国総研資料 第 1314 号
高度経済成長期に集中的に整備された港湾施設の多くが設計供用期間を超え,維持補修に要するコストが増大していることから
港湾施設の戦略的な維持管理が求められている.取得した点検診断データから将来的な劣化状況を簡易に予測・評価するツールとして,
部材毎に劣化度の遷移を予測するマルコフ連鎖モデルが主流であるが,その遷移率は施設周辺の自然条件や利用状況等を反映し,
同種の部材であっても様々に変動する可能性がある.しかし,データの蓄積不足等の要因から,点検診断データを基に遷移率の変動を分析した事例は限定的である.
本資料では,係留施設および外郭施設を対象に、維持管理情報データベースに蓄積された点検データを活用して部材毎の遷移率の推定を行い,
構造形式や部材による遷移率の違いや,遷移率に変動をもたらす可能性のある要因として施設諸元との関係を整理する.
さらに,推定した遷移率に基づき劣化度予測を行い,その結果を用いて部材の残存年数の試算を行う.
研究資料全文
1. はじめに
2. 維持管理情報データベースの概要と分析手法
3. 結果と考察
4. おわりに
謝辞
参考文献
付録A 維持管理情報DB の登録項目毎のデータ充足率
付録B 部材毎の登録施設数
付録C 部材とその点検診断項目の名称の対応
付録D 各推定手法による遷移率の推定値の平均値・標準偏差
付録E 部材毎の遷移率の推定値の分布
付録F 施設諸元に対する遷移率の分布
付録G 部材毎の残存年数の試算値(平均値・標準偏差)