その他学内施設等
グローカル感染症研究センター
教育マネジメント機構
研究マネジメント機構
学術情報拠点
減災・復興デザイン教育研究センター
保健管理センター
IRセンター
グローカル感染症研究センター
所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター・教授
氏 名 衛藤 剛(Etoh Tsuyoshi)
取 得 学 位 博士(医学)
、大分医科大学、2003年3月
S D G s目標
研 究 分 野 消化管外科学、低侵襲治療学、外科腫瘍学
研究キーワード 内視鏡外科、集学的治療開発、人工知能
研 究 内 容 しかく 研究の実績概要
消化器癌の治療成績の向上を目指し、臨床研究、基礎研究、産学官共同研究を積極的に進めている。臨
床研究では、低侵襲手術である腹腔鏡下手術の確立と適応拡大、患者予後因子、新しい癌集学的治療
について研究を進めている。一方、基礎研究については、内視鏡外科における手術侵襲と生体反応、
癌の発生や転移・浸潤の機序、制限増殖型レオウイルスを用いた診断・治療への応用に関する研究を
行っている。さらに産学官共同研究として人工知能支援手術システムの開発を行っている。 A: 基礎
研究 〜 がんの増殖・浸潤・転移のメカニズムおよび発がん機構の解明 〜
腸管還流血中の大腸癌・胃癌微小転移検出法の開発、食道癌・大腸癌の臨床検体を用いた癌悪性度
規定因子の同定、および胃癌における血管新生因子Angiopoietin-2の意義解明した。
Etoh T, et al. Angiopoietin-2 is related to tumor angiogenesis in gastric carcinoma:
possible in vivo regulation via induction of proteases.Cancer Res, 61(5):2145-2153,
2001.
B: 基礎研究 〜 低侵襲治療、新規がん治療開発 〜
低侵襲手術である内視鏡外科手術の利点と短所を明らかにするため、手術侵襲に対する生体反応を
腫瘍学・生理学・免疫学観点から、動物モデルを用いて検討した。
C: 臨床研究 〜 低侵襲手術、がん臨床 〜
Etoh T, et al. Extranodal metastasis is an indicator of poor prognosis in patients with
gastric carcinoma. Br J Surg, 93(3):369-373, 2006.
D: 臨床研究 〜 多施設共同臨床試験 〜
Etoh T, et al. Morbidity and Mortality From a Propensity Score-Matched, Prospective
Cohort Study of Laparoscopic Versus Open Total Gastrectomy for Gastric Cancer: Data
From a Nationwide Web-Based Database. Surg Endosc, 32(6):2766-2773, 2018.
研 究 業 績・
アピールポイント
1. 低侵襲手術の確立とエビデンス創生の取り組み
胃癌分野において、低侵襲手術として開発された腹腔鏡下手術の手術手技の確立と適応拡大に向け
たエビデンス創生を行っている。中でも2009年より開始した多施設共同ランダム化第II/III相試験は、
進行胃癌に対する腹腔鏡下手術の技術的・腫瘍学的安全性を検証するものであり、研究事務局長とし
て本研究の企画・運営を中心的に遂行している。
2. 制限増殖型レオウイルスを用いた新しい診断・治療法の開発
新しい癌の診断・治療法開発として、制限増殖型レオウイルスに着目してきた。
本研究においては、12年間にわたり競争的外部研究費を獲得している。
3. 産学官共同研究
新規医療材料の開発や、安全な手術法開発を目的とし、日本を代表する企業と産学官共同研究を行
い、特許取得および外部資金を獲得してきた。またAMED事業の中で、人工知能を用いた内視鏡外
科機器開発を行っている。1 グローカル感染症研究センター
所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター ゲノムワイド感染症研究部門・教授
氏 名 杉本 光繁 (SUGIMOTO MITSUSHIGE)
取 得 学 位 医学博士、浜松医科大学、2006年3月
S D G s目標
研 究 分 野 消化器病学、消化器内視鏡学、臨床薬理学
研究キーワード Helicobacter pylori、酸関連疾患、GERD、胃癌、内視鏡治療、CYP2C19
研 究 内 容 1. 薬理学的パラメーターと酸分泌抑制効果
CYP2C19遺伝子多型がPPIの酸分泌抑制効果の個体差を生じ、酸関連疾患の治癒に影響を及ぼ
すことを証明し、PPIの投与方法の最適化、薬物代謝の遺伝子多型を考慮した個別化治療法の
開発を行なってきた。これは逆流性食道炎や除菌治療時にも応用され、PPI治療抵抗例や治療
抵抗性を示す耐性菌感染例、薬剤アレルギー例にも有効であることも証明してきた。
2. 上部消化管疾患の病態解明
HPの病原因子であるcagAやvacA, oipAの胃粘膜への影響を、動物モデルや培養細胞を使用し
て検討し、疾患発症にはHPの株自身の病原性の強弱が重要であることを証明した。また、宿
主因子として炎症性サイトカインやrenin-angiotensinシステムなどの遺伝子多型が消化性潰
瘍や胃癌の酸関連疾患の易罹患性に関与すること、炎症関連分子の炎症惹起型が高危険群で
あり、遺伝子多型の測定が高危険群の抽出に有効であることを明らかにした。
3. 抗血栓薬起因性の食道胃粘膜傷害とHP感染
アスピリン(LDA)/クロピドグレル(CLO)の食道胃粘膜傷害に対するHP感染の関連性を検討し、
粘膜傷害の頻度や重症度は胃内pHに依存すること、併用投与で重症化すること、HP感染で粘
膜傷害が重症化することを証明した。更にCLOの抗血小板作用はCYP2C19遺伝子多型別に異な
り、PPIとの薬物間相互作用は投与時間をずらしても改善しないことを報告してきた。
4. 胃腫瘍に対するESDの検討
胃ESD後の人工潰瘍の治癒速度は腫瘍局在、HP感染、胃粘膜萎縮、酸分泌抑制薬の種類が影
響することを前向き多施設共同研究で証明し、酸分泌抑制効果が術後早期の治癒に重要であ
ること、早期の除菌治療介入が潰瘍出血予防に繋がる可能性を明らかにした。全国の多施設
共同研究で胃ESD後の術後出血にはDOAC内服がリスク因子であること、スコアリングシステ
ムで消化管出血のリスクの層別化が可能であること証明した。
研 究 業 績・
アピールポイント
基礎研究の見知を大規模臨床研究で実証し、臨床研究で見出したエビデンスを基礎研究で裏
付けるような研究体制の構築を目指し、2023年11月までに英文原著論文162本(筆頭著者:42
本)、英文総説25本(筆頭:16本)の業績があり、競争的資金は科学研究費補助金研究代表者と
して若手Bや基盤Cを6回の助成金を受け、他財団より計12回の助成金を取得してきました。
くろまる主な論文
1.2024年、Association of direct oral anticoagulant and delayed bleeding with
pharmacokinetics after endoscopic submucosal dissection. Gastrointest Endosc. 99;
721-732
2.2024年、Risk of map-like redness development after eradication therapy for
Helicobacter pylori infection. Helicobacter. 29; e13046
くろまる主な受賞歴
1.2023年 4月、DEN Distinguished Reviewers
2. 2024年 6月、日本ヘリコバクター学会学術賞: 臨床部門2 所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター・教授
氏 名 三室 仁美(Mimuro Hitomi)
取 得 学 位 博士(医学)
、東京大学、2004年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 細菌感染生物学
研究キーワード 粘膜感染病原細菌、ヘリコバクター・ピロリ、病原性、宿主応答
研 究 内 容 私たちは、粘膜感染病原細菌感染症をグローバルな視点で理解し、その研究成果をもとに、地域
や人種などローカルの視点を考慮した、きめ細やかな感染制御法として還元することを目指してい
ます。私たちはこれまで、人に感染する粘膜感染病原細菌と宿主の相互作用による感染現象の解明、
とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ感染による病態形成機構の解明に注力してきました。現在、3つ
の内容を主軸とした研究活動の展開を目指しています。
1)動物モデルを活用した、病原細菌感染による疾患発症機序解明:
ピロリ菌感染者の多くは幼少期に感染後、生涯にわたる持続感染を経て、壮年期に胃炎や胃がん
の発症に至ります。何十年にもわたる疾患発症を理解するために、動物モデルを活用して感染現象
を分子・細胞レベルで解析し、臨床検体・臨床分離株を用いて検証することで、疾患発症機序解明
を目指します。
(参考文献 1, 2, 4, 6, 7)
2)粘膜感染病原細菌に共通する病原性の理解:
共同研究の成果を含む研究から、ピロリ菌のような慢性感染起因菌と、赤痢菌、腸管病原性大腸
菌、A群連鎖球菌等の急性感染起因菌において、共通の生命現象を利用した感染機序が多数明らかに
なり、病原体は感染時間を調節して、自己増幅に有利な環境を作り、感染を拡大させる、という共
通戦略の理解が進みました(参考文献 3, 5, 8)
。しかしなぜ病原性細菌が存在するのか、その理由
が不明瞭です。粘膜感染病原細菌は、人に対する病原性を発揮することを目的とするものではなく、
感染環境において生きながらえるために副次的に病原性を獲得した可能性を、多様な病原細菌研究
を展開して検証していきます。
3)抗菌薬に頼らない感染制御法の開発:
ピロリ菌は世界人口の約半数が感染する大規模感染症起因菌です。衛生状態の向上に伴い近年日
本では感染率が低下していますが、世界レベルでみると、感染者数が未知の発展途上国も多く、感
染制御には程遠い現状です。ピロリ菌感染症の治療は、抗菌薬による除菌療法が採用されています
が、薬剤耐性菌の増加は看過できません。感染症全体をみると、2050年までに全世界で年間1000
万人以上が薬剤耐性菌により死亡すると推定されています。ピロリ菌感染対策として安易な抗菌薬
による除菌治療に依存することは、その他の感染症への危機的治療崩壊に直結しかねません。また、
高齢化社会において、高齢者のQOLの維持のためにも消化器系疾患の改善は重要であり、疾患の早
期発見・発症予防・治療は重要な課題です。これらの問題を解決するために、疾患発症分子機序を
利用した疾患悪性化の早期発見につながるバイオマーカー、抗菌薬に頼らない病原体特異的除菌方
法や、病原体の疾患発症機構のみを抑制することで無害な常在菌とする手法の開発を、産学協働研
究体制を構築して積極的に展開していきます。
研 究 業 績・
アピールポイント
1. Nat Commun. 2021;12(1):2085. doi: 10.1038/s41467-021-22317-7.2. Biochem Biophys Res Commun. 2020;525(3):806-811. doi: 10.1016/
j.bbrc.2020年02月08日7.
3. Sci Rep. 2020;10(1):3251. doi: 10.1038/s41598-020-60306-w.
4. Immunity. 2020;52(4):635-649.e4. doi: 10.1016/j.immuni.202003002.
5. Nature. 2019;566(7742):110-114. doi: 10.1038/s41586-019-0884-1.
6. Microbiol Immunol. 2018;62(4):221-228. doi: 10.1111/1348-0421.12582.
7. Nat Commun. 2014;5:4497. doi: 10.1038/ncomms5497.
8. Cell Host Microbe. 2013;13(5):570-583. doi: 10.1016/j.chom.2013年04月01日2.3グローカル感染症研究センター
グローカル感染症研究センター
所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター
インバウンド・アウトバウンド医学研究部門 講師
氏 名 内田 宅郎 (ローマ字表記 Uchida, Takuro)
取 得 学 位 博士(医学)、広島大学、2017年3月
S D G s目標
研 究 分 野 肝臓学、消化器病学、ウイルス性肝炎
研究キーワード 肝炎、肝細胞癌、HBV、HCV、MASLD、肝硬変
研 究 内 容 肝炎ウイルスの感染〜肝炎、肝癌発生に関わるウイルス因子と宿主因子の解明を目指し、動
物モデルや培養技術を用いてHBV感染が肝細胞に与える影響の解析やゲノム編集を用いた肝疾
患モデルの創出を行う。また、臨床データやサンプルを用いた研究と基礎研究の融合を図
り、肝疾患の病態解明および治療アプローチの開発、バイオマーカーの探索を行う。
くろまる 肝炎ウイルス感染が肝細胞におよぼす影響の解明
抗ウイルス薬の進歩により、95%以上の確率でHCVの排除が可能となったが、ウイルス排除
後も年間1%程度の症例が肝癌を発症する。HCV排除後後も肝臓のエピゲノム異常が持続し
、発癌の原因となっていることを報告した(4)。また、劇症肝炎などに関与することが知
られるPC/BCP変異型HBVが、小胞体ストレスを介した肝細胞障害を引き起こすことを明らか
にしている(1)。
くろまる ゲノム編集を用いた肝疾患モデルの作成と治療法探索
Base editingを用いて細胞株およびES細胞・iPS細胞にHBVのレセプターにNTCP-S267F変異を
導入することに成功し、変異を有する細胞において、HBV感染が阻害されることを示した
(2)。現在、Steatotic Liver DiseaseやHCCに関わる遺伝子多型の遺伝子編集システムの開
発を進めている。
くろまる 消化器疾患研究のためのデータベース構築
消化器疾患に対する診断法や治療法の開発を向けた医学研究の展開に先立って、患者さんの
血液、肝組織と診療情報(予後情報含む)を活用するため、血液(血清、血しょう、血球)、
肝組織の保存(バイオバンク)およびデータベースの構築を進める。
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる代表論文
1. Uchida T, et al. HBV with precore and basal core promoter mutations exhibits a
high replication phenotype and causes ER stress-mediated cell death in
humanized liver chimeric mice. Hepatology 78(3):929-942. 2023
2. Uchida T,et al. Genetically edited hepatic cells expressing the NTCP-S267F
variant are resistant to hepatitis B virus infection. Mol. Ther. -
Methods Clin. Dev 23, 597–605 2021
3. Cheng X, Uchida T, et al. Diminished hepatic IFN response following HCV
clearance triggers HBV reactivation in coinfection. J Clin Invest.
130(6):3205-3220. 2020
4. Hamdane N, .. Uchida T, et al. HCV-induced Epigenetic Changes Associated With
Liver Cancer Risk Persist After Sustained Virologic Response.
Gastroenterology. 156(8):2313-2329.e7 2019
くろまる著書
1.2023年、内田宅郎他、HBV遺伝子型と臨床像、日本臨床増刊 ウイルス性肝炎学2023
くろまる受賞
1.2018年、日本肝臓学会 冠アワード 第3回 Gilead Sciences Awar
2.2016年、平成27年度ウイルス肝炎研究財団 肝炎に関する研究助成事業「研究奨励金」4 グローカル感染症研究センター
所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター・講師
氏 名 カーン シャキル (KHAN SAKIRUL)
取 得 学 位 博士 (農学、動物科学) 、 愛媛大学、 2009年9月
S D G s目標
研 究 分 野 ウイルス学、人獣共通感染症、神経感染症 、感染症疫学
研究キーワード 分子疫学、ウイルス性脳炎、ドラッグ・リパーパシング、ワン・ヘルス
研 究 内 容 くろまるウイルスの形態学的、病理学的、治療的側面に関する研究
コウモリ由来のウイルスは、人間に伝播して深刻なアウトブレイクを引き起こす可能性があ
るため、大きな懸念となっています(例:SARS、MERS、ニパウイルスなど)。したがって、
コウモリ由来のウイルスを調査することは、それらの病理学的および人獣共通感染症の潜在
性を評価する上で重要です。これらのj状況を踏まえ、コウモリ由来のラブドウイルス(狂
犬病ウイルス、大分ウイルス)およびSARS-CoV-2の形態学的、病理学的、および治療の可能
性について、in vitroおよびin vivoの研究をしています。
狂犬病マウスモデルの動物実験では、抗ウイルス薬のファビピラビルを使用し、その後に狂
犬病ワクチンを接種することで、マウスが全て生存し、狂犬病ウイルス中和抗体価が高くな
ることが明らかになりました(論文1)。この結果により、ファビピラビルの狂犬病曝露後予
防における有効性を評価するための臨床研究を進めています。
くろまる重症デング熱におけるウイルスおよび宿主因子の探索
デング熱(DF)は、生命を脅かす世界的な公衆衛生上の問題となっています。COVID-19パン
デミックの2年目以降、入院するDF患者やDF関連の死亡者数が増加しています。COVID-19に
よる既存の免疫が、近年のDFの増加に寄与している可能性が懸念されています。この現実を
踏まえ、主要なデング熱流行国であるバングラデシュから得られた大規模な臨床データを用
いて、以前のSARS-CoV-2感染と重症デング熱の発症との関連について研究しています(論文
4、5)。我々の予備研究では、過去にデングウイルスに感染し、SARS-CoV-2 IgG抗体を持つ
患者が重症デング熱を発症する予後因子である可能性が示唆されました。
(注記)関連リンク:https://researchmap.jp/MSI_KHAN/published_papers?limit=100/
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる論文
1. Kimitsuki K#
, Khan S#
, et al. Implications of the antiviral drug favipiravir on
rabies immunoglobulin for post-exposure prophylaxis of rabies in mice model with
category III-like exposures. Antiviral Research. 2023, 209: 105489. [#
Co-First/Equal
authorship]
2. Khan S*
, et al. Administration of a neurotrophic factor-derived small peptide to
neural tube defects facilitates early closure and restores neurological disorders.
iScience 2023, 26: 106277.
3. Khan F#
, Khan S#,*
, et al. Neurotoxic stimulation alters prosaposin levels in the
salivary systems of rats. Cell & Tissue Research. 2023, 395(2):159-169. [#Co-First/Equal authorship]
4. Khan S*
, et al. Co-existence of a pandemic (SARS-CoV-2) and an epidemic (Dengue
virus) at some focal points in Southeast Asia: Pathogenic importance, preparedness,
and strategy of tackling. LANCET Regional Health – Southeast Asia. 2022. 4:100046.
5. Khan S*
, et al. Dengue infections during COVID-19 period: Reflection of reality
or elusive data due to effect of pandemic. Int J Environ Res Public Health. 2022,
19(17): 10768.
くろまる受賞
1. 平成23年7月 研究とイノベーションのための年次展示会ゴールドメダル(マレーシア)。
2. 平成17年11月 日本家禽学会平成17年度秋季大会優秀発表賞(日本)。5 6
所 属・ 職 位 グローカル感染症研究センター・講師
氏 名 三好 智博(Miyoshi Tomohiro)
取 得 学 位 博士(理学)
、新潟大学、2008年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 細菌学、RNA生物学、構造生物学
研究キーワード ノンコーディングRNA、病原性微生物、細菌叢破綻
研 究 内 容 ⃝微生物ノンコーディングRNAに関する研究
細胞内で発現する小分子 RNAは、唯の分解産物であり特別な機能はないと考えられてきたが、そ
の機能が徐々に明らかになりつつある。この小分子RNAは、塩基配列特異的に標的核酸に結合して、
多種多様なメカニズムにより遺伝子の発現制御を行う。細菌の病原性の発現と小分子 RNAによる制
御に着目し機序の解明による新規感染症治療法の開発を目指している。
(論文5)
⃝健康に寄与する常在微生物の調査・分析
我々の体には多くの種類の微生物が住み着いており、その重さは1kgにもなる。これらの常在微生
物は、宿主の健康状態や生活環境と複雑に相互作用し、腸内や口腔内など様々な部位で特異的な細
菌叢を形成している。健康に寄与する細菌種の変化が及ぼす病原性細菌への影響を明らかにするこ
とで、疾患の発症のメカニズムを明らかにしていきたい。
(論文1,3)
⃝タンパク質・核酸複合体の立体構造解析
生体高分子の分子機能を立体構造から明らかにする学問を構造生物学という。この生体高分子の
立体構造情報に立脚した構造生物学は、医学・生命科学の発展に必要不可欠な実験手法となっている。
X線結晶構造解析を用いて、様々な生命現象を原子レベルの分解能で明らかにしようと試みている。
(論文2,4)
研 究 業 績・
アピールポイント
⃝論文
1. 2021 年 , Gemella haemolysans inhibits the growth of the periodontal pathogen
Porphyromonas gingivalis. Sci Rep, 11(1):11742.
2. 2021 年 , Structural insights into the switching off of the interaction between
the archaeal ribosomal stalk and aEF1A by nucleotide exchange factor. JMB,
433(15):167046, 2021.
3. 2019年, Aggregatibacter actinomycetemcomitans induces detachment and death of
human gingival epithelial cells and fibroblasts via elastase release following leukotoxin-
dependent neutrophil lysis. Microbiol Immunol, 63(3-4): 100-110.
4. 2018年, The ribosomal stalk protein is crucial for the action of the conserved ATPase
ABCE1. Nucleic Acids Res., 46(15): 7820-7830.
5. 2018 年 , Nucleic Acid-Binding Assay of Argonaute Protein Using Fluorescence
Polarization. Methods Mol Biol, 1680: 123-129.
⃝受賞
1. 2019年、第16回 インテリジェント・コスモス奨励賞
2. 2016年、第3回 学長賞(新潟大)
3. 2011年、第27回 井上研究奨励賞
グローカル感染症研究センター
教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 教育マネジメント機構 基盤教育センター・教授
氏 名 岡田 正彦 ( Okada Masahiko )
取 得 学 位 修士(教育学)
、広島大学、1993年3月
S D G s目標
研 究 分 野 社会教育学 生涯学習学
研究キーワード 生涯学習支援 社会教育関係職員 養成・研修 まちづくり
研 究 内 容 1.社会教育関係職員の養成・研修・ネットワーク・キャリアパス形成支援に関する研究
社会教育主事(社会教育士)をはじめとする社会教育関係職員の養成や研修などを通して、
職員が地域の生涯学習支援を有効に行うための学ぶ機会(社会教育主事講習、社会教育関係
職員研修など)を整備する方策について各種プログラムへの参画を行いつつ研究をすすめて
いる。その際社会教育関係職員が効果的に業務を行うためには職員による人的ネットワーク
の形成が重要であることから、各地での生涯学習実践研究交流会などに参画しつつネットワ
ーク形成の支援を検討している。また、社会教育関係職員が社会教育の現場から異動した後
も引き続き社会教育の取組の中で得た知見や人的ネットワークを生かしてキャリアパスを有
効に形成できるよう支援する方策についても検討している。
2.国立大学における生涯学習・地域連携系センターの機能高度化に関する研究
全国国立大学生涯学習系センター研究協議会に加盟して活動しつつ、大学に設置された生
涯学習・地域連携系センターが学内・学外にどのようなネットワークを形成し、どのような
形で地域の生涯学習推進に貢献するかを検討している。
3.地域における生涯学習のまちづくりに関する研究
行政事業やNPOや地域組織の取組を通して人々がニーズや必要に応じて学習し、その成果を
地域で活用し、持続可能で活気やつながりを豊富に持つ地域となるための方策について、社
会教育行政事業(委託事業を含む)やNPO・地域組織などの取組に関与しつつ研究を行って
いる。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
岡田正彦「第3章4 質問紙調査のまとめ」「第4章1・2 秋田県立生涯学習センター 茨城県
水戸生涯学習センター」国立教育政策研究所社会教育実践研究センター『人口減少時代にお
ける生涯学習推進センター等の新たな役割に関する調査研究報告書』2022年3月、52頁、53〜
60頁。
『社会教育主事の養成と力量形成支援・キャリアパス形成支援に関する実証的研究』研究成
果報告書(科学研究費補助金(基盤研究(C))(平成29年度〜令和3年度)
岡田正彦「大学開放推進戦略に関する考察―国立大学開放の効果的推進と社会的インパクト
の向上を目指して―」日本生涯教育学会編『生涯学習社会における高等教育の役割と機能』
(日本生涯教育学会年報第36号),2017年11月,59〜69頁。
岡田正彦「『社会教育主事の養成、力量形成・キャリアパス形成支援に関する調査』結果の
分析―全国国立大学生涯学習系センター協議会の承合事項での調査を受けて―」大分大学高
等教育開発センター『大分大学高等教育開発センター紀要 第10号』2018年3月,115〜127頁。岡田正彦「社会教育主事等指導系職員に対する切れ目のない支援を目指して : 大学生涯学習
系センターの機能向上を手がかりに (特集 大学の生涯学習センター : その今日的役割)」『
社会教育』,2018年9月,6〜11頁。7 教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 教育マネジメント機構 国際教育推進センター・教授
氏 名 坂井 美恵子(Mieko Sakai)
取 得 学 位 M.A. (Japanese pedagogy), University of Wisconsin, Madison, August 1995
S D G s 目 標
研 究 分 野 日本語教育
研究キーワード コロケーション、e-learning、プレゼンテーション、多読
研 究 内 容 1 外国人学習者のコロケーション習得研究とe-learning教材の開発
【内容】コロケーションとは、例えば「人気を博す」のような語と語の特定の結び付きのことである。
コロケーションには多様な組み合わせがあり、日本語学習者にとってその習得は難しく、上級レベ
ルの学習者であっても「*人気を取る」などのような誤った使い方をする。そこで、名詞と動詞のコ
ロケーションの練習ができるe-learning教材の開発をこれまで行い、習得の難しいコロケーション
の特徴を分析する。
2 わかりやすいプレゼンテーションを支援するe-learning教材の開発と実践
【内容】中級レベルの 日本語学習者を対象に、聞き手に配慮したプレゼンテーションにふさわしい語
や表現を提案し、漢語から和語への言い換えや、コロケーションの習得が可能となるe-learning教
材の開発を行ってきた。その教材をさらに発展させ、上級レベルも対象に含め、オンライン上でプ
レゼンテーション原稿の準備ができる教材を開発する。
3 日本語多読教材の開発と学習者の意識変容に関する研究
【内容】多読は近年、外国語教育において注目を集めており、読む速度や語彙の習得など言語能力の
向上、読書習慣の形成などの効果があることが報告されている。しかし、初級学習者用の多読教材
は非常に少ないため、教材開発を行っている。使用する語彙と文法を段階的に制限し、読みやすい
教材を目指している。さらに、多読教育を実施し、効果的な多読の実践方法及び、多読の意義や学
習者の意識変容について考察を行う。
研 究 業 績・
アピールポイント
[論文]
「日本語上級レベル学習者の多読の読書傾向と段階別読み物を読む理由」
(2021)
『九州地区
国立大学教育系・文系研究論文集』Vol.8, No.1: pp.1-11
[論文(共著)]「コロケーション検索システム『かりん』の開発と試行―中上級日本語学習者の試行
結果を比較して―」
(2020)
『大学教育』第17号: pp.13-16
[ 論 文( 共 著 )]「 初 級 学 習 者 用 多 読 教 材 の 開 発 」
(2019)The Proceedings of the 23rd
Japanese Language Symposium in Europe, 24: pp.633-635
[論文(共著)]「日本語学習者向けコロケーション習得モバイルラーニング教材の開発」
(2016)
『CIEC研究会報告集』Vo.7: pp.68-72
[著書(共著)]「コロケーション習得を目指したPC・タブレット用日本語教育学習支援システムの
開発」
(2014)
『最新ICTを活用した私の外国語授業』
(丸善プラネット)第12章: pp.167-178
[科研基盤研究(C)]「日本語学習者のためのプレゼンテーション支援e-learning教材の開発と実践
研究」2019-2023 研究代表者
[科研基盤研究(C)]「わかりやすいプレゼンテーションを支援するe-learning教材の開発と実践」
2021-2024 研究代表者8 教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 教育マネジメント機構・教授
氏 名 竹中 真希子(Takenaka Makiko)
取 得 学 位 博士(学術)
、神戸大学、2005年3月
S D G s目標
研 究 分 野 科学教育,教育工学
研究キーワード 教育方法,STEAM教育,教育におけるICT活用,生活科
研 究 内 容 くろまる「理」を見る力,「理」を解く力の芽を育む生活科の授業開発と評価(代表)
ものの理を追究する力の育成と小学校低学年の生活科で育てる学びの芽との関係について
考究している.そのための「問い」は,具体的な体験や活動を主軸とする生活科の学習に
おいて,「理」を見る力,「理」を解く力の芽をいかに育むことができるかである.
くろまる探究と課題解決・デザイン活動を融合したSTEAM教育カリキュラムの構築と評価(分担)
探究と課題解決・デザイン活動を融合したSTEAM教育カリキュラムの考案,ならびに,
STEAM教育教材の開発を手掛け,DBR(Design Based Research)による実践授業と評価を
実施している.考案するSTEAM教育カリキュラムは,幼稚園,小学校,中学校,高校,高等
専門学校,大学を対象とし,教科横断型でかつ文理融合的に統合した学びのフレームワーク
である.「探究型」の学びである理数系(理学系)科目,「課題解決型」の学びである技術・情
報系(工学部系)科目,「デザイン型」の学びであるアート・ものづくり系(芸術系)科目
を融合し,STEAM教育プログラムの事例を作成する.
研 究 業 績 ・
アピールポイント
竹中真希子・遠藤ももこ(印刷中)×ばつサスティナブ
ル建築」の意義〜授業に参画した建築家へのインタビューより〜,日本科学教育学会年会
論文集,46.
遠藤ももこ・竹中真希子(印刷中)サスティナブル建築を題材にした高等学校美術におけ
るSTEAM教材の開発.大分大学教育学部研究紀要,44(1).
竹中 真希子, 遠藤ももこ(2022)日本の学術雑誌におけるSTEAM教育研究について,日
本科学教育学会研究会研究報告 ,36 (6), 45-50.
遠藤ももこ・竹中真希子(2022)×ばつサスティナブル建築」でのSTEAM教
育における建築家の存在と生徒の領域横断に関する認識,36 (6), 5-8.
竹中真希子・ 辻宏子(2022)小学校生活科の教科書における科学,日本科学教育学会研究
会研究報告 36 (4), 33-36.
江草遼平・竹中真希子(2021)幼児教育における「まちづくり」を題材としたSTEAM教材
に関するパイロットスタディ,日本科学教育学会研究会研究報告,36 (2),41-44.
江草遼平・竹中真希子(2021)幼児教育における「まちづくり」を題材としたSTEAM教材
の開発,日本科学教育学会年会論文集,45,629-630.
竹中 真希子・辻宏子(2021)学術研究にみる小学校生活科における科学的・数理的要
素,日本科学教育学会年会論文集 45, 359-360.
竹中真希子(2021)生活科と中学年以降の学習との関連についての教員志望学生の捉え,
日本科学教育学会研究会研究報告,35 巻 5 号 ,23-26.
竹中 真希子 ・中原久志 ・大野貴雄(2020)数学・物理に関する文系大学生の能力,大
分大学教育学部研究紀要,42(1), 73-84.
竹中真希子(2019)小学校教員志望学生の生活科に対するイメージの変容:生活科指導法の
受講前
後における比較,日本理科教育学会全国大会発表論文集,69,327.9 所 属・ 職 位 Global Education and Intercultural Advancement Center, Professor
氏 名 Kazumi Nagaike(長池 一美)
取 得 学 位 Doctor of Philosophy, The University of British Columbia, May 2005
S D G s 目 標
研 究 分 野 Popular Culture Studies, Gender/Sexuality/Queer Studies
研究キーワード Manga, BL, LGBTQ, Transnationality
研 究 内 容 Her research interests include studies in comparative literature, gender/sexuality,
and popular culture. She is the author of Fantasies of Cross-dressing: Japanese
Women Write Male-Male Erotica (Brill Academic Publishers, 2012) and co-editor of the
collection Boys’ Love Manga and Beyond: History, Culture and Community in Japan
(University Press of Mississippi, edited by Mark McLelland, Kazumi Nagaike, Katsuhiko
Suganuma, and James Welker, 2015), Shōjo Across Media: Exploring "Girl" Practices
in Contemporary Japan (Palgrave, edited by Jaqueline Berndt, Kazumi Nagaike and
Fusami Ōgi, 2019), and Women’s Manga in Asia and Beyond: Uniting Different Cultures
and Identities (Palgrave, edited by Fusami Ōgi, Rebecca Suter, John Lent and Kazumi
Nagaike, 2019); she has also edited special issues of the Journal of Graphic Novels and
Comics (Boys’ Love Manga 4:1, June, 2013) and Transformative Works and Cultures
(Transnational Boys’ Love Fan Studies, no. 12, March, 2013). Nagaike has published a
wide range of journal articles, book chapters, and translations in relation to her ongoing
analysis of gender/sexuality in Japanese literature and popular culture.
研 究 業 績・
アピールポイント
1) Kazumi Nagaike, Fantasies of Cross-dressing: Japanese Women Write Male-Male
Erotica, Brill Academic Publishing, 277pages, 2012.
2) Mark McLelland, Kazumi Nagaike, Katsuhiko Suganuma and James Welker (eds.)
Boys Love Manga and Beyond: History, Culture and Community in Japan, The
University Press of Mississippi, 303pages, 2015.
3) Fusami Ogi, Rebecca Suter, Kazumi Nagaike and John A. Lent (eds.) Women’s Manga
in Asia and Beyond: Uniting Different Cultures and Identities, Palgrave Macmillan,
366pages, 2019.
4) Jaqueline Berndt, Kazumi Nagaike and Fusami Ogi (eds.), Shōjo Across Media:
Exploring "Girl" Practices in Contemporary Japan, Palgrave Macmillan, 397pages,
2019.10教育マネジメント機構
教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 教育マネジメント機構STEAM教育推進センター・准教授 /コーディネーター
氏 名 甲斐 耕司 (KAI KOUJI)
取 得 学 位 学士(理学)、熊本大学、1987年3月
S D G s目標
リサーチマップ
(researchmap)
(注記) 上 記 を ク リ ッ ク
し て く だ さ い
研 究 分 野 STEAM教育,理科教育(物理)
研究キーワード STEAM教育,理科教育,高大連携
研 究 内 容 くろまる小中高生へのSTEAM教育の実践・普及に関する研究
未来社会の創成を担う小学生、中学生、高校生の知的好奇心を高め、豊かな感性を育み、
想像的・創造的に未来を拓き、よりよい社会を導く原動力となるようなSTEAM教育プログラ
ムの提供にかかる研究を目指しています。
STEAM教育推進センターの一員として、大分県内におけるSTEAM教育の充実を図り、グロ
ーバルな視野で社会課題を解決、先端技術分野で活躍できる未来の人材の育成を目指し、小
学生、中学生、高校生を対象のSTEAM教育実践プログラムを大分大学の各学部や大分県教育
委員会との協働・連携、企業や行政とも連携して展開していきます。
くろまる大学生へのSTEAM教育の充実に関する開発
社会変革を創生する人材、世界と地域をつなげるグローカル人材の育成につながるSTEAM
教育の充実を目指し、文系理系に関わらず、教育学部、経済学部、医学部、理工学部、福祉
健康科学部の全学生が受講できる教養教育科目として、DBER(discipline-based education
research)の知見に基づいたSTEAM教育新規科目の開発、STEAM教育科目の履修推進のための
ガイダンスについても開発を図っていきます。
また、大学生や大学院生が、STEAM教育において、小学生、中学生、高校生の学びを支え
るメンターとして活躍ができる人材の輪の形成を目指した開発を進めていきます。
くろまる女子中高生の理系進路選択の支援に関する開発
多様性の時代、女性の活躍はますます期待が高いものとなっています。STEAM教育推進セン
ターの一員として、大分大学理工学部をはじめとする各学部、大分大学ダイバーシティ推進
本部と連携し、女子中高生の理系進路選択の支援に取り組み、さらに、オールおおいたで創
る地域創成を目指す「おおいた地域連携プラットフォーム」と協働・連携することで「リケ
ジョ」育成教育を地域全体で支える環境の整備を実現に努めていきます。
(注記)関連リンク
大分大学教育マネジメント機構
STEAM教育推進センター
https://www.steam.iem.oita-
u.ac.jp/project/
研 究 業 績 ・
アピールポイント
STEAM教育推進センター専任コーディネータ(連携担当)として、小・中・高等学校との
連絡調整、県・市教育委員会との連絡調整などから事業の推進に携わっています。11 教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 教育マネジメント機構STEAM教育推進センター・講師
氏 名 佐藤 尚倫(Sato Takamichi)
取 得 学 位 博士(理学)、早稲田大学、2022年3月
S D G s目標研 究 分 野 幾何学(幾何学的群論)
研究キーワード Richard Thompsonの群、区分線型同相写像群、Schreier graph
研 究 内 容 くろまるRichard Thompsonの群に関する研究
数学の幾何学的群論と呼ばれる分野で、無限(離散)群を対象として研究を行っています。
「群」は数学や物理学の至るところで現れる代数的対象であり、その概念自体は約200年前ガ
ロアによって明確に把握されていたといわれています。現代では、群の定義は簡潔に述べる
ことができるのですが、その定義を満たす例は実に豊富で様々であることが知られていま
す。中には、複雑怪奇で代数的視点のみからでは構造や性質を解明し難い群も数多く存在し
ています。そのような群のうち、Richard Thompsonの群と呼ばれる有限生成無限群を主な対
象として、幾何学的群論の立場(群を図形や空間といった幾何学的対象へ作用させ、その作
用を通じて元の群を研究する)から、その性質と構造を解明する研究を行っています。ま
た、幾何学的群論において群作用の対象として現れる空間の諸性質を、工学に現れる種々の
離散システムの解析に応用することにも関心をもっています。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
1. T. Sato, Direct decompositions of groups of piecewise linear homeomorphisms of
the unit interval, Internat. J. Algebra and Comput. 32 (2022), No. 2, 289-305.
2. T. Sato, Geometric description of Schreier graphs of B-S groups, Sci. Math.
Jpn. 83 (2020), no. 3, 191-209.12 所 属・ 職 位 教育マネジメント機構国際教育推進センター・講師
氏 名 西島 順子(Nishijima Yoriko)
取 得 学 位 博士(人間・環境学)
、京都大学、2021年7月
S D G s 目 標
研 究 分 野 外国語教育学、日本語教育学
研究キーワード 言語政策、複言語・複文化主義
研 究 内 容 ⃝
イタリアの複言語主義の歴史的変遷に関する研究
現在、言語教育において一般的に理解されている複言語主義(plurilingualism/plurilinguisme)
とは、
欧州評議会が推進する言語教育の理念である。しかし、
それとは政治的に異なる文脈において、
また欧州評議会がそれを発表する20年以上前に、1970 年代のイタリアではplurilinguismoが論じ
られ、それに基づくeducazione linguistica democratica(以下、民主的言語教育)と称する言
語教育改革が進められていた。この民主的言語教育を提唱した言語学者De Mauroの言説を中心に、
イタリアにおけるplurilinguismoの萌芽から言語教育の実践まで明らかにした(論文2,3,4)。⃝
イタリアのplurilinguismoに基づく移民児童への教育政策に関する調査・分析
現在、イタリアではplurilinguismoは欧州評議会の複言語主義と同義で用いられている。その理由
は、1980年代以降の移民生徒の増加や、1990年代からの欧州評議会の言語政策の影響の下で、次
第に欧州評議会の提唱するplurilinguismoと一元化していったからである。しかし、イタリアで創出
されたplurilinguismoの理念を包摂する民主的言語教育は、De Mauroの政治的助力もあり、教育法
の改正時にたびたび影響を与え、継承されていった。その変遷の中で、学校で移民に対峙する教師
がplurilinguismoの概念をいかに教育現場に還元し、教育実践を行ったかを調査している。⃝日本語教育に関わる実践研究
日本語教育へCEFRの実践研究として、言語ポートフォリオがアジア人日本語学習者の自律学習に
与える効果の検証や、アカデミック・ジャパニーズ領域における口頭表現の Can do statementsの
構築の試作を行った(論文5)
。また、調査研究として、ドイツと日本の日本語教師のアセスメントの文
化的差異の分析を行った(論文1)。研 究 業 績・
アピールポイント⃝論文
1.「日本語教師の成績評価に関する日独間の文化的差異―評価ビリーフの質的調査― 」濵田朱美, 西
島順子,Japanisch als Fremdsprache 7,85-107,2021年3月
2.「近現代イタリアにおける言語状況と言語政策の展開 : トゥッリオ・デ・マウロの民主的言語教育
の創出まで 」西島順子,
『日伊文化研究』58,64-76,2020年3月
3.「イタリアにおけるplurilinguismoの歴史的変遷―1975年の民主的言語教育の提言まで―」西島
順子,
『言語政策』(15),105-129,2019年3月
4.「1970年代のイタリアにおける民主的言語教育の構築―トゥッリオ・デ・マウロの構想した言語
教育とplurilinguismo―」西島順子,
『人間・環境学』(27),153-167,2018年12月5.「アカデミックな場における対話型口頭表現能力のCan-do statementsを用いた枠組み作成の試
み」西島順子,
『同志社大学 日本語・日本文化研究』(11),69-90,2013年2月13教育マネジメント機構
所 属・ 職 位 研究マネジメント機構・教授(グローカル感染症研究センター兼任)
氏 名 一二三 恵美(Hifumi Emi)
取 得 学 位 博士(工学)
、九州大学、2001年12月
S D G s 目 標
研 究 分 野 生命科学、生物工学、抗体工学
研究キーワード 抗体酵素、抗体、ウイルス、がん
研 究 内 容 抗体は高い抗原分子認識能を持つけれども、
酵素的機能は持たない。一方、
酵素は標的分子(基質)
を分解できるが、分子認識能は抗体に比べるとはるかに低い。一二三らは、両者の機能を併せ持つ
抗体軽鎖を発見したことを端緒とし、抗原分解能を有する抗体鎖(
「スーパー抗体酵素」と名付けた)
の基礎、および応用研究を進めている。基礎研究としては、スーパー抗体酵素が自然の免疫機構の
中で生じる理由の解明や効率的作製法の開発、応用研究としては、インフルエンザウイルス ・狂犬
病ウイルスなどの悪性ウイルスやピロリ菌、がん細胞に対するスーパー抗体酵素の作製に取り組ん
できた。その中で3次元構造が抗体分子と同様に構造多様性を持つことが明らかとなり、製造上大き
な障壁となると考えられた。そこで、この課題解決に取り組み、 精製過程で銅(II)イオンを適切に用
いることで解決した。この内容をまとめたReviewは今でも多くの研究者に読まれている
(Antibody
Engineering, 2018)。 一方、 最近では、スーパー抗体酵素の作製に要する労力・時間の軽減に取り組み、これを大幅に
短縮する新しい技術の開発に成功した(Science Advances, 2020)
。これは、世界中で作製され
てきた何万種類という抗体にも適用可能な手法であり、抗体を容易にスーパー抗体酵素に変換する
革新的手法である。海外からも高く評価されている。
現在の研究テーマ:
(1) 
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの保存領域に対する「スーパー抗体酵素」の
作製(2) 
がんや認知症に関連する複数のタンパク質を標的にしたハイブリッド型抗体酵素の設計と作製(3) 抗体酵素分子のドメインスワッピングと機能向上に関する研究
研 究 業 績・
アピールポイント
上記関連論文1. Review/Structural diversity problem of antibodies and catalytic antibody light
chains and the solving method, E. Hifumi et al., Chapter 10, (pp231-257) Antibody
Engineering, 2018, (InTech publishers) DOI: 10.5772/652382. A new algorithm to convert a normal antibody into the corresponding catalytic
antibody. E. Hifumi et al., Science Advances, 6(13), eaay6441(2020). DOI:
10.1126/sciadv.aay6441 IF: 13.1
関連する研究費(研究代表者:一二三恵美)
1. 科学研究費助成事業・基盤研究A 「完全抗体をスーパー抗体酵素に変える革新的技術の開
発」
(H28〜R1)
2. 科学研究費助成事業・挑戦的研究(萌芽)ガン関連タンパク質の働きを同時に制御するハイブ
リッド抗体酵素の開発(R2〜R4)
3. 科学研究費助成事業・挑戦的研究(萌芽)ウイルスと受容体の双方を標的とした機能性ナノ分
子の開発(R5〜R6)
4. 科学技術振興機構・未来社会創造事業「大気中のウイルス(インフルエンザウイルスや新型コロ
ナウイルス)を無力化する革新的感染予防システムの開発(R1~R3)
研究マネジメント機構14 所 属・ 職 位 研究マネジメント機構 産学官連携推進センター 知的財産管理部門・教授
氏 名 松下 幸之助(Matsushita Konosuke)
取 得 学 位 博士(工学)
、新潟大学、2002年 9月
S D G s 目 標
研 究 分 野 給排水設備、ユニバーサルデザイン、植物工場、オープンイノベーション
研究キーワード 衛生器具、排水システム、排水処理、介護支援ロボット、月面農場、知的財産
研 究 内 容 ⃝ 
水回りのユニバーサルデザインを実現するための給排水設備機器の実現
給排水設備機器の新機能を実現するための要素技術の研究ならびにそ
の成果を搭載した排水処理システムや水回り用家電商品、介護支援ロ
ボットなどを商品化(37商品群)
【主な製品】
・ディスポーザ生ごみ処理システム
・ベッドサイド水洗トイレ
・浴室暖房換気装置・手指温風乾燥機
・ベビーチェア・ベビーシート・フィッティングボード
⃝ 
アジアにおける建築設備調査 建築設備の専門家集団による調査団を結成して、アジアにおける建築設備の実態を調査研究し、
現地大学との共同研究と人材育成のための活動を推進中。給排水設備担当として、インドネシア・
ベトナム・カンボジア・中国・台湾・ミャンマー・ネパールの各国に対して日本の建築設備技術
を海外展開するための人材ネットワークを構築中。
⃝ 
難分解性有機物分解・病原性微生物失活技術の社会実装
・新規考案の電気化学処理による水処理システムの研究・液中の難分解性有機物および微生物(細菌・カビ・藻類)
の無農薬殺菌・失活技術を組み込んだ応用機器の研究→植物工場、月面農場(JAXAと共同研究中)
、陸上養殖、
安全な給水設備機器への応用
⃝ 
AI・IoT分野における知的財産マネジメント 内閣府の委員会でオープンイノベーションにおけるプロ
ジェクトマネジメント、データ類の知的財産権上の扱いと
流通方法、日本版バイ・ドール法への対応、オープンイノ
ベーションにおける利益相反マネジメントなどの制度設計
に関する研究を推進
研 究 業 績・
アピールポイント
⃝ 知的財産権 特許出願122件(うち、権利化35件)
、商標 3件
⃝ 論文 1. 
2013年、Study on the Method of Connecting to the Gravity Drainage System
of Bedside Flush Toilet, Paper of CIB W062
2. 2016年、島根大学における知的財産創活教育、日本弁理士会、パテント
⃝ 受賞 1. キッズデザイン賞 少子化対策担当大臣賞(キッズデザイン協議会)
2. 日本ロボット大賞サービスロボット部門 優秀賞(経済産業省)
3. 日経優秀製品・サービス賞 日経MJ賞 最優秀賞(日本経済新聞社)
4. 設備器具・システムデザイン部門最優秀賞(建築設備綜合協会)
5. JSEE AWARD(日本工学教育協会)
⃝ プロジェクト 内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
「AIホスピタル」
JAXA 宇宙探査イノベーションハブ TansaXチャレンジ
ベッドサイド水洗トイレ
月面農場のイメージ
AIとIoTを実装した医療システム15研究マネジメント機構
所 属・ 職 位 研究マネジメント機構 産学官連携推進センター 産学官連携部門・准教授
氏 名 小川 領一(Ogawa Ryoichi)
取 得 学 位 博士(学術)
、鹿児島大学、2008年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 開発学、廃棄物管理
研究キーワード プロジェクトマネジメント、ソーシャルビジネス、廃棄物管理、産学官連携、国際協力
研 究 内 容 ⃝ 
開発途上国の廃棄物管理に関する調査・分析- スリランカ国西部州における廃棄物管理計画(マスタープラン)策定支援プロジェクト(国
際協力機構 2019年3月 - 2021年3月)- ラオス国廃棄物管理セクターに係わる情報収集確認調査(国際協力機構 2019年2月 - 2021
年2月)- モロッコ国国家都市廃棄物処理戦略策定プロジェクト(国際協力機構 2018年4月 - 2019年
11月)- モロッコ国ティズニット市及び周辺コミューンにおける廃棄物管理能力向上プロジェクト
(国際協力機構 2013年9月 - 2016年2月)- キューバ国ハバナ市廃棄物管理能力向上プロジェクト(国際協力機構 2009年9月 - 2013年
6月)- 北米・中南米地域中米カリブ地域廃棄物管理分野情報収集・確認調査(国際協力機構 2012
年8月 - 2012年9月)- スリランカ国廃棄物処分場における汚染防止と地域特性を活かした修復技術の構築プロジェ
クト 詳細計画策定調査(国際協力機構 2010年10月 - 2010年11月)- 大洋州地域における日本の廃棄物管理分野協力の事例調査(国際協力機構 2009年1月 -
2009年3月)- モンゴル国ウランバートル市廃棄物管理強化計画詳細計画策定調査(国際協力機構 2008年
12月 - 2009年1月)- 中華人民共和国循環型経済推進プロジェクト第1次事前調査(国際協力機構 2008年3月 -
2008年4月)
⃝ 
空き家問題を対象とするソーシャルビジネスに関する調査、事業- 農林水産省農山漁村振興交付金(農泊推進対策)事業(清水地域資源活用協議会 2020年4
月 - 2021年3月)
研 究 業 績・
アピールポイント
⃝ 
小島嶼開発途上国におけるプラスチックごみの現状と課題 小川領一, 河合渓 日本島嶼学会大会
研究発表要旨集 2019 2019年
⃝ 
小島嶼開発途上国と持続可能な開発目標(SDGs)~フィジー沿岸域の集落から排出される生活
ごみに着目して~ 小川領一, 河合渓 2018 2018年
⃝ 
開発途上国の島嶼地域における廃棄物管理の現状と課題―キューバの事例を中心として―
⃝ 
小川領一 日本島嶼学会大会研究発表要旨集 2016 2016年
⃝ 
開発援助における小規模社会基盤整備と住民組織 地域政策科学研究(4)17-32 2007年2月
⃝ 
小規模社会基盤整備における住民参加型プロジェクトのマネジメント―コミュニティのソー
シャル・キャピタルに着目して― 南太平洋研究 27(2)37-52 2007年
⃝ 
スワジランド国農村環境改善事業の検証--住民参加型プロジェクトの効率的な運営方法について
の一考察 地域政策科学研究(3)147-170 2006年2月
⃝ 
保有資格- 技術士(衛生工学部門 廃棄物管理計画)
、専門社会調査士
研究マネジメント機構16 研究マネジメント機構
所 属・ 職 位 研究マネジメント機構 研究支援センター 機器分析部門・准教授
氏 名 西口 宏泰(Nishiguchi Hiroyasu)
取 得 学 位 博士(工学)
、大阪府立大学、1994年3月
S D G s目標
研 究 分 野 材料化学 触媒化学 光化学 分析科学 地域資源・評価
研究キーワード グリーンプロセス、表面処理、物資変換、新規機能性材料
研 究 内 容 くろまる耐熱性、耐摩耗性に優れた傾斜機能材料の開発に関する研究
金属拡散滲透法は材料の機械的強度を殆ど劣化させずに材料表面に極めて密着性が良好で
、しかも、耐高温酸化性・耐食性・耐摩耗性に優れた合金層を提供することが可能です。そ
の中にカロライジング処理というものがあり、通常、カロライジング処理は還元雰囲気ある
いは真空下で処理する必要がありますが、最近、大気中でも同処理が進行することを見出し
たので大気雰囲気での表面処理技術の展開とメカニズムの検討を行っています。
くろまるグリーンプロセスを指向したペロブスカイト、ペロブスカイト類縁体の合成
ペロブスカイト型化合物(ABO3型化合物)はそのAサイト、Bサイトへの他元素のドープに
よって原子価制御が可能で酸素イオン伝導性やその他の物性を大きく変化させることが可能
な物質です。また、ペロブスカイト化合物は耐熱性にも優れるので高温環境下で安定的な作
動を要求される触媒反応に対して他の酸化物と比較して有利です。グリーンプロセス〔酸素
吸蔵、NOx分解 酸素透過、炭化水素からの水素製造等〕を指向した化合物の合成と高非表
面積化について検討しています。
くろまる新規機能性無機材料の開発―各種(貴)金属微粒子分散新規ナノコンポジットの開発とその
応用― 安全・安価・グリーンな糖類の熱分解(還元剤)として用いる金属微粒子作成法
を応用・改良したプロセスは水溶性の金属前駆体であれば種類によらず合成可能であり、2
種類以上の金属の複合化が容易で合金微粒子を合成可能であることを見出したので、新規金
属ナノ粒子-炭素ナノコンポジット(複合材)の開発を行っています。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
2022 年 Role of the Hydroxyl Groups Coordinated to TiO2 Surface on the Photocatalytic
Decomposition of Ethylene at Different Ambient Conditions. P. Rychtowski, B.
Tryba , A. Skrzypska, P. Felczak, J. Srenscek-Nazzal, R. Jan Wróbel, H. Nishiguchi
and M. Toyoda . Catalysts 386 2-19 2022.
2020 年 Applying the ensemble averaging method with a pressure–velocity sensor to
measure sound absorption characteristics of porous clay bricks. Applied Acoustics,
164, 107250, 1-10, 2020.
くろまる特許
2018年、金属基材の表面処理方法 特許 第6274530号,
2010年、金属ナノ粒子-炭素複合体、これによる触媒、ならびにこれを用いたナノカーボン
類の製造方法およびナノカーボン類 特許 第4590643号
くろまる著書
2005年、固体表面キャラクタリゼーションの実際、 田中庸裕・山下弘巳 編、講談社サイエ
ンティフィク、(分担執筆 第14章-1)
くろまる受賞
2003年、「Fe,Sr添加LaGaO3系酸化物を酸素分離膜に用いた膜型反応器によるCH4部分酸化
反応」、石油学会論文賞17 所 属・ 職 位 学術情報拠点情報基盤センター・教授
氏 名 吉崎 弘一(Yoshizaki Koichi)
取 得 学 位 博士(理学)
、東北大学、2001年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 教育工学,計算機システム
研究キーワード 学習支援システム, eラーニング
研 究 内 容 【オンラインの学習活動を可視化するデジタル学習環境の構築と運用】
オンライン授業では教授者の目の前に学習者がいないため、学習者ごとの学習状況の把握が一般に
困難である。このことは個々の学習者に適応させた学習指導や課題設定が難しいだけに留まらず、
履修放棄者の抑制等への対策を考える上でも大きな課題となっている。このような現状に対して本
研究では、1)既開発のWebシステム・ブラウザ拡張機能を連携して学習支援システムの管理外の
Webページ上の学習活動も記録し、2)学習記録に基づき学習状況の分析をした上で、3)分析結果
をWebページ上で可視化及びシステム利用者にプッシュ通知することで、教授者・教育機関の担当
者が学習状況を把握しやすいデジタル学習環境を構築する。
【Web APIでデータと機能を連携する学習プラットフォームの開発】
本研究では、教学を支援する複数のWebシステムが標準的なWeb APIを介して連携する学習プラッ
トフォームを開発する。プラットフォームの構成要素は、履修情報等を管理する学務情報システム、
学習活動を管理する学習支援システム、及びそれらの効率的な利用を支援する名簿管理システムと
利用申請システムである。学務情報システムは、国際標準規格IMS OneRosterに準拠したCSVファ
イルで履修情報等のデータを提供する。本研究で開発した名簿管理システムで、そのデータをIMS
OneRoster規格に準拠したREST APIで提供する。学習支援システムからこのAPIにアクセスする
ことで、効率的なデータ連携ができることを確認した。
【協調キュレーション機能を持つ学習支援システムの開発と能動的学習での実践評価】
Web上には学習に利用できる学習資源が数多く存在するが、広く分散するこれらを効率的に引用し
ながら学習者の視点で整理・記載したドキュメントを、他の学習者や教員と共有して評価するWeb
システムは見当たらない。本研究では学習者が様々な学習資源を引用・整理・共有・評価するため
の協調キュレーション機能を、本研究代表者・分担者が開発してきた学習支援システムLePoに追加
実装することで、Webを活用する新たな形態の能動的学習を可能にした。このキュレーション機能
を大学の論文執筆指導の授業で用い、同機能の実践評価を行った。その結果、同機能を用いて論文
執筆を支援した実験群では、より明確な構成と論旨展開を持つ論文になることが示唆された。
研 究 業 績・
アピールポイント
◦ 
科研費基盤研究(C)2021-2023: オンラインの学習活動を可視化するデジタル学習環境の構
築と運用(研究代表者)
◦ 
科研費基盤研究(B)2021-2023:
「幼児の遊びを止めない!」幼児教育でのICT活用フレーム
ワークの構築(研究分担者)
◦ 
科研費基盤研究(C)2017-2020:Web APIでデータと機能を連携する学習プラットフォーム
の開発」
(研究代表者)
◦ 
"RosterHub: Open-Source Roster Management System for Interoperability of
Educational Systems", Koichi Yoshizaki, Junmi Nakashima, Proceedings of E-Learn:
World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher
Education, ISBN 978-1-939797-45-2, pp. 891-896, 2019
◦ 
科研費基盤研究(C)2014-2016: 協調キュレーション機能を持つ学習支援システムの開発と
能動的学習での実践評価(研究代表者)
◦ 
"LePo: An Open-Source Learning Management System with Text Annotation and
Content Curation Functions",Koichi Yoshizaki, Hiroshi Hotta, The IAFOR International
Conference on Technology in the Classroom - Hawaii 2017 Official Conference
Proceedings, ISSN: 2432-1222, pp. 21-28, 201718学術情報拠点
減災・復興デザイン教育研究センター
所 属・ 職 位 減災・復興デザイン教育研究センター・教授
氏 名 鶴成 悦久(Tsurunari Yoshihisa)
取 得 学 位 博士(学術)
、鹿児島大学、2016年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 土木工学分野における空間情報工学,海岸環境工学,災害情報学
研究キーワード 防災・減災,環境,地形・地質,流域,海岸,空間情報,GIS,UAV(ドローン)
研 究 内 容 ⃝ 
防災・減災における空間情報の高度活用に関する研究  近年の地震活動に加え,豪雨災害を含めた大規模な自然災害
は我が国が抱える大きな課題でもある。過疎高齢化が著しく進
行し,多くの地方自治体で平時の防災対策や災害時対応,災害
復旧や復興過程で安全・安心な地域づくりの達成ができるか危
惧される。そこで災害情報を災害時対応の高度化に繋げ,
復旧・復興過程に空間情報技術を活用した,災害支援に関する研究を
行っている。
⃝ 
地域防災・減災の向上に関する調査研究  自然災害が多発する今日において地域防災の向上を目指した
防災・減災の施策は極めて重要である。とりわけ気候変動に伴
う土砂災害は近年その発生頻度とともに甚大な被害が各地で発
生している。そのためリスクマネジメントからクライシスマネ
ジメントの各段階において地域課題を抽出・可視化し,地域防
災・減災に資する実践的な研究を行っている。
⃝ 
河川流域・沿岸環境の保全と生態系を取り巻く環境モニタリングの研究  多様性に富む沿岸の水圏域環境は,里山を源流域とする河川が流域の栄養塩を沿岸域に供給し,
沿岸域の一次生産や生態系を維持する。そこで流域及び沿岸の生態系を取巻く環境の変化を定量
的に把握するための新たな環境モニタリング手法を開発・応用し,河川流域から沿岸環境の調査
と評価,情報の可視化に関する研究を行っている。
研 究 業 績・
アピールポイント
減災・復興デザイン教育研究センターでは多様化かつ複合的な災害への対応を目指し,産学官がも
つ多種多様な防災・減災に関するデータを統合させ,機械学習・AIによる先端技術を活用したデジタ
ル技術により新たな防災・減災拠点「災害情報活用プラットフォーム(EDiSON :Earth Disaster
Intelligent System Operational Network)
」の研究開発を行っている。EDiSONでは地域や地方
公共団体が抱える防災・減災に関する様々な課題把握や,空間情報を活用したリスク認知や課題の
可視化を通じ,地方公共団体への災害対応の高度化,防災教育・地域防災活動の支援と教育体制の
強化,事業継続計画(BCP)をはじめとする事業者への災害対応支援を目指している。
本研究では大分県をはじめ民間企業や放送事業者と連携した研究開発事業を進めており,一部の
機能は令和2年7月豪雨でも活用された。令和3年度においては大分県とともに防災に関する情報の
システム連携を進め,大分県防災の高度化に向けた様々な実証実験を実施している。プロジェクト
では災害対応から情報共有,そして防災教育に至るまでの災害サイクルに対応した一元的な支援シ
ステムの構築を目指している。
災害情報活用プラットフォームEDiSON19 地下円形空洞を有する
地盤の破壊メカニズム
海藻が繁茂した藻場基盤材
土壌水分センサー設置
減災・復興デザイン教育研究センター
所 属・ 職 位 減災・復興デザイン教育研究センター・准教授
氏 名 山本 健太郎(Yamamoto Kentaro)
取 得 学 位 博士(工学)
、熊本大学、1998年3月
S D G s目標
研 究 分 野 地盤工学、地盤防災工学、地盤環境工学、生態学
研究キーワード 防災&減災・現場試験・低環境負荷・藻場基盤材・斜面・数値解析・防災&環境教育
研 究 内 容 くろまる斜面災害を低減するためのリスクマネジメント手法に関する研究
実際にフィールドに出向き、気候変動の影響を大きく受ける地盤災
害・環境問題を解決するための応用技術の研究・開発に取り組む(論
文3)。
くろまる産業廃棄物リサイクルマテリアルなどを有効活用した低環境負荷
藻場基盤材の開発
陸域では産業廃棄物による環境問題が生じている。陸域での環境
負荷を減じつつ、沿岸海域の環境改善を図るため、リサイクル材を
活用した藻場基盤材の開発を試みている(論文5)。
くろまる基礎地盤、斜面あるいは地下空洞の安定解析(地盤構造物の安定性
評価)
地盤工学は地盤を対象とする学問分野のため、取り扱いが
難しい分野です。それらに対して、数値解析、理論解析や土
質実験を行い、現象の解明や新しい設計手法の提案などを
試みています(論文1.2.4)。
くろまる斜面崩壊危険斜面での雨の降り方と降雨浸透の現場モニタリング
と斜面崩壊危険度予測手法の提案
崩壊の可能性のある層(表層土)が、降雨により飽和すれば危険
度が高まると考えられることから、雨の降り方と崩壊の可能性のあ
る層の飽和度の関係を明らかにし、危険度をリアルタイムに予測す
る手法を開発する。
研 究 業 績・
アピールポイント
現地調査や現場試験を主とし、降雨浸透の現場モニタリングと斜面崩壊危険度予測、地盤の数
値解析やリサイクル材を活用した藻場基盤材開発など、幅広く実施してきています。
くろまる論文
1.2011年、Stability of a circular tunnel in cohesive-frictional soil subjected to
surcharge loading, Computers and Geotechnics 38(4), pp.504-514
2.2011年、Stability of a single tunnel in cohesive-frictional soil subjected to
surcharge loading, Canadian Geotechnical Journal 48(12), pp.1841-1854
3.2021年、大分県中津市耶馬溪地域に多発する斜面崩壊とその特性, 第14回環境地盤工学シン
ポジウム論文集, pp.469-476
4.2023年、載荷重を受けた摩擦性地盤における幅狭となる地下空洞の安定性, 第10回構造物の
安全性・信頼性に関する国内シンポジウム(JCOSSAR 2023)論文集(A論文), J-STAGE掲載
5.2023年、Development of environment-oriented base materials for seaweed beds by
recycled materials, Journal of Material Cycles and Waste Management, Springer,
Published: 05 September 2023
くろまる受賞
1.2011年、Editor’s Choice, Canadian Geotechnical Journal, for paper Stability of a
single tunnel in cohesive–frictional soil subjected to surcharge loadingなど20 減災・復興デザイン教育研究センター
所 属・ 職 位 減災・復興デザイン教育研究センター・講師
氏 名 三﨑 貴弘 (Misaki Takahiro)
取 得 学 位 博士(工学)、前橋工科大学、2010年9月
S D G s目標
研 究 分 野 河川工学、河川生態学、防災・減災計画、生態リスク評価
研究キーワード 調査、数値計算、災害、防災・減災、統計学、河川底生動物、化学物質
研 究 内 容 くろまる災害の発生要因の特定とその対策効果に関する研究
近年気候変動等の影響により、日本各地で豪雨による河川
氾濫や土砂災害が発生し、これら災害に対して対策を実施し
ていくことが課題である。実際に発生した河川での洪水氾濫
や土砂災害等を調査し、その発生要因について数値計算を用
いて検証している。また、発生要因に関する対策を実施した
場合の効果についても検証し、行政への提言等の社会基盤整
備に関する研究を行っている。(論文1.)。
くろまる地域の防災・減災力の向上に関する研究
災害の激甚化や頻発化により、災害に対する社会基盤のハ
ード対策だけでは住民の安全を確保に限界があるために、被
害を減少させる避難を促すソフト対策と合わせた地域の防災
・減災力の向上が課題である。地域の防災・減災力の向上の
ために、地域での過去の災害、地域の課題の抽出、避難方法
等の方策と住民にいかに伝えていくか、地域の合意形成によ
る計画づくりに関する研究を行っている(論文2.)。
くろまる河川底生動物群集を用いた生態リスク評価に関する研究
日本では、水道水源の多くを河川に依存しているが、その源
水となる河川生態系への影響に関する知見が少ない。統計的
な手法を用いた河川の生態リスク評価(論文3.)やその手
法を構築し、生物種の95%を保護することができる濃度(5%
影響濃度)の推定等の具体的な目標数値を設定することで、
河川生態系を保全することが可能となる。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
河川を中心に洪水氾濫や土砂災害や社会資本整備の防災・減災計画、及び河川生態系の保
全に対して、野外調査、数値計算、統計学の手法を用いて、要因の解明とその対策に関する
研究を行っている。NPO法人、水辺の楽校、国立研究開発法人、建設コンサルタンツでの勤務
の経験があり、研究者の視点と併せて行政に積極的に携わっていきたいと考えている。
くろまる論文
1.富田ら(2020年)令和元年東日本台風での越辺川と都幾川の洪水位の再現と樹木管理に
よる水位低減効果の検討. 土木学会論文集 B1 (水工学), 76(2), pp.I_523-I_528.
2.田中ら(2020年)土砂災害に備える観点からの地区防災計画事例の比較研究. 地区防災
計画学会誌 第19号,pp.35-57.
3.三崎(2021年)粕川における重金属による河川底生動物群集への影響. 土木学会論文
集 G (環境), 77(4), pp.122-131.21生態リスク評価のイメージ
過去の土砂災害の情報共有
水位低下の検証イメージ
減災・復興デザイン教育研究センター
所 属・ 職 位 減災・復興デザイン教育研究センター・助教
氏 名 岩佐 佳哉(Iwasa Yoshiya)
取 得 学 位 博士(学術)、広島大学、2023年3月
S D G s目標
研 究 分 野 自然地理学、変動地形学、古地震学
研究キーワード 表層崩壊、活断層、変動地形、豪雨災害、GIS、SLAM技術、防災教育
研 究 内 容 ・
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる表層崩壊の発生履歴に関する研究:複数回の表層崩壊の分布を把握し、その位置関係や地
形条件を検討することで、一定期間において表層崩壊が再発しうるか、微地形の形状はどの
ように変化しうるかを解明している。
くろまる活断層の位置・活動履歴の解明:活断層の詳細な位置を解明するとともに、その活動履歴
に基づいて活断層の活動特性を明らかにしている。
くろまる地理情報を活用した防災・減災教育の実践:上記の自然地理学的手法により得られた情報
を活用し、災害の発生リスクを具体的に捉えることのできる防災・減災教育を実践している。1945(昭和20)年枕崎台風と2018(平成30)年7月豪雨に伴う斜面崩壊の分布からみた斜面
崩壊の免疫性(2022)、熊本県西原村小森におけるトレンチ掘削調査に基づく布田川断層帯
の活動履歴(2022)など
所 属・ 職 位 減災・復興デザイン教育研究センター・助教
氏 名 福田 昌代(Fukuda Masayo)
取 得 学 位 博士(学術)、千葉大学、2023年3月
S D G s目標
研 究 分 野 ランドスケープ学、都市計画
研究キーワード 地域マネジメント、土地利用管理、減災・復興、コミュニティ
研 究 内 容 ・
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる農山漁村地域のレジリエンスに関する研究:農山漁村地域の住民は、自然の営みとともに
ある暮らしの中で、災害リスクの捉え方や災害からの回復力を身に着けてきたと考える。こ
れら研究をすることで、自然と調和した地域づくりや暮らし方を探る。
くろまる人口減少地域の土地利用マネジメントに関する研究:地域コミュニティや生業、土地など
の地域資源に加え、関係人口などの地域外の資源も活用した人口減少下における持続的な土
地利用管理の手法を研究する。
くろまる減災・復興まちづくりにおける異なる主体の関係づくりに関する研究と実践:減災社会の
構築に向けた住民、コミュニティ、国・県・市町村の各主体の役割分担や連携体制のあり方
を研究するとともに、減災・防災教育を実践する。
〇主な研究:東日本大震災後に発生した地域外通い漁業の実態に関する研究 宮城県漁業協
同組合石巻市東部支所の漁業者を対象として(2022), 原発被災地における住民
の避難・居住地選択の実態(2022)など22 保健管理センター
所 属・ 職 位 保健管理センター・教授
氏 名 工藤 欣邦(Kudo Yoshikuni)
取 得 学 位 博士(医学)
、大分医科大学、1994年3月
S D G s目標
研 究 分 野 大学保健管理
研究キーワード 大学生 健康管理 感染症対策 教育啓発活動
研 究 内 容 1.大学生の新型コロナワクチン接種に関する実態調査(2022年)
大学生を対象とした新型コロナワクチン接種に関する実態調査を行った。2022年6月の時点
で3回接種していた学生は、男性50.3%、女性63.1%であり男性の割合が有意に低かった。ワク
チンを接種した本学学生のうち男性の50.0%、女性の55.0%が「接種してよかった」と回答し
た。理由として、男女ともに「新型コロナウイルス感染症に感染するリスクやかかった時の
重症化のリスクを低下させることができるから」が最多であった。3回とも同じ製薬会社のワ
クチンを接種した学生について接種後の副反応を調査した結果、何らかの副反応を認めた学
生の割合は2回目の接種時が最も高かった。2回目接種時の副反応の頻度を男女別にみると、
多くの副反応において女性の方が高かった。また、副反応により日常生活に支障をきたした
学生の割合は、ファイザー社製ワクチンと比較してモデルナ社製ワクチンの方が高かった。
今後、学生に対してワクチン接種を推奨する上で、ワクチン接種に関する実態を周知させ、
その安全性や副反応を十分に理解させた上で、最適と思われる接種方法を学生自身が選択で
きるような教育啓発活動の強化が重要と考えられた。
2.第7波・第8波流行下でCOVID-19に罹患した学生とその濃厚接触者となった学生の実態
調査(2023年)
世界規模で蔓延する新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、日本においても多
くの感染者が出ている。大学生は自由度や活動性が高く、COVID-19に罹患する危険性の高い集
団である。本邦では2022年7月頃より変異株BA.5による感染が主流となった第7波が襲来し、そ
の後、第8波も襲来して全国各大学においても多くの罹患者やそれに伴う濃厚接触者を認め、
大学における教育体制に大きな支障をきたした。しかし、大学生におけるCOVID-19の実態や濃
厚接触者の発病状況等の詳細な調査はこれまで実施できておらず、現時点においては各大学
からの報告も極めて少ない。罹患した学生やその濃厚接触者となった学生の経過等の実態に
ついての詳細を把握することは、今後の学校保健における感染拡大防止対策として重要と考
え、本研究を計画した。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
工藤欣邦. 大分大学における無煙環境推進活動-現状の報告と今後の課題-(総説).
CAMPUS HEALTH 55(2):36-41, 2018.
工藤欣邦,河野香奈江,堤隆, 他. 大学生を対象とした頭痛の実態調査. CAMPUS HEALTH
55(2):126-132, 2018.
工藤欣邦,河野香奈江,堤隆,他. 非医療系・非教育系学部学生に対する麻疹対策〜在学生
に対する調査経験を踏まえて〜 CAMPUS HEALTH 56(2):256-260, 2019.
工藤欣邦,河野香奈江,堤隆. 他, 大学生における熱中症および熱中症対策の実態調査.
CAMPUS HEALTH 57(2):74-80, 2020.
工藤欣邦,河野香奈江. 大学生の新型コロナワクチン接種に関する実態調査. CAMPUS HEALTH
60(2):59-65, 202323 保健管理センター
所 属・ 職 位 保健管理センター(挟間健康相談室)・准教授
氏 名 髙野 正幸(Takano Masayuki)
取 得 学 位 博士(医学)、大分大学、2023年9月
S D G s目標
研 究 分 野 循環器内科学、健康科学、予防医学
研究キーワード 心疾患、内臓脂肪、生活習慣病、健康診断、人工知能
研 究 内 容 しかく心臓病と内臓脂肪(特に心外膜脂肪)に関する研究
内臓脂肪は肥満や糖尿病などの病態に伴って増えることがよく知られており、内分泌組織と
してサイトカインを産生し、臓器に悪影響を与えている可能性も報告されている。心臓に直
接付着する心外膜脂肪は隣接する心筋へ炎症や線維化を引き起こし、様々な心疾患発症のリ
スクとなる。この心外膜脂肪組織を量的・質的に上手くコントロールすれば、心疾患の予防
や治療へ繋がることが期待される。当研究では脂肪細胞の分化や成熟・分泌能などに焦点を
当て、その改善、および増悪因子について解明を続けている。
しかく健診データを用いた疾病リスク予測モデルの構築
労働者に対する定期健康診断は毎年(少なくとも1年以内に1回)行うことが労働安全衛生法で
義務付けられており、同一者で経時的な健診データの推移を見ることが出来る。そのため、
大量に蓄積されたデータから予後や発症リスクを一般化して予測することが可能と思われる
。これらのデータを人工知能によって分析し、特定の疾患におけるリスクシミュレーション
モデルを作る、また行動変容を促すためのツールとして利用可能にすることを目指す。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
Empagliflozin suppresses the differentiation/maturation of human
epicardial preadipocytes and improves paracrine secretome profile.
Takano M, Kondo H, Harada T, Takahashi M, Ishii Y, Yamasaki H, Tong S, Akiyoshi K,
Shuto T, Teshima Y, Wada T, Yufu K, Sako H, Anai H, Miyamoto S, Takahashi N. JACC
Basic Transl Sci. (2023)
くろまる受賞
第1回 日本不整脈心電学会九州・沖縄支部地方会 優秀演題賞(2021年)
第7回 日本心血管協会学術集会 研究奨励賞(2022年)
第19回 Cardiovascular Translational Research Conference 最優秀賞(2023年)
くろまる科学研究費(研究代表者)
SGLT2阻害薬による心外膜脂肪への効果とその機序解明(2022-2024年、基盤研究(C)24 保健管理センター
所 属・ 職 位 保健管理センター・准教授
氏 名 堤 隆(Tsutsumi Takashi)
取 得 学 位 博士(医学)
、大分大学、2004年6月
S D G s目標
研 究 分 野 精神神経医学
研究キーワード 大学生 メンタルヘルス
研 究 内 容 ・大学新入生の精神的健康度に影響を及ぼす因子
大学生のほとんどは、青年期に属しており、不安障害やうつ病など、様々な精神疾患が発
生しやすい時期である。特に大学の新入生は、入学直後の環境の変化など、ストレスフルな
イベントがあり、メンタルヘルスに影響をうける可能性が高い。保健管理センターでは、例
年、健康診断時に全新入生に対してメンタルヘルスの調査を実施して精神的健康状態を把握
し、精神的不健康状態にある学生を早期にサポートしてきた。うつ病や不安障害のスクリー
ニングに優れるKessler 10 (K10)を用いて、新入生の精神的健康状態を把握することとした
。本研究は、K10を用いて、新入生に対する精神的健康状態について調査し、学生のメンタル
ヘルス不調に関与する因子を明らかにするものである。
・大学生のメンタルヘルスの経年的変化に及ぼす新型コロナウイルス感染症の影響
わが国では、2020年4月16日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緊急事態宣言が全
国に出され、様々な生活上の変化が生じた。COVID-19は、睡眠障害や不安を引き起こすリス
クを高めることや、うつ病や不安障害のリスクを増加させることが報告されている。保健管
理センターでは、精神的不健康状態にある学生のメンタルヘルス相談を行っているが、メン
タルヘルスの不調の原因として、コロナ禍の影響(3つの密(密集、密閉、密接)の回避、
講義の制限、オンライン授業やサークル活動の制限等)が考えられるケースを認めた。本研
究は、コロナ禍前とコロナ禍以降の学生のメンタルヘルス相談の経年的変化(新規利用者件
数、継続利用者件数、診断分類等)を解析して、コロナ禍前とコロナ禍以降を比較検討し、
学生のメンタルヘルスの経年的変化にCOVID-19が及ぼす影響を明らかにするものである。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
論文
Tsutsumi T, Terao T, Hatanaka K, et al. Association between affective temperaments
and brain-derived neurotrophic factor, glycogen synthase kinase 3β and Wnt
signaling pathway gene polymorphisms in healthy subjects. J Affect Disord 2011;
131: 353-357.
堤 隆,工藤欣邦.ぴあROOM.こころの健康 .&checktime(2018,33,11,':')-15.
堤 隆,河野香奈江,工藤欣邦.大学生のメンタルヘルス不調に関与する背景因子.大学の
メンタルヘルス .&checktime(2021,4,79,':')-83.
著書
堤 隆,寺尾 岳.化学的検査.プラクティカル精神医学 中山書店;2009.P.187-191.25 26
IRセンター
所 属・ 職 位 IRセンター・教授
氏 名 下田 憲雄(Shimoda Norio)
取 得 学 位 経済学修士、関西学院大学、1983年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 数理経済学・計量経済学・ゲーム理論・景気動向分析
研究キーワード 一般均衡論,力学系,データ分析,産業連関分析,景気動向指数
研 究 内 容 しかく一般均衡論の枠組みの中でシステムの安定性等の研究
一般均衡論における安定分析は,
課題は多々あるにせよ,
多くの研究成果が蓄積されている。他方,
初期点からコアへの運動過程は一つの経路に限定することができない。すなわち,一般的な微分方
程式による確定的な積分経路を明示できない。ラグラジアンを積分して経路を求めるとき,積分値
を最小化するというハミルトン原理から1本の経路を選び出すことができない。一つのアプローチと
して,初期点からコアへのすべての運動経路を記述することを考える。
しかく計量経済モデルを用いた分析
地域経済の計量モデルを推計し,消費構造,産業等生産構造などを量的に把握することは,地域
経済政策の立案,評価等に重要である。計量モデルは様々な経済的現象,経済的成果の評価を行う
上で基本的な分析手法であり,その整備が必須である。その観点からモデル分析を進める。
しかく経済データの分析(産業連関分析,景気動向指数分析等)
大分県では地域の産業連関表を策定,公表している。国の産業連関表ならびに九州地区の産業連
関表と比較しても遜色はない。この産業連関表を用いて,地域経済,産業間の量的な関係,政策効果,
時系列分析などが可能となる。技術進歩率,企業立地や港湾整備の波及効果の推計を実施してきた
が,製造業等以外にも大分トリニータの大分県経済へ与える効果なども推計してきた。こうした作
業はデータに基づく政策立案の基礎となるものである。
研 究 業 績・
アピールポイント
*一般均衡モデル下での力学系分析
・
「純粋交換モデルにおける一つの力学系表現について」
,単著,
『経済学論究』
,第57巻第2号,
関西学院大学経済学部研究会,pp.1-6,2003.
*地域計量経済モデルや産業連関表等を用いて,地域経済の分析を行う。
・
「旅行客・観光客の消費がもたらす県内産業への経済波及効果について」
,共著(直野智和・
小野宏・下田憲雄),
『大分大学経済論集』
,第64巻第5・6号,pp,113-148,2013.
・
「大分県ストック・ワトソン型景気指数の試算」,共著
(下田憲雄・小野宏),『大分大学経済論集』,査読あり,第62巻第3・4号,pp,14-34,2010
IRセンター
所 属・ 職 位 IRセンター・准教授
氏 名 鈴木 雄清(Suzuki Yusei)
取 得 学 位 修士(教授システム学)
、熊本大学、2012年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 教育工学
研究キーワード 授業・研修改善,学習の動機づけ,学習ログ,教学IR
研 究 内 容 しかく 学習者の動機づけを高める授業・研修改善のための教員・講師の支援に関する研究
心理学理論や研究に基づいた学習の動機
づけの視点から授業を評価するアンケー
トを作成し,学生に調査した結果から授
業改善の方策を提案する教員向けシステ
ムを構築している.教員が具体的にどの
ような改善を行ったかの情報を教員コ
ミュニティで共有したり,改善の方策提
案の自動リコメンドを実装したりするこ
とによる教育改善支援を目指す.
しかく 学習ログの分析による教育改善や学習者の特徴判別に基づく学習者支援に関する研究
学習支援システム(LMS)に蓄積される学習ログデータ(学習者のアクセス日時や,
課題の完了日時,
テストの得点等)を分析し,教育改善のための知見を得たり,学習者の特徴判別(先延ばし傾向が
高い等)に基づいた学習者個別への支援を行えるようにしたりすることを目指す.
しかく 教学IR(Institutional Research)データの収集・管理・可視化のための研究
教育の効果測定や改善に教学IRデータ(学生の成績や各種
アンケート結果など)を活用できるようにすることを目的
に,大学機関の教育に関するデータを一元的に収集・管理
し,分析結果を可視化するための仕組みやシステムを構築
する.
しかく 幼児期の養育環境が及ぼす影響についての研究
しかく 学生・教員・企業等の教育評価のズレを可視化する研究
研 究 業 績・
アピールポイント
Considerations for Classification of Procrastinator Focusing on Periodical Online Exam
in Blended Learning Course, Shin-Ichiro Kubota, Ryuichi Matsuba, Naoshi Hiraoka,
Yusei Suzuki, Yoshiko Goda, 2020 IEEE International Conference on Teaching,
Assessment, and Learning for Engineering, 8-11, 2020.
Design of a Supporting System for Consultation of Instructional Improvement, Yusei
Suzuki, Ryuichi Matsuba, Katsuaki Suzuki, Toshihiro Kita, Advances in Intelligent
Systems and Computing, 772 927-935, 2019.
図1 動機づけ着目した改善方策提案システムによる授業改善支援
図2 数学IRデータの可視化の例27 IRセンター
所 属・ 職 位 IRセンター・助教
氏 名 安部 恵祐(Abe Keisuke)
取 得 学 位 博士(理学)
、熊本大学、2008年3月
S D G s目標
研 究 分 野 教育学 生物学 食品関連 医工連携関連 キャリア関連 研究IR
研究キーワード 産学官金等共創教育(PBL/CBL)、人財開発、製品開発、科研費支援
研 究 内 容・
研 究 業 績・
アピールポイント
【研究内容】
次世代を牽引できる若手リーダー人財創出プロジェクト(人
財開発)を実施している。現在、産学官金等共創教育(地域
ブランディング等)を通じ、地域への課題解決策の提案や製
品開発のファシリテーション等を行っている。
【研究実績等】
教育開発:地域ブランディング等PBL (注記) COC+事業S評価
選定理由にも記載
人財開発:「おおいた共創士」制度の設計・運営、キャリアベース産学連携支援等製
品開発:「もち麦粉」を基にした麺の開発支援
researchmap: https://researchmap.jp/keia
所 属・ 職 位 IRセンター・助教
氏 名 丹田 桂太(Tanda Keita)
取 得 学 位 修士(教育学)、東京大学、2017年3月
S D G s目標
研 究 分 野 教育学、社会教育学
研究キーワード 地方圏、地元、専門学校、キャリア形成、学習成果、IR
研 究 内 容・
研 究 業 績・
アピールポイント
しかく「地方圏の若者のキャリア形成における専門学校の意義と役割に関する研究に関する研究
」【個人研究】
―地方圏に位置する専修学校専門課程(以下、専門学校)の学生を対象に、進学動機や在
学中の学びの実態を検討することで、とりわけ「地元」に残るキャリア形成に、地方圏
の専門学校の環境や教育内容がどのような影響を与えているのかを検討している。
だいやまーく「専門学校教職員のキャリア形成に関する研究」【共同研究】
だいやまーく「学校を核とした地域づくりにおける住民の「当事者性」に関する実践的研究」
【共同研究】
(注記)業績等についてはresearchmapをご覧ください:https://researchmap.jp/keita_tanda28

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