフォリオのシステムを大学院生にも導入し,本システムを活用して
「研究指導実施指導報告書」を作成し,個別教育研究指導プロセスの充実を行っている。
この報告書は,まず指導教員が学生と相談の上で学期の初めに立てた研究指導計画をシ
ステムに入力する。学生は当該学期終了までに研究実施の経過・内容等の報告をシステ
ムに入力し,指導教員はこの報告に基づいて当該学期の研究進捗の点険・評価を行って
システムに入力する。さらに次の学期には先の点検・評価に基づき,新たな研究指導計
画を立てシステムに入力する。このプロセスを入学年次から修了年次まで繰り返すこと
で,研究の指導と実施の過程を記録として可視化するとともに,教育研究指導プロセス
の質の保証と向上を図るものである。
・大学院修了に相応しい力を養成するために,大学院新入生に対するガイダンスや,学生
支援機構第1種奨学金返還免除の説明会などを活用して,第三者が見て分かる実績(学
会発表,論文発表等)を積極的に積むように指導し,学修・研究へのモチベーションを
高めている。
・成績評価は,成績評価基準に基づき,平素の学修状況,出席状況,学習報告,論文及び
試験等を総合的に判断して,秀・優・良・可・不可の 5 段階で評価し,かつGPAを導
入している。
・修了時の学業の成果を保証する手段の一つとして,
「研究指導実施指導報告書」の内容の
確認を学位授与の審査要件としている。
(水準)
教育の実施体制は,期待される水準にある。
(判断理由)
1. 研究科規程を改正して,全てのコースで主指導教員に加えて副指導教員を置き,複数
指導教員体制を敷いた。
2. ラーニング・ポートフォリオのシステムを導入し,研究の指導と実施の過程を記録と
して可視化するとともに,個別教育研究指導プロセスの質の保証と向上を図っている。
3. 学 生 支 援 機 構 第 1 種 奨 学 金 返 還 免 除 の 説 明 会 な ど を 活 用 し て , 実 績 ( 学 会 発 表 , 論 文
発表等)を積極的に積むように指導し,学修・研究へのモチベーションを高めている。
4. 成 績 評 価 基 準 に 基 づ き , 論 文 お よ び 試 験 等 を 総 合 的 に 判 断 し て , 秀 ・ 優 ・ 良 ・ 可 ・ 不
可の5段階で評価し,かつGPAを導入している。
5. 「研究指導実施指導報告書」の内容の確認を学位授与の審査要件としている。
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-9-
観点 1-2 教育内容・方法
1-2-1 体系的な教育課程の編成状況
研究科を構成する1専攻5コースは,教育目的の応じた「学位授与の方針」および「教
育課程編成・実施の方針」を教育課程において策定している(表8)。「教育課程編成・実施の方針」に従い,平成 22 年度の改組に伴って,広い視野を養うた
めの5コース横断型の専攻共通科目(必修;農学総合講義)
,コース別に基礎教育及び研究
分野に関する知識と問題解決能力を涵養するための基礎教育科目(必修;応用生物科学特
論,生物環境保全学特論,作物生産学特論,生命機能科学特論,農業経済学特論)
,専門教
育科目,特別演習(必修)及び研究科間共通科目に再編成し,カリキュラムマップを通じ
て学生に周知している。
修了要件は,本研究科に2年以上在学して 30 単位以上を修得し,かつ必要な指導を受け
た上,修士論文の審査及び最終試験に合格することである。学位の種類は,修士(農学)
である。修士論文の評価は,主査(1人)と副査(2人以上)の教員が行い,各教員が 100
点満点(修士論文の内容 50 点,発表会の内容 50 点)で採点し,その平均点が 60 点以上を
合格とする。最終試験は,主査と副査の教員が行い,各教員が 100 点満点で採点し,その
平均点が 60 点以上を合格とする。
表8「学位授与の方針」及び「教育課程編成・実施の方針」
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-10-
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
1-2-2 社会のニーズに対応した教育課程の編成・実施上の工夫
多様なニーズをもつ学生を教育するため,修了要件である 30 単位中 10 単位を指導教員
と相談の上,他専攻や他研究科が開講する科目を履修することができる。また,社会的な
要 求 か ら 夜 間 開 講 の 体 制 を 整 備 し , 社 会 人 の 受 入 を 可 能に し て い る ( 表 9 )
。単 位 互 換 に
ついては,鹿児島大学大学院連合農学研究科の構成大学間で行えるよう次のように整備し
ている。
社会人を対象に夜間開講する農業版MOT教育は平成 26 年度より新しい取組を開始し
た。
1MOTカリキュラムを新規拡充し,農業技術経営管理学概論,経営者論,6次産業化
戦略論,実践マーケティング論,佐賀農業論,アグリ・イノベーション論I・II,農業技術
経営管理学特別講義,農業技術経営管理学演習を新たに開設
2実践家及びMOT卒業生を外部講師として招聘
3ICT活用の教育システム(e-learning による学修)を導入
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-11-
表9 夜間開講する農業版MOT教育への社会人受講者の推移
区 分 平 成 22 年 平 成 23 年 平 成 24 年 平 成 25 年 平 成 26 年 平 成 27 年 合 計
社会人 12 12 9 6 12 9 60
( 出 典 : 農 業 版 M O T ス テ ア リ ン グ 委 員 会 資 料 )
1-2-3 国際通用性のある教育課程の編成実施上の工夫
国際性素養教育プログラムとして,留学生向けのアグロサイエンス特論及びアグロサイ
エンス特別演習を開講し,平成 22〜27 年度まで延べ9人の留学生が受講している。また,
日本人学生の語学力向上の目的で,平成 27 年度より研究科共通科目「学術英語特論」を必
修科目として開講し,平成 27 年度では 41 人の大学院生が受講している(表 10)。表 10 平成 22〜27 年度学術英語及び留学生向けの開講科目の受講者数
科 目 名 H22 H23 H24 H25 H26 H27 合 計
学 術 英 語 特 論 --- --- --- --- --- 41 41
ア グ ロ サ イ エ ン ス 特 論 0 0 2 0 0 3 5
ア グ ロ サ イ エ ン ス 特 別 演 習 0 0 1 1 0 2 4
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
1-2-4 養成しようとする人材像に応じた効果的な教育方法の工夫
各授業科目の授業形態は,学則,農学研究科規程,及び履修細則に基づき,農学研究科
の基本理念・特色を踏まえている。各コースは,それぞれの分野の特性に応じた構成を取
り,バランスにも配慮し,体系的に授業を行っている。
履修方法は,2年間を通して行う「特別研究」
,研究科必修の「専攻共通科目」
(1科目)
及び研究科選択必修の「基礎教育科目」
(2科目)に加えて,専門科目に各コースの「コー
ス必須科目(0〜2科目)」「コース選択科目(4〜7科目)
」「自由選択科目(0〜2科目)」
を合わせて 30 単位以上を履修することとし,各コースとも,履修モデルを示している。各
モデルとも,1年春期ABに 12-13 単位,秋期ABに 10-13 単位取得できるようにバラン
スよく開講している(表 11)。2年次は演習および特別研究を実施している。
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-12-
表 11 農学研究科における履修モデル
( 1 ) 応 用 生 物 コ ー ス
( 2 ) 生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス
佐賀大学農学研究科 分析項目I
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( 3 ) 資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス
( 4 ) 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-14-
( 5 ) 生 命 機 能 科 学 コ ー ス
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
履修手続きは,ウェブによる履修登録としている。講座の内容,教育研究分野の内容お
よび授業科目の概要は,入学時に配布される大学院履修案内に掲載するとともに,ウェブ
上に掲載している。農学研究科の講義,演習,実験実習は基本的に少人数教育であり,演
習科目では対話・討論型授業やフィールド型授業を実施している。
全科目のシラバスは,本学共通のシラバス作成要領に従って作成され,オンラインシラ
バスとしてホームページに掲載している。シラバスには,担当教員名・授業科目名・開講
学期・開講曜日・時限などに加えて,授業計画・履修上の注意・成績評価の方法と基準・
教科書・参考書・オフィスアワーを記している。学生は,シラバスにより,履修する授業
科目の内容等を知り,履修科目を選択できる。教員は,授業の初回に,シラバスを用いて,
授業内容・成績判定基準などを説明している。受講生は,シラバスと授業の内容が一致し
ているかという観点から授業評価を行っている。
開講科目は,入学時に配布する大学院履修案内に掲載されており,オンラインシラバス
は,開講年度ごとに更新している。受講する学生は,履修モデルを参考にして受講科目を
決めることができる。
1-2-5 学生の主体的な学習を促すための取組
入学生を対象に,主体的な学習を促すためのガイダンスを実施し,履修モデルを紹介し,
授業科目の選択,
受講方法,
履修方法,
修了認定基準及び学位授与について説明している。
成績評価基準は,
「履修の手引き」に明記するとともに,学生全員に配布している。
入学者の1割強を占める他大学からの入学者の多くは,農学研究科教員の研究内容に惹
かれて入学しているため,学習上および研究遂行上の障害は少ないが,必要に応じて教員
は,特別の指導(補完的な教育や研究方法の指導)を実施している。
多くの教育研究分野では,学生に研究室内に机を与えているが,複数分野では,学生専
佐賀大学農学研究科 分析項目I
-10-15-
用の演習室を確保している。附属図書館には,閲覧スペースとグループ学習室があり,学
生はパソコンによる図書・文献の検索や読書などを自由に行える。さらに,学生の読書意
欲を高めるために,学生による選書制度を導入している。また,学生はインターネットに
よる情報収集を,総合情報基盤センターでも自由に行える。
TAに応募させ,教員のもとで学生の教育指導法を学ぶとともに,教員及び学生とのコ
ミュニケーション能力を養っている。農学研究科の主要な柱である特別研究は,指導教員
と相談して研究テーマを定め,実施計画書を作成して研究を実施し,その成果を学位論文
として取りまとめている。
(水準)
教育内容・方法の状況は,期待される水準にある。
(判断理由)
1. 本 研 究 科 の 基 本 理 念 ・ 特 色 を 踏 ま え , 各 コ ー ス に お い て そ れ ぞ れ の 分 野 の 特 性 に 応
じて,バランスにも配慮された体系的授業構成が取れている。
2. 各 授 業 科 目 の 授 業 形 態 は , 大 学 院 学 則 , 研 究 科 規 則 及 び 履 修 細 則 に 基 づ い て お り ,
少 人 数 教 育 , 対 話 ・ 討 論 型 授 業 や フ ィ ー ル ド 型 授 業 な ど 目 的 に 応 じ た 多 彩 な 工 夫 が
凝らされている。
3. 開 講 科 目 は , 入 学 時 に 配 布 す る 大 学 院 履 修 案 内 に 掲 載 し て い る が , オ ン ラ イ ン シ ラ
バスが,開講年度ごとに更新されている。
4.入学時のガイダンスで,授業科目の選択,受講方法,履修方法,修了認定基準及び学
位授与について説明がなされ,受講する学生が,履修モデルを参考にして受講科目を
決めることができるようになっている。
5.成績評価基準が,履修の手引きに明記され,冊子が学生全員に配布されている。
6. T A へ の 応 募 を 促 し , 教 員 の も と で 学 生 の 教 育 指 導 法 を 学 ぶ と と も に , 教 員 及 び 学
生とのコミュニケーション能力を養う体制がある。
7. 特 別 研究 は , 当 該講 座 に お ける 研 究 分 野に 関 す る テー マ 等 を 選定 し , 学 生が 指 導教
員 と 相 談 しな が ら 実 施計 画 を 作 成し て 研 究 を進 め ら れ るよ う に , 大学 院 教 育 委 員 会
委員や指導教員がきめ細かい履修指導をしている。
8. オ ン ラ イ ン シ ラ バ ス , 附 属 図 書 館 に お け る 学 術 雑 誌 の 閲 覧 , 複 写 な ど , 学 生 の 自 主
的な学習・研究に便宜が図られている。
佐賀大学農学研究科 分析項目II
-10-16-
分析項目II 教育成果の状況
観点 2-1 学業の成果
2-1-1 履修・修了状況から判断される学習成果の状況
農学研究科で修得した知識・技能などを職業生活で活すためのキャリア形成支援は,学
部1年生から大学院生に至るまで継続的に実施している。
授業評価アンケート調査の結果,
学習目標と授業科目の履修方法についての理解度は高く,過去6年間の全在籍者数に対す
る修了者の割合(修了率)は,平均 94.6%と非常に高い水準にある(表 12)。
表 12 農学研究科における年度別修了率
専 攻
22 年 度 23 年 度 24 年 度 25 年 度 26 年 度 27 年 度在籍者数修了者数修了率在籍者数修了者数修了率在籍者数修了者数修了率在籍者数修了者数修了率在籍者数修了者数修了率在籍者数修了者数修了率
生 物 資 源 科
学 専 攻
47 4085%
47 4596%
42 4198%
51 5098%
40 3793%
36 36100%
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
2-1-2 資格取得状況,学外の語学等の試験の結果,学生が受けた様々な賞の状況から判断
される学習成果の状況
資格取得が可能な状況が確保されており,平成 22〜27 年度におけるに教員免許取得者
は6人であった(表 13)。
表 13 農学研究科における資格取得状況
年 度 種 別 人 数
22 高 等 学 校 教 員 免 許 2
23 - 0
24 - 0
25 高 等 学 校 教 員 免 許 1
26 高 等 学 校 教 員 免 許 3
27 - 0
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
知識習得や研究実施だけではなく,論文作成能力やプレゼンテーション能力を磨けるカ
リキュラムの成果として,学術論文の筆頭執筆や学術集会での表彰を受けた学生が多数い
る(表 14)。
表 14 農学研究科学生の表彰状況
年 度 コ ー ス 名 表 彰 内 容
22 (資 源 循 環 生 産 学 ) 新 酵 母
( TCR7)
の 開 発 と 筆 頭 著 者 で の 英 語 論 文 の 発 表 (Horie k,
et al. Biosci. Biotechnol. Biochem., 74:843-847, 2010.)
( 応 用 生 物 科 学 ) 第 54 回 日 本 応 用 動 物 昆 虫 学 会 全 国 大 会 ポ ス タ ー 賞
23 (生 命 機 能 科 学 ) 第 64回 日 本 栄 養 ・ 食 糧 学 会 九 州 支 部 大 会 優 秀 発 表 賞
( 生 命 機 能 科 学 ) 第 35回 蛋 白 質 と 酵 素 の 構 造 と 機 能 に 関 す る 九 州 シ ン ポ ジ ウ ム
で 最 優 秀 ポ ス タ ー 賞
( 資 源 循 環 生 産 学 ) 平 成 24 年 度 日 本 醸 造 協 会 技 術 賞
24 (生 命 機 能 科 学 ) 日 本 栄 養 ・ 食 糧 学 会 九 州 大 会 優 秀 発 表 賞
25 (生 物 環 境 保 全 学 ) 土 壌 物 理 学 会 優 秀 ポ ス タ ー 賞
佐賀大学農学研究科 分析項目II
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( 資 源 循 環 生 産 学 ) 植 物 微 生 物 研 究 会 で 優 秀 発 表 賞
18th International Congress on Nitrogen Fixation で
Young Scientist Award土 壌 物 理 学 会 優 秀 ポ ス タ ー 賞
(資 源 循 環 生 産 学 ) 日 本 農 芸 化 学 会 ト ッ ピ ッ ク ス 賞 , Applied and Environment
Microbiology( 81:3688-3698, 2015) に 共 著 者 と し て 論 文 発表( 応 用 生 物 科 学 ) 平 成 25年 度 日 本 植 物 病 理 学 会 全 国 大 会 で 学 生 優 秀 賞
26 ( 応 用 生 物 科 学 ) 日 本 応 用 動 物 昆 虫 学 会 第 58 回 講 演 会 ポ ス タ ー 賞
27 ( 資 源 循 環 生 産 学 ) 日 本 農 芸 化 学 会 会 誌 「 化 学 と 生 物 」 に 第 1 著 者 で 論 文 発 表
( 生 物 環 境 保 全 学 ) 土 壌 物 理 学 会 優 秀 ポ ス タ ー 賞
( 生 物 環 境 保 全 学 ) 日 本 環 境 化 学 大 会
( 第 23 回 環 境 化 学 討 論 会 )
優 秀 学 生 賞
( SETAC
賞 )
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
2-1-2 学 業 の 成 果 の 達 成 度 や 満 足 度 に 関 す る 学 生 ア ン ケ ー ト 等 の 調 査 結 果 と そ の 分 析 結果授業に対する満足度を測るため,平成 18 年度後期より,
「大学院生による授業評価」を
開始し,教員による「授業点検・改善報告」を行って授業内容の充実に反映させている(表
15)。
表 15 授業評価報告の抜粋
年 度 項 目 評 価 内 容
2 2 授 業 内 容 の 理 解 授 業 内 容 の 理 解 に つ い て は ,前 期 は コ ー ス に 関 係 な く ,8 割以上の
院生が「 そ う 思 う 」,「全くその通りだと思 う 」と 回 答 し て お り ,大
半の学生からは授業内容についての理解が得 ら れ て い る と 考 え ら れ
る ,後 期 は ,保 全 コ ー ス ,地域コースで,そ の 割 合 は 減 少 し て お り ,
特に保全コースでは 5 割にとどまっている。
満 足 度 満 足 度 に つ い て は , いずれのコースにおいても, 前 後 期 を と お し て
役 9 割の学生が「そう思う」または「全くその通りだと思 う 」 と 回 答
し て お り , 大多数の学生は講義に対して満足感を得ていると考えられ
る。ただし,母数は小さいが,地 域 コ ー ス の 後 期 の み ,6 割が肯定的
な回答であった。
2 3 授 業 内 容 の 理 解 授 業 内 容 の 理 解 に つ い て は , 8割以上の院生が「そう思う」「全くそ
の通りだと思 う 」と 回 答 し て お り ,大半の院生からは授業内容につい
ての理解が得 ら れ て い る と 考 え ら れ る 。
満 足 度 満 足 度 に つ い て 肯 定 的 な 評 価 を し た 院 生 は , 応 用 生 物 コ ー ス
90.3%, 保 全 コ ー ス 86.9%, 資 源 コ ー ス 90.0%, 地 域 コ ー ス 68.4%,
生 命 機 能 コ ー ス 85.5%であった。よ っ て 大 多 数 の 院 生 は 講 義 に 対 し
て 満 足 感 を 得 て い る と 考 え ら れ る 。
2 4 授 業 内 容 の 理 解 授 業 内 容 の 理 解 に つ い て は , 「 そ う 思 う 」 と 回 答 し た 学 生 は 前 期
57.6%・ 後 期 56.1%であり, 「全くその通りだと思 う 」 と 回 答 し た 学
生 は 前 期 12.0%・後 期 9.4%であった。
こ の よ う に 6 割以上の学生が授
業内容についてある程度理解していたが,
よりいっそうの向上が必要で
あ ろ う 。
満 足 度 授 業から満足が得 ら れ た か と い う 質 問 に 対 し て は ,「 全 く そ う は 思
わ な い 」 あ る い は 「 そ う 思 わ な い 」 と 回 答 し た 学 生 は 前 期 6.5%・
後 期 6.2%であり,ほとんどの学 生 は 満 足 か ,あるいは不満足であると
は思っていないことが分 か っ た 。
2 5 授 業 内 容 の 理 解 授 業 内 容 の 理 解 は , 前 学 期 91%, 後 学 期 87%の学生が「そう思う」
「全くその通りだと思 う 」と 回 答 し て お り ,大半の学生が授業内容を
理解していると考えていることが確 認 さ れ た 。
満 足 度 授 業 の 満 足 度 は ,
前 学 期 81%,
後 学 期 89%の学生が「そう思う」「全
くその通りだと思 う 」と 回 答 し て お り ,適切なレベルが維持されてい
ることが確 認 さ れ た 。
佐賀大学農学研究科 分析項目II
-10-18-
2 6 授 業 内 容 の 理 解 授 業 の 内 容 を 理 解 し て い る (「全くその通りだと思 う 」
「 そ う 思 う 」)
と 回 答 し た 学 生 は , 前学期が, 地 域 社 会 開 発 学 は 96%と 高 く , 他 は
67〜 76%,後学期が 67〜 83%であった。学 科 別 に み る と ,生 物 環 境 保
全 学 コ ー ス は 前 学 期 66%か ら 後 学 期 は 83%に割合が向上した様子が
確認された。これは昨年度も同様の傾向が確 認 さ れ て お り , 前後学期
に開講される講義の種類による影響が大 き い と 考 え ら れ る 。
講 義 の 内
容 を 理 解 し て い な い (
「 全 く そ う は 思 わ な い 」
「 そ う は 思 わ な い 」)
と 回 答 し た 学 生 を 見 る と ,
生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス は ,
前 学 期 10.11%
であったものが後 学 期 に は 1.41%を 示 し , 著しい改善が認められた
が, これは前後期で開講されている講義の種類が異 な る こ と か ら , 科
目ごとの評価の違いが大きく影響していると考えられる。講義内容を
理解することが出 来 な か っ た と 回 答 さ れ た 科 目 に お い て は , 学生へ
の指導方法を検討する必要があると考 え ら れ る 。
満 足 度 前 学 期 の 結 果 を 見 る と , 応 用 生 物 科 学 科 68%, 生 物 環 境 保 全 学 コ
ー ス 61%, 資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス 79%, 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス
89%, 生 命 機 能 科 学 科 64%の 満 足 感 を 示 し た 。 後 学 期 は , 応 用 生 物
科 学 科 69%, 生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス 82%, 資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス
80%,地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス 58%,生 命 機 能 科 学 科 73%の満足感を示
した。地域社会管理学コースでは前学期と後学期の差が著 し い 結 果 と
な っ た 。
2 7 授 業 内 容 の 理 解
( 学 習 到 達 目 標
の 達 成 )
「全くその通りだと思 う 」 「 そ う 思 う 」 と 回 答 し た 学 生 は , 前 学 期
で は , 応 用 生 物 科 学 科 45%, 生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス 45%, 資 源 循
環 生 産 学 コ ー ス 59%, 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス 22%, 生 命 機 能 科 学
科 75%で あ っ た 。
地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス で 22%と 低 い 値 を 示 し た が ,
78%は「 ど ち ら と も 言 え な い 」と い う 回 答 で あ り ,必 ず し も 否 定 的
な 評 価 で は な か っ た 。 後 学 期 は , 応 用 生 物 科 学 科 81%, 生 物 環 境
保 全 学 コ ー ス 100%,資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス 79%,地 域 社 会 開 発 学
コ ー ス 70%, 生 命 機 能 科 学 科 92%で あ っ た 。 前 学 期 よ り も 後 学 期
で 到 達 目 標 の 達 成 度 が 向 上 し て お り , 後 述 す る 満 足 度 の 向 上 に つ
な が っ た も の と 推 察 さ れ た 。
満 足 度 前 学 期 の 結 果 を 見 る と , 応 用 生 物 科 学 科 58%, 生 物 環 境 保 全 学 コ
ー ス 45%, 資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス 76%, 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス
66%,生 命 機 能 科 学 科 97%の 満 足 感 を 示 し た 。後 学 期 は ,応 用 生 物
科 学 科 85%,生 物 環 境 保 全 学 コ ー ス 100%,資 源 循 環 生 産 学 コ ー ス
96%, 地 域 社 会 開 発 学 コ ー ス 80%, 生 命 機 能 科 学 科 100%の 満 足 感
を 示 し た 。 全 て の コ ー ス に お い て 前 学 期 よ り も 後 学 期 で 満 足 度 が
向 上 し て お り , 充 実 し た 教 育 が 行 わ れ た こ と が 示 さ れ た 。
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
(水準)
学業の成果状況は,期待される水準にある。
(判断理由)
1. 過去6年間の修了率は平均 94.6%と高い。
2. 高等学校教員免許の取得,学術論文の筆頭執筆や学術会議での表彰など成果があが
っている。
3. 授業評価アンケートの結果は,各コースの科目毎にきめ細かい評価と対応が行われ
てきたことで,大学院生による授業に対する満足度は概ね良好である。
佐賀大学農学研究科 分析項目II
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観点 2-2 進路・就職の状況
【進路・就職状況,その他の状況から判断される在学中の学業の成果の状況】
農学研究科の修了予定者に対する就職率(就職希望者数に対する割合)は,平成 22 年
度 96.4%,平成 23 年度 94.3%,平成 24 年度 100%,平成 25 年度 97.6%,平成 26 年度
93.8%,平成 27 年度 100%である。就職分野は,6年間でみると,食料品・飲料・飼料製
造業,進学,公務員等,サービス業・その他の順であり,特に各コースが掲げる教育目標
「高度職業人の養成」や「研究者の養成」等の特徴を反映して,化学産業・食品産業・教
育分野において指導的役割を果たす,専門的な能力を有する人材を多数輩出することが出
来ている(表 16)。表 16 生物資源科学専攻修了生の進
【 農業版MOT修了者の活躍】
農 業 版 M O T 教 育 の 1 つ の 成 果 と し て 修 了 生 に よ る 新 ビ ジ ネ ス が 着 実 に 芽 生 え て い る 。
平成 22〜27 年度で 58 人がMOT特別の課程を修了しているが,この間,新商品を開発し
販売につなげている者が農業者で6人,法人設立2人,食品産業の異業種が3人,障害者
支援センターを設立した教員が1人,新商品を開発し商品化を検討中の農業者が1人で,
計 13 人が新ビジネスに取り組んでいる。
具体的には平成 24 年度に
「光樹とまとジュース」,平成 25-26 年度に「しょうが飴玉」,「乾燥野菜」,「野菜パウダー」,「塩糀,エビ糀,糀ド
リンク・ストーク」
,ヤーコン茶を利用した「九美人」などの新商品が生まれ,平成 26 年
度には食品産業と農業者・行政が連携した「バイオマス・リンク in 佐賀」の提案と実践,
平成 27 年度にはMOT受講の教師が農業と福祉を連携した「障害者支援センター」の開設
に取組み,施設長として活躍している。また,農業経営の法人化についても平成 24 年度に
パートナーシップ型の農業経営を目指す「
(株)アグローバル」の設立,平成 26 年度には
大規模露地野菜経営を目指す「
(株)Plant Farm Japan」の設立など企業的農業経営に挑
戦している。MOT修了生の経営や地域での活躍が評価され,MOT1期生が平成 26 年に
全国豆類経営改善共励会で全国トップの農林水産大臣賞を,MOT4期生が「地球温暖化
防止活動環境大臣賞」
,MOT1・2期生の光樹とまと部会が「佐賀農業賞」を受賞するな
ど,MOT教育で培った斬新な経営感覚や人脈を生かして着実な成果が生まれている。さ
らにMOT2期生が韓国農水産大学校から国外現場指導教授に任命され,海外農業青年の
進 学 お よ び 就 職 先22年 度23年 度24年 度25年 度26年 度27年 度
合 計
進 学 10 4 1 4 2 21
農 業 ・ 林 業 1 1 1 4 3 6 16
公 務 員 等 3 6 2 6 6 7 32
化 学 工 業 ・ 石 油 ・ 石 炭 製 品 製 造 業 2 3 2 2 2 1 12
機 械 器 具 製 造 業 1 1 2 4
そ の 他 の 製 造 業 2 3 1 2 1 9
食 料 品 ・ 飲 料 ・ た ば こ ・ 飼 料 製 造 業 10 8 12 11 7 4 52
卸 売 ・ 小 売 業 2 1 2 2 2 3 12
情 報 通 信 業 1 1 3 1 2 8
運 輸 業 1 1
複 合 サ ー ビ ス 事 業 2 4 2 5 1 4 18
そ の 他 の 教 育 ・ 学 習 支 援 業 3 2 1 4 10
学 校 教 育 2 1 3
サ ー ビ ス ・ そ の 他 5 4 7 2 1 3 22
そ の 他 2 6 7 4 3 3 25
未 就 職 1 2 1 2 6
( 出 典 : 佐 賀 大 学 農 学 研 究 科 概 要 )
佐賀大学農学研究科 分析項目II
-10-20-
育成指導で活躍している(表 18),(別添資料1)。表 17 農業版MOTの修了者数
プ ロ グ ラ ム 名 特 別 の 課 程 の 内 容
修 了 者 数平成22年度平成23年度平成24年度平成25年度平成26年度平成27年度
高 度 な 農 業 技 術 経 営
管 理 者 の 育 成 プ ロ グ
ラ ム( 農 業 版 M O T )
農 業 経 営 と 地 域 農 業 の 革
新 ,
食 と 農 の 新 し い ビ ジ ネ
ス を 担 う 人 材 を 育 成 す る
12 12 8 5 12 9
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
表 18 農業版MOT修了生によるビジネス展開と各種受賞
項 目 M O T 修 了 年 次 内 容
新 商 品 の 開 発 ・
商 品 化 ・ 販 売
H 24 年 度
H 25 年 度
H 26 年 度
H 26 年 度
H 26 年 度
H 27 年 度
「 光 樹 ト マ ト 」 ジ ュ ー ス の 商 品 化
乾 燥 粉 末 野 菜 の 商 品 化
「 塩 糀 」
「 糀 ド リ ン ク : ス ト ー ク 」 商 品 化
ヤ ー コ ン 茶 を 利 用 し た 「 九 美 人 」 の 商 品 化
「 ド ラ イ ベ ジ タ ブ ル 」 1 0 種 類 の 商 品 化
「 伊 萬 里 う ま か 麺 」 6 種 類 の 商 品 化
農 業 経 営 の 法 人化H 24 年 度
H 25 年 度「( 株 ) ア グ ロ ー バ ル 」 の 設 立 ( H 2 5 . 1 )「( 株 ) plant farm Japan」 の 設 立 ( H 2 5 . 4 )
各 種 表 彰 の 受 賞
H 26 年 度
H 26 年 度
H 26 年 度
H 27 年 度
全 国 豆 類 経 営 改 善 共 励 会 : 農 林 水 産 大 臣 賞 ( H 2 5 . 4 )
地 球 温 暖 化 防 止 活 動 環 境 大 臣 賞
( H 2 6 . 1 2 )
佐 賀 農 業 賞
( H 2 7 . 1 )
農 産 漁 村 男 女 共 同 参 画 優 良 活 動 表 彰 : 農 林 水 産 副 大 臣 賞
韓 国 農 業 青 年 の
育 成 指 導
H25 年度
〜H26 年度
韓 国 農 水 産 大 学 国 外 現 場 指 導 教 授 に 就 任
( H 2 5 . 1 0 )
( 出 典 : 農 学 研 究 科 資 料 )
佐賀大学農学研究科 分析項目II
-10-21-
【在学中の学業の成果に関する卒業・修了生及び進路先・就職先の関係者への意見聴取等
の結果とその分析結果】
関係者からの評価は,アンケート調査によって行うものであるが,本研究科では,後援
会の支援により,各専攻の主任の教員が就職支援活動の一環として会社訪問を行い,就職
した学生の働きぶりを聞き取り調査するとともに,求人の依頼をしている。農業および食
料品関連企業からは,化学産業・食品産業・教育分野において「指導的役割を果たす」,「高
い専門的な能力を有する」など高い評価を得ており,
「高度職業人の養成」や「研究者の養
成」を各コースの教育目標として実践しているが,その学業成果が上がっている。
(水準)
進路・就職の状況は,期待される水準を上回る。
(判断理由)
1.22 年度以降の就職率はいずれも 93%以上である。
2.就職分野は生物資源科学専攻の教育目標を反映している。
3.アンケートの結果,進路先・就職先から高い評価を受けており,想定する関係者からの
期待に応えている。
佐賀大学農学研究科
-10-22-
III 「質の向上度」の分析
(1)分析項目I 教育活動の状況
学生を中心とした教育への改善に向け,
(表 20)に示すように,平成 22 年度より1専攻
5コースへの改組とカリキュラムの変更を行い,広い視野を養うための5コース横断型の
選考共通科目(必修;農学総合講義)
,コース別に基礎教育および研究分野に関する知識と
問題解決能力を涵養する基礎教育科目(必修;応用生物科学特論,生物環境保全学特論,
作物生産学特論,生命機能科学特論,農業経済学特論)
,専門教育科目および特別演習(必
修)に再編成した。特にセメスター制導入により,春期A・春期B・秋期A・秋期Bの各
期間で1科目1単位ずつの履修が可能となり,学生は多様な科目をより自由度を持って選
択出来るようになった。また「特別研究(修士論文研究)
」の単位比率を増やすことで,
「高
度職業人の養成」
「研究者の養成」という研究科の教育目標に沿った人材育成のためより多
くの時間を確保したことにより,教育の質が向上していると判断した。
表 20 農学研究科の修了要件
平 成 21 年 度 以 前 平 成 22 年 度 以 降
コ ア 科 目( 必 修 ) 4 単 位 専 攻 共 通 科 目 ( 必 修 ) 2 単 位
基 礎 教 育 科 目 ( 必 修 ) 2 単 位 基 礎 教 育 科 目 ( 必 修 ) 2 単 位
専 門 教 育 科 目 14 単 位 専 門 科 目 ( コ ー ス 必 須 , コ ー ス 選 択 , 自 由
選 択 を 含 む )
16 単 位 以 上
特 別 演 習( 必 修 ) 2 単 位
特 別 研 究 ( 必 修 ) 8 単 位 特 別 研 究 ( 必 修 ) 10 単 位
修 了 要 件 30 単 位 以 上 修 了 要 件 30 単 位 以 上
( 出 典 : 佐 賀 大 学 農 学 研 究 科 「 履 修 案 内 」)(2)分析項目II 教育成果の状況
本研究科修了者の就職率は,平成 22 年度以降 93%以上となり,各コースが掲げる教育
目標「高度職業人の養成」や「研究者の養成」等の教育実践を結果として,特に,化学産
業・食品産業・教育分野において「指導的役割を果たす」,「専門的な能力を有する」人材
を多数輩出することが出来ている。
農業版MOT修了生は,各個人の力量を向上させ,着目される新商品開発を行えるよう
になった。
個人の力量だけでなく,
地域農業を牽引する人材として育っている。
その結果,
全国レベルでの高い評価を得て,
全国豆類経営改善共励会で全国トップの農林水産大臣賞,
「地球温暖化防止活動環境大臣賞」,「佐賀農業賞」を受賞している。さらに,MOT受講
者を対象とする講師として,また韓国農水産大学校から国外現場指導教授に任命されて海
外農業青年の育成指導にも活躍していることから,教育の質が向上していると判断した。

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