平成30年7月下旬頃から関東地方を中心に患者数の報告が増加しています。
現在、特に、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、愛知県において、風しんが増加しています。(平成30年10月2日通知現在)
風疹に伴う最大の問題は、風しんに免疫がない妊娠20週頃までの妊婦が感染すると、先天異常のある出生児が出現するおそれがあることです。
風しん対策としては、予防接種により免疫を持ち風疹の流行を抑制すること、女性は妊娠前に必要な免疫を獲得しておくことが重要です。
長崎県立保健所では、妊娠を希望する女性と妊婦の同居家族を対象として、風しんの免疫の有無を確認するための抗体検査を無料で実施しています。
(抗体検査については、こちらのページをご覧下さい。)
風しんの追加的対策について(厚生労働省健康局結核感染症課 啓発動画)
<一般向け>
風しんとは
- 「三日はしか」と称される、麻しん(はしか)に似た急性熱性発疹症で、一般的に予後良好な疾患です。
- 病原体は風しんウイルスで、感染者の飛沫(咳やくしゃみのしぶき)を吸い込んだり、風しんウイルスに汚染されたものを介して感染します。
- 妊娠初期(20週頃まで)に感染すると、出生児が白内障、心疾患、難聴などの先天性異常(先天性風しん症候群:CRS)を発症する可能性があります。
- 1回感染すると、通常再発症はなく、一生免疫を持ち続けます。
- 母親が風しん抗体を持っている場合、その子どもは母親から免疫をもらい、生後4から6か月は発症しません。
症状
- 症状は、不顕性感染(感染症状を示さない)から重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合小児より重症化することがあります。
- 赤い発疹、リンパ節腫張、軽い発熱が主症状です。
- 発疹は、顔・耳の後ろなどに現れ、首・体幹・四肢へ広がり、3日前後で発疹は消失します。(「三日はしか」の名前の由来です。)
- 潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、14から21日です。
- 感染期間(他の人に感染させるおそれがある期間)は、発疹出現1週間前から発疹出現1週間後までです。
- 学校保健法による登校停止期間は、発疹消失までです。
感染対策
- 風しんワクチンの予防接種が最も有効な予防方法です。
- 妊娠中の女性は予防接種が受けられません。抗体を持たない又は抗体価の低い妊婦は、流行地域(長崎県は流行地域ではありません)への訪問を避けるなど、風しんにかからないように注意してください。
予防接種
- 定期接種は、第1期(12か月から24か月未満)と第2期(小学校入学前)に、MRワクチンを2回接種します。
- これまでの予防接種制度において、定期接種の対象については、平成2年4月2日以降に生まれた人は2回、昭和54年4月2日から平成2年4月1日に生まれた人は1回、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は0回です。
どういう人が予防接種をしたがよい?
- 定期接種の対象となっている幼児は、期間内に積極的に接種することをお勧めします。
- 定期接種年齢以外でも、未接種者、特に医療・教育・福祉関係者や、抗体陽性率が低い20歳から40歳代の男性は接種が奨められます。
可能な限り早めのワクチン接種がすすめられる人は?
- 風しんの抗体価が低い妊婦の同居家族については、風しんにかかったことがなく、2回の予防接種歴がない場合は、風しんの免疫の有無を確認するための抗体検査を受けてください。
- 抗体価が低いことが判明した方については、妊婦とお腹の子どもを守る観点からも予防接種を受けることについてご検討ください。
風しんと診断されたら?
- 学校保健安全法では、「発疹が消失するまで」出席停止となります。
- 大人については、特に法律上の規則はありませんが、周りへの感染拡大予防が重要であることから、医師の指示に従ってください。
<医療機関向け>
感染症法に基づく医師の届出について
- 五類感染症の全数把握感染症となっています。
- 届出基準に合致する場合は、ただちに最寄りの保健所へ届出してください。(届出基準は、厚生労働省のホームページをご確認いただくか、保健所まで問い合せください。)
- 臨床診断の結果、風しんが疑われる場合は、まずは最寄の保健所にご相談ください。
風しんが疑われる患者の検査について
- 風しん特異的IgM抗体検査を民間検査センター等での実施をお願いします。ただし、発疹出現3日以内では陽性になっていない場合もあり(偽陰性)、発疹出現後4日以降に再検査が必要となる場合があります。
- 同時に、行政検査として、風しんウイルス遺伝子検査(PCR法)を実施します。
- 検査材料は、「咽頭拭い液」と「尿15ml」と「血液5ml(EDTA入り採血管)」の3点セットとなります。
- まずは、最寄の保健所へ連絡ください。
風しんが疑われる患者が発生したら
- 保健所は、感染の拡大防止を図るため調査を実施します。主治医面接、患者及び家族面接、その後、接触者調査を実施します。
- 医療機関におかれましては、患者様または御家族に、保健所へ風しんの可能性がある旨連絡すること、保健所から連絡がある旨の説明をお願いします。
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