高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 in 和歌山(海南市)
開催結果
日 時:2020 年 11 月 10 日(火)18:20〜20:30
場 所: 海南市民交流センター 2 階 視聴覚教室ほか
参加者数:22 名
当日の概要:
(1)映像(
「地層処分」とは・・・?)
(2)地層処分の説明
・加島 優(経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 課長補佐)
・高橋 徹治(原子力発電環境整備機構 地域交流部長)
(3)テーブルでのグループ質疑
しろまる資源エネルギー庁・原子力発電環境整備機構(NUMO)からの説明
・高レベル放射性廃棄物は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの
安定した岩盤に埋設する地層処分を行う方針。
・地層処分の実現に向けて、この問題を社会全体で解決しなければならない課題として、受入地
域に対する敬意や感謝の念を持つことが必要との認識が共有されることが重要。このため、広
く全国の皆さまに地層処分に対する理解を深めていただけるよう、全国で対話活動を順次開催
していく。
・高レベル放射性廃棄物は貯蔵施設内では約2mのコンクリートで遮蔽することで、その外側で
は人が作業できるレベルまで影響を低減することができる。放射能は時間ととともに減衰し、
1000 年程度の間に 99%以上は低減し、その後はゆっくりと減少していく。
・長期にわたり放射性物質を閉じ込め、
生活環境から隔離しておくために、
地表から 300m 以上深
い安定した場所へ地層処分する。
・地層処分場は、ガラス固化体を 40,000 本以上埋設できる施設の建設を 1 か所計画している。
最終処分の事業費は約 3.9 兆円が見込まれている。事業費は、原子力発電に伴う電気料金の一
部として電力会社等から拠出される。
・最終処分の方法は、国際的にも長い間議論が交わされ、宇宙処分、海洋投棄や氷床処分など、
様々な方法が検討されてきたが、長期間にわたる安全上のリスクと、将来世代の負担を小さく
するためには、人間の管理によらない地層処分が最も適切な処分方法であるというのが、各国
共通の考え方となっている。
・日本では、原子力発電所の運転が始まるよりも前から最終処分の方法について検討され、国内
外の専門家の評価を経て、日本においても地層処分が技術的に可能であることが示された。
・地下深部は一般的に安定した環境だが、安全に地層処分を行うためには、火山活動や活断層の
影響など、様々な科学的特性を総合的に評価することが必要。・「地震や火山の多い日本で地層処分を安全に実施できるのか」というご質問を多くいただくが、
こうした地層処分に必要な地質環境について理解を深めていただくため、地層処分を行う際に
考慮しなければならない科学的特性を、既存の全国データに基づき、一律の要件・基準に従っ
て客観的に整理し、全国地図の形で示した「科学的特性マップ」を公表した。マップを活用し
ながら、日本でも地層処分に適した地下環境が広く存在するとの見通しを共有しつつ、社会全
体でどのように実現していくか、皆さまと一緒に考えていきたい。
・安全に地層処分を行うため、NUMOでは様々なリスク要因を抽出し、対応と安全性の確認を
行う。
処分地選定調査に基づいて断層や火山などを避けて場所を選ぶという
「立地による対応」、選んだ場所に応じて人工バリアを設計するという「設計による対応」
、その対策により、安全
性が確保できるかをシミュレーションなどで確認するという「安全性の確認」といった対策を
行う。また、地震・津波、輸送中の安全性についても設計による対応、シミュレーションによ
る安全性の確認を行う。
・処分地選定に向けては、まずは国民全体での理解が重要であることから、引き続き全国各地で
の対話活動に取り組んでいく。その上で、いずれかの地域において処分事業に関心を持ってい
ただける自治体が出てきた場合には、地域の皆さまのご意見を伺いながら、法律に基づいた文
献調査、概要調査、精密調査の段階的な調査を行い、最終処分地を選定する。
・文献調査は、全国規模で整備された文献・データに加えて地域固有の文献・データを整理・分
析し、市町村の皆様に地層処分事業についての理解を深めていただくとともに、次なる調査を
実施するかどうかを検討していただくための材料を集める、事前調査的な位置付け。ボーリン
グなどの現地作業は一切行わない。調査結果は地域の皆さまにご説明させていただき、ご意見
を伺うとともに、当該市町村長や都道府県知事にご意見を伺い、その意見に反して、次の段階
に進むことはない。
・処分地選定が円滑に行われるためには、地域による主体的な合意形成が図られることが重要。
こうした観点から、文献調査の実施に際しては、処分事業についての情報提供や住民のご意見
を事業に反映する「対話の場」を地域に設置いただき、多様な関係住民の参画を得て、市町村
の将来像などをご議論いただきたい。
「対話の場」には、私たちから調査の途中経過や結果な
どのご報告や、事業に関するご説明や質疑応答もさせていただきたい。こうした取組みは諸外
国でも同様に行われ、事業への地域のご要望の反映など、重要な役割を果たしている。
・最終処分事業は、地域での雇用や経済波及効果が見込まれる大規模な公共事業。NUMO・電
気事業者・国は連携して、
地域の抱える課題の解決や、
地域の発展ビジョンの実現に取り組む。
・これまで対話活動を進める中で、地層処分事業を「より深く知りたい」との思いから主体的に
活動されている地域団体などの関心グループ (経済団体、大学・教育関係者、NPOなど)
が全国各地に広がりつつある。
・地層処分事業について不明な点、もっと詳しい話を聞いてみたいと関心を持っていただける場
合には、どなたでも説明の機会を設けさせていただくとともに、関連施設の見学にご案内する
など、ご関心やニーズに応じて、柔軟に対応させていただく。
しろまるテーブルでのグループ質疑
(注記)主なものをテーマ別に記載。
<地層処分事業>
・ガラス固化体約 40,000 本以上収容可能な処分場を 1 か所建設する理由とは。
(→回答:)現時点では複数の施設建設は想定していない。40,000 本以上であればガラス固化体 1 本
当たりの処分単価が処分施設の規模にほとんど影響されなくなることもあり、
40,000 本
以上を処分費用算定上の前提として設定している。
・今後のガラス固化体の発生量の予測は。40,000 本に達するのはいつ頃か。
(→回答:)かつて原子力発電が全体の発電量の約 3 割を占めていた頃は、2021 年頃に 40,000 本に
到達する見込みだったが、東日本大震災後の原子力発電所の稼働状況を踏まえると、見
通すことが難しい。
なお、
一般的に 100 万 kW 級の原子力発電所 1 基が 1 年間稼働すれば
約 20〜30 本のガラス固化体が発生することとなる。
・六ヶ所村にあるガラス固化体はすべて、海外で製造されたものか。
(→回答:)一部、六ヶ所村で製造試験を行う過程で作られたものがあるが、それ以外は海外で製造
されたものである。
・海外から返還されるガラス固化体はまだあるのか。
(→回答:)フランスからの返還は完了している。イギリスからの返還はまだ完了していないため、
今後も受入れがある。国内には海外から返還されたガラス固化体が 1,830 本あり、イギ
リスからは想定値ではあるが、あと 310 本程度返還される。
・地上で長期管理すべきでは。
(→回答:)
高レベル放射性廃棄物の放射能は、
短期間で比較的早く減少しながらも、
長く残存する。
地上施設で長期保管する場合、それが人間の生活環境に影響を及ぼさなくなるまで、数
万年の長期間にわたり地上施設を維持・管理していく必要があり、その間には施設の修
復や建替えも必要となる。さらに地上保管の場合、地震、津波、台風などの自然現象に
よる影響や、戦争、テロ、火災などといった人間の行為の影響を受けるリスクがある。
長期にわたり、このようなリスクを念頭に管理を継続する必要がある施設を地上に設置
し続けることは、将来の世代に負担を負わせ続けることとなり、現実的ではない。この
ため、人の管理を必要としない最終的な処分(最終処分)を行うべきであるというのが
国際的にも共通した認識となっている。
・最終処分施設建設のタイムリミットはないのか。
(→回答:)最終処分の実現に向けて計画的に進めていくことは重要だが、スケジュールありきで考
えても全国での理解が進むものではなく、むしろ、期限があることで、地域の意向に反
して一方的に物事を推し進められてしまうのではないかとられてしまう可能性もある。
・事業費(3.9 兆円)の内訳について教えてほしい。
(→回答:)事業に伴う技術開発費、調査費および用地取得費、設計および建設費、操業費、解体お
よび閉鎖費、モニタリング管理費、プロジェクト管理費などの費用が含まれている。
・原子力発電所がある場所に最終処分場をつくったらいいのではないか。
(→回答:)個別の地域について適性があるかどうかは、その地域における詳細な処分地選定調査を
実施して検討していくこととなる。地下深部の安定性が求められる点で発電所とは異な
るため、原子力発電所の立地地域が必ずしも地層処分の処分地として適しているとは限
らない。
・回収可能性とあるが、ガラス固化体の回収は可能なのか。
(→回答:)埋めた模擬の廃棄体(ガラス固化体の形状)を取り出す実験を行って、技術的に可能で
あることを確認している。
・海外に最終処分をお願いすればよいのではないか。逆に、日本に処分場ができたら海外の国で発生
した分が運び込まれるのではないか。
(→回答:)国際条約に基づいて、自国で発生した高レベル放射性廃棄物は自国で処分するという原
則があるため、日本においても法律に基づき国内で地層処分を進めていく必要がある。
また、海外から日本以外で発生した放射性廃棄物が持ち込まれることもない。
・処分場の閉鎖後のモニタリングはどのように行うのか。
(→回答:)人間が管理することなく、高レベル放射性廃棄物を地上の生活環境から隔離し、閉じ込
めることができるというのが地層処分の基本的な考え方であり、地層処分施設を適切に
設計することにより、人間社会による管理よりも地層が持つ自然の能力を活用するとい
う点も、地層処分の安全の考え方である。モニタリングの期間や方法などは、今後策定
される規制基準の中で具体化されていくものであるが、処分場が建設された地域の皆さ
まにも安心していただけるよう、ご相談しながら考えていきたい。
・地下処分場の深さは地表から 300m 以上となっているが、地下数 km といった深いほうが良いのでは
ないか。
(→回答:)地下処分場の深さは地表から 300m 以上深いところとしている。これは、地表から遠ざけ
て人間の生活環境から隔離する機能を十分確保する観点からだが、一般に地下深部にな
るほど地温が高くなり、人工バリアの機能低下といった安全性に影響を及ぼす可能性が
ある。また深くなれば地圧が高くなり、トンネルの強度に影響を及ぼす問題も生じる。
したがって一概に深ければ良いというわけではなく、地質構造に応じて最適な処分深度
を設定することになる。
・寿都町や神恵内村のような住民が少ない地域に交付金を支払い、
立地が前提で調査が進められ,調査
結果が悪くても、結果を隠して地層処分場を作るのではないか。
(→回答:)そのようなことはない。最終処分法に基づき、文献調査、地表からのボーリング調査等
の概要調査、地下の調査施設を用いる精密調査の順に段階的に調査を実施し、科学的な
評価を行うとともに、次の段階に進もうとする際には当該市町村長や都道府県知事の意
見を聴くプロセスを経て決定される。また、施設の安全性については、独立した原子力
規制委員会が審査を行い、その審査に合格しなければ、処分場を建設することはない。
・高レベル放射性廃棄物の処分には何年かかるのか。
(→回答:)処分事業は、法律に定められた段階的な調査を 20 年程度かけて行い、処分施設の建設に
適した場所を絞り込む。その後、選定された処分地で、処分施設の建設を進めながら、
一部では操業(高レベル放射性廃棄物の搬入・設置・埋戻し)を並行して行い、最終的
にはすべての坑道を埋め戻し処分場を閉鎖する。
建設から閉鎖するまでに 50 年以上かか
る見通しなどを踏まえると、合計で 100 年以上の長期にわたる事業となる。
・消去法で仕方なく、地層処分としている印象を受ける。
(→回答:)地層には、隔離・閉込めを実現するために非常に優れた特性があることから、地層処分
を選択する妥当な理由はあるものと考えている。
<リスクと安全性>
・プレート運動のある日本列島で、地層処分に適する場所は見つからないのではないか。
プレート運動は今後も変わらないのか。
(→回答:)日本周辺のプレートの動きについては、その方向や速さ(数cm/年)は数百万年前からほ
とんど変化がなく、こうしたプレートの動きに関係する活断層や火山活動などの現象は
今後も 10 万年程度はほとんど変化しないと考えられており、
日本でも地層処分は可能と
国内外の専門家から評価されている。
・地層処分事業では、処分場の建設が開始されてから約 100 年前後の間、坑道が開いたままとなり、
処分場がいっぱいになるまで埋め戻さない。その期間は安全なのか。
(→回答:)サイト選定の段階において、地下深部での坑道掘削に支障が生じるような岩盤強度が低
い地域は除外する。また、岩盤条件に応じて坑道の補強など適切な設計を行う。地下深
部の坑道の力学的安定性が確保されない場合は、掘削した部分にコンクリートを吹き付
けて固め、さらに岩盤とコンクリートとを固定する特殊なボルトを岩盤の奥深くにまで
打ち込む方法などにより、力学的安定性を確保し、水平坑道が崩落するような事故を防
止する。工事中は岩盤等の変形等を常に監視し、適切な対策を施しながら、慎重に工事
を実施する。
・埋め戻した後、何か後世に分かるように目印となるような形で残さないと、後世の人が近寄りそう
で危険ではないか。
(→回答:)処分場を埋め戻した後、温泉や鉱物資源の探査等の目的などで、ボーリング孔を掘るよ
うな活動が行われるリスクを最小限とするため、鉱物資源等が存在する地域を避けて処
分場を設置する。また記録の保存や処分場の性能に影響を与える地域を保護区域に指定
して標識を設置することにより、地下に影響を与える人間活動が行われないような対策
を検討していく。
・テロなど人為的なリスクにどう対処するのか。
(→回答:)
高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体は、
国際規則に基づく安全規制体系によって、
その貯蔵・輸送時においては不法移転(盗難など)や妨害破壊行為から防護すること、
それを扱う施設にあっては、これを妨害破壊行為から防護することが求められており、
このため、物理的防護目的のために立入りが制限され、管理された区域に置くことが要
求されている。地層処分場への輸送、地層処分場の施設はこれらの規則にしたがって設
計・建設・管理される。なお、地層処分では、地下 300m より深い場所に放射性廃棄物を
埋設し、坑道を埋め戻すので、処分されたガラス固化体は、不法移転(盗難など)や妨
害破壊行為を受けにくいと言える。
・処分場の閉鎖後のモニタリングはどのように行うのか。
(→回答:)モニタリングの期間や方法などは、今後策定される規制基準の中で具体化されていくも
のであるが、地元の皆さまにも安心していただけるよう、ご相談しながら考えていきた
い。
・福島第一原子力発電所では、地下数mの深さの地下水ですらコントロールできていないのに、
300m以上の深さであれば、一層コントロールできないのではないか。
(→回答:)地下数mでは地下水の流れが速く、放射性物質の移動も速くなるが、地下 300m深くで
は地下水の流れが緩やかになり、放射性物質の移動も限定的になる。
・地上で、目に見えるところで人による管理を行った方が安全では。
(→回答:)高レベル放射性廃棄物を数万年以上という長期間にわたり地上で人間が管理し続けるこ
とは、社会的、経済的なリスクの観点から適当ではない。
・地上に置いておくより地下の方が安全との説明があったが、埋めた廃棄物が地下のものすごい圧力
に耐えられるとは到底思えない。地上での台風の影響などは、それに比べれば大したことではない
と思うが。
(→回答:)数万年以上という長期間を考えると、地上での自然災害の影響を受ける可能性を過小評
価することはできない。地下の圧力はたしかに強いが、地下にはトンネルなど様々な施
設の建設実績がある。埋設後の廃棄物にかかる圧力については詳細に解析し、人工バリ
アの強度等に反映する。・和歌山県の地質は、
中生代の泥岩で亀裂も多く、
断層もたくさんあり地層処分が可能とは思えない。
科学的特性マップで和歌山が中央構造線を除いてグリーンと区分されていることが理解できない。
(→回答:)科学的特性マップは、地層処分に関係する科学的特性を、既存の全国データに基づき一
定の要件・基準に従って客観的に整理し、全国地図の形にしたもの。科学的特性マップ
では、全国の活断層を網羅的に整備した産業技術総合研究所の活断層データベースに記
載されている情報等を一定の基準に基づき使用している。ご指摘のとおり、科学的特性
マップに掲載されていない活断層は存在するものと考えられる。そうした活断層の存在
やその影響範囲については、処分地選定調査で地震波探査やボーリング調査を実施して
評価を行い、対応を検討する。
・海面の上昇や地殻の変動を考慮していないのではないか。
(→回答:)特性マップでは一定の基準を定めて、海水準の低下や地殻変動を考慮しているが、これ
らも選定調査において各地域の状況を詳細に調査し、考慮していく。また、海水面が上
昇するケースにおいても、施設設計の際に考慮し、操業に影響が出ない設計とする。
・国の定めた基準(輸送に関する箇所)に信頼性はないのではないか。福島原発も国の審査を受けた
ものだが、事故を起こしているではないか。国は都合の悪い意見を排除するので信用できない。
(→回答:)輸送に関する基準については、国際機関であるIAEAの基準に基づき、原子力規制委
員会や国土交通省が定めており、既に運用されている。なお、地層処分の安全審査に関
する基準は、独立した原子力規制委員会が今後定めていくことになる。福島事故を踏ま
えて、高い独立性を有する原子力規制委員会を設置し、世界で最も厳しい水準の新規制
基準を策定し、対応すべき新知見が得られた場合には既存施設にも適用するなどの取組
を進めている。
<対話活動、文献調査、地域共生>
・文献調査に応募した自治体には交付金が払われると聞いたが。
(→回答:)受け入れていただいた地域に対して感謝の念をお示しするとともに、社会として適切に
利益を還元していくために、
雇用の創出や生活の向上ならびに国内外との交流拡大など、
持続的な発展に資する相応の支援策を講じていく必要がある。こうした支援策の 1 つと
して、処分地選定調査の段階から、国の交付金制度が活用できる。具体的には、文献調
査の段階では 1 年で最大 10 億円、調査期間全体で最大 20 億円。概要調査の段階では 1
年で最大 20 億円、調査期間全体で最大 70 億円となり、調査を受け入れていただいた自
治体等に交付される制度になっている。
・地域に反対意見がある場合には先に進まないということなのか。
(→回答:)最終処分法上では、概要調査や精密調査に進むかどうかの際には、当該調査の受入れに
ご協力いただく市町村長ならびに当該の都道府県知事のご意見を聴くことが規定されて
いる。
・NUMOの地層処分事業約 3.9 兆円は、電力会社からの拠出金で賄われていると言っていたが、文
献調査での交付金も電力会社からの拠出金か、それとも税金か。
(→回答:)地層処分事業にかかる総事業費約 3.9 兆円については、電力事業者等からの拠出金で賄
われる制度になっている。文献調査での交付金は、電源開発促進税を原資としている。
<その他>
・原子力発電を導入する段階で「放射性廃棄物処分」について検討されなかったのか。
(→回答:)原子力発電の利用が始まる 1966 年より前の 1962 年から、放射性廃棄物の最終処分方法
については様々な検討がなされてきた。氷床処分・海洋底処分・宇宙処分・地層処分が
候補として検討されたが、氷床処分と海洋底処分については国際条約で禁止され、宇宙
処分は発射技術の信頼性やコスト面などから現実的ではないと判断された。こうした検
討を経て、日本でも、世界各国と同様に、地層処分が現時点で最も適切な方法であると
考え、その実現に向けた取組を進めている。
・なぜ海南市で説明会をするのか。他では実施しているのか。
(→回答:)本説明会は全国的な対話活動の一環として、全国各地の皆さまに地層処分事業に関する
認知および関心、必要性・安全性に関する理解を深めていただくために開催する。開催
地は人口や交通の便などの地域バランスを考慮しつつ、開催場所の確保や周知・広報の
準備等、整ったところから順次開催することとしている。科学的特性マップ提示以降、
今回で 123 回目の説明会となる。また、和歌山県では過去に和歌山市・新宮市で開催し
ている。
・日本学術会議の提言等の意見も汲み上げてほしい。
(→回答:)日本学術会議が 2013 年に行った提言の柱は、
「暫定保管」と「総量管理」であると承知
している。一点目の「暫定保管」に関して、日本学術会議では 2015 年 5 月に追加のフォ
ローアップ提言を行い、
その保管期間は保管施設の安全性等を考えると約 50 年とし、その時間を使って、地層処分を前提に、処分場所の選定のみならず、最終処分施設の建設
まで終了させるべきという立場を明確にしている。一部では、あたかも日本学術会議が
「日本では科学的に地層処分はできない」
と結論付けたかのような誤解があるようだが、
決してそのような内容ではない。
「暫定保管」
が提言された背景の一つには、
将来的な科
学技術の進展に期待し、様々な対処方策を検討し選択する可能性を追求すべき、という
考え方があり、この点については、否定するものではない。まさに日本学術会議の指摘
も踏まえ、政府の新たな基本方針の中に「可逆性・回収可能性を確保する」という考え
を盛り込んでいる。
以 上

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