経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域行政論)
・教授
氏 名 青野 篤(Aono Atsushi)
取 得 学 位 修士(法学)
、愛媛大学、2000年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 憲法学
研究キーワード 思想・良心・言論・結社の自由、公教育、刑事司法、少年司法、法の支配、アメリカ憲法
研 究 内 容 くろまる公教育制度・選挙制度における思想・良心・言論・結社の自由の保障
公教育制度や選挙制度という民主政を維持、発展させることを目指す一定の制度内において、思
想・良心・言論・結社の自由という民主政の維持、発展に不可欠とされてきた各種の精神的自由権
の保障範囲、違憲審査基準をどのように考えるべきかについて、アメリカ憲法との比較に基づいて、
検討する(共著書1・3、論文3、判例研究1)。くろまる刑事司法制度・少年司法制度・公教育制度における手続的権利保障
刑事司法制度における被疑者・被告人の手続的権利保障、国民の司法参加、少年司法制度におけ
る少年の手続的権利保障、公教育制度における生徒の手続的権利保障について、アメリカ憲法との
比較に基づいて、検討する(共著書2、論文1・2、判例研究2)。くろまる地方自治体のコロナ対応と法の支配
新型コロナのパンデミックに対して地方自治体が行った外出自粛要請、休業要請、営業時間短縮
要請などの各種自粛要請について、法の支配の観点から、憲法及び新型インフルエンザ特措法に基
づく適切な対応であったか否かを検証する。
研 究 業 績・
アピールポイント
傷つきやすい権利と人に着目しながら、主にアメリカ憲法をベースに研究を行っている。
くろまる共著書
1.『アメリカ憲法と公教育』
(成文堂、2017年)
2.『ロバーツコートの立憲主義』
(成文堂、2017年)
3.『アメリカ憲法と民主政』
(成文堂、2021年)
くろまる論文
1.「裁判員制度の憲法学的一考察」大分大学経済論集62巻5・6号203頁(2011年)
2.「公立学校における個別的嫌疑に基づかない捜索と合衆国憲法修正4条」大阪市立大学法学雑誌
62巻3・4号739頁(2016年)
3.「謝罪の強制と合衆国憲法修正1条」大分大学経済論集69巻1・2号1頁(2017年)
くろまる判例研究
1.「Minnesota Voters Alliance v. Mansky, 585 U.S. _, 138 S. Ct. 1876 (2018)」
[2019-1]
アメリカ法80頁
2.「報復的逮捕と合衆国憲法修正1条」大分大学経済論集72巻1号81頁(2020年)
くろまる共訳書
1. エリック・バレント『言論の自由』
(雄松堂、2010年)
2. ルース・ベイダー・ギンズバーグ=アマンダ・L・タイラー『ルース・ベイダー・ギンズバーグ
アメリカを変えた女性』
(昌文社、2022年)1経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(経済政策論)
・教授
氏 名 石井 まこと(Ishii Makoto)
取 得 学 位 修士(経済学)
、九州大学、1992年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 社会政策
研究キーワード 地方圏での仕事創出、地営業、女性労働 、労働災害、生活保障、労使関係
研 究 内 容 ・地方圏の多様な就業・生活を支える「人的つながり」と「多様な経済」に関する調査研究
地方圏で展望をもってくらす人々を増加させるために、
「人的つながり」と経済を多様に理解する「多
様な経済」の展開による地方福祉社会のあり方を展望する。地方で自営という形で仕事作りを行う
「人」にフォーカスする。
(研究プロジェクト1、論文2、著書12)
・ノルディック・ウォークを軸としたコミュニティ活性化による循環型経済社会の展望
健康寿命増進を社会活動と連動させて展開する取り組み。地方圏で進む高齢化、地震等による被災
地でのコミュニティ維持に対し、ノルディック・ウォークを活用したセミナーの開催、学生と地域
民の交流促進、地域資源の掘り起こしを行う。将来的に地域でのコミュニティ維持・仕事創出を手
がける資格作りへと進めていく。
(論文23)
・多様な就労と労働災害に関する調査研究(大原記念労働科学研究所プロジェクト)
労働災害と経済情勢の関係について、いかなる要因が労災に影響するのかを明らかにするため統計
分析・検証する試み。労災統計の整備や労働安全衛生対策が必要であること、特にジェンダー視点
を含めた統計分析の重要性を指摘。
(論文1)
・チッソ労働運動史研究(熊本学園大学水俣学研究センタープロジェクト)
いまだなお終わらない水俣病問題に対して、当時働いていた労働者が事実をいかに受け止め、労働
と生活への展望を考えていたのか、残された資料とインタビューを通じて明らかにするプロジェク
ト。
(著書3)
研 究 業 績・
アピールポイント
・地方圏における仕事創出と生活保障のあり方について、健康・文化・つながりの要素を加味した
仕事・労働の再構成を行い、展望のもてる地方暮らしとは何かを研究していく。
くろまる研究プロジェクト
1地方圏の多様な就業・生活を支える「人的つながり」と「多様な経済」に関する調査研究
(科学研究費・基盤研究(B)2019-2023:代表)
くろまる論文
1「労働災害・職業病・安全衛生とジェンダー」
『経濟學論纂』2019年
2「地方圏における自営業セクターと多様な就業・生活」
『経済論集』2018年
3「ノルディック・ウォークを用いた体力向上に関する研究」
『福祉社会科学』2021年
くろまる著書(共著)
1『地方に生きる若者たち』旬報社、2017年(序章、第1章)
2『ワークライフ・インテグレーション』ミネルヴァ書房、2021年(第7章)
3『水俣に生きた労働者』明石書店、2021年(第5章)2 所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(比較経済論)
・教授
氏 名 市原 宏一(Ichihara Koichi)
取 得 学 位 博士(学術)
、名古屋大学、2003年1月
S D G s 目 標
研 究 分 野 西洋経済史
研究キーワード 東方植民、バルト海南岸、北西スラヴ、ヴァイキング
研 究 内 容 1.中世前期における環バルト海交流の実相
中世の早い時期から、バルト海を一つの社会・文化圏とみなす近年の国際研究の動向を踏まえて、
本研究では、バルト海北岸のスカンディナヴィアと南岸の北西スラヴ、さらに北東ではバルト、フィ
ン人社会の相互の交流史を展望する。同時にこうした交流が、キリスト教の拡大とこれに伴う土着
宗教・祭礼の変転などの社会的変容を中心に、バルト海南岸地域の社会形成へと展開する過程を検
証しようとするものである。
2.前近代世界における国家形成
本研究の特徴は、前近代における周辺蛮族における国家形成が、中核からの軍事的・文化的圧力
の単純な結果ではなく、その外圧に内応するような、土着勢力自身の変質との総合的な作用の結果
ではないかとの見通しにある。従来、中世盛期のハンザ史や近世・近代のバルト貿易史・国制史で
実証されてきたのよりも早期に、北西スラヴ人らの社会形成の当初からのバルト海をめぐる交流が
国家形成へと至る要因となっていることを明らかにする。
3.歴史資料論としての文献史料と考古学資料との総合
現今のヨーロッパ統合の国際状況を背景に、バルト諸国及び旧東欧地域では、国際的な支援キャ
ンペーンの展開により、ポーランド、ロシア、バルト三国での考古学調査が伸長し、史料上に言及
された地名が考古学成果により比定されるという状況が進んでいる(例えば、ポーランド・トルソ、
ロシア・ヴィスクーテン等)
。バルト海南岸の北西スラヴ及びバルト諸族の社会構成の検討は、こう
した考古学研究と、ドイツ・デンマーク・ポーランド等多様な出自の記述系文献史料上の知見との
比較検討と総合という、資料論上の独自性を有している。
研 究 業 績・
アピールポイント
「外来と土着 〜考古学資料を基にしたバルト南岸地域史研究の課題〜」
(藤井美男・田北廣道編著
『ヨーロッパ中世世界の動態像 〜史料と理論の対話〜』九州大学出版会、313-345頁、2004年)
『中世前期北西スラヴ人の定住と社会』
(九州大学出版会、2005年)
「ポーランドにおけるヴァイキング期沿岸交易地遺跡トルソ〜ハンザ以前の環バルト海交流の実相
〜」
(大分大学経済論集、61巻6 号、2010、pp.51-60.)「『異教』
と改宗 〜十二世紀バルト海南岸における社会構成の移行〜」(『歴史科学』
232号、
35-48頁、
2018年)
「前近代西洋における帝国と周辺―渡辺信一郎・西村成雄編『中国の国家体制をどう見るか』によせ
て―〈2019年5月例会:中国古代帝国の世界史的特質―東西比較研究を通して考える―〉」(
『歴史科
学』第241号、40-47頁、2020年5月)3経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(経営行動論)
・教授
氏 名 大井 尚司(Ooi Hisashi)
取 得 学 位 博士(経営学)
、神戸大学、2007年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 地域公共交通政策、観光、交通経済、交通計画、地域計画、公企業論、公益事業論
研究キーワード 地域公共交通、交通計画、交通事業経営、人材育成、観光、まちづくり、防災
研 究 内 容 1地域公共交通の事業経営に関する研究
第三セクター地方鉄道の経営効率性や組織運営(経済学的視点での計量分析を含む)
乗合バス事業の規制緩和の影響、運営規模、経営効率性に関する研究(同上)
これらをベースとした地域公共交通の現場・政策に資する研究(定性分析、事例分析)
共同研究でJR3島問題の研究、公共交通のプライシングについて(土木計画学)
2地域公共交通政策・地域の公共交通計画に関する研究地域人材による地域公共交通の確保・維持・活性化に関する研究(自治体、高等教育機関との連
携を含む)
。JCOMM(日本モビリティ・マネジメント会議)や土木計画学で発表。地域公共交通計画のあり方に関する研究(プライシング、運営形態、持続可能性、人材育成;自
治体等との共同研究を含む)
。勉強会組織「Qサポネット」を主宰・運営。
共同研究で交通分野へのITS等の利活用について(土木学会土木計画学の委員会)
3観光の経済効果に関する研究観光税・観光目的の特定財源のありかた、DMOの運営、集客施設(飲食)の存在意義、
航空会社と連携した観光振興の提案(ジェットスタージャパンとの提携)
、など
4その他―地域計画・防災関係港湾整備計画(第三セクター方式で運営される港湾)
、熊本地震後の復興計画のあり方(日本都市
計画学会九州支部の研究取りまとめ)
、駅前通り再生の提言(自治体・学生も含めた共同研究)、首都圏空港活性化(経済的側面;共同研究)など
研 究 業 績・
アピールポイント
1について、
「第三セクター地方鉄道の費用構造に関する計量分析」
(交通学研究(日本交通学会),
2007年)は同学会の学会賞を受賞し、地方鉄道の計量分析の有力な研究となっている。
2について、
『運輸と経済』誌に特集・座談会・寄稿含め10数編(ほぼ年1回)掲載があり。鉄道、
政策関係が多数で、現場の政策形成や研修材料などに寄与している。また、豊後大野市・三重総合
高校・日本工営との共同研究「大人の社会見学」が令和3年度日本モビリティ・マネジメント会議
「JCOMMマネジメント賞」を受賞した(2021年)。九州内問わず自治体・交通事業者や、国土交通省・行政機関とのつながりを多々有し、関係する政
策形成に多々関与。行政・交通事業者との共同研究や研究受託経験も多数ある。
学術雑誌の編集(運輸政策研究編集委員、日本観光研究学会学術委員)にも関与するほか、学会役
員にも従事(日本交通学会理事、日本観光研究学会理事・九州韓国南部支部長、公益事業学会評議員、
日本モビリティ・マネジメント会議委員兼幹事、他。支部役員複数)。4
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(経済政策論)
・教授
氏 名 小笠原 悟(Ogasawara Satoru)
取 得 学 位 博士(経済学)
、埼玉大学、2009年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 国際金融, 金融市場
研究キーワード 国際資本フロー、外国為替、金融政策
研 究 内 容 ・グローバル化、金融自由化の進展に伴い、巨額な資本が国際間を移動するようになった。それは
時として金融市場を混乱させ、実体経済にも甚大な影響を及ぼすようになっている。また、2000年
代に入り新興国が著しい成長を遂げる中、主要先進国の金融政策が周辺国とりわけ新興国の国際資
本フローにも影響を与えるようになり、一国あるいは一地域の混乱が世界各国に広がる機会も増え
ている。研究では、地域、国ごとにどのような要因が国際資本フローを決定し、またその重要性が
変化しているのか明らかにする。また先進主要国の金融政策スタンスの変更が、どのような経路で
周辺国に影響を及ぼしているのか検討する。
・2000年3月に日本銀行が採用した量的緩和政策は、政策金利を上げ下げすることにより、物価の
安定、完全雇用、国際収支の均衡を図るという従来型の金利政策に対し、政策金利がゼロ近傍に低
下する中でさらなる緩和効果を狙ったもので、非伝統的金融政策と呼ばれる。さらに非伝統的金融
政策は、2007-09年のサブプライム危機後、中央銀行がリスク性資産を買入れる信用緩和、民間銀
行が中央銀行に預ける際に利子を課すマイナス金利政策等、様々な形で進化してきた。こうした非
伝統的金融政策の効果波及経路は、伝統的金融政策と大きく異なるものではないが、適切な政策運
営は時々の経済・金融環境や金融構造によって異なるとみられる。研究では、主要国の金融構造と
グローバル金融危機期における各国中央銀行の金融政策運営を吟味し、非伝統的金融政策の役割と
その効果について検討する。
研 究 業 績・
アピールポイント
岩壷 健太郎, 小笠原 悟,「資産価格,資本フロー, 興国経済」
, 財務省財務総合研究所『フィナンシャ
ル・レビュー』, 第2号, p.35-61, 2019
Iwatubo, Kentaro, Ogasawara, Satoru, "International Portfolio Flows in the Post-Global
Financial Crisis Period", Japanese Journal of Monetary and Financial Economics,
Vol.4 No.1, pp.18-37, Japan Society of Monetary Economics, 2016
小笠原 悟,「アジア諸国の国際資本フロー構成の変化と為替相場への影響」, 大分大学経済論集, 第
86巻第3号、pp.37-86, 大分大学経済学会,2013
小笠原 悟 「サブプライム危機発生後の米国金融政策運営」, 大分大学経済論集, 第64巻第3・4合
併号, pp.19-50, 大分大学経済学会, 20125経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(会計情報論)
・教授
氏 名 加藤 典生(Kato Norio)
取 得 学 位 修士(商学)
、中央大学、2005年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 原価計算論・管理会計論
研究キーワード 原価企画、逆機能、人間心理
研 究 内 容 原価企画の逆機能問題を中心に研究しています。原価企画とは、端的に述べれば、新製品の企画・
設計段階において設定される目標原価と見積原価との原価差異を計算する管理会計技法です。と同
時に、原価差異を埋める活動でもあります。原価企画が、単なる会計ツールではなく、
「活動」でも
あることから、
その活動に取り組む人間の心理的影響が、
原価企画の成功を左右することになります。
原価企画を実施することで生じるネガティブな結果を、逆機能といいます。原価企画の逆機能に
は、設計担当エンジニア(以下、エンジニア)の疲弊、サプライヤーの疲弊、組織内コンフリクト、
地球環境問題の深刻化、手法依存症候群、品質問題などが先行研究で指摘されてきました。上述し
た人間の心理的側面に関する逆機能には、エンジニアの疲弊があげられます。最近は、エンジニア
など目標達成に従事する個々人の心理的側面に着目しながら、この問題に取り組んでいます。
原価企画の逆機能問題に取り組み始めた頃は、上述のサプライヤーの疲弊に着目していましたが、
研究蓄積に伴い、原価企画の多くの逆機能が相互に関連性を有していることが分かり、サプライヤー
の疲弊を軽減していくためにも、他の逆機能も含めて検討していく必要があると考え、研究を進め
ています。
サプライヤーの疲弊を含む、原価企画の逆機能問題の解決を目指すことは、原価企画それ自体の
維持のみならず、わが国製造業の持続的発展を考える上でも不可欠です。本研究は、SDGs(貧困、
経済成長、パートナーシップ、作る責任、地球環境)の目標を達成するためにも貢献する課題であ
ると考えます。
研 究 業 績・
アピールポイント
加藤典生・小林英幸(2021)
「会計主導の原価企画と行動的原価企画:トヨタの事例から」
『原価計
算研究』第45巻第1号、14-24頁。
加藤典生・小林英幸(2019)
「行動的原価企画研究の必要性:トヨタ自動車の実務を踏まえて」
『企
業会計』第71巻第11号、117-124頁。
加藤典生(2018)
「解題深書 原価企画と心理学」
『企業会計』第70巻第4号、77-80頁。
加藤典生(2014)
「原価企画における心理学研究の重要性」
『商学論纂』
(中央大学)第55巻第4号、
21-40頁。
科研課題
基盤研究(C)
「行動的原価企画の理論と実践における逆機能問題に関する研究」2017〜2021年度
など。6 所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域経営論)
・教授
氏 名 城戸 照子(Kido Teruko)
取 得 学 位 経済学修士、九州大学、1986年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 ヨーロッパ中世社会経済史
研究キーワード イタリア半島・都市=農村関係・社会経済史
研 究 内 容 くろまる中世イタリア半島政治史
政治的に多様な枠組みが併存するイタリア半島の中世1000年の歴史について、中世初期の8-9世
紀(カロリング勢力の「イタリア王国」)、9世紀末-10世紀中葉のほぼ90年間(
「独立イタリア王
国」
)の歴史を、初期封建社会としていかに類型化するか考察しています。独立自由農民が多くい
わゆる荘園制による土地支配が貫徹していない「南欧封建社会」論ともまた異なる社構造論が必
要と考えられます。
紀元1100年頃までは、イタリア半島の西の入り口であるミラノとパヴィーアおよびポー川水系、
半島東の入り口であるヴェネツィアとラヴェンナおよびアドリア海ポー川デルタ地域の東西対比
が、比較史の検討軸になります。封建領主国家、共和国という政体、教皇領、といった統治と政
治制度の比較を「貨幣」発行の制度史からみていきます。
くろまる中世イタリア食文化史
食文化は、農業と畜産の生業史、社会構造を調べるのに最適です。ローマ教皇庁があるイタリア
では、在地文化の特殊性とヨーロッパ全域で共通する社会階層の違いが現れます。地中海的食文
化の枠内に、イスラーム文化の食物(砂糖・米・柑橘類・香辛料)が入ってくるところがイタリ
ア半島の特徴といえます。
くろまる研究動向でいえば、文献学に加えて、中世考古学研究が重要です。政治史だけでなく地域社会の
定住地形成過程こそ地域史の根幹であり、考古学の成果はその基盤と位置づけています。
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる
(共著)春田直紀・新井由紀夫編著『歴史的世界へのアプローチ』刀水書房、2022年。
(共著)
『世界歴史大系 イタリア史1古代・初期中世』,『世界歴史大系 イタリア史2中世・近世』、山川出版社、2021年。
(共著)高橋進・村上義和編著『イタリアの歴史を知るための50章』明石書店、2017年。
(共著)高山博・池上俊一編『西洋中世学入門』
、東京大学出版会、2013年。
くろまる
(単著)
「中世イタリアの貨幣の機能と製造」
『西洋中世研究』13号、知泉書館、2022年。
(単著)
「1974年以降のイタリアにおける中世考古学の研究動向 :『中世考古学』誌の40周年記念
号から」
『経済論集』
(大分大学経済学部)
、2017年。
くろまる
(共訳)マッシモ・モンタナーリ著/山辺規子・城戸照子共訳『ヨーロッパの食文化』平凡社、
1999年。7経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(経済政策論)
・教授
氏 名 高見 博之(Takami Hiroyuki)
取 得 学 位 経済学修士、山口大学、1991年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経済学,経済政策
研究キーワード 報酬制度、賃金交渉、社会厚生、賃金決定のタイミング、最適民営化比率
研 究 内 容 くろまる労働市場における報酬制度と経済の安定性に関する研究
雇用の確保は,経済の安定にとって重要な課題です。本研究では,1970年代の石油危機を契機と
するいわゆる「スタグフレーション」
(インフレと景気後退の同時発生)への処方箋として80年代か
ら議論されているProfit Sharingによる報酬制度(企業利潤の一定比率を労働者・労働組合に分配
する報酬制度)を雇用の確保の枠組みとして研究を進めています。
例えば,この報酬制度を日本経済の特徴(ボーナスを利潤の比例部分と想定)ととらえ,春季労
使交渉(春闘)において大手,全国企業が先に動き賃金(世間相場)が決定され,その後,中小,
地方の企業が追随する賃金決定のタイミングの状況を理論的に説明できる可能性があることを確認
しました。
(下記の論文1・3・6が関連します)
くろまる公企業と民間企業が競合する市場における報酬制度と経済厚生に関する研究
1980年代以降の規制緩和の流れの中で,
日本でも公企業の民営化が進められてきました(旧国鉄,
電電公社など)
。この研究では,公企業と民間企業が競合する市場(宅配便市場や金融市場などの混
合市場)において,賃金決定のタイミング(先手,後手,同時)や報酬制度が,経済厚生や公企業
の民営化にどのように影響するかについて理論的な分析を進めています。
例えば,社会厚生(経済全体の満足度)の最大化を目的とする公企業と自己の利潤の最大化を図
る民間企業が競争する状況を想定した場合,各企業がProfit Sharing による報酬制度を採用し,分
配比率が労働者に有利で,賃金決定について民間企業が先手,公企業が後手の場合には,政府は完
全国有化よりも完全民営化を選択する状況を確認しました。
(下記の論文2・4・5が関連します)
研 究 業 績・
アピールポイント
理論分析により,意思決定のタイミングや報酬制度が経済厚生に及ぼす効果を研究しています
くろまる論文
1. 2005年, 賃金交渉と内生的シュタッケルベルク均衡, 現代経済学研究, 12. (共著)
2. 2010年, 混合複占市場下の賃金決定のタイミングと民営化, 大分大学経済論集, 62(3・4).
3. 2012年, Profit-Sharing and the Endogenous Order of Moves in Oligopoly, Theoretical
Economics Letters, 2(2). (共著)
4. 2013年, 混合複占市場下の賃金決定のタイミングと部分民営化, 東亞経濟研究, 71.
5. 2015年, Nash bargaining and partial privatization in mixed oligopoly, ECONOMIC
MODELLING 46. (共著)
6. 2018年, Profit Sharing, Labour Share and Financial Structure, Evolutionary and
Institutional Economics Review, 15. (共著)8 所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(比較経済論)
・教授
氏 名 デイ・スティーブン(Day, Stephen)
取 得 学 位 博士、ウォーリック大学、1999年4月
S D G s 目 標
研 究 分 野 EU研究・比較政治
研究キーワード 政治学・民主主義・政党・Brexit・欧州議会・欧州政党
研 究 内 容 地方,国家レベル,超国家レベルでの政党の役割と意義,制度構築に関心を持っています。
現在,欧州政党の役割と意義について本を執筆中です。2021年には,Brexitが北アイルランドの政
治的未来に与える影響に関する研究プロジェクトを開始しています。
欧州政党(Europarties)に関しては,その役割とEU加盟国の国境を越えた代表民主主義につい
て研究しています。欧州政党の重要な役割の一つは,ヨーロッパの人々に力を与えることです。す
なわち,欧州政党はヨーロッパを総体的に発展させ,EUレベルでの欧州市民による民主主義と,市
民参加を促進させる力となるのです。したがって,欧州政党を強化することが,欧州統合を進める
討論をより効果的に進める積極的取り組みの第一歩なのです。国境を超えた民主主義の発展を進め
る上で,欧州政党の役割に注目しておかなければなりません。
今後の展開として,欧州公共圏を実現するために,以下のことに着目していきます。まず,ヨー
ロッパの選挙法の改革,次いで,欧州市民が欧州政党を通して直接的に関与する機会の増加,さら
に,2024年の欧州議会選挙に備えて,選挙の重要度を知らしめる筆頭候補制(spitzenkandidaten
system)を活性化するため,国境を越えた筆頭候補者名簿の導入です。
研 究 業 績・
アピールポイント
❖『
「ブレグジット」という激震―混迷するイギリス政治』スティーブン・デイ・力久昌幸共著
2021年, ミネルヴァ書房
同志社大学の力久昌幸教授との共著。日本経済新聞(2021年4月17日電子版)で「丹念な情報収
集と精緻な分析」
「将来を展望する基礎となる知識を提供」と評価される。
❖「院内会派」,『EU―欧州統合の現在』辰巳浅嗣編著, 第4版, 第3章 第8節, 134-143頁, 2020年,
創元社
日本国内でのEU学の教科書として高く評価されており、第4版を数える。
❖‘Global Party Internationals: "Tackling the Dilemma of Indifference", in S. Van Hecke
et al. (2018), Reconnecting European Political Parties with EU Citizens. Office of the
International Institute for Democracy and Electoral Assistance [International IDEA] to
the European Union, Brussels, pp.35-39. https://doi.org/10.31752/idea.2018.71シンクタンクInternational IDEA(国際民主・選挙支援機構)の要請でヨーロッパの様々な
国の研究者が1つのプロジェクトとして作成した報告書10経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・教授
氏 名 豊島 慎一郎(Toyoshima Shin'ichiro)
取 得 学 位 修士(社会学)
、関西学院大学、1995年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 社会学
研究キーワード 社会階層、NPO/ボランティア、市民社会、災害復興支援
研 究 内 容 1. 現代日本における社会階層と社会参加に関する実証的研究
「1995年社会階層と社会移動(SSM)全国調査」をはじめとする大規模調査データを用いて、社会
的活動(NPO/ボランティア、地域活動等)に関する計量分析を行い、社会階層や社会的ネットワーク、
ICT 活用等が活動参加に与える影響等について研究している。2002年からは、大分市役所・大分市
社会福祉協議会と連携し、福祉や防災に関する市民意識調査を継続的に行っており、地方都市にお
ける社会参加の現状を実証的に分析することにより、人々にとって望ましい地域社会や市民社会の
あり方を検討している。
2. 被災者・災害ボランティアに関する実証的研究
東日本大震災等の被災地調査データの分析により、被災者・災害ボランティア支援を中心として
災害復興や防災・減災に関わる研究を行っている。2012・3 年には、大分県豪雨災害(2012 年7 月)
における被災地調査を実施した(大分県ボランティア・市民活動センターとの連携)。
2011〜6 年には、福島市や仙台市等の東日本大震災の被災地調査(立教大学学術推進特別重点資
金東日本大震災・復興支援関連研究、科研費基盤研究(C)「震災後の生活と将来認識―ネットワーク
と社会階層に関する実証分析」に研究分担者として参加した。現在、立教大学学術推進特別重点資
金による社会調査プロジェクトのメンバーとして、引き続き東日本大震災の被災地調査に関わって
いる。
個人研究としては、2016 年に熊本・大分地震の被災地である大分県湯布院町を事例として災害復
興に関する調査研究を行った。
(注記)関連リンク(研究室サイト):http://www.ees.ec.oita-u.ac.jp/toyosima/
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる論文
1.1998年、
「社会参加にみる階層分化―社会階層と社会的活動―」片瀬一男編『1995年SSM調
査シリーズ7 政治意識の現在』1995年SSM調査研究会、151-78.
2.2007年、
「マイノリティのための社会調査―当事者の現実に接近する方法をめざして―」先端
社会研究編集委員会『先端社会研究』6、143-63.
3.2019年、
「被災地における社会階層と地域活動―福島市を事例として」震災問題研究ネットワー
ク・日本社会学会震災問題情報連絡会『第5回震災問題研究交流会研究報告書』47-53.
くろまる著書
1.2000年、
「新しい市民像 社会的活動」髙坂健次編著『日本の階層システム 第六巻 階層社会
から新しい市民社会へ』東京大学出版会、143-59.
2.2018年、
「災害復興と地域活動―福島市と湯布院町を事例として―」日本臨床政治学会監修、
池田美智代編『臨床政治学第8巻 地方政治と選挙』志學社、165-86.
くろまる書評
1.2021年、
「書評:安立清史著『21世紀の≪想像の共同体≫』
」日本社会学会『社会学評論』
72(2)、185-7.
くろまるプロジェクト(研究代表者)
1.科学研究費 基盤研究(C)「災害に対する地域住民の意識と社会参加-被災地と未災地の比較分
析」(2021〜3年度)
くろまる資格 専門社会調査士(社会調査協会)11 所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(経営基礎論)
・教授
氏 名 藤原 直樹(Fujiwara Naoki)
取 得 学 位 経済学修士、九州大学、1986年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経営労務論
研究キーワード 『資本論』
、協業論、指揮論
研 究 内 容 カール・マルクス『資本論』と経営学の基礎理論(人事・労務管理分野)
研究内容としては、下記の私の主著『
『資本論』の経営理論―協業論と指揮論の構築をめざして』
御茶の水書房 2018年、
の概要を紹介することでお伝えすることが可能であろう。全13章(453ページ)からなる本書のうち、第1章〜第8章までは(以下、本書前半部と称す)、『資本論』等に依
拠する経営学(経営労務論分野)の基礎理論におけるさらなる基礎部分として協業論ならびに指揮
論・資本家の指揮論を打ち立てることを目的としている。第9章〜第13章(以下、本書後半部と称
す)は、本書前半部で確立した協業論ならびに指揮論・資本家の指揮論を基礎として、続く『資本論』
等を対象とした経営に係る理論的課題の解決を意図したものである。本書前半部の成果を用いるこ
とにより、先学が提起された課題に対し、一定の回答を示すことも目的としている。本書前半部が
基礎理論の基礎であるとすれば、本書後半部は基礎理論に基づく応用的な理論的課題を扱うもので
ある。
総じて、本書は『資本論』等に依拠しつつ経営学の基礎理論の構築のみを目的とした構成となっ
ている。筆者は、協業と指揮に関し全く新たな概念を次々に導入し、新規の諸議論を展開している。
これは、
『資本論』を着実に、全体的に、かつ、新しい研究成果を加味しながら読み解くことで、新
たな基礎理論が展開できるのではないかという一つの試みである。
研 究 業 績・
アピールポイント
・論文1.『資本論』第3巻における「困難な問題」について―第4篇第17章「商業利潤」における「困難な
問題」再論―、大分大学経済論集第72巻第1号(2020.
5)所収
・著書1.『資本論』の経営理論―協業論と指揮論の構築をめざして、御茶の水書房,2018年12経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域情報文化論)
・教授
氏 名 包 聯群(Bao Lianqun)
取 得 学 位 博士(学術)
、東京大学、2009年4月
S D G s 目 標
研 究 分 野 社会言語学、中国語学(中国北方少数言語)関連
研究キーワード 言語接触、言語変異、危機言語、満洲語、ダグル語、言語継承、言語政策、言語景観、言語サービス、
言語経済
研 究 内 容 (1)危機言語満洲語の保護・教育と継承及び再活性化への取り組みや実態解明の研究
満洲人は清朝政権を樹立し、300年近く統治してきた歴史を持つ。
中国国勢人口センサス(2020年)の調査によると、満洲人が1千42万
人以上いる。だが、民族言語-満洲語( manju gisun)を流暢に
話せる人は数えるほどしかいない。満洲語の母語話者は主に黒龍江省
の三家子村に集中的に居住しているが、満洲語で日常会話ができる人
はわずか3-4名しかいない(2021年) 。貴重な無形文化財でもある満洲
語は消滅の危機的状態に置かれている。本研究では、満洲語口語の言
語的特徴(論文2)を分析し、満洲語の記録保護と教育及び継承活動を
し、三家子(ilan boo)村の満洲語口語データに基づき、
『満語会話課本』
(満洲語会話テキスト)を作成し配布した(右掲写真は2017年8月に撮
影)。三家子村の満洲人が主導してWeChatによる満洲語の学習活動を
行い、満洲語の保護と継承活動に努めている。本研究は、人々が自分
の言語と文化に自信や誇りを持って学習し、文化の多様性の享受、次
世代への継承、平等な暮らしができることを目指すように実践的な活
動も行ってきた。
(2)社会言語学の視点から中国におけるダグル語の実態に関する調査研究
本研究はダグルの言語接触と言語変異のプロセス(論文3)及びそのメカニズムを解明し、異な
る年齢層のダグル人の言語使用実態を明らかにし、会話データと物語を収集し、民話集を作成する。
そして研究成果を地域社会に還元し、ダグル人の言語と文化の次世代への継承に繋がる努力をし、
また言語接触に関する理論的枠組の構築を目指している。
業績関連HP http://www.aisf.or.jp/jp/search/articles/view/23938
研 究 業 績・
アピールポイント
「言語政策と言語継承」に関する研究を中心とし、言語景観による地域振興/災害言語サービスに
関する論文も多数ある。くろまる論文(1) 2022年「満洲語習得者の音韻面における相違点―中国黒龍江
省富裕県三家子村を事例として」、『現代中国における言語政策と言語継承』(第6巻、pp192-211).
(2)2021年「満洲語継承活動と現代満洲語の言語特徴―中国黒龍江省三家子村の2013-2020言語調
査報告」、『現代中国における言語政策と言語継承』(第5巻、pp173-202). (3)2019年「中国におけ
る満洲語継承の実態」、『東アジア社会教育研究』(TOAFAEC東京・沖縄・東アジア社会教育研究会)、
第24号(pp147-156). (4) 2022年
「言語接触の視点からみるモリンダワ地域のダグル語の特徴」、『現
代中国における言語政策と言語継承』(第6巻、pp144-166). (5) 2019年「言語接触の視点からみる
チチハル市梅里斯ダグル語の特徴―物語「結婚と生活の礼節」を事例として」、『現代中国における言
語政策と言語継承』(第4巻、pp95-110).くろまる著書 (1)2013年-2022年『現代中国における言語政策
と言語継承』(第1-6巻)、包聯群編著、三元社。(2)2011年『言語接触と言語変異』
。包聯群著、現代
図書。くろまる受賞「言語景観による地域の活性化―大分県での事例―」(Revitalization of Community
by Linguistic Landscape in Oita Prefecture)、
『アジアの未来へ―私の提案5- Toward the
Future of Asia: My Proposal Best Paper of the 5th Asia Future Conference Vol.5』今西
淳子編、2020年、181-194. ジャパンタイムズ出版。13 所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・教授
氏 名 松隈 久昭(Matsuguma Hisaaki)
取 得 学 位 経営学修士、西南学院大学、1987年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 マーケティング論、流通論
研究キーワード マーケティング、流通、ブランド、消費者行動
研 究 内 容
1顧客の創造と顧客満足の向上に関する研究主な対象は、営利企業(製造業、小売業、サービス業など)
、非営利組織(病院の患者満足度、看
護師満足度など)である。
2ブランディングに関する研究
主な対象は、商品・サービス、農林水産物である。
3魅力のあるまちづくりに関する研究
主な対象は、まちづくり3法を考慮した商業活性化である。
4観光地経営に関する研究
主な対象は、観光地や宿泊業の活性化やDMOもテーマとしている。
5流通に関する研究
主な対象は、小売業、卸売業などである。また、地方卸売市場も対象とする。
研 究 業 績・
アピールポイント ・
「旅館の競争優位性に関する研究 : 西日本の旅館を対象として」
『大分大学経済論集』72(3)
2020年(単著)・「地域団体商標による農産物のブランド化の現状と課題」
『大分大学経済論集』69(5・6) 2018年
(単著)・「職位別にみた看護師の職務満足に関する研究」
『大分大学大学院福祉社会科学研究科紀要』13、
2010年(単著)・『地域ブランド戦略と雇用創出』
(共著)白桃書房、2010年・「商店経営と経営者意識--大分市の中心部商店街を対象として」
『コミュニティ総合研究』
(大分大学)
2006年(単著)など
・現在、大分県最低賃金専門部会委員、大分市公設地方卸売市場開設運営協議会委員、大分市販路
拡大課題解決補助金選考委員会委員、日田市指定管理者選定委員会委員などを務める。14経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域経営論)
・教授
氏 名 宮町 良広(Miyamachi Yoshihiro)
取 得 学 位 文学修士、名古屋大学、1985年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経済地理学、地域経済論、地域学
研究キーワード 地域発展、経済のグローカル化、グローバル生産ネットワーク(GPN)
研 究 内 容 1.グローバリゼーションと地域経済に関する研究
現代世界が直面するもっとも重要な課題の一つであるグ
ローバリゼーションが作り出す新しい経済空間の態様を
経済地理学の視点で究明する。近年の業績として,日本と
りわけ九州における外資系企業の進出経緯と地方経済の再
生について究明した。また国内外の経済地理学研究をレ
ビューすることで,グローバリゼーションの分析枠組みを
提起した(右図)。2.地域学・地域政策に関する研究
地域学は,地域の振興と環境保全の調和のもとに安全安
心な地域の実現を住民の視点から実証的に研究する学問で
あり,地方創生時代の要請により急速に発展しつつある。
近年の業績として,地域学の世界的学会である Regional
Studies Association (RSA) の発展を整理することで,地
域政策を研究する学問としての地域学を展望した。
3.高大接続・連携に関する研究と実践
高校と大学における教育の質的向上のためには,学習者の視点に立った教育内容の検討が重要で
ある。とりわけ学力要素として注目されている主体性を涵養するための高大接続教育のあり方を究
明する。近年の業績として,NPOカタリバとの協働授業を素材とした研究実践を報告した。
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる上記1に関する最近の業績
宮町良広 (2022):グローバル生産ネットワーク論の発展と論争-英語圏の経済地理学理論におけ
る「ヘゲモニー化」?-,
『経済地理学年報』68-1:4-28.
くろまる上記2に関する活動
日本学術会議では地域研究委員会・地域学分科会を設置しており,筆者は同分科会委員長として
研究を推進する。また上記RSA学会の日本で唯一のFellowとして国際的研究交流を推進する。日田
市総合計画審議会会長や大分市空家等対策協議会副会長などを務めている。
くろまる上記3に関する活動
1999年から高大接続教育事業を推進したことで,日本学術振興会の外部評価において「特に優れ
た取組」として認定された。その結果,本学が高大接続教育の先導的大学であるとの評価が定着し
ている。
(注記)関連サイト http://www.ees.ec.oita-u.ac.jp/gp/15 所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(経営行動論)
・教授
氏 名 本谷 るり(Motoya Ruri)
取 得 学 位 修士(経済学)
、岡山大学、1996年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経営組織論
研究キーワード 組織、協働、変化、継続、環境
研 究 内 容 企業組織の継続について、その原動となる組織的要因を明らかにすることを目的に老舗企業を対
象として実態調査研究をおこなっている。多くの企業は継続し、可能なら発展や成長を遂げ、次世
代へ渡すことを目的のひとつに掲げている。刻々と変化する環境にあって企業の経営を続けるとい
うことは一体どのようなことなのかを組織的側面から解明することは、社会に貢献する研究となる。
特に、現在注目しているのは、企業と環境とのかかわりである。環境は幅広い概念であるため、
分割して関係性を探り最後には統合することが必要である。まずは密接な関係構築をするステーク
ホルダーとのかかわりが企業組織の継続に対していかに影響しているのかを探求している。個人と
同じく、企業も単独で何かを成し遂げることは困難である。他の企業や個人との関係の上に自社の
経営が成立しているとすれば、その関係構築が大きな鍵となる。長期にわたる継続を望むならばな
おさらである。
さらにその関係構築の相手が変化していると考えられる。これまでは企業同士が基本と理解され
てきたが、企業ではない組織である自治体やNPO、個々人と多様なかかわりを持つことで、これま
では難しいとされた事業展開の可能性や、企業単独では得られなかった視点を獲得しイノベーショ
ンにつながることがわかっている。
同じ組織とはいえ、
企業や自治体、
NPOといった形態が異なると、
協働するための共通目的の設定が難しくなる。その中での新しい協働のあり方、協働組織体の運営
について、研究に取り掛かっている。
なお、ステークホルダーのみが環境ではないため、そのほかの要素についても徐々に取り組む予
定である。そして、これらの関係性は一定ではなく、変化する。その変化を追うことも企業組織の
継続を明らかにする重要なポイントである。
研 究 業 績・
アピールポイント・「協働する組織とその即興」
『経済論集(大分大学)』第71巻第6号,
pp.55-76,
2020年(研究ノート)。・ 「老舗企業の継続と地域社会の相互発展」『経済論集(大分大学)』第67巻第4・5合併号,pp.119-
144,2016年。
・ 「老舗企業の長寿性を支える経営者の意思決定」『経済論集(大分大学)』第66巻第1・2合併号,
pp.1-26,2014年。・『長寿企業にみる経営のあり方 ―大分県内長寿企業の経営に関する調査―』 (川野恭輔氏と共著)大銀経済経営研究所,2012年。・「ブランドと老舗ののれん」
『老舗学の教科書』同友館,pp.47-64,2011年。・「ベンチャーと老舗」
『老舗学の教科書』同友館,pp.65-80,2011年。・「地域と企業の継続」
『グローカル化する経済と社会』ミネルヴァ書房,pp.118-137,2008年。16経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・教授
氏 名 渡邊 博子(Watanabe Hiroko)
取 得 学 位 経済学修士、大分大学、1990年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 産業経済論
研究キーワード 産業振興、イノベーション、ベンチャービジネス、ユニバーサルデザイン、ダイバーシティ
研 究 内 容 1.日本における産業の分析と今後の発展戦略
日本経済の発展に貢献してきた電機・家電産業を対象に、海外展開やグローバル化、国際競争力、
生産分業やネットワーク化などとともに、医療や福祉産業などの新規産業創出やイノベーション、
新しい事業形成としてのアントレプレナーシップやベンチャービジネスなどについて関連する企業
動向とともに調査研究。現在は、大分のモノづくりや中小企業の発展戦略について研究中。
2.ユニバーサルデザイン視点によるモノづくりと人にやさしい社会
モノづくりやサービス提供、社会に対して「やさしさ」を取り入れるきっかけとなったユニバー
サルデザインに関する概念やその展開、企業や行政での取り組み事例や評価などとともに、その展
開としてのCSR(企業の社会的責任)や企業戦略との関係性、
多様な働き方としてのダイバーシティ
などについて調査研究。現在は、ユニバーサルデザイン視点からの大分の地域づくりやまちづくり、
大分におけるダイバーシティの実態や課題について研究中。
3.課題探求型教育プログラムの実践
社会や地域の課題、企業や組織の困り事などについて、学生が主体となってそれらの問題に取り
組み、解決していくための方法を考え、各種機関と一緒になって実践。現地調査を積極的に行いな
がら、これまで、企業や金融機関、自治体、スポーツ団体、同窓会組織などと連携。こうした過程
の中で、連携の形態、取り組み方法、実践とその成果の出し方について研究中。
研 究 業 績・
アピールポイント
産業振興、新規産業、企業戦略、地域づくり・まちづくり、労働等分野において、大分市次世代モビ
リティ研究会への参加、大分市委員会等への参加(商工業振興計画、小規模事業者競争力強化、新
事業分野、行政評価、自治基本条例他)
、大分県委員会等への参加(中小企業活性化関連他)
、日田
市まちづくり集会コーディネーターや検討委員会等への参加、金融機関社外取締役、労働に関する
外部機関検討会への参加(大分労働局、大分県労働委員会)。17
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域行政論)
・准教授
氏 名 秋山 智恵子(Akiyama Chieko)
取 得 学 位 修士(法学)
、千葉大学、2007年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 法律学
研究キーワード 民法(財産法)
研 究 内 容
1.保証債務の「附従性」原則と消滅時効の「相対効」原則との優劣についての考察
2.破産終結決定を受けて消滅した主たる債務者会社の債務の存否および保証人によるその
援用の可否についての考察
3.主たる債務について生じた時効中断の効力が及ぶ範囲についての考察
4.根抵当権によって担保された複数の債権のうち1個の債権の連帯保証人がその債権全部
を代位弁済したことにより取得した求償権と債権者の残債権の優劣についての考察
5.複数の債権を負担する債務者会社の破産手続開始決定後に抵当目的不動産の売却代金に
より数個の債権の全部弁済を受けた債権者が行使し得る債権の範囲についての考察
など
研 究 業 績・
アピールポイント 1.秋山智恵子「保証債務の『別個』性の意義―特に、主たる債務の時効中断について―」
法学新報117巻9・10号133-181頁
2.秋山智恵子「根保証の法的性質に関する一考察―特に、保証債務の『個数』と保証人の 『責任』について」法学新報122巻1・2号1-29頁
など18 所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(基礎経済論)
・准教授
氏 名 宇野 真人(Uno Masato)
取 得 学 位 修士(経済学)
、香川大学、1997年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経済成長理論
研究キーワード 技術進歩、人口成長率、内生的成長理論
研 究 内 容 くろまる人口成長と技術進歩の関係についての考察
人口成長は経済成長ともに増加してきた。そして人口成長は経済成長もたらす上で重要な要素であ
る。しかし、昨今人口は減少局面になっており、人口成長に頼らない経済成長を模索する必要があ
ると思われる。そこで人のかわりに働く機械などの技術で経済を支えていけるのかを考えている。
くろまる技術進歩と雇用率の関係
技術進歩には雇用を増やす効果と減らす効果の二面性がある。ベルリン科学センター雇用職業総合
研究所(1988)
『技術革新と労働の新時代』によると、例えば職場のオートメーション化である。
マイクロプロセッサ技術の発展に伴いコンピュータが安価で幅広くなるにつれ電卓、時計、パソコ
ンなど新製品(新産業)を生みだした。それは雇用を生み出すだろう。同時にオフィスの事務など
がオートメーション化されるに伴い労働の生産性を押し上げ、労働節約の可能性を見出した。これ
は雇用を減らしてしまうだろう。
整理すると、産業増加タイプの技術進歩が起きたとき、産業の増加による雇用の増加が見込める一
方、新しく起きた産業が既存産業の労働生産性を高めた結果、既存産業における雇用を減らしてし
まう。雇用が増える効果と減る効果を技術進歩が持つ結果、技術進歩が起きる前より後の方が、雇
用が減ってしまうということがどのような時に言えるのかを考察していく。
研 究 業 績・
アピールポイント
経済成長理論においても技術進歩と並んで経済成長率を決めるため人口成長率の動きは重要な点
である。江戸時代(1847)から明治初め(1870)までの推定人口をみてみるとおおよそ3千万人
前半で微増していることが観察される。
これに対して1872年以降の人口増加の度合いを観察するとかなりのスピードで増加していること
が読み取れる 。この理由として医療の発展、食料増産体制の確立など人が増加しても維持できるよ
うな技術進歩の存在が考えられる。つまり、技術進歩が人口成長率を高める要因となっていること
いうことである。
昨今日本は人口成長率はマイナスである。理論的に考えると人口が減っているということは技術
進歩が後退しているということになるが、技術進歩は起きている。人口成長率がマイナスの時の技
術進歩とはどうゆう種類のものなのか?またそれに関連して人口が減ってもGDPを維持するために
必要な技術はなんなのか?について研究している。
くろまる論文
1.単著(2022)
"Consideration of the Solow model with logistic curve"『大分大学経済論
集』第 73 巻第 5・6 合併号近刊19経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(経済政策論)
・准教授
氏 名 小野 宏(Ono Hiroshi)
取 得 学 位 博士(経済学)
、広島大学、2003年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 財政学
研究キーワード 財政運営 都市スプロール
研 究 内 容 都市スプロールに関する計量的研究
近年、
多くの市町村では、
都市スプロールの問題に直面しています。都市スプロールの問題の1つは、
非効率な行政サービスの提供や社会資本の整備によって行政コストが増大することです。重要な概
念にも関わらず日本では都市スプロールを直接的に計測した統計データがありません。そこで我々
は代理変数を作成し、都市スプロールの拡大が、日本の地方自治体の行政コストをどの程度増加さ
せるのか、市町村データに基づき推計を行いました(研究業績[1]、研究業績[2])。
財政運営に関する計量的研究
主に日本の中央政府を対象として、財政運営の評価に関する研究を行っています。政府の歳出と歳
入の関係に着目して、日本の財政運営を評価すると、日本では財政の持続可能性が満たされていな
い可能性が高いと言えます。また、政府の歳出と歳入は、経済成長とも大きく関係していますが、
日本では、経済成長は、政府の財政規模を拡大する傾向があると言えます (研究業績[3]、研究業績
[4])。
研 究 業 績・
アピールポイント[1]Tomoya Ida,Hiroshi Ono(2019) ‘Urban Sprawl and Local Public Service Costs in Japan’
Minoru Kunizaki,Kazuyuki Nakamura,Kota Sugahara and Mitsuyoshi Yanagihara(eds.)"
.Advances in Local Public Economics: Theoretical and Empirical Studies (New Frontiers
in Regional Science: Asian Perspectives37)",Springer,pp.195-216.[2]井田知也・小野宏(2020)「コンパクトシティが及ぼす地方財政への影響―都市スプロール弾力性の
市町村別推計―」
『公共選択』第74号,pp.26-47.[3]Hiroshi Ono(2014)’ The government expenditure-economic growth relation in Japan: an
analysis by using the ADL test for threshold cointegration’ Applied Economics, vol.46,
pp.3523-3531.[4]Hiroshi Ono(2008)’ Searching for nonlinear effects and fiscal sustainability in G-7
countries’ Applied Economics Letters,15,pp.457-460.20経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部地域システム学科(地域経営論)・准教授
氏 名 甲斐 智大 (Kai Tomohiro)
取 得 学 位 博士(学術)、金沢大学、2022年3月
S D G s目標
研 究 分 野 経済地理学、都市社会地理学、地域経営論
研究キーワード 地域労働市場、公共サービス、保育サービス需給、マルチワーク、移住、ヤンキー
研 究 内 容 地域の発展や地域の人々の生活を支えるのは、企業でも自治体でもなく「人財」です。そ
のため、地域活性化のためには、その地域での人々の生活を豊かにし、優れた「人財」をそ
の地域に引き付けることが必要です。そこで、私はいかにして地域での生産機能と再生産機
能を維持・発展させるかということに関心をもち、「労働の地理学」の観点から地域労働市
場の構造について検討するとともに、公共サービスの在り方について研究しています。
<具体的な研究テーマ>
くろまる保育労働市場の構造に関する地理学的研究(2012年〜)
・保育士の労働力移動と地域的公正の実現に向けた保育サービスの在り方について
・地方圏における保育士養成機能の縮小メカニズムについて
・高度成長期における教会主導での保育サービス拡大プロセスについて
くろまる人口急減地域の地域労働市場における移住者の役割に関する研究(2021年〜)
・特定地域づくり事業協同組合とマルチワーカーが果たす機能について
・移住者のライフコースと彼らが地域労働市場で果たす役割について
・地方創生施策における対象地域の選定メカニズムと政策効果について
くろまる地方都市における非行少年のライフコースに関する研究(2023年〜)
・元非行少年の地元企業への就職・定着プロセスについて
・非行少年の活動領域の成立メカニズムについて
くろまる地理教育に関する研究(2016年〜)
・地図帳の活用に関する研究
研 究 業 績・
アピールポイント
甲斐智大(2020)東京都における保育所の経営主体からみた保育労働市場の特性-新卒保育士
の採用を中心に-.地理学評論.
甲斐智大(2021)東京圏における保育士不足がもたらした地方圏の保育労働市場への影響-東
北地方における新卒保育労働市場に着目して-.経済地理学年報.
甲斐智大(2022)認可保育所の民営化によって顕在化した公立保育所の課題.地方財務.
庄子元, 甲斐智大(2023)人口急減地域におけるマルチワーカーを活用した労働力の調整―
青森県南部町・秋田県東成瀬村の比較―. E-journal GEO
甲斐智大(2023)特定地域づくり事業協同組合、都市から若者呼び寄せる-単純作業だけでは
地域の橋渡し困難-.日経グローカル.
甲斐智大(2023)教員の「地理」に対する認識と現場が求める「地理総合」の実施にむけた支
援の在り方.季刊地理学.21 所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(経営基礎論)
・准教授
氏 名 加納 拡和(Kano Hirokazu)
取 得 学 位 博士(商学)
、早稲田大学、2021年7月
S D G s 目 標
研 究 分 野 国際経営論、企業家論、戦略経営論
研究キーワード 早期国際化企業、ボーングローバル企業、企業家精神、不確実性
研 究 内 容 主に以下の3つについて研究を進めています。
1早期国際化企業の国際化プロセスに関する研究
2スタートアップ企業の都市部における集積と立地戦略に関する研究
3進出国の賄賂の水準が日本企業の立地選択に及ぼす影響に関する研究
詳細はResearch mapをご参照ください(https://researchmap.jp/hkano1128)。研 究 業 績・
アピールポイント
にじゅうまる論文
Hirokazu, K. (2020). "The Dilemma and its Solution of Deep Uncertainty in the Dynamic
Capabilities Framework: Insights from Modern Austrian Economics". Managerial and
Decision Economics, 42(3), 605-611.
にじゅうまる学会報告(国際学会)
Hirokazu, K. (2021). "Early Internationalization and the Subsequent Geographic
Expansion: An Extended Penrosean Perspective", 2021 Annual Meeting of the Academy
of International Business, Jul. 1, Online.
Hirokazu, K. (2020). "Early and Rapid Internationalization as Means of Entrepreneurial
Experimentation and Learning",80th Annual Meeting of the Academy of Management,
Aug. 10, Online
その他の研究業績はResearch mapをご参照ください(https://researchmap.jp/hkano1128)。経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部地域システム学科(民法)・准教授
氏 名 亀岡 鉱平 (Kameoka Kohei)
取 得 学 位 博士(法学)、早稲田大学、2015年2月
S D G s目標
研 究 分 野 民法・法社会学・農業法
研究キーワード 財産権、漁業協同組合、土地改良区、ため池
研 究 内 容 くろまる第一次産業における財産権の経済的実現構造の解明に関する研究
農林水産業は、食料自給率低下、担い手減少といった多様な危機にさらされている。これ
は生産要素(農地や漁場)を有効活用した生産活動が困難になるという点で個別の農林水産
業者の危機であると同時に、農協・森組・漁協、土地改良区といった団体の危機の現れでも
ある。これらの団体は、経営難、構成員減少等を背景として組織の縮小再編(消極的合併、
事業縮小等)を余儀なくされている。
しかし、これら団体の事業は、農林水産業者の生産活動に伴う労苦を経済的に適切な形で
実現するという重要な機能を担っている。これまで、この機能に関する研究は経済学により
各団体に関する個別的研究として行われてきた。一方で、この機能を団体による生産者が保
有する財産権(農地に対する権利や漁業権等)の経済的実現機能として捉え、団体が生産者
の権利実現に寄与していると読み替えることも可能である。つまり、農漁村地域においては
財産権保障という憲法上の価値は、団体を媒介とすることで現実化している実態があり、そ
の限りにおいて、各団体の事業論は、経済学だけでなく法学の主題ともなり得ると考えられ
る。また、法学のアプローチをとることには、従来樹立されてこなかった農林水産団体に一
貫する総論を提示できるというメリットがあると考えられる。
(注記)関連リンク:https://researchmap.jp/read0155595
研 究 業 績 ・
アピールポイント
担当講義は民法ですが、法の解釈よりも現実における法の適用や運用の実態に関心があり、
特に農林水産業関係の法についてフィールドワークを重視した調査研究をしています。
くろまる論文
1.「農業生産権の財産性に関する考察―生乳クオータの差押可能性を中心として―」早稲
田法学会誌64巻2号(2014年)325-380頁
2.「漁場を巡る過少利用問題の諸相と漁業協同組合」土地総合研究26巻4号(2018年)91-
102頁
3.「土地改良区の組合員制度問題─議論動向からの考察─」農林金融75巻7号(2022年)
342-359頁
4.「農業用ため池所有権の法政策論的考察―利用形態の現代的変容を念頭に―」法社会学
89号(2023年)151-178頁22 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・准教授
氏 名 川崎 晃央(Kawasaki Akio)
取 得 学 位 博士(経済学)
、九州大学、2007年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 産業組織論
研究キーワード 民営化
研 究 内 容 近年は,企業の費用関数(収穫一定,収穫逓減)の違いが混合寡占市場における生産量の決定タイ
ミングにどのような影響を与えるのか,またそれらが民営化の程度にどのような影響を与えるのか
について研究を進めてきた.
その結果,タイミングゲームの均衡としては私企業先手,または公企業先手,という複数均衡が
実現することを明らかにした.これらの帰結は従来の研究結果と同じであるため,この均衡は費用
関数の違いに影響を受けないことが確認された.次に,リスク支配概念を用いて均衡の絞り込みを
行うと,私企業と公企業の費用効率性の差が小さいならば私企業の国籍に関係なく公企業先手がリ
スク支配均衡として実現するが,その差が大きいならば,私企業が国内企業であれば私企業先手が,
外国私企業であれば公企業先手がリスク支配均衡として実現することを明らかにし,従来の結論が
必ずしも成立しないことを明らかにした.
また,部分民営化の議論とタイミングゲームの議論をまとめることによって,国内私企業の場合
は私企業先手のもとでの部分民営化,外国私企業の場合は公企業先手での完全公営が均衡として実
現することを明らかにし,これまでの多くの研究で仮定されてきた同時手番ゲームは,タイミング
ゲームでの均衡という視点から見ると,オフパスのゲームであることを示すことに成功している.
また,非対称な複数市場競争モデルを用いて,企業が収穫一定の技術を持つ場合と収穫逓減の技
術を持つ場合で,最適な民営化の程度にどのような変化をもたらすかについて研究をすすめ,2つの
財・サービスの差別化の程度が最適な民営化の程度に及ぼす影響に大きな違いを生じさせることを
明らかにした.
研 究 業 績・
アピールポイント
【タイミングゲーム関する成果物】
Kawasaki, A., Ohkawa, T., Okamura, M., (2020) "Endogenous timing game in a mixed
duopoly with partial foreign ownership and asymmetric increasing marginal costs"
Australian Economics Papers, 59(2), 71―87. (Top Cited Article 2020-2021)
【部分民営化と費用関数に関する成果物】
Kawasaki, A., (2022) "Pricing strategies and partial privatization policy based on
complementary competitive Market " Journal of Industry, Competition and Trade 22, 99
―123.
【タイミングゲームと部分民営化に関する成果物】
Kawasaki, A., Ohkawa, T., Okamura, M., (2022) "Optimal partial privatization in
an endogenous timing game: a mixed oligopoly approach" Journal of Economics,
Forthcoming.
DOI: 10.1007/s00712-022-00777-923 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域行政論)
・准教授
氏 名 金 康浩(Kim Kangho)
取 得 学 位 修士(法学)
、早稲田大学、2017年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 法学
研究キーワード 会社法、商法
研 究 内 容 会社法に関する問題のうち、株主による企業統治(経営者に対する監督の仕組み)への関与のあり方
を中心に研究しています。
株式が多くの株主によって広く分散的に保有されている株式会社(上場会社)には、組織的に株式会
社への投資を行う機関投資家等の大きな持株比率を占める大株主のほかに、個人として会社に投資
する多くの零細な小株主が存在しています。このような株式保有構造の下で、広く小株主に訴訟等
を通じた企業統治への関与の機会を保障すると、会社関係者全体に負担(株主による権利の濫用の危
険、および、会社が株主による訴訟に応じる費用等の増加)が生じます。他方で、小株主が企業統治
に関与する機会を排除すると、経営者に対する監督の効果が損なわれるといった問題が生じます。
このような問題について、日本の会社法の母法の1つであるアメリカ法には、大株主による企業統
治への関与を促進しながらも、小株主による企業統治への関与の機会を保障する制度がおかれてい
ます。しかし、そのような制度がどのような沿革にもとづいて成立したのか、実際に大株主および
小株主によってどのように利用されているのか、また、その効果と問題としてどのようなものが生
じているのかという点については従来十分に検討されてきませんでした。
そこで、そのようなアメリカ法の沿革と実態、および、日本法の状況とを比較しながら、大株主
および小株主による企業統治への関与のあり方を研究しています。具体的には、アメリカの州会社
法および連邦証券諸法を中心にその内容、沿革および実態を研究して、日本法との共通点および相
違点を明らかにすることを目的にしています。
研 究 業 績・
アピールポイント
金康浩「株主の権利行使における持株要件の形成および展開(1)-アメリカ会社法における株主閲覧
権制度および株主代表訴訟制度ならびにSEC規則における株主提案権制度を対象として―」早稲田
法学会誌 70巻2号(2020)
金康浩「株主の権利行使における持株要件の形成および展開(2・完)-アメリカ会社法における株主
閲覧権制度および株主代表訴訟制度ならびにSEC規則における株主提案権制度を対象として―」早
稲田法学会誌 71巻1号(2020)
金康浩「不実開示責任の追及における機関投資家および個人投資家の役割(1)-アメリカ私的証券訴
訟改革法における主任原告条項(Lead Plaintiff Provisions)の構造-」早稲田法学会誌 71巻2号
(2021)
金康浩「不実開示責任の追及における機関投資家および個人投資家の役割(2・完)-アメリカ私的証
券訴訟改革法における主任原告条項(Lead Plaintiff Provisions)の構造-」早稲田法学会誌 72巻1
号(2021)24経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(比較経済論)
・准教授
氏 名 木村 雄一(Kimura Yuichi)
取 得 学 位 博士(経済学)
、京都大学、2003年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 開発ミクロ経済学
研究キーワード 農業家計、農業への投資・商品作物、土地制度、教育投資、産業集積・技術伝播、労働移動
研 究 内 容 ・親族の絆は足枷か?:西アフリカの伝統的土地所有制度と農業投資
西アフリカの伝統的土地制度は、親族単位の集団的土地アクセスを特徴としており、重複した曖昧
な所有権が、商品作物導入、農業投入を停滞させていると見られている。過去20年間にゴム栽培の
普及が進むガーナ南部で収集した家計データを使い、重複土地権利がどのような経路で、なぜ投資
を抑制するかを検証した。実証分析結果から次のことが明らかになった: ゴム投資の収益に対する
分配圧力や、利益回収の前に土地が親族内で再配分されるリスクなどが従来から仮説的に認識され
ている抑制要因だが、これらの仮説は親族経由の土地で起きる極端な低投資の理由を説明しない。
土地の担保権は資金アクセスを向上させるが農業投入と生産性を上昇させていない。親族所有での
投資抑制誘引を説明する最大の要因は商品作物導入と農業投入に付随する投資リスクの回避だ。商
品作物投資は食糧安全保障とトレードオフの関係にある。リスク回避誘引が親族経由の土地で特に
強くなることが、商品作物への投資抑制をしていると考えられる。
(科研費課題 26450329)
・中国の農村土地制度改革と農業への投資、分配、政治参加
中国の公的な土地制度改革の一部として、
宁夏省 石嘴山市、
陕西省 咸阳市 杨凌区で、
土地使用権(経
営権)を担保とした借入を可能にする制度変更が2017年から開始された。これらは土地の所有権制
度と農業家計の行動の因果関係を検出する目的にとって理想的な実験機会を提供している。担保権
の付与が借入に対して、農村家計による農業への投資、都市への移民の土地資産運用と都市での生
計上あるいは教育投資などに対してどのように影響したか;都市への移民の資金制約の緩和や、農
村での生産要素市場の、ある程度の規模を持つ組合(合資会社)の出現などについて効果を持つか、
について検証する。介入群をプロジェクト試行自治体境界線の内側、日介入群を境界線の外側から
標本抽出する地理的断絶設計の実験研究として計画している。
(計画段階、科研費課題 19K01655)
・義務教育の学費、教育投資と所得配分: インドネシアの家計データによる実証研究
インドネシアでは小中学校の学費無料化は完了しているが、非公式な寄付や諸経費に100ドルほど
かかる。農村を出て他地域で、あるいは非農業部門に就業することは農村出身者の所得向上にとっ
て有望な経路だが、
それには条件中学卒業が重要な要件となる。小中学校の学費無料化が、
中学卒業、
就業地域・職種の選択を通じて将来所得にどの程度のインパクトがあるかを反実仮想的に計測した。
シミュレーションから学費無料化が、とくに女性の低賃金稼得者の所得向上に大きな効果を持つで
あろうことを明らかにした。
(科研費課題 22830055)
研 究 業 績・
アピールポイント
Kimura, Yuichi, 2021. "Shackles of Kinship Bonds: Land Tenure Institutions and
Smallholders' Farm Investments in Ghana," 2021 Conference, August 17-31, 2021,
Virtual 315049, International Association of Agricultural Economists.
Kimura, Yuichi, 2015. "Informal school fee, school progression, migration and
occupational choice, and income distribution: evidence from Indonesia", mimeo.
Kimura, Yuichi, 2011. "Knowledge Diffusion and Modernization of Rural Industrial
Clusters: A Paper-manufacturing Village in Northern Vietnam," World Development,
Elsevier, vol. 39(12), pages 2105-2118.
Kimura, Yuichi, 2005. "Learning Own Ability and Migration of the Young : Evidence from
Thailand" KIER Working Papers 605, Kyoto University, Institute of Economic Research.25経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域情報文化論)
・准教授
氏 名 久保田 亮(Kubota Ryo)
取 得 学 位 博士(文学)
、東北大学、2010年2月
S D G s 目 標
研 究 分 野 文化人類学
研究キーワード アラスカ先住民、多民族社会、生業、生存狩猟・漁労、天然資源開発、伝統芸能、文化継承
研 究 内 容 (1)アラスカ先住民文化の歴史動態に関する研究
アメリカ合衆国の周縁に位置づけられた先住民の日常生活を現地調査から得た一次資料に基づい
て丹念に検討することで、先住民という社会的位置づけが人びとの文化の実践、表象、構築の仕方
にどのように作用しているのかを検討する。研究の焦点となる先住民は、アラスカ州南西部を故地
とする先住民ユピック/チュピックと自称する人びとであり、アラスカにおける先住民の政治活動
が興隆した1970年代以降に生じた諸現象を取り上げる。具体的な検討事項の一つとしては、キリス
ト教宣教師の布教活動において抑圧された先住民文化実践の一つである伝統ダンスの復興や活性化
に向けた人びとの営為と、その政治経済的意義などが挙げられる(業績 2,3,4)。(2)アラスカにおける生業活動の持続と天然資源開発の関係性についての研究
アラスカ州南西部で計画されている天然資源開発
のステークホルダーたちが、いかなる持続可能な社
会を求めており、その実現のためにいかなる方策を
立てているのかについて、民族誌学的に検討する。
本研究が主眼とする天然資源開発事業は、アラスカ
南西部を流れるクスコクウィム川上流で1980年代
より埋蔵量調査が始まった金鉱開発である。天然資
源開発の社会的、文化的、経済的、政治的インパク
トを捉えるための事例となるのは、同地域で行われ
ているサケを対象とした生存漁労である。地域経済
の発展が期待される天然資源開発と、伝統的生業として経済的かつ文化的に高く価値づけられてい
るサケ漁労の持続的実施の達成にむけた行政機関、先住民団体、開発企業、地元住民のさまざまな
実践について分析する(業績 1,5)。研 究 業 績・
アピールポイント
研究業績
1. 生田博子・久保田亮(2022予定)『南西アラスカ・クスコクイン川流域における生業、
野生動物管理、
金鉱開発の研究動向』
「国立民族学博物館調査報告」。2. 久保田亮(2016)『伝統ダンスを踊ることの意味:アラスカ南西部先住民の民族誌的事例検討』
「大
分大学経済論集」67(6):95-125。
3. 久保田亮(2015)
『ユピックの在来知と知的財産概念:人と伝統芸能の関係についての事例検討』
「国
立民族学博物館調査報告」131:229-251。
4. 久保田亮(2011)『歌の帰郷:民族誌的資料の「返還」と「活用」に向けた取り組みについて』
「北
海道立北方民族博物館研究紀要」20:11-24。
5. 久保田亮(2009)
『法概念
「サブシステンス」
の成立:先住民権利保障へのドミナント文化の影響』
「東
北人類学論壇」8:22-53。26 所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域行政論)
・准教授
氏 名 小山 敬晴(Koyama Takaharu)
取 得 学 位 博士(法学)
、早稲田大学、2019年9月
S D G s 目 標
研 究 分 野 社会法学
研究キーワード 労働法、労働組合の代表性、フランス労働法
研 究 内 容 フランスにおける代表的労働組合概念の研究(早稲田大学博士論文、2019年9月)。フランスにおける代表的労働組合概念の変容(1)(早稲田大学大学院法研論集 (140) 143-161
2011年)
フランスにおける代表的労働組合概念の変容(2・完)(早稲田大学大学院法研論集 (141) 153-171
2012年)
ワークショップ フランスの労働法改革 フランスの労働法改革(日本労働法学会誌 (132) 140-148
2019年)
「第38条の3〜38条の4」西谷敏、野田進、和田肇、奥田香子編『新基本法コンメンタール 労働
基準法・労働契約法〔第2版〕』、日本評論社、2020年、pp.169-178.
「争議行為と損害賠償」野田進編『実務家のための労務相談』
、有斐閣、2020年、pp. 357-361.
「労働組合の街宣活動と名誉毀損」野田進編『実務家のための労務相談』
、有斐閣、2020年、
pp.379-383.
「採用内定―大日本印刷事件」
『労働判例百選〔第10版〕
』別冊ジュリスト257号、有斐閣、2022年、
pp.20-21
詳細はresearch map(https://researchmap.jp/7000001599)+B11で公表している。
研 究 業 績・
アピールポイント
社会法学27経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(比較経済論)
・准教授
氏 名 柴田 茂紀(Shibata Shigeki)
取 得 学 位 修士(経済学)
、京都大学、1998年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 通商政策
研究キーワード 国際貿易 国際貿易体制 国際経済秩序 国際通商政策
研 究 内 容 国際貿易体制や国際経済秩序がいかに形成され、今後展開していくのかを研究している。具体的
には、第二次世界大戦後の経済自由化政策の「順序(sequencing)
」を政策立案者の現実的観点か
ら捉え直し、既存の理論研究の補足を試みている。
自由化政策を分析する際、経済学の分野では、いくつもの仮定や条件に基づいたモデル研究が展
開されている。しかし、実際の自由化プロセスを整理すると、理論モデルでは捨象されている政策
が明らかになる。そこで本研究では、政策立案時に作成された国内外の一次資料と経済統計を活用
しながら、自由化に関連する政策が実際に導入された「順序」を検証する。先駆的な理論研究であ
る「宇沢=浜田の命題」や、そこから発展した先行研究の成果をまとめながら、実際に導入された一
連の政策を検証し、経済の自由化政策に関する分析枠組の発展を目指す。
本研究の意義としては、第一に、現実的な政策立案・政策導入の観点から、経済の自由化政策に
関する分析視角が提起できる点、第二に、経済の自由化を進める上で、他国政府や国際経済機関
(GATT(WTO)、IMF、OECD、BIS)との関係性を明確化できる点、第三に、経済の自由化政策に
関する日本の経験が整理されるため、日本と他国の自由化政策の比較研究が進めやすくなる点を想
定している。
研 究 業 績・
アピールポイント
Shibata, S. (2018), "Emerging countries’ dilemmas in multilateral frameworks: the case
of the Japanese "miracle"", Asian Education and Development Studies, Vol. 7 No. 4, pp.
364-374.
科研費・基盤研究(C)研究代表者:2020~2023年
国際貿易体制における日本の「経済大国」化:ルール追随国からルール形成国へ
科研費・若手研究(B)研究代表者:2008〜2011
IMFの対日政策と日本-日本のIMF8条国移行(1952年〜64年)を中心に28 所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域経営論)
・准教授
氏 名 高島 拓哉(Takashima Takuya)
取 得 学 位 博士(社会学)
、立命館大学、1993年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 地域社会学、環境社会学、福祉社会学
研究キーワード ごみ出し困難、バリアフリー、町内会・自治会、アンペイドワーク
研 究 内 容 「環境と福祉の社会学」
駐車場やトイレのバリアフリー対応は、どこまでの対象者に利用許可を出すかが政策争点となっ
ています。この問題には、障害者のニーズ把握に際して古くからの障害の医学モデルに加え、社会
モデルならびに「障害社会学」などの新たな視点で再整理が求められます。
また、ごみ問題は環境問題の一部と考えられてきましたが、高齢者・障害者のごみ出し困難やご
み屋敷問題などから福祉の問題としても考えられ始めています。
社会福祉学の議論のなかに普遍主義と選別主義という対抗があり、特定の対象者に限定して給付
するか、ニーズがある限りニーズの低い人にも応分の給付を行うかの考え方が分かれていますが、
この視点を応用してバリアフリー問題やごみ出し困難の問題を考えてみるということが現在のテー
マです。
「町内会・自治会とアンペイドワーク」
町内会・自治会などの地縁組織においては、担い手の不足から強引な人選など不健全な運営が目
立つようになっています。私はフェミニズムで議論されてきたアンペイドワーク論を素材として、
町内会・自治会の活動をアンペイドワークの一部としてとらえ返し、家庭内の介護などの家庭内ア
ンペイドワークと町内会・自治会など地域社会レベルのアンペイドワークとの重複による過重負担
問題を考えています。
研 究 業 績・
アピールポイント
高島拓哉(2020)
「ごみ問題と福祉の接点―ごみ出しが困難とはどういうことか」大分大学大学院
福祉社会科学研究科『福祉社会科学』12号。
高島拓哉(2009)
「地域社会レベルのアンペイドワーク論に関する試論―ジェンダー不平等の視点
からの相対的分離」大分大学大学院福祉社会科学研究科『紀要』12号。29経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(会計情報論)
・准教授
氏 名 中村 美保(Nakamura Miho)
取 得 学 位 博士(商学)
、一橋大学、2004年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 財務会計・国際会計
研究キーワード International Financial Reporting Standard (IFRS),業績報告,会計制度研究,実証研究
研 究 内 容 現在はおもに国際会計についての研究を国内外の研究者と共同しながら行っている。
現在のわが国の会計制度においては、J-GAAP(日本基準)
・IFRS・SEC基準・JMISと企業の連結
財務諸表について多くの財務報告基準の選択肢を認めるという状況になっている。またJ-GAAP自
体についても、個々の会計基準の検討を前提としたエンドースメント・アプローチによるIFRSとの
コンバージェンスが行われている。こうした状況は世界的に見ても複雑で特殊な状態といえる。こ
うした我が国の会計制度の状況に着目し、財務諸表作成者である企業がどのようなロジックで会計
基準選択を行っているのか、そうした選択がステークホルダーにどのような影響を与えているとい
えるのか、結果として、企業が会計基準をIFRSへ変更するという形でグローバルに統合しようとす
ることが何を意味するのかということについて、理論的・実証的に検証することである。海外でも
本来的なIFRS任意適用をベースに企業の会計基準選択という観点から研究をした文献はあまり多く
ないため、貴重な研究テーマといえる。近年は、任意適用となっている我が国においてのIFRS適用
に関する様々なトピックをテーマに研究している。とくにIFRS適用をめぐる財務諸表作成者(企業)
の動機・適用のあり方、適用後の影響について研究している。
研 究 業 績・
アピールポイント
・Ozu, C., Nakamura, M., Nagata, K. and Gray S.J. 2018, Transitioning to IFRS in Japan:
Corporate Perceptions of Costs and Benefits’, Australian Accounting Review 28 (1):
4-13.
・University of Valencia のBegona Giner教授との国際共同研究プロジェクト
Working paper: Giner, B., Merello, P., Nakamura, M. and Pardo F. 2020, Implementation
of IFRS in Japan: An Analysis of Voluntary Adoption by Listed Firms, SSRN (https://
papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3542995).30 所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・准教授
氏 名 仲本 大輔(Nakamoto Daisuke)
取 得 学 位 博士(学術)
、横浜国立大学、2006年9月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経営戦略論
研究キーワード 経営戦略、地域ブランド、新製品開発、共創、本業回復
研 究 内 容 くろまる地域ブランドに関する研究
地方創生が叫ばれる今日、日本の各地方自治体が地域活性化の手法の1つとして地域ブランド商品
の開発および展開に積極的に取り組んでいる。そこには地方自治体だけでなく、地域企業、農林水
産物の生産者等の様々な主体が参画している。また、各地に地域ブランド商品が乱立していると言っ
ても過言ではなく、いかに地域ブランドを確立し持続させていくかが課題となっている。私は経営
学、特に経営戦略論の観点から、地域ブランド商品の開発プロセスのあり方、開発戦略、販売戦略
について研究をしている。
くろまる新型コロナウイルス禍における本業回復に向けての企業の経営戦略
2019年12月に中国で発見された新型コロナウイルス(COVID-19)は2022年3月に至るまで
様々に変異を続け、世界中の人々の行動が大幅に制限されたままとなっている。そして、様々な業
種にわたり、多くの企業が新型コロナウイルスの蔓延前から急激に業績が悪化し、本業としてきた
事業の継続が難しくなってきている企業も存在している。その打開策の1つとしては新規事業の開発
による多角化があり、本業以外の事業の育成による苦境の脱却があるが、本研究では本業をいかに
して再生し、持続させていくのかという点に着目する。研究対象としては鉄道会社、航空会社など
の運輸企業を取り上げる。こうした企業の新型コロナウイルス禍における本業に関わる様々な取り
組みを検討し、その背後にある経営戦略を研究する。
研 究 業 績・
アピールポイント・(共著)
「地域企業と地方自治体との協働による新製品開発戦略に対する一考察 -大分市の「大友
宗麟時代の南蛮菓子・外国菓子の再現事業」をもとに-」
『ビジネス・マネジメント研究』第14号、
2018年。・(共著)
『地域ブランド戦略と雇用創出』白桃書房、2010年。・「業界標準の獲得と戦略プロセス -基幹部品を事例として-」横浜国立大学大学院国際開発研究
科博士論文、2006年。
・2020年4月より刊行が開始された大分合同新聞の別刷「GXビジネス」に毎月1回掲載される「大
分大学GXビジネス教室」に2022年3月までに11回、コラムを執筆。
・2017年度に九州経済産業局が開催した「九州地域ブランド総選挙」に参加した学生グループ2つ
に対し、ビジネスプランの考案等の際に適宜指導をした。その結果、1グループが「ベストビジュ
アル賞」と「ベストプレゼン賞」のダブル受賞をすることができた。31経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 社会イノベーション学科・准教授
氏 名 中本 裕哉(Nakamoto Yuya)
取 得 学 位 博士(経済学)
、九州大学、2020年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経済統計、環境経済学
研究キーワード 循環型社会,産業エコロジー
研 究 内 容 〇製品寿命に注目した自動車のライフサイクル分析 (業績 1)
自動車の寿命には製造から廃棄までの物理的寿命
と, 購入から買い替えまでの経済的寿命がある. これ
らの寿命を組み合わせ, 自動車のライフサイクルCO2
排出量を推計するモデルを開発した.
〇自動車のグローバルカーボンフットプリント分析 (業績 2,3)
自動車のストック・フローモデルと産業連関分析を組み合わせることで自動車のライフサイクル
を通して誘発されるカーボンフットプリントを推計した. また, 自動車の寿命の変化が自動車由来の
カーボンフットプリントに与える影響を推計した.
〇自動車の買い替え行動分析 (業績 4)
ランダム効用理論に基づく離散選択モデルを用いることで, 通時的な効用水準を最大化する消費者
行動に基づく買い替え分析を行った. 結果から, 車検制度の修正を通した自動車の経済的寿命の延長
が排出削減に寄与することを明らかにした.
研 究 業 績・
アピールポイント
1. Nakamoto, Y. and Kagawa, S. (2021) A generalized framework for analyzing car
lifetime effects on stock, flow, and carbon footprint, Journal of Industrial Ecology, 1-15.
https://doi.org/10.1111/jiec.13190
2. Nakamoto, Y. (2020) Spatial structural decomposition analysis with a focus on
product lifetime, Economic Systems Research; 32: 239-261.
3. Nakamoto, Y., Nishijima, D. and Kagawa, S. (2019) The role of vehicle lifetime
extensions of countries on global CO2 emissions, Journal of Cleaner Production; 207:
1040-1046.
4. Nakamoto, Y. and Kagawa, S. (2018) Role of vehicle inspection policy in climate
mitigation: The case of Japan, Journal of Environmental Management; 224: 87-96.
5. Nakamoto, Y. (2017) CO2 reduction potentials through the market expansion and
lifetime extension of used cars, Journal of Economic Structures; 6, 17, 1-14.32 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部経済学科・准教授
氏 名 海 大汎 (HAE Daebeom)
取 得 学 位 博士(経済学)、北海道大学、2020年3月
S D G s目標
研 究 分 野 マルクス経済学
研究キーワード 貨幣・信用・資本・労働・環境
研 究 内 容 くろまる資本主義経済の構造と動態に関する研究
本研究は,資本主義経済を理論的に分析するものであるが,その目的は,資本主義経済の
原理像を構築し,その運営メカニズムを解明することにある。資本主義経済は,貨幣の特
殊な使用方法によって社会の生産と流通を処理する特殊歴史的な体制である。単に経済成
長率やそのための政策,株式市場などを見るだけで理解できる,というような性質のもの
ではない。したがってそこでは,理論的アプローチが先行されなければならない。その作
業は,資本主義経済の原理像という一つの理論体系を構築することに他ならない。
*貨幣生成論に関する研究(著書1)
この研究は,信用の原理を商品論の枠内に組み込む一環として,貨幣形態の成立原理から
信用関係の形成メカニズムを原理的に解明したものである。こうした試みは,商品交換そ
のものの成立の理論的根拠を問い直すと同時に,その成立の条件をなす貨幣の生成とその
様態を明らかにしうる端緒を与える。これを通じて,商品経済を構成する主要なファクタ
ー─商品,貨幣,信用,そして市場自身─の存立根拠を原理的に把握することができる。
*労働論・労働者論に関する研究(論文1)(論文2)
この研究は,労働者は個別者に内在する労働者表象に対する資本の貨幣評価を前提として
成り立つ存在であることを論証しようとしたものである。論文1では,労働力商品化とい
う史的現象と,労働力=商品という理論的構想との間の飛躍について論じたが,論文2で
は,労働者包摂の一連のメカニズムが商品交換の原理によって処理されるということを解
明するとともに,労働と能力の結びつきに関する従来のイデオロギーを相対化した。
*資本形式論に関する研究(論文3)
この研究は,資本形式論における宇野弘蔵の方法論的展開を吟味し,資本の出現とその完
成について論じたものである。そのために宇野原論における流通形態論の構造と資本形式
論の方法を検討し,資本が「流通の外部から来た貨幣」の高次の自己回復として完成され
ることを論証することで,原理論体系における資本形式論の理論的意義を明らかにした。
*環境論・環境思想に関する研究
この研究は,経済学の思想的潮流を踏まえて,現在資本主義社会が直面している環境問題と
その根因を理論的に解明しようとするものである。現時点では,欧米マルクス学派の議論を
中心とした研究を進めている。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
1.2021年「資本・賃労働関係の成立原理に関する一考察」政治経済研究所『政経研究』第
117号。
2.2022年「資本・賃労働関係の成立原理に関する一考察(その2)」政治経済研究所『政
経研究』第119号。
3.2022年「資本形式論の方法」経済理論学会編『季刊・経済理論』第59巻第1号。
くろまる著書
1.2021年『貨幣の原理・信用の原理―マルクス=宇野経済学的アプローチ』社会評論社。33 所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(経済政策論)
・准教授
氏 名 林 勇貴(Hayashi Yuki)
取 得 学 位 博士(経済学)
、関西学院大学、2016年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 財政学
研究キーワード 博物館、固定資産税、公共施設
研 究 内 容 くろまる 地方公共財の便益評価に関する理論的・実証的研究
地方自治体は住民が利用することで得られる直接的な便益と第三者や社会に与える間接的な便益
(外部性)の両方を持つ準公共財を供給しているが、便益に関する研究蓄積が国内外とも少ないこと
から、効率性や公平性に関するエビデンスに基づかない供給がなされている。こうした実態から、
本研究は博物館などの公共施設を取り上げ、理論と実証の両面から便益評価に関する研究を進めて
いる。
くろまる 自治体のマネジメント改革に関する研究
地方自治法で定められた「最少の経費で最大の効果」をあげるために求められる自治体のマネジ
メント改革に関して以下の研究を行っている。第一の研究として、上下水道事業や公営バス事業の
経営効率を検証し、第二の研究として、民間企業で活用されているバランスト・スコアカードなど
を地方自治体の政策形成プロセスに応用する研究を進めている。
くろまる 固定資産税に関する研究
公共サービスの便益は地価に反映されるため、土地にかかる固定資産税は応益原則を満たすと言
われていることから、第一の研究では、固定資産税が実際に応益性を満たしているのかを検証して
いる。第二の研究では、固定資産税や地方公共財の存在が土地利用や都市の人口分布といった都市
空間に与える影響を検証している。
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる 主な著書
1.2018年『地域政策の経済学』
、日本評論社。
2.2019年『文化経済学』
、有斐閣。
3.2019年『基礎コース 財政学』
、新世社。
4.2021年『新・地方財政』
、有斐閣。
5.2021年『地域データ分析入門-すぐに役立つEBPM実践ガイドブック-』
くろまる 主な委員
1.文化庁「文化行政調査研究」審査委員会 技術審査専門員(2020年、2021年)
2.文化庁「文化に関する世論調査」審査委員会 技術審査専門員(2020年、2021年)
3.大分市上下水道事業経営評価委員会 委員長(2020年7月-現在)
4.大分市入札監視委員会 委員(2021年7月-現在)
くろまる 受賞
1.納税協会連合会「税に関する論文」専門家の部・優秀賞「応益原則から見た固定資産税の評価
-ヘドニック・アプローチを用いた実証的研究-」34経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部地域システム学科(TOEFL・Business)・准教授
氏 名 ホワイト・クリス(White, Chris)
取 得 学 位 M.Ed TESOL(Wollongong University) 2012年7月
S D G s目標研 究 分 野 Teacher motivation
研究キーワード wellbeing, autonomy, work-life balance, NNESTs
研 究 内 容 Teacher wellbeing influences a myriad of factors such as motivation,
confidence, and pedagogy. A teacher's sense of wellbeing can
dramatically effect the classroom atmosphere, as well as a students’
overall mastery of English. Taking a look at the demands placed on
NNESTs (non-native English speaking teachers), my research
investigates the importance of teacher motivation, and self-efficacy
in curriculum implementation and on work-life balance. Additionally,
it also endeavors to explore educational practicum considerations and
in-service training procedures to determine if they are effective in
enhancing NNEST self-confidence in the classroom and if not, how they
can be changed to increase the efficacy of recent educational
reforms.
研 究 業 績 ・
アピールポイント
Publications:
1. White, C. Conceptualizing Well-Being, Autonomy, and Professional
Development for Japanese Teachers, (Forthcoming - winter 2024)
2. White, C. (2019). Towards the virtuous cycle: improving teacher
training, motivation and self-efficacy. In Pattison, T (Ed.), IATEFL
2019 Liverpool Conference Selections (Section 12.4). IATEFL.
Presentations:
1. White, C. (April 18-21, 2023). Conceptualizing wellbeing,
autonomy, and training protocols for non-native English speaking
teachers. [Paper presentation]. International Association of Teachers
of English as a Foreign Language 56th Conference, Harrogate, UK.
2. White, C. (April 2-5, 2019). Towards the virtuous cycle: improving
teacher training, motivation and self-efficacy. [Paper presentation].
International Association of Teachers of English as a Foreign
Language 53rd Conference, Liverpool, UK.35 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(経営管理) 准教授
氏 名 松谷 葉子 ( Matsutani Yoko )
取 得 学 位 経営管理修士(専門職)、京都大学、2008年3月
S D G s目標研 究 分 野 経営学
研究キーワード フォロワーシップ、働き方、しごと、起業、事業創成
研 究 内 容 1.フォロワーシップに関する研究
コロナ禍を経て、リモートワークという時間と空間を共有しなくても仕事ができることが認
知され、必ずしも出社しなくても良い環境が整う組織が増加しています。
リモートワーク普及の影響は組織内の構成員だけではなく、外注業務にも影響し、アウトソ
ーシングの形が組織から組織への外注だけではなく、組織から個人の外注が増加、また外注
先も人間だけではなく、AI活用やRPAの簡単なシステムなど、ネットとパソコンさえ動いて
くれれば人間が介在しなくても作業が進む環境も整いつつあります。
2018年以降、副業を解禁する組織が増加し、複業を奨励する組織も増え、組織側も副業とし
て個人に仕事を依頼する組織も増えています。このような今、仕事の仕方として、個人の姿
勢や考え方としての「フォロワーシップ」を考えることが、次世代の持続可能な組織をつく
るのではないかと考えています。
2.事業創成/起業に関する研究
ビジネスアイディアを創出し、実際にビジネスとして成立させるためには、何が必要となる
のか、何をすれば良いのか、何をもって成功とするのか、ということを実務を交えて考えて
います。
3.個人の働き方、過ごし方の研究
1に関係しますが、フォロワーシップというのは個人のセルフマネジメントが出来て成立す
る概念だと考えています。時間と空間を共有しなくても仕事が出来る今、個人としてどのよ
うに働くべきなのか、個々人の選択が問われると考えています。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
・フォロワーシップに関する研究
学会報告など(2007年〜)
・人事系コンサルティングの実務経験
人事評価制度策定、構成員のパフォーマンス評価軸策定など。
・経営コンサルティングの実務経験
新規事業立ち上げ支援、業務改善支援、品質管理システム構築支援、研究開発業務改善支
援など
・事業立ち上げから終焉までの経営者としての経験
★電子工学出身で、20代後半まではエンジニアとして理系研究者生活をしていました。
そんな私だからこそ見えるものがあると考えています。36 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 総合経済学科/地域システム学科・准教授
氏 名 美谷 薫 (Mitani Kaoru)
取 得 学 位 博士(理学)、筑波大学、2005年3月
S D G s目標
リサーチマップ
(researchmap)
(注記) 上 記 を ク リ ッ ク
し て く だ さ い
研 究 分 野 人文地理学(行政地理学・経済地理学)・地域行政論
研究キーワード 市町村合併、行政地域システム、住民自治組織、行政サービス、水道事業
研 究 内 容 市町村合併をはじめとする行政区域の再編について、その地域的あるいは時代的な特性を明
らかにすることに関心を持ち、具体的には「平成の大合併」の時期にあわせて導入された地
域自治制度などの実態調査を実施してきました。地方公務員時代には(業務としてですが)
コミュニティ政策の動向や上下水道料金の地域差についての調査も担当しています。
現在は、「平成の大合併」が落ち着いてから20年弱が経過することもあり、市町村合併に
伴う行政体制の再編や、地域社会・地域経済への合併の影響について、丁寧な事例調査に基
づいて明らかにすることを研究上の主要な課題としています。また、さまざまな地域単位ご
とに配置される行政的・公共的機能の実態を明らかにすることを通じて,今後の望ましい公
共的機能の空間配置を検討する構想を有し,調査を進めています。
上記の研究課題に関連して、大学院在籍時には、1950年代の「昭和の大合併」や高度経済
成長期の合併が行われた市町村を対象に,合併後の行政資源の空間的な扱われ方を、長期ス
パンでの地区別での事業費の配分に着目して分析・考察しました。
このほか、事業を取り巻く環境の変化により、水道事業の広域再編が推進されていること
から、実務経験をもとに,そのあり方や課題について検討していきたいと考えています。現
在のところ、都道府県などが策定する水道事業の広域再編の推進に係る計画の内容を分析し
たほか、近年の事例での再編プロセスの調査などを進めています。
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる主な著書
神谷浩夫・梶田 真・佐藤正志・栗島英明・美谷 薫編著 2012.『地方行財政の地域的
文脈』古今書院.
くろまる主な論文
美谷 薫 2003.千葉県市原市における都市経営の展開と公共投資の配分.地理学評論76:
231-248.
美谷 薫 2021.水道事業広域再編に係る都道府県の「圏域」設定の特性.福岡県立大学人
間社会学部紀要30(1):141-153.
美谷 薫 2022.地理学における地域の諸概念と「行政区域」研究.自治総研527:30-69.
美谷 薫 2022.福岡県田川地域における市町村行政・公共的団体の地域システム.福岡県
立大学人間社会学部紀要31(1):115-128.
くろまる主な行政委員歴
香春町立小中学校再編推進審議会長(2018.4〜2021.3)、中間市水道事業のあり方検討委
員会委員長(2020.7〜2021.3)、嘉麻市行政経営推進審議会長(2020.9〜現在)、 福岡県水
道広域化推進プラン検討委員会委員長(2022.7〜2023.3)、添田町地域公共交通会議副会長
(2023.7〜現在)、香春町総合戦略推進委員会委員長(2023.11〜現在)37 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 総合学科 生活・仕事創造コース・准教授
氏 名 三好 禎之(Miyoshi Yoshiyuki)
取 得 学 位 博士(社会福祉学)
、日本福祉大学、2018年9月
S D G s目標
研 究 分 野 社会福祉学 生活構造論 内発的発展論
研究キーワード 健康寿命の延伸 社会的関係資本 ノルディック・ウォーク 生活構造 内発的
研 究 内 容 -研究分野-
1.公害被害者世帯の生活構造研究
2.公害被害者世帯地域の内発的発展に関する研究
3.公民学連携事業による健康寿命延伸施策と生活保障に関する研究
-研究分野1,2の紹介-
高度経済成長期に顕在化した四大公害問題を主に研究しています。なかでも、公害被害
者世帯の生活構造がいかに破壊され、階層落層、階層転落が生じたのか。また、内発的な
力によって窮乏化の状況をどのように脱したのか、ライフヒストリー法により実態を探索
し、生活再建に必要な施策を研究しています。
-研究分野3の紹介-
健康寿命の延伸と社会的関係資本を運動によっていかに延伸させつつ、地域で福祉的
効用を高めることができるのかを研究しています。現在、大分県内4市と宮城県1市でノ
ルディック・ウォーク教室を開催しつつ、健康寿命の延伸と社会的関係資本の醸成にかか
る研究に取り組んでいます。
研 究 業 績 ・
アピールポイント 〇「水俣病多発地域における被害者の生活保障と支援団体に関する研究-ライフヒストリ
ー分析を通して」 日本福祉大学博士論文 2018
〇「ノルディック・ウォークを用いた体力向上に関する研究-豊後高田市におけるパネル調査
-」『福祉社会科学』 大分大学大学院福祉社会科学研究科 202138 所 属・ 職 位 経済学部 経済学科(基礎経済論)
・准教授
氏 名 村山 悠(Murayama Yu)
取 得 学 位 修士(経済学)
、神戸大学、2007年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 経済理論
研究キーワード 教育政策,所得格差,世代間階層移動
研 究 内 容 1「公的教育支出を子どもの能力に応じて配分する政策が世代間階層移動に与える影響」
Houle (2019)によると、世代間階層移動(親子間の経済的地位の変化)が少ない国ほど、政治的
不安定を経験する傾向にある。したがって、世代間階層移動を促す政策を考えるのが重要となる。
本研究では、子どもの能力分布に着目し、能力間で公的教育支出をどのように配分すれば世代間階
層移動を促すことができるかを分析している。
2「人的資本格差の長期的変化」
Kuznets (1955)は、経済が成長するにつれて、所得格差は拡大から縮小に転じるといういわゆる
逆U字型のクズネッツ曲線を提示した。しかし、実際のアメリカの所得格差の長期的推移を見ると、
縮小から拡大、つまりU字型の変化を示しているため、クズネッツ曲線は現実のデータとは必ずしも
一致していない。そこで、本研究では、生存のために必要な最低限の消費をモデル分析に取り入れ
ることにより、人的資本格差がU字型の変化をする可能性があることを示す。
研 究 業 績・
アピールポイント
1 "CASH TRANSFERS, INTERGENERATIONAL MOBILITY, AND THE PROCESS OF
DEVELOPMENT", Yu Murayama, Bulletin of Economic Research, 第71巻第3号, pp.209-
218,2019年.
2"Human Capital Inequality with Subsistence Consumption", Yu Murayama, Journal of
the Knowledge Economy. (2022年度内掲載予定)
3平成25年度から平成26年度まで、科研費(若手研究B)
「教育補助政策が世代間階層移動、所得
格差、そして経済成長に与える影響」の受領
4令和2年度から令和3年度まで、科研費(若手研究)
「公的教育支出の配分が世代間階層移動と経済
成長に与える影響に関する理論的研究」の受領39経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域情報文化論)
・准教授
氏 名 矢野 英子(Yano Hideko)
取 得 学 位 教育学修士(MEd TESOL), Leeds University,2001年 11月
S D G s 目 標
研 究 分 野 英語教育学,第2言語習得,文化財保存科学
研究キーワード Oracy,話すこと,言語技術,英語教育,自尊心,文化財保存,天然藍,久留米絣,八女手漉和紙
研 究 内 容 1.「イギリスのOracy教育は子どもの「話すためのスキル」をどのように育てるのか」
:英語が使え
るようになる日本人を育てるためには,英語の知識のインプットのみでなく,さらに根本的な母国
語での「自分の表現したいことを話す」教育が必要であると考える。子ども達のおかれている現代
社会は価値観や生活様式が多様化し,また,少子化・情報の電子化が進む中,人間関係の希薄化が
著しい。子ども達は母語である日本語であってもことばでコ
ミュニケーションをとることが苦手で,相手を理解する能力
の低下が懸念される。コロナ禍の中,相手の顔を見ながら話
す機会が激減した環境は,子ども達にとってさらに厳しい。
コミュニケーションに必要なのは,
「伝えたい内容」,「伝えた
い動機」
「自分には伝える価値があるという自尊心」
,そして,
それらを実現させるには「それをどのように伝えるか」とい
う言語に関わる技術が必要であると考える(図1)
。あらゆる
背景を持つ子どもたちに「自分の意見を上手に述べる」
「意見
を一緒に作り上げるための建設的な話し合い」ができる力を
つけようとするイギリスの「Oracy教育」から学ぶものが大
きいと注目し,
研究を続けている。
(JSPS科研 JP18K92541)
2.「文化財保存:地域と連携して伝統工芸を守り,伝える」:地域の伝統工芸品を文化財の保存に生かすことを核に置き,
文系理系,異分野の研究者と伝統工芸の制作者や農業従事者
が研究協力者となり研究活動プロジェクトを続け,その一員
として活動してきた*。久留米絣,天然藍染,八女手漉和紙
という筑後地域の伝統工芸の原材料の性質や役割を探り,ま
た周縁の農業や製造業,小売業などの他種産業や,学校教育・研究,社会教育へと,地域から圏外,さらに国外へと,
「ソト」
へとつなげていく学究活動を「ファシリテーター」という役
割として捉えている。その中で,伝統文化の一要素としての天然藍をはじめとする天然染料につい
て,歴史・民俗学的な側面や,製品化するにあたって,その過程と環境,地域産業との影響や可能
性を探りたい。*久留米大学比較文化研究所文化財保存科学研究部会特別研究員
研 究 業 績・
アピールポイント・「イギリスにおける Oracy(オラシー)教育の現状 (2) ―「話すことで学ぶ・話すことを学ぶ」理
論と実践」日本教育方法学会第57回大会自由研究発表, 2021年・「イギリスの初等教育の流れにおける「話すこと」の位置付け―oracyを中心として―」,矢野英子,
『久留米大学文学部紀要国際文化学科編』第32・33合併号,pp.13-29, 2017年・「学際グループとしての文化財保存科学研究部会が果たした役割―地域の伝統工芸をソトとつなぐ
ファシリテーター としてー」
『大分大学経済論集』73-3・4合併号 pp.1-42, 2022年・「SPINDIGO代表Philip John博士に「天然藍」について聞く―文化財保存科学に生かす伝統工芸,
天然藍の展望―」
『久留米大学比較文化研究所紀要』第49号,pp.21-38, 2015年
図1 コミュニケーションを支えるもの40 所 属・ 職 位 経済学部 地域システム学科(地域経営論)
・准教授
氏 名 山浦 陽一(Yamaura Yoichi)
取 得 学 位 博士(農学)
、東京大学、2009年1月
S D G s 目 標
研 究 分 野 地域運営論
研究キーワード 地域運営組織(RMO)
研 究 内 容 地域運営組織の設立・運営手法、RMOと行政の協働、地域づくりのモチベーションなど
研 究 業 績・
アピールポイント
『地域人材育成を育てる手法』
(農文協、2022年、共編著)
『地域福祉における地域運営組織との連携』
(JCA研究ブックレット、29号、2022年)
『中山間地域ハンドブック』
(農文協、2022年、共著)41経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部経営システム学科(会計情報講座)・准教授
氏 名 山根 陽一 (Yamane Yoichi)
取 得 学 位 修士(商学)、拓殖大学、2004年3月
S D G s目標
研 究 分 野 会計学
研究キーワード 会計教育
研 究 内 容 くろまる簿記初学者の特性に関する研究
1.項目理解と学修達成度の関連性分析
2010年度から2016年度に担当した初学者を対象とした簿記の授業を通して収集した232名の
データをもとに,学修過程における項目理解と学修達成度の関連を分析し,特徴を明らかに
することを目的に実施した研究である。分析の結果,学修の初期段階において,複式簿記の
基本構造を理解することが,学修達成度に強い影響を持っており,初学者における学修のポ
イントは簿記の一巡を理解することにあると結論付けた。
学修達成度(期末試験,日商簿記)⇅項目理解
(B/S・P/Lの名称,B/SとP/Lの関係,仕訳,転記,決算振替仕訳,現金過不足,当座預金,商
品売買,商品有高帳,約束・為替手形,裏書・割引手形,貸付金・前受金等,仮払金・商品
券等,固定資産,有価証券,引出金・税金,試算表,見越・繰延,精算表,財務諸表,伝票)
(注記)赤字:有意な差あり
2.学力指標と学修達成度の関連性分析
2013年度から2016年度に担当した初学者を対象とする簿記の授業を通して収集した大学1年
生156名のデータをもとに,学力指標と学修達成度の関連を分析し,特定の学力が簿記の学修
達成度に影響を与えているかを明らかにすることを目的に実施した研究である。記述統計で
は,学力指標の高い学生の学修達成度が高い傾向にあったが,分析の結果,学修達成度に影
響を与える学力指標として,GPAが強く影響を及ぼしていることが確認され,授業に限定すれ
ば,数学との関連が確認された。また,出身高校偏差値と学修達成度の間に関連は確認され
なかった。
学修達成度(授業理解度,期末試験,日商簿記)⇅学力指標(国語,数学,英語,高校偏差値,GPA,出席率)
(注記)赤字:有意な差あり
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
1.2023年,「簿記初学者の特性に関する分析 -構造方程式モデリングによる検討-」『宇部
工業高等専門学校研究報告』第69号
2.2018年,「簿記初学者の特性に関する関連性分析 -学力指標と学修達成度の関連を中心と
して-」『簿記研究』(日本簿記学会)第1巻第1号
3.2017年,「関連性分析による簿記初学者の特性に関する一考察 -項目理解と学修達成度の
関連を中心として-」『会計教育研究』(日本会計教育学会)第5号
くろまる著書
1.2022年,(共著)『ビジネスセンスが身につく簿記(第2版)』 中央経済社
2.2018年,(共著)『ビジネスセンスが身につく会計学』 中央経済社
くろまるプロジェクト
1.2022~24年度, 科研 基盤研究(C)「多変量解析を用いた簿記初学者の特性に関する分析」42 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部地域システム学科・講師
氏 名 朝美 淑子 (ASAMI YOSHIKO)
取 得 学 位 博士(学術)、九州大学、2023年3月
S D G s目標
研 究 分 野 英語教育
研究キーワード 英語ディベート、ディスカッション、災害レジリエント教育
研 究 内 容 くろまる英語ディベートに関する研究
日本人に馴染みがあまりないディベートを上手にできるようになり、批判的思考能力(クリ
ティカルシンキング)を育成していく方法論を研究しています。21世紀英語は必要最低限な
スキルとなってきましたが、少し話を掘り下げながら、相手と自分の意見を闘わせてみるこ
とにより、あえて自分の意見とは違う視点を持ってみる活動です。このディベート活動は英
語力はもちろんのこと、これからの社会を生きていく中で考え方の柔軟性や相手の考えを尊
重する視点を持つことができます。『工業高等専門学校における英語ディベート活動の抵 抗
感を軽減する指導方法と教材に関する実践的研究』(論文1,3)。
くろまる外国人旅行者用の災害マップや緊急時英会話のポケットマップ開発
国内在住者のための、防災ガイドについては各自治体ですでにおおまかなハザードマップが
作成されてきています。しかし、大分を含め観光地では短期滞在者用の緊急的な対応までは
追いついておらず、小さな地震でもパニックを起こしてしまう外国人観光客も多いです。一
言で「逃げて」ということができても、どこに何があるのかがわからなければ、もっと不安
が大きくなってしまいます。誰もが協力して安全に避難し、身を守ることができるような小
型のポケットマップを来県する際、または入国する際に配布できればと考えています。現在
、県内の病院や施設などを整理しながらその作成を進めています。また、小中高校生には、
そのような未曾有の事態の際に使用できる「給水所」「避難所」などを含めた必要最低限の
英語を広めるように、出前授業なども行っております。"Developing Resilient mindsets
in Students for National Disasters by Engaging them in the Development of Pocket
Maps and Guides"(論文2)。
(注記)関連リンク:https://researchmap.jp/asamin55(リサーチマップ)
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
1.2023年, 『工業高等専門学校における英語ディベート活動の抵 抗感を軽減する指導方法
と教材に関する実践的研究』九州大学博士論文(論文1)
2.2019年, "Developing Resilient mindsets in Students for National Disasters by
Engaging them in the Development of Pocket Maps and Guides" ISATE(International
Symposium on Advances in Technology Education)(論文2)。
3.2019年, 『英語ディベート教育のこれまで、これから』九州英語教育学会(論文3)43 経済学部
所 属・ 職 位 経済学部・経営システム学科・講師
氏 名 于 松平 (Yu Songping)
取 得 学 位 修士(経済学)、名古屋大学、2020年3月
S D G s目標
リサーチマップ
(researchmap)
(注記) 上 記 を ク リ ッ ク
し て く だ さ い
研 究 分 野 経営学
研究キーワード 人的資源管理、中小企業論、デジタル企業家
研 究 内 容 くろまるデジタル企業家に関する調査・分析
デジタル経済の急速な拡大に伴い、デジタルプラットフォームを介した起業活動が世界的
に活発化している。アリババグループ傘下の中国越境EC(電子商取引)プラットフォーム「
AliExpress」の事例により、プラットフォームと企業家の関係性に着目し、両者の不均衡な
力関係の中で相互作用メカニズムを研究している。
くろまる組織行動論に関する調査・分析
心理的所有感(Psychological Ownership)とは、仕事や組織など特定の対象に対して個
人が抱く所有感やオーナーシップである。経営学における心理的所有感に関する査読付きの
実証論文をレビューし、心理的所有感における研究を概観した。心理的所有感が従業員の職
場におけるフィードバック環境に対する認知を媒介し、創造性に影響を与えるかについて調
査を行ってきた 。
Yu S. (2021) Psychological Ownership: A 20-Year Review. 日本労務学会誌(22)2,
87-108.
Yu S., Enatsu I. (2020) How supervisors feedback environment influence employee
creativity: The mediating role of psychological ownership [Paper presentation]. 2020
Academy of International Business Southeast Asia Region Conference, Hongkong (Online).
くろまる人事管理
日本の人事管理におけるあらゆる分野を概観できるデータ・資料集の作成を取り組んだ。
于松平.(2023)『新・マテリアル人事労務管理』. 江夏幾多郎・岸野早希・西村純・松浦
民恵(編), 有斐閣.(分担執筆)
研 究 業 績 ・
アピールポイント
・ゼミプロジェクト
「小鹿田焼の里における地域活性化プロジェクト」44 所 属・ 職 位 経済学部 経営システム学科(会計情報論)
・講師
氏 名 越智 学(Ochi Manabu)
取 得 学 位 修士(経営学)
、法政大学、2004年3月 修士(商学)
、一橋大学、2008年3月
S D G s 目 標
研 究 分 野 会計学
研究キーワード 継続企業 / ゴーイング・コンサーン / 財務困窮企業 / 監査労力 / 利益調整 / 価値関連性 / 会計保
守主義 / 会計情報の質
研 究 内 容 くろまる継続企業情報の開示が会計情報の質に与える影響
本研究では,経営者および監査人が継続企業問題の存在を評価し,継続企業情報を開示すること
の意義を,会計情報の質という観点から実証的に分析した。主たる分析結果として,第1に継続企業
情報の開示に伴い,より保守的な会計処理が選択され,会計的利益調整が抑制されることが示唆さ
れた。ただし,抑制の程度は,監査の品質によって異なる可能性がある。第2に,継続企業情報は,
継続企業を前提とした財務諸表の役割が限定的であることを伝達しており,投資家の経済的意思決
定において有用な情報として機能していることが示唆された。
本研究の成果は,現行制度に対していくつかの重要な示唆を含んでいる。増加型の会計的利益調
整に対するインセンティブが財務困窮企業の経営者に存在し,継続企業情報がネガティブな情報で
あることに鑑みれば,適正な会計処理と情報開示には監査人の指導性が重要となる。しかし,継続
企業問題が存在する企業の受け皿となっている中小監査事務所においては,監査上,必ずしも十分
な対応が図られていない可能性がある。したがって,中小監査事務所における監査品質を向上させ
るとともに,継続企業問題が存在する企業と大手監査事務所の契約解除問題についても検討する必
要があると考えられる。
また,継続企業問題が存在する企業において,継続企業を前提とした会計情報の有用性が限定的
であることは,財務報告の観点からは補足的ないしは追加的な情報開示,監査報告の観点からは無
限定適正意見を前提とした追記情報(強調事項)のあり方に議論の余地を残している。
研 究 業 績・
アピールポイント
くろまる論文
1. 2010年,「継続企業情報と将来利益に関する投資家の期待形成」
『 一橋商学論叢』第5巻第2号。
2. 2012年,「継続企業情報の開示企業における会計行動と保守主義の関連性」伊藤邦雄編『企業会
計研究のダイナミズム』。45
経済学部
経済学部
所 属・ 職 位 経済学部社会イノベーション学科 講師
氏 名 田村 哲也 (TAMURA Tetsuya)
取 得 学 位 博士(経済学)、立命館大学、2022年9月
S D G s目標
研 究 分 野 経済学
研究キーワード 国際貿易、格差、労働経済、学説史
研 究 内 容 くろまるグローバルの拡大と格差の関係に関する研究
グローバリゼーション、特に国際貿易の拡大がそれに関わる国内の所得分配についてどのよ
うな影響を与えるのかについて理論・実正の両面からアプローチする。論文1
くろまる1990年代以降の国際貿易理論についての学説史
より詳細に分化していく国際貿易関係をとらえる手法として盛んになったGVCアプローチにつ
いての学説史研究。論文2
くろまるGVCによってつながった企業間の関係性についての分析
より企業間でのやり取りが盛んになり、分業が細かく行われるにつれ、企業間関係は権力関
係がより明確化され、大企業と中小企業の関係性は一方的なものになりかねないという懸念
を大企業のCSRレポートを通して分析した。論文3
研 究 業 績 ・
アピールポイント
くろまる論文
1.2021年 "Changed Industrial Relationship by Offshoring Threat and Labor Share:
An Empirical Game-Theoretic Analysis" Journal of Globalization and Development.
12 (1) 117-143 (with Natsuka Tokumaru)
2.2020年「GVC分析の系譜学」日本国際経済学会報告論文.
3.2021年「バリューチェーンの深化とCSRの変容に対する一考察:社会・復興という概念
を巡って」50 (4) 69-97 (共著:大野敦)46

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