1平成30年度に係る業務の実績に関する評価結果
国立大学法人佐賀大学
1 全体評価
佐賀大学は、地域とともに未来に向けて発展し続ける大学として、地域を志向した社会
貢献・教育・研究を推進することで、
地域活性化の中核的拠点となることを目指している。
第3期中期目標期間においては、学生の能動的かつ主体的な学修を育み、総合大学の強み
を生かした多様な教育かつ質の高い専門教育により、国際的な視野で変容する社会で活躍
できる学生を育成すること等を基本的な目標としている。
この目標の達成に向け、学長のリーダーシップの下、地域社会で多様に活躍できる学生
を育成するため6つの副専攻を設置するとともに、学力の3要素を評価するため主体性等
評価を導入するなど、
「法人の基本的な目標」
に沿って計画的に取り組んでいることが認め
られる。(「戦略性が高く意欲的な目標・計画」の取組状況について)
第3期中期目標期間における「戦略性が高く意欲的な目標・計画」について、平成30年
度は主に以下の取組を実施し、法人の機能強化に向けて積極的に取り組んでいる。
○しろまる 佐賀県内の高校生を対象に、高校生が3年間を通じて高度な教育研究に触れ、将来の
進路を考える機会を提供する「継続・育成型高大連携カリキュラム」に取り組んでいる。
これまでの「教師へのとびら(登録者213名)」「科学へのとびら(登録者355名)」「医療
人へのとびら(登録者162名)」に加えて、
平成30年度は「社会へのとびら(登録者56名)」を実施している。特に「科学へのとびら」の修了生で理工学部や農学部に出願した受験
生の中には、入試の書類中、該当の取組に言及する者も見られ、入試改革との連動も確
認できている。
(ユニット「高大接続改革」に関する取組)
○しろまる 各教員の教育研究活動をIRデータに基づき積極的に評価するため、
教員評価に関して、
教育面では各教員の授業時間数を主とした教育貢献度指標を初めて定義し、当該指標を
活用して貢献度の高い上位65名にインセンティブを付与するとともに、研究面ではこれ
までの研究インセンティブを一部改善し、大型の公的外部資金の獲得や学術賞受賞等の
功績があった者に対して表彰等を行っている。
(ユニット「佐賀大学版IRの高度化」に関
する取組)
75 佐賀大学22 項目別評価
<評価結果の概況> 特 筆
一定の
注目事項
順 調
おおむね
順調
遅れ
重大な
改善事項
(1)業務運営の改善及び効率化 ○しろまる
(2)財務内容の改善 ○しろまる
(3)自己点検・評価及び情報提供 ○しろまる
(4)その他業務運営 ○しろまる
I.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
1組織運営の改善 2教育研究組織の見直し 3事務等の効率化・合理化
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載10事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
とともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
平成30年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる 評価指標に基づく戦略的な予算配分
学長の強いリーダーシップを発揮するため、学長裁量経費を国の提示額(3億5,738万
8千円)
を大幅に上回る180%以上の6億6,043万5千円確保し、
IRデータの活用により、
戦略的かつ効果的に「ヒト、モノ、カネ、スペース利用」の資源配分を行っている。各
部局が自ら設定したKPIに基づき、
特に評価の高い事業に重点配分するとともに、
中期目
標・中期計画に基づいて設定した共通の指標の達成度に応じて部局基礎額を配分するな
ど、部局の特色も加味した戦略的な予算配分を行っている。
(2)財務内容の改善に関する目標
1外部研究資金、寄附金その他の自己収入の増加 2経費の抑制 3資産の運用管理の改善
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載6事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
とともに、下記の状況等を総合的に勘案したことによる。
75 佐賀大学3平成30年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる 部局ごとの財務構造の意識化による財政基盤の強化
部局ごとの財務活動への意識づけを明確にするため、
「プロフィットセンター」と「コ
ストセンター」とに区分し、
「プロフィットセンター」は外部資金等の獲得による収益の
増加及び経費削減を使命とし、一方、
「コストセンター」は業務の質とそれに要する費用
に責任を持ち、予算責任者となる理事・副学長のもと、あらゆる角度からの経費削減と
プロフィットセンターの支援を使命としている。これにより、各部局において不断にか
つ積極的に「増益」又は「経費削減」について検討を行い、法人の財務構造が持続的に
発展する仕組みを構築している。
(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1評価の充実 2情報公開や情報発信等の推進
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載2事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
こと等を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要目標
1施設設備の整備・活用等 2安全管理と環境 3法令遵守
【評定】中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由) 年度計画の記載8事項全てが「年度計画を十分に実施している」と認められる
こと等を総合的に勘案したことによる。
75 佐賀大学4II.教育研究等の質の向上の状況
平成30年度の実績のうち、下記の事項について注目される。
○しろまる 複眼的思考を培うことを目的とした「サブスペシャルティコース」の策定
これからの新しい社会を生き抜くために必要な実用的能力を、実践や実技を通して幅
広く習得させ、複眼的思考を培うとともに、主体的に学び行動し、地域社会等で多様に
活躍できる学生を育成することを目的として、副専攻を設定している。平成30年度以降
の入学生を対象に、副専攻として新たな6つの専攻(プログラミング・データサイエン
ス専攻、デジタルコンテンツ専攻、芸術と社会専攻、実践栽培専攻、歴史文化専攻、英
語コミュニケーション専攻)を設置し、平成31年度より授業を実施する準備を整えてい
る。
○しろまる 教学マネジメント体制の確立
教学マネジメント体制の確立に向けて、教育の質保証体制を「大学レベル」、「学部学
科レベル」、「教員レベル」の3階層に区分し、責任部局を明確化するとともに各階層で
の質保証体制に関わる規程等を整備している。また、学部あるいは学科等、学内の20の
教育課程に、
現行の教育課程の分析やPDCAサイクルの管理体制を充実させるために
「教
育コーディネーター」制度を導入することとしている。
○しろまる 先進的な取組としての個別選抜におけるCBT活用の展開
「佐賀大学版CBT(Computer Based Testing)
」として、
「学力の3要素」のうち「知識・
技能」
「思考力・判断力・表現力」について、ペーパーテストでは技術的に評価すること
が難しい領域をタブレット型多機能端末等のデジタル技術を用いて評価する試みを実施
している。平成27年度の開発着手以降、平成29年度に導入した「基礎学力・学習力テス
ト」に加え、平成30年度は新たに「思考力・判断力・表現力を問うテスト」や「英語4
技能テスト」等、2つのタイプのCBTを開発し、推薦、AO入試等で導入している。
○しろまる 一般入試における「電子書類採点システム」を開発・活用し主体性等評価を先行実施
学力の3要素の1つである「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の評価
について、他大学に先駆けて一般入試での主体性等評価(特色加点制度)を導入してい
る。また、インターネット出願の普及に伴う書類審査の電子化に対応するため、選考書
類の申請から採点作業までの業務を一貫してペーパーレスで行うことができる電子書類
採点システムを開発し、効率的な評価システムを実現している。
75 佐賀大学5附属病院関係
(教育・研究面)
○しろまる 臨床研究センターの充実
平成29年度に構築した、Clinilan PV(電子カルテと連携し、薬剤投与情報、検査デー
タ、輸血情報を一括して継時的推移を表示し、かつデジタルデータとして抽出可能なプ
ログラム)により、臨床研究ごとに必要なデータの一括抽出、副作用モニタリングシス
テム、市販後調査等に必要な提携データ管理が容易に行えるようになり、臨床研究に活
用されている。
(診療面)
○しろまる 地域医療連携への貢献
地域医療連携室による訪問活動等の地域医療機関との情報共有・状況の把握等の連携
強化を図ること等により、平成30年度の逆紹介率は103%(平成29年度:92%)と向上し
ている。
(運営面)
○しろまる 経営指標の活用による病院経営の取組
各診療科の目標として、外科系診療科には重点的に取り組む手術を、内科系診療科に
は個別の指標を設定し、稼働額や診療単価等の指標値は毎月、モニタリングを行い、そ
の結果を踏まえて、病院長が個別に診療科への聞き取り調査や経営指導を行っている。
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