-1-志賀原子力発電所における石川県・
志賀町への連絡基準に係る覚書
石川県(以下「甲」という。
)及び志賀町(以下「乙」という。
)と北陸
電力株式会社(以下「丙」という。
)は、
「志賀原子力発電所周辺の安全確
保及び環境保全に関する協定書」
(以下「安全協定」という。
)第9条に定
める連絡すべき事象並びに同条に定めのないものであって連絡を要する
事象及び要しない事象について、
丙から甲及び乙への連絡基準を次のとお
り取り決める。
1 丙は、志賀原子力発電所に関して、別紙「志賀原子力発電所における
石川県・志賀町への連絡基準」に示す連絡区分IからIIIまでのいずれか
に該当する事象が発生したときは、その連絡時期に従って、甲及び乙に
対し、その状況等を連絡するものとする。
2 丙は、志賀原子力発電所に関して、別紙に示す連絡区分IVに該当する
事象が発生したときは、甲及び乙に対し、特に連絡を要しないものとす
る。
3 別紙の連絡基準の運用にあたっては、別添「志賀原子力発電所におけ
る石川県・志賀町への連絡基準の運用細則」の定めるところによるもの
とする。
4 連絡の体制は、以下のとおりとする。
(1)丙の行う連絡は文書をもって行うが、緊急を要する場合は事前に電
話等で通報するものとする。
(2)甲、乙及び丙は、連絡を円滑かつ確実に処理できるよう、あらかじ
めそれぞれの連絡責任者を定めるほか、その代行者を定めておく。 -2-(3)甲は、丙から連絡を受けたときは、その内容を直ちに羽咋市、七尾
市及び中能登町に連絡するものとする。
5 この覚書に定めのない事項について定めをする必要が生じたとき又は
この覚書に定める事項について疑義が生じたときは、そのつど、甲、乙
及び丙が協議して定めるものとする。
この覚書を証するため、本書3通を作成し、甲、乙及び丙が記名押印の
うえ、各 1 通を保有する。
平成 17 年 9月 1日
平成 17 年 12 月 1日一部改定
平成 25 年 11 月 29 日一部改定
平成 30 年 1月 24 日一部改定
甲 石 川 県 知事
乙 志 賀 町 町長
丙 北陸電力株式会社
代表取締役社長
社長執行役員 -3-(別紙)
志賀原子力発電所における石川県・志賀町への連絡基準
連絡区分 内 容 連絡時期
I A 安全協定第9
条(異常時に
おける連絡)
に該当するもの(1)原子炉施設の事故、故障等により原子炉が停止したとき又
は停止することが必要となったとき。
(2)関係諸法令に定める値を超えて放射性物質が放出された
とき。
(3)従事者その他発電所に立ち入る者の被ばく線量が法令に
定める許容被ばく線量を超えたとき又は許容被ばく線量
以下の被ばくであっても、被ばく者に対し特別の措置を行
ったとき。
(4)核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物質が管
理区域外に漏洩したとき。
(5)発電所敷地以外において、新燃料、使用済燃料及び放射性
廃棄物の輸送中に事故が発生したとき。
(6)新燃料、使用済燃料及び放射性廃棄物の盗取又は所在不明
が生じたとき。
(7)発電所敷地内において火災が発生したとき。
(8)その他必要と認める事項が生じたとき。
直ちに
B 安全協定第9
条に該当しな
いもので、早
急な連絡が必
要なもの
(1)原子炉施設以外で発生した要因により、原子炉が停止した
とき又は停止することが必要となったとき、若しくは同じ
要因により、所内で必要な電力だけ発電する状態に移行し
たとき。
(2)社会的影響が生ずる又はそのおそれがある事象が発生し
たとき。
II 区分Iよりも
緊急性の程度
は低いが、速
やかな連絡が
必要なもの
(1)安全協定第9条には該当しないが、発電機出力若しくは原
子炉出力が変動したとき又は出力変化が必要となったと
き。
(2)安全協定第9条には該当しないが、原子炉施設保安規定に
定める範囲内で、主要な機器等の復旧措置を行う必要が生
じたとき。
(3)原子炉の運転中に、安全協定第9条には該当しないが、主
要な機器等に軽度な故障が発生したとき。
(4)原子炉の停止中に、国の指示に基づく若しくは他の発電所
で発生した故障等に関連する点検により、主要な機器等に
故障等が発見されたとき、又は安全上重要な機器等の点検
において、機能維持されていることの確認が速やかにでき
ない故障等が発見されたとき。
ただし、同一系統内で同種の点検が10カ所程度以上実施
される場合、当該点検により発見された同種の事象につい
ては、最初に発見されたとき及び点検が終了したとき。
(5)安全協定第9条により連絡すべき値以下の放射性物質が
放出されたとき。
(6)管理区域内で、安全協定第9条には該当しないが、一定量
以上の放射性物質が漏れたとき。
(7)運転操作・保守作業等の中で起きた過失による事象で、速
やかな連絡の必要があるもの
速やかに*1
III 保守情報とし
て連絡するこ
とが適当なもの(1)原子炉施設保安規定に定める範囲内で、主要な機器等の復
旧措置を行う必要があるもののうち事象が軽微なもの
(2)原子炉の停止中に発見された、主要な機器等における軽度
な故障及び維持的な工事により復旧する故障
(3)主要な機器等以外の機器の故障
(4)運転操作・保守作業等の中で起きた過失による事象で、区
分II(7)以外のもの
(5)原子炉の停止中に、原子炉内及び格納容器内において、予
定外に広範囲にわたる作業を行ったとき。
原則として
定期的に*2
IV 特に連絡を要
しないもの
機器部品等の予防的取替、通常の管理修繕行為及び建屋等の管
理・修繕―注)*1 事業者の営業日に該当する日の0時から営業時間の終了時までに発生したもので、当該営業時間
終了時までに連絡可能なものは、当該営業時間終了時までに連絡するものとし、上記の時間帯に
発生したもので当該日の営業時間終了時までに連絡できなかったもの及び上記の時間帯以外の時
間帯に発生したものは、翌営業日とする。
ただし、事象の状況に応じ、営業時間外であっても連絡するものとする。
*2 翌月の10日までに連絡するものとするが、
連絡区分IIIに該当する事象のうち、
事態の進展によっ
ては重要度の高い安全機能喪失の可能性があったものなどについては、事象の状況に応じ、その都
度連絡する。 -4-(別添)
志賀原子力発電所における石川県・志賀町への連絡基準の運用細則
IA.安全協定第9条(異常時における連絡)に該当するもの
内容 解説
(1)原子炉施設の事故、
故障
等により原子炉が停止
したとき又は停止する
ことが必要となったと
き。
(2)関係諸法令に定める値
を超えて放射性物質が
放出されたとき。
(3)従事者その他発電所に
立ち入る者の被ばく線
量が法令に定める許容
被ばく線量を超えたと
き又は許容被ばく線量
以下の被ばくであって
も、
被ばく者に対し特別
の措置を行ったとき。
(4)核燃料物質又は核燃料
物質によって汚染され
た物質が管理区域外に
漏洩したとき。
(5)発電所敷地以外におい
て、
新燃料、
使用済燃料
及び放射性廃棄物の輸
送中に事故が発生した
とき。
(6)新燃料、
使用済燃料及び
放射性廃棄物の盗取又
は所在不明が生じたと
き。
(7)発電所敷地内において
火災が発生したとき。
(8)その他必要と認める事
項が生じたとき。定義「(8)
その他必要と認める事項が生じたとき」
とは、(1)から(7)には該当しない以下の場合をいう。
1原子炉施設の事故、故障等により発電機出力若しくは原子炉出力の
いずれかが定格の5%を超えて、出力変動したとき又は出力変化が
必要となったとき。
2原子炉の運転に関連する主要な機器*1
又は原子炉建屋(以下「主要
な機器等」という。)×ばつ106
Bqを超えない場合
4原子炉施設の運転又はその故障等が直接の原因となって、死亡又は
入院治療を必要とする人の障害*3
が発生したとき。
5「志賀原子力発電所 原子力事業者防災業務計画」における警戒事
態に該当する事象が発生したとき。
*1 「主要な機器」とは、原子炉格納容器、原子炉本体、ホウ酸水
注入系、安全保護系*4
、原子炉冷却材再循環系、非常用炉心冷却
系、原子炉隔離時冷却系、原子炉停止時冷却系、可燃性ガス濃度
制御系、非常用ガス処理系、原子炉補機冷却水系、高圧炉心スプ
レイディーゼル補機冷却水系、使用済燃料貯蔵プール、開閉所設
備、直流電源、所内電源系統、タービン、発電機、給復水系等を
構成する機器、配管、弁、ポンプ、モーター、電源等であって、
発電所の運転に直接影響を及ぼすものをいう。
*2 「管理区域」とは「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する
規則」(以下「実用炉規則」という。)第2条第2項第4号に規
定される区域(外部放射線に係る線量、空気中の放射性物質の濃
度、又は放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の
密度が原子力規制委員会の定める値を超えるおそれのある場所)
をいう。
*3 「障害」とは、落下障害、物的障害、酸欠障害等をいう。
*4 「安全保護系」とは、原子炉の異常を検知し、制御棒の挿入や
非常用炉心冷却系を作動させるための電気回路をいう。 -5-IB.安全協定第9条に該当しないもので、早急な連絡が必要なもの
内 容 解 説
(1)原子炉施設以外で発生
した要因により、原子
炉が停止したとき又は
停止することが必要と
なったとき、若しくは
同じ要因により、所内
で必要な電力だけ発電
する状態に移行したと
き。定義
「原子炉施設以外で発生した要因」とは、台風、雷、地震、海生生物
付着等の自然現象に起因するもの、
発電所外の電力系統に起因するも
の及び他の発電所で発生した故障等に関連する点検に起因するもの
をいう。事例
1落雷により送電用の志賀原子力線が使用不能となった結果、原子炉
を停止
2送電線事故により送電できなくなったため、所内で必要な電力だけ
発電する状態に移行
(2)社会的影響が生ずる又
はそのおそれがある事
象が発生したとき。定義及び事例
「社会的影響が生ずる又はそのおそれがある事象」とは以下のものを
いう。
1発電所の周辺地域*1
で震度5弱以上又は志賀町で震度3以上の地
震を観測したとき。
*1 「発電所の周辺地域」とは、
発電所から半径 100km 以内(石川県
全域、富山県全域、岐阜県飛騨地方の一部、新潟県上越地方の
一部、福井県嶺北地方の一部)の範囲をいう。
2台風、津波、地震等の自然災害により、発電所敷地内の主要な施設*2
に被害を確認したとき。
*2 「発電所敷地内の主要な施設」とは、原子炉建屋、タービン建
屋、廃棄物処理建屋、海水熱交換器建屋、サービス建屋、排気
筒、固体廃棄物貯蔵庫、開閉所、給水処理建屋、取水設備、放
水設備、事務建屋等をいう。
なお、「発電所敷地内」とは、原子炉設置変更許可申請書(平
成9年5月)に示す敷地境界の内側をいう。
(別添第1図参照)
3発電所敷地内で死亡災害又は重大災害(一時に3人以上が負傷又は
罹病した災害)が発生したとき。
4発電所敷地外へ油、薬品等*3が漏えいしたとき。
*3 「油、薬品等」とは、油(重油、軽油等)、薬品(塩酸、硫酸
等)、有機溶剤(塗料等)等をいう。
5発電所敷地周辺で火災が発生したとき。
6発電所敷地内から異常音が発生したとき。
ただし、事前に連絡されているものは含まない。 -6-II.区分Iよりも緊急性の程度は低いが、速やかな連絡が必要なもの
内 容 解 説
(1)安全協定第9条には該
当しないが、発電機出
力若しくは原子炉出力
が変動したとき又は出
力変化が必要となった
とき。定義
「発電機出力若しくは原子炉出力が変動したとき又は出力変化が必
要となったとき。
」とは、以下の場合をいう。
1区分IB(1)で定義する原子炉施設以外で発生した要因によると
き。
2原子炉施設又は原子炉施設以外の機器の故障により発電機出力若
しくは原子炉出力のいずれかが定格の5%以下の範囲で、出力変動
したとき又は出力変化が必要となったとき。
3運転中における機器の点検の際、点検の安全を確保するため、近接
している機器を停止することによるとき。
ただし、出力の変動が瞬時の場合は対象外とする。事例
タービン制御系の故障により、発電機出力が5%以下の範囲で低下
(2)安全協定第9条には該
当しないが、原子炉施
設保安規定に定める範
囲内で、主要な機器等
の復旧措置を行う必要
が生じたとき。定義
「原子炉施設保安規定*
に定める範囲内で、主要な機器等の復旧措置
を行う」とは、原子炉施設保安規定において、故障時からの復旧制限
時間が定められている機器に故障が発生している場合、この制限内で
復旧措置を行うことをいう。ただし、事象が軽微なものについては、
区分III(1)によるものとする。
なお、制限時間内に復旧されない場合、原子炉の停止等の措置がと
られる。
* 「原子炉施設保安規定」とは、志賀原子力発電所の運用を行うた
めの保安について定めた北陸電力(株)の規定であって、国の認可を
受けたもの事例
赤住線点検中に志賀原子力線1回線が故障、復旧のための制限時間
10日間の間に調査・修理を行うとき。
(3)原子炉の運転中に、
安全
協定第9条には該当し
ないが、主要な機器等
に軽度な故障が発生し
たとき。定義
1「軽度な故障」とは以下の故障をいう。
ア.消耗品(電気回路のプリント基板、ヒューズ、パッキン、メ
カニカルシール)の取替や端子のゆるみの手直し、予備品の取
替等、簡易な修理により復旧できる故障
イ.故障した機器の予備機が起動することにより、正常に運転が
継続されたときの当該故障
2警報には至らないが、通常値からの上昇が認められる程度で、監視強
化を行っている状態(区分II(5)2により連絡すべき場合を除く)は
対象外とする。事例
2台ある高圧復水ポンプのうち1台のメカニカルシールから漏え
いが発生したため、もう1台の予備機に切り替えた上で、メカニカル
シールを交換 -7-内 容 解 説
(4)原子炉の停止中に、
国の
指示に基づく若しくは
他の発電所で発生した
故障等に関連する点検
により、
主要な機器等に
故障等が発見されたと
き、
又は安全上重要な機
器等の点検において、機能維持されていること
の確認が速やかにでき
ない故障等が発見され
たとき。
ただし、
同一系統内で同
種の点検が10カ所程
度以上実施される場合、
当該点検により発見さ
れた同種の事象につい
ては、
最初に発見された
とき及び点検が終了し
たとき。定義
1「国の指示に基づく若しくは他の発電所で発生した故障等に関連す
る点検により、主要な機器等に故障等が発見されたとき」とは、他
の発電所の事故、故障の水平展開に関する国の指示文書等に従い実
施した点検で、ひび割れ等が確認されたときをいう。
2「安全上重要な機器等」とは、実用炉規則第134条第3号で規定
される原子炉施設の安全を確保する上で重要な機器及び構造物を
いう。3「機能維持されていることの確認が速やかにできない故障等」
とは、
「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」に規定される
基準等への適合性が速やかに確認できないひび割れ等をいう。な
お、基準等への適合性が速やかに確認され、発電所の運転に支障を
及ぼすおそれのないものについては区分III(2)によるものとする。事例
1原子炉再循環系配管の点検において確認された微小なひび割れ
2国の指示文書に基づくシュラウドの周溶接線近傍の点検で確認さ
れた微小なひび割れ
3非常用炉心冷却系配管に速やかに健全性が判断できないひび割れ
を確認
(5)×ばつ1011Bq液体状の場合は、
×ばつ1010
Bq/年(トリチウ
ムを除く)
×ばつ1012
Bq/年
以下をいう。
ただし、
トリチウムについて、
定常的に発生するレベルのものは、
連絡を要しないものとするが、石川県原子力環境安全管理協議会に
おいて報告するものとする。
2排気筒モニタ指示値に、通常値からの上昇が認められたとき。
ただし、通常排気筒のモニタは2台以上の計器で行っており、1台
のみの誤作動による変動は対象外とする。事例
燃料のピンホールにより、排気筒モニタの指示値が有意に上昇 -8-内 容 解 説
(6)管理区域内で、
安全協定
第9条には該当しない
が、
一定量以上の放射性
物質が漏れたとき。定義
1「一定量」とは、国への報告基準(×ばつ106
Bq)の千分の
一の3,700Bqをいう。
2あらかじめ、養生シート等を計画的に用意して行われる作業の中で
当該養生シート等への放射性物質の滴下等は、ここでいう漏れたと
きにはあたらない。事例
試料採取系のサンプリング配管のフランジから 4,000 Bq の炉水が
床面に漏えい
(7)運転操作・保守作業等の
中で起きた過失による
事象で、
速やかな連絡の
必要があるもの定義
運転操作・保守作業等の中で起きた「過失による事象」とは、以下
の事象をいう。
1操作ミス、
管理不良等人が介在することによって引き起こされたもの
で、次のような事象に相当するものア.作業員が水を浴びたが、
その被ばく線量が5mSv以内であっ
たとき。
イ.主要な機器等に対する誤操作が発生したとき。
(安全協定第
9条に該当する結果が生じたときは、直ちに連絡するものであ
ること)
ウ.原子炉の停止中に、炉内又は使用済燃料プールへ異物を落下
させたとき。
2警報付きポケット線量計の整備不良や放射線管理員の時間管理ミ
ス等により、予定被ばく線量を超えて作業を行ったときであって、
その被ばく線量が5mSv以内の場合
なお、被ばく線量が5mSvを超えたり、被ばく者に対して特別の
措置を行った場合は、安全協定第9条の対象となる。事例
1原子炉の停止中に炉内へ工具を落下
2誤って高線量区域に近接したことによる5mSv以内の被ばく -9-III.保守情報として連絡することが適当なもの
内 容 解 説
(1)原子炉施設保安規定に
定める範囲内で、
主要な
機器等の復旧措置を行
う必要があるもののう
ち事象が軽微なもの定義
「事象が軽微なもの」とは、消耗品、予備品等との交換又はごく簡易
な補修により復旧するものであって、原子炉施設保安規定に定める制
限時間内に復旧することが確実なものをいう。事例
高圧炉心スプレイ系の注水弁のグランド部に若干のにじみがあっ
たことから、グランド部の増し締めにより原子炉施設保安規定の制限
時間内に復旧
(2)原子炉の停止中に発見
された、
主要な機器等に
おける軽度な故障及び
維持的な工事により復
旧する故障定義
「維持的な工事により復旧する故障」とは、原子炉の停止中に実施さ
れる、溶接や物品の交換等の補修を要する故障をいう。事例
1タービン系の開放点検を実施したところ、配管や弁に微小なひびが
認められたため、切除・溶接して補修
2蒸気配管に減肉が認められたため、配管を交換して補修
3原子炉給水ポンプのモーターの性能劣化が認められたため、モータ
ーを交換して補修
4変圧器の巻線に絶縁劣化が認められたため、巻線を交換し補修
(3)主要な機器等以外の機
器の故障定義
「主要な機器等以外の機器」とは、発電所の運転に直接支障を及ぼさ
ない機器をいい、その「故障」とは原子炉の運転中・停止中にかかわ
らず発生若しくは発見された、区分IV2の「通常の管理修繕行為」の
対象となるものを除く、全ての故障をいう。事例
1復水器内部の点検を実施したところ、内部の配管にひびが認められ
たため、当該配管の取替を実施
2復水補給水系のポンプが停止し、調査した結果、モーター巻線の絶
縁不良が原因と判明したため、当該モーターを交換
(4)運転操作・保守作業等の
中で起きた過失による
事象で、区分II(7)以
外のもの定義
「運転操作・保守作業等の中で起きた過失による事象で、区分II(7)
以外のもの」とは、単純な作業ミスによる以下のような場合をいう。
1点検作業等による、放射性物質を含まない水や油等の漏えい
2管理区域内で放射性物質を含まない水を浴びたとき。
3衣服等に微量の放射性物質が付着したが、身体への被ばくがなかっ
たとき。
ただし、結露水等自然現象によるもの、原子炉補機冷却海水ポンプ
グランド部のように通常水の漏えいを許容している箇所からの漏え
い、発電所敷地内の主要な施設以外での水等の漏えいは対象外とす
る。事例
1ねじの締め付け不足により、管理区域内で作業員が水を浴びた
2海水熱交換器建屋で熱交換器の水張り中に、誤って床面に海水が漏
えい
-10-
内 容 解 説
(5)原子炉の停止中に、
原子
炉内及び格納容器内に
おいて、
予定外に広範囲
にわたる作業を行った
とき。定義
「広範囲にわたる作業」とは、機器の故障によるものではないが、予
定外に大掛かりな清掃作業等を行う場合をいう。事例
原子炉内に鉄さびが点在していることを確認したため、広範囲にわ
たる清掃作業を実施
-11-
IV.特に連絡を要しないもの
内 容 解 説
機器部品等の予防的取替、通常の管理修繕行為及び建屋
等の管理・修繕 定義1「機器部品等の予防的取替」とは、原子炉施設において、故障の発
生を予防するために計画的に実施される機器部品等の取替をいう。
2「通常の管理修繕行為」とは、表示ランプの交換等、日常点検の中
で実施される単なる交換等をいう。
3「建屋等の管理・修繕」とは、原子炉施設の保安管理とは直接関連
のない施設・設備において行われる、一般のオフィスビルにおける
と同様の管理・修繕行為をいう。事例
1グランドパッキンの取替、シート面の擦り合わせ
2計器の指示不良の点検、校正、取替
3ポンプストレーナの清掃
4記録計の印字不良による点検
5装置カバーの扉の損傷による修理
6火災報知機の誤発報による点検
7洗濯装置のポンプ異音に伴うポンプ交換
8スイッチ接点部分の劣化による取替
9操作盤のランプの取替

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