富岡秀徳(HySUT)
一般社団法人水素供給利用技術協会(HySUT)
(再委託) 一般財団法人 石油エネルギー技術センター
国立大学法人東京大学
一般財団法人日本自動車研究所(JARI)
2024年7月19日
競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/
水素ステーションの低コスト化・高度化に係る技術開発/
カーボンニュートラルに向けた水素技術に係る
ISO/TC197国際標準化及び国際連携の推進のための研究開発
NEDO水素・燃料電池成果報告会2024
発表No.A2-16
連絡先:
一般社団法人水素供給利用技術協会
E-mail: hi-tomioka@hysut.or.jp
TEL: 03-3560-2804
一般財団法人日本自動車研究所
E-mail: tshimizu@jari.or.jp
TEL: 029-856-0818
事業概要
1. 期間
開始 :2023年4月
終了(予定):2028年3月
2. 最終目標
• ISO/TC197の総会および国際WGに対し国内の有識者の積極参加を図り、標準化対象項目、内容、制定状況等を把握し、標準
化に対し日本の意向を適切に反映する。また、日本から必要に応じて新規提案(NP)をTC197委員会に提出し、IS化を目指す。
• 燃料品質および水素充填インターフェースに関して国内および国際審議を推進し、課題抽出や改訂提案を行う。
• 国際連携の推進のため、海外事業者との意見交換、論議、情報収集などを行うとともに、水素安全に係る情報交換を目途し
てとして米国NRELデータベースへのデータ展開を行う。
• 水素品質規格の多用途展開に向けた検証やグリーン水素の普及期に向けた課題抽出を行い、その結果をもとにISO14687およ
びISO19880-8の改訂提案に結び付ける。
• 他事業等で新規開発された分析法の検証等を実施し、低コストの品質管理の体系を確立する。また、ISO19880-8の改訂等と
の整合も含め、主にガイドラインの改訂に資するリスクアセスメント手法を確立する。
3.成果・進捗概要
• ISO/TC197及びISO/TC197/SC1の国内審議団体として、水素技術に関する国際標準化を進めた。ISO/TC197及びその傘下のSC及
びWG等の国際会議への有識者の派遣、関係団体との連携等を行うとともに国内委員会活動を充実させ、日本が主導的な立
場で水素関連技術の国際標準化を推進できるよう活動した。
• 標準化活動等に係る国際連携の推進のため、米国エネルギー省(DOE)の年次報告会、IEA HTCP会議、ICHS会議等に参加、
海外関係者との意見交換、論議を実施した。
• 酸素規格値緩和可否の判断に向けて長期的な影響評価を実施した。材料劣化の有無を確認することが課題となったことから、
試験計画の見直しを進めている。硫黄については定置用燃料電池用規格の妥当性検討のため、被毒回復も考慮した影響評価
を実施中。一方、分析・品質管理コスト低減を目指し、品質管理ガイドラインの改訂に資する検討を実施した。 2
• 本事業を実施する背景や目的
水素サプライチェーンの構築には、新しい技術、モビリティや家庭用など多用途での実装に際し
て、安全性を検証しつつ、標準・規制等の整備や合理化により水素コストを低減させることが求め
られる。一方、コンポーネントからアプリケーションへの動き、また、サプライチェーンの多様化
等の変化がある中で、カーボンニュートラル(CN)を早期に実現するため、本研究開発では、技術
データを根拠とする水素技術の国際標準化をより着実に進めることで、世界共通の技術指針、評価、
安全のルールの確立に貢献することを目的とする。
• 本事業の位置づけや意義、必要性
本研究開発は、CNの実現に資するとともに、普及を促進する上での課題のひとつである、水素ス
テーションの品質管理負担低減と燃料電池の耐久性に密接に関与する水素品質規格の適正化を行う
ことから、水素サプライチェーンの構築と水素利用を加速させるための事業に位置づけられる。
温室効果ガス(GHG)排出に関して一層厳しさが増す中で第6次エネルギー基本計画を確実に実行
し、国際公約であるGHG排出46%削減(2030年)、CN達成(2050年)を実現するためには、日本が引
き続き水素の取組みにおいて世界をリードして日本の水素サプライチェーン構築・産業振興・競争
力強化を図ることが必要であり、本事業の意義は、国際的な枠組みを活用しつつ、水素品質も含め
た水素技術に関するISO/TC 197における国際標準化の推進に貢献することにある。31.事業の位置付け・必要性 42 .研究開発マネジメントについて:研究開発の目標と目標設定の考え方
目標設定の考え方
最終目標(2027年度末)
研究開発項目
日本が引き続き水素の取組みにおいて世界をリードして日
本の水素サプライチェーン構築・産業振興・競争力強化を
図るため、国際的な枠組みを活用しつつ、水素技術に関
するISO/TC 197における国際標準化への取り組みを継
続する。
ISO/TC197の総会および国際WGに参加
し、標準化対象項目、内容、制定状況等を
把握するとともに、標準化に対し日本の意向
を適切に反映する。日本提案の国際規格
発行のため新規提案の上TC197専門委員
会にて審議を進める。
1-1 ISO等国際標準の制
定の主導的取り進めと、
ISO等国際標準と国
内研究開発等との連
携強化
(1) CNに向け
た水素技術に
係る
ISO/TC197
国際標準化及
び国際連携の
推進のための
研究開発
適正なISO国際規格を策定することにより、水素ステーショ
ンをはじめ、拡大した水素の応用分野、サプライチェーンの
コスト低減を図ることが可能となる。
燃料品質および水素充填インターフェースに
関して国内および国際審議を推進し、課題
抽出や改訂提案を行う。
1-2 燃料電池自動車関連
のISO国際規格の制
定推進
標準化活動を円滑に進めるため、グローバルな動向を常に
把握し、国内外の関係機関との連携を図ること、国内の
関連する技術開発との連携を図ること等が重要である。
国際連携の推進のため、海外事業者との意
見交換、論議、情報収集などを行う。水素
安全に係る情報交換を関連機関と実施する。
(2) 標準化活動等に係る国際連携の推進
酸素の許容濃度緩和(5→50 ppm)により、水素品質
管理の負担低減となるほか、約8%の水素製造コスト削減
につながる試算例がある。定置用では硫黄の許容濃度が
4 ppbでは不十分である可能性がある一方で、規格値を
厳しくすることは困難との意見あり。被毒回復の観点を考
慮した規格値妥当性判断のための検討を行う。
水素品質規格の多用途展開に向けた検証
やグリーン水素の普及期に向けた課題抽出
を行い、その結果をもとにISO14687および
ISO19880-8の改訂提案に結び付ける。
3-1 水素品質管理方法の
適正化のための不純物
影響調査
(3) ISO水素
品質国際規格
のための研究
開発
分析・品質管理コスト低減を目指し、ステーションの品質
問題等について継続的に情報共有、議論を行い、分析法
の調査・検討を実施する。
他事業等で新規開発された分析法の検証
等を実施し、低コストの品質管理の体系を
確立する。また、ガイドラインの改訂に資する
品質管理手法を策定する。
3-2水素品質管理方法コ
スト低減に向けた分析
法及びリスクアセスメン
トの検討 52 .研究開発マネジメントについて:研究開発のスケジュール 62 .研究開発マネジメントについて:研究実施体制NEDO一般社団法人水素供給利用技術協会(HySUT)(委託)
水素技術に係るISO/TC197国際標準化の推進(自動車関連以外)
標準化活動等に係る国際連携の推進
ISO水素品質国際規格のための研究開発(分析法検証、リスクアセスメ
ント関連)
一般財団法人石油エネルギー技術センター(再委託)
水素ステーション用蓄圧器等に係る国際規格案の策定等に
関する研究開発
国立大学法人東京大学(再委託)
水素ステーション用水素蓄圧器(WG15:ISO19884)に
適用する水素適合性試験法の策定等に関する研究開発
一般財団法人日本自動車研究所(JARI)(委託)
水素技術に係るISO/TC197国際標準化の推進(自動車関連)
ISO水素品質国際規格のための研究開発(不純物影響調査) 72 .研究開発マネジメントについて:ISO/TC197国内活動体制(その1)
【NEDO競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業】
ISO/TC197の国際標準化
委託
交付
国内審議団体の指名
HySUTの担当エリア
(参加会社総数約60社)NEDOMETI (FC室)
METI (国際標準課 → JISC)
日本自動車研究所(JARI)
ISO/TC22/SC37
日本電機工業会(JEMA)
IEC/TC105
高圧ガス保安協会(KHK)
ISO/TC58
審議団体
業界団体
日本ガス協会 自工会、JARI
燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)
連携
連携
国内WG委員会(研究機関・企業専門家等)
(WG1, 5, 15, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24,
25, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36,
38 /合計23WG 約180 名)
水素供給利用技術協会(HySUT)
(TC197日本審議団体)
( WG1, 5, 18, 27, 28, 30, 35, 36, 38
はJARIに標準化審議を委託)JH2A水素技術標準化委員会
(学識専門家・業界団体代表者等約20名)
国内WG委員会
(研究機関・企業専門家等)
(SC1WG1)
水素技術標準化SC1委員会
(学識専門家・業界団体代表者等約20名)
連携 82 .研究開発マネジメントについて:ISO/TC197国内活動体制(その2)
*国内委員会未設置 事務局がエキスパート登録して対応中 しかく:HySUT(本事業)、しかく:JARI(本事業)、しかく:JARI(別事業) 92 .研究開発マネジメントについて:ISO/TC197国内活動体制(その3)
燃料標準化WG
燃料品質及び水素品質管理に係る
技術審議・標準化審議を実施
ISO/TC197/WG27, WG28
水素品質関連規格国内対応
(水素品質関連)
水素充填インターフェース標準化WG
ISO/TC197/WG24-2 国内対応委員会
SAE FCSC, Interface TF
ISO/TC197/WG5 国内対応委員会
(一社)水素供給利用技術協会
(HySUT)
審議結果
ISO/TC197
液水/CcH2充填SWG
(充填インターフェース関連)
審議結果に基づき投票などを実施
国内対応委員会及びSWGにおいて
標準化審議を実施
国際規格整合
のためSAEへ反映 103.研究開発成果について:研究開発の目標及び進捗状況、目標達成に向けたアプローチ
達成に向けたアプローチ
進捗
状況
最終目標(2027年度末)
研究開発項目
現在策定審議中のISO国際規格、今後新規提案される
ISO国際規格や既制定規格の改訂に関し、日本の技
術・知見を活かして制定を主導的に取り進める。今後更な
る拡大が予想される水素技術の多用途展開に向けた対
応、カーボンニュートラル関連の規格化、またそれら対応の
ため発足したTC 197/SC1の対応を確実に実施する。
しろまる
ISO/TC197の総会および国際WGに参加
し、標準化対象項目、内容、制定状況等
を把握するとともに、標準化に対し日本の意
向を適切に反映する。日本提案の国際規
格発行のため新規提案の上TC197専門委
員会にて審議を進める。
1-1 ISO等国際標準
の制定の主導的
取り進めと、ISO
等国際標準と国
内研究開発等と
の連携強化
(1) CNに向けた
水素技術に係る
ISO/TC197国
際標準化及び国
際連携の推進の
ための研究開発
国際規格の審議状況に応じた適切なタイミングで国内対
応委員会を開催するとともに、国際会議に専門家を派遣
して情報収集や意見交換を実施する。
しろまる
燃料品質および水素充填インターフェースに
関して国内および国際審議を推進し、課題
抽出や改訂提案を行う。
1-2 燃料電池自動
車関連のISO国
際規格の制定推進CHS関連活動、IEA HTCP会議やNOW、DOE等との
国際インフラワークショップ会議等に参加して、海外事業者
との情報・意見交換、論議を行う。
しろまる
国際連携の推進のため、海外事業者との意
見交換、論議、情報収集などを行う。水素
安全に係る情報交換を関連機関と実施す
る。
(2) 標準化活動等に係る国際連携の推進
インフラ事業者の緩和要望をもとに、グリーン水素を考慮し
た酸素の許容濃度緩和提案を検討するためのデータを取
得する。また、定置用燃料電池の水素品質規格
(Grade E)の妥当性検討のため、硫黄被毒回復も考
慮した燃料電池への影響を評価する。
しろまる
水素品質規格の多用途展開に向けた検証
やグリーン水素の普及期に向けた課題抽出
を行い、その結果をもとにISO14687および
ISO19880-8の改訂提案に結び付ける。
3-1 水素品質管理方
法の適正化のた
めの不純物影響
調査
(3) ISO水素品
質国際規格のた
めの研究開発
分析・品質管理コスト低減を目指し、ステーションの品質
問題等について継続的に情報共有、議論を行い、分析法
の調査・検討を実施する。また、リスクアセスメントの導入も
含め品質管理ガイドラインの改訂に資する検討を実施する。
しろまる
他事業等で新規開発された分析法の検証
等を実施し、低コストの品質管理の体系を
確立する。また、ガイドラインの改訂に資する
品質管理手法を策定する。
3-2水素品質管理方
法コスト低減に
向けた分析法及
びリスクアセスメン
トの検討 113.研究開発成果について:各個別テーマの成果と意義 1
1 CNに向けた水素技術に係るISO/TC197国際標準化及び国際連携の推進のための研究開発
1-1 ISO等国際標準の制定の主導的取り進めと、ISO等国際標準と国内研究開発等との連携強化
しろまる 達成状況
ISO/TC197及びISO/TC197/SC1の国内審議団体として、水素技術に関する国際標準化を進め、グローバ
ル動向を踏まえつつ、日本の技術・知見を活かして制定を主導的に取り進めた。ISO/TC197及びその傘下の
SC及びWG等の国際会議への有識者の派遣、関係団体との連携等を行うとともに国内委員会活動を充実させ
日本が主導的な立場で水素関連技術の国際標準化を推進できるよう活動した。
• 2023年度は18件のISO国際規格及び1件の技術仕様書、4件の技術報告書の開発を継続し、うち1
件の規格が発行された。HySUTが開発担当している規格が13件、JARIが開発を担当している規格が10件。
又、新たに4件の新規プロジェクトが始動した。
• このうち6件は日本が議長国、提案国として開発した規格である。
しろまる 成果の意義
ISO/TC197(水素技術)関連の国際標準化活動を積極的に実施する中で、特に日本を議長国とする項目
も含めて国際規格の策定が的確に進んでいる。今後の当該分野の日本の立場を優位にする上で意義が大きい。 123.研究開発成果について 133.研究開発成果について:各個別テーマの成果と意義 2
1 CNに向けた水素技術に係るISO/TC197国際標準化及び国際連携の推進のための研究開発
1-2 燃料電池自動車関連のISO国際規格の制定推進
しろまる 達成状況
水素品質、充填インターフェース関連国際規格の発行と改訂の対応。
• 日本が議長国である水素品質規格ISO 14687(WG27)および水素品質管理ISO 19880-8(WG28)は、2023年
にDIS投票を完了。両ISOとも更なる水素ステーションの管理コスト低減を目指し、規格緩和に向けた議論を海外機関と共に
進めている。(2024年改訂版発行予定)
• 水素充填コネクタ ISO 17268(WG5)は2020年2月発行後、HDVを考慮した改定議論が開始、流量120 g/sで2つ
の規格に分け推進中。LDV用(120 g/s迄)は日本提案ICE用コネクタ形状が採用された。HDV用(120 g/s超)は内
径4 mmのコネクタ形状を提案し議論を加速している。水素充填プロトコルはISO 19885(WG24)として、充填プロトコル
概念、HDV用の2つの規格開発を推進中。日本としてはMF充填(流量180 g/s(90 g/s ×ばつ 2))に焦点を置いて検討
を進めている。制御通信は、ISO 19885-2(WG38)として、新体制でIR通信に代わる新しい通信の検討を開始。
• 液水充填プロトコルISO 13984(WG36)は、1999年発行第1版をベースに技術の進捗に合わせた改定を推進中。
CcH2充填コネクタは、ISO 17268-3(WG35)として、市場での問題なく運用できるよう、レセプタクル、保護キャップ(車
載用)、ノズル、通信ハードウェアの規定を議論中。
しろまる 成果の意義
ISO/TC197(水素技術)関連の国際標準化活動を積極的に実施する中で、日本の意見を十分に反映して発
行・改訂を推進することは、今後の当該分野の日本の立場を優位にする上で意義が大きい。 143.研究開発成果について:各個別テーマの成果と意義 3
2 標準化活動等に係る国際連携の推進
しろまる 達成状況
• 2023年6月、米国 バージニア州 アーリントン市にて開催された米国エネルギー省(DOE)の年次報告
会に参加し、水素インフラ及びFCV等に関連する分野全般の技術情報を収集するとともに、HDV関連技
術開発や国際標準化に関連する最新動向を把握した。また、ISO/TC197(水素技術)の進め方につ
いて米国関係者との意見交換も実施した。
• 2023年9月、カナダ・ケベックシティにて開催されたICHS(International Conference of Hydrogen
Safety)に参加した。ICHSは、HySafe (International Association for Hydrogen Safety)
が主催する水素安全に関する最大の国際会議であり世界各国で隔年開催される。NEDO事業の
ISO/TC197国際標準化に密接に関連する水素安全の各テーマについて議論するため、技術情報交換
並びに日本からの情報発信を行った。
しろまる 成果の意義
上記のように国際連携に必要な活動を積極的に実施する中で、日本の水素技術の分野の国際標準化に対
するプレゼンスを高め、今後の国際協調に必要なプラットフォームへの参画を容易とする基盤を醸成した。 153.研究開発成果について:各個別テーマの成果と意義 4
3 ISO水素品質国際規格のための研究開発
3-1 水素品質管理方法の適正化のための不純物影響調査
しろまる 達成状況
 酸素の緩和要望(現状5→50 ppm)
グリーン水素を考慮した許容濃度緩和提案に対して、燃料電池への長期的な
影響を確認するため、200時間のOCV試験を実施。
試験前後の電圧変化量から性能には影響しないことを確認。材料劣化への影
響調査が今後の課題。
 硫黄の許容濃度妥当性検討(4 ppb)
定置用燃料電池の水素品質規格(Grade E)の妥当性検討のため、硫黄被毒回
復も考慮した燃料電池への影響を評価。
硫黄の被毒繰り返し試験の結果、回復操作なしでは電圧が低下したが、水
素遮断法1)を適用することで電圧低下が軽減された。定置用を考慮した触媒で
の効果や、効果的な硫黄被毒回復手法、材料劣化への影響についても検討し
た上で、許容濃度の妥当性判断につなげることが今後の課題。
しろまる 成果の意義
水素供給事業者の要望を踏まえ、自動車/定置メーカーとともに議論しなが
ら次期水素品質規格の改訂提案を行い、 水素品質管理の負担を低減させること
で、分析コスト低減と、水素品質に係る新規参入者の増加が期待でき、水素お
よびFCV・定置用FCの普及拡大に貢献できる。
1) NEDO水素・燃料電池成果報告会2022、発表No.A-71「硫黄化合物等の吸着脱離メカニズム解明と被毒予防・回復技術開発」
図 硫黄被毒回復有無による電圧の変化0.00.20.40.60.81.0
0 1 2 3 4
電圧*/VH2S被毒回復繰り返し回数
回復操作なし
水素遮断法
*H2S添加(1ppm, 2.5h)→(水素遮断)→
H2での運転後の1.0 A cm-2における電圧
図 200時間OCV試験前後の電圧変化量 163.研究開発成果について:各個別テーマの成果と意義 5
3 ISO水素品質国際規格のための研究開発
3-2水素品質管理方法コスト低減に向けた分析法の検討
しろまる 達成状況
 水素品質管理ガイドラインの検討
• 水素品質管理の国際規格ISO19880-8に掲載されるリスクアセスメントに関連して、品質管理ガイ
ドラインへの導入の検討を実施した。
 品質管理のため水素分析法の調査
• 2022年度までのNEDO事業で開発事業を受託されていた四国総研社よりレーザー・ラマン分光を用
いた分析法に関する情報交換を実施した。
しろまる 成果の意義
これらの成果を継続的に得ることにより、分析・品質管理コスト低減に寄与することが期待され、今後の水素の
商用サプライチェーンを世界に先駆けて構築し、かつ、その導入拡大に資するものである。 173.研究開発成果について:特許や論文、学会発表、広報等の取り組み
発表年月
学会名・イベント名等
タイトル
所属
発表者
2023年5月
第30回燃料電池シンポジウム
自動車用燃料電池における水素中不
純物評価に関するJARIの取り組み
一般財団法人
日本自動車研究所
松田佳之、清水貴弘、
今村大地
2023年7月
7th International Hydrogen and Fuel Cell Vehicle
Congress and Exhibition (FCVC 2023)
Activities of ISO/TC197 Hydrogen
Technologies
一般社団法人
水素供給利用技術協会
池田哲史
2023年11月
Strategic Planning Meeting(ISO/TC197
Plenary Week)
Hydrogen Refueling Infrastructure in
Japan
一般社団法人
水素供給利用技術協会
池田哲史
2023年12月
日本規格協会主催「標準化カフェ」
次世代エネルギー「水素」
一般社団法人
水素供給利用技術協会
池田哲史
2024年2月
「H2&FC EXPO 2024」内
HySUTブース
水素技術の標準化審議団体と役割・
ISO/TC197関連国際規格
一般社団法人
水素供給利用技術協会
一般社団法人
水素供給利用技術協会
2024年3月
やまなしミライエネルギーフェス2024
水素エネルギーセミナー
HySUTにおける水素エネルギーの取
組み
一般社団法人
水素供給利用技術協会
池田哲史
2024年3月
電気化学会第91回大会
水素中のトルエンによる燃料電池発
電性能への影響と水素循環系におけ
る濃縮挙動
一般財団法人
日本自動車研究所
松田佳之、清水貴弘、
今村大地
発表年月
ページ番号
発表誌名
タイトル
所属
発表者
2023年12月11高圧ガス
Vol.60 No.12(2023)
ISO/TC197(水素技術)の国際標準化
の展望と国内の動静
一般社団法人
水素供給利用技術協会
富岡秀徳
・論文発表
・学会発表 184.今後の見通しについて
<実用化・事業化の見込み>
 日本が引き続き水素の取組みにおいて世界をリードして日本の水素サプライチェーン構築・産業振興・競争力強
化を図るため、国際的な枠組みを活用しつつ、水素技術に関するISO/TC 197における国際標準化への取り
組みを進め、日本主導で、大型車両(Heavy Duty Vehicle: HDV)、鉄道、船舶、航空等の移動体用
動力、また、家庭用の燃焼熱源、パイプライン供給等の家庭向けの用途に関連して適正なISO国際規格を策
定することにより、水素ステーションをはじめ、拡大した水素の応用分野、サプライチェーンのコスト低減が図れ、水
素供給システムの確立と水素利用技術の普及拡大に貢献し、もってカーボンニュートラルを実現させる。
<経済社会への波及効果>
 上記の結果を業界団体や関係企業にフィードバックすることにより、日本の企業活動の活発化が図れ、ひいては、
国際競争力の向上に繋がり、国益に資することが可能となる。
<人材育成の取り組み>
 国際標準化活動における次世代の人材を育成するため、各国との人的ネットワークの形成やノウハウ蓄積を目
的として若手のJARI担当者や産業界の技術エキスパートをISO国際会議等に派遣した。それによって、オンライ
ン会議では不可能である密接なコミュニケーションが現地で図られた。このような活動の継続により、今後日本の
水素技術に係る国際標準化活動の核となる若手の人材の育成が期待される。

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