佐賀大学経済学部

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3.経済学部
I 経済学部の教育目的と特徴 ・・・・・・3-2
II 「教育水準」の分析・判定 ・・・・・・3-4
分析項目I 教育活動の状況 ・・・・・3-4
分析項目II 教育成果の状況 ・・・・・3-21
III 「質の向上度」の分析 ・・・・・・・・3-28
佐賀大学経済学部
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I 経済学部の教育目的と特徴
1 経済学部の基本方針(教育理念)
今日の経済社会は複雑かつ多様な変化を遂げつつある。それに対応するためには専門
的知識に加え,専門知識の裾野をなす多分野の知識,情報分析力,コミュニケーション
能力の向上が欠かせない。経済学部ではそれらの多分野の知識と能力の修得を実現する
教育体系を整備することにより,現代の経済社会に生起する諸問題の原因の所在を把握
し,対策を提案できる人材の育成を目的としている。
2 教育目的・教育目標
・佐賀大学は,中期目標において以下の目標を掲げている。
「豊かな教養を体系的に身に付け,各専門分野の学識に裏付けられた創造力,課題探
求・解決能力を育成する。」・経済学部は上記の基本理念や佐賀大学中期目標を実現するため,以下の教育目的を掲
げている。
「本学部は,経済学・経営学・法律学を柱として社会科学上の知識と教養を授け,経
済社会における問題を分析し解決できる人材を育成することを目的とする。」・本学部は,平成 25 年度に学部改組を行い,従来の2課程制を3学科制とした。これ
は,専門教育を,伝統的な経済学・経営学・法学の体系として教育すると同時に,そ
のような専門教育の入門科目を低学年次に受けさせ,高学年次では自らの進路希望に
添ったコア科目群を履修させる事によって,専門教育と総合教育のバランスのとれた
教育を目指すものである。
(以下,平成 24 年度までを「旧課程」
,平成 25 年度からを
「新課程」と称する。)図I-1 経済学部課程組織図
[ 旧 課 程 ] [ 新 課 程 ]
・旧課程中の2課程および新課程中の3学科の目的は,次に掲げるとおりである(表I-1)。
表I-1 課程・学科の目的
旧 課 程
経 済 シ ス テ ム 課 程
グ ロ ー バ ル 化 を 深 め る 国 際 社 会 及 び 現 代 経 済 社 会 の 構
造 に つ い て , 総 合 的 に 考 え , 幅 広 い 視 野 と 専 門 的 知 識 を
持 つ 人 材 を 育 成 す る こ と 。
経 営 ・ 法 律 課 程
企 業 の 経 営 ・ 会 計 及 び 経 済 社 会 の 規 範 で あ る 法 律 を 学
び , 企 業 経 営 と 法 政 策 に つ い て 幅 広 い 視 野 と 専 門 的 知 識
を 持 つ 人 材 を 育 成 す る こ と 。
新 課 程 経 済 学 科
経 済 の 理 論 と 政 策 を 学 び , 現 代 経 済 社 会 の 構 造 に つ い
て , 総 合 的 に 考 え , 幅 広 い 視 野 と 専 門 知 識 を 持 つ 人 材 を
育 成 す る こ と 。
経済システム課程
しろまる総合政策コース
しろまる国際経済社会コース
経営・法律課程
しろまる企業経営コース
しろまる法務管理コース
経済学科
経営学科
経済法学科7つのコア科目群
佐賀大学経済学部
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経 営 学 科
企 業 の 経 営 ・ 会 計 を 学 び , 企 業 経 営 に つ い て 幅 広 い 視
野 と 専 門 的 知 識 を 持 つ 人 材 を 育 成 す る こ と 。
経 済 法 学 科
経 済 社 会 の 規 範 で あ る 法 律 を 学 び , 法 政 策 に つ い て 幅
広 い 視 野 と 専 門 知 識 を 持 つ 人 材 を 育 成 す る こ と 。
・経済学部ではこれらの目的を実現するために以下のような目標を掲げている(表I-2)。
表I-2 経済学部の教育目標
1 入 学 以 降 に 学 習 の 基 盤 と な る 読 む 力 ・ 話 す 力 ・ 聞 く 力 , 計 算 す る 力 を 高 め さ せ る 。
2 1 年 次 か ら 4 年 次 ま で 自 然 科 学 ・ 人 文 科 学 ・ 芸 術 等 の 教 養 科 目 を 幅 広 く 学 ば せ る 。
3 1 年 次 か ら 少 人 数 の ゼ ミ ナ ー ル 形 式 の 授 業 を 実 施 し ,教 員 が 各 学 生 の 到 達 度 を 見 な が ら
専 門 的 知 識 を 付 与 す る 。 加 え て , 実 践 科 目 を 充 実 さ せ る 。
4 経 済 学・ 経 営 学・経 済 法 学 を 総 合 的 に 学 修 さ せ ,多 角 的 に 問 題 を 把 握 す る 能 力 を 身 に つ
け さ せ る 。
3 教育の特徴
本学部の教育の特徴は,1ゼミナールによる少人数教育の重視,2実地教育による関
心の喚起と問題対処法の学習,3多様な英語教育によるコミュニケーション能力と国際
感覚の練磨などである。カリキュラム編成は,基礎的能力から徐々に専門知識を積み上
げる方式を採用している。また,キャリア教育の充実により,学生に,将来選択の基礎
知識と体験を付与している。
4 組織の特徴
改組前・改組後いずれの場合でも,学部全体で経済学・経営学・法律学の教員をバラ
ンス良く配置し,総合教育を目指している。
5 入学者の状況等について
入学者には佐賀・福岡・長崎県の出身者が多く,西・北部九州地域の高等教育のニー
ズに応えている。
6 想定する関係者とその期待
本学部は,高等学校との情報交換に基づいて,入試制度や教育制度の編成を行い,社
会科学系高等教育の期待に応えている。また,人材育成に関する地域の実業界や自治体
の期待に応えるべく教育体制とカリキュラム編成を考案してきている。
本学部の教育目的と特徴に対応して,学部教育の関係者との関係を,次の通り想定し
ている(表I-3)。表I-3 関係者とその期待
想 定 す る 関 係 者 関 係 者 の 期 待
入 学 志 願 者
ア ド ミ ッ シ ョ ン・ポ リ シ ー を 公 開 し ,
高 校 と の 情 報 交 換 を 通 じ て ,
高 校 で の 学 修 を 踏 ま え た 入 試 制 度 を 考 案 ・ 実 施 す る
在 学 生
学 部 の 目 的・目 標 に 沿 っ た カ リ キ ュ ラ ム を 編 成 す る 。職 業 生 活 へ
の 橋 渡 し の 役 割 を 果 た す 。
在 学 生 の 保 護 者 良 好 な 就 学 環 境 を 保 証 し , 教 育 成 果 を あ げ る 。
卒 業 生 の 受 入 企 業 ・ 地
方 自 治 体 ・ 国
基 礎 的 教 養 と 経 済 学 の 専 門 知 識 を 身 に つ け た 人 材 を 送 り 出 す 。
地 域 社 会 経 済 人 材 及 び 行 政 人 材 等 を 提 供 す る 。
7 以上の教育目的等は,中期目標「豊かな教養を体系的に身に付け,各専門分野の学
識に裏付けられた創造力,課題探求・解決能力を育成する。
」に適合している。
佐賀大学経済学部 分析項目I
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II 「教育水準」の分析・判定
分析項目I 教育活動の状況
観点 教育実施体制
(観点に係る状況)
1 教育のための組織構成
【教育組織】
旧課程と新課程の入学定員は,
(表II-I-1〜2)の通りである。改組に当たって,
学部の入学定員を 15 人減じたのは,
責任を持ってより効果的な少人数教育をするためで
ある。
旧課程では,学生は入学後に専門分野を決めることになっていたが,新課程では,入
学時点で学生に専門分野を決めることを求めている。
以上により,1年次から学生が高い学習意欲を保つことを促している。
入学者数は,次の通り,学科の定員を満たしている。
表II-I-1 旧課程の学生定員と現員
課 程
入 学 定 員
( 1 学 年 当 た り )
コ ー ス
1 年 次
現 員
2 年 次
現 員
3 年 次
現 員
4 年 次
現 員
経 済 シ ス テ ム
課 程140国 際 経 済 社 会 コ ー ス 1 1 83
総 合 政 策 コ ー ス 2 99
課 程 合 計 1 3 182
経 営・法 律 課 程 135
企 業 経 営 コ ー ス 2 77
法 務 管 理 コ ー ス 4 87
課 程 合 計 1 6 164
学 部 合 計 275 2 9 346
( 平 成 27年 5 月 現 在 出 典 : 『 佐 賀 大 学 概 要 』 )
表II-I-2 新課程の学生定員と現員
学 科
入 学 定 員
( 1学 年 あ た り )
1年 次 現 員 2年 次 現 員 3年 次 現 員
経 済 学 科 110 112 118 110
経 営 学 科 80 84 86 86
経 済 法 学 科 70 71 76 70
合 計 260 267 280 266
( 平 成 27年 5 月 現 在 出 典 : 『 佐 賀 大 学 概 要 』 )
【教員組織と教員配置】
本学部の教員数は,
「大学設置基準」第 13 条の必要専任教員数を満たしている(表II
- I - 3 )
。 主 要 授 業 科 目 は , 「 教 育 課 程 編 成 ・ 実 施 の 方 針 」 に 基 づ く カ リ キ ュ ラ ム と
その教育を担当する教員編成の整合性を検証し,特別な事情がない限り専任の教授また
は准教授が担当している(別添資料1)。教員の採用と配置の方針は,学部人事委員会により立案される。教員の採用は完全公
募制をしき,広く人材を募った上で決定している。採用に際しては,研究能力だけでな
く教育能力も重視し,模擬授業を審査に取り入れている。また人事委員会メンバーに学
部教育委員会の委員長を含めており,その意見が反映されるようにしている。
女性や外国人も多く採用しており,教員構成は多様である。
経済学部に設置した地域経済研究センターが,教員の地域経済研究だけでなく,学生
の教育支援のための様々な取り組みを行っている。
佐賀大学経済学部 分析項目I
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地域経済研究センター,情報演習室,資料室に助手を1人ずつ配置し,学生の学習及
び教育上の補助業務を行っている。
表II-I-3 経済学部教員数
学 科 教 授・准 教 授 人 数 大 学 設 置 基 準 女 性 数 外 国 人 数
経 済 学 科 1 9 人 1 0 人 2 3
経 営 学 科 1 3 人 1 0 人 2 1
経 済 法 学 科 1 1 人 1 0 人 5 0
( 平 成 27年 5 月 現 在 )
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
【入学者選抜方法の工夫とその効果】
入学者の募集においては,アドミッション・ポリシーを公開し,特に社会経済問題に
関心のある学生を募集する旨をホームページなどに明記している(表II-I-4〜6)。そのことを教員が高校におけるジョイントセミナーで説明している。
表II-I-4 求める学生像
経 済 学 部 は , 経 済 学 ・ 経 営 学 ・ 法 律 学 を 柱 と し て 社 会 科 学 上 の 知 識 と 教 養 を 授 け , 経
済 社 会 に お け る 問 題 を 分 析 し 解 決 で き る 人 材 を 育 成 す る こ と を 目 的 と し ま す 。 そ の た め
に , 以 下 に 示 す よ う な 学 生 を 求 め て い ま す 。
(1) 社 会 や 経 済 に お け る 課 題 を 発 見 し 解 決 す る 能 力 を 身 に つ け , 企 業 や 自 治 体 な ど で の
活 動 を 通 じ て 社 会 に 貢 献 し た い と 考 え る 人 。
(2) 高 度 な 専 門 知 識 を 身 に 付 け , 経 済 ・ 経 営 ・ 法 律 の 分 野 で 専 門 職 業 人 と な る こ と を 目
指 す 人 。
(3) 社 会 の 変 化 に 対 応 す る た め に 生 涯 に わ た っ て 学 習 を 続 け る こ と の 必 要 性 を 認 識 し ,
そ の 基 盤 と な る 幅 広 い 知 識 と 学 習 能 力 を 大 学 で 得 た い と 考 え る 人 。
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
表II-I-5 経済学部で学ぶために必要な能力や適性等及び入学志願者に求める
高校等での学習の取り組み
1 . 知 識 と 理 解
(1) 社 会 で 生 起 し て い る 問 題 を 理 解 す る た め に は 幅 広 い 分 野 の 基 礎 知 識 が 必 要 で す 。 し
た が っ て , 高 等 学 校 の 主 要 教 科 科 目 の 教 科 書 レ ベ ル の 知 識 を 習 得 し て い る こ と が 求
め ら れ ま す 。 特 に , 経 済 学 ・ 経 営 学 ・ 法 律 学 を 学 ぶ た め に は 文 章 を 正 確 に 読 解 す る
こ と が 必 要 で あ り , そ の た め に は 入 学 前 に 一 定 の 国 語 力 を 身 に つ け て お く こ と が 必
要 で す 。
(2) グ ロ ー バ ル 化 の 時 代 に お い て は ,英 語 を 中 心 と し た 外 国 語 の 習 得 が 必 要 で す 。ま た ,
国 際 性 が 求 め ら れ る 時 代 に は 外 国 語 だ け で な く , 国 際 経 済 や 国 際 政 治 な ど を 理 解 す
る た め に , 歴 史 や 地 理 な ど の 広 い 知 識 も 必 要 で す 。
(3) 専 門 高 等 学 校 か ら 進 学 す る 場 合 に は , 普 通 科 目 の 勉 学 だ け で な く , 商 業 科 目 の 基 本
的 な 知 識 と 技 能 を 習 得 し て お く こ と が 求 め ら れ ま す 。
2 . 意 欲 と 関 心
社 会 問 題 へ の 関 心 と 情 報 収 集 能 力 が 必 要 で す 。 経 済 や 経 営 , 法 律 に 関 連 す る 様 々 な 社
会 現 象 に 関 心 を 向 け , 関 心 の あ る テ ー マ に つ い て は , 図 書 館 や イ ン タ ー ネ ッ ト な ど を 利
用 し て 自 主 的 に 調 べ る 能 力 と 習 慣 を 身 に つ け て お く こ と は , 入 学 後 の 学 修 に と っ て 有 益
で す 。
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
佐賀大学経済学部 分析項目I
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表II-I-6 入学試験の種類と選抜方法
一 般 入 試( 前 期・後 期 ) セ ン タ ー 試 験 ( 4 教 科 5 科 目 ) を 課 し , 同 前 期 入 試 で は 個 別 試
験 に 英 語 を , 後 期 入 試 で は 小 論 文 を 課 し , 幅 広 く 学 力 を み る 選
抜 を 行 っ て い る 。
推 薦 入 試 ( 普 通 科 系 ,
商 業 系 )
高 校 在 校 時 の 成 績 基 準 を 満 た し た 者 に , 小 論 文 と 口 頭 試 問 を 課
し , 社 会 へ の 関 心 , 論 理 力 ・ 読 解 力 ・ 文 章 力 を 問 う 選 抜 を 行 っ
て い る 。 特 に , 商 業 高 校 系 推 薦 入 試 に つ い て は , 県 内 商 業 高 校
校 長 会 と の 意 見 交 換 に 基 づ い て , 簿 記 会 計 ・ 情 報 ・ 実 用 英 語 ・
商 業 経 済 の 資 格 取 得 を 選 抜 の 要 素 に 組 み 入 れ た 。
私 費 外 国 人 選 抜 入 試 日 本 語 試 験 や 小 論 文 お よ び 口 頭 試 問 を 課 し て い る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
【教員の教育力向上や職員の専門性向上のための体制の整備とその効果】
旧課程では各コースから1人の教育委員を,また新課程では各学科から2人の教育委
員を選出し,学部教育委員会を構成している。教育委員が,学科会議と学部教育委員会
を結びつけ,学部教育について決定及び点検することとしている。対応する旧教育課程
の教務事項についても同様である。
学部教育委員会は,学科教員会議や,教員が報告する「授業点検・改善報告」で 見 出
される課題や改善点を整理し,FD会議を開催している。とりわけ,改組の目的に鑑み
て,1年生の学習意欲などに関しては,しばしばその議題としている。
FD会議は,学部全体だけでなく,各学科でも行っており,その結果,教員内に , 多
段階的な教育情報の共有が実現している(表II-I-7)。表II-I-7 FD会議の実施状況
(平成 23 年度以降)
日 付 テ ー マ 参 加 者
平 23.10. 5 テ ィ ー チ ン グ ・ ポ ー ト フ ォ リ オ の シ ョ ー ト コ ー ス 20 人の学部教員
平 23.11. 9 ラーニング・ポートフォリオ 20 人の学部教員
平 24.12.12 ラーニング・ポートフォリオの試行について 20 人の学部教員
平 25. 9.11 「大学入門科目I」の実施結果と改善 29 人の学部教員
平 25.12.18 1 年次ゼミテキストの改定等について 34 人の学部教員
平 26. 3. 5 ティーチング・ポートフォリオ・ミニワーク 12 人の学部教員
平 26. 4. 7 授業改善について 8 人の経済法学科教員
平 26. 5.28 授業改善について 15 人の経済学科教員
平 27. 2. 4 1年生の学習意欲について 34 人の学部教員
平 27. 3.25 コンプライアンスについて 12 人の学部教員
平 27. 3.25 情報セキュリティについて 12 人の学部教員
平 27. 4. 8 経営学科講義科目の成績評価について 10 人の経営学科教員
平 27. 4.10 昨年度の授業を振り返って 7 人の経済法学科教員
平 27. 8. 5 一年生への新規開講科目について 7 人の経済法学科教員
平 27. 9.16 研究活動等不正防止,研究倫理について 15 人の経済法学科教員
平 27.11. 4 障害者差別解消法施行と合理的配慮について 45 人の学部教員
平 27. 12. 24
経済学科追加科目の内容と実施法を学部カリキュラムの
中で考える
11 人の経済学科教員
平 28. 2.3 学部専門科目授業の工夫について 40 人の学部教員
平 28. 2.17
本年度の講義を振り返って・悩みを抱える学生に関する
情報交換
8 人の経済法学科教員
平 28. 3. 4
本年度の講義を振り返って・悩みを抱える学生に関する
情報交換
10 人の経済学科教員
平 28. 3. 9 学生へのキャリア支援について 41 人の学部教員
( 出 典 : 平 成 25 年 度 F D 報 告 書 , 個 別 F D 報 告 書 ほ か )
佐賀大学経済学部 分析項目I
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【教育プログラムの質保証・質向上のための工夫とその効果】
「学士課程における教育の質保証に関する方針」及び「学士課程における教育の質保
証の推進に係わるガイドライン」に基づいて,学生による授業評価アンケートを実施し
ている。教員はアンケートの集計結果を受け,毎学期終了時に「授業点検・改善報告」
に記入しなければならない。また,教員は,ティーチング・ポートフォリオの作成を通
し て 自 身 の 教 育 活 動 を 省 察 す る こ と を 求 め ら れ て い る ( 図 II - I - 1 〜 2 )
。 そ の 他 ,
シラバスが学部教育委員によって点検される。これらは学生に公開されている。
図II-I-1 「授業点検・改善報告」の例
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
図II-I-2 「ティーチング・ポートフォリオ」の例
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
佐賀大学経済学部 分析項目I
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(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
・本学部の教育理念・目的を達成するための学科構成と教員配置は適切である。
・教育の充実に必要な施設等が設置され,また必要な人員が配置され,学部教育の質向
上に資している。
・各学科から選出された教育委員から構成される学部教育委員会が,教育に関わる事項
の協議・立案・点検を学部教育方針に従って行う体制ができている。
・FD会議や「授業点検・改善報告」などの授業改善のための方策が整っており,機能
している。
これらは,想定する関係者の期待に応えるものである。
観点 教育内容・方法
(観点に係る状況)
本学部では,学生と社会の要請に応える教育課程の編成・実施を行うため,
「佐賀大学
学士力」を踏まえて「学位授与の方針」及び「教育課程編成・実施の方針」を定め,こ
れに基づいて課程や学科ごとに,教養教育科目と専門教育科目を有機的かつ体系的に配
置した教育課程の編成をおこなっている。また,それぞれの学科ごとに,履修の参考とな
る履修モデルを示している。
表II-I-8 経済学部の「卒業に必要な単位数」と「佐賀大学学士力」
学 士 力
( 項 目 )
観 点 身 に つ け る べ き 力 授 業 科 目1 .基 礎 的
な 知 識 と
技 能
(1) 文 化
と 自 然
世 界 を 認 識 す る た め の 幅 広 い 知 識 を 有 機 的 に 関 連 づ け
て 修 得 し 、 文 化 ( 芸 術 及 び ス ポ ー ツ を 含 む ) 的 素 養 を
身 に つ け て い る 。
基 本 教 養 科 目 ( 自 然 科 学
と 技 術 の 分 野 , 文 化 の 分
野 )
イ ン タ ー フ ェ ー ス 科 目
(2) 現 代
社 会 と 生活健 全 な 社 会 や 健 康 な 生 活 に 関 す る 種 々 の 知 識 を 修 得
し 、 生 活 の 質 の 向 上 に 役 立 て る こ と が で き る 。
健 康 ・ ス ポ ー ツ 科 目
基 本 教 養 科 目 ( 現 代 社 会
の 分 野 )
イ ン タ ー フ ェ ー ス 科 目
(3) 言
語 ・ 情 報 ・
科 学 リ テ
ラ シ ー
[1] 日 本 語 に よ る 文 書 と 会 話 で 他 者 の 意 思 を 的 確 に 理
解 で き る と と も に 、 自 ら の 意 思 を 表 現 し 他 者 の 理 解 を
得 る こ と が で き る 。 英 語 を 用 い て 、 専 門 分 野 の 知 識 を
修 得 で き 、 自 己 の 考 え を 発 信 で き る 。 初 修 外 国 語 を 用
い て 、
簡 単 な 会 話 が で き 平 易 な 文 章 を 読 み 書 き で き る 。
外 国 語 科 目
外 書 講 読
ビ ジ ネ ス 基 礎 英 語
ビ ジ ネ ス ・ コ ミ ュ ニ ケ ー
シ ョ ン 英 語
[2] 情 報 を 収 集 し 、そ の 適 正 を 判 断 で き 、適 切 に 活 用・
管 理 で き る 。
情 報 リ テ ラ シ ー 科 目
[3] 科 学 的 素 養 を 有 し 、 合 理 的 及 び 論 理 的 な 判 断 が で
き る 。
入 門 科 目
情 報 処 理 演 習
(4) 専 門
分 野 の 基
礎 的 な 知
識 と 技 能
専 門 分 野 に お い て 、 基 本 概 念 や 原 理 を 理 解 し て 説 明 で
き 、 一 般 的 に 用 い ら れ て い る 重 要 な 技 法 に 習 熟 し て い
る 。
入 門 科 目
基 礎 科 目
入 門 ゼ ミ
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-9-2 .課 題 発
見・解 決 能力(1) 現 代
的 課 題 を
見 出 し ,解
決 の 方 法
を 探 る 能力現 代 社 会 に お け る 諸 問 題 を 多 面 的 に 考 察 し 、 そ の 解 決
に 役 立 つ 情 報 を 収 集 し 分 析 で き る 。
入 門 ゼ ミ
基 礎 演 習
演 習
(2) プ ロ
フ ェ ッ シ
ョ ナ ル と
し て 課 題
を 発 見 し
解 決 す る
能 力
専 門 分 野 の 課 題 を 発 見 し 、 そ の 解 決 に 向 け て 専 門 分 野
の 基 礎 的 な 知 識 と 技 法 を 応 用 す る こ と が で き る 。
コ ア 科 目
展 開 科 目
実 践 科 目
(3) 課 題
解 決 に つ
な が る 協
調 性 と 指
導 力
課 題 解 決 の た め に 、 他 者 と 協 調 ・ 協 働 し て 行 動 で き 、
ま た 、 他 者 に 方 向 性 を 示 す こ と が で き る 。
大 学 入 門 科 目
入 門 ゼ ミ
基 礎 演 習
演 習3 .個 人 と
社 会 の 持
続 的 発 展
を 支 え る力(1) 多 様
な 文 化 と
価 値 観 を
理 解 し 共
生 に 向 か
う 力
文 化 や 伝 統 な ど の 違 い を 踏 ま え て 、 平 和 な 社 会 の 実 現
の た め に 他 者 の 立 場 で 物 事 を 考 え る こ と が で き る 。 ま
た 、 自 然 環 境 や 社 会 的 弱 者 に 配 慮 す る こ と が で き る 。
基 本 教 養 科 目 ( 文 化 の 分
野 , 現 代 社 会 の 分 野 )
(2) 持 続
的 な 学 習
力 と 社 会
へ の 参 画力様 々 な 問 題 に 積 極 的 に 関 心 を 持 ち 、 自 主 的 ・ 自 律 的 に
学 習 を 続 け る こ と が で き る 。 自 己 の 生 き 方 を 考 察 し 、
主 体 的 に 社 会 的 役 割 を 選 択 ・ 決 定 し 、 生 涯 に わ た り 自
己 を 活 か す 意 欲 が あ る 。
入 門 ゼ ミ
基 礎 演 習
演 習
コ ア 科 目
展 開 科 目
実 践 科 目
(3) 高 い
倫 理 観 と
社 会 的 責
任 感
高 い 倫 理 観 を 身 に つ け 社 会 生 活 で 守 る べ き 規 範 を 遵 守
し 、 自 己 の 能 力 を 社 会 の 健 全 な 発 展 に 寄 与 し う る 姿 勢
を 身 に 付 け て い る 。
基 本 教 養 科 目 ( 文 化 の 分
野 , 現 代 社 会 の 分 野 )
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
表II-I-9 経済学部の「学位授与の方針」
【 学 位 授 与 の 方 針 】
教 育 目 標 に 照 ら し て 学 生 が 身 に つ け る べ き 以 下 の 具 体 的 学 習 成 果 の 達 成 を 学 位 授 与 の 方
針 と す る 。 ま た , 学 則 に 定 め る 所 定 の 単 位 を 取 得 し た 者 に は , 教 授 会 の 議 を 経 て , 学 長 が
卒 業 を 認 定 し , 学 位 記 を 授 与 す る 。
[ 経 済 学 科 ]
1 . 知 識 と 技 能
(1) 経 済 分 析 に 必 要 な 知 識 や 政 策 系 の 経 済 学 の 諸 分 野 に つ い て の 知 識 を 有 す る 。
(2) 経 済 学 , 経 営 学 , 法 律 学 の 3 つ の 分 野 を 総 合 的 に 学 び , 社 会 の 諸 事 象 を 多 面 的 に 把 握
す る 姿 勢 を 有 す る 。
(3) 情 報 の 収 集 と 分 析 , 他 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン , 意 見 表 明 な ど に 必 要 な 基 本 的 能 力
を 有 す る 。
2 . 課 題 発 見 ・ 問 題 解 決 能 力
(1) 文 化 ・ 自 然 ・ 現 代 社 会 と 生 活 に 関 す る 授 業 科 目 を 履 修 ・ 修 得 し , 自 立 し た 個 人 と し て
生 き る た め の 素 養 を 身 に つ け て い る 。
(2) 社 会 や 経 済 に 関 す る 課 題 を 発 見 し ,そ の 解 決 に 向 け て 専 門 知 識 を 用 い る 能 力 を 有 す る 。
3 . 個 人 と 社 会 の 発 展 を 支 え る 力 ( 意 欲 と 向 上 心 )
(1) 社 会 や 経 済 の 諸 問 題 に 強 い 関 心 を 維 持 し , 自 主 的 に 学 習 を 続 け る 意 欲 を 有 す る 。
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-10-
(2) 物 事 を 多 面 的 に 捉 え , 環 境 や 他 者 に 配 慮 し つ つ , 社 会 や 生 活 の 向 上 に 取 り 組 む 意 欲 と
態 度 を 有 す る 。
[ 経 営 学 科 ]
1 . 知 識 と 技 能
(1) 経 営 学 の 諸 分 野 の 知 識 を 有 す る 。
(2) 経 済 学 , 経 営 学 , 法 律 学 の 3 つ の 分 野 を 総 合 的 に 学 び , 社 会 の 諸 事 象 を 多 面 的 に 把 握
す る 姿 勢 を 有 す る 。
(3) 情 報 の 収 集 と 分 析 , 他 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン , 意 見 表 明 な ど に 必 要 な 基 本 的 能 力
を 有 す る 。
2 . 課 題 発 見 ・ 問 題 解 決 能 力
(1)文 化・自 然・現 代 社 会 と 生 活 に 関 す る 授 業 科 目 を 履 修・修 得 し ,自 立 し た 個 人 と し て 生
き る た め の 素 養 を 身 に つ け て い る 。
(2) 社 会 や 経 済 の 課 題 を 発 見 し , そ の 解 決 に 向 け て 専 門 知 識 を 用 い る 能 力 を 有 す る 。
3 . 個 人 と 社 会 の 発 展 を 支 え る 力 ( 意 欲 と 向 上 心 )
(1) 社 会 や 経 済 の 諸 問 題 に 強 い 関 心 を 維 持 し , 自 主 的 に 学 習 を 続 け る 意 欲 を 有 す る 。
(2) 物 事 を 多 面 的 に 捉 え , 環 境 や 他 者 に 配 慮 し つ つ , 社 会 や 生 活 の 向 上 に 取 り 組 む 意 欲 と
態 度 を 有 す る 。
[ 経 済 法 学 科 ]
1 . 知 識 と 技 能
(1) 法 律 学 の 諸 分 野 の 知 識 を 有 す る 。
(2) 経 済 学 , 経 営 学 , 法 律 学 の 3 つ の 分 野 を 総 合 的 に 学 び , 社 会 の 諸 事 象 を 多 面 的 に 把 握
す る 姿 勢 を 有 す る 。
(3) 情 報 の 収 集 と 分 析 , 他 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン , 意 見 表 明 な ど に 必 要 な 基 本 的 能 力
を 有 す る 。
2 . 課 題 発 見 ・ 問 題 解 決 能 力
(1)文 化・自 然・現 代 社 会 と 生 活 に 関 す る 授 業 科 目 を 履 修・修 得 し ,自 立 し た 個 人 と し て 生
き る た め の 素 養 を 身 に つ け て い る 。
(2) 社 会 や 経 済 の 課 題 を 発 見 し , そ の 解 決 に 向 け て 専 門 知 識 を 用 い る 能 力 を 有 す る 。
3 . 個 人 と 社 会 の 発 展 を 支 え る 力 ( 意 欲 と 向 上 心 )
(1) 社 会 や 経 済 の 諸 問 題 に 強 い 関 心 を 維 持 し , 自 主 的 に 学 習 を 続 け る 意 欲 を 有 す る 。
(2) 物 事 を 多 面 的 に 捉 え , 環 境 や 他 者 に 配 慮 し つ つ , 社 会 や 生 活 の 向 上 に 取 り 組 む 意 欲 と
態 度 を 有 す る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
表II-I-10 経済学部の「教育課程編成・実施の方針」
教 育 方 針 を 具 現 化 す る た め , 以 下 の 方 針 の も と に 教 育 課 程 を 編 成 し , 教 育 を 実 施 す る 。
1 . 教 育 課 程 の 編 成
(1) 専 門 教 育 科 目 と 教 養 教 育 科 目 を 体 系 的 ・ 順 次 的 に 配 置 し , 年 間 に 履 修 可 能 な 科 目 数 の
上 限 を 設 定 し , 4 年 間 か け て 履 修 す る よ う 教 育 課 程 を 編 成 す る 。
(2) 教 養 教 育 に お い て は , 3 つ の 分 野 を 通 じ て 基 本 的 知 識 を 修 得 す る 。
[1] 基 礎 的 な 知 識 と 技 能 の 分 野
文 化 ・ 自 然 , 現 代 社 会 と 生 活 に 関 す る 授 業 科 目 ( 大 学 入 門 科 目 , 基 本 教 養 科 目 , イ ン タ ー
フ ェ ー ス 科 目 ) , 言 語 ・ 情 報 ・ 科 学 リ テ ラ シ ー に 関 す る 授 業 科 目 ( 共 通 基 礎 科 目 ) を , 必
修 及 び 選 択 必 修 と し て 幅 広 く 履 修 す る 。
[2] 課 題 発 見 ・ 解 決 能 力 の 分 野
高 等 学 校 と 大 学 の 接 続 を 図 る た め の 授 業 科 目 ( 大 学 入 門 科 目 ) と 現 代 的 な 課 題 を 発 見 ・ 探
求 し , 問 題 解 決 に つ な が る 協 調 性 と 指 導 力 を 身 に つ け る た め の 科 目 を 選 択 し て 学 ぶ ( 基 本
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-11-
教 養 科 目 , イ ン タ ー フ ェ ー ス 科 目 ) 。
[3] 個 人 と 社 会 の 持 続 的 発 展 を 支 え る 力 , な い し は , 社 会 を 担 う 個 人 と し て の 資 質 の 分 野
他 者 を 理 解 し 共 生 す る 力 や 高 い 倫 理 観 ・ 社 会 的 責 任 感 に 関 す る 授 業 科 目 を 幅 広 く 履 修 す る
( 基 本 教 養 科 目 , イ ン タ ー フ ェ ー ス 科 目 ) 。 基 本 教 養 科 目 に 関 し て は , 社 会 科 学 系 以 外 の
自 然 や 人 文 系 科 目 も 選 択 す る こ と に し , 幅 広 い 知 識 ・ 情 報 を 身 に つ け る よ う 教 育 課 程 を 編
成 す る 。
(3) 教 育 組 織 を 3 学 科 に 分 け , 以 下 の 方 針 に 沿 っ て 専 門 科 目 を 配 置 す る 。
[1] 経 済 学・経 営 学・法 律 学 の 基 本 的 知 識 を 学 習 す る た め に ,各 学 科 に「 入 門 科 目 」,
「 入
門 ゼ ミ 」 , 「 基 礎 科 目 」 を 必 修 , 選 択 必 修 科 目 と し て 配 置 す る 。
[2] 読 解 力・文 章 作 成 力 ,意 見 表 明 能 力 を 養 成 す る た め に ,必 修 科 目 と し て 1 年 生 後 期 に
「 入 門 ゼ ミ 」,2 年 生 後 期 に「 基 礎 演 習 」,そ し て ,3 年 生 か ら 4 年 生 ま で「 演 習 」を 配 置
す る 。
[3] 専 門 分 野 の 知 識 を 修 得 す る た め に 「 コ ア 科 目 」 を 選 択 必 修 科 目 と し て 配 置 す る 。
[4] 幅 広 く 専 門 知 識 を 修 得 す る た め に 「 展 開 科 目 」 を 選 択 必 修 科 目 と し て 配 置 す る 。
[5] 現 実 の 把 握 と 分 析 に 理 論 を 応 用 し ,問 題 発 見・解 決 能 力 を 養 成 す る た め に 実 践 型 授 業
を 配 置 す る 。
[6] 国 際 化 に 対 応 す る 能 力 を 養 成 す る た め に ,「 ビ ジ ネ ス 基 礎 英 語 」,「 ビ ジ ネ ス ・ コ ミ
ュ ニ ケ ー シ ョ ン 英 語 」 な ど の 実 践 型 語 学 科 目 を 配 置 す る 。
2 . 教 育 の 実 施 体 制
(1) 経 済 学 部 の 教 育 は , 学 部 教 育 委 員 会 が 企 画 , 立 案 , 点 検 , 及 び 改 善 を 行 う 。
(2) 各 授 業 科 目 の 教 育 に つ い て は , 定 め ら れ た 人 事 方 針 の も と 高 度 な 専 門 性 と 教 育 力 を 有
す る 教 員 を 配 置 し , 実 施 す る 。
(3) 上 記 の 教 育 課 程 の 方 針 を 徹 底 す る た め , 各 学 科 に 主 任 と 教 育 委 員 を 配 置 す る 。
3 . 教 育 ・ 指 導 の 方 法
(1) 教 育 方 法 と し て , 講 義 形 式 に よ る 授 業 と 演 習 方 式 に よ る 授 業 と を 組 み 合 わ せ , 多 様 で
バ ラ ン ス の と れ た 教 育 課 程 を 実 施 す る 。
(2) 演 習 で は , 少 人 数 に よ る 知 識 や 読 解 力 の 養 成 と と も に , 意 見 表 明 能 力 や 問 題 発 見 ・ 解
決 能 力 を 養 う 授 業 を 実 施 す る 。
4 . 成 績 の 評 価
(1) 授 業 科 目 の 学 習 内 容 , 到 達 目 標 , 成 績 評 価 の 方 法 ・ 基 準 は , シ ラ バ ス 等 に よ っ て 学 生
に 周 知 す る 。
(2) 教 員 は 試 験 問 題 を 保 存 ・ 公 開 し , 学 生 と の 面 談 の 機 会 を 設 け て 説 明 責 任 を 果 た す 。
5 . 以 上 の よ う に 編 成 さ れ た 教 育 課 程 を 修 得 す る こ と に よ り , 経 済 学 部 で は 全 て の 学 生 が
学 士 力 を 身 に つ け る こ と に な る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
佐賀大学経済学部 分析項目I
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1 教育課程の編成
旧課程と新課程の編成については,以下の通りである(表II-I-11〜16)。【旧課程の編成】
表II-I-11 旧課程教養教育科目の編成
分 野 別 主 題 科 目
1 24 単 位 以 上 を 取 得 す る 。
2 6 つ の 主 題 分 野( 文 化 芸 術 ,思 想 と 歴 史 ,現 代 社 会 ,
環 境 と 健 康 , 数 理 と 自 然 , 科 学 技 術 ) の う ち 関 心 の あ
る 分 野 を 1 つ 選 択 し て , そ こ か ら 8 単 位 を 取 得 す る 。
大 学 入 門 科 目 約 20 人 以 下 の 演 習 形 式 で 行 う 。
情 報 処 理 科 目 ,
実 践 的 英 語 科 目
( 留
学 生 セ ン タ ー 提 供 科 目 )
専 門 課 程 の 経 済 情 報 科 目 や ビ ジ ネ ス 基 礎 英 語 , ビ ジ ネ
ス コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 英 語 へ つ な が る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
表II-I-12 旧課程専門教育科目の編成
1 年 次
コ ー ス に は 属 せ ず ,
課 程 内 の 二 つ の コ ー ス の 入 門 科 目 を 学 ぶ 。
1 年 次 終 了 時 に ,
コ ー ス を 選 択 す る 。
2 年 次 学 部 基 礎 科 目 を 主 と し て 履 修 さ せ , 専 門 の 基 礎 理 論 を 学 ば せ る 。
3年次以降
コ ー ス ご と の 専 門 科 目 の 履 修 が 主 と な る 。 同 時 に 他 課 程 ・ 他 コ ー ス の 科 目 の
履 修 も 容 易 に し , 学 部 の 目 的 で あ る 経 済 ・ 経 営 ・ 法 律 の 総 合 的 教 育 の 実 質 化
を 企 図 し て い る 。
英 語 教 育
Integrated Skills Program と 銘 打 っ た 実 践 英 語 の 6 プ ロ グ ラ ム が 用 意 さ れ て
い る 。 留 学 生 セ ン タ ー 開 設 の 実 践 英 語 , 教 養 教 育 の 英 語 , 学 部 の 外 書 講 読 と
併 せ て , 読 む ・ 書 く ・ 聞 く ・ 話 す と い う 総 合 的 な 語 学 カ リ キ ュ ラ ム を 実 現 し
て い る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
【新課程の編成】
表II-I-13 新課程教養教育科目の編成
大 学 入 門 科 目 I
高 校 の 勉 学 方 法 か ら 大 学 で の 勉 学 方 法 へ の 転 換 を 目 的 と
す る 。1 ク ラ ス 17 人 前 後 で の 演 習 形 式 。後 期 に は ,同 じ
教 員 と 学 生 で 構 成 さ れ る 「 入 門 ゼ ミ 」 に ス ラ イ ド す る 。
2 単 位
共 通 基 礎 科 目
「 外 国 語 科 目 」
「 健 康 ・ ス ポ ー ツ 科 目 」
「 情 報 リ テ ラ シ ー 科 目 」
14 単 位
基 本 教 養 科 目
自 然 科 学 と 技 術 分 野 , 文 化 の 分 野 , 現 代 社 会 の 分 野 の 3
分 野 か ら な る 教 養 科 目 。
12 単 位
イ ン タ ー フ ェ ー
ス 科 目
個 人 と 社 会 の 持 続 的 発 展 を 支 え る 力 を 育 成 す る プ ロ グ ラ
ム 形 式 の 科 目 。
8 単 位
外 国 語 科 目 英 語 4 単 位 , 他 言 語 4 単 位 を 必 修
合 計 36 単 位
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
表II-I-14 新課程専門教育科目の編成の考え方
1 年 次
高 校 か ら 大 学 へ の 接 続 を 重 視 し た カ リ キ ュ ラ ム と し て い る 。こ こ で ,社
会 科 学 の 基 礎 的 思 考 を 教 え 込 む こ と に し て い る 。
2 年 次
専 門 教 育 の 基 礎 を 教 え 込 む カ リ キ ュ ラ ム が 中 心 と な っ て い る 。ま た 、専
門 に 対 応 し た 英 語 科 目 及 び 実 践 科 目 を 開 講 し ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力
の 向 上 と 実 践 的 な 課 題 へ の 関 心 を も た せ る よ う に し て い る 。
3 年 次 以 降
自 分 の 希 望 進 路 に 沿 っ て 専 門 分 野 を 集 中 的 に 履 修 す る コ ア 科 目 と ,専 門
分 野 に 関 連 さ せ て 幅 広 く 知 識 を 得 る た め の 展 開 科 目 か ら 成 る 。 こ こ で ,
学 部 の 目 的 で あ る 経 済・経 営・法 律 の 総 合 的 教 育 の 実 質 化 を 図 っ て い る 。
コ ア 科 目 群 ご と の 履 修 モ デ ル が 示 さ れ ,学 生 の 科 目 選 択 の ガ イ ド ラ イ ン
と な っ て い る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-13-
表II-I-15 新課程専門教育科目の編成
科 目 分 類 具 体 的 内 容 単 位 数
入 門 科 目
1 年 次 前 期 の 必 修 科 目 。
1 年 次 生 全 員 が 受 講 。(「 経 済 学 入 門 」,「 経 営 学 入 門 」,「 法 学 入 門 」
か ら 成 る 。)6 単 位
3 科 目
1 年 次 後 期 の 選 択 必 修 科 目 。(「 日 本 経 済 論 」
「 簿 記 会 計 入 門 」
「 人 権 論 」)各 学 科 の 入 門 と な る 科 目 。(「 法 学 概 論 」
「 社 会 情 報 論 」
「 統 計 学 入 門 」)6 単 位
3 科 目
学 部 基 礎 科 目
2 年 次 の 選 択 必 修 科 目(「 基 礎 マ ク ロ 経 済 学 」
「 会 計 学 原 理 」
「 民 法 I 」 な ど の 学 科 基 礎 科 目 )
・ 学 科 基 礎 科 目 か ら 6 単
位 選 択 必 修
・ 他 学 科 を 含 め た 基 礎 科
目 か ら 6 単 位 選 択 必 修
演 習
1 年 次 後 期 の 「 入 門 ゼ ミ 」 及 び 二 年 次 後 期 か
ら 卒 業 ま で の 「 専 門 ゼ ミ 」
。 計 5 期 に わ た る
演 習 形 式 の 必 修 授 業 。
10 単 位
5 科 目
コ ア 科 目
二 年 次 後 期 か ら 学 科 ご と に 分 野 に 沿 っ て 定
め ら れ た 専 門 科 目 群 。
20 単 位
10 科 目
展 開 科 目
学 科 ご と に 定 め ら れ た ,幅 広 く 専 門 知 識 を 学
ぶ た め の 科 目 群 。
12 単 位
6 科 目
そ の 他 選 択 科 目
「 ビ ジ ネ ス コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 英 語 」な ど 専
門 外 国 語 ,
「 実 践 会 計 」 な ど の 実 践 科 目
20 単 位
10 科 目
合 計 単 位 86 単 位
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
表II-I-16 新課程コア科目群
コ ア 科 目 群 名 内 容
経 済 学 科
フ ァ イ ナ ン ス
金 融 機 関 に お け る 問 題 対 応 力 を 養 成 す る た め , 一 般 的 な 金 融
に 加 え 企 業 財 務 な ど を 学 修 さ せ , 幅 広 い 金 融 の 理 論 を 修 得 さ
せ る 。
経 済 政 策
生 活 保 障 政 策 の 立 案 能 力 の 養 成 に 重 点 を お き , 財 政 学 , 社 会
保 障 , 雇 用 経 済 及 び 社 会 保 障 法 な ど の 法 学 科 目 ま で を 学 修 さ
せ る 。
地 域 と 国 際
国 際 的 視 野 を 以 っ て 地 域 政 策 を 立 案 で き る 能 力 の 養 成 の た め
に , ア ジ ア を 念 頭 に 置 い た 国 際 経 済 か ら 経 済 法 , さ ら に は 現
地 実 習 型 授 業 を 学 修 さ せ る 。
経 営 学 科
会 計
法 律 に 強 い 会 計 人 を 養 成 す る た め 一 般 の 会 計 科 目 に 加 え , 経
営 分 析 な ど の 応 用 的 科 目 を 置 き , さ ら に 財 務 会 計 を 法 的 に 裏
付 け る 会 社 法 な ど の 法 律 科 目 を 学 修 さ せ る 。
経 営
企 業 経 営 を 組 織 ・ 市 場 ・ 財 務 ・ 労 務 の 視 点 か ら 理 解 す る た め
に , 関 連 す る 経 営 学 及 び 法 学 の 科 目 を 均 等 に 学 修 さ せ る 。
経 済 法 学 科
企 業 法
企 業 の 組 織 ・ 資 金 調 達 ・ 取 引 に 必 要 な 知 識 の 修 得 の た め 関 連
す る 法 学 科 目 と 経 営 学 科 目 を 学 修 さ せ る 。
公 共 政 策 法
地 方 自 治 体 な ど の 政 策 立 案 に 必 要 な 法 学 科 目 に 加 え , 財 政 学
や 地 域 経 済 論 な ど の 経 済 学 科 目 も 学 修 さ せ る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-14-
表II-I-17 履修モデル例
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
2 学生や社会からの要請に対する教育上の取組
【国際的視野の養成】
学部に国際交流室をおき,次のように様々な国際交流事業を行っている(表II-I-18)。・海外の大学の学生と学習・交流する国際交流実習を行っている。
・ 交 換 留 学 プ ロ グ ラ ム 等 に よ る 学 生 の 海 外 留 学 を 積 極 的 に 支 援 し て い る 。
( 表 II - I -3)・国際交流協定を結んでいる海外の大学の教員による講義を開講している。
また,次のような取組を実施している。
・交流協定のある大学へ留学し,専門科目の単位を取得した場合には,教授会の審議を
経て,学部の必修科目である演習等の単位として認定している。また留学先の大学の
学期の関係で定期試験が受けられない学生に対しても,定期試験に代わる試験を実施
している。
・国際交流協定を締結している海外の大学から特別聴講学生を毎年受け入れている。
・全学統一英語能力テスト「TOEIC」を導入し,テストの結果に基づいた習熟度別
クラス編成による英語教育を実施している(表II-I-19)。表II-I-18 国際交流室の活動(2013 年度の例)
2013 年 度 経 済 学 部 国 際 交 流 活 動 報 告 書
佐 賀 大 学 経 済 学 部 は 、 学 部 の 多 様 化 し た 国 際 交 流 活 動 を し や す い 環 境 を つ く る た め に 、 留
学 指 導 や 相 談 、 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム の 実 施 、 海 外 共 同 研 究 な ど の 窓 口 と し て 、
「 国 際 交 流 室 」
を 2010 年 4 月 に 設 置 し た 。本 室 の 主 な 目 的 は 将 来 の 日 本 経 済 が 必 要 と す る グ ロ ー バ ル 人 材
育 成 に 貢 献 す る こ と で あ る 。 具 体 的 な 目 的 は 以 下 の 通 り で あ る 。
教 育 の 国 際 化
日 本 人 学 生 の 海 外 協 定 大 学 で の 長 期・短 期 教 育 研 究 活 動 の 促 進 及 び 海 外 協 定 校・協 力 校
の 大 学 教 員 に よ る 英 語 で の 講 義
研 究 の 国 際 化
海 外 協 定 校 ・ 協 力 校 の 大 学 教 員 と の 共 同 研 究 、 研 究 会 ・ 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム な ど の 開 催
地 域 社 会 の 国 際 化
社 会 人 の 国 際 交 流 実 習 、 講 義 、 留 学 生 と の 友 好 関 係 の 発 展
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-15-
そ の よ う な 目 的 を 達 成 す る た め に 次 の よ う な 事 業 を 実 施 し 、 本 書 に ま と め た 。
1. 教 育 の 国 際 化 : 国 際 交 流 実 習 ( タ イ ・ カ セ サ ー ト 大 学 )
本 年 度 の 主 な 実 習 課 題 と し て 以 下 の テ ー マ を 選 び 、 そ れ に よ っ て 段 階 的 に 学 内 外 で 理 論
的 か つ 実 証 的 に 学 ん だ 。
中 小 企 業 の グ ロ ー バ ラ イ ゼ ー シ ョ ン
〜 佐 賀 の 企 業 と タ イ の 日 系 企 業 の 経 験 を 中 心 に し て 〜
同 テ ー マ に 関 す る 海 外 の 実 習 は 、 佐 賀 大 学 と 学 術 交 流 協 定 を 締 結 し て い る タ イ ・ カ セ サ
ー ト 大 学 の 協 力 を 受 け 、2013 年 10 月 20 日 〜 27 日 の 一 週 間 に わ た っ て 実 施 し た 。本 実 習 に
経 済 学 部 生 16 名 が タ イ・カ セ サ ー ト 大 学 を 訪 問 し 、両 大 学 の 学 生 が 英 語 で の プ レ ゼ ン テ ー
シ ョ ン や 異 文 化 交 流 を 実 施 し た 。
2. 教 育 研 究 の 国 際 化 : 国 際 教 育 ・ 研 究 交 流 事 業
2013 年 度 に 海 外 協 定 大 学 の 教 員 に よ る ジ ョ イ ン ト 集 中 講 義 「 国 際 経 済 論 I」
( 3 年 生 以 上 、
単 位 数 2) を 実 施 し た 。 本 講 義 は 2013 年 1 月 11 日 か ら 13 日 ま で カ セ サ ー ト 大 学 ( タ イ )、ペ ラ デ ニ ヤ 大 学 ( ス リ ラ ン カ )
、 オ ー ク ラ ン ド 大 学 ( ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド )
、 パ ピ ア 大 学 ( イ
タ リ ア )の 教 員 を 招 待 し 、我 が 学 部 の 国 際 経 済 社 会 コ ー ス の「 国 際 経 済 論 I」の 集 中 講 義 を
行 っ た 。 講 義 の 内 容 は 全 て 、 学 生 に わ か り や す い 英 語 で 実 施 さ れ 、 日 本 語 ・ 英 語 で 印 刷 さ
れ た 資 料 が 配 布 さ れ た 。 そ の 後 、 実 地 研 修 や 国 際 研 究 会 " The Shift of Global Economic
Power from West to Asia: A Myth or Reality" を 実 施 し た 。
こ れ ら の 活 動 に 関 連 し て 、7 月 21 日 〜 25 日 に 佐 賀 大 学 公 開 講 座「 み ん な の 大 学 」の 海 外 研
修 が 、 韓 国 ・ 全 南 大 学 で 実 施 さ れ 、 地 域 社 会 の 国 際 化 と し て 事 前 学 習 会 「 ア ジ ア の 経 済 と
社 会 」 に 協 力 し た 。
2014 年 3 月
経 済 学 部 教 授 / 国 際 交 流 室 長
ラ タ ナ ー ヤ カ ・ ピ ヤ ダ ー サ
( 出 典 : 経 済 学 部 H P )
図II-I-3 海外留学(派遣)実績
佐賀大学経済学部 分析項目I
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( 出 典 : 経 済 学 部 総 務 係 調 べ )
表II-I-19 TOEICの学部平均スコア
H25 年 度 入 学 者 平 均 点 ( 1 回 目 ) 平 均 点 ( 2 回 目 ) 差 分
経 済 学 部 全 体 388.9 408.4 19.5
経 済 学 科 412.5 424.8 12.3
経 営 学 科 352.2 382.1 29.9
経 済 法 学 科 397.9 414.5 16.6
H26 年 度 入 学 者 平 均 点 ( 1 回 目 ) 平 均 点 ( 2 回 目 ) 差 分
経 済 学 部 全 体 377.9 413.5 35.6
経 済 学 科 387.8 424.7 36.9
経 営 学 科 347.3 388.3 41.0
経 済 法 学 科 396.5 424.4 27.9
( 出 典 : 学 務 部 教 務 課 )
【社会への関心の喚起】
・ 証券会社の実務家,公認会計士・税理士・会社の経理担当者,弁護士などの専門家に
よる実践科目を開講している(表II-I-20)。・ 授業の一環として,あるいは授業外で,企業人による講演を行っている。
・ キャリアセンターと協力して,1年生向けキャリア教育を開講し,また教養教育で開
講されるキャリアデザイン講義への学生の参加を義務付けている。
・ インターンシップへの参加を支援している。
表II-I-20 実践科目の例(2013 年度)
講 義 担 当 科 目 名
野 村 證 券 実 践 経 済 ( グ ロ ー バ ル 時 代 の 資 本 市 場 と 証 券 )
連 合 ( 日 本 労 働 組 合 総 連 合 会 ) 現 代 の 労 働
税 理 士 法 人 諸 井 会 計 実 践 会 計
佐 賀 県 弁 護 士 会 市 民 と 法 刑 事 訴 訟 法 消 費 者 法 不 法 行 為 法
( 出 典 : 経 済 学 部 HP)
【社会からの要請への対応】
・聴講生,科目等履修生,研究生を受け入れている。
・西九州大学との間で,
相互の学生の受講と単位取得を可能とし,
学生に周知している。
【学生からの要請への対応】
転学部及び転学科細則を制定し,修めたい分野の変更希望がある場合に一定の条件の
もとで変更を認めることにしている。
3 教育の方法及び指導
【授業形態の組み合わせとバランス】
・本学部の授業の柱は講義と演習(ゼミナール)である。講義と演習の一授業当りの受
講者数は表のとおりである(表II-I-21)。 佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-17-
表II-I-21 一講義あたり平均受講者数
授 業 形 態 等 平 均 受 講 者 数
大 学 入 門 科 目 I 、 入 門 ゼ ミ ( 1 年 次 ) 17 人
演 習 (ゼ ミ ナ ー ル : 2, 3, 4 年 次 ) 7.3 人
専 門 授 業 科 目 103 人
外 国 語 科 目 ( ビ ジ ネ ス 基 礎 英 語 な ど ) 8 人
( 出 典 : 経 済 学 部 教 務 課 )
・演習は,1年次の「大学入門科目I」及び「入門ゼミ」では 17 人程度の受講者とし,
2年次後期からの演習では受講者数を 10 人以下としている。
演習は少人数の対話型授
業であり,反転授業となっている。
・アクティブラーニングとしての実地型教育としては,
ゼミでのフィールドワークの他,
様々な科目がある。
「実践法政策」は,事前学習の後,学生が紛争地(例:諌早湾干拓
地)や法の執行機関(例:佐賀少年刑務所)を見学し,報告をまとめる授業となって
いる。
「国際交流実習」では,事前学習と現地視察及び訪問先大学での研究発表を行っ
ている。
・ビジネスコミュニケーション英語及びビジネス基礎英語では,習熟度別クラスを採用
し,能力に応じたきめ細かな指導を行っている。
以上のように各種の授業形態がバランスよく編成されている。
【学習指導上の工夫】
(1) 初年次学生の学修への配慮
初年次での学修上のつまづきに対応するために,
「大学入門科目I」と「入門ゼミ」を
置く。また,自分の学科以外の学問分野についても広く浅く学ぶために,
「経済学入門」
「経営学入門」
「法学入門」は,全学生必修とする(表II-I-22)。表II-I-22 初年次学生の学修
大 学 入 門 科 目 I 1 ク ラ ス 17 人 程 度 と し , 年 複 数 回 の 面 接
指 導 と 合 わ せ て , 学 修 で の 躓 き が 起 こ ら
な い よ う に し て い る 。
学 部 で 作 成 し た『 1 年 次 ゼ ミ
共 通 テ キ ス ト 』を 使 用 す る 。
入 門 ゼ ミ 各 学 科 の 基 礎 的 素 養 を 身 に 付 け さ せ な が
ら , 報 告 ・ 議 論 な ど の 学 習 上 の ス キ ル を
修 得 で き る よ う 指 導 し て い る 。
学 部 で 作 成 し た『 1 年 次 ゼ ミ
共 通 テ キ ス ト 』を 使 用 す る 。
経 済 学 入 門 ,
経 営 学 入 門 ,
法 学 入 門
1 年 次 全 員 の 必 修 科 目 で あ る 。 各 学 問 領
域 を 浅 く 学 ぶ 。
同 一 内 容 で 複 数 開 講 す る こ
と に よ っ て 大 人 数 授 業 と な
ら な い よ う に し て い る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
(2) 履修及び学習の指導
2年次からのコア科目群と演習の履修を連携させるために,各教員の演習について推
奨コア科目群を明示している。入学時だけでなく,2〜3年次生に対しても履修ガイダ
ンスを実施するほか,演習担当教員をチューター教員として履修指導も行っている。
(3) 受講者数適正化
本学部では,演習用教室を 11 室設けている。また情報教育専用の情報演習室がある。
多人数クラスに対応する経済学部の教室は2つであるが,他学部等の教室を共用し,ま
た時間割上で授業科目を適切に配置することで,受講者数を抑制し教育効果が上がるよ
うにしている。
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-18-
(4) シラバスの充実と活用
全科目のシラバスを教務ポータルシステムで公開している。
シラバスには 15 回の授業
計画及び自主学習内容を明示し,それによって授業の予習を促し,また週に一度のオフ
ィスアワーを設け,授業の復習や疑問解決を容易にする体制をとっている(表II-I-4)。
図II-I-4 シラバスの例(オンラインシラバス画面)
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-19-
(1)自主的学習を促す取組
以下のように,様々な取組が行われている(表II-I-23〜24)。表II-I-23 自主的学習を促す取組
シ ラ バ ス 毎 回 の 講 義 内 容 に 即 し た 課 題 の 提 示 に よ り 、 学 生 が 自 主 的 に 予
習 ・ 復 習 を す る こ と が で き る 。
ラ ー ニ ン グ ・ポ ー ト フ ォ
リ オ や チ ュ ー タ ー 指 導
一 人 一 人 の 学 生 の 実 情 に 即 し た 指 導 が で き る た め , 自 主 的 学 習
を 促 す こ と が で き る 。
教 務 ポ ー タ ル シ ス テ ム ウ ェ ブ 上 に 様 々 な 資 料 や プ リ ン ト を ア ッ プ し た り , 学 生 の レ ポ
ー ト を 受 け 付 け た り で き る た め , 学 生 の 自 主 的 な 学 習 を 促 進 し
や す い 。
ゼ ミ ナ ー ル 連 合 そ の 活 動 を 学 部 が 支 援 し て い る 。 そ の こ と に よ り , 学 生 が 全 国
商 業 系 ゼ ミ ナ ー ル 等 に 参 加 し , 他 大 学 の 学 生 と 勉 学 上 の 交 流 を
行 う こ と が 可 能 と な っ て い る 。
演 習 多 く の 演 習 で 卒 業 レ ポ ー ト の 提 出 を 求 め て お り , ま と ま っ た 考
察 を 書 く と い う 最 終 目 標 を 示 す こ と に よ り , 学 生 の 探 求 意 欲 を
引 き 出 す こ と に つ な が っ て い る 。 ま た 優 秀 な 論 文 を 佐 賀 大 学 経
済 学 会 発 行 の 『 学 生 論 集 』 に 掲 載 し , 卒 業 式 で 表 彰 し て い る 。
こ の こ と は , 学 生 の 励 み に な っ て い る 。
留 学 交 流 協 定 の あ る 大 学 へ の 留 学 を 支 援 し て お り , 学 生 の 海 外 へ の
関 心 と 外 国 語 の 学 習 意 欲 を 引 き 出 し て い る 。
ウ ォ ッ チ ン グ 佐 賀 学 生 を 経 済 学 部 地 域 経 済 研 究 セ ン タ ー の 企 画 す る 「 ウ ォ ッ チ ン
グ 佐 賀 」 に 参 加 さ せ , 地 域 経 済 , 地 場 産 業 , 地 方 行 政 の 現 状 と
問 題 に 触 れ さ せ る こ と で 実 践 的 問 題 関 心 を 引 き 出 し て い る 。
「 ウ ォ ッ チ ン グ 佐 賀 」 に は , 学 生 向 け の 企 画 だ け で な く , 市 民
向 け の 公 開 講 座 を 兼 ね た 企 画 が あ り , 学 生 が 市 民 と 一 緒 に , 事
前 に 学 習 し , 実 地 研 修 に 赴 い て い る 。
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
表II-I-24 ウォッチング佐賀(2015 年度)
区 分 テ ー マ 日 程 訪 問 地 参 加 学 生 数
第 75 回
景 観 と 交 流 を 活 か し た「 う ま
し の 里 」根 獅 子 食 ま つ り シ ン
ポ ジ ウ ム
2016 年
1 月 24 日
長 崎 県 平 戸 市
降 雪 の た め
中 止
第 76 回
唐 津 市 の 防 災 計 画 と ま ち づ
く り そ の 2
2016 年
2 月 18 日
佐 賀 県 唐 津 市 14 人
第 77 回 平 和 と 地 域 の 文 化 を 学 ぶ
2016 年
2 月 16〜 17 日
鹿 児 島 県 知 覧 市 10 人
第 78 回 佐 賀 の 焼 き 物 と 天 草 陶 土
2016 年
2 月 19〜 20 日
熊 本 県 天 草 市 9 人
( 出 典 : 地 域 経 済 研 究 セ ン タ ー H P )
・学生の自主学習をサポートする施設としては,
「研究図書室(資料室)」,
「パソコン自
習 室 」,「 自 学 自 習 室 」 が あ る 。 教 室 で あ る 演 習 室 及 び 情 報 演 習 室 に つ い て も 空 き 時 間
は自主学習に使用できるようにしている。
【単位実質化への配慮】
・15 回の授業と1回の定期試験の時間を確保することとしている。担当教員が授業を実
施できない場合は,必ず代講や補講を行っている。
・履修登録単位数について上限を定め,学生が十分な学習時間を確保できるようにしてい
る。
・シラバスには15回の授業内容と取り組むべき自主学習の内容を示し,予習・復習を促し
ている。シラバスに授業における到達目標と成績評価基準を明示することにより,学生
佐賀大学経済学部 分析項目I
-3-20-
の学修目標が明確となるようにしている。
・オフィスアワーを設け,学生からの質問を受け付けている。
・ 定 期 試験 で は 解 答例 を 公 開 した 上 で , 評価 に 関 す る質 問 の た めの オ フ ィ スア ワ ー を
設け,試験問題並びに評価 に 関 し て よ り 学 生 が 深 い 理 解 が も て る よ う 配 慮 し て い る 。
・平成 28 年度から,4年次生に対して「コア科目群確認試験」を課す予定である。
(出典)
「平成 24 年度経済学部マニュアル」,「平成 27 年度経済学部マニュアル」
【改組の評価】
教員に対して,平成 28 年3月に改組の暫定的評価を調査した結果は,以下の通りであ
る。4分の3以上が肯定的な評価であった(図II-I-5)。図II-I-5 教員アンケートの結果
学科制を導入したことについて 初年次教育の改革について
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
・教養科目において幅広い視野をもたせ,専門教育によって専門分野を深められるよう
適切な教育課程となっている。
・専門授業科目は,専門性を確保しつつ,経済学,経営学,法学の総合的な教育という
学部の教育目標を達成できるように3学科の科目の体系的な履修を確保している。
・講義,演習,実地型授業など多様な授業形態が適切に組み合わされている。
・初年次学生の履修に対する配慮など,学習・教育上の工夫が十分に行っている。
・留学支援などの学生の学習を促す仕組みも構築している。
・単位の実質化のための措置の取組を行っている。
これらは,在学生及びその保護者,地域社会の期待に応えるものである。
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-21-
分析項目II 教育成果の状況
観点 学業の成果
(観点に係る状況)
1 単位取得状況
2015 年3月時点での学生の単位修得状況は,
下表に示すとおりである
(表II-II-1)。卒業に必要な 124 単位について,大部分の学生はバランス良く単位を修得している。
かかる状況は,他の年度においても同様である。
表II-II-1 2015 年3月時学生の単位取得状況
区 分
1 年 生 2 年 生 3 年 生 4 年 生
人 数 割 合
( % )
人 数 割 合
( % )
人 数 割 合
( % )
人 数 割 合
( % )
( 人 ) ( 人 ) ( 人 ) ( 人 )
0〜 10 4 1.44 3 1.12 1 0.34
11〜 20 8 2.90 2 0.68 1 0.36
21〜 30 23 8.30 1 0.34 3 1.08
31〜 40 210 75.81 8 2.99 1 0.34 1 0.36
41〜 50 32 11.55 13 4.85 1 0.34
51〜 60 17 6.34 3 1.02 3 1.08
61〜 70 40 14.93 4 1.37 2 0.72
71〜 80 104 38.80 13 4.44 1 0.36
81〜 90 77 28.73 11 3.75 3 1.08
91〜 100 6 2.24 14 4.78 2 0.72
101〜 110 31 10.58 3 1.08
111〜 120 70 23.89 8 2.88
121〜 130 117 39.93 198 71.22
131〜 140 5 1.71 36 12.94
141〜 150 13 4.44 5 1.80
151〜 6 2.05 12 4.32
合 計 277 100% 268 100 293 100 278 100
平 均 値 35.5 72.92 112.87 124.02
中 央 値 38 80 121 125
( 出 典 :
「 2014 年 度 自 己 点 検 評 価 報 告 書 」)2 卒業率
修業年限どおりの卒業率は,平成 25 年3月卒業者以降,80%以上を維持している(表
II-II-2)。表II-II-2 平成 23 年度〜27 年度卒業率
区 分
過 年 度 生 を 含 む 卒 業 率 過 年 度 生 を 含 ま な い
〈 4 年 経 過 時 の 〉
在 籍 卒 業 者 数 卒 業 率 在 籍 者 数 卒 業 者 数 卒 業 率
平 成 24 年 3 月 399 289 72.40% 298 233 78.10%
平 成 25 年 3 月 380 297 78.20% 288 245 85.10%
平 成 26 年 3 月 346 281 81.20% 279 245 87.80%
平 成 27 年 3 月 319 252 79.00% 278 225 80.90%
平 成 28 年 3 月 341 266 78.01% 291 242 83.16%
( 出 典 :
「 2015 年 度 自 己 点 検 評 価 報 告 書 」) 佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-22-
3 授業評価アンケート
毎学期ごとに取っている授業評価アンケートにおける回答は以下の通り(表II-II-
3 ) で あ っ た ( た だ し 「 回 答 な し 」 を 除 外 し て い る )
。 い ず れ の 質 問 に 対 し て も , 6 割
程の学生が肯定的に答えている。
表II-II-3 授業評価アンケートの回答
「 こ の 授 業 の 内 容 は 理 解 で き る 」
( % )
区 分
該当しない
わからない
全くそうは
思わない
そうは思わ
ない
どちらとも
言えない
そう思う
全くその通
りだと思う
H23 年 度 前 期 3.58 2.86 8.14 24.38 47.02 14.03
H23 年 度 後 期 2.25 3.48 8.54 23.63 47.09 15.00
H24 年 度 前 期 2.71 3.02 9.29 22.06 51.78 11.15
H24 年 度 後 期 1.56 3.54 7.01 24.22 49.86 13.81
H25 年 度 前 期 1.54 3.32 8.02 22.06 50.17 14.90
H25 年 度 後 期 0.53 3.90 9.93 22.08 46.22 17.34
H26 年 度 前 期 0.86 2.92 7.63 19.61 54.19 14.79
H26 年 度 後 期 0.41 3.07 6.24 19.34 52.10 18.83
H27 年 度 前 期 4.09 1.36 5.31 27.04 46.80 15.40
H27 年 度 後 期 7.97 1.53 6.88 27.29 44.43 11.90
「 こ の 授 業 を 受 講 し て 満 足 が 得 ら れ た 」
( % )
区分
該当しない
わからない
全くそうは
思わない
そうは思わ
ない
どちらとも
言えない
そう思う 全くその通
りだと思う
H23 年 度 前 期 3.71 2.96 7.22 24.75 45.22 16.14
H23 年 度 後 期 3.06 2.97 6.97 26.18 44.41 16.40
H24 年 度 前 期 3.10 3.10 6.73 26.16 47.52 13.39
H24 年 度 後 期 2.24 4.15 6.73 22.45 48.03 16.39
H25 年 度 前 期 1.44 3.65 6.39 23.74 46.08 18.69
H25 年 度 後 期 0.69 4.97 8.48 22.84 41.41 21.62
H26 年 度 前 期 1.15 3.38 7.68 23.39 46.85 17.55
H26 年 度 後 期 0.61 3.38 6.65 23.03 44.32 22.01
H27 年 度 前 期 - 2.04 5.25 17.44 49.46 25.82
H27 年 度 後 期 - 3.28 6.99 17.90 48.58 23.25
( 出 典 : H23 年 度 「 授 業 評 価 ア ン ケ ー ト 報 告 書 」
, H24・H25・H26・H27 年 度 「 授 業 評 価 ア ン ケ ー ト 」 結
果 。
H27 年 度 に つ い て は 、
質 問 項 目 に 若 干 の 変 更 が あ る が 、
同 趣 旨 の 質 問 項 目 に 関 す る 結 果 を 挙 げ た 。)4 卒業レポート
多くのゼミで,卒業レポート作成が指導されている。それらの卒業レポートの幾つか
は,学生論集に掲載され,卒業祝賀会で表彰される。下表は,2014 年度刊行のテーマで
ある(表II-II-4)。表II-II-4 学生論集のテーマ
2014 年 12 月
刊 行
21 号
1. 保 育 の ニ ー ズ と 待 機 児 童
2. ブ ラ ッ ク 企 業
3. 児 童 虐 待 と 親 権 停 止 制 度 に つ い て
4. 生 活 保 護 の 変 遷 と 引 き 下 げ の 議 論
5. 我 が 国 の 国 際 会 計 基 準 導 入 を め ぐ っ て
6. ( 地 域 雇 用 課 題 研 究 )地 域 で 働 く 佐 賀 大 生 の ア ル バ イ ト 就 業
実 態 調 査 研 究
2015 年 3 月 22 号 1. お 金 持 ち 研 究 ― お 金 持 ち の 妻 ―
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-23-
刊 行 2. 認 知 症 高 齢 者 を 地 域 で 見 守 る
― 行 方 不 明 者 を 出 さ な い た め に ―
3. デ ジ タ ル デ バ イ ド 解 消 モ デ ル に 関 す る 実 証 研 究
4. 食 品 添 加 物 と 食 品 表 示 の 考 察
― よ り よ い 消 費 者 市 民 社 会 を 目 指 し て ―
5. 債 権 者 代 位 権 の 改 正 に つ い て
― 債 権 回 収 機 能 を 中 心 と し て ―
( 出 典 : 佐 賀 大 学 経 済 学 部 学 生 論 集 21・22 号 )
5 在校生及び卒業予定者アンケート
毎年度末に,在校生及び卒業予定者へのアンケート調査を行っている。
アンケートの結果は,下表の通りである(表II-II-5)。(ただし平成 25 年度は,
システムのトラブルにより,十分な数のデータが収集できなかったため,除外した。さ
らに,平成 27 年度については,質問項目の見直しが行われたことにより該当するデータ
が得られないため,除外した箇所がある。このような問題はあるが,本アンケートは大
まかな傾向を知るには十分であると考える。)このアンケート結果から,在校生の過半数は学部の専門科目の授業に満足し,また卒
業予定者の過半数が「合理的な判断能力」や「多面的考察力」
「情報収集・分析力」を高
めたと判断していることが分かる。
表II-II-5 在校生アンケートの結果
授 業 科 目 の 満 足 度 ( 専 門 基 礎 科 目 )
区分 1 不満足 2 3(中間) 4 5 満足 度数平均値
平 成 23 年 度 7 7 11 47 16 3.65
平 成 24 年 度 0 3 20 51 11 3.83
平 成 25 年 度 - - - - - -
平 成 26 年 度 1 6 56 51 10 3.51
平 成 27 年 度 - - - - - -
授 業 科 目 ( 専 門 科 目 ) の 満 足 度 ( 平 成 26 年 度 )
区 分 1 不満足 2 3(中間) 4 5 満足 度数平均値
専門基礎科目 1 6 56 51 10 3.51
専門必修科目 4 20 41 58 14 3.42
専門選択科目 4 13 46 51 21 3.53
専門共通科目 1 9 44 60 22 3.68
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
表II-II-6 卒業予定者アンケートの結果
「 日 常 生 活 に お い て , 合 理 的 及 び 論 理 的 に 判 断 し て い る 。」区 分
1全く当て
はまらない
2 3(中間) 4
5よくあて
はまる
度数平均値
平 成 23 年 度 5 5 17 47 6 3.54
平 成 24 年 度 0 8 10 41 18 3.90
平 成 25 年 度 - - - - - -
平 成 26 年 度 7 12 53 97 30 3.66
平 成 27 年 度 2 22 56 120 31 3.68
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-24-
「 現 代 社 会 に お け る 諸 課 題 を 多 面 的 に 考 察 し て い る 。」区分
1全く当て
はまらない
2 3(中間) 4
5よくあて
はまる
度数平均値
平成 23 年度 4 10 26 33 9 3.39
平成 24 年度 2 12 10 41 8 3.57
平成 25 年度 - - - - - -
平成 26 年度 5 26 60 87 22 3.48
平成 27 年度 2 33 70 109 17 3.46
「 現 代 社 会 に お け る 諸 課 題 の 解 決 に 役 立 つ 情 報 を 収 集 し , 分 析 で き る 。」区 分
1全く当て
はまらない
2 3(中間) 4
5よくあて
はまる
度数平均値
平成 23 年度 4 12 30 26 6 3.23
平成 24 年度 2 12 10 47 6 3.56
平成 25 年度 - - - - - -
平成 26 年度 6 32 62 85 14 3.35
平成 27 年度 2 31 80 103 15 3.42
( 出 典 : 各 年 度 「 卒 業 予 定 者 ア ン ケ ー ト 報 告 書 」)6 資格取得状況
本学部の専門教育は,資格取得を目的とするものではないが,学生の学修の動機付け
に資することから,資格取得を奨励している。ファイナンシャルプランナー,社会保険
労務士資格などの資格取得者がいる。日商簿記の受験も推奨している。また,教員免許
の取得状況は以下の通りである。
表II-II-7 教員免許の取得状況(人数は延べ人数)
免 許 取 得 者 総 数 中 学 校 教 員 免 許 数 高 校 教 員 免 許 数
平 成 23 年 度 16 7 9
平 成 24 年 度 11 3 8
平 成 25 年 度 12 2 10
平 成 26 年 度 10 1 9
平 成 27 年 度 22 3 19
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
学生の単位取得は4学年にわたって順調に行われており,学生は,授業に対する満足
度が高く,卒業時の自らの能力についても高い評価をしている。これらは,学生及びそ
の保護者の期待に応えるものである。
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-25-
観点 進路・就職の状況
(観点に係る状況)
1 就職率
学生の就職率は,91.6%(平成 23 年度)
,93.0%(平成 24 年度)
,95.6%(平成 25
年度)
,95.6%(平成 26 年度)
,93.2%(平成 27 年度)であり,概ね改善・高位定着傾
向にある。
2 就職先
学生の就職先分野は,多い順から,公務員,金融・保険,卸売・小売,情報通信,製
造業,運輸・郵便業,建設業,教育・学習支援業,サービス業であり,本学部の特徴で
ある総合的な社会科学教育を反映して,多様な部門に人材を供給している。就職先地域
は,西・北部九州(福岡,佐賀,長崎県)が過半数を占め,地元密着型大学の特徴を示
している(図II-II-1)。図II-II-1 平成 27 年度産業別就職状況
平成 27 年度地域別就職状況
( 出 典 : 経 済 学 部 資 料 )
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-26-
3 卒業生アンケート
平成 27 年3月〜4月にかけて,平成 22〜25 年度卒業生 66 人にアンケートを取った。
その中の質問項目「現在のお仕事に,大学時の学業や経験は役立っていますか。役立っ
ていると思われるものをすべて挙げて下さい。
」に対する回答結果は,以下の通りである
( 図 II - II - 2 )
。 な お , 質 問 項 目 中 の 「 卒 業 論 文 」 と は 「 観 点 学 業 の 成 果 」 の 「 4
卒業レポート」と同一である。
その結果,
「卒業後,役に立っている。
」項目として卒業生が挙げるものとしては,
「知
識」と「ゼミでの様々な経験」がほぼ同程度であることが分かる。
図II-II-2 卒業生アンケート「卒業後,役に立っている」項目
( 出 典 : 2015 年 実 施 の 「 卒 業 生 ア ン ケ ー ト 」 デ ー タ )
また,上記の回答の理由を問うたところ,以下のような回答があった。ここでも,知
識だけでなく,ゼミでの様々な経験をプラスに評価する回答が多い(表II-II-8)。表II-II-8 卒業生アンケート「卒業後,役に立っている理由」
( 平 24 年 3 月 卒 業 ・ 企 業 経 営 コ ー ス ・ 会 社 員 )
事 務 的 な 作 業 も 行 う の で , 情 報 処 理 は 高 校 か ら 大 学 ま で 勉 強 し て い て 役 立 ち ま し た 。
ま た , 報 告 書 を 出 す こ と も 多 い の で 小 論 文 を 書 い た と い う こ と は 書 類 を 作 成 す る 上 で
自 信 に 繋 が っ て い ま す 。 発 表 す る 時 も 同 様 で す 。
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 養 え た の は , 先 生 や ゼ ミ 生 と 重 要 な 話 や 雑 談 を た く さ ん し
た 2 年 が あ る か ら だ と 思 っ て い ま す 。
( 平 23 年 3 月 卒 業 ・ 法 務 管 理 コ ー ス ・ 会 社 員 )
仕 事 で パ ソ コ ン を よ く 使 う の で , 情 報 処 理 の 知 識 は 本 当 に 大 切 だ と 思 う こ と が よ く あ
り ま す 。 ほ か に も , ゼ ミ で 卒 論 を 書 い た 経 験 の お か げ で 自 分 の 考 え を 文 章 に ま と め る こ
と が で き , メ ー ル を 書 い た り , 資 料 を 作 っ た り す る と き な ど に 役 に 立 っ て い ま す 。
大 学 で 得 た 経 験 や 知 識 は 幅 が 広 く , 社 会 に 出 て か ら も , 大 学 で 得 た 経 験 ・ 知 識 を 土 台
に 自 分 で 調 べ た り , 考 え た り で き , 大 学 に 行 っ て よ か っ た な と 感 じ て い ま す 。
( 平 26 年 3 月 卒 業 ・ 法 務 管 理 コ ー ス ・ 団 体 職 員 )
年 金 に 携 わ る 仕 事 の た め , 社 会 保 障 を は じ め と し た 法 律 科 目 は 基 礎 知 識 と し て 自 分 の
力 に な っ て い ま す 。 年 金 は マ ク ロ ス ラ イ ド や 物 価 ス ラ イ ド に よ っ て も 変 動 す る た め , 大
学 時 代 に 経 済 科 目 と 法 律 科 目 両 方 に 触 れ る こ と が 出 来 て 良 か っ た で す 。
( 平 24 年 3 月 卒 業 ・ 法 務 管 理 コ ー ス ・ 団 体 職 員 )
大 学 の 講 義 で は , 中 学 や 高 校 の 授 業 と は 違 っ て ,
「 君 は ど う 思 う か ? 」 と 自 分 の 考 え を
問 わ れ る こ と が 多 か っ た の で , い つ も 自 分 の 考 え を 持 つ よ う 心 が け な け れ ば な ら な か っ
佐賀大学経済学部 分析項目II
-3-27-
た 。 仕 事 に お い て も , 自 分 の 考 え を 問 わ れ た り , 意 見 を 言 わ な け れ ば な ら な い 機 会 が 多
い の で , こ の 心 が け が 役 に 立 っ て い る と 思 う 。
( 平 23 年 3 月 卒 業 ・ 総 合 政 策 コ ー ス ・ 会 社 員 )
( ゼ ミ で の 発 表 の 経 験 の お か げ で ) 会 社 で 意 見 を 交 換 し あ う 機 会 が 多 く , 自 分 の 考 え を
自 信 を も っ て 話 せ る よ う に な っ た 。
( 平 23 年 3 月 卒 業 ・ 国 際 経 済 社 会 コ ー ス )
簿 記 の 知 識 や コ ン ピ ュ ー タ 操 作 , ま た ゼ ミ で の 文 書 作 成 や 発 表 の 経 験 は , 実 務 的 に 役
に 立 っ て い る 。 ま た 直 接 業 務 に 関 わ り は な く て も , 教 養 科 目 や 経 済 学 科 目 , ゼ ミ で 得 た
知 識 を 仕 事 上 の 会 話 に 活 か す こ と が で き た 。
( 平 24 年 3 月 卒 業 ・ 企 業 経 営 コ ー ス ・ 公 務 員 )
・ パ ソ コ ン で 書 類 作 成 を す る 機 会 が 多 い
・ 分 か り や す い 説 明 が 求 め ら れ る
・ 年 齢 の 違 う 同 僚 , 先 輩 , 上 司 , 後 輩 と 一 緒 に 仕 事 を し な け れ ば な ら な い
・ 様 々 な 住 民 の 方 と 接 す る 機 会 が 多 く , あ ら ゆ る 人 と の 対 応 能 力 が 求 め ら れ る
・ 公 務 員 と し て , 住 民 と 対 応 す る 上 で , 基 礎 的 な 教 養 知 識 が 必 須
以 上 の こ と か ら , 大 学 で 経 験 し た り 学 ん だ こ と は 大 変 役 立 っ て い る と 思 い ま す 。
( 平 25 年 3 月 卒 業 ・ 企 業 経 営 コ ー ス ・ 公 務 員 )
パ ソ コ ン を 使 っ て 仕 事 を す る う え で 情 報 処 理 に 関 す る 能 力 は 必 須 で あ る 。 ま た , 地 方
公 務 員 で あ る た め 経 済 学 の 知 識 は 常 識 と し て 求 め ら れ る 。 中 小 企 業 を 相 手 に す る 仕 事 で
決 算 書 を 読 む こ と も あ る た め , 経 営 学 の 知 識 は 非 常 に 役 に 立 っ て い る 。
ゼ ミ で の 卒 業 論 文 で 研 究 し た 内 容 が 現 在 の 仕 事 内 容 と 重 な っ て い る た め , ゼ ミ で の 卒
業 論 文 執 筆 は 大 変 財 産 に な っ た 。
ま た , ゼ ミ で の 先 生 や 同 級 生 と の 交 流 で は , 互 い に 異 な る 考 え 方 を 持 つ 人 た ち , ま た
同 じ よ う な こ と に 興 味 を 持 つ 人 た ち と 議 論 を し た り 共 同 で 何 か を や っ た り す る 中 で , 疑
似 的 に 社 会 体 験 が で き た 。
( 平 23 年 3 月 卒 業 ・ 企 業 経 営 コ ー ス ・ 会 社 員 )
大 学 で の 勉 強 , 経 験 が 直 接 仕 事 に 結 び つ く こ と は あ ま り な い け れ ど , 基 本 的 な 考 え 方
や 行 動 は 大 学 時 代 か ら 培 わ れ て い る も の だ と 思 う 。
( 出 典 : 2015 年 実 施 の 「 卒 業 生 ア ン ケ ー ト 」 デ ー タ )
4 就職先企業アンケート
平成 23 年度に 17 社,同 27 年度に9社から,聞き取り調査を行った。その結果によれ
ば,本学の卒業生については,
「まじめである」
「勉強熱心」
「向上心がある」といったプ
ラス評価と「自己主張が弱い」といったマイナス評価が伺える。
また「佐賀大学経済学部に対してどのような教育を要望しますか」という質問につい
ては,
「コミュニケーション能力の涵養」
「主体性の確立」を求める声が目立つ。
以上からは,
「積極的にコミュニケーションを取って,自ら物事に対処する姿勢」を育
てる教育が求められていることが分かる。このことは,既に,少人数教育をより充実さ
せた今回の改組や自学自習を促進する体制の強化に反映されている。
(水準)
期待される水準にある。
(判断理由)
就職率は向上しており,
地元を中心に,
多様な分野に卒業生を送り出している。
また,
多くの卒業生が,大学時の学業や経験が現在の仕事に役立っていると評価している。就
職先の企業からも,卒業生の能力について相応の評価をいただいている。以上は,学生
及びその保護者,地域社会の期待に応えるものである。
佐賀大学経済学部
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III 「質の向上度」の分析
(1) 分析項目I 教育活動の状況
1 専門性と総合性を備えた教育を充実させるために,改組を行った。
この改組において,経済学科・経営学科・経済法学科を置き,各学科で入学試験を実
施した。また,学生定員を 15 人減じるなど,少人数によるきめ細かな教育を行った。
さらに,初年次の「経済学入門」
「経営学入門」
「経済法学入門」の履修を全新入生に
義務付け,4年次に「コア科目群確認テスト」を課すことにしている。
以上のことから,教育の質が向上に繋がっていると判断できる。
2 初年次教育を充実させた。
初年次教育については,FDで必要に応じて議論しており,前期の「大学入門科目I」
及び後期の「入門ゼミ」を設け,教員が一貫して指導する体制を整えた。また,初年次
での「躓き」を未然に防止できるよう『一年次ゼミ共通テキスト』を作成し,学生生活
やスタディスキルを容易に理解できるようにした。以上のことから,教育の質が向上し
たと判断できる。
3 学生への細やかな指導が定着してきた。
学生は,
「ラーニング・ポートフォリオ」を利用して自らの学習歴を記録することで学
習状況の客観的な把握が可能となり,教員はその記録をもとに学生の振り返りをサポー
トしている。また,教員は「授業点検・改善報告」を記載することで,より学生への細や
かな指導が行えるようになった。
以上のことから,教育の質が向上に繋がっていると判断できる。
(2) 分析項目II 教育成果の状況
改組による教育改善の効果
新課程の学生は,平成 27 年度時点で3年次生以下であり,今後4年次教育を行う予定
であるため,暫定的な評価として,教員へアンケート調査を行った。その結果,大半の
教員が改組による授業改善策を実施したことを評価している。
以上のことから,教育の質が向上に繋がっていると判断できる。

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