高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 in 愛媛(宇和島市)
開催結果
日 時:2020 年 10 月 21 日(水)18:20〜20:30
場 所: パフィオうわじま 1 階ホール
参加者数:15 名
当日の概要:
(1)映像(
「地層処分」とは・・・?)
(2)地層処分の説明
・青田 優子(経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 課長補佐)
・岩﨑 聡(原子力発電環境整備機構 地域交流部 部長)
(3)テーブルでのグループ質疑
しろまる資源エネルギー庁・原子力発電環境整備機構(NUMO)からの説明
・高レベル放射性廃棄物は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの
安定した岩盤に埋設する地層処分を行う方針。
・地層処分の実現に向けて、この問題を社会全体で解決しなければならない課題として、受入地
域に対する敬意や感謝の念を持つことが必要との認識が共有されることが重要。このため、広
く全国の皆さまに地層処分に対する理解を深めていただけるよう、全国で対話活動を順次開催
していく。
・高レベル放射性廃棄物は貯蔵施設内では約2mのコンクリートで遮蔽することで、その外側で
は人が作業できるレベルまで影響を低減することができる。放射能は時間ととともに減衰し、
1000 年程度の間に 99%以上は低減し、その後はゆっくりと減少していく。
・長期にわたり放射性物質を閉じ込め、
生活環境から隔離しておくために、
地表から 300m 以上深
い安定した場所へ地層処分する。
・地層処分場は、ガラス固化体を 40,000 本以上埋設できる施設の建設を 1 か所計画している。
最終処分の事業費は約 3.9 兆円が見込まれている。事業費は、原子力発電に伴う電気料金の一
部として電力会社等から拠出される。
・最終処分の方法は、国際的にも長い間議論が交わされ、宇宙処分、海洋投棄や氷床処分など、
様々な方法が検討されてきたが、長期間にわたる安全上のリスクと、将来世代の負担を小さく
するためには、人間の管理によらない地層処分が最も適切な処分方法であるというのが、各国
共通の考え方となっている。
・日本では、原子力発電所の運転が始まるよりも前から最終処分の方法について検討され、国内
外の専門家の評価を経て、日本においても地層処分が技術的に可能であることが示された。
・地下深部は一般的に安定した環境だが、安全に地層処分を行うためには、火山活動や活断層の
影響など、様々な科学的特性を総合的に評価することが必要。・「地震や火山の多い日本で地層処分を安全に実施できるのか」というご質問を多くいただくが、
こうした地層処分に必要な地質環境について理解を深めていただくため、地層処分を行う際に
考慮しなければならない科学的特性を、既存の全国データに基づき、一律の要件・基準に従っ
て客観的に整理し、全国地図の形で示した「科学的特性マップ」を公表した。マップを活用し
ながら、日本でも地層処分に適した地下環境が広く存在するとの見通しを共有しつつ、社会全
体でどのように実現していくか、皆さまと一緒に考えていきたい。
・安全に地層処分を行うため、NUMOでは様々なリスク要因を抽出し、対応と安全性の確認を
行う。
処分地選定調査に基づいて断層や火山などを避けて場所を選ぶという
「立地による対応」、選んだ場所に応じて人工バリアを設計するという「設計による対応」
、その対策により、安全
性が確保できるかをシミュレーションなどで確認するという「安全性の確認」といった対策を
行う。また、地震・津波、輸送中の安全性についても設計による対応、シミュレーションによ
る安全性確認を行う。
・処分地選定に向けては、まずは国民全体での理解が重要であることから、引き続き全国各地で
の対話活動に取り組んでいく。その上で、いずれかの地域において処分事業に関心を持ってい
ただける自治体が出てきた場合には、地域の皆さまのご意見を伺いながら、法律に基づいた文
献調査、概要調査、精密調査の段階的な調査を行い、最終処分地を選定する。
・文献調査は、全国規模で整備されたデータに加えて地域固有の文献・データを整理・分析し、
市町村の皆さまに地層処分事業についての理解を深めていただくとともに、次なる調査を実施
するかどうかを検討していただくための材料を集める、事前調査的な位置付け。ボーリングな
どの現地作業は一切行わない。調査結果は地域の皆さまにご説明をさせていただき、ご意見を
伺うとともに、当該の市町村長や都道府県知事にご意見を伺い、その意見に反して、次の段階
に進むことはない。
・処分地選定が円滑に行われるためには、地域による主体的な合意形成が図られることが重要。
こうした観点から、文献調査の実施に際しては、処分事業についての情報提供や住民のご意見
を事業に反映する「対話の場」を地域に設置いただき、多様な関係住民の参画を得て、市町村
の将来像などをご議論いただきたい。こうした取組みは諸外国でも同様に行われ、事業への地
域のご要望の反映など、重要な役割を果たしている。
・最終処分事業は、地域での雇用や経済波及効果が見込まれる大規模な公共事業。NUMO、電
気事業者、
国は連携して、
地域の抱える課題の解決や、
地域の発展ビジョンの実現に取り組む。
・これまで対話活動を進める中で、地層処分事業を「より深く知りたい」との思いから主体的に
活動されている地域団体などの関心グループ (経済団体、大学・教育関係者、NPOなど)
が全国各地に広がりつつある。
・地層処分事業について不明な点、もっと詳しい話を聞いてみたいと関心を持っていただける場
合には、どなたでも説明の機会を設けさせていただくとともに、関連施設の見学にご案内する
など、ご関心やニーズに応じて、柔軟に対応させていただく。
しろまるテーブルでのグループ質疑
(注記)主なものをテーマ別に記載。
<地層処分事業>
・現在、ガラス固化体は何本あるのか。
(→回答:)約 2,500 本である。また、これまでに発生した使用済燃料をすべて再処理したと仮定す
ると、約 26,000 本相当のガラス固化体が存在することとなる。
・処分場は 1 か所で足りるのか。
(→回答:)現在ある使用済燃料をすべてガラス固化体として換算し、今あるガラス固化体と合わせ
ると約 26,000 本。40,000 本以上のガラス固化体を埋設できる処分場を1か所つくるこ
ととしている。
・海外の国に最終処分をお願いすればよいのではないか。
(→回答:)国際条約に基づいて、自国で発生した高レベル放射性廃棄物は自国で処分するという原
則があるため、日本においても法律に基づき国内で地層処分を進めていく必要がある。
<リスクと安全性>
・ガラス固化体の輸送はどのように実施するのか。
(→回答:)青森県六ヶ所村から処分場最寄りの港まで海上輸送し、そこから処分場まで陸上輸送す
る。放射線を遮へいし、衝突や火災などの事故時でも放射性物質が漏れないよう、国際
的な基準をクリアした専用容器に入れて輸送する予定。なお、六ヶ所村では海外から日
本に返還されたガラス固化体の輸送実績もある。
・高レベル廃棄物を運搬するために、専用道路を作るのか。
(→回答:)ガラス固化体を入れた容器(キャスク)および専用車両を合わせると合計で約 150t の超
重量物になり、一般道路を通行することが難しいため、専用道路が必要になると考えて
いる。
<対話活動、文献調査、地域共生>
・今回の説明会開催で、宇和島で地層処分の実施が検討されていると不安をおぼえた方たちがいる。
(→回答:)対話型全国説明会は、高レベル放射性廃棄物や地層処分についての理解を深めていただ
けるよう、開催しているものであり、いずれの地域や自治体にも調査や処分場の受け入
れをお願いするものではない。
<その他>
・廃棄物の無害化の研究を進めるべきでは。
(→回答:)JAEA等において放射性廃棄物の減容化と有害度低減を目的に、高レベル放射性廃棄
物中に含まれる放射性物質を分離し、放射能の減衰期間が短い他の放射性物質に変換す
る技術の基礎研究が進められている。
以 上

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /