nite.go.jp

1/4安全とあなたの未来を支えます
News Release
2 0 2 1 年 1 0 月 2 8 日
独立行政法人製品評価技術基盤機構
N I T E ( ナ イ ト )
東 北 支 所
中古品の見えない危険に注意
〜製品の情報をしっかり確認〜
(東北版資料)
1. 事故の発生状況
近年、インターネットオークションやフリーマーケットサイト、または中古品を取り扱う専門店の
利用で、中古品の売買が活発です。そういった中古品の再利用の増加と共に、入手した中古品がリコ
ール対象製品と気付かずに使用したり、使用方法や設置方法を知らずに使用して、事故が発生してい
ます。
2016 年から 2020 年までの 5 年間に NITE(ナイト)に通知のあった製品事故情報(注記)1
のうち、中古品
の事故は全国で合計 321 件発生しています。そのうち死亡事故は 10 件(11 人)、重傷事故は 14 件
(14 人)です。東北地区における同時期 5 年間の中古品の事故は 19 件発生しました。東北地区にお
ける 19 件の事故のうち、死亡事故は 2 件、重傷事故は2件です。
中古品を売買する際には、売り手側、買う側共にリコール対象製品かどうか確認し、製品に関する
情報(修理・改造、不具合の有無、製造年など)をしっかり確認することが重要です。入手する側、
提供する側のそれぞれで気を付けるべきポイントを確認し、事故を未然に防ぎましょう。
((注記)1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品
事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含める。
(イメージです。) 2/4安全とあなたの未来を支えます
表 1 中古品の事故の年度別発生件数
発生県
発生年度
青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 合計
2016年 1 1 1 2 0 1 6
2017年 3 0 0 1 0 0 4
2018年 0 1 0 0 0 2 3
2019年 2 1 0 0 1 1 5
2020年 0 1 0 0 0 0 1
合 計 6 4 1 3 1 4 19
表 2 中古品の事故の被害状況別発生件数
発生県
被害状況
青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 合計
死亡 0 1 0 0 0 1 2
重傷 1 1 0 0 0 0 2
軽傷 0 0 0 0 0 0 0
拡大被害 5 2 1 2 1 2 13
製品破損 0 0 0 1 0 1 2
被害なし 0 0 0 0 0 0 0
合 計 6 4 1 3 1 4 19
表 3 中古品の事故の原因区分別発生件数
発生県
原因区分
青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 合計0A:設計、製造又は表示等に問題があっ
たもの
2 1 0 0 0 1 4
B:製品及び使い方に問題があったもの0 0 0 0 0 0 0
C:経年劣化によるもの 0 0 0 0 0 0 0
G3:製品起因ではあるが、その原因が
不明のもの
1 1 0 0 0 0 2製品に起因しない事故
D:施工、修理、又は輸送等に問題があ
ったもの
0 0 0 0 0 0 0
E:誤使用や不注意によるもの 1 1 0 2 0 0 4
F:その他製品に起因しないもの 1 0 0 0 0 0 1
G1、G2:原因不明のもの 1 1 1 1 1 3 8
H:調査中のもの 0 0 0 0 0 0 0
合計 6 4 1 3 1 4 19
2.主な事故事例 3/4安全とあなたの未来を支えます
しろまる2016 年 2 月 7 日 除雪機 (岩手県、70 歳代男性)
事故内容: 使用者が当該製品を使用中、当該製品と小屋の柵に挟まれ、病院に搬送後、死亡が確認され
た。
事故原因: 当該製品で後進中、使用者が走行クラッチレバーの上に覆いかぶさる状態で背面の鉄パイプと
の間に挟まれたため、上部の緊急停止バーが押されても使用者の体で走行クラッチレバーが
「入」の位置に固定された。このため走行クラッチレバーが「切」に移動せず、その状態で当該製品
が後進を継続したことにより、使用者を圧迫したものと推定される。 なお、取扱説明書には後進
時の注意事項として、「後進時には足下と後方を確認のうえ、十分注意し、走行スピードを落とし、
運転する。」旨、記載されている。
しろまる2018 年 2 月 28 日 除雪機 (青森県、40 歳代男性)
事故内容: 使用者が当該製品を使用中、当該製品の排雪口に詰まった雪を取り除こうとしたところ、左手指
を負傷した。
事故原因: 当該製品で除雪作業中、使用者が排雪口に詰まった雪を取り除く際、備付けの棒を使用せず手
で雪を取り除こうとしたため、惰性で回転していた排雪口内の刃に指が接触し、負傷したものと推
定される。 なお、本体及び取扱説明書には、「排雪口内の雪を取り除くときは、エンジンを停止
し、オーガとブロアの回転が完全に停止したことを確認してから、必ず備付けの雪かき棒を使用す
る。」旨、警告表示されている。
しろまる2019 年 1 月 8 日 電気ストーブ (福島県 70 歳代女性)
事故内容: 電気ストーブ付近から出火して、周辺を焼損し、1人が死亡した。
事故原因: 配線に溶融痕が認められたが、一次痕か二次痕か特定でき無かった。また焼損が著しく、全ての
電気部品を確認できなかったことから、原因の特定はできなかった。
しろまる2019 年 9 月 19 日 自転車 (岩手県、50 歳代女性)
事故内容: 当該製品で走行中、ハンドルがロックし、転倒、負傷した。
事故原因: 当該製品は、ハンドルがロックされた状態で過大な力が加わると使用者に異常を知らせるために
ハンドルロックのケースを意図的に破損させる設計であった。しかしながらケースが破損すると内
部のロックレバーの動きをガイドする溝が広がってロックレバーがカムから外れ、振動等でロック
レバーが動いて意図せずロックが掛かる危険性に対して、技術的な保護対策が講じられていなか
った。以上のことから、ハンドルロックのケースが破損していた状態で走行した際に突然ハンドル
がロックしたものと推定される。
しろまる2019 年 11 月 24 日 電気ストーブ(ハロゲンヒーター) (青森県、年齢性別不明)
事故内容: 中古で購入した使用中のハロゲンヒーター付近から異臭がして出火し、フロアマットを焼損した。
事故原因: 内部配線とヒーター管端部のリード線との金属管スリーブ(鉄製)による接続がカシメ不良であっ
たため、接触不良により異常発熱し、発煙・発火に至ったものと推定される。
しろまる2018 年 5 月 6 日 ノートパソコン (福島県、年齢性別不明)
事故内容: 充電中のノートパソコンから火が出て、周辺を焼損した。
事故原因: バッテリーパックに使用している電池セルの製造上の不具合により、電池セルの封口部に導電性
異物が付着したため、充放電を繰り返すうちに封口部の絶縁性が失われ、電池セルの内部が短
絡して異常発熱し、出火に至ったものと推定される。
3.製品事故の実験映像につきまして
製品事故の写真及び動画をご希望の場合は、下記の問い合わせ先までご連絡ください。
なお、映像をご使用の際、クレジットは「製品評価技術基盤機構+NITE のロゴ」としてください。 4/4安全とあなたの未来を支えます
(本件に関する問い合わせ先)
〒983-0833 宮城県仙台市宮城野区東仙台 4-5-18
独立行政法人製品評価技術基盤機構 (略称:NITE
ナイト
) 東北支所
責任者:支所長 菊地徹
担当:、齋藤(さいとう)、照井(てるい)、福井(ふくい)
電話:022-256-6423
mailto: jiko-tohoku@nite.go.jp
【編集人のつぶやき】
中古品の利活用は、モノの再利用を促すことで廃棄物の低減に貢献することになり、持続可
能な開発目標(SDGs)実現のためにも、特に 12「つくる責任 つかう責任」の実現に向け
た、サーキュラーエコノミーへの良い事例だと思います。
編集人も中古品を多く利用してきた一人で、以前はオークションサイトでの売買、現在はフ
リーマケットアプリを良く利用しています。この記事を作成している今週も、フリマアプリで
数年前に欲しかったある電気製品を十分の一くらいの値段で手に入れることが出来たところで
す。大きな売買としては、古くやや希少性がある中古車をオークションサイト通じて関東の方
に販売したこともあります。中古製品といえばこれまでは、自動車やオートバイがメインでし
たので、何はさておき中古を入手したら命に関わるブレーキの点検交換はいの一番に行ってき
ました。しかし、現在例えば電気製品の中古を入手し、命に関わる火災事故が発生するような
問題が無いかどうか、チェックしていなかったように思います。
中古製品を買う際も、いつ頃発売されたどんな製品かを調べるので、リコール情報にたどり
着くことはありましたが、それまでどんな使われ方をしてきたのか、改造等されていないのか
など確認不足でしたし、売る側となる場合も正しい情報を伝えることが重要だと感じました。
SDGs の実現にも繋がる中古品の再利用は、売り手側、買う側共にその中古製品に関する情
報を確認することで事故を未然に防ぎつつ、楽しく便利に利用しましょう。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /