【風水害対策編】第5部


風水害等対策編 第5部 火山災害対策
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第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
第2章 火山災害応急対策
第3章 火山災害復旧・復興
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
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第1章 火山災害予防
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
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本計画では、鶴見岳・伽藍岳、由布岳、九重山のうち硫黄山及び大船山並びに阿蘇中岳で想定さ
れている噴石・降灰・土石流・火砕流・溶岩流・火山ガスの滞留などによる多数の遭難者、行方不
明者死傷者等の発生といった火山災害に対して、防災関係機関が実施する予防、応急及び復旧・復
興の各対策について定めるものとする。
なお、この計画に定められていない事項については、本編の前述の計画によるものとする。
1 火山防災体制の整備等の取り組み
(1)火山防災協議会での検討事項
県は、国、市町村、公共機関、専門家等と連携し、火山活動が活発化した場合の総合的な
避難等の火山防災対策を平常時から共同で検討するため平成 28 年7月に設置した鶴見岳・火山
防災協議会及び平成 28 年9月に設置した九重山火山防災協議会において、住民等(住民(住民、観
光客、通過者、集客施設や避難促進施設の管理者・従業員、一時立入者等、居住地域にいるすべての
者を指す。以下同じ。)及び、登山者等(登山者、観光客、通過者、集客施設や避難促進施設の管理
者・従業員、一時立入者等、居住地域にいるすべての者を指す。以下同じ。)を指す。以下同じ。)
の避難に関する次の事項について共同検討を行い、具体的な避難計画の検討、防災訓練や住民説明会
の実施等を関係機関と共同で推進する。
・噴火シナリオ、火山ハザードマップ、噴火警戒レベル、具体的な避難計画及び防災訓練等の一連の警
戒避難体制の整備に関する事項
・大分県防災会議が法第5条2項の規定により同条第1項各号に掲げる事項について定める際の意見聴
取に関する事項
・市町村の防災会議が活動火山対策特別措置法第6条第3項の規定により同条第1項各号に掲げる事項
について定める際の意見聴取に関する事項
・これらのほか、火山防災協議会の目的を達成するために必要な事項(避難指示、警戒区域の設定等の
防災対応に関する検討及び関係市町への助言に関することを含む。)
また、発災後に関係者を迅速に招集し、救助部隊の活動基準を検討するため連絡体制の整備を行
うものとする。
火山災害の想定に当たっては、古文書等の資料の分析、火山噴出物の調査、火山地形等の
調査などの科学的知見に基づく調査を通じて、過去の災害履歴等を調査するものとする。な
お、
火山活動の現状や推移に関する総合的な評価を行う火山調査研究推進本部と連携するも
のとする。
(2)情報の収集・連絡体制の整備
大分地方気象台、県、市町村及び公共機関等の防災関係機関は、それぞれの機関及び機関相
互間において情報の収集・連絡体制の整備を図るとともに、その際の役割・責任等の明確化に
努める。また、夜間、休日の場合等においても対応できる体制の整備を図る。
火山防災協議会は、観光施設などの事業所の職員、登山ガイド、関係機関等(環境省くじゅ
う管理官事務所、林野庁大分森林管理署及び大分西部森林管理署等)に協力を依頼(必要に応
じて協定等を締結)し、
「火山情報連絡員」の登録を促進するとともに、火山防災協議会ごとに
必要な研修等を実施する。
また、
火山情報連絡員等からの異変情報を迅速に気象台
(福岡管区・
大分地方)へ伝達する流れ(連絡網)を整備する。
県は、火山災害発生時に山頂付近の被災者情報を収集するために、登山者カードの集計・報
告、民間施設等による情報収集・連絡体制を整備する。
(3)防災知識の普及・啓発、訓練
大分地方気象台は、県、市町村及び公共機関等の防災関係機関と連携し、火山に関する知
識や火山噴火の特性、噴火警報等の解説、噴火警報発表時のとるべき行動、噴火に伴い発生
する津波に対する防災行動など、
住民等に対して火山防災に関する知識の普及・啓発を図る。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
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県及び市町村は、火山防災協議会における検討を通じて、各火山の特性を考慮し、噴火警
報等の解説など防災上必要な情報が記載された火山防災マップ等を活用し研修の実施や、防災週間、火山防災の日、防災関連行事等を通じて住民等に対して防災知識の普及・啓発に努
める。
県及び市町村は、家屋等が被災した場合、復旧に要する費用が多額にのぼるおそれがある
ことから、被災した場合でも、一定の保証が得られるよう住民の地震保険・共済への促進に
努める。
(4)火山観測体制・施設の充実・強化
福岡管区気象台及び県は、火山防災体制の強化に資するよう火山観測体制・施設の充実・
強化を引き続き推進する。
(5)住民等の避難誘導体制
県及び市町村は、火山防災協議会における検討を通じて避難開始時期、避難対象地域、避
難先、避難経路・手段を定める具体的で実践的な避難計画の作成及び住民への周知徹底に努
める。
ア 市町村が定める避難場所、避難経路
(ア)避難場所、避難所
市町村は、次の事項に留意し、施設の管理者の同意を得て、地域の実情に応じ、地区
ごとに避難場所、避難所を指定するとともにその整備に努める。
この場合、過去の災害の状況や新たな知見等を踏まえ、避難場所、避難所の指定につ
いて、必要に応じて随時見直しを行う。
県は、必要に応じて関係機関等と連携し、市町村が行う避難場所、避難所の指定及び
整備について、技術的な助言をするなど支援に努める。
避難場所、避難所は、避難場所・避難所の指定条件(第 2 部第 3 章第 1 節 7 緊急避
難場所及び避難所)に準じて指定するほか、以下の事項に留意する。
・火山災害に対する避難場所は、火山現象(降灰を除く。
)の影響を受けない所で、か
つ、住民等が短時間で避難が可能な場所とする。
・大量の降灰を想定して堅固建物の確保に努める。
・予想される噴石・降灰・土石流・火砕流・溶岩流・火山ガス等の火山現象による災
害を想定し、実態に即した避難場所、避難所を指定する。市町村地域防災計画に定め
るにあたっては、風水害や地震時の避難場所との区別を明らかにする。
(イ)避難経路
市町村は、次の事項に留意し、地域の実情に応じ、地区ごとに住民等の安全を考慮し
た避難経路を指定するとともに整備に努める。
この場合、過去の災害の状況や新たな知見等を踏まえ、避難経路の指定について、必
要に応じて随時見直しを行う。
県は、必要に応じて関係機関等と連携し、市町村が行う避難経路の指定及び整備につ
いて、技術的な助言をするなど支援に努める。
・市町村の長は、住民等が速やかかつ安全に避難できるように、原則として避難経路
が相互に交差しないこと、車両の使用による渋滞予測など避難手段ごとの避難に要す
る時間、噴石・降灰・土石流・火砕流・溶岩流・火山ガス等の火山現象の危険性など
を考慮して、できる限り火山災害の影響を受ける部分を通過しない道路を避難経路と
してあらかじめ指定する。
・また、通行不能となった場合の代替経路の確保が可能な道路、道路付近に危険物施
設がない道路を指定する。
・県及び市町村の長は、交通規制の箇所、手段等について公安委員会及び道路管理者
と事前に十分な協議を行う。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
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イ 登山者等への配慮
登山者の避難に関しては以下に配慮するものとする。
なお、登山者等の安全対策については、避難計画に基づいて実施するものとする。
(ア)登山者等への普及啓発
県、市町村及び関係機関は、自ら、もしくは観光関係の事業者等を通じて、火山地域
を訪れる登山者等に対して防災知識の普及啓発を図るとともに、火山防災マップ等を通
じて、火山災害についての知識の普及を図る。
また、周辺の店舗、宿泊施設及び観光施設等不特定多数が利用する施設に、火山防災
マップや啓発用ポスターの掲示並びに登山者等向けの異常現象や噴火発生時等の対応措
置を示したパンフレット等を常置するよう努める。
さらに、火山の危険性の知識の少ない外国人観光客の安全確保を図るため、日本語以
外のハザードマップ、パンフレット等について作成するよう努める。
市町村及び消防機関は、登山者等がホテル、旅館等宿泊施設や観光施設等を利用してい
る時の安全確保を図るため、これら不特定多数が利用する施設の管理者に対して、防災
計画の策定や避難訓練等を実施するよう指導に努める。
(イ)登山届提出の周知
県及び市町村は、火山災害発生時に登山者など火山に立ち入る者の円滑かつ迅速な避
難の確保と救助活動を実施するため、登山届(計画書)等の提出について周知・啓発を
図るとともに、火口周辺施設との連携等により、登山者等の情報の把握に努めるものと
する。
また、ITを用いた登山届の仕組みを活用するなど、登山者等が情報の提供を容易
に行うことができるよう必要な配慮をするとともに、火山地域全体での一体的な運用を
図るよう努めるものとする。県は次の取り組みを進める。
・ホームページやリーフレットによる啓発の強化
・登山届の届出ポストを各記帳台に設置
・行政の登山イベントや学校行事等における登山届提出の徹底を依頼
(ウ)入山規制の事前対策
市町村は、
登山者等の立入りが多い火山において、
火山活動の状況に応じ、
登山規制、
立入規制等の措置を速やかにとることができるよう、あらかじめ実施体制について関係
機関と協議しておくとともに、看板や規制杭・封鎖用ロープ等の機材の整備に努める。
(エ)情報伝達手段の整備
県、市町村及び関係機関は、登山者等への噴火警報等の伝達をより確実にするため、
サイレン、緊急速報メール、民間施設の管理者等を介した情報伝達など、地域の状況を
踏まえながら、情報伝達手段の多様化を図る。
また、県、市町村及び関係機関は、火山現象の発生時における登山者等の円滑かつ迅
速な避難の確保を図るため、登山者等に関する情報の把握に努めなければならない。
県は次の取り組みを進める。
・ヘリコプターによる重点呼びかけエリアの設定等を検討
・登山口等へ、安心・安全メール登録のためのQRコード掲示板設置を検討
・山小屋や観光施設等との情報提供に関する協力体制を構築
(オ)その他警戒避難に関する事項
県、市町村及び関係機関は、登山者等の安全確保を図るため、次の対策を事前に実施
する。
・火山における救助活動に必要となる火山ガス検知器の配備に努める。
・噴火災害から登山者等を守るため、防災用品(ヘルメット等)の配備に努める。
・避難施設の整備等に係る検討などについて情報共有を図る。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第1章 火山災害予防
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ウ 広域避難
火山災害の影響範囲が大きい市町村においては、近隣市町村と避難者の受入れに係る協
定を予め締結するなどにより、避難所の確保を図る。
県は市町村の区域を越えた避難に関して、受入可能市町村の避難所数及び避難所の収容
人数、他市町村への避難者の移動手段の調整等の市町村間の調整といった必要な支援を事
前に行うものとする。なお、他市町村に避難所を確保する場合には、努めて幹線道路沿い
に指定する。
広域避難者は同一県内の他市町村で受け入れることを基本とするが、受入避難所の収容
可能数の不足や火山活動等の状況等から、隣接県への避難が必要となった場合には、県が
広域避難者の受入れを要請する。ただし、被災等により隣接県も受入れが困難な場合は、
国や全国知事会を通じて他の都道府県への受入れを要請する。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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第2章 火山災害応急対策
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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1 組織計画
(1)基本方針
火山災害に備え、県、関係市町村、防災関係機関においては迅速・的確に対処するための防
災活動組織を整備する。
(2)県の組織
ア 組織体制の基準
「第3部第2章第1節 組織」による。
イ 組織体制
(ア)災害対策連絡室体制
災害対策連絡室体制においては、以下の活動を行う(「第3部 第2章 第1節 組織」
を参照。)
・噴火予報、噴火警報等の伝達(伝達方法については「3 気象庁が発表する火山情報に
関する情報の収集・伝達」による。)
・災害情報の収集
災害対策連絡室は、大分地方気象台、市町村、消防本部、警察本部、地区災害対策連絡
室等から火山災害に関する情報を入手し、必要に応じて関係課等へ伝達する。
・被害の未然防止、拡大防止のための呼びかけ
振興局及び土木事務所は、必要に応じて、火山災害の危険地域に所在する所管施設に火
山災害への注意を呼びかける。
・市町村の行う被害の未然防止、拡大防止のための呼びかけへの協力
振興局、保健所及び土木事務所は、市町村の行う呼びかけに、必要応じて、車両や人員
等の協力を行う。
特に、保健所は、要配慮者への呼びかけに留意するよう市町村に助言し、必要に応じて
自ら呼びかけを行う。
・県災害対策本部の設置に関する事前準備
県災害対策本部の設置が予想される場合は、速やかに本部の設置に移行できるよう準備
を行う。
・その他の活動が必要とされる場合は、他節又は他章の定めるところに準じる。
*地区災害対策連絡室は、
特に火山災害の可能性を有する以下の5つの振興局に設置する。
・東部振興局
・中部振興局
・西部振興局
・豊肥振興局
・北部振興局
(イ)警戒本部体制
「第3部第2章第1節 組織」による。
(ウ)災害対策本部体制
「第3部第2章第1節 組織」による。
ウ 市町村、その他の防災関係機関の組織
市町村その他の防災関係機関においても、それぞれ火山対策のために必要な組織を確立す
る。
エ 関係機関の活動調整のための組織
県は必要に応じて、火山災害対策を進めるため、必要と認める範囲の火山防災協議会構成
員又は幹事会構成員などに出席を求めて合同連絡会議を開催し、必要な調整を行う。
2 動員配備
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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県における動員配備は「第3部第2章第2節 動員配備」のとおりとし、市町村その他の防災
関係機関においてもそれぞれ所要の動員配備体制を確立することとする。なお、警察職員の招集
及び参集については、大分県警察における災害警備実施に関する規程に定めるところによるもの
とする。
3 気象庁が発表する火山現象に関する情報の収集・伝達
(1)基本方針
福岡管区気象台気象防災部地域火山監視・警報センターは、噴火警報・予報等の火山に関す
る情報の提供を行う。火山現象により重大な災害が起こるおそれのあるときは、その旨を警告
する噴火警報を発表し、県は、関係機関、及び住民等に対し迅速かつ的確に伝達するものとす
る。
(2)噴火警報・予報等の発表基準
噴火警報・予報は、全国 111 の活火山を対象として発表しており、本県では、鶴見岳・伽藍
岳、由布岳、九重山が対象となる。
噴火速報の発表は、活火山が対象で、平成 27 年 8 月から運用を開始している。
ア 噴火警報(居住地域)
・噴火警報(火口周辺)
・噴火警報(周辺海域)
福岡管区気象台気象防災部地域火山監視・警報センターが、噴火に伴う生命に危険を及ぼ
す火山現象(大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等、発生から短時間で火口周辺や居住地
域に到達し、避難までの時間的猶予がほとんどない火山現象)の発生やその拡大が予想され
る場合に、
「警戒が必要な範囲」
(生命に危険を及ぼす範囲)を明示して発表する。警戒が必
要な範囲に居住地域が含まれる場合は「噴火警報(居住地域)」、含まれない場合は「噴火警
報(火口周辺)」、影響が海域に限られる場合は「噴火警報(周辺海域)
」として発表する。噴
火警報(居住地域)は、警戒が必要な居住地域を含む市町村に対する火山現象特別警報に位
置づけられる。
イ 噴火予報
福岡管区気象台気象防災部地域火山監視・警報センターが、火山活動の状況が静穏である
場合、あるいは火山活動の状況が噴火警報には及ばない程度と予想される場合に発表する。
ウ 噴火速報
噴火の発生事実を迅速に発表する情報で、噴火速報は以下のような場合に発表する。
・噴火警報が発表されていない常時観測火山において、噴火が発生した場合
・噴火警報が発表されている常時観測火山において、噴火警戒レベルの引き上げや警戒が
必要な範囲の拡大を検討する規模の噴火が発生した場合((注記))
・このほか、社会的な影響が大きく、噴火の発生を速やかに伝える必要があると判断した
場合
(注記)噴火の規模が確認できない場合は発表する。
なお、噴火の発生を確認するにあたっては、気象庁が監視に活用しているデータだけでな
く、関係機関からの通報等も活用する。
エ 降灰予報
噴火発生後、どの地域にどれだけの降灰があるかの情報を提供する。また、活動が活発化して
いる火山では、現在噴火が発生したと仮定した場合に予想される降灰の範囲を提供する。降灰
量を降灰の厚さによって「多量」、「やや多量」、「少量」の3段階に区分してそれぞれの階
級における「降灰の状況」と「降灰の影響」及び「とるべき対応行動」を示す。
(ア)降灰予報(定時)
噴火警報発表中の火山で、噴火の発生にかかわらず活動の状況に応じて一定規模の噴火
を仮定して定期的に発表する。18 時間先までに噴火した場合に予想される降灰範囲や小さ
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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な噴石の落下範囲を提供
(イ)降灰予報(速報)
降灰予報(定時)を発表中の火山では「やや多量」以上が予測された場合、降灰予報(定
時)を未発表の火山では、予測された降灰量が「少量」のみであっても必要に応じて発表。
噴火発生から 1 時間以内に予想される降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を提供
(ウ)降灰予報(詳細)
噴火の観測情報を用いて、より精度の高い降灰予測を発表。降灰予報(定時)を発表中
の火山では「やや多量」以上が予測された場合、降灰予報(定時)を未発表の火山では、
予測された降灰量が「少量」のみであっても必要に応じて発表。噴火発生から 6 時間先ま
で(1 時間ごと)に予想される降灰量分布や降灰開始時刻を提供。
オ 火山ガス予報
居住地域に長時間影響するような多量の火山ガスの放出がある場合に、火山ガスの濃度が
高まる可能性のある地域を発表する予報。
カ 火山現象に関する情報等
噴火警報・予報、噴火速報、降灰予報及び火山ガス予報以外に、火山活動の状況等をお知
らせするための情報等で、気象庁(福岡管区気象台)が発表する。
(ア) 火山の状況に関する解説情報
火山性地震や微動の回数、噴火等の状況や警戒事項を取りまとめたもので、定期的また
は必要に応じて臨時に発表する。
臨時に発表する際は、火山活動のリスクの高まりが伝わるよう、臨時の発表であること
を明示し、発表する。
(イ)火山活動解説資料
地図や図表等を用いて火山活動の状況や警戒事項を詳細に取りまとめたもので、毎月又
は必要に応じて臨時に発表する。
(ウ)月間火山概況
前月一ヶ月間の火山活動の状況や警戒事項を取りまとめたもので、毎月上旬に発表する。
全国版及び各地方版が公表される(大分県は「九州地方の火山」)。
(エ)地震・火山月報(防災編)
月ごとの地震・火山に関連した各種防災情報や地震・火山活動に関する分析結果をとり
まとめたもので、全国版が公表される。
(オ)噴火に関する火山観測報
噴火が発生したときに、発生時刻や噴煙高度等の情報を直ちに発表する。おおむね 30
分以上、連続的に継続している噴火については、その状態が継続している場合には「連続
噴火継続」
、停止した場合には「連続噴火停止」と発表される。
(3)噴火警戒レベル
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災関係機関や住民等
の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標である。各火山の火山防災協議会に
おける発表基準や避難対象地域等の共同検討を通じて、噴火警戒レベルに応じた「警戒が必要
な範囲」と「とるべき防災対応」を設定し、噴火警戒レベルは運用される。大分県及び近隣の
活火山の噴火警戒レベル運用状況、及び噴火警報・予報の名称、発表基準、噴火警戒レベル等
の一覧、
並びに九重山
(平成 19 年 12 月運用開始)、鶴見岳・伽藍岳
(平成 28 年 7 月運用開始)
の噴火警戒レベルを次に示す。
大分県及び近隣の活火山の噴火警戒レベル運用状況
区分 火山名
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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噴火警戒レベルが運用されている火山 九重山、鶴見岳・伽藍岳、阿蘇山
噴火警戒レベルが運用されていない火山 由布岳
噴火警報・予報の名称、火山活動の状況、噴火警戒レベル等の一覧
(噴火警戒レベルが運用されている火山の場合)
種別 名称 対象範囲 火山活動の状況
噴火警戒
レベル
(警戒事項等)特別
警報
噴火警報
(居住地域) 又は
噴火警報
居住地域及びそれよ
り火口側
居住地域に重大な被害を及ぼ
す噴火が発生、
あるいは切迫し
ている状態と予想される場合
レベル5
(避難)
居住地域に重大な被害を及ぼ
す噴火が発生する可能性が高
まってきていると予想される
場合
レベル4
(高齢者等
避難)
警報
噴火警報
(火口周辺)又は
火口周辺警報
火口から居住地域近
くまでの広い範囲の
火口周辺
居住地域の近くまで重大な影
響を及ぼす
(この範囲に入った
場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、
あるいは発生すると
予想される場合
レベル3
(入山規制)火口から少し離れた
所までの火口周辺
火口周辺に影響を及ぼす
(この
範囲に入った場合には生命に
危険が及ぶ)噴火が発生、ある
いは発生すると予想される場合レベル2
(火口周辺
規制)
予報 噴火予報 火口内等
火山活動は静穏。
火山活動の状態によって、
火口
内で火山灰の噴出等が見られる(この範囲に入った場合には
生命に危険が及ぶ)
レベル1
(活火山で
あること
に留意)
(噴火警戒レベルが運用されていない火山の場合)
種別 名称 対象範囲 火山活動の状況
警戒事項等
(キーワード)特別
警報
噴火警報
(居住地域)又は
噴火警報
居住地域及びそれよ
り火口側
居住地域に重大な被害を及ぼ
す噴火が発生、あるいは切迫
している状況と予想される場合居住地域及
びそれより
火口側の範
囲における
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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厳重な警戒
居住地域
厳重警戒
警報
噴火警報
(火口周辺) 又は
火口周辺警報
火口から居住地域近
くまでの広い範囲の
火口周辺
居住地域の近くまで重大な影
響を及ぼす(この範囲に入っ
た場合には生命に危険が及
ぶ)噴火が発生、あるいは発
生すると予想される場合
火口から
居住地域
近くまで
の広い範
囲の火口
周辺にお
ける警戒
入山危険
火口から少し離れた
所までの火口周辺
火口周辺に影響を及ぼす(こ
の範囲に入った場合には生命
に危険が及ぶ)噴火が発生、
あるいは発生すると予想され
る場合
火口から
少し離れ
た所まで
の火口周
辺におけ
る警戒
火口周辺
危険
予報 噴火予報 火口内等
火山活動は静穏。
火山活動の状態によって、火
口内で火山灰の噴出等が見ら
れる(この範囲に入った場合
には生命に危険が及ぶ)
活火山で
ある
ことに留意九重山の噴火警戒レベル(平成 19 年 12 月 1 日運用開始〔令和 3 年 12 月改定〕)
種別 名称
対象
範囲
レベル
(キーワード)
火山活動
の状況
住 民 等 の 行
動 及 び 登 山
者 ・ 入 山 者
等への対応
想定される現象等
特 別
警報
噴火警報
(居住地
域)又は
噴火警報
居 住 地
域 及 び
そ れ よ
り 火 口側レベル5
(避難)
居住地域に重
大な被害を及
ぼす噴火が発
生、あるいは
切迫している
状態にある。
危 険 な 居 住
地 域 か ら の
避 難 等 が 必
要。
くろまる噴火が発生し、
大きな噴
石や火砕流、
溶岩流が居住
地域に到達、
あるいはその
ような噴火が切迫してい
る。
【過去事例】
1600 年前:黒岳で噴火、
火砕流が火口から2km 以
上、
溶岩流が火口から1km
以上流下
レベル4
(高齢者
等避難)
居住地域に重
大な被害を及
ぼす噴火が発
生すると予想
警 戒 が 必 要
な 居 住 地 域
で の 高 齢 者
等 の 要 配 慮
くろまる噴火活動の活発化がみ
られるなかで、
規模の大き
な地震の増加や膨張を示
す地殻変動、火山ガス(二
酸化硫黄)
の放出量の顕著
な増加など、
マグマ上昇を
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 380 -
される(可能
性が高まって
いる)。
者 の 避 難 、
住 民 の 避 難
準 備 等 が 必
要。
示す現象が発生。
警報
噴火警報
(火口周
辺)又は
火口周辺
警報
火 口 か
ら 居 住
地 域 近
くまで
レベル3
(入山規制)居住地域の近
くまで重大な
影響を及ぼす
(この範囲に
入った場合に
は生命に危険
が及ぶ)噴火
が発生、ある
いは発生する
と 予 想 さ れ
る。
住民は通常の生
活。火口から居
住地域近くまで
の範囲への立入
規制等。状況に
応じて高齢者等
の要配慮者の避
難、住民の避難
準備等が必要。
くろまる想定火口域中心から概
ね2km 以内に大きな噴石
の飛散、またはその可能
性。小規模火砕流の発生。
【過去事例】
有史以降の事例なし
くろまる想定火口域中心から概
ね1.5km 以内に大きな
噴石の飛散、
またはその可
能性。
【過去事例】
有史以降の事例なし
火 口 周辺レベル2
(火口周
辺規制)
火口周辺に影
響 を 及 ぼ す
(この範囲に
入った場合に
は生命に危険
が及ぶ)噴火
が発生、ある
いは発生する
と 予 想 さ れ
る。
住 民 は 通 常
の生活。
火 口 周 辺 へ
の 立 入 規 制
等。
くろまる想定火口域中心から概
ね1km 以内に大きな噴石
の飛散、またはその可能
性。
【過去事例】
1995 年噴火
星生山東山腹でごく小規
模噴火
予報 噴火予報
火 口 内等レベル1
( 活 火 山
であるこ
と に 留意)火山活動は静
穏。
火山活動の状
態によって、
火口内で火山
灰の噴出等が
見られる(こ
の範囲に入っ
た場合には生
命に危険が及
ぶ)。
状 況 に 応 じ
て 火 口 内 へ
の 立 入 規 制
等。
くろまる火山活動は静穏、
状況に
より想定火口域内に影響
する程度の噴出の可能性
あり。
注)ここでいう「大きな噴石」とは、主として風の影響を受けずに飛散する大きさのものとする。
各レベルにおける具体的な規制範囲については、地域防災計画等で定められているので、詳
細については、地元自治体(九重町、竹田市、由布市)に確認のこと。
鶴見岳・伽藍岳の噴火警戒レベル(平成 28 年 7 月運用開始)
種別 名称
対象
範囲
レベル
(キーワード)
火山活動
の状況
住民等の行
動及び登山
者・入山者
等への対応
想定される現象等
特 別
警報
噴火警報
(居住地
居住地域
及びそれ
レベル5
(避難)
3km を超える
居住地域に重
危険な居住
地域からの
くろまる大きな噴石や火
砕流、溶岩流が居
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 381 -
域)又は
噴火警報
より火口側大な被害を及
ぼす噴火が発
生、あるいは
切迫してい
る。
(三次避難区域)避難等が必
要(状況に
応じて対象
地域や方法
を判断)。
住地域に到達、あ
るいは到達する
ような噴火の発
生が切迫してい
る。
【過去事例】
観測事例なし
3km 以内の居
住地域に重大
な被害を及ぼ
す噴火が発
生、あるいは
切迫してい
る。
(二次避難区域)2km 以内の居
住地域に重大
な被害を及ぼ
す噴火が発
生、あるいは
切迫してい
る。
(一次避難区域)レベル4
(高齢者
等避難)
居住地域に重
大な被害を及
ぼす噴火が発
生すると予想
される(可能
性が高まって
いる)。
警戒が必要
な居住地域
での避難の
準備、災害
時要配慮者
の避難等が
必要(状況
に応じて対
象地域や方
法を判断)。
くろまる大きな噴石が火
口から 4 km以内に
飛散する可能性
がある。または、
火砕流、溶岩流が
居住地域付近に
到達するような
噴火の発生が予
想される。
【過去事例】
約 10,500〜7,300 年
前の間に溶岩が約
2.7 km流下
(鶴見岳)
警報
噴火警報
(火口周
辺)又は
火口周辺
警報
火口から
居住地域
近くまで
レベル3
(入山規制)居住地域の近
くまで重大な
影響を及ぼす
(この範囲に
入った場合に
は生命に危険
が及ぶ)噴火
が発生、ある
いは発生する
と予想され
る。
住民は通常
の生活(今
後の火山活
動の推移に
注意。入山
規制)。
状況に応じ
て災害時要
配慮者の避
難準備等が
必要。
くろまる大きな噴石が火
口から概ね 1.5 km
以内に飛散。
くろまる火砕流(低温〜高
温)が火口から概
ね 1.5 km以内に流
下。
【過去事例】
観測事例なし
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 382 -
[レベル5の避難対象居住地域名一覧]
想定火口 市
一次避
難区域
二次避難
区域
三次避難区域
鶴見岳山
頂(地獄
谷赤池噴
気孔付近
を含む)
別府市
東山一区東山一区、
堀田、陸上
自衛隊別
府駐屯地
東山地区(東山一区・東山二区・枝郷・山
の口・城島)
、南立石地区(堀田・南立石 1
区・南立石 2 区・南立石生目町・南立石板
地町・南立石本町・南立石八幡町・南荘園
町・鶴見園町・観海寺)
、陸上自衛隊別府駐
屯地、鶴見地区(扇山・鶴見・荘園)
、大平
山地区(小倉・竹の内・大畑・朝日ヶ丘町)、緑丘地区
(荘園北町・東荘園 1 丁目〜9 丁目・
緑丘町・実相寺)
、西地区(原町・中島町・
光町 1 区・光町 2 区・光町 3 区・朝見 1 丁
目 1 区・朝見 2 丁目・朝見 3 丁目・乙原)、登山者・入
山者は登山
禁止や入山
規制等危険
な地域への
立入規制等
(状況に応
じて規制範
囲を判断)
火口
周辺
レベル2
(火口周
辺規制)
火口周辺に影
響を及ぼす
(この範囲に
入った場合に
は生命に危険
が及ぶ)噴火
が発生、ある
いは発生する
と予想され
る。
住民は通常
の生活。
登山者・入
山者は火口
周辺への立
入規制等
(状況に応
じて火口周
辺の規制範
囲を判断)。
くろまる小噴火が発生し、
大きな噴石が火
口から概ね 1km 以
内に飛散。
くろまる火砕流(低温〜高
温)が火口から概
ね 1 km以内に流
下。
【過去事例】
大きな噴石:867 年
の噴火(伽藍岳)
火砕流:観測事例なし予報 噴火予報 火口内等
レベル1
(活火山
であるこ
とに留意)火山活動は静
穏。
火山活動の状
態によって、
火口内で火山
灰の噴出等が
見られる(こ
の範囲に入っ
た場合には生
命に危険が及
ぶ)。
住民は通常
の生活。
登山者・入
山者は特に
なし(状況
に応じて火
口内への立
入規制等)。
くろまる火山活動は静穏。
状況により火口
内に影響する程
度の噴出の可能
性あり
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 383 -
野口原、青山地区(中央町・西野口町・田
の湯町・上田の湯町・青山町・上原町・山
の手町)
、境川地区の一部(上野口町 1 区・
上野口町 2 区・天満町 1 区・天満町 2 区・
石垣西 1 丁目〜3 丁目)
、野口地区(幸町・
富士見町・野口中町・野口元町 1 区・野口
元町 2 区・駅前本町・駅前町)
、朝日地区の
一部(明礬、湯山、火売、馬場、北中、新
別府)
、春木川地区の一部(春木)
、石垣地
区の一部(南須賀・石垣西 4 丁目〜10 丁目)
由布市
塚原下組地区、塚原中釣地区、塚原中の原
地区、塚原東野地区、塚原温泉
伽藍岳
(爆裂火
口付近の
噴気地帯)別府市
明礬、湯
山、天間、
小倉(ただ
し、九州横
断道路以西)、竹の
内(ただ
し、九州横
断道路以西)朝日地区(明礬・湯山・天間・火売・北中・
鉄輪上・風呂本・御幸・井田・鉄輪東・北
鉄輪・新別府・馬場)
、大平山地区(小倉・
竹の内・大畑・朝日ヶ丘町)
、鶴見地区(扇
山・鶴見・荘園)
、陸上自衛隊別府駐屯地、
南立石地区の一部(堀田)
、緑丘地区(実相
寺・荘園北町・東荘園・緑丘町)
、春木川地
区の一部(中須賀元町・春木・桜ヶ丘)
、上
人地区の一部(亀川四の湯町 2 区・上人西・
上平田町・大観山町)
由布市
塚原中
釣地区、
塚原中
の原地
区、塚原
東野地
区西部
塚原下組
地区
塚原本村地区、塚原雛戸地区
宇佐市
安心院町萱籠、安心院町南畑・安心院町東
椎屋
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 384 -
(4)噴火警報・予報等の伝達
大分地方気象台は、
気象業務法第 11 条及び活動火山対策特別措置法第 12 条の規定に基づき、
福岡管区気象台気象防災部地域火山監視・警報センターが発表する鶴見岳・伽藍岳、由布岳、
及び九重山、並びに阿蘇山に関する噴火警報・予報等を大分県知事へ通報及び防災関係機関へ
伝達する。
大分地方気象台とオンラインで繋がっている機関は、防災情報提供システム(専用線及びイ
ンタ-ネット回線)により、その他の機関においては、テレビ、ラジオ、携帯電話等を通じて
直接入手するものとする。各防災関係機関においては、日頃から噴火警報・予報等の内容に十
分留意し、県民の生命、身体及び財産への被害を最小限とする体制を整える。
県は、防災情報通信システム、FAX 等により、県の出先機関、市町及び消防本部に伝達する。
県、市町及び関係機関は、必要に応じて、おおいた防災アプリ、県民安全・安心メール、防災
ヘリ及び防災行政無線等多様な手段により、住民等への周知を行う。
噴火警報・予報の伝達系統図
注1 二重線で囲まれている機関は、
気象業務法施行令第8条第1号及び第9条の規定に基づく法定
伝達先。
注2 点線の経路は、特別警報が発表された際に、通知もしくは周知の措置が義務付けられている伝
達経路。
注3 太線及び点線の経路は、火山現象警報、火山現象特別警報、火山の状況に関する解説情報(臨
時の発表であることを明記したものに限る。)及び噴火速報が発表された際に、通報又は要請等
が義務づけられている伝達経路。
4 災害が発生するおそれがある異常な現象の通報(災害対策基本法第 54 条)
(1)基本方針
ア 噴火、降灰、鳴動、地温の上昇等災害が発生するおそれがある異常な現象を発見した者は
住民・登山者
九州管区警察局 警察本部 関係警察署 交番・駐在所
福 岡 管 区 気 象 台
気 象 防 災 部
地 域 火 山 監 視 ・
警 報 セ ン タ ー
NTT東日本
NTT西日本
関係市町村 関係機関
携帯電話事業者
避難促進施設
防災関係機関 関係地方事務所
報道機関
NHK大分放送局
大分海上保安部 関係船舶
消防庁
関係指定地方行政機関
関係指定地方公共機関
大分地方気象台県(防災対策企画課)
県関係現地機関
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 385 -
遅滞なく、その旨を市町村長又は警察官若しくは海上保安官に通報しなければならない。
イ 前項の通報を受けた警察官又は海上保安官は、その旨を速やかに市町村長に通報しなけれ
ばならない。
ウ 前2項の通報を受けた市町村長は、その旨を大分地方気象台及びその他の関係機関に通報
しなければならない。
市町村長は、県その他関係機関と連携して迅速・的確な防災体制の確立を図る。
*異常な現象の例
(2)市町村の措置
発見者、警察官、海上保安官から通報を受けた市町村長は、速やかにその概況を把握確認の
うえ、被害を受けるおそれのある地域の住民に周知するとともに、次の関係機関に通報し必要
な措置を求める。
(3)県の措置
市町村からの通報は、生活環境部防災局防災対策企画課で受信し、各部局等に伝達して必要な
措置を求める。また、生活環境部防災局防災対策企画課は、大分地方気象台に通報があった旨
を伝達する。
5 災害情報・被害情報の収集・伝達
噴火が発生した際の災害情報及び被害情報の収集・伝達については、
「第3部第2節第5節 災害情
報・被害情報の収集・伝達」による。発見者市町村長
警察官
海上保安官
県振興局
大分海上保安部
海上保安署、分室
警察署
防災対策企画課
第7管区海上保
安本部
県警察本部大分地方気象台 風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 386 -
6 噴火警戒レベルが事前に引き上げられた場合等の避難対応
(1)九重山に係る噴火警戒レベルが事前に引き上げられた場合
(2)鶴見岳・伽藍岳に係る噴火警戒レベルが事前に引き上げられた場合
種別 名称
対象
範囲
レベル
(キーワード)
実施される規制や防災対応(注 1〜4)
鶴見岳 伽藍岳
特別
警報
噴火警
報(居住
地域)又
は噴火
警報
居住
地域
及び
それ
より
レベル5
(避難)
(三次避難区域)
・火山防災マップ
に示す被害想
定区域で避難
・範囲内の国道
(三次避難区域)
・火山防災マップに示す被害想定区
域で避難
・範囲内の国道 500 号、県道 11 号、
218 号、616 号及び 617 号は通行止
種別 名称
対象
範囲
レベル
(キーワード)
必要な防災対応
特別
警報
噴火
警報(居住地
域)又
は噴
火警報居住地域及びそ
れより
火口側
レベル5
(避難)
危険な居住地域からの避難
レベル4
(高齢者
等避難)
警戒が必要な居住地域での高齢者等の要配慮者の避
難、住民の避難準備。
警報
噴火
警報(火口周
辺)又
は火
口周
辺警報火口か
ら居住
地域近
くまで
レベル3
(入山規制)火口から居住地域近くまで立入禁止。(規制範囲は想
定火口域中心から概ね 1.5 km、火山活動の状況によ
り概ね 2 km)
(規制範囲 2 km)
・法華院温泉、くじゅうヒュッテは避難
・県道 11 号別府一の宮線 (やまなみハイウェイ)は
長者原から牧ノ戸間は通行止め
・主な登山口に通行できない登山道を示した看板の設置(規制範囲 1.5 km)
・法華院温泉、くじゅうヒュッテは注意喚起
・主な登山口に通行できない登山道を示した看板の設置火口
周辺
レベル2
(火口周
辺規制)
想定火口域中心から概ね 1km 以内の立入禁止。
・主な登山道に通行できない登山道を示した看板の設置予報
噴火
予報
火口内等レベル1
(活火山で
あること
に留意)
状況に応じて想定火口域内の立入規制等
(注記)想定火口域は、
硫黄山噴気地帯を囲む半径 500m の範
囲内
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 387 -
火口側500 号、
県道 11
号、52 号、218
号、616 号及び
620 号は通行止
・伽藍岳及び由布
岳の主な登山
道に通行でき
ない登山道を
示した看板の
設置
・鶴見岳及び由布岳の主な登山道に
通行できない登山道を示した看板
の設置
(二次避難区域)
・3km 以内の居住
地域で避難
・大分自動車道湯
布院 IC〜大分
IC の間は通行止・範囲内の県道
11 号、52 号及
び 620 号は通
行止
・伽藍岳及び由布
岳の主な登山
道に通行でき
ない登山道を
示した看板の
設置
(二次避難区域)
・3km 以内の居住地域で避難
・範囲内の国道 500 号及び県道 616
号は通行止
・鶴見岳の主な登山道に通行できな
い登山道を示した看板の設置
(一次避難区域)
・2km 以内の居住
地域で避難
・範囲内の県道
11 号は通行止
・伽藍岳及び由布
岳の主な登山
道に通行でき
ない登山道を
示した看板の
設置
(一次避難区域)
・2km 以内の居住地域で避難
・範囲内の県道 616 号は通行止
・鶴見岳の主な登山道に通行できな
い登山道を示した看板の設置
レベル4
(高齢者
等避難)
・警戒が必要な居
住地域での避
難準備
・要配慮者は避難
行動。
・範囲内の県道は
駐停車禁止
・警戒が必要な居住地域での避難準備・範囲内の県道は駐停車禁止
警報
噴火警
報(火口
火口
から
レベル3
(入山規
・火口から概ね
1.5km 以内の立
・火口から概ね 1.5km 以内の立入禁止 風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 388 -
周辺)又
は火口
周辺警報居住
地域
近く
まで
制) 入禁止
・注意が必要な居
住地域及びロ
ープウェイ高
原駅は注意喚起・主な登山道に通
行できない登
山道を示した
看板の設置
・塚原東野地区東部は避難
・注意が必要な居住地域は注意喚起
・主な登山道に通行できない登山道
を示した看板の設置
・大分自動車道湯布院 IC〜別府 IC の
間は通行止
・範囲内の県道 616 号は通行止
火口
周辺
レベル2
(火口周
辺規制)
・火口から概ね
1km 以内の立入
禁止
・ロープウェイ運
行停止、
山上駅
は避難
・主な登山道に通
行できない登
山道を示した
看板の設置
・火口から概ね 1km 以内の立入禁止
・塚原温泉は避難
・範囲内の県道 616 号は通行止
・主な登山道に通行できない登山道
を示した看板の設置
予報
噴火予報火口
内等
レベル1
(活火山
であるこ
とに留意)気象庁が臨時の
解説情報(注 5)
を発表した場合、
主な登山道や特
定地域に対し、その内容に応じた
注意喚起
気象庁が臨時の解説情報(注 5)を発
表した場合、主な登山道や特定地域
に対し、その内容に応じた注意喚起
注 1)国道や県道の進入規制を行う場合、進入規制箇所の手前に転回場所を設けるとともに、主
要交差点等に予告看板を設置する。
注 2)市町道は、国・県道の規制に準じて進入規制を行う。
注 3)降灰や小さな噴石の飛散状況によっては、噴火警戒レベルに関わらず道路の進入規制を行
う。
注 4)土石流については、土砂災害防止法第 29 条に基づき国土交通省が発表する「土砂災害緊急
情報」等により、別途避難指示等や通行規制を行う。
注 5)臨時の解説情報:噴火警戒レベルの引上げ基準に至らないまでも、火山活動に変化があっ
たときに気象庁が発表する臨時の発表であることを明記した
「火山の状況に関する解説情報」
(3)由布岳に噴火警報又は火口周辺警報が事前に発表された場合
由布岳について噴火警報又は火口周辺警報が事前に発表された場合は、九重山及び鶴見岳・伽藍岳の
噴火警戒レベルが引き上げられた場合の対応に準じて対応をすることとする。
7 突発的な噴火発生時の避難対応
観測体制の整備が進み、かつ、噴火時の観測データが豊富な火山では、その予兆となる観測データの
変化が捉えられた場合は噴火の発生を予測できることもあるが、それでも噴火の時期や規模、影響範囲
等を的確に予測することは難しく、
さらには明瞭な前兆が観測されないままに噴火に至る場合
(以下
「突
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 389 -
発的な噴火」
という。)もある。 特に水蒸気噴火は、
マグマが直接関与しない噴火であるため、
2014(平
成 26)年 9 月 27 日に発生した御嶽山噴火のように、先行現象の規模は小さく、現象がみられる場所も
火口付近など比較的狭い領域に限られる場合が多い。そのため、現在の火山に関する知見、火山噴火予
知の科学的水準では、水蒸気噴火の発生を予測することは、マグマ噴火やマグマ水蒸気噴火に比べ困難
である。
このことを踏まえ、
噴火警戒レベル引上げに至る前の段階で突発的な噴火が発生した場合の防災関係
機関や危険な範囲内にいる登山者等がとるべき防災対応を以下のとおり定める。
(1)県の組織体制
県は、噴火の規模や噴火現象の影響範囲に関わらず、災害対策本部体制をとり、各市町と連携し、避
難誘導等の防災対応にあたる。
噴火が発生した位置や噴火の規模など状況がある程度判明した際は、
状況に応じた防災体制に移行す
る。また、必要に応じて、自衛隊への災害派遣要請を行う。
(2)情報の収集・伝達
突発的な噴火が発生した場合の情報収集・伝達は以下のとおり実施するものとする。
・各市町は、まず「火山が噴火した」「緊急退避の実施」などの情報を、速やかに住民、登山者等に周
知する。その後、必要に応じて、噴火現象の影響が想定される範囲や規制範囲などを伝達する。
・噴火の規模や火山活動の状況、火口周辺の状況、火山現象及びその影響範囲、登山者等の避難状況、
地域の被害状況などの情報を収集し、火山防災協議会の構成機関と情報共有を図る。
・県は、各市町が住民、登山者等に対して行う周知活動について支援する。また、噴火の規模や火山活
動の状況、火口周辺の状況、火山現象及びその影響範囲、住民、登山者等の避難状況、地域の被害状況
などの情報を集約し、火山防災協議会の構成機関と情報共有を図る。
・気象庁、砂防部局、火山専門家等は、噴火の規模や火山活動の状況、火山現象及びその影響範囲など
の把握に努め、協議会の構成機関と情報共有を図る。その際、噴火が発生した位置等が事前の想定と異
なる場合、火山現象及びその影響範囲等の想定の修正に努める。
・気象庁は、噴火発生の事実を確認した場合、速やかに噴火速報を発表するとともに、火山現象の影響
範囲により噴火警戒レベルを引き上げ、関係機関に伝達し情報共有を図る。
・警察、消防、自衛隊は、要救助者の情報を把握した場合、協議会、県・市町等関係機関と情報を共有
するとともに、救助の体制をとる。
(3)火口周辺規制
突発的に噴火した直後は、噴火警戒レベル3(入山規制)と同様の防災対応を図る。
(4)登山者等の避難誘導
・市町村は、登山者等に対して緊急退避を呼びかけるとともに、避難促進施設等とも連携し、火山防災
協議会での協議を踏まえ、緊急退避後の避難誘導にあたる。その際の避難は、徒歩や自家用車等で行う
ことを基本とするが、移動手段のない人のための避難手段については、各市町がその確保に努める。
・登山者等が市町村からの避難の呼びかけを待つことなく、近くの火山現象から身を守れる避難場所等
へ自主的に緊急退避するよう、日頃からその周知・啓発に努める。
・火山防災協議会の構成機関は、協議会において、登山者等の避難誘導の実施時期について協議する。
・火山防災協議会の構成機関は、市町村が行う登山者等の緊急退避後の避難誘導、輸送手段の確保等に
ついて支援する。
・気象庁、火山専門家等は、火山活動の推移予測等から、緊急退避後の避難誘導の実施時期について助
言を行う。
・警察、消防、自衛隊は、市町村、道路管理者等と協力し、交通整理・誘導、規制や立入制限等を行っ
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
- 390 -
て、登山者等の緊急退避後の避難誘導にあたる。
・観光関係団体・事業者など火口付近で活動している機関・団体は、自らの安全を確保し、登山者等に
対して、緊急退避の呼びかけや緊急退避の誘導を行う。
(5)登山者等自身による身を守る行動
登山者等は、突発的な噴火が発生した場合、噴石の飛散や火山灰の堆積、火山ガスの滞留などから身
の安全を守りつつ、速やかに避難する必要がある。各種火山現象時にとるべき防災対応について以下に
示す。
1噴石から身を守る
爆発的な噴火によって、火口から飛散する噴石は、その大きさによって防災対応が異なる。
イ 大きな噴石
大きな噴石は、風の影響を受けずに火口から弾道を描いて飛散して短時間に落下し、場合によっ
ては鉄筋コンクリートの建物の屋根を打ち破るほどの破壊力がある。そのため、噴火前に危険な範
囲から離れる必要がある。噴火に遭遇してしまった場合の対応は厳しいが、登山者等は、速やかに
避難小屋や大きな岩陰等に身を隠すことなど、少しでも被害を軽減できる可能性のある行動をと
り、噴火が落ち着いたら速やかに下山(避難)すること。
ロ 小さな噴石
小さな噴石は風の影響を受けて風下へ流れるため、遠方まで飛散するが、丈夫な建物の屋内など
に退避することで被害を防ぐことができる。 そのため、登山者等は屋内などに退避をする。登山
中に噴火に遭遇し、付近に避難小屋などの身を隠す場所がない場合、噴石から頭部を守ることが大
切であるため、ヘルメットを装着し、身を隠すことができる場所まで移動すること。ヘルメットを
持たない場合でも、リュックサックなどの荷物や腕で頭部を覆うなど、その場でできる対応で頭部
を守ること。
2火山灰から身を守る
火山灰は、目のかゆみ、痛みや充血を引き起こし、体内に吸い込むと咳や呼吸困難など呼吸器に影響
を与える。登山者等は、マスクやゴーグルを装着し、火山灰が体内に入らないようにすること。
3火山ガスから身を守る
火口や噴気孔から放出される火山ガスには、硫化水素や二酸化硫黄など有毒な成分が含まれており、
呼吸器や心臓に疾患がある人は、
発作が引き起こされる危険がある。
また、
火山ガスの濃度によっては、
健康な人も生命に危険が及ぶ可能性がある。
火山ガスは、空気より重いため、火山地域の窪地や谷などに溜まっていることがある。そのため、風
のほとんどない日は要注意となる。
特に、息が苦しくなるなどの異常を感じた場合、速やかに窪地や谷から離れること。なお、火山ガス
は、水に吸収されやすい性質があるため、濡れタオルなどを口に当てることも有効である。
4降雨後の土石流から身を守る
火山噴火により排出された岩石や火山灰が堆積すると、降雨による土石流、泥流が発生する可能性が
高まる。土石流では、河川周辺、特に下流域において大きな被害をもたらす危険がある。
土石流は高速で斜面を流れ下りるため、土砂の流れる方向に対して直角に避難すること。
5その他想定される火山現象から身を守る
噴石、火山灰、火山ガス、土石流以外のその他想定される火山現象(溶岩流、火砕流等)から身を守
るため、各種火山現象の特徴を理解するとともに、いち早く状況を把握できるよう留意しながら登山す
ることが必要である。特に、火砕流(火砕サージ)は、流下速度が時速数十 km から百数十 km に達する
ことから、発生してから回避することは不可能であるため、噴火前に避難する必要がある。
しかしながら、噴石が飛散している中での下山(危険な範囲からの避難)は危険であるため、避難す
る際には、まず身の安全を確保し、噴火が収まった後で直ちに下山し、危険な範囲から避難すること。
なお、下山(避難)にあたっては、当初の登山計画に捉われず、噴火口から離れる方向の登山口等へ避
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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難すること。
8 被害の未然防止、拡大防止のための住民への呼びかけ
(1)基本方針
県内で火山災害が発生するおそれのある場合、県及び市町村は、住民等に対して危険箇所か
らの避難など、被害の未然防止、拡大防止を促す呼びかけを行い住民に注意を喚起することと
する。
(2)県の措置
生活環境部防災局防災対策企画課は、大分地方気象台からの噴火警報・予報等について通報
を受けた場合及びその後の噴火警報等により県内で火山災害の発生するおそれがあると判断し
た場合、市町村に対して早期の警戒、住民への広報を促すための情報を県防災行政無線一斉フ
ァックスにより伝達するとともに、関係部局、報道機関、おおいた防災アプリ及び県民安全・安
心メール、インターネット(ホームページ・SNS 等)を通じて県民に注意を呼びかけ、被害の
未然防止、拡大防止を図る。その際、要配慮者、帰宅困難者等にも的確に呼びかけができるよ
う配慮する。
また、災害発生中・後においても、同様の措置により市町村に必要な対策を促す。
特に、特別警報に位置づけられる噴火警報(居住地域)について通報を受けたとき又は自ら
知ったときは、直ちに市町村に対して通知する。
(3)市町村の措置
市町村は、県等から噴火警報・予報等の伝達を受けた場合及びその後の噴火警報等により市
町村内で火山災害のおそれがあると判断した場合、市町村防災行政無線、各市町村の防災情報
提供メール(県民安全・安心メールを含む)
、移動通信事業者が提供する緊急速報メール(エリ
アメール等)
、広報車、インターネット(ホームページ・SNS)等を用いて住民、登山者、観光
客等に対して危険箇所からの避難などを呼びかけ、被害の未然防止、拡大防止を図る。その際、
聴覚障がい者、視覚障がい者、外国人等の要配慮者にも的確に呼びかけができるように配慮す
る。また、災害発生中・後においても、同様の措置により必要な対策を呼びかける。
特に、特別警報に位置づけられる噴火警報(居住地域)について通知を受けたとき又は自ら
知ったときは、直ちに防災行政無線及び広報車により住民へ周知する。
また、市町村長は、警戒区域を設定した場合においても、上記に示した多様な手段により速
やかに住民等に周知する。
9 社会秩序の維持対策(流言飛語等への対策)
(1)県の措置
県は、市町村と協力し、流言飛語をはじめ各種混乱が発生し、又は発生するおそれのあると
きは、報道機関、警察本部等と連携して、県民の取るべき措置について呼びかけを行う。
(2)警察本部の措置
警察本部は、地域の平穏を害する不法事案を未然に防止するため、不穏情報の収集に努め、
所要の警備力を集中して事態の収拾を図る。
(3)市町村の措置
市町村は、当該地域に流言飛語をはじめとする各種の混乱が発生し、又は発生のおそれがあ
るときは、消防団及び町内会・自治会と連携して、速やかに住民等のとるべき措置について呼
びかけを実施するとともに、当該地域の社会秩序を維持するために必要と認めたときは、知事
に対して応急措置又は広報の実施を要請する。
10 避難対策
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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火山防災協議会は、市町村が行う警戒区域の設定、避難指示等の対策に対し、適切な助言を行
うなどの支援に努める。
また、市町村は、火山噴火等により住民の生命、身体等に危険がある場合には、平常時からの
火山防災協議会における検討結果に基づき、福岡管区気象台気象防災部地域火山監視・警報セン
ターが発表する噴火警報等(噴火警戒レベルを含む。)に対応し、下記の取り組みを実施する。
(1) 市町村長の避難の指示
ア 市町村長は、住民等の生命及び身体を保護する必要があると認めるときは、住民等に対し
避難の指示をする。
イ 警察官又は海上保安官は、火山噴火による災害が発生し、又はまさに発生しようとしてい
る場合において、市町村長が避難のための立退きを指示することができないと認めるとき、
又は市町村長から要求があったときは、必要と認める地域の居住者、滞在者その他のものに
対し、避難のための立退きを指示することができる。
この場合において、当該指示をしたときは、速やかに関係市町村長に指示した日時、居住
者等、立退き先を通知しなければならない。
ウ 警察官は、イの避難の指示のほか、警職法第4条の規程により、極めて危険な状態が切迫
するなど特別な状況下においては、被害を受ける者に対し避難の措置をとることができる。
この場合においては、公安委員会に報告しなければならない。
エ 市町村長は避難の指示をしたときには、直ちに避難の指示が出された地域の住民等に対し
て、指示の内容を伝達するほか、警察官、海上保安官、消防団等の協力を得て周知徹底に努
める。
オ 市町村長は、避難の指示をしたときには、速やかにその旨を知事(生活環境部防災局防災
対策企画課)に報告する。
(2)警戒区域の設定
ア 市町村長は、住民等の生命、身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めると
きは、災害対策基本法第 63 条第 1 項に規定する警戒区域を設定する。
イ 警察官又は海上保安官は、火山災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合にお
いて、住民等の生命、身体に対する危険を防止するために特に必要があると認める場合で、
市町村長若しくはその委任を受けた市町村職員が現場にいないとき、又は市町村長から要請
があったときは、警戒区域を設定する。
ウ 市町村長、警察官又は海上保安官は、警戒区域を設定したときは、住民等に対して退去又
は立入禁止を命ずる。
エ 市町村長は、警戒区域を設定したときは、速やかにその旨を知事(生活環境部防災局防災
対策企画課)に報告する。
オ 知事は、市町村長がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったときは、災害
対策基本法第 63 条第 1 項に規定する市町村長の権限を、災害対策基本法第 73 条に基づいて
実施し、その旨を公示する。
(3)要配慮者
市町村長は、警察署、消防団等の関係機関の協力を得て、要配慮者の避難が迅速かつ円滑に
行われるよう的確な措置に努める。
(4)住民等による自主避難
特定の地域において、火山活動に伴う急激な異常を察知したとき、住民等は、市町村長等の
避難の指示を待つまでもなく、可能な限り集団避難の方式により避難する。
(5)登山者等への配慮
ア 入山規制・緩和の実施
火山活動の状況に応じて発表される噴火警報・予報(噴火警戒レベル)に対応し、火山災
害から登山者等の安全を確保する必要がある場合には、隣接市町村と連携し、入山規制又は
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第2章 火山災害応急対策
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災害対策基本法第 60 条の規定による避難の指示等、
もしくは災害対策基本法第 63 条の規定
による警戒区域の設定( 以下「入山規制等」という。
)を行い、危険な区域への登山者等の
立入りを制限する。
入山規制等を行った場合には、広報、立札等により、その旨を登山者等に周知させる。
イ 登山者等への情報伝達
市町村は、噴火警報・予報(噴火警戒レベル)が発表された場合、山小屋等へ噴火警報に
関する内容、
予想される災害、
とるべき措置等を直ちに伝達するとともに、
警察、
消防機関、
道路管理者と連携して立て看板の設置や巡回等により登山者等の早期下山を呼び掛ける。
市町村は、噴火警報が発表された場合、広報車、防災行政無線、ホームページ等を活用
して、帰宅促進の広報を行う。
県は、噴火警報が発表された場合、報道機関に対して、入山自粛を呼び掛け、登山者等の
帰宅促進についての報道を依頼するとともに、可能な限りヘリコプターを活用した呼びかけ
を行う。
県、市町村及び関係機関等は、登山者等の誘導に当たり、互いに連携し、道路の規制及び
交通機関の運行に関する情報等を収集して、
観光施設、
宿泊施設等に対して情報提供を行う。
(6)広域避難
県は、被災市町村から避難者の受入れの要請があった場合、市町村と連携して予め定めた方
法により、避難者の受入れを支援するものとする。
広域避難を必要とする要配慮者に対しては、要配慮者の避難等の措置(第 3 部第 4 章第 1 節 3
要配慮者の避難等の措置)に準じた措置を実施する。
11 交通の制限
(1)陸上交通
ア 公安委員会は、災害の危険が切迫した場合には、通行車両の安全を確保し、かつ、危険区
域内での災害応急活動の円滑化を図るため、当該地域への一般車両の流入を極力、禁止又は
制限する。
イ 公安委員会は、緊急輸送路を確保するため、災害が発生している当該地域での一般車両の
走行及び当該地域への流入を原則として禁止する。
ウ 公安委員会は、交通規制を実施した場合、県、市町村、警察庁、交通管制センター、報道
機関等を通じ交通規制等の内容を広く周知徹底させる。
(2)航空交通
県は、国土交通省等に協力を求め、取材及びその他の事由により噴火地点の上空を航行する
航空機の安全を確保するため、必要に応じ注意を喚起するよう関係機関に広報する。
12 広域的な調整
(1)被災者情報の収集・集約
基本的な被災者情報の収集・集約は、
「第 3 部第 2 章第 5 節 災害情報・被害情報の収集・
伝達」によるものとする。
県は、山頂付近の被災者の情報収集について、登山者カードの収集・集計、ヘリコプターに
よる視認、関連施設による情報提供など、予め整備した方法により行うこととする。
(2)救助部隊の活動基準の策定とその運用
基本的な救助・救急の体制は、
「第 3 部第 3 章第 5 節 救出救助」、「第 3 部第 3 章第 6 節 救
急医療活動」及び「第 3 部第 3 章第 7 節 消防活動」によるものとする。
さらに、甚大な被害が発生し、応援要請の必要がある場合は、
「第 3 部第 2 章第 8 節 広域
的な応援要請」及び「第 3 部第 2 章第 11 節 他機関に対する応援要請」によるものとする。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第2章 火山災害応急対策
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自衛隊に対する災害派遣要請は、
「第 3 部第 2 章第 10 節 自衛隊の災害派遣体制の確立」によ
るものとする。
救助部隊の活動基準及び運用については、
予め定めた連絡体制により速やかに招集された県、
火山防災協議会の構成市町村、国土交通省、自衛隊、海上保安部、警察、消防、火山専門家な
どにより、噴火時の火山現象や天候等の状況に応じ、発災後速やかに基準を作成する。そのう
えで、救助部隊間で基準を共有することとする。
なお、救助部隊の活動基準の検討に当たっては、火山現象の規模、態様等を十分考慮すると
ともに、山岳救助及び空中救助の場合は、関係機関と十分に協議し、二次災害の防止に万全を
期すものとする。
風水害等対策編 第5部 火山災害対策
第3章 火山災害復旧・復興
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第3章 火山災害復旧・復興
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第3章 火山災害復旧・復興
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火山による災害の復旧・復興については、県及び市町村がそれぞれの該当地域防災計画に定める
「災害復旧・復興」により、またはその他の防災関係機関はそれぞれが有する防災業務計画等に定
めるところにより行うものとする。

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