高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明 in 静岡(沼津市)開催結果
日 時:2020 年 1 月 22 日(水)18:20〜20:30
場 所:プラサ ヴェルデ 3 階 301、302 会議室
参加者数:7 名
当日の概要:
(1)映像(
「地層処分」とは・・・?)
(2)地層処分の説明
・逸見 誠(経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 課長補佐)
・羽多野 佳二(原子力発電環境整備機構 地域交流部 部長)
(3)テーブルでのグループ質疑
しろまる資源エネルギー庁・原子力発電環境整備機構(NUMO)からの説明
・高レベル放射性廃棄物は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの
安定した岩盤に埋設する地層処分を行う方針。
・地層処分の実現に向けて、この問題を社会全体で解決しなければならない課題として考えてい
ただき、受入地域に対する敬意や感謝の念を持つことが必要との認識が共有されることが重要。
このため、広く全国の皆さまに地層処分に対する理解を深めていただけるよう、全国で対話活
動を順次開催していく。・高レベル放射性廃棄物の放射能は時間ととともに減衰し、
1000 年程度の間に 99%以上は低減し、
その後はゆっくりと減少していく。
・最終処分の方法は、
国際的にも長い間議論が交わされ、
宇宙処分、
海洋底処分や氷床処分など、
様々な方法が検討されてきたが、長期間にわたる安全上のリスクと、将来世代の負担を小さく
するためには、人間の管理によらない地層処分が最も適切な処分方法であるというのが、各国
共通の考え方となっている。
・地層処分では、地下 300m より深い安定した環境で、長期にわたり放射性物質を閉じ込め、生活
環境から隔離していく。
・日本では、原子力発電所の運転が始まるよりも前から最終処分の方法について検討され、国内
外の専門家の評価を経て、日本においても地層処分が技術的に可能であることが示された。
・地層処分場は、ガラス固化体を 40,000 本以上埋設できる施設の建設を 1 か所計画している。
最終処分事業費は約 3.8 兆円が見込まれている。事業費は、原子力発電に伴う電気料金の一部
として電力会社等から拠出される。
・地下深部は一般的に安定した環境だが、安全に地層処分を行うためには、火山活動や活断層の
影響など、様々な科学的特性を総合的に評価することが必要。・「地震や火山の多い日本で地層処分を安全に実施できるのか」というご質問を多くいただくが、
こうした地層処分に必要な地質環境について理解を深めていただくため、地層処分を行う際に
考慮しなければならない科学的特性を、既存の全国データに基づき、一律の要件・基準に従っ
て客観的に整理し、全国地図の形で示した「科学的特性マップ」を公表した。マップを活用し
ながら、日本でも地層処分に適した地下環境が広く存在するとの見通しを共有しつつ、社会全
体でどのように実現していくか、皆さまと一緒に考えていきたい。
・安全に地層処分を行うため、NUMOでは様々なリスク要因を抽出し、対応と安全性の確認を
行う。
処分地選定調査に基づいて断層や火山などを避けて場所を選ぶという
「立地による対応」、選んだ場所に応じて人工バリアを設計するという「設計による対応」
、その対策により、安全
性が確保できるかをシミュレーションなどで確認するという「安全性の確認」といった対策を
行う。また、地震・津波、輸送中の安全性についても設計による対応、シミュレーションによ
る安全性確認を行う。
・処分地選定に向けては、まずは国民全体での理解が重要であることから、ひきつづき全国各地
での対話活動に取り組んでいく。その上で、いずれかの地域において処分事業に関心を持って
いただける自治体が出てきた場合には、地域のみなさまのご意見を伺いながら、法律に基づい
た文献調査、概要調査、精密調査の段階的な調査を行い、最終処分地を選定する。
・文献調査は、事業を深く知っていただき、更なる調査を実施するかどうかを検討してもらうた
めの、材料を集める事前調査的な位置付け。ボーリングなどの現地作業は行わない。調査結果
は地域の皆さまに公表してご意見を伺うとともに、当該の市町村長や都道府県知事にご意見を
伺い、反対の意向が示された場合は次の段階に進むことはない。
・処分地選定が円滑に行われるためには、地域による主体的な合意形成が図られることが重要。
こうした観点から、
処分事業についての情報提供や住民のご意見を事業に反映する
「対話の場」
が地域に設置され、多様な関係住民が参画され、積極的な活動が行われることが望ましい。こ
うした取組みは諸外国でも同様に行われ、地域のご要望の事業への反映など、重要な役割を果
たしている。
・最終処分事業は、地域での雇用や経済波及効果が見込まれる大規模事業。NUMO、電気事業
者、国は連携して、地域の抱える課題の解決や、地域の発展ビジョンの実現に取り組む。
・これまで対話活動を進める中で、地層処分事業を「より深く知りたい」との思いから主体的に
活動されている地域団体などの関心グループ (経済団体、大学・教育関係者、NPOなど)
が全国各地に広がりつつある。
・地層処分事業について不明な点、もっと詳しい話を聞いてみたいと関心を持っていただける場
合には、どなたでも説明の機会を設けさせていただくとともに、関連施設の見学にご案内する
など、ご関心やニーズに応じて、柔軟に対応させていただく。
しろまるテーブルでのグループ質疑
(注記)主なものをテーマ別に記載。
<地層処分事業>
・なぜ地層処分なのか。海に捨てるべきではないか。
(→回答:)原子力発電の利用が開始された 1966 年よりも前の 1962 年から、高レベル放射性廃
棄物の最終処分の方法について検討がなされてきた。当初は海洋に処分することが
世界的に考えられていたが、海洋に廃棄物を処分することは適切ではないとの考え
により、ロンドン条約で禁止された。その後、地下に埋設することが検討され、地
層処分は人間の生活環境から隔離することができ、元来、地層が持っている閉じ込
め機能により、人による継続的な管理が不要になるため、現在、最も適切な処分方
法であるとの基本的な考え方が世界各国で共有されている。
・処分事業の費用(約 3.8 兆円)を考慮すると、原子力発電はコストが高いのではないか。
(→回答:)東日本大震災発生後の 2015 年に行ったコスト計算では、最終処分費用や安全対策
費用など、
さまざまなコストを盛り込んだ上で、
kWh 当たり 10.1 円以上という数値
が試算されており、原子力発電は他の電源よりも、なお安いという結果となってい
る。
・埋設後の監視については、どう考えているか。
(→回答:)処分場の埋設後については、十分な時間をかけて安全を監視する。その期間や方法
などは、今後策定される規制基準の中で具体化されていくものであるが、地元の皆
さまにも安心していただけるよう、ご相談しながら考えていきたい。
・今後のタイムスケジュールはどうか。
(→回答:)地層処分事業は、まずは国民や地域の理解が必要なことから、スケジュールありき
ではないため、期限は設けていない。
・スウェーデンやフィンランドが進んでいる理由は。
(→回答:)両国とも処分地の選定について、必ずしも順調に進んできたわけではない。長年に
わたって綿密な調査を段階的に実施してきたほか、地層処分の安全性について信頼
を高めていただけるよう、実施主体が国民や自治体にさまざまな検討材料の提供や、
住民同士が情報共有及び意見交換を行う場を設けるなど、長い時間をかけて丁寧な
対話活動に取り組まれてきた結果によるものである。
・スウェーデンやフィンランドとも再処理を行うのか。
(→回答:)両国とも再処理は行わず、使用済燃料を直接処分する。
<リスクと安全性>
・福島事故では津波の評価を甘く見ていたという声もあるが、地層処分ではどうか。
(→回答:)安全性に絶対はなく、リスクはゼロにはならないという考えのもと、安全性が損な
われないよう十分配慮しながら、安全評価を行ない、リスクをできるだけ小さくし
ていく。地層処分では、発生確率が不明で評価することが難しいリスク要因もある
が、想定されるさまざまなリスクをあえて厳しい条件により設定を行い、立地によ
る対応や設計による対応などの評価を繰り返して行う。
・今日の説明を聞き、国やNUMOを信じたいが、油断は誰でもする。
(→回答:)油断することなく、安全性の評価などに万全を期していく。
<対話活動、文献調査、地域共生>
・説明会についてどのような方法で周知したのか。参加者が少なく周知が不十分ではないか。
(→回答:)NUMOのホームページ、メールマガジン、SNSでの周知に加え、地方新聞、タ
ウン情報誌、地元の交通広告などにより周知を行った。今後とも、より多くの方に
説明会開催を知っていただけるよう工夫していきたい。
・地層処分事業を知ってもらうための広報はどのようにされているのか。広報が少ないのではな
いか。
(→回答:)
対話型全国説明会のほか、
駅前広場など人の往来が多い場所に広報ブースを出展し、
道行く人に地層処分事業を紹介したり、展示物や映像機材を設置した移動型模型展
示車であるジオ・ミライ号を全国の科学館などに派遣して次世代や子育て層にPR
したり、小中学校への出前授業で説明を行うなど、様々な取組みを展開している。
今後ともSNS等を活用するなど色々と工夫していきたい。
<その他>
・使用済燃料の保管場所の余裕がなくなりつつあるのではないか。
(→回答:)使用済燃料の貯蔵能力の拡大については、例えば使用済燃料を金属製の乾式キャス
クに封じ込めて貯蔵する乾式貯蔵施設の活用など、各電力会社において貯蔵能力の
拡大方策に取り組んでいる。
以 上

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