科学的特性マップに関する対話型全国説明会 in 秋田(横手市)開催結果
日 時:2019 年 10 月 3 日(木)18:20〜20:30
場 所:横手市ふれあいセンターかまくら館 5 階 研修室(1、2)
参加者数:4 名
当日の概要:
(1)映像(
「地層処分」とは・・・?)
(2)地層処分の説明
・大友 亨(経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 課長補佐)
・羽多野 佳二(原子力発電環境整備機構 地域交流部 部長)
(3)テーブルでのグループ質疑
しろまる資源エネルギー庁・原子力発電環境整備機構(NUMO)からの説明
1資源エネルギー庁の主な説明内容
・高レベル放射性廃棄物は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの
安定した岩盤に埋設する地層処分を行う方針。
・地層処分の実現に向けて、この問題を社会全体で解決しなければならない課題として考えてい
ただき、受入地域に対する敬意や感謝の念を持つことが必要との認識が共有されることが重要。
このため、広く全国の皆さまに地層処分に対する理解を深めていただけるよう、全国で対話活
動を順次開催していく。・高レベル放射性廃棄物の放射能は時間ととともに減衰し、
1000 年程度の間に 99%以上は低減し、
その後はゆっくりと減少していく。地層処分は、長期間にわたる安全上のリスクを小さくし、
将来世代の負担を小さくする処分方法との考え方が国際的に共有されている。日本では、地下
300m より深い安定した岩盤に埋設することで、人間の管理に依らず、長期にわたり放射性物質
を閉じ込め、生活環境から隔離していく考えである。
・地下深部は一般的に安定した環境だが、安全に地層処分を行うためには、火山活動や活断層の
影響など、様々な科学的特性を総合的に評価することが必要。
・科学的特性マップは、地層処分を行う際に考慮しなければならない科学的特性を、既存の全国
データに基づき、一律の要件・基準に従って客観的に整理し、全国地図の形で示し、地層処分
に対する国民理解を深めるために公表したもの。マップ公表をきっかけに、全国での対話活動
を重ねていく中で、やがて処分事業に関心を持っていただける自治体が出てきた場合、法律に
基づく 3 段階の処分地選定調査を実施し、個別地点において安全に地層処分が実施できるかど
うかを詳細に調査していく。・「地震や火山の多い日本で地層処分を安全に実施できるのか」というご質問を多くいただくが、
マップを活用しながら、日本でも地層処分に適した地下環境が広く存在するとの見通しを共有
しつつ、社会全体でどのように実現していくか、皆さまと一緒に考えていきたい。
2原子力発電環境整備機構(NUMO)の主な説明内容
・地下深部の岩盤は、1酸素が少ないため金属が腐食しにくく、万が一、放射性物質が漏出した
場合でも、2地下水の流れが遅く、また、3岩盤が放射性物質を吸着し、放射性物質の移動を
遅らせることができる(天然バリア)
。放射能が大きく減少するまでの期間、少なくとも 1000
年間は放射性物質をしっかり密封するために、ガラス固化体をオーバーパックという金属容器
(厚さ約 20cm)に格納し、粘土でできた緩衝材(厚さ約 70cm)で包む(人工バリア)
。このよ
うに、
「天然バリア」と「人工バリア」を組み合わせ、様々な対策を組み合わせることで、人
間の生活環境から隔離し閉じ込める。
・地層処分場は、ガラス固化体を 40,000 本以上埋設できる施設の建設を 1 か所計画している。
処分場を閉鎖した後も、一定期間は規制当局の安全規制に従い、万が一のことに備える。
最終処分事業費は約 3.8 兆円が見込まれている。事業費は、原子力発電に伴う電気料金の一部
として電力会社等から拠出される。
・安全に地層処分を行うため、処分地選定調査の中で、断層や火山などを避けて場所を選ぶとい
う「立地による対応」
、選んだ場所に応じて人工バリアを設計するという「設計による対応」、その対策により、安全性が確保出来るかをシミュレーションなどで確認するという「安全性の
確認」
といった作業を繰り返し行う。
地震・津波、
輸送中の安全性についても設計による対応、
シミュレーションによる安全性確認を行う。
・文献調査は、学術論文等から地域の地質環境等を可能な限り把握し、概要調査を行う候補地区
を絞り込むもので、ボーリングなどの現地作業は行わない。調査結果は地域住民に公表してご
意見を伺うとともに、当該の市町村長や都道府県知事に意見を伺い、反対の意向が示された場
合は次の段階に進むことはない。
・処分地選定が円滑に行われるためには、地域による主体的な合意形成が図られることが重要。
こうした観点から、
処分事業についての情報提供や住民のご意見を事業に反映する
「対話の場」
が地域に設置され、多様な関係住民が参画し、積極的な活動が行われることが望ましい。こう
した取組みは諸外国でも同様に行われ、地域要望の事業への反映など、重要な役割を果たして
いる。
・さらに、フィンランドやスウェーデンなど先行する海外では、地層処分事業が地域に与える社
会経済的影響についても評価が行われ、雇用の創出などの経済効果が期待されている。また、
処分場立地による農業、観光業、不動産価値へのマイナス影響などは確認されていない。NU
MOは、
処分場建設までに本社を当該地域に移し、
地元雇用や地元発注に最大限取り組むなど、
地域の発展に貢献していく。処分地選定では、こうした地域経済への効果や影響も含め、総合
的に判断していただく。
・地層処分事業について不明な点、もっと詳しい話を聞いてみたいと関心を持っていただける場
合には、どなたでも説明の機会を設けさせていただくとともに、関連施設の見学にご案内する
など、ご関心やニーズに応じて、柔軟に対応をさせていただく。
しろまるテーブルでのグループ質疑
(注記)主なものをテーマ別に記載。
<地層処分事業>
・40,000 本にはいつ頃達するのか。
(→回答:)現在国内で保管されている使用済燃料を再処理したと仮定すると、既にガラス固化体に
なっているものと合わせて約 25,000 本相当になるが、
現在は原子力発電所の再稼働状況
が見通せない状況であり、40,000 本になる具体的な時期を示すことは難しい。
なお、100 万 kW 級の原子力発電所 1 基を 1 年間稼働し、発生する使用済燃料を再処理す
ると約 20〜30 本のガラス固化体が発生する。。・中性子線で半減期が長い放射能を自然レベルの放射線レベルに下げられると聞いた。
(→回答:)核種変換技術は 30 年ほど前から研究開発が進められていることは承知しているが、
実用化できておらず、現時点では研究レベルの技術である。
・沿岸海底下への処分とはどんなものか。
(→回答:)
地上部分に地下への入り口を設け、
海底から 300m より深い地層に処分エリアを設けるも
のである。
・施設を閉鎖したあとに原子力発電を使えば、また新たな処分場が必要となるのか。
(→回答:)段階的な処分地選定調査を経て、処分場の建設許可を規制当局に申請する際には、
その時点で将来的に発生すると見込まれる廃棄物を十分に処分できる規模の施設を建設
していくことになる。また、施設閉鎖までの間に、廃棄物の発生量の見通しが変わるよ
うなことがあれば、施設の設計変更などで対応していくものと考えている。その上で、
数十年に及ぶ事業の後、施設閉鎖後においても国民として原子力発電を使い続けること
を選択する場合には、新たな処分場を建設していくことになると思う。
<リスクと安全性>
・科学的特性マップは大雑把ではないか。
(→回答:)科学的特性マップでは、例えば活断層については、全国の活断層を網羅的に整備した産
業技術総合研究所の活断層データベースに記載されている情報を一定の基準に基づき使
用しているなど、全国一律のデータがあるものを活用している。
・日本では温泉なども多く、難しいのではないか。
(→回答:)火山性熱水等は科学的特性マップにも反映されている。詳細な調査の下、こうした地域
は避けて立地していく。
<対話活動、文献調査、地域共生>
・どこの会場も今日のように参加人数が少ないのか。
(→回答:)参加人数は会場ごとに異なるが、平均 20 名程度の参加がある。
・フィンランドの処分場はどのようにして決まったのか。
(→回答:)先行するフィンランドやスウェーデンでも長年にわたって研究開発や処分地選定などを
行っており、同時に長い時間をかけて丁寧な対話活動に取り組まれた結果として決まっ
たものである。
・日本の選定の状況はどうか。
(→回答:)2000 年にNUMOが設立され、2002 年より公募を行っているが、2007 年に高知県東洋
町が応募した後に取り下げて以来、調査受け入れ自治体は現れていない。その状況が続
く中で、国が前面立つこととし、科学的特性マップを公表し、全国各地で対話活動を
行っているところ。
・科学的特性マップに有望な地点を示さないと手を挙げないのではないか。
(→回答:)科学的特性マップはあくまでも全国一律のデータで示し、日本にも地層処分ができ得る
場所が広く存在することを示したもの。
個別地点の詳細は文献調査以降で確認していく。
・釜石会場での資料よりも説明参考資料が 20 ページ以上増えている。
どことどこを更新したという細
かい情報までとは言わないが、最低限いつ更新したものなのかを示すべきではないか。
(→回答:)よりどなたでも分かりやすい対話活動としていくため、更新時点を明記する等検討させ
ていただく。
<その他>
・再処理工場は稼働しているのか。
(→回答:)再処理施設は原子力規制委員会の審査を経て 2021 年度上期の竣工を目指している。
・核燃料サイクルは実現できるのか。
(→回答:)当面はプルサーマルと呼ばれる軽水炉サイクルとなるが、高速炉開発を含めた核燃料サ
イクルの推進を基本方針として取り組んでおり、
高速炉サイクルの実現を目指していく。
・週刊金曜日の記事によると、北九州会場に参加した方の声として、ガラス固化体開発にも携わった
専門家も同席していたが、 参加者からの「今の計画が雑で甘い。失敗する。
」という指摘に対し、
NUMO職員が「ご指摘にはぐうの音も出ない」と発言したとあるが事実なのか。
(→回答:)当該記事は承知しており、北九州会場を対応した職員にも確認したが、少なくとも、記
事にあった「ぐうの音も出ない」といった発言や「涙ぐむ」といった事実はなかったと
認識している。
・ILC(インターナショナル・リニア・コライダー)との共存はあるのか。
(→回答:)
リニアコライダーで計画しているトンネルは深さが 100m 程度と聞いており、
地層処分が
対象としている深さ 300m 以深ではないため、
リニアコライダーで構築したトンネルを地
層処分場として活用することは現実的でない。
・最近、環境大臣が廃棄物を海に流すという話があったが、今回はその話か。
(→回答:)福島第一原子力発電所の事故処理に伴うトリチウムを含む処理水の話とは全く異なる
今日の話は、原子力発電所で使われた燃料にはまだ使えるものが残っているので、使え
ものを取り出して再利用するために再処理を行う。その際、使えないものが廃液として
るので、それをガラス固化体にして地下に処分するということである。
以 上

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