先般、テレビ番組の中で、アイヌの人たちを傷つける表現があったことから、アイヌの人たちの歴史や文化などについて、より多くの方々に正しく理解を深めていただくよう、北海道と北海道アイヌ協会が共同でメッセージを発出いたします。
アイヌの人たちの理解促進に向けた北海道・北海道アイヌ協会共同メッセージ
アイヌの人たちは、日本列島北部周辺・北海道の先住民族です。
アイヌの人たちが置かれている状況や近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律が令和元年5月に施行され、令和2年7月には、アイヌ文化の復興・発展のための拠点となるナショナルセンター「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が、白老町に開設されました。
こうした中、全国的なテレビ放送番組で、アイヌの人たちの尊厳を著しく傷つける侮辱的な表現があったことは、アイヌ政策を推進している北海道及び北海道アイヌ協会として極めて遺憾であることから、強く抗議し、原因究明と再発防止、正しい理解の促進に向けた取組を求めています。
現在においても、アイヌの人たちは、いわれのない偏見や差別、心ない誹謗中傷やいじめなどにより、心を痛め、傷つき、悲しんでいます。
このような差別やいじめなど、心ない行為は決してあってはならず、アイヌの人たちに対して、アイヌであることを理由に差別することやその他権利利益を侵害する行為をしてはならないと法律で定められています。
このようなことが二度と起こることがないよう、公共性を重んじ基本的人権を尊重することが求められるメディア関係者の皆様はもとより、道民や全国の皆様におかれましても、アイヌの人たちが苦難を乗り越え歩んできたこれまでの歴史や心血を注ぎ受け継いできた独自の文化などについて思いを寄せて、正しい理解を深めていただくことが不可欠です。
道及び北海道アイヌ協会におきましては、関係機関と連携・協力し、アイヌの人たちが民族としての誇りを持って生活ができ、その誇りが尊重される共生社会の実現に向けて、理解の促進をはじめ、アイヌ政策の一層の推進を図ってまいりますので、国民一人ひとりに関わることとして、皆さまのご理解をお願いします。
令和3年(2021年)3月19日
北海道知事 鈴木直道
公益社団法人北海道アイヌ協会 理事長 大川 勝
<経 過>
3月12日(金)放送の日本テレビの番組「スッキリ」の中で、アイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリー作品が紹介され、それを受けての放送内容において、アイヌの人たちを傷つける不適切な表現がありました。
<各機関の対応状況>
〇 道
・ 3月12日、日本テレビに抗議し、再発防止や理解促進の取組を要請。
・ 3月15日、知事が北海道アイヌ協会理事長などと会談。
・ 3月15日、知事が加藤内閣官房長官に連絡。情報共有と今後の対応について働きかけ。
・ 3月19日、北海道と(公社)北海道アイヌ協会の共同メッセージを発出。
〇 北海道アイヌ協会
・ 3月13日、日本テレビに抗議し、番組制作に至った経緯を含めた事実関係の究明と再発防止策を文
書で回答するよう要請。
・ 3月15日、協会理事長などが知事と会談し、今後の理解促進などについて要請。
・ 3月16日、協会理事長などが加藤内閣官房長官と会談し、差別根絶を要請。
・ 3月19日、北海道と(公社)北海道アイヌ協会の共同メッセージを発出。
・ 4月12日、放送倫理・番組向上機構(BPO)に対応要請文提出
〇 日本テレビ
・ 3月12日、夕方のニュース番組の中で謝罪。
ホームページにアイヌの人たちを傷つける不適切な表現があり、アイヌの皆様などに深くお詫び
することや再発防止に努めることを掲載。
・ 3月15日、「スッキリ」の番組冒頭で謝罪。
・ 3月18日、会長が民放連会長定例記者会見の席で謝罪。
・ 3月22日、社長が定例記者会見の席で謝罪。再発防止策のとりまとめ及びアイヌの方々の
歴史・文化を学び理解し伝える取組を全社的に徹底することを表明。
・6月6日、日本テレビ社長が北海道アイヌ協会に対し直接謝罪し、再発防止等の取組を説明
<関連情報>
〇 冊子「アイヌの人たちの歴史・文化・くらし」
(アイヌの人たちへの理解を深めていただくために作成しているものです。)
〇 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律
〇 北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針 (PDF 125KB)
(法律に基づき、北海道におけるアイヌ施策を推進するために定めているものです。)