Microsoft Word - 1117評価項目ガイドライン.doc


地域密着型サービス評価項目の考え方ガイドライン
2006年11月
地域密着型サービスにおけるサービスの質の確保と向上に関する
調査研究事業検討委員会
< 目 次 >
1. 項目の構成 ..............................................................................................................1
2. 評価項目の領域の構成.............................................................................................2
3. 地域密着型サービス評価項目とグループホーム評価項目の対比 ............................2
4. 用語の説明 ..............................................................................................................3
5. 評価項目一覧...........................................................................................................4
6.評価の重点項目 ......................................................................................................14
7.自己評価項目の考え方の指針.................................................................................15
I.理念に基づく運営 ...............................................................................................15
II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援..................................................................20
III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント......................................23
IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援.................................................28
8.外部評価項目の考え方の指針と着眼点...................................................................38
I.理念に基づく運営 ...............................................................................................38
II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援...............................................................49
III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント......................................51
IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援.................................................58 11. 項目の構成
タイトル
自己評価
項目数
外部評価
項目数
I.理念に基づく運営 22 11
1.理念の共有 3 2
2.地域との支えあい 3 1
3.理念を実践するための制度の理解と活用 5 3
4.理念を実践するための体制 7 3
5.人材の育成と支援 4 2
II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援 10 2
1.相談から利用に至るまでの関係づくりとその対応 4 1
2.新たな関係づくりとこれまでの関係継続への支援 6 1
III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント 17 6
1.一人ひとりの把握 3 1
2.本人がより良く暮らし続けるための介護計画の作成と見直し 3 2
3.多機能性を活かした柔軟な支援 1 1
4.本人がより良く暮らし続けるための地域資源との協働 10 2
IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援 38 11
1.その人らしい暮らしの支援 30 9
(1)一人ひとりの尊重 3 2
(2)その人らしい暮らしを続けるための基本的な生活の支援 6 2
(3)その人らしい暮らしを続けるための社会的な生活の支援 6 2
(4)安心と安全を支える支援 8 2
(5)その人らしい暮らしを続けるための健康面の支援 7 1
2.その人らしい暮らしを支える生活環境づくり 8 2
(1)居心地のよい環境づくり 5 2
(2)本人の力の発揮と安全を支える環境づくり 3 0
V.サービスの成果に関する項目 13 -
合計 100 30 22. 評価項目の領域の構成
3. 地域密着型サービス評価項目とグループホーム評価項目の対比
I 運営理念
5 項目
II 空間づくり
13 項目
III ケアサービス
77 項目
IV 運営体制
39 項目
グループホーム
評価項目
I 理念に基づく運営
22 項目
II 安心と信頼に向けた
関係づくりと支援
10 項目
III その人らしい暮らしを続け
るためのケアマネジメント
17 項目
IV その人らしい暮らしを
続けるための日々の支援
38 項目
地域密着型サービス
評価項目
142 項目 100 項目
V アウトカム項目
8 項目
V アウトカム項目
13 項目
II安心と信頼に
向けた
関係づくりと支援IIIその人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメントIVその人らしい暮らしを続けるための日々の支援I理念に基づく運営 34. 用語の説明
家族等 家族、家族に代わる本人をよく知る人、成年後見人など
を含む。
家 族 家族に限定している。
運営者 事業所の経営・運営の実際の決定権を持つ、管理者より
上位の役職者(経営者と同義)を指す。また、経営者が
管理者をかねる場合は、その人を指す。
職 員 「職員」は、管理者および常勤職員、非常勤職員、パー
ト等事業所で実務につくすべての人を含む。ただし、管
理者をより明確に意図した内容の場合、
「管理者と職員」
と表記する。
チーム 管理者・職員はもとより、家族等、かかりつけ医、包括
支援センターの職員等、事業所以外のメンバーも含めて
利用者を支えている関係者を含む。 45. 評価項目一覧
自己
評価
外部
評価
タイトル 項目
I.理念に基づく運営
1.理念の共有1 1地域密着型サービスとしての理念地域の中でその人らしく暮らし続けることを支え
ていくサービスとして、事業所独自の理念をつく
りあげている
2 2 理念の共有と日々の取り組み
管理者と職員は、理念を共有し、理念の実践に
向けて日々取り組んでいる
3 家族や地域への理念の浸透
事業所は、利用者が地域の中で暮らし続けるこ
とを大切にした理念を、家族や地域の人々に理
解してもらえるよう取り組んでいる
2.地域との支えあい
4 隣近所とのつきあい
管理者や職員は、隣近所の人と気軽に声をか
け合ったり、気軽に立ち寄ってもらえるような日
常的なつきあいができるように努めている
5 3 地域とのつきあい
事業所は孤立することなく地域の一員として、
自治会、老人会、行事等、地域活動に参加し、
地元の人々と交流することに努めている
6 事業所の力を活かした地域貢献
利用者への支援を基盤に、事業所や職員の状
況や力に応じて、地域の高齢者等の暮らしに
役立つことがないか話し合い、取り組んでいる
3.理念を実践するための制度の理解と活用
7 4 評価の意義の理解と活用
運営者、管理者、職員は、自己評価及び外部
評価を実施する意義を理解し、評価を活かして
具体的な改善に取り組んでいる8 5運営推進会議を活かした取り組み運営推進会議では、利用者やサービスの実
際、評価への取り組み状況等について報告や
話し合いを行い、そこでの意見をサービス向上
に活かしている
9 6 市町村との連携
事業所は、市町村担当者と運営推進会議以外
にも行き来する機会をつくり、市町村とともにサ
ービスの質の向上に取り組んでいる 510
権利擁護に関する制度の理解と
活用
管理者や職員は、地域福祉権利擁護事業や成
年後見制度について学ぶ機会を持ち、個々の
必要性を関係者と話し合い、必要な人にはそ
れらを活用できるよう支援している
11 虐待の防止の徹底
管理者や職員は、高齢者虐待防止関連法につ
いて学ぶ機会を持ち、利用者の自宅や事業所
内で虐待が見過ごされることがないよう注意を
払い、防止に努めている
4.理念を実践するための体制
12 契約に関する説明と納得
契約を結んだり解約をする際は、利用者や家
族等の不安、疑問点を尋ね、十分な説明を行
い理解・納得を図っている13運営に関する利用者意見の反映利用者が意見、不満、苦情を管理者や職員な
らびに外部者へ表せる機会を設け、それらを運
営に反映させている
14 7 家族等への報告
事業所での利用者の暮らしぶりや健康状態、
金銭管理、職員の異動等について、家族等に
定期的及び個々にあわせた報告をしている15 8運営に関する家族等意見の反映家族等が意見、不満、苦情を管理者や職員な
らびに外部者へ表せる機会を設け、それらを運
営に反映させている
16 運営に関する職員意見の反映
運営者や管理者は、運営に関する職員の意見
や提案を聞く機会を設け、反映させている
17 柔軟な対応に向けた勤務調整
利用者や家族の状況の変化、要望に柔軟な対
応ができるよう、必要な時間帯に職員を確保す
るための話し合いや勤務の調整に努めている18 9職員の異動等による影響への配慮運営者は、利用者が馴染みの管理者や職員に
よる支援を受けられるように、異動や離職を必
要最小限に抑える努力をし、代わる場合は、利
用者へのダメージを防ぐ配慮をしている
5.人材の育成と支援
19 10 職員を育てる取り組み
運営者は、管理者や職員を段階に応じて育成
するための計画をたて、法人内外の研修を受け
る機会の確保や、働きながらトレーニングしてい
くことを進めている
20 11 同業者との交流を通じた向上
運営者は、管理者や職員が地域の同業者と交
流する機会を持ち、ネットワークづくりや勉強
会、相互訪問等の活動を通じて、サービスの質
を向上させていく取り組みをしている 621
職員のストレス軽減に向けた取り
組み
運営者は、管理者や職員のストレスを軽減する
ための工夫や環境づくりに取り組んでいる22向上心を持って働き続けるため
の取り組み
運営者は、管理者や職員個々の努力や実績、
勤務状況を把握し、各自が向上心を持って働
けるように努めている
II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援
1.相談から利用に至るまでの関係づくりとその対応
23 初期に築く本人との信頼関係
相談から利用に至るまでに本人が困っているこ
と、不安なこと、求めていること等を本人自身か
らよく聴く機会をつくり、受けとめる努力をしている24 初期に築く家族との信頼関係
相談から利用に至るまでに家族等が困っている
こと、不安なこと、求めていること等をよく聴く機
会をつくり、受けとめる努力をしている
25 初期対応の見極めと支援
相談を受けた時に、本人と家族が「その時」まず
必要としている支援を見極め、他のサービス利
用も含めた対応に努めている
26 12 馴染みながらのサービス利用
本人が安心し、納得した上でサービスを利用す
るために、サービスをいきなり開始するのではな
く、職員や他の利用者、場の雰囲気に徐々に
馴染めるよう家族等と相談しながら工夫している2.新たな関係づくりとこれまでの関係継続への支援
27 13 本人と共に過ごし支えあう関係
職員は、本人を介護される一方の立場におか
ず、一緒に過ごしながら喜怒哀楽を共にし、本
人から学んだり、支えあう関係を築いている28本人を共に支えあう家族との関係職員は、家族を支援される一方の立場におか
ず、喜怒哀楽を共にし、一緒に本人を支えてい
く関係を築いている29本人と家族のよりよい関係に向
けた支援
これまでの本人と家族との関係の理解に努め、
より良い関係が築いていけるように支援している30馴染みの人や場との関係継続の
支援
本人がこれまで大切にしてきた馴染みの人や
場所との関係が途切れないよう、支援に努めて
いる
31 利用者同士の関係の支援
利用者同士の関係を把握し、一人ひとりが孤立
せずに利用者同士が関わり合い、支え合えるよ
うに努めている 732 関係を断ち切らない取り組み
サービス利用(契約)が終了しても、継続的な関
わりを必要とする利用者や家族には、関係を断
ち切らないつきあいを大切にしている
III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント
1.一人ひとりの把握
33 14 思いや意向の把握
一人ひとりの思いや暮らし方の希望、意向の把
握に努めている。困難な場合は、本人本位に
検討している
34 これまでの暮らしの把握
一人ひとりの生活歴や馴染みの暮らし方、生活
環境、これまでのサービス利用の経過等の把握
に努めている
35 暮らしの現状の把握
一人ひとりの一日の過ごし方、心身状態、有す
る力等の現状を総合的に把握するように努めて
いる
2.本人がより良く暮らし続けるための介護計画の作成と見直し
36 15
チームでつくる利用者本位の介
護計画
本人がより良く暮らすための課題とケアのあり方
について、本人、家族、必要な関係者と話し合
い、それぞれの意見やアイディアを反映した介
護計画を作成している
37 16 現状に即した介護計画の見直し
介護計画の期間に応じて見直しを行うとともに、
見直し以前に対応できない変化が生じた場合
は、本人、家族、必要な関係者と話し合い、現
状に即した新たな計画を作成している
38 個別の記録と実践への反映
日々の様子やケアの実践・結果、気づきや工夫
を個別記録に記入し、情報を共有しながら実践
や介護計画の見直しに活かしている
3.多機能性を活かした柔軟な支援
39 17
事業所の多機能性を活かした支援本人や家族の状況、その時々の要望に応じ
て、事業所の多機能性を活かした柔軟な支援
をしている
4.本人がより良く暮らし続けるための地域資源との協働
40 地域資源との協働
本人の意向や必要性に応じて、民生委員やボ
ランティア、警察、消防、文化・教育機関等と協
力しながら支援している
41 他のサービスの活用支援
本人の意向や必要性に応じて、地域の他のケ
アマネジャーやサービス事業者と話し合い、他
のサービスを利用するための支援をしている 842 地域包括支援センターとの協働
本人の意向や必要性に応じて、権利擁護や総
合的かつ長期的なケアマネジメント等につい
て、地域包括支援センターと協働している
43 18 かかりつけ医の受診支援
本人及び家族等の希望を大切にし、納得が得
られたかかりつけ医と事業所の関係を築きなが
ら、適切な医療を受けられるように支援している
44 認知症の専門医等の受診支援
専門医等認知症に詳しい医師と関係を築きな
がら、職員が相談したり、利用者が認知症に関
する診断や治療を受けられるよう支援している
45 看護職との協働
利用者をよく知る看護職員あるいは地域の看護
職と気軽に相談しながら、日常の健康管理や
医療活用の支援をしている46早期退院に向けた医療機関との
協働
利用者が入院した時に安心して過ごせるよう、
また、できるだけ早期に退院できるように、病院
関係者との情報交換や相談に努めている。ある
いは、そうした場合に備えて連携している
47 19
重度化や終末期に向けた方針
の共有
重度化した場合や終末期のあり方について、で
きるだけ早い段階から本人や家族等ならびに
かかりつけ医等と繰り返し話し合い、全員で方
針を共有している48重度化や終末期に向けたチー
ムでの支援
重度や終末期の利用者が日々をより良く暮らせ
るために、事業所の「できること・できないこと」を
見極め、かかりつけ医とともにチームとしての支
援に取り組んでいる。あるいは、今後の変化に
備えて検討や準備を行っている49住み替え時の協働によるダメー
ジの防止
本人が自宅やグループホームから別の居所へ
移り住む際、家族及び本人に関わるケア関係
者間で十分な話し合いや情報交換を行い、住
み替えによるダメージを防ぐことに努めている
IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援
1.その人らしい暮らしの支援
(1)一人ひとりの尊重
50 20 プライバシーの確保の徹底
一人ひとりの誇りやプライバシーを損ねるような
言葉かけや対応、記録等の個人情報の取り扱
いをしていない51利用者の希望の表出や自己決
定の支援
本人が思いや希望を表せるように働きかけた
り、わかる力に合わせた説明を行い、自分で決
めたり納得しながら暮らせるように支援をしている52 21 日々のその人らしい暮らし
職員側の決まりや都合を優先するのではなく、
一人ひとりのペースを大切にし、その日をどの
ように過ごしたいか、希望にそって支援している 9(2)その人らしい暮らしを続けるための基本的な生活の支援
53 身だしなみやおしゃれの支援
その人らしい身だしなみやおしゃれができるよう
に支援し、理容・美容は本人の望む店に行ける
ように努めている
54 22 食事を楽しむことのできる支援
食事が楽しみなものになるよう、一人ひとりの好
みや力を活かしながら、利用者と職員が一緒に
準備や食事、片付けをしている
55 本人の嗜好の支援
本人が望むお酒、飲み物、おやつ、たばこ等、
好みのものを一人ひとりの状況に合わせて日常
的に楽しめるよう支援している
56 気持よい排泄の支援
排泄の失敗やおむつの使用を減らし、一人ひ
とりの力や排泄のパターン、習慣を活かして気
持ちよく排泄できるよう支援している
57 23 入浴を楽しむことができる支援
曜日や時間帯を職員の都合で決めてしまわず
に、一人ひとりの希望やタイミングに合わせて、
入浴を楽しめるように支援している
58 安眠や休息の支援
一人ひとりの生活習慣やその時々の状況に応
じて、安心して気持ちよく休息したり眠れるよう
支援している
(3)その人らしい暮らしを続けるための社会的な生活の支援
59 24
役割、楽しみごと、気晴らしの支援張り合いや喜びのある日々を過ごせるように、
一人ひとりの生活歴や力を活かした役割、楽し
みごと、気晴らしの支援をしている
60 お金の所持や使うことの支援
職員は、本人がお金を持つことの大切さを理解
しており、一人ひとりの希望や力に応じて、お金
を所持したり使えるように支援している
61 25 日常的な外出支援
事業所の中だけで過ごさずに、一人ひとりのそ
の日の希望にそって、戸外に出かけられるよう
支援している62普段行けない場所への外出支援一人ひとりが行ってみたい普段は行けないとこ
ろに、個別あるいは他の利用者や家族とともに
出かけられる機会をつくり、支援している
63 電話や手紙の支援
家族や大切な人に本人自らが電話をしたり、手
紙のやり取りができるように支援をしている
64 家族や馴染みの人の訪問支援
家族、知人、友人等、本人の馴染みの人たち
が、いつでも気軽に訪問でき、居心地よく過ご
せるよう工夫している 10(4)安心と安全を支える支援
65 身体拘束をしないケアの実践
運営者及び全ての職員が「介護保険法指定基
準における禁止の対象となる具体的な行為」を
正しく理解しており、身体拘束をしないケアに取
り組んでいる
66 26 鍵をかけないケアの実践
運営者及び全ての職員が、居室や日中玄関に
鍵をかけることの弊害を理解しており、鍵をかけ
ないケアに取り組んでいる
67 利用者の安全確認
職員は本人のプライバシーに配慮しながら、昼
夜通して利用者の所在や様子を把握し、安全
に配慮している
68 注意の必要な物品の保管・管理
注意の必要な物品を一律になくすのではなく、
一人ひとりの状態に応じて、危険を防ぐ取り組
みをしている
69 事故防止のための取り組み
転倒、窒息、誤薬、行方不明、火災等を防ぐた
めの知識を学び、一人ひとりの状態に応じた事
故防止に取り組んでいる
70 急変や事故発生時の備え
利用者の急変や事故発生時に備え、全ての職
員が応急手当や初期対応の訓練を定期的に
行っている
71 27 災害対策
火災や地震、水害等の災害時に、昼夜を問わ
ず利用者が避難できる方法を身につけ、日ごろ
より地域の人々の協力を得られるよう働きかけ
ている72リスク対応に関する家族等との話
し合い
一人ひとりに起こり得るリスクについて家族等に
説明し、抑圧感のない暮らしを大切にした対応
策を話し合っている
(5)その人らしい暮らしを続けるための健康面の支援
73 体調変化の早期発見と対応
一人ひとりの体調の変化や異変の発見に努
め、気付いた際には速やかに情報を共有し、対
応に結び付けている
74 服薬支援
職員は、一人ひとりが使用している薬の目的や
副作用、用法や用量について理解しており、服
薬の支援と症状の変化の確認に努めている
75 便秘の予防と対応
職員は、便秘の原因や及ぼす影響を理解し、
予防と対応のための飲食物の工夫や身体を動
かす働きかけ等に取り組んでいる
76 口腔内の清潔保持
口の中の汚れや臭いが生じないよう、毎食後、
一人ひとりの口腔状態や力に応じた支援をして
いる 1177 28 栄養摂取や水分確保の支援
食べる量や栄養バランス、水分量が一日を通じ
て確保できるよう、一人ひとりの状態や力、習慣
に応じた支援をしている
78 感染症予防
感染症に対する予防や対応の取り決めがあり、
実行している(インフルエンザ、疥癬、肝炎、M
RSA、ノロウイルス等)
79 食材の管理
食中毒の予防のために、生活の場としての台
所、調理用具等の衛生管理を行い、新鮮で安
全な食材の使用と管理に努めている
2.その人らしい暮らしを支える生活環境づくり
(1)居心地のよい環境づくり80安心して出入りできる玄関まわり
の工夫
利用者や家族、近隣の人等にとって親しみや
すく、安心して出入りができるように、玄関や建
物周囲の工夫をしている
81 29 居心地のよい共用空間づくり
共用の空間(玄関、廊下、居間、台所、食堂、
浴室、トイレ等)は、利用者にとって不快な音や
光がないように配慮し、生活感や季節感を採り
入れて、居心地よく過ごせるような工夫をしている82
共用空間における一人ひとりの
居場所づくり
共用空間の中には、独りになれたり、気の合っ
た利用者同士で思い思いに過ごせるような居
場所の工夫をしている
83 30 居心地よく過ごせる居室の配慮
居室あるいは泊まりの部屋は、本人や家族と相
談しながら、使い慣れたものや好みのものを活
かして、本人が居心地よく過ごせるような工夫を
している
84 換気・空調の配慮
気になるにおいや空気のよどみがないよう換気
に努め、温度調節は、外気温と大きな差がない
よう配慮し、利用者の状況に応じてこまめに行
っている
(2)本人の力の発揮と安全を支える環境づくり85身体機能を活かした安全な環境
づくり
建物内部は一人ひとりの身体機能を活かして、
安全かつできるだけ自立した生活が送れるよう
に工夫している
86 わかる力を活かした環境づくり
一人ひとりのわかる力を活かして、混乱や失敗
を防ぎ、自立して暮らせるように工夫している
87 建物の外周りや空間の活用
建物の外周りやべランダを利用者が楽しんだ
り、活動できるように活かしている 12V.サービスの成果に関する項目88職員は、利用者の思いや願い、
暮らし方の意向を掴んでいる
1ほぼ全ての利用者の
2利用者の2/3くらいの
3利用者の1/3くらいの
4ほとんど掴んでいない89利用者と職員が、一緒にゆった
りと過ごす場面がある
1毎日ある
2数日に1回程度ある
3たまにある
4ほとんどない90利用者は、一人ひとりのペース
で暮らしている
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない91利用者は、職員が支援すること
で生き生きした表情や姿がみら
れている
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない92利用者は、戸外の行きたいところ
へ出かけている
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない93利用者は、健康管理や医療面、
安全面で不安なく過ごせている
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない94利用者は、その時々の状況や要
望に応じた柔軟な支援により、安
心して暮らせている
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない95職員は、家族が困っていること、
不安なこと、求めていることをよく
聴いており、信頼関係ができて
いる
1ほぼ全ての家族等と
2家族の2/3くらいと
3家族の1/3くらいと
4ほとんどできていない96通いの場やグループホームに馴
染みの人や地域の人々が訪ね
て来ている
1ほぼ毎日のように
2数日に 1 回程度
3たまに
4ほとんどない97運営推進会議を通して、地域住
民や地元の関係者とのつながり
が拡がったり深まり、事業所の理
解者や応援者が増えている
1大いに増えている
2少しずつ増えている
3あまり増えていない
4全くいない
98 職員は、活き活きと働けている
1ほぼ全ての職員が
2職員の2/3くらいが
3職員の1/3くらいが
4ほとんどいない 1399
職員から見て、利用者はサービ
スにおおむね満足していると思う
1ほぼ全ての利用者が
2利用者の2/3くらいが
3利用者の1/3くらいが
4ほとんどいない100職員から見て、利用者の家族等
はサービスにおおむね満足してい
ると思う
1ほぼ全ての家族等が
2家族の2/3くらいが
3家族の1/3くらいが
4ほとんどできていない 146.評価の重点項目
以下に示す項目は、地域密着型サービス評価の重点項目です。外部評価では、評価
報告概要表へ「重点項目への取り組み状況」として、具体的内容を記入します。
自己
評価
外部
評価
項 目5 3しろまる地域とのつきあい
事業所は孤立することなく地域の一員として、自治会、老人会、行事
等、地域活動に参加し、地元の人々と交流することに努めている7 4しろまる評価の意義の理解と活用
運営者、管理者、職員は、自己評価及び外部評価を実施する意義を理
解し、評価を活かして具体的な改善に取り組んでいる8 5しろまる運営推進会議を活かした取り組み
運営推進会議では、利用者やサービスの実際、評価への取り組み状況
等について報告や話し合いを行い、そこでの意見をサービス向上に活
かしている9 6しろまる市町村との連携
事業所は、市町村担当者と運営推進会議以外にも行き来する機会をつ
くり、市町村とともにサービスの質の向上に取り組んでいる14 7しろまる家族等への報告
事業所での利用者の暮らしぶりや健康状態、金銭管理、職員の異動等
について、家族等に定期的及び個々にあわせた報告をしている15 8しろまる運営に関する家族等意見の反映
家族等が意見、不満、苦情を管理者や職員ならびに外部者へ表せる機
会を設け、それらを運営に反映させている 157.自己評価項目の考え方の指針
注1:項目番号欄に( )がある項目は、外部評価を実施。また、これらの項目につ
いては、
「8.外部評価項目の考え方の指針と着眼点」を参照のこと。
注 2:網掛けのある項目は、地域密着型サービス評価の重点項目。
I.理念に基づく運営
1. 理念と共有
自己
(外部)
タイトル・項目 考え方の指針1(1)
しろまる地域密着型サービスとしての
理念
地域の中でその人らしく暮らし
続けることを支えていくサービ
スとして、
事業所独自の理念をつ
くりあげている
事業所の理念は、その事業所がめざすサービ
スのあり方を端的に示したものであり、事業所
全体として質の確保に取り組む上での根本的な
考え方です。事業所として明確な理念が必要で
あり、地域密着型サービスの役割を考えながら
その事業所としての理念をつくりあげているこ
とが大切です。2(2)
しろまる理念の共有と日々の取り組み
管理者と職員は、理念を共有し、
理念の実践に向けて日々取り組
んでいる
理念は実践に活かされてこそ意味がありま
す。理念を掲げただけにせず、日々の中で管理
者と職員が理念を共に意識しながら話し合い、
実践が理念にもとづいたものになるように日常
的に取り組んでいることが必要です。
3 しろまる家族や地域への理念の浸透
事業所は、
利用者が地域の中で暮
らし続けることを大切にした理
念を、
家族や地域の人々に理解し
てもらえるよう取り組んでいる
地域密着型サービスとして利用者を支えて
いくためには、
家族や地域の人々の理解と協力
が不可欠です。
地域密着型サービスとしての理
念を、
家族や地域の人々にわかりやすく伝える
ための具体的な取り組みが必要です。
2. 地域との支えあい
4 しろまる隣近所とのつきあい
管理者や職員は、
隣近所の人と気
軽に声をかけ合ったり、
気軽に立
ち寄ってもらえるような日常的
なつきあいができるように努め
ている
日々の暮らしの中では、
漠然とした地域より
も毎日顔を合わせたり町で行き交う近隣の
人々とのつきあいが大切になります。
日常の暮
らしにある当たり前の近所づきあいや関係づ
くりを丁寧にしていくことが重要です。項目
N0.71 の「災害対策」への備えとしても、近隣
の人々がいざという時に助けてくれるような
馴染みの関係を築いていくことが重要です。 165(3)しろまる地域とのつきあい
事業所は孤立することなく地域
の一員として、自治会、老人会、
行事等、地域活動に参加し、地元
の人々と交流することに努めて
いる
利用者一人ひとりが地域とつながりながら暮
らし続けられるよう、事業所がその基盤を築い
ていくことが大切です。そのためには、事業所
自体が地域から孤立することなく、地域の一員
として地元の活動や地域住民との交流に積極的
に取り組んでいくことが望まれます。
6 しろまる事業所の力を活かした地域貢献利用者への支援を基盤に、
事業所
や職員の状況や力に応じて、
地域
の高齢者等の暮らしに役立つこ
とがないか話し合い、
取り組んで
いる
地域密着型サービスは、
地域と支え支えられ
る関係にあり、
事業所が少しずつ積み上げてい
る支援に関する知識や実践経験を地域の人々
に向けて活かしていくことが大切です。
あくま
でも利用者への日常支援を第一にしつつ、
地域
の高齢者等の暮らしに活かす視点や行動力を
育てていくことが求められます。
3. 理念を実践するための制度の理解と活用7(4)
しろまる評価の意義の理解と活用
運営者、管理者、職員は、自己評
価及び外部評価を実施する意義
を理解し、
評価を活かして具体的
な改善に取り組んでいる
評価を形式的な作業に終わらせず、評価のね
らいや活用方法を全職員が理解するように努め
ながら、評価の一連の過程を通じて質の確保・向
上につなげていくことが重要です。職員が評価
に前向きに取り組んでいくためには、運営者、
管理者が評価の意義や活かし方を職員に判りや
すく伝え、具体的に活用していく姿勢を示すこ
とが大切です。8(5)
しろまる運営推進会議を活かした取り
組み
運営推進会議では、
利用者やサー
ビスの実際、
評価への取り組み状
況等について報告や話し合いを
行い、
そこでの意見をサービス向
上に活かしている
運営推進会議では、報告や情報交換にとどま
らず、話し合いを通じて会議メンバーから率直
な意見をもらい、それをサービス向上に具体的
に活かしていくことが重要です。評価の取り組
みや評価後の改善への取り組みを、運営推進会
議でモニターしてもらうなど、運営推進会議と
評価を結びつけ、質確保をはかっていくことが
大切です。 179(6)しろまる市町村との連携
事業所は、
市町村担当者と運営推
進会議以外にも行き来する機会
をつくり、
市町村とともにサービ
スの質の向上に取り組んでいる
市町村担当者に事業所の考え方、運営や現場
の実情等を積極的に伝える機会を作り、考え方
や運営の実態を共有しながら、直面している運
営やサービスの課題解決に向けて協議し、共に
取り組んでいくことが必要です。
10 しろまる権利擁護に関する制度の理解
と活用
管理者や職員は、
地域福祉権利擁
護事業や成年後見制度について
学ぶ機会を持ち、
個々の必要性を
関係者と話し合い、
必要な人には
それらを活用できるよう支援し
ている
管理者と職員は地域福祉権利擁護事業、
成年
後見制度の理解に努め、
必要と考えられる利用
者がそれらを活用するための話し合いや関係
機関への橋渡し等をしていくことが必要です。
11 しろまる虐待の防止の徹底
管理者や職員は、
高齢者虐待防止
関連法について学ぶ機会を持ち、
利用者の自宅や事業所内で虐待
が見過ごされることがないよう
注意を払い、防止に努めている
管理者と職員は高齢者虐待防止関連法の理
解を図り、潜在する危険のある、職員による虐
待の徹底防止に努めなければなりません。ま
た、利用者と家族等との関係性を捉える中で、
虐待の危険を早期に見つけ、
関係機関と協働し
ながら速やかに対応していくことが求められ
ます。
4. 理念を実践するための体制
12 しろまる契約に関する説明と納得
契約を結んだり解約をする際は、
利用者や家族等の不安、
疑問点を
尋ね、十分な説明を行い理解・納
得を図っている
契約時や契約解除の際、
利用者や家族等にと
って分かりにくく、不安が生じていないか、
個々の立場に立って確認する必要があります。
利用者や家族等が不安や疑問等を十分に表せ
るような働きかけと説明を行い、
納得を得た上
で手続きを進めていく個別の配慮や取り組み
が大切です。 1813 しろまる運営に関する利用者意見の反映利用者が意見、不満、苦情を管理
者や職員ならびに外部者へ表せ
る機会を設け、
それらを運営に反
映させている
利用者が日常のサービス等に関する意見や
思いを管理者や職員に表せるような取り組み
が必要です。
本人が運営推進会議のメンバーや
外部の人に意見や思いを伝えられる機会を作
り、出された意見・願い等を日々の運営に活か
していくことが求められます。
認知症の利用者
も配慮と支援があれば、
運営に関する意見等を
示していくことが可能です。14(7)
しろまる家族等への報告
事業所での利用者の暮らしぶり
や健康状態、金銭管理、職員の異
動等について、
家族等に定期的及
び個々にあわせた報告をしている家族等の安心を確保し、事業所との信頼や協
力関係を築くためには、事業所からの積極的な
報告が不可欠です。家族等が知りたい点を考慮
しながら、定期的な報告はもちろん、本人や家
族等の状況に合わせて、個別の報告を徹底する
ことが重要です。報告を丁寧に行っていくこと
で、家族から要望や本音を伝えてもらうことに
もつながります。15(8)
しろまる運営に関する家族等意見の反映家族等が意見、不満、苦情を管理
者や職員ならびに外部者へ表せ
る機会を設け、
それらを運営に反
映させている
サービスの質の確保・向上のためには、家族
等の率直な意見や不満、苦情を前向きに活かす
姿勢や体制を組織として徹底させることが重要
です。地域密着型サービスでは、家族等と職員
が顔の見える関係を作りやすいという特徴があ
る反面、率直な意見等を言い難い状況も生まれ
ます。家族等が意見・不満・苦情を職員はもち
ろん外部者に安心して表せる機会を積極的につ
くっていくことも大切です。
16 しろまる運営に関する職員意見の反映
運営者や管理者は、
運営に関する
職員の意見や提案を聞く機会を
設け、反映させている
事業所の運営や大事な決定事項に関して、利用者の状況や日々のサービスの実情を直に知
っている現場の職員の意見を十分に聴き、
活か
していくことが大切です。運営者や管理者が、
運営や管理についての職員の声に耳を傾け、活かしていくことは、
働く意欲の向上や質の確保
にもつながります。 1917 しろまる柔軟な対応に向けた勤務調整
利用者や家族の状況の変化、
要望
に柔軟な対応ができるよう、
必要
な時間帯に職員を確保するため
の話し合いや勤務の調整に努め
ている
変化する利用者、
家族の状況や個別の要望に
そって必要な支援を柔軟に提供していくこと
が地域密着型サービスの特徴です。
それを実際
に可能とするためには、
職員の勤務体制や臨機
応変な対応について、
管理者と職員がよく話し
合いながら調整していくことが求められます。18(9)
しろまる職員の異動等による影響への
配慮
運営者は、
利用者が馴染みの管理
者や職員による支援を受けられ
るように、
異動や離職を必要最小
限に抑える努力をし、
代わる場合
は、
利用者へのダメージを防ぐ配
慮をしている
サービスの質の確保の核心の一つは、利用者
と職員の馴染みの関係づくりにあります。馴染
みの関係を保つことを重視し、職員の配置異動
や離職に対応していくことが必要です。やむを
得ず職員が交代する場合は、利用者へのダメー
ジを最少にするための検討が行われ、関係者や
ケアの継続のための取り組みが求められます。
5. 人材の育成と支援19(10)
しろまる職員を育てる取り組み
運営者は、管理者や職員を段階に
応じて育成するための計画をた
て、法人内外の研修を受ける機会
の確保や、働きながらトレーニン
グしていくことを進めている
運営者が職員育成の重要性を認識し、全ての
職員が地域密着型サービスの従事者として質を
向上させていけるよう、各自の立場、経験や習
熟度の段階に応じた学びの機会を事業所として
計画的に確保する必要があります。事業所内外
の研修とともに、職員が働きながら技術や知識
を身につけていくための方策を工夫しているか
も確認します。20(11)
しろまる同業者との交流を通じた向上
運営者は、管理者や職員が地域の
同業者と交流する機会を持ち、ネ
ットワークづくりや勉強会、相互
訪問等の活動を通じて、サービス
の質を向上させていく取り組みを
している
事業所の質の確保のためには、他法人の同業
者との交流や連携が不可欠であることを運営者
が認識し、管理者や職員が地域の同業者とネッ
トワークづくりや勉強会、相互評価などを通じ
て交流や連携を行えるような具体的な取り組み
が必要です。同業者との交流を強化することは、
職場内では行き詰まっている日頃の仕事の悩み
の解消や緊急時の連携をスムーズにするなど、
事業所や地域全体としてのサービス水準の向上
につながります。 2021 しろまる職員のストレス軽減に向けた取
り組み
運営者は、管理者や職員のストレ
スを軽減するための工夫や環境づ
くりに取り組んでいる
地域密着型サービスは、小規模、少人数の職
場であり、
利用者と密接に関わることにより職
員にストレスがかかりやすい特徴があります。
職員がストレスをためないよう、組織的、継続
的にストレスを軽減するための具体的な取り
組みが必要です。そのひとつとして、職員が短
時間であっても心身を休める居心地のよい場
所の確保や配慮も大切です。
22 しろまる向上心を持って働き続けるため
の取り組み
運営者は、管理者や職員個々の努
力や実績、勤務状況を把握し、各
自が向上心を持って働けるように
努めている
職員各人が向上心を持てる職場環境を整え
ることが勤務の継続につながり、
結果的に利用
者の生活の継続性を支えることになります。運営者は管理者や職員の日ごろの努力や具体的
な実績、勤務状況等を把握し、それらをもとに
向上心を持って働けるような配慮や対応をし
ていくことが求められます。
II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援
1. 相談から利用に至るまでの関係づくりとその対応
23 しろまる初期に築く本人との信頼関係
相談から利用に至るまでに本人
が困っていること、不安なこと、
求めていること等を本人自身か
らよく聴く機会をつくり、
受けと
める努力をしている
相談から利用に至るまでの期間は、
本人の安
心と関係づくりの上で非常に重要な時期です。
家族を受け止めつつ、主体としての本人に会
い、話をよく聴くことを大切にし、本人を受け
止めることに努めていくことが大切です。
24 しろまる初期に築く家族との信頼関係
相談から利用に至るまでに家族
等が困っていること、不安なこ
と、
求めていること等をよく聴く
機会をつくり、
受けとめる努力を
している
相談をする家族の立場に立って、
この時期に
家族等の話をしっかりと聴き、
受け止めながら
関係を築くことに努めることが重要です。
本人
と家族との思いの違い、
家族同士の中での違い
も含め家族の体験や思いを理解しながら、
その
家族自身を受け止める努力が必要です。 2125 しろまる初期対応の見極めと支援
相談を受けた時に、
本人と家族が
「その時」
まず必要としている支
援を見極め、
他のサービス利用も
含めた対応に努めている
相談時の本人、家族の実情や要望をもとに、
その時点で何が必要かを見極め、
事業所として
できる限りの対応に努めることが求められま
す。事業所だけで抱え込まず、必要に応じて他
のサービスの利用の調整を行うなど、
できるこ
とは速やかに実行することが大切です。26(12)
しろまる馴染みながらのサービス利用
本人が安心し、
納得した上でサー
ビスを利用するために、
サービス
をいきなり開始するのではなく、
職員や他の利用者、
場の雰囲気に
徐々に馴染めるよう家族等と相
談しながら工夫している
馴染みの関係ができないまま、いきなりサー
ビスの利用を開始することは、本人に様々なダ
メージをもたらす危険があります。地域密着型
サービスの特徴を活かして、サービス利用開始
前から本人が職員や他の利用者、サービスの場
に徐々に馴染み、安心し納得しながらサービス
を利用できるよう、段階的な支援の工夫を家族
等と共に行っていくことが大切です。
2. 新たな関係づくりとこれまでの関係継続への支援27(13)
しろまる本人と共に過ごし支えあう関係職員は、
本人を介護される一方の
立場におかず、
一緒に過ごしなが
ら喜怒哀楽を共にし、
本人から学
んだり、
支えあう関係を築いている地域密着型サービスは、本人が地域の中でそ
の人らしく暮らし続けることを支援するサービ
スであり、職員と本人は「介護する-される」
といった一方的な縦の関係を脱して、人として
「共に過ごし、学び、支えあう」関係を築くこ
とが重要です。一緒に過ごし喜怒哀楽を共にす
る関係は、孤独に陥りがちな利用者の安心と安
定を生み出し、本来の個性や力、どう暮らして
いきたいかの意向を知るためにも不可欠であ
り、地域密着型サービスの根幹となる関わりで
す。
28 しろまる本人を共に支えあう家族との
関係
職員は、
家族を支援される一方の
立場におかず、喜怒哀楽を共に
し、
一緒に本人を支えていく関係
を築いている
職員と家族が「支援している・されている」
という一方的な縦の関係ではなく、
経過の中で
の悲喜こもごもを共にしながら、
本人の生活を
共に支援していく対等な関係を築いていくこ
とが必要です。
家族が職員に介護をゆだねきり
になったり、
職員が抱え込んでしまうことを防
ぐためにも大切な事項です。 2229 しろまる本人と家族のよりよい関係に
向けた支援
これまでの本人と家族との関係
の理解に努め、
より良い関係が築
いていけるように支援している
職員は、
あくまでも本人と家族の支援者であ
り、これまでの両者の関係を踏まえつつ、今後
より良い関係を築いていけるための支援に努
めることが大切です。
家族が疎遠だからしかた
がないと諦めていないか、また、職員の関わり
によって、
本人と家族との距離が離れてしまっ
ている状況がないかの確認も必要です。
30 しろまる馴染みの人や場との関係継続
の支援
本人がこれまで大切にしてきた
馴染みの人や場所との関係が途
切れないよう、
支援に努めている
本人がこれまで培ってきた人間関係や社会
との関係を把握し、
その関係を断ち切らないよ
うな支援も地域密着型サービスの役割のひと
つです。知人、友人や商店、行きつけの場所等
と本人がつきあいを続けられるように、
実際に
会いに行ったり来てもらったり、あるいは、出
かけていく場面を積極的につくっているかを
確認します。
31 しろまる利用者同士の関係の支援
利用者同士の関係を把握し、
一人
ひとりが孤立せずに利用者同士
が関わり合い、
支え合えるように
努めている
利用者同士が共に助け合い、
支えあって暮ら
していくことの大切さを職員が理解すること
が重要です。利用者間の関係の理解に努め、利
用者が孤立せずに、
共に暮らしを楽しめるよう
支援をしていくことが大切です。
32 しろまる関係を断ち切らない取り組み
サービス利用(契約)が終了して
も、
継続的な関わりを必要とする
利用者や家族には、
関係を断ち切
らないつきあいを大切にしている利用者の心身状態や個別の事情等でサービ
スの利用が終了した後も、
サービス利用の間に
培われた関係性を大切に、
その後も相談や支援
に応じる姿勢を示すことが望まれます。
契約終
了後、本人や家族等が孤立したり、問題が予想
される場合は、
事業所側から経過をフォローし
ていく必要があります。 23III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント
1. 一人ひとりの把握33(14)
しろまる思いや意向の把握
一人ひとりの思いや暮らし方の希
望、意向の把握に努めている。困難
な場合は、本人本位に検討している
利用者がその人らしく暮らし続ける支援に
向けて、
利用者一人ひとりの思いや希望、
意向
等の把握が不可欠です。
「聞いても実現は困難」
とみなしたり、
認知症の利用者の場合
「認知症
だから聞くのは無理」と決め付けるのではな
く、
職員全員が一人ひとりの思いや意向につい
て関心を払い、
把握しようと努めることが大切
です。把握が困難であったり不確かな場合、関係者で本人の視点に立って意見を出し合い、話し合っていく取り組みが必要です。
34 しろまるこれまでの暮らしの把握
一人ひとりの生活歴や馴染みの暮ら
し方、生活環境、これまでのサービ
ス利用の経過等の把握に努めている
本人が安らかに、また有する力を発揮しな
がら自分らしく暮らしていくことを支援す
るために、利用者個々の歴史やサービス利用
に至った経過を知ることが欠かせません。プ
ライバシーに配慮しつつ、職員が本人や家族
等と馴染みの関係を築きながら、日々の中で
これまでの暮らしを捉えていく積み重ねが
必要です。
35 しろまる暮らしの現状の把握
一人ひとりの一日の過ごし方、心身
状態、有する力等の現状を総合的に
把握するように努めている
利用者の部分的な問題や断片的な情報の
把握に陥らずに、一人ひとりの 1 日の暮らし
の流れにそって本人の状況を総合的に把握
していくことが不可欠です。職員全員が、利
用者を総合的に見つめる目を養いながら、
日々の中でチームとして把握に努めていく
ことが必要です。特に見落とされやすい本人
のできる力・わかる力を暮らしの中で発見し
ていくことに努めているかを確認します。 242. 本人がより良く暮らし続けるための介護計画の作成と見直し36(15)
しろまるチームでつくる利用者本位の介護
計画
本人がより良く暮らすための課題と
ケアのあり方について、本人、家族、
必要な関係者と話し合い、それぞれ
の意見やアイディアを反映した介護
計画を作成している
地域でその人らしく暮らし続けることを支
えていくための個別の介護計画が必要です。介護する側にとっての課題ではなく、
本人がより
よく暮らすための課題やケアのあり方につい
て、
本人そして本人をよく知る関係者が気づき
や意見、
アイディアを出し合い、
話し合った結
果をもとに介護計画を作っていくことが大切
です。家族の現状や意向も当然大切にしなが
ら、
本人がより良く暮らす支援として何が必要
か、
家族と共に本人本位の検討を行うことが必
要です。37(16)
しろまる現状に即した介護計画の見直し
介護計画の期間に応じて見直しを行
うとともに、見直し以前に対応でき
ない変化が生じた場合は、本人、家
族、必要な関係者と話し合い、現状
に即した新たな計画を作成している
介護計画は設定された期間ごと、
あるいは本
人、
家族の要望や変化に応じて、
現場で実践的
な対応ができる介護計画になるよう見直しが
大切です。
小規模できめ細かいケアが特徴の地
域密着型サービスでは、期間にとらわれず、変化に応じて本人、家族、必要な関係者と話し合
い、臨機応変に見直していくことが必要です。
なお、
本人や家族等からの新たな要望や状況の
変化がないようでも、
毎月新鮮な目で見直す取
り組みをしていくことが望まれます。
38 しろまる個別の記録と実践への反映
日々の様子やケアの実践・結果、気
づきや工夫を個別記録に記入し、情
報を共有しながら実践や介護計画の
見直しに活かしている
日々の記録は、やったことを記すだけのも
のではなく、本人を身近で支える職員しか知
りえない事実やケアの気づきを生き生きと
具体的に記すことが大切です。よりよいケア
に向けてそれらの情報を共有しながら、日々
の職員間のケアに活かしていくことが求め
られます。日々の記録を根拠にしながら、介
護計画の見直しに活かしているかも確認し
ます。 253.多機能性を活かした柔軟な支援39(17)
しろまる事業所の多機能性を活かした支援
本人や家族の状況、その時々の要望
に応じて、事業所の多機能性を活か
した柔軟な支援をしている
利用者や家族の状況や意向は固定したもの
ではなく、
常に変化しています。
その時々の本
人と家族の状況や要望に向き合い、
暮らしを守
るためにその時々に必要な支援を事業所の有
する多機能性を活かして柔軟に行っていくこ
とが求められています。
部分としてのサービス
の提供やサービスの組み合わせになってしま
っていないか、
本人の暮らしを馴染みの職員が
継続的に支えることを大切にした支援になっ
ているかを確認します。
4.本人がより良く暮らし続けるための地域資源との協働
40 しろまる地域資源との協働
本人の意向や必要性に応じて、民生
委員やボランティア、警察、消防、
文化・教育機関等と協力しながら支
援している
利用者が心身の力をできるだけ発揮しな
がら安全でより豊かな暮らしを楽しめるよ
う、多様な地域資源と協働していくことが大
切です。利用者が重度化している場合も、少
しでも安らかに生き生きとした暮らしを作
っていくために、地域の人や場の力を借りた
取り組みをしているかを確認します。
41 しろまる他のサービスの活用支援
本人の意向や必要性に応じて、地域
の他のケアマネジャーやサービス事
業者と話し合い、他のサービスを利
用するための支援をしている
本人の生活をより総合的に支援するため
に、介護保険以外のサービスとの連携も必要
です。利用者の選択肢を増やし希望を叶える
ために、事業所だけで抱え込まず、本人を良
く知る地域の他のケアマネジャーやサービ
ス事業者と話し合い、市町村独自の理美容サ
ービス、配食サービス等、介護保険以外のサ
ービスを使えるようにしているかを確認し
ます。 2642 しろまる地域包括支援センターとの協働
本人の意向や必要性に応じて、権利
擁護や総合的かつ長期的なケアマネ
ジメント等について、地域包括支援
センターと協働している
利用者個々の権利擁護や総合的、長期的な
ケアマネジメントなど、事業所のみでは解決
困難な状況等に応じて、地域包括支援センタ
ーと連携を図りながら個別支援をしている
かを確認します。地域包括支援センターと協
同しながら、認知症の人を地域で支えるため
の地域資源ネットワークの拡充に努めるこ
とが求められます。43(18)
しろまるかかりつけ医の受診支援
本人及び家族等の希望を大切にし、
納得が得られたかかりつけ医と事業
所の関係を築きながら、適切な医療
を受けられるように支援している
本人が馴染みの医師よる継続的な医療を受
けられるよう、
また状況に応じて本人や家族が
希望する医師による医療を受けられるように
支援する必要があります。
これまでのかかりつ
け医を基本としつつ、
やむなく事業所の協力医
療機関等の医師をかかりつけ医とする場合は、
あくまでも本人と家族の同意と納得が必要で
す。
44 しろまる認知症の専門医等の受診支援
専門医等認知症に詳しい医師と関係
を築きながら、職員が相談したり、
利用者が認知症に関する診断や治療
を受けられるよう支援している
利用時点で認知症とされていても、鑑別診
断や診断に応じた治療方針、必要な薬の見極
め等がしっかりなされていない場合も少な
くありません。認知症の専門医あるいは認知
症の人の医療に熱心で適切な指示や助言を
してくれる医師を地域の中で探し、信頼関係
を築きながら相談に応じてもらったり専門
医療を受けるための個別支援を行っていく
ことが大切です。
45 しろまる看護職との協働
利用者をよく知る看護職員あるいは
地域の看護職と気軽に相談しなが
ら、日常の健康管理や医療活用の支
援をしている
利用者の普段の状態や個別の状況をよく
知っている看護職員、訪問看護ステーション
の看護師等を確保し、気軽に相談しながら一
人ひとりの健康管理や医療的な支援を行っ
ているか確認します。普段から気軽に看護職
に相談することは、その後の即応体制や職員
の判断対処の力を育てていくことにもつな
がります。 2746 しろまる早期退院に向けた医療機関との協働利用者が入院した時に安心して過ご
せるよう、また、できるだけ早期に
退院できるように、病院関係者との
情報交換や相談に努めている。ある
いは、そうした場合に備えて連携し
ている
入院は、慣れない場所、治療処置等で心身
に大きなダメージをもたらします。入院する
際は、本人のストレスや負担を軽減するため
に、家族等と相談しながら医療機関に対して
本人に関する情報の提供や、ケアについての
話しあいが必要です。同時に、長期入院は本
人のダメージはもとより、家族、事業所にと
っても負担となります。入院した時点から、
より短期間に入院目的を達成しスムーズな
退院につながるように、退院計画を病院関係
者、本人・家族と話し合い、必要な支援を行
うことが求められます。47(19)
しろまる重度化や終末期に向けた方針の共有重度化した場合や終末期のあり方に
ついて、できるだけ早い段階から本
人や家族等ならびにかかりつけ医等
と繰り返し話し合い、全員で方針を
共有している
重度化した場合や終末期のあり方、
事業所の
対応について、
できるだけ早期から本人、
家族
等、
かかりつけ医等ケア関係者と話し合いを繰
り返し、その時々の本人・家族の意向を確認し
ながら、
対応方針の共有を図っていくことが重
要です。
開設したばかりの事業所や運営方針と
して重度者や終末期の人をサービス対象とし
ていない事業所の場合でも、
同様の対応が必要
です。
48 しろまる重度化や終末期に向けたチームで
の支援
重度や終末期の利用者が日々をより
良く暮らせるために、事業所の「で
きること・できないこと」を見極め、
かかりつけ医とともにチームとして
の支援に取り組んでいる。
あるいは、
今後の変化に備えて検討や準備を行
っている
重度や終末期の利用者に対して、安心と安
全を確保しよりよく暮らすために、対応が可
能なこと、困難なこと、不安なこと等を職員
全体で率直に話し合い、家族や医療関係者等
と連携を図りながらチームで支援していく
ことが重要です。まだ該当者がいない場合
も、そうした場合に備えて関係者での話し合
いや連携体制作りに取り組んでいるかを確
認します。
49 しろまる住み替え時の協働によるダメージ
の防止
本人が自宅やグループホームから別
の居所へ移り住む際、家族及び本人
に関わるケア関係者間で十分な話し
合いや情報交換を行い、住み替えに
よるダメージを防ぐことに努めている自宅やグループホームでの生活が、あらゆ
る手立てを検討しても困難となった場合、利
用者の「移り住むことのダメージ」を最小限
に食い止める対応策を講じていくことが求
められます。移り住む先の関係者に対して、
本人の状況、習慣、好み、これまでのケアの
工夫等の情報を詳しく伝え、環境や暮らし方
の継続性等に配慮してもらえるよう働きか
けていくことが大切です。 28IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援
1.その人らしい暮らしの支援
(1)一人ひとりの尊重50(20)
しろまるプライバシーの確保の徹底
一人ひとりの誇りやプライバシー
を損ねるような言葉かけや対応、記録等の個人情報の取り扱いをして
いない
一人ひとりの誇りを尊重し、プライバシーの
確保を徹底していくことは、利用者の尊厳と権
利を守るための基本であり必須の事項です。し
かし、実際には守り通すことが難しい事項であ
り、運営者、管理者、常勤職員はもとよりパー
ト職員も含めた全職員が、プライバシー確保に
ついて常に具体的に確認し合うことが大切で
す。
51 しろまる利用者の希望の表出や自己決定
の支援
本人が思いや希望を表せるように
働きかけたり、
わかる力に合わせた
説明を行い、
自分で決めたり納得し
ながら暮らせるように支援をして
いる
高齢や認知症の進行に伴い、
判断力や希望を
表出する力が次第に低下していきます。
うずも
れてしまいがちな本人が決める力やその人ら
しい希望や願いを意図的に引き出す取り組み
が大切です。
利用者が言葉では十分に意思表示
ができない場合であっても、
表情や全身での反
応を注意深くキャッチしながら、
本人の希望や
好みを把握していくことが求められます。
日々
の密接な関係や馴染みの中で、
支援できている
つもりになっていないか確認します。52(21)
しろまる日々のその人らしい暮らし
職員側の決まりや都合を優先する
のではなく、
一人ひとりのペースを
大切にし、
その日をどのように過ご
したいか、
希望にそって支援している一人ひとりの生活のリズムやその日に本人が
したいと思っていることを大切にし、日々の暮
らしがその人らしいものとなるような支援が求
められます。事業所の都合や決まりごとに利用
者を合わせるのではなく、職員が利用者に合わ
せていく姿勢や実践が重要です。
(2)その人らしい暮らしを続けるための基本的な生活の支援
53 しろまる身だしなみやおしゃれの支援
その人らしい身だしなみやおしゃ
れができるように支援し、理容・
美容は本人の望む店に行けるよう
に努めている
おしゃれは、本人の心地よさ、落ち着き、明
るさ、自分としての意識等をもたらし、全体的
な状態の安定にもつながります。一人ひとりの
個性、希望、生活歴等に応じて、髪型や服装等
の身だしなみやおしゃれを個別に支援していく
ことが大切です。職員側の価値観や一方的な支
援ではなく、本人の好みや意向、持っている力
に応じた支援が必要です。 2954(22)しろまる食事を楽しむことのできる支援
食事が楽しみなものになるよう、
一人ひとりの好みや力を活かしな
がら、利用者と職員が一緒に準備
や食事、片付けをしている
運営者や職員は、
食事は利用者にとって力の発
揮や参加、
他の利用者や職員との関係作りなどの
点から、
暮らし全体の中でも重要な位置にありま
す。食事一連の作業を利用者とともに職員が行
い、
一緒に食事を味わいながら利用者にとって食
事が楽しいものになるような支援が必要です。給食や配食サービスの利用、
弁当の購入等の提供形
態が固定化されている場合は、
運営面も含めた見
直しが求められます。
55 しろまる本人の嗜好の支援
本人が望むお酒、
飲み物、
おやつ、
たばこ等、好みのものを一人ひと
りの状況に合わせて日常的に楽し
めるよう支援している
利用者が自宅にいる時と同様に、嗜好品を楽
しめるよう支援することが求められます。一人
ひとりの好みや意向を大切にするとともに、そ
れを好まない周囲の利用者への配慮や本人との
調整も必要です。
56 しろまる気持よい排泄の支援
排泄の失敗やおむつの使用を減ら
し、一人ひとりの力や排泄のパタ
ーン、習慣を活かして気持ちよく
排泄できるよう支援している
トイレでの排泄やオムツをしないですむ暮
らしは、生きる意欲や自信の回復、そして食や
睡眠等の身体機能の向上につながる大切な支援
です。最初からトイレでの排泄は出来ないと決
めてしまわずに、オムツの使用を減らし、可能
な限りトイレで用を足す支援や気持ちよく排泄
するための工夫が必要です。57(23)
しろまる入浴を楽しむことができる支援
曜日や時間帯を職員の都合で決め
てしまわずに、一人ひとりの希望
やタイミングに合わせて、入浴を
楽しめるように支援している
利用者の入浴は、
事業所が決めた曜日や時間帯
に合わせるのではなく、
一人ひとりの生活習慣や
その時々の希望を大切にした支援が求められま
す。
職員のローテーション等で困難な場合もあり
ますが、それがあたり前になっていないか、個別
支援の可能性がないか、
利用者に無理強いをする
のではなく、
一人ひとりの意向を第一にくつろい
だ気分で入浴できるよう支援していくことが大
切です。 3058 しろまる安眠や休息の支援
一人ひとりの生活習慣やその時々
の状況に応じて、安心して気持ち
よく休息したり眠れるよう支援し
ている
一日の流れの中で、一人ひとりが必要な休息
や睡眠をとれるような支援が必要です。本人に
とっての自然なリズムが生まれるように、環境
や生活の過ごし方、関わる側のあり方が本人の
リズムを乱していないか確認します。また、眠
ることだけに注目せずに、数日間の活動や出来
事、そもそもの本人の生活習慣等を関係者で検
討しながら総合的に支援していくことも重要で
す。
(3) その人らしい暮らしを続けるための社会的な生活の支援59(24)
しろまる役割、楽しみごと、気晴らしの
支援
張り合いや喜びのある日々を過ご
せるように、一人ひとりの生活歴
や力を活かした役割、
楽しみごと、
気晴らしの支援をしている
日々の暮らしが楽しみや張り合いのあるもの
になるよう、また、潜在している記憶やできる力
を最大限活かして自分らしく暮らせるよう、
一人
ひとりに合った役割や楽しみ、
気晴らしの支援が
求められます。
60 しろまるお金の所持や使うことの支援
職員は、本人がお金を持つことの
大切さを理解しており、一人ひと
りの希望や力に応じて、お金を所
持したり使えるように支援している利用者が日常の暮らしの中で、その人の希望
や力に応じてお金を所持したり、使えるように
支援していくことが大切です。大金の管理や日
常の出納が難しくなっていくことも事実です
が、使わなくても自分で所持できることで安心
したり、ちょっとした買い物をすることで、楽
しめたりする人も少なくありません。家族とも
本人にとってのお金の意味を良く話し合いなが
ら、管理方法等をとりきめて、支援していくこ
とが求められます。61(25)
しろまる日常的な外出支援
事業所の中だけで過ごさずに、一
人ひとりのその日の希望にそっ
て、戸外に出かけられるよう支援
している
利用者が事業所の中だけで過ごさずに、
日常的
に外出できるような個別の支援を工夫すること
が大切です。
重度の利用者も外出が困難とみなさ
ずに、
本人が戸外で気持ちよく生き生きと過ごせ
るような工夫が求められます。 3162 しろまる普段行けない場所への外出支援
一人ひとりが行ってみたい普段は
行けないところに、個別あるいは
他の利用者や家族とともに出かけ
られる機会をつくり、支援している日常的な外出支援とは分けて、より個別性の
高い特別な外出支援に取り組んでいくことも大
切です。本人の思いに添って墓参りや懐かしい
場所、特別な楽しみ等、行きたい場所への外出
支援を行うことは、
その人らしい暮らしを保ち、
本人の意欲や自立を保つことにもつながりま
す。地域密着型サービスとしての馴染みの関係
や柔軟なサービスを活かして、家族等と相談し
ながら、実現に向けて取り組むことが求められ
ます。
63 しろまる電話や手紙の支援
家族や大切な人に本人自らが電話
をしたり、手紙のやり取りができ
るように支援をしている
手紙や電話は、家族や大切な人との関係をつ
なぐ重要な手段となります。一人ひとりの手紙
や電話の習慣、希望、有する力に応じて、外部
との交流を支援していくことが必要です。単な
る取次ぎだけでなく、プライバシーに配慮しな
がら、本人が読み書きしたり、電話を使用する
ことを個別に支援しているか確認します。
64 しろまる家族や馴染みの人の訪問支援
家族、知人、友人等、本人の馴染
みの人たちが、いつでも気軽に訪
問でき、居心地よく過ごせるよう
工夫している
本人の馴染みの人たちが気軽に訪ねやすく、
居心地よく過ごせるよう配慮や工夫が必要で
す。職員の対応、湯茶等物品の用意、スペース
の工夫等を、具体的に確認します。訪問の希望
を、職員側の都合で一方的に断ったり、訪問時
間を一律に制限していないかも振り返ります。
(4)安心と安全を支える支援
65 しろまる身体拘束をしないケアの実践
運営者及び全ての職員が「介護保
険法指定基準における禁止の対象
となる具体的な行為」を正しく理
解しており、身体拘束をしないケ
アに取り組んでいる
運営者および全ての職員が身体拘束の内容と
その弊害を認識し、身体拘束をしないケアの実践
に取り組むことが重要です。指定基準上では生命
保護等ごく限られたケースにおいて例外も認めら
れていますが、その人の人権を守ることがケアの
基本であるという認識に立ち「どんなことがあっ
ても拘束は行わない」という姿勢が必要です。状
態の安定や安全に向けたケアを徹底しているか、
必要に応じて外部の専門職の助言も受けながら拘
束をしないための支援に取り組んでいるかを確認
します。 3266(26)しろまる鍵をかけないケアの実践
運営者及び全ての職員が、居室や
日中玄関に鍵をかけることの弊害
を理解しており、鍵をかけないケ
アに取り組んでいる
日中、
鍵をかけられ外に出られない状態で暮らし
ていることの異常性と個々の利用者にもたらす心
理的な不安・閉塞感、家族や地域の人々にもたらす
印象等のデメリットを運営者と全職員が認識する
ことが重要です。利用者の安全を確保しながら、日
中鍵をかけないですむ工夫に取り組んでいくこと
が求められます。
67 しろまる利用者の安全確認
職員は本人のプライバシーに配慮
しながら、昼夜通して利用者の所
在や様子を把握し、安全に配慮し
ている
本人の状態や気持ちにそって安全できめ細か
なケアを行うためには、利用者の動きやサインを
察知することが大切であり、全員の様子をさりげ
なく、常に見守っていることが必要です。特に夜
間は職員の人数が限られるため、ケアや緊急時に
備えて利用者の状況を最も確認しやすい位置にい
ることが求められます。なお、見守りやすさを優
先するあまり、プライバシーの配慮に欠けるよう
な設えや対応がなされていないかもこの機会に確
認します。
68 しろまる注意の必要な物品の保管・管理
注意の必要な物品を一律になくす
のではなく、一人ひとりの状態に
応じて、危険を防ぐ取り組みをし
ている
事業所は暮らしの場であることから、洗剤や刃
物、薬等が利用者の身近に置かれていること自体
は自然であり、本人の力を活かした日常生活を営
む上では必要な場合もあります。一律に注意の必
要な物品を排除するのではなく、利用者の状態を
十分に把握しながら危険を防ぐための検討や取り
決め、工夫が必要です。
69 しろまる事故防止のための取り組み
転倒、窒息、誤薬、行方不明、火
災等を防ぐための知識を学び、一
人ひとりの状態に応じた事故防止
に取り組んでいる
事故や火災等を未然に防ぐための方策や一人
ひとりの状態から考えられるリスクや危険を検討
し、
事故防止に努めていくことが大切です。
また、
事故には至らないまでも職員からのヒヤリハット
の報告や危険への気づきを収集し、事故防止に活
かしていくことが重要です。さらに、事故が発生
した場合は、状況を正確に伝えることを職員が徹
底して行い、事故の再発防止について具体的に検
討されているかも確認します。 3370 しろまる急変や事故発生時の備え
利用者の急変や事故発生時に備
え、全ての職員が応急手当や初期
対応の訓練を定期的に行っている
利用者の身体状態の急変や事故発生時にも慌
てずに確実かつ適切な行動がとれることが求めら
れます。全ての職員が応急手当に関して定期的に
訓練を行い、実際の場面で活かせる技術を身に付
けているかを確認します。71(27)
しろまる災害対策
火災や地震、水害等の災害時に、
昼夜を問わず利用者が避難できる
方法を身につけ、日ごろより地域
の人々の協力を得られるよう働き
かけている
災害はいつ起こるかわかりません。
一人ひとりの
利用者の状態を踏まえて、
昼夜を通した災害時の具
体的な避難策について検討し、
いざという時に慌て
ず確実な避難誘導ができるように備えていくこと
が重要です。職員だけでの誘導の限界を踏まえて、
地域の人々や他の事業所の協力が実際に得られる
ように、日頃からの話し合いを行い、一緒に訓練を
行うなどの取り組みが必要です。
72 しろまるリスク対応に関する家族等との
話し合い
一人ひとりに起こり得るリスクに
ついて家族等に説明し、抑圧感の
ない暮らしを大切にした対応策を
話し合っている
利用者の安全を確保しつつ抑圧感のない自由
な暮らしを支援するために、家族等の納得と理解
が不可欠です。普段からの関係づくりを基盤に、
一人ひとりに予測されるリスクを家族等と率直に
話し合うことが大切です。家族等から安全のため
拘束や鍵かけ等の要望があった場合でも、その弊
害を説明し、
事業所の工夫や取り組み方針を示し、
家族等の納得の上、抑圧感のない暮らしの支援が
必要です。話し合いは 1 回きりではなく、状況変
化に応じて繰り返していくことが必要です。
(5)その人らしい暮らしを続けるための健康面の支援
73 しろまる体調変化の早期発見と対応
一人ひとりの体調の変化や異変の
発見に努め、気付いた際には速や
かに情報を共有し、対応に結び付
けている
職員は、一人ひとりの普段の様子をよく知
り、常に変化や異常の発見に努めていくことが
大切です。変化や異常の兆候に気づいたら、速
やかに報告しあい、早期対応に結び付ける行動
が日常化していることが求められます。発見や
対応の遅れが見られたケースが最近ないかも確
認します。 3474 しろまる服薬支援
職員は、一人ひとりが使用してい
る薬の目的や副作用、用法や用量
について理解しており、服薬の支
援と症状の変化の確認に努めている一人ひとりが服用する薬の目的や副作用、用
法や用量について理解し、飲み忘れや誤薬を防
ぐための取り組みが必要です。心身上の変化や
課題がみられた場合は速やかに家族や医師に伝
え、治療や服薬調整の参考資料となるよう、本
人の状態の経過や変化等に関する日常の記録を
医療者に情報提供することが必要です。
75 しろまる便秘の予防と対応
職員は、便秘の原因や及ぼす影響
を理解し、予防と対応のための飲
食物の工夫や身体を動かす働きか
け等に取り組んでいる
便秘がちな高齢者に対して下痢や浣腸等を
習慣化させることは、
身体機能を衰えさせたり、
排泄習慣を崩すことにつながります。まずは
個々の便秘の原因を探り、家族とも相談しなが
ら一人ひとりに応じた自然排便を促すための工
夫が必要です。日常の暮らし全体を活かして継
続的に予防・対応をしていくことが求められま
す。
76 しろまる口腔内の清潔保持
口の中の汚れや臭いが生じないよ
う、毎食後、一人ひとりの口腔状
態や力に応じた支援をしている
口腔ケアの重要性を理解し、本人の習慣や有
する力を活かしながら食後のうがいや口の中の
手入れの支援をしていくことが必要です。口の
中の手入れは、長年の本人の習慣が大きく影響
しますが、利用者の力を引き出しながら口腔内
の清潔保持に努めていくことが求められます。77(28)
しろまる栄養摂取や水分確保の支援
食べる量や栄養バランス、水分量
が一日を通じて確保できるよう、
一人ひとりの状態や力、習慣に応
じた支援をしている
カロリーの過不足や栄養の偏り、
水分不足が起
こらないよう、職員全員が知識や意識を持ち、利
用者一人ひとりが暮らし全体を通して必要な食
事や水分がとれるように支援していくことが大
切です。
78 しろまる感染症予防
感染症に対する予防や対応の取り
決めがあり、実行している(イン
フルエンザ、疥癬、肝炎、MRS
A、ノロウイルス等)
主な感染症(インフルエンザ、疥癬、白癬、
MRSA、結核、その季節や地域で流行してい
る感染症等)に関して、事業所として具体的な
予防策、早期発見・早期対応策が必要です。全
職員がこれらについて繰り返し学ぶ機会を持ち
ながら、実際の対応ができるよう徹底を図って
いくことが求められます。保健所や他の事業所
と連絡を密にし、感染症の流行や対応策につい
ての情報を得る努力も必要です。 3579 しろまる食材の管理
食中毒の予防のために、生活の場
としての台所、調理用具等の衛生
管理を行い、新鮮で安全な食材の
使用と管理に努めている
新鮮で安全な食材の使用や台所の衛生管理
の方法は、当然のことのようであっても、職員
一人ひとりの考え方に違いがあったり実行にズ
レが生じることもあります。神経質なルールは
必要ありませんが、暮らしの場で清潔・衛生を
保つための管理方法を取り決め、実行すること
が大切です。新鮮で安全な食材の使用も望まれ
ます。
2.その人らしい暮らしを支える生活環境づくり
(1)居心地のよい環境づくり
80 しろまる安心して出入りできる玄関まわ
りの工夫
利用者や家族、近隣の人等にとっ
て親しみやすく、安心して出入り
ができるように、玄関や建物周囲
の工夫をしている
利用者や家族、
近隣の住民等の視点に立って、
違和感や威圧感がないような配慮が必要です。
特に、利用者にとって暮らしの場所として安堵
感を持ってもらえるように、利用者や家族等、
地域の人たちの感想や意見を参考にしながら、
玄関周りや建物周囲の工夫を行っていくことが
大切です。81(29)
しろまる居心地のよい共用空間づくり
共用の空間(玄関、廊下、居間、
台所、食堂、浴室、トイレ等)は、
利用者にとって不快な音や光がな
いように配慮し、生活感や季節感
を採り入れて、居心地よく過ごせ
るような工夫をしている
共用生活空間(玄関、廊下、居間、台所、食堂、
浴室、トイレ等)は、安らぎ居心地よく過ごせる
ように、また自宅の延長として、自分の力でその
人らしく過ごせる場となるような工夫と配慮が
必要です。職員は自らの五感を活かすとともに、
利用者一人ひとりの感覚や価値観を大切にしな
がら、
利用者にとって居心地のよい場を整えてい
くことが大切です。
82 しろまる共用空間における一人ひとりの
居場所づくり
共用空間の中には、独りになれた
り、気の合った利用者同士で思い
思いに過ごせるような居場所の工
夫をしている
少人数であっても集団での生活は気持ちが
落ち着かず、特に、認知症の人はそのことが不
安やストレスの原因となることもあります。人
の気配が感じられる空間の中で、1 人になれる
ちょっとしたスペースや、2、3 人で過ごせるよ
うな家具の配置等の工夫が必要です。 3683(30)しろまる居心地よく過ごせる居室の配慮
居室あるいは泊まりの部屋は、本
人や家族と相談しながら、使い慣
れたものや好みのものを活かし
て、本人が居心地よく過ごせるよ
うな工夫をしている
共同生活の中で個室の意味は大きく、
居心地よ
く、
プライバシーを大切に安心して過ごすための
環境作りの工夫が大切です。グループホームで
は、利用者一人ひとりの居室を、小規模多機能で
は宿泊用の部屋について確認します。
84 しろまる換気・空調の配慮
気になるにおいや空気のよどみが
ないよう換気に努め、
温度調節は、
外気温と大きな差がないよう配慮
し、利用者の状況に応じてこまめ
に行っている
事業所内の気になるにおいや空気のよどみ
が見過ごされず、また、利用者にとって快適な
温度・湿度調整がなされることが必要です。
不適
切な換気や空調は、利用者の気分が落ち込んだ
り、動揺を招いたり、また、体調の乱れや外出
をためらう原因にもなりかねません。一人ひと
りの状態や反応を見ながら、できるだけ自然環
境に近い換気・空調の管理が求められます。
(2)本人の力の発揮と安全を支える環境づくり
85 しろまる身体機能を活かした安全な環境
づくり
建物内部は一人ひとりの身体機能
を活かして、安全かつできるだけ
自立した生活が送れるように工夫
している
高齢や認知症がある利用者にとって、ふつう
に暮らせる環境は、安心して自分から動き出す
ための大切な条件です。原則的なバリアフリー
や一律の福祉機器等での対応ではなく、生活の
場としての設えが大切です。一人ひとりの身体
機能の状態に合わせた危険の防止や自分の力を
活かして動けることを支えるための個別の設備
や道具の工夫がなされているかを確認します。
86 しろまるわかる力を活かした環境づくり
一人ひとりのわかる力を活かし
て、混乱や失敗を防ぎ、自立して
暮らせるように工夫している
職員にとっては何でもない建物の設備や物
品に対して、利用者は認識間違いや判断ミスを
起こすことが少なくありません。また、思いが
けない物によって不安や混乱、失敗等に陥るこ
ともあります。一人ひとりのわかる力を見極め
て、不安や混乱、失敗を招くような環境や物品
についての検討し、利用者の認識間違いや判断
ミスを最少にする環境面での工夫がなされてい
るかを確認します。 3787 しろまる建物の外周りや空間の活用
建物の外周りやべランダを利用者
が楽しんだり、活動できるように
活かしている
建物の外回りやベランダ等の空間は、利用者
の力を活かすための作業や楽しみの場として活
用することができます。利用者の馴染みの暮ら
し方や希望、有する力を活かして、植木の手入
れや水やり、洗濯物や日向ぼっこ等ができるよ
う、玄関先や庭、ベランダ等を活かしていくこ
とが大切です。 388.外部評価項目の考え方の指針と着眼点(
「考え方の指針」は再掲)
I.理念に基づく運営
1.理念の共有
1.(1) 地域密着型サービスとしての理念
地域の中でその人らしく暮らし続けることを支えていくサービスとして、事業所独自の理
念をつくりあげている
(注)枠内の番号は自己評価の項目番号、 ( )内は外部評価項目番号。以下同様。
[考え方の指針]
事業所の理念は、その事業所がめざすサービスのあり方を端的に示したものであり、
事業所全体として質の確保に取り組む上での根本的な考え方です。事業所として明確
な理念が必要であり、地域密着型サービスの役割を考えながらその事業所としての理
念をつくりあげていることが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 地域密着型サービスとしての理念の内容
利用者が地域の中でその人らしく暮らし続けることを支えていくサービスとして、
平成 18 年の改正介護保険法で新設された地域密着型サービスの役割を理解し、果たす
べき役割を反映した理念の内容になっていることが求められます。
⇒小規模多機能:運営基準において「家庭的な環境と地域住民との交流の下で」とい
う基本方針が明示されています(平成 18 年厚生労働省令第 34 号第 62 条)。⇒グループホーム:これまでのグループホームの基本方針にある「家庭的な環境の下
で」
(平成 11 年厚生労働省令第 37 号第 156 条)
という表現は、
制度改正により
「家
庭的な環境と地域住民との交流の下で」
(平成 18 年厚生労働省令第 34 号第 89 条)
に改められ、
小規模多機能と同様、
地域との関係性が重視されるようになりました。
これまでの理念に加えて、地域密着型サービスとしての役割を目指した内容となっ
ていることが求められます。
しろまる 事業所が独自でつくりあげた理念
理念が他の事業所の写しであったり、母体組織の理念そのままではなく、地域密着
型サービスとして何が大切かを各事業所で考え、独自に作りあげてきた理念であるこ
とが大切です。一度作ったままでなく、地域や利用者のニーズ、事業所の状況の変化
によって現状にあった理念に作り変えていくことも必要です。 392.(2) 理念の共有と日々の取り組み
管理者と職員は、理念を共有し、理念の実践に向けて日々取り組んでいる
[考え方の指針]
理念は実践に活かされてこそ意味があります。理念を掲げただけにせず、日々の中
で管理者と職員が理念を共に意識しながら話し合い、実践が理念にもとづいたものに
なるように日常的に取り組んでいることが必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 理念の共有
立場や経験に関わらず、パート職員も含め事業所で働く職員一人ひとりが、事業所
の理念の中身を知っており、何を大切に利用者に向き合うか、日々の中で話し合いや
確認がなされていることが大切です。
しろまる 日々の実践の中で活かす理念
管理者と職員は、日々利用者に関わる際に、理念を具体化していくことを意識して
取り組むことが必要です。 402.地域との支えあい
5.(3)地域とのつきあい
事業所は孤立することなく地域の一員として、自治会、老人会、行事等、地域活動に
参加し、地元の人々と交流することに努めている
[考え方の指針]
利用者一人ひとりが地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所がその基
盤を築いていくことが大切です。そのためには、事業所自体が地域から孤立すること
なく、地域の一員として地元の活動や地域住民との交流に積極的に取り組んでいくこ
とが望まれます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 利用者が地域で暮らし続けるための基盤作り
利用者の多くは、地域とのつながりが少なくなりつつあります。地域密着型サービ
スは利用者が地域とつながりながら暮らしていくことを積極的に支えていくサービス
です。その基盤をつくるために、まずは事業所が地域から孤立することなく受け入れ
られ、地域活動や人々との関わりを積極的にもつ努力が求められます。
しろまる 地域の一員としての取り組み
地域との交流を事業所にとって必要な時だけ行うのではなく、ともに暮らす地域住
民の一員として、地域で必要とされる活動や役割を担っていく努力が求められます。 413.理念を実践するための制度の理解と活用
7.(4)評価の意義の理解と活用
運営者、管理者、職員は、自己評価及び外部評価を実施する意義を理解し、評価を
活かして具体的な改善に取り組んでいる
[考え方の指針]
評価を形式的な作業に終わらせず、評価のねらいや活用方法を全職員が理解するよ
うに努めながら、評価の一連の過程を通じて質の確保・向上につなげていくことが重
要です。職員が評価に前向きに取り組んでいくためには、運営者、管理者が評価の意
義や活かし方を職員に判りやすく伝え、具体的に活用していく姿勢を示すことが大切
です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 評価のねらいや活用方法についての全職員の理解
評価は職員が全員で取り組むことで実施した際に最大の効果をもたらすことがで
きます。
「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」第 72
条第 2 項及び第 97 条第 7 項等に規定する自己評価・外部評価の実施等について」(平成 18 年 10 月 17 日付老計第 1017001 号厚生労働省老健局計画課長通知)にも、評価
は全職員で取り組むべきことが明示されています。評価を活かしていくためには、ま
ずねらいや活用方法をしっかりと理解することが大切です。
しろまる 評価の一連の過程を通じての質の確保
評価は、一連の過程を通して職員の意識あわせ、振り返りや見直し等を行うことが
可能です。年1回の評価を計画的・継続的に取り組み、事業所の質の確保に最大限に
活かしていくことが大切です。
しろまる 運営者、管理者の評価に取り組む姿勢
職員が評価に前向きに取り組むか否かは、上に立つ人の姿勢で大きく左右されます。
評価を円滑に、かつ実りあるものにするためには、運営者や管理者から評価に積極的
に取り組み、サービスの質の確保に活かしていこうとする姿勢が求められます。 428.(5)運営推進会議を活かした取り組み
運営推進会議では、利用者やサービスの実際、評価への取り組み状況等について報
告や話し合いを行い、そこでの意見をサービス向上に活かしている
[考え方の指針]
運営推進会議では、報告や情報交換にとどまらず、話し合いを通じて会議メンバー
から率直な意見をもらい、それをサービス向上に具体的に活かしていくことが重要で
す。評価の取り組みや評価後の改善への取り組みを、運営推進会議でモニターしても
らうなど、運営推進会議と評価を結びつけ、質確保を図っていくことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 運営推進会議への積極的な参加への呼びかけ
運営推進会議は、利用者、家族等、地域住民、地域包括支援センターや行政の職員
等、幅広い立場の人が参加する会議とし、参加メンバーの人々が運営推進会議の意義
や役割等を十分に理解して、積極的に参加してもらえるよう働きかけていくことが大
切です。
しろまる 運営推進会議メンバーの意見の反映
運営推進会議は、外部の人々の目を通して事業所の取り組み内容や具体的な改善課
題を話し合ったり、地域の理解と支援を得るための貴重な機会です。運営推進会議の
メンバーからいかに多くの率直な意見をひきだし、改善に向けた具体的な取り組みに
つなげていけるか、事業所側の姿勢が運営推進会議メンバーの参加意欲にも反映され
ていきます。
しろまる サービス評価と運営推進会議を結びつける取り組み
運営推進会議に自己評価の内容を説明すること、外部評価の結果を先ず公表するこ
とが必須です。年に 1 回の評価の効果をより高めるためには、取り組みや改善経過の
モニター役が必要です。運営推進会議はまさにその適役です。評価と運営推進会議を
それぞればらばらに考えるのではなく、一体的に活かしていくことで相乗効果が期待
できます。 439.(6)市町村との連携
事業所は、市町村担当者と運営推進会議以外にも行き来する機会をつくり、市町村
とともにサービスの質の向上に取り組んでいる
[考え方の指針]
市町村担当者に事業所の考え方、運営や現場の実情等を積極的に伝える機会を作り、
考え方や運営の実態を共有しながら、直面している運営やサービスの課題解決に向け
て協議し、共に取り組んでいくことが必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 市町村担当者への事業所からの積極的な情報提供と共有
新しいサービスである地域密着型サービスでは、事業所も市町村も考え方や運営・
サービスについて試行錯誤しながら、よりよいあり方を模索しています。現場や利用
者の課題解決のためには、
市町村の理解や支援など必要なことが多く、
そのためには、
まず、考え方や実態を市町村担当者によく知ってもらい、考え方や実態を共有してい
くことが大切です。
しろまる 課題解決に向けた協働
事業を行っていく上で生じる運営やサービスの課題の中には、市町村担当者と協議
しながら一緒に解決を図っていく必要がある場合が少なくありません。事業所だけで
抱え込まずに、市町村担当者とともに課題解決を図っていく取り組みが大切です。
担当者が変わっても、関係づくりを積極的に行い、協働関係を継続していくことが
望まれます。 444.理念を実践するための体制
14.(7)家族等への報告
事業所での利用者の暮らしぶりや健康状態、金銭管理、職員の異動等について、家
族等に定期的及び個々にあわせた報告をしている
[考え方の指針]
家族等の安心を確保し、事業所との信頼や協力関係を築くためには、事業所からの
積極的な報告が不可欠です。家族等が知りたい点を考慮しながら、定期的な報告はも
ちろん、本人や家族等の状況に合わせて、個別の報告を徹底することが重要です。報
告を丁寧に行っていくことで、家族から要望や本音を伝えてもらうことにもつながり
ます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 家族等への積極的な報告
地域密着型サービスでは、個々の家族等とのきめ細かいやりとりがよりよいサービ
スの鍵となります。そのために、定期的な報告の他にも事業所から家族等に対し、あ
らゆる接点で情報提供を積極的に行うことが大切です。
少人数の顔の見える関係を活かして、例えば以下のような家族等と接する場面を、
情報提供の機会としていくことが大切です。
⇒小規模多機能:通いの送迎や訪問時に家族と顔を合わせる機会をとらえて
⇒グループホーム:家族が訪ねて来た機会をとらえて 4515.(8)運営に関する家族等意見の反映
家族等が意見、不満、苦情を管理者や職員ならびに外部者へ表せる機会を設け、そ
れらを運営に反映させている
[考え方の指針]
サービスの質の確保・向上のためには、家族等の率直な意見や不満、苦情を前向き
に活かす姿勢や体制を組織として徹底させることが重要です。地域密着型サービスで
は、家族等と職員が顔の見える関係を作りやすいという特徴がある反面、率直な意見
等を言い難い状況も生まれます。家族等が意見・不満・苦情を職員はもちろん外部者
に安心して表せる機会を積極的につくっていくことも大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 家族等が職員に、意見・不満・苦情等を表せる機会づくり
意見等を気軽に伝えられるような機会をつくっているか、個々の利用者の家族等の
立場に立った確認が必要です。家族は、意見や不満、苦情を言い出し難いということ
を理解し、職員や事業所側から意見等を積極的に聴く努力や場面作りが求められます。
しろまる 外部者に安心して意見等を表せる機会づくり
運営推進会議、市町村の相談窓口や相談者など、事業所以外の外部の人に家族等が
意見・苦情を表せる機会や場があることを繰り返し説明することが大切です。
その際、
形式的に伝えるのではなく、家族等の立場にたった説明が必要です。
しろまる 家族等の意見・不満・苦情を運営に反映させていく取り組み
意見・苦情は事業所にとって大切な宝です。家族等から得られた意見等を、サービ
スに反映させていく具体的な取り組みについて振り返ります。外部者の意見や苦情等
を前向きに受け止め、活かしていく事業所の姿勢が重要です。 4618. (9) 職員の異動等による影響への配慮
運営者は、利用者が馴染みの管理者や職員による支援を受けられるように、異動や
離職を必要最小限に抑える努力をし、代わる場合は、利用者へのダメージを防ぐ配
慮をしている
[考え方の指針]
サービスの質の確保の核心の一つは、利用者と職員の馴染みの関係づくりにありま
す。馴染みの関係を保つことを重視し、職員の配置異動や離職に対応していくことが
必要です。やむを得ず職員が交代する場合は、利用者へのダメージを最少にするため
の検討が行われ、関係者やケアの継続のための取り組みが求められます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 職員の異動・離職を最小限に抑えるための対応
事業所側の都合で職員の異動が優先されていないかの確認が必要です。利用者と職
員との馴染みの関係を重視し、異動や離職を最小限に抑えるための具体的な努力や工
夫が求められます。
しろまる 職員交代による利用者のダメージを防ぐ取り組み
職員が交代する場合、利用者個々に対しての影響を十分検討する必要があります。
交代前後の利用者への説明や対応の仕方、新しい職員への引継ぎ方などの実際を確認
します。頻繁な職員交代については、家族等が不安や不満を持ちやすい部分であり、
家族等への配慮も含めた対応が必要です。 475.人材の育成と支援
19.(10)職員を育てる取り組み
運営者は、管理者や職員を段階に応じて育成するための計画をたて、法人内外の研
修を受ける機会の確保や、働きながらトレーニングしていくことを進めている
[考え方の指針]
運営者が職員育成の重要性を認識し、全ての職員が地域密着型サービスの従事者と
して質を向上させていけるよう、各自の立場、経験や習熟度の段階に応じた学びの機
会を事業所として計画的に確保する必要があります。事業所内外の研修とともに、職
員が働きながら技術や知識を身につけていくための方策を工夫しているかも確認し
ます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 職員育成についての運営者の認識と具体的方針
地域密着型サービスの質は、非常勤やパート職員も含む個々の職員の質によって成
り立っています。運営者は、職員の質の確保・向上に向けた育成が不可欠であること
を理解し、育成を具体化する方針や姿勢が重要です。
しろまる 職員各自に応じた段階的・計画的な学びの機会の確保
全職員が一律ではなく、各職員が自らの立場・経験・地域密着型サービスについて
の理解や実践の習熟度等に応じて、段階的に力をつけていけるような事業所としての
計画が必要です。限られた職員体制の中で、実務に支障を来たさないように研修機会
を確保するためには、職員と十分話し合いながら、年間計画の中で研修を位置づけて
いく運営面での工夫が求められます。
しろまる 働きながらの職員育成
徹底した個別対応や柔軟な支援が求められる地域密着型サービスの実践力を身に
つけていくためには、研修の機会に加え、職員が日々の体験を学びにつなげていくた
めの「働きながらの学び」の機会が必要です。現場で共に考え助言する人材を、組織
の内部に確保する、あるいは定期的に外部者に入ってもらうなどの工夫が求められま
す。 4820.(11)同業者との交流を通じた向上
運営者は、管理者や職員が地域の同業者と交流する機会を持ち、ネットワークづくり
や勉強会、相互訪問等の活動を通じて、サービスの質を向上させていく取り組みをし
ている
[考え方の指針]
事業所の質の確保のためには、他法人の同業者との交流や連携が不可欠であること
を運営者が認識し、管理者や職員が地域の同業者とネットワークづくりや勉強会、相
互評価などを通じて交流や連携を行えるような具体的な取り組みが必要です。同業者
との交流を強化することは、職場内では行き詰まっている日頃の仕事の悩みの解消や
緊急時の連携をスムーズにするなど、事業所や地域全体としてのサービス水準の向上
につながります。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 同業者との交流についての運営者の認識と具体的方針
事業者団体や都道府県単位・市町村単位の連絡会などサービスの質を向上させてい
く目的で結成されている会への積極的参加も必要です。同業者、特に他法人の事業者
との交流や連携の必要性を運営者が認識し、それを具体化するための方針や姿勢を示
しているかの確認が必要です。
しろまる 同業者との交流・連携の取り組み
管理者・職員が地域の同業者と交流する機会があるか、
形式的な交流ではなく、
日々
のサービスや職員育成に役立つ実践的な交流や連携となっているかが大切です。 49II.安心と信頼に向けた関係づくりと支援
1.相談から利用に至るまでの関係づくりとその対応
26.(12)馴染みながらのサービス利用
本人が安心し、納得した上でサービスを利用するために、サービスをいきなり開始する
のではなく、職員や他の利用者、場の雰囲気に徐々に馴染めるよう家族等と相談しな
がら工夫している
[考え方の指針]
馴染みの関係ができないまま、いきなりサービスの利用を開始することは、本人に
様々なダメージをもたらす危険があります。地域密着型サービスの特徴を活かして、
サービス利用開始前から本人が職員や他の利用者、サービスの場に徐々に馴染み、安
心し納得しながらサービスを利用できるよう、段階的な支援の工夫を家族等と共に行
っていくことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 相談から利用に至るまでの利用者の視点での対応
地域密着型サービスの利用者は認知症の人が多く、本人自身が気持ちを伝えること
が困難です。利用者一人ひとりが安心してサービスを利用できるよう、相談の時点か
ら利用に至るまで、利用者の視点に立って柔軟に支援していくことが大切です。
しろまる 地域密着型サービスの特徴を活かした馴染みながらの利用
地域密着型サービスは、利用者が事業所と同一自治体の住民であること(比較的近
距離に居住)
、職員が利用者本位に柔軟な働き方をする等の特徴があります。この特
徴を活かし、利用開始前に職員が会いに行ったり、事業所に来てもらい短時間でも過
ごすなど、本人が職員やサービスの場に徐々に馴染みながら本格的な利用に移ってい
けるよう支援することが大切です。
しろまる 本人の安心と納得を大切にした利用の支援
サービスを納得して利用できるまで時間がかかる方は多数おられますが、サービス
利用の主体は本人です。家族等の状況で利用が急がれる場合も、本人の安心と納得の
確保がその後のスムーズな利用のためにも不可欠です。家族等と十分に話し合いなが
ら、本人と家族等にあった個別の利用開始の調整を行っていくことが必要です。 502.新たな関係づくりとこれまでの関係継続への支援
27.(13)本人と共に過ごし支えあう関係
職員は、本人を介護される一方の立場におかず、一緒に過ごしながら喜怒哀楽を共
にし、本人から学んだり、支えあう関係を築いている
[考え方の指針]
地域密着型サービスは、本人が地域の中でその人らしく暮らし続けることを支援す
るサービスであり、職員と本人は「介護する-される」といった一方的な縦の関係を
脱して、人として「共に過ごし、学び、支えあう」関係を築くことが重要です。一緒
に過ごし喜怒哀楽を共にする関係は、孤独に陥りがちな利用者の安心と安定を生み出
し、本来の個性や力、どう暮らしていきたいかの意向を知るためにも不可欠であり、
地域密着型サービスの根幹となる関わりです。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 「介護する-される」一方的な縦の関係の見直し
方針としてのみではなく、実際の関わりの中で一方的な関係になってしまっている
ことがないか、日々の生活場面の中での確認が必要です。
しろまる 「一緒に過ごし、学び、支えあう」関係
職員がただ傍についているのではなく、利用者の喜怒哀楽に関心を寄せながら一緒
に過ごすことが大切です。認知症の有無や身体状態のいかんに係わらず、一人ひとり
の言動から分かり合える(学ぶ)こと、支え、支えられることを日常の中でつくって
いくことが必要です。 51III.その人らしい暮らしを続けるためのケアマネジメント
1.一人ひとりの把握
33.(14)思いや意向の把握
一人ひとりの思いや暮らし方の希望、意向の把握に努めている。困難な場合は、本人
本位に検討している
[考え方の指針]
利用者がその人らしく暮らし続ける支援に向けて、利用者一人ひとりの思いや希望、
意向等の把握が不可欠です。
「聞いても実現は困難」とみなしたり、認知症の利用者
の場合「認知症だから聞くのは無理」と決め付けるのではなく、職員全員が一人ひと
りの思いや意向について関心を払い、把握しようと努めることが大切です。把握が困
難であったり不確かな場合、関係者で本人の視点に立って意見を出し合い、話し合っ
ていく取り組みが必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 一人ひとりの思い・希望・意向の把握
地域密着型サービスの特徴である少人数の馴染みの関係を活かして、一人ひとりの
思い・暮らし方の希望、意向の把握に努めているかを確認します。
しろまる 把握が困難な場合の話し合い
利用者によっては、思いや暮らし方の希望、意向等を明確に把握できないこともあ
ります。しかし、曖昧なままにしたり、一部の人の意見や考え方で決め付けられてし
まうことがないよう、本人の今やこれまでのことをよく知っている人々が、
「本人は
どうか」という視点に立って話し合っていくことが大切です。 522.本人がより良く暮らし続けるための介護計画の作成と見直し
36.(15)チームでつくる利用者本位の介護計画
本人がより良く暮らすための課題とケアのあり方について、本人、家族、必要な関係者
と話し合い、それぞれの意見やアイディアを反映した介護計画を作成している
[考え方の指針]
地域でその人らしく暮らし続けることを支えていくための個別の介護計画が必要
です。介護する側にとっての課題ではなく、本人がよりよく暮らすための課題やケア
のあり方について、本人そして本人をよく知る関係者の気づきや意見、アイディアを
出し合い、話し合った結果をもとに介護計画を作っていくことが大切です。家族の現
状や意向も当然大切にしながら、本人がより良く暮らす支援として何が必要か、家族
と共に本人本位の検討を行うことが必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 地域でその人らしく暮らし続けるための個別の介護計画
サービスや介助項目を羅列した介護計画ではなく、利用者の視点に立って地域でそ
の人らしく暮らし続けるために、必要な支援を盛り込んだ個別の具体的な介護計画が
必要です。
しろまる 本人の意向やアイディアを反映しながらの計画作成
本人が暮らしていくための介護計画であり、
「本人に聞いても無理」
と決め付けず、
計画について本人と話し合い、意向やアイディアを反映させていく取り組みが大切で
す。
しろまる 家族や関係者の気づきや意見、アイディアを反映しながらの本人本位の計画作成
本人をよく知る家族や関係者と本人本位で話し合い、気づき、意見・要望を反映し
た介護計画の作成が求められます。 5337.(16)現状に即した介護計画の見直し
介護計画の期間に応じて見直しを行うとともに、見直し以前に対応できない変化が生
じた場合は、本人、家族、必要な関係者と話し合い、現状に即した新たな計画を作成
している
[考え方の指針]
介護計画は設定された期間ごと、あるいは本人、家族の要望や変化に応じて、現場
で実践的な対応ができる介護計画になるよう見直しが大切です。小規模できめ細かい
ケアが特徴の地域密着型サービスでは、
期間にとらわれず、
変化に応じて本人、
家族、
必要な関係者と話し合い、臨機応変に見直していくことが必要です。
なお、本人や家族等からの新たな要望や状況の変化がないようでも、毎月新鮮な目
で見直す取り組みをしていくことが望まれます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 現状に即した介護計画の見直し
本人および家族の状況は刻々と変化しており、現状と介護計画がかみ合っていない
状況が起きがちです。設定した期間での見直しはもちろん、介護計画で対応できない
本人、家族の要望や変化が生じた場合には、実情に応じたケアにつながるように介護
計画の見直しが必要です。特に、小規模多機能型居宅介護では、介護計画策定時に柔
軟かつ臨機応変な対応ができる計画をつくることが大切です。
しろまる 話し合いに基づく臨機応変な見直し
介護計画の書面の書き換え以前に、まずは小規模の特徴を活かし、本人、家族、関
係者らが話し合う機会を作り、その時々の気づきや意見を最大限反映させながら臨機
応変に介護計画を変更していくことが大切です。
しろまる 新たな要望や変化が見られない場合の見直し
安定しているような利用者の場合も、月に 1 回程度は、新鮮な目で本人や家族の今
の意向や状況を確認すると共に、ケア関係者の最新の情報や気づき、ケアのアイディ
アを集めて、実情に即した、あるいは変化の兆しに予防的に対応していくための介護
計画の見直しが望まれます。 543.多機能性を活かした柔軟な支援
39.(17)事業所の多機能性を活かした支援
本人や家族の状況、その時々の要望に応じて、事業所の多機能性を活かした柔軟な
支援をしている
[考え方の指針]
利用者や家族の状況や意向は固定したものではなく、
常に変化しています。
その時々
の本人と家族の状況や要望に向き合い、暮らしを守るためにその時々に必要な支援を
事業所の多機能性を活かして柔軟に行っていくことが求められています。単にサービ
スの組み合わせとしての多機能ではなく、本人と家族の暮らしを守るための多機能と
なっているかを確認します。
ここでいう事業所の多機能性とは、1事業所が指定を受けている介護保険のサービ
ス、および2事業所が独自に実施している自主サービスの両者を含めたサービス(機
能)を指します(次頁の図参照)
。なお、同一法人の他事業所が実施するサービスは含
みません。
[ 着 眼 点 ]
しろまる利用者・家族にとっての多機能性
多機能性とは、事業所として多種類のサービスを有していることに意義があるので
はありません。また、利用者に複数のサービスを単に組み合わせて提供することでも
ありません。あくまでも、利用者と家族が安心して暮らし続けていくために必要な多
様な支援(機能)を、介護保険サービスや自主サービスを活かしながら事業所としてい
かに提供していくか、前向きに模索しながら支援していくことに意味があります。
グループホームで、認知症対応型通所介護、短期利用型共同生活介護、医療連携体
制加算の指定を受けていない場合であっても、地域住民や利用者が求める多機能性に、
事業者としてどのように対応や配慮をしているか検討をしてみる項目です。
しろまる 本人と家族の暮らしの継続性を守るための多機能性を活かした柔軟な支援
利用者と家族の日々変化する状況や重度化していく状況、要望に応じて、必要な時
に必要なサービスを、臨機応変かつ柔軟に馴染みの職員が提供していくことが求めら
れます。 55⇒小規模多機能:
「通い」をベースにしながら、自宅で支えが必要な時に、馴染みの
職員が出向いて(訪問)の柔軟な支援
緊急時等、自宅で介護が困難な時に、
「宿泊」等での柔軟な支援
⇒グループホーム:認知症対応の居住環境や職員の機能を活かして
・自宅で暮らす認知症の利用者に
認知症対応の居住環境や職員によるデイサービス
緊急時等、自宅で介護が困難な時に、馴染みの環境と職員による
ショートステイ
自宅での生活が限界になった時に、馴染みの職員のいる馴染みの環
境への緩やかな住み替えの支援
・グループホームに居住する利用者に
医療連携体制を活かしてその利用者にとって負担となる受診や入
院の回避、早期退院の支援、医療処置を受けながらの生活の継続、
重度化した場合や終末期の入院の回避
図:地域密着型サービスの多機能性
自 宅 居 住 者 等 グループホーム居住者
*共用型認知症対応型通所介護
介護予防認知症対応型通所介護
認知症対応型共同生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護
共用型デイサービス
ショートステイ
*短期利用共同生活介護 *医療連携体制加算
居住・共同生活介護
24時間健康管理・医療
活用の強化例:食事サービス
配食サービス
特別な外出の支援
移送サービス 等例:特別な外出の支援
移送サービス
外泊支援 等介護保険サービス自主サービス
小規模多機能事業所の
多機能性
「*」は、認知症対応型共同生活介護事業所が指定等を受けて行う事業および加算例:食事サービス
配食サービス
訪問サービス
特別な外出の支援
移送サービス 等
グループホーム事業所の多機能性
小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
通い
宿泊
訪問 564.本人がより良く暮らし続けるための地域資源との協働
43.(18)かかりつけ医の受診支援
本人及び家族等の希望を大切にし、納得が得られたかかりつけ医と事業所の関係を
築きながら、適切な医療を受けられるように支援している
[考え方の指針]
本人が馴染みの医師よる継続的な医療を受けられるよう、また状況に応じて本人や
家族が希望する医師による医療を受けられるように支援する必要があります。これま
でのかかりつけ医を基本としつつ、やむなく事業所の協力医療機関等の医師をかかり
つけ医とする場合は、あくまでも本人と家族の同意と納得が必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 馴染みのかかりつけ医や希望する医療機関・医師の把握と受療支援
これまでの一人ひとりの受療状況を把握し、本人・家族等が希望する医療機関・医
師に受診できるよう支援することが求められます。通院支援のしやすさ等、事業所の
都合が優先されていたり、本人や家族との相談の結果ではない一律の受診となってい
ないか確認が必要です。
しろまる 適切な受療に向けたかかりつけ医との関係づくり
定期的な受診のほか、利用者の変化や健康面で心配事がある場合、その都度相談で
きる関係を持っていることが大切です。家族等と相談しながら、利用者それぞれのか
かりつけ医と話し合いや情報のやりとりを通して、関係を築いているか確認します。
しろまる 通院介助等を行う際の情報交換
通院の仕方や受診結果の報告のあり方について、本人・家族等の納得を得られる対
応ができるよう十分な話し合いを行い、受診結果に関する情報の共有ができているか
を確認します。 5747.(19)重度化や終末期に向けた方針の共有
重度化した場合や終末期のあり方について、できるだけ早い段階から本人や家族等
ならびにかかりつけ医等と繰り返し話し合い、全員で方針を共有している
[考え方の指針]
重度化した場合や終末期のあり方、事業所の対応について、できるだけ早期から本
人、家族等、かかりつけ医等ケア関係者と話し合いを繰り返し、その時々の本人・家
族の意向を確認しながら、対応方針の共有を図っていくことが重要です。開設したば
かりの事業所や運営方針として重度者や終末期の人をサービス対象としていない事
業所の場合でも、同様の対応が必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる早期からの話し合いと関係者全体の方針の統一
本人および家族等の大きな関心と不安のひとつが、重度化した場合の対応のあり方
です。本人、家族等、かかりつけ医や看護師等、そして事業所側の考え方や意向がず
れたまま重度化の時期を迎えることのないよう、できるだけ早期から話し合いの機会
を作り、関係者全体の方針の統一を図っていくことが重要です。
また、終末期における医療処置の対応についても、関係者等が方針や支援の具体的
内容を話し合っていくことが求められます。
しろまる状況変化に応じた繰り返しの話し合いと段階的な合意の必要性
一度方針を決めても、本人と家族の思いは常に揺れ動きます。本人と家族の安心と
納得を得られるように、本人や家族、事業所側の状況の変化のたびに、話し合いを繰
り返す積み重ねが必要です。
しろまる重度化に対応しない事業所の場合
開設したばかりの事業所や運営方針として、重度者や終末期の人を対象にしていな
い場合でも、利用者や家族が安心してサービスを利用できるように、また、日常の健
康管理や急変時に対応できるよう話し合いと方針の統一が求められます。 58IV.その人らしい暮らしを続けるための日々の支援
1. その人らしい暮らしの支援
(1) 一人ひとりの尊重
50.(20)プライバシーの確保の徹底
一人ひとりの誇りやプライバシーを損ねるような言葉かけや対応、記録等の個人情報
の取り扱いをしていない
[考え方の指針]
一人ひとりの誇りを尊重し、プライバシーの確保を徹底していくことは、利用者の
尊厳と権利を守るための基本であり必須の事項です。しかし、実際には守り通すこと
が難しい事項であり、運営者、管理者、常勤職員はもとよりパート職員も含めた全職
員が、プライバシー確保について常に具体的に確認し合うことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 一人ひとりの誇りやプライバシーを損ねるような言葉かけを全職員がしないことの徹底
職員が利用者に向けて発している言葉の内容や語調等が、利用者の誇りを傷つけた
り、プライバシーを損ねるものになっていないか、日常的な確認と改善に向けた事業
所全体での取り組みが必要です。
しろまる 個人情報保護法の理解や情報の漏洩防止
地域密着型サービスは地域に開かれ、地域に密着しつつも、対人サービスを携わる
者として、注意深く扱うべきプライバシーの保護の徹底や個人情報の漏洩防止が責務
となっています。全ての職員が、個人情報保護法の理解に努め、秘密保持の徹底が図
られているかを確認します。 5952.(21)日々のその人らしい暮らし
職員側の決まりや都合を優先するのではなく、一人ひとりのペースを大切にし、その日
をどのように過ごしたいか、希望にそって支援している
[考え方の指針]
一人ひとりの生活のリズムやその日に本人がしたいと思っていることを大切にし、
日々の暮らしがその人らしいものとなるような支援が求められます。事業所の都合や
決まりごとに利用者を合わせるのではなく、職員が利用者に合わせていく姿勢や実践
が重要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる本人が望む過ごし方の支援
本人が主体となってその人らしい生活ができることが基本です。本人が今日をどう
過ごしたいか、一人ひとりのその日の望みを知ることを大切にし、それに応じて柔軟
に支援するように努めることが重要です。
しろまる本人のペースの尊重
職員の都合によるスケジュールに利用者の生活を合わせるのではなく、一人ひとり
が本来持っているペースや、望んでいるペースに合わせた暮らしの支援が実際になさ
れているかを確認します。利用者一人ひとりのペースを守るため、日々の中で職員同
士が工夫していくことが大切です。 60(2) その人らしい暮らしを続けるための基本的な生活の支援
54.(22)食事を楽しむことのできる支援
食事が楽しみなものになるよう、一人ひとりの好みや力を活かしながら、利用者と職員
が一緒に準備や食事、片付けをしている
[考え方の指針]
運営者や職員は、食事は利用者にとって力の発揮や参加、他の利用者や職員との関
係作りなどの点から、暮らし全体の中でも重要な位置にあります。食事一連の作業を
利用者とともに職員が行い、一緒に食事を味わいながら利用者にとって食事が楽しい
ものになるような支援が必要です。給食や配食サービスの利用、弁当の購入等の提供
形態が固定化されている場合は、運営面も含めた見直しが求められます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる食事に関する一連の作業を通じた利用者の力の発揮
地域密着型サービスならではの暮らしの場面として、買い物、調理、食事、後片付
けなどを、利用者個々の力を活かしながら職員が一緒に行うことが大切です。利用者
の中には、見守りや支えがあれば力を発揮できることがたくさんあります。それは、
張り合いや自信、楽しみや喜びとなり、心身の力の維持や向上にもつながります。た
だし、これらの作業を指示や義務でやってもらうのではなく、その人がそのことをや
ってみたいという前向きな意思や気持ちを引き出すような声かけや場面作りの工夫
が大切です。
しろまる美味しいものを楽しく食べる
食事は単に食欲や栄養を満たすだけではなく、その人に喜びや楽しみをもたらしま
す。旬の食材や新鮮なものを採り入れ、利用者の好みや苦手なものを踏まえたメニュ
ーを工夫し、利用者と職員が同じ食卓を囲んで同じものを楽しく食べることが大切で
す。食事を楽しむために、外食や店屋物等の配達などをうまく取り入れることも大切
ですが、毎日、給食や配食サービスなどを利用している場合は、
「食」を通じた様々
な取り組みを活かすためにも、見直しが求められます。 6157.(23) 入浴を楽しむことができる支援
曜日や時間帯を職員の都合で決めてしまわずに、一人ひとりの希望やタイミングに合
わせて、入浴を楽しめるように支援している
[考え方の指針]
利用者の入浴は、事業所が決めた曜日や時間帯に合わせるのではなく、一人ひとり
の生活習慣やその時々の希望を大切にした支援が求められます。職員のローテーショ
ン等で困難な場合もありますが、それがあたり前になっていないか、個別支援の可能
性がないか、利用者に無理強いをするのではなく、一人ひとりの意向を第一にくつろ
いだ気分で入浴できるよう支援していくことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 本人の意向にそった入浴の支援
入浴という行為は、
特に利用者の習慣や希望に多様性があり、
それを活かすことが、
本人や家族の安心と満足、スムーズで安全な入浴、体調の改善、入浴場面での本人の
力の発揮等につながります。本人や家族から一人ひとりの習慣や好みをよく聴いて、
相談しながら個別にあった入浴の支援を行っているかを確認します。
しろまる羞恥心・恐怖心・負担感等への配慮
入浴は、衣服を人に脱がされたり、裸になることへの不安や羞恥心、恐怖心、湯に
入ることへの負担感や抵抗感を想像以上にもたらします。そのことを職員全員が理解
し、利用者を脅かさない入浴支援が行われているかを確認します。特に、異性の職員
が介護を行っている場合、個々の利用者への配慮が重要です。 62(3) その人らしい暮らしを続けるための社会的な生活の支援
59.(24)役割、楽しみごと、気晴らしの支援
張り合いや喜びのある日々を過ごせるように、一人ひとりの生活歴や力を活かした役
割、楽しみごと、気晴らしの支援をしている
[考え方の指針]
日々の暮らしが楽しみや張り合いのあるものになるよう、また、潜在している記憶
やできる力を最大限活かして自分らしく暮らせるよう、一人ひとりに合った役割や楽
しみ、気晴らしの支援が求められます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 役割、楽しみごとの場面づくり
年齢を重ねたり認知症が進む過程で、利用者は自分ひとりで楽しみごとや役割の場
面をうまく作れなくなっていきます。しかし、体で覚え込んだ記憶(いわゆる昔とっ
た杵柄)は豊富であることが多く、それは重度であっても同様です。たとえ、見てい
るだけでも楽しい気持ちになったり活力が出たりすることもあるので、利用者の豊か
な暮らしを支えるために、一人ひとりの役割、楽しみごと等を作り出す職員の働きか
けが重要です。
しろまる 本人の気持ちや力を活かした場面づくり
一見、楽しんでいたり出番で役割を果たしているように見えても、職員側がプログ
ラムした内容を利用者にさせている段階にとどまり、本来の楽しみや役割のある暮ら
しにはなっていない場合が少なくありません。習慣、希望、有する力を踏まえて、何
がその人の役割、楽しみごとになり得るかを把握し、支援することが重要です。
しろまる活力を引き出す楽しみごとや役割
毎日の暮らしを共にする中で、一人ひとりにあった楽しみや役割を見つけてその支
援をしていくことが重要です。そうした場面を通じて、見違えるように自分らしい姿
を蘇らせ、本人や家族の喜びや今後に向けた希望につながる人も多く見られます。そ
の姿にふれることを通して、職員の仕事のやりがいを育て、
「してあげる介護」から
「本人が生きることへの支援」という本来の関わりのあり方、ケアのあり方への気づ
きを深めていくことにもつながる重要な項目です。 6361.(25)日常的な外出支援
事業所の中だけで過ごさずに、一人ひとりのその日の希望にそって、戸外に出かけら
れるよう支援している
[考え方の指針]
利用者が事業所の中だけで過ごさずに、日常的に外出できるような個別の支援を工夫
することが大切です。
重度の利用者も外出が困難とみなさずに、
本人が戸外で気持ちよ
く生き生きと過ごせるような工夫が求められます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる これまでの生活の継続として捉える外出
外出はその人らしく暮らし続ける支援のために重要であり、これまで通り外にでか
けることを当たり前のこととして支援していくことが大切です。また、本人の楽しみ
や喜び、力の発揮の場面になると同時に、これまで培ってきた本人にとっての大切な
人や地域との関係の継続にもつながります。さらに、外出は地域の人々の理解と協力
を得ていくためにも重要です。
しろまる 気分転換やストレスの発散、五感刺激の機会としての外出の活用
利用者は、屋内だけで過ごすとストレスがたまりやすく、周辺症状の増悪や体調不
良に陥りやすい特徴があります。職員も屋内に閉じこもったままの状態では、ストレ
スを蓄積しやすく、不適切なケアにつながりやすい傾向があります。
短時間でも戸外に出る機会を作るとともに、外出場面を利用者と職員両方にとって
の気分転換やストレスの発散、五感刺激を得られる貴重なチャンスとし日々の中で活
かしていくことが大切です。
しろまる 利用者本位の外出支援
職員側の都合を優先したり、外出する利用者、時間帯、行き先などが固定化してい
ないかを振り返ります。その日の利用者の状態や本人の習慣、有する力、希望、季節
や地域のその時々の状況に応じて、一人ひとりが外出を楽しめる支援に取り組んでい
くことが重要です。利用者が重度化している場合でも同様であり、本人にあわせた移
動の配慮をしながら外出を支援していくことが大切です。 64(4) 安心と安全を支える支援
66.(26)鍵をかけないケアの実践
運営者及び全ての職員が、居室や日中玄関に鍵をかけることの弊害を理解しており、
鍵をかけないケアに取り組んでいる
[考え方の指針]
日中、鍵をかけられ外に出られない状態で暮らしていることの異常性と個々の利用
者にもたらす心理的な不安・閉塞感、家族や地域の人々にもたらす印象等のデメリッ
トを運営者と全職員が認識することが重要です。利用者の安全を確保しながら、日中
鍵をかけないですむ工夫に取り組んでいくことが求められます。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 鍵をかけない暮らしの大切さについての認識
「危ないから」
「不審者進入防止」のために、鍵をかけるという対処が当然のよう
になされていないか、事業所として、また職員個々の意識として問われます。鍵をか
けられ自由に外に出られないことについて利用者個々の立場に立って考え、日中鍵を
かけないで支援していく努力をする意識や姿勢を徹底させていくことが重要です。
しろまる 鍵をかけない工夫
まずは利用者が外に出たくなる場面や理由、行き先などを知ることが大切です。本
人、家族等とも相談し、本人の思いや身体の力を活かしながら、鍵をかけずに安全に
過ごせる工夫を重ねていくことが求められます。 6571.(27)災害対策
火災や地震、水害等の災害時に、昼夜を問わず利用者が避難できる方法を身につ
け、日ごろより地域の人々の協力を得られるよう働きかけている
[考え方の指針]
災害はいつ起こるかわかりません。一人ひとりの利用者の状態を踏まえて、昼夜を
通した災害時の具体的な避難策について検討し、いざという時に慌てず確実な避難誘
導ができるように備えていくことが重要です。職員だけでの誘導の限界を踏まえて、
地域の人々や他の事業所の協力が実際に得られるように、日ごろから話し合いを行い、
一緒に訓練を行うなど実践的な取り組みが必要です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 災害を想定した実践的な訓練
災害はいつ、どの時間帯に起きるかわかりません。昼夜を通じて様々な発生時間を
想定し、
具体的な避難誘導策を決めておく必要があります。
災害も火災、
地震、
台風、
水害、大雪など、地域に応じて具体的な想定が必要です。いざという時に慌てず確実
な避難誘導ができるように、職員と利用者が一緒に、年間を通じた訓練を繰り返すこ
とが大切です。
しろまる 地域の協力体制
職員だけでの誘導の限界を具体的に確認し、日ごろより、地域住民や警察署、消防
署等との連携を図りながら、事業所の災害時対策に関する理解を求め、協力体制を築
いていくことが必要です。また、事業者間で災害時対策に関する話し合いや具体的な
支援体制の整備に取り組むことも重要です。
しろまる 災害に備えた備品等の準備
火災や地震、水害等の発生時に備えて、食料や飲料水、トイレ(排泄)
、寒さをし
のげるような物品等を準備しておくことも大切です。 66(5) その人らしい暮らしを続けるための健康面の支援
77.(28)栄養摂取や水分確保の支援
食べる量や栄養バランス、水分量が一日を通じて確保できるよう、一人ひとりの状態
や力、習慣に応じた支援をしている
[考え方の指針]
カロリーの過不足や栄養の偏り、水分不足が起こらないよう、職員全員が知識や意
識を持ち、利用者一人ひとりが暮らし全体を通して必要な食事や水分がとれるように
支援していくことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 好みのもの、馴染みのもの、本人にとって美味しいものを食べる支援
栄養摂取や水分補給を画一的に行うのではなく、一人ひとりにあった支援を工夫し
ていくことが大切です。ふだんから利用者の食べ物・飲み物の好みや苦手なものをと
らえるなど、生活習慣や日頃の様子を観察しながら柔軟な支援を日常的に積み上げて
いくことが、飲食量の低下を防ぎ、いざ低下した場合も個別支援の基礎となります。
しろまる一日全体を通じた食事量・バランス、飲水量の確認
おやつや補食も含めて、利用者一人ひとりが一日全体で、栄養や飲水量がどの程度
とれているのか、
おおよその量を、
職員全員が常に意識しながら関わることが大切です。
しろまる暮らし全体を通した個別の食の支援
むせたり、飲み込みが悪くなったり、病気等で普通の食事が食べられない利用者に
ついても、安易に人工的な栄養補給に頼らないことが大切です。体調や運動量、食べ
るタイミング、介助の方法や食器の工夫等、暮らし全体を通じて食欲を促し、食が進
むように工夫し続けることが望まれます。
家族、職員間で情報や気づき、アイディアを出し合い、本人の食生活を様々な面か
ら共に支援していくことが必要です。 672.その人らしい暮らしを支える生活環境づくり
(1) 居心地のよい環境づくり
81.(29)居心地のよい共用空間づくり
共用の空間(玄関、廊下、居間、台所、食堂、浴室、トイレ等)は、利用者にとって不
快な音や光がないように配慮し、生活感や季節感を採り入れて、居心地よく過ごせる
ような工夫をしている
[考え方の指針]
共用生活空間(玄関、廊下、居間、台所、食堂、浴室、トイレ等)は、安らぎ居心
地よく過ごせるように、また自宅の延長として、自分の力でその人らしく過ごせる場
となるような工夫と配慮が必要です。職員は自らの五感を活かすとともに、利用者一
人ひとりの感覚や価値観を大切にしながら、利用者にとって居心地のよい場を整えて
いくことが大切です。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 居心地のよい空間づくりの工夫と配慮
利用者が多くの時間を過ごす共用空間が、個々の利用者の居心地のよい場所、安心
感のある場所になるよう工夫されていることが必要です。利用者の家での過ごし方、
馴染みのものなどを知り、それらの情報を活かしながら、居場所が居心地よく、自分
なりの活動がしやすくなるような工夫や配慮が大切です。
運営者や職員の感覚や好み、価値観で決めてしまわずに、利用者や家族、近所の人
や運営推進会議のメンバー、外来者の感想や気づきを常に聴きながら、場の手入れを
していくことが大切です。
しろまる 五感刺激への配慮
色、光、陰、広がり、音、におい、味、手触り、空気の流れなど、五感刺激への配
慮が必要です。普通の人には何でもない音や光の刺激が、認知症の人のストレスにな
ることも多く、利用者を脅かしていないか、全職員が日常的に注意を払うことが求め
られます。居心地のよさや心身の活力を引き出すために、生活感や季節感のあるもの
をうまく活用しながら暮らしの場を整えていくことも大切です。 6883.(30)居心地よく過ごせる居室の配慮
居室あるいは泊まりの部屋は、本人や家族と相談しながら、使い慣れたものや好みの
ものを活かして、本人が居心地よく過ごせるような工夫をしている
[考え方の指針]
共同生活の中で個室の意味は大きく、居心地よく、プライバシーを大切に安心して
過ごすための環境作りの工夫が大切です。グループホームでは、利用者一人ひとりの
居室を、小規模多機能では宿泊用の部屋について確認します。
[ 着 眼 点 ]
しろまる 居室の環境づくり
グループホームの居室の環境づくりは、自宅との違いによる不安やダメージを最少
にするために、使い慣れた馴染みの物を傍に置いておくなど本人や家族と相談しなが
ら個別に応じた工夫をすることが求められます。
小規模多機能の宿泊室は、専有の場ではないことから、部屋全体が落ち着ける空間
に設える必要があります。長期になる場合には、グループホームの居室と同じことが
いえます。
しろまる その人らしい居室づくり
本人の持ち物が少ない、家族の協力が得られない等の場合でも、その条件にとらわ
れず、本人の意向を確認しながら職員がその人らしく居心地のよい居室づくりに取り
組むことが大切です。
⇒小規模:長期の泊まりはもとより、短期の泊まりであるならばなおさら、自宅との
環境のギャップを感じさせない工夫が求められます。
⇒GH:居室に物があるかどうかではなく、馴染みの物を活かしてその人らしく過ご
せる部屋にすることが大切です。

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