1P23026
2024年度実施方針
フ ロ ン テ ィ ア 部
航 空 ・ 宇 宙 部
A I ・ ロ ボ ッ ト 部
半導体・情報インフラ部
バ イ オ ・ 材 料 部
サーキュラーエコノミー部
1.件名:NEDO 懸賞金活用型プログラム
2.根拠法
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法第 15 条第 1 号、第 2 号及び第 9 号
3.背景及び目的
「第 6 期科学技術・イノベーション基本計画」
(2021 年 3 月 26 日閣議決定)では、日本の
未来社会像として、
「直面する脅威や先の見えない不確実な状況に対し、持続可能性と強靱性
を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を
実現できる社会」である Society 5.0 を目指している。
「統合イノベーション戦略 2023」
(2023 年 6 月 9 日閣議決定)では、国内外における情勢
変化を勘案し、一層のスピード感と危機感を持って Society5.0 を実現していくために、イノ
ベーション・エコシステムを形成し、新たな経済成長の軌道を描くとともに、既存の発想で
は対応が困難な社会課題を克服し、
科学技術・イノベーションがもたらす恩恵を国民や社会、
地域に還元することを基軸の一つとして掲げている。
イノベーションを創出しその恩恵を社会課題の解決によって国民や社会に還元していくた
めには、従来にない先端技術を社会実装に至らしめるための適切な方策を推進することも重
要である。
「研究開発改革 WG 最終取りまとめ」
(2022 年 3 月 3 日、産業構造審議会 産業技
術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 研究開発改革ワーキンググループ)で
は、研究開発事業への参加主体のモチベーションを向上させ、野心的イノベーションを創出
するため、プロセス(コスト)ではなく、成果(生み出される価値)に対して報酬(インセン
ティブ)を支払う仕組みへと転換することが必要とし、従前以上に多数の応募者を募り、コ
ンテスト形式により競わせ、開発期間を終えた段階等で、目標水準以上の成果を上げた者の
うち上位数者に対して懸賞金を支払う懸賞金制度の導入を加速することとしている。
経済・社会の成熟化に伴い、人々の関心や価値観が多様化し、ユーザーの多様な要望や共
感に応える新しい価値やサービスを創出することが求められるなど社会課題が複雑化してい
る。また、研究開発を取り巻く環境という観点で見れば、先端技術の出現・進化とデジタル 2化の進展は、分野融合を促進し、技術を複雑化させている。加えて、当該技術を持つ者、当
該技術を利用しイノベーションを起こす者が多様化している。
今後、2030 年、2050 年に向けて、カーボンニュートラル達成、サーキュラーエコノミーな
どの社会構造変革、更に多様化する技術、ニーズ、価値観に対応し、先端技術が社会課題解
決等に有効につながる研究開発事業を行うことが求められる。そのためには、従来のように
研究開発を線形的・漸進的に進めるのではなく、多様な主体からの多様な知恵を集め、これ
らを融合・競争させ、得られた結果を研究現場にフィードバックすることを可能とする取組
を強力に進める必要がある。
諸外国においては、政府や財団が研究開発の目標を掲げて多数の応募者を募り、様々なア
イデアやアプローチをコンテスト形式により競わせ、開発期間を終えた段階等で、目標水準
以上の成果を上げた者のうち上位数者に対して懸賞金を支払う仕組みを採用している。従来
にない先端技術の研究開発成果を最大化するためには、様々な知恵の集約とトライアルを促
進する必要がある。
本制度は、技術課題や社会課題の解決に資する多様なシーズ・解決策をコンテスト形式に
よる懸賞金型の研究開発方式を通じて募り、将来の社会課題解決や新産業創出につながるシ
ーズをいち早く発掘することで、共同研究等の機会創出、シーズの実用化、事業化の促進を
ねらう。
4.制度内容
4.1 制度概要
本制度は、懸賞広告において研究開発の目標を掲げて多数の応募(以下、
「応募」とは「成
果の提出」を意味する)を募り、共同研究等につながる技術シーズの発掘を目指して実施す
るものである。
懸賞広告で掲げる課題は外部有識者からなる課題設定委員会における議論を踏まえて設定
し、懸賞広告やコンテストの企画立案・運営、評価手法の検討(ルール・基準の明確化)
、応
募者のための研究開発環境整備、広報や周知活動・制度改善に資する調査等の企画運営業務
については、コンテスト等の知見・経験を有する事業者への業務委託を通じて実施する。そ
の後に、研究開発の目標、懸賞金額等を掲げて懸賞広告を行い、応募者による研究開発の成
果をコンテスト形式で競わせ、目標水準以上の成果を上げた者のうち上位数者に対して民法
に基づき懸賞金を交付する。
提出された成果については、応募者の意向に配慮しつつ、該当技術分野に関係するステー
クホルダーをはじめ、社会に広く周知する機会を設けるとともに市場ニーズ、技術動向、特
許動向等の情報提供を行う。それにより、コミュニティー形成や共同研究等につながり、民
間投資の誘発や社会実装に向けた次ステップへの発展が期待される。
4.2 制度方針
(1)事業規模
事業規模については、変動があり得る。 3(A)2023 年度設定課題
(一般勘定) 600 百万円(2023 年度及び 2024 年度総額)
(B)2024 年度設定課題
(一般勘定) 1,150 百万円(2024 年度総額)
(2)対象課題
(A)2023 年度設定課題
i)衛星データを活用したソリューション開発の地域実証
ii)サイボーグ AI チャレンジ
iii)リチウムイオン蓄電池の回収システムに関する研究開発
(B)2024 年度設定課題
i)量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発
ii)製造事業者の業務ノウハウを形式知化するデジタルソリューション開発
iii)衛星データを活用したソリューション開発
(注1)上記課題は、外部有識者からなる課題設定委員会における議論を踏まえて設定した。
課題毎の企画運営業務において懸賞広告で掲げる課題の内容を具体化する。
(注2)
上記課題名は課題設定委員会時の名称であり、
懸賞広告において変更することがある。
(3)企画運営業務
<委託要件>
1)対象事業者
企画運営業務の事業者は、次に掲げる要件を満たすことが必要である。
1 日本の法人格を有する民間企業、大学・公的研究機関等であること。
2 独立行政法人又は公益法人が、民間企業、大学、公的研究機関等と連携体制を構築
する場合、他者に比べて優位性を有すること。
3 コンテストの企画運営又は関連分野に関する業務実績、かつ、市場ニーズ、技術動
向及び特許動向等の情報提供による支援ができる組織及び人員等を有しているこ
と。
4 委託業務を円滑に遂行するために必要な経営基盤、
資金及び設備等の十分な管理能
力を有し、かつ、情報管理体制等を有していること。
5 委託業務管理上、NEDO の必要とする措置を適切に遂行できる体制を有しているこ
と。
2)審査項目
1 企画運営等の目標が機構の意図と合致していること。
2 企画運営等の方法、内容等が優れていること。
3 企画運営等の経済性が優れていること。
4 コンテストの企画運営又は関連分野に関する実績等を有すること。 45 当該企画運営等を行う体制が整っていること。
6 経営基盤が確立していること。
7 当該企画運営等に必要な人員等を有していること。
8 委託業務管理上機構の必要とする措置を適切に遂行できる体制を有していること。
<委託条件>
1)実施期間
原則として 3 年以内。
2)規模(1課題単年度当たり)
委託費として原則 3 億円程度とし、課題毎に設定する。
3)採択予定件数
課題毎に提案内容の優れている 1 件程度を採択する。
(4)懸賞広告
<応募要件>
1)懸賞広告応募者
懸賞広告の応募者は、次に掲げる要件を満たすことが必要である。
1 日本に籍を有する者(法人、個人、グループ等)であり日本国内に本応募に係る
主たる技術開発のための拠点を有していること。
ただし、国外の籍を有する者(企業、大学、研究機関を含む。
)の特別な研究開発
能力、研究施設等の活用又は国際標準獲得の観点から国外企業等との連携が必要
な場合は、
国外企業等との連携により応募することができることとする。
グループ
等により応募する場合は、日本に籍を有する者を責任者として設置すること。
さらに、課題の内容から以上の要件を満たさない者の応募(国外の籍を有する者
のみからなる応募等)
も可能とすることが日本の利益に資する場合には、
課題毎に
当該者の応募を可能とすることができることとし、当該者の応募要件は課題毎に
別途定める。
2 事業管理上、NEDO の必要とする措置を適切に遂行できること。
3 2023 年度設定課題については、
成果提出とともに成果の創出に要したコスト及び
その内訳(労務費、機械装置費、諸費)を申告すること。
2)審査項目
企画運営業務での検討を踏まえ、課題毎に懸賞広告開始前に決定し、懸賞広告に記載
する。
<交付条件> 51)懸賞広告期間
企画運営業務の期間内。
2)規模(1課題当たり)
懸賞金総額として原則 3 億円程度とし、課題毎に設定する。
3)受賞予定者数
課題毎に実施するコンテストにおいて目標水準以上の成果を上げた者のうち上位数者
を決定する。
4)懸賞金交付決定額
(A)2023 年度設定課題
懸賞広告に記載された設定懸賞金額と、受賞者が成果提出時に申告したコストを
比較し、いずれか低い額を懸賞金交付決定額とする。
(B)2024 年度設定課題
懸賞広告に記載された設定懸賞金額を懸賞金交付決定額とする。
4.3 これまでの事業実施状況
2023 年度設定課題の 3 課題それぞれについて企画運営業務の実施事業者を公募・選定
(2023
年 12 月 31 日時点)。5.制度の実施方式
NEDO は、企画運営業務においては、上記4.2(3)の「1)対象事業者」に掲げる要件
を満たす事業者を対象に、公募によって実施事業者を選定し、委託により実施する。
懸賞広告においては、上記4.2(4)の「1)懸賞広告応募者」に掲げる要件を満たす者
を対象に、企画運営業務において具体化した研究開発の課題や目標等を掲げて、多数の応募
を募る。提出された研究開発の成果をコンテスト形式により競わせ、目標水準以上の成果を
上げた者のうち上位数者に対して、NEDO が懸賞金を交付する。
なお、企画運営業務において懸賞金額を設定するに当たっては、懸賞金制度の質をより高
めていく観点から、これまで NEDO が実施した懸賞金事業の事例を企画運営事業者に提供す
る。また、懸賞広告に掲げる課題内容の設定、交付先の決定、懸賞金の交付等に関しては、
課題毎に設置する懸賞金交付等審査委員会の意見を聴くこととする。
制度の管理・執行に責任を有する NEDO は、経済産業省と密接な関係を維持しつつ、本制度
の目的及び目標に照らして適切な運営管理を実施する。また、本制度の運営に当たっては、
必要に応じて、外部有識者等の意見を運営管理に反映させる。
5.1 実施体制
別紙のとおり。 65.2 公募及び懸賞広告
(1)企画運営業務
1)公募開始前の事前周知
ホームページ等のメディアの最大限の活用等により実施する。また、公募に係る事前の
周知は、NEDO のホームページ上に、公募の開始の1か月前(緊急的に必要なものであって
事前の周知が不可能なものを除く。
)に行う。
2)公募開始時期
課題毎に決定する。
3)公募期間
原則 30 日間以上とする。
(2)懸賞広告
1)懸賞広告開始前の事前周知
ホームページ等のメディアの最大限の活用等により実施する。また、懸賞広告に係る事
前の周知は、課題毎に適切な期間を設定し(緊急的に必要なものであって事前の周知が不
可能なものを除く。)、NEDO のホームページ上で行う。
懸賞広告に関しては、研究者等の応募主体のみならず、当該技術の実用化・社会実装を
担いうる幅広い者に理解を得ていくことが重要であることから、懸賞広告で掲げる課題の
趣旨やコンテストでの審査方法等について、わかりやすく広く周知する機会を設ける。
2)懸賞広告開始時期
課題毎に決定する。
3)懸賞広告期間
企画運営業務での検討を踏まえ、懸賞広告毎に決定する。
5.3 採択及び受賞者決定方法
(1)企画運営業務
1)審査方法
提案内容について客観的な審査基準に基づき、外部有識者による事前書面検討の一次審
査等を経て、企画運営事業者の採択候補の案を策定し、契約・助成審査委員会において決
定する。なお、外部有識者委員については、採択結果公表時に公表する。
また、公募締切日から採択決定までに要する事務について、合理化・迅速化を図る。
2)公募締切から採択決定までの審査等の期間 7原則 70 日間以内とする。
3)採択結果の通知
採択者に対して採択の審査結果を通知する。不採択者に対しては不採択の審査結果及び
不採択理由を通知する。
4)採択結果の公表
採択案件については、NEDO のホームページにおいて提案者の名称を公表する。
(2)懸賞広告
1)審査方法
外部有識者からなる懸賞金交付等審査委員会の意見を聴いて、客観的・公平なルールに
基づいたコンテストにて目標水準以上の成果を上げた者を選定し、順位を決定する。
2)懸賞広告締切から受賞者決定までの審査等の期間
懸賞広告毎に設定する。
3)コンテスト結果の通知
受賞者に対してコンテストの結果(順位、懸賞金額、目標の達成度等)を通知する。受
賞者以外の応募者に対しては、受賞者とならなかった旨を通知する。
4)コンテスト結果の公表
NEDO のホームページにおいてコンテストの結果(受賞者、順位、目標の達成度等)を公
表する。
6.その他重要事項
6.1 調査事業の実施
技術課題や社会課題の解決に資する多様なシーズをコンテスト形式で効果的に発掘するた
め、必要に応じて、別途、基礎的調査を実施する。
6.2 複数年度契約及び交付の実施
企画運営業務については、原則、複数年度契約とする。
懸賞金の交付については、適宜、課題毎に交付する。
7.スケジュール
(A)2023 年度設定課題
(注)一例であり、課題毎に時期を決定する。
〜2024 年 1 月まで 契約・助成審査委員会、企画運営事業者の採択決定 82024 年 3 月頃 懸賞金交付等審査委員会、懸賞広告開始
〜2025 年 3 月まで コンテスト
懸賞金交付等審査委員会、受賞者決定、懸賞金交付
(B)2024 年度設定課題
(注)最大実施期間である実施期間3年の場合の一例であり、課題毎に時期を決定する。
2024 年 5 月頃 企画運営業務の公募開始
2024 年 6 月頃 企画運営業務の公募締切
契約・助成審査委員会、企画運営事業者の採択決定
2025 年 3 月頃 懸賞金交付等審査委員会、懸賞広告開始
〜2027 年 3 月まで コンテスト
懸賞金交付等審査委員会、受賞者決定、懸賞金交付
8.実施方針の改定履歴
(1)2024 年 3 月、制定。
(2)2024 年 5 月、2024 年度設定課題名の追記、懸賞金交付の規模(1 課題当たり)に関する事
項の変更。
(3)2024 年 7 月、組織改編に伴う、部署名の変更。 9企画運営事業者NEDO経済産業省
運営費交付金
(1)公募 (2)提案
(3)採択/
不採択通知
(4)委託契約
締結
(5)実績報告
(6)委託費
支払い
懸賞広告応募者NEDO経済産業省
運営費交付金
(1)懸賞広告 (2)応募
(3)コンテスト
結果通知
(5)懸賞金の交付
(4)請求書の提出
(別紙)
事業実施スキームの全体図
(注記)懸賞広告で行わせる研究開発期間が長期となる場合、研究開発の途中で異なる応募者の巻き込
みが必要となる場合、
段階的な解決を図る必要がある場合等においては、
多段階でコンテストを
実施し、懸賞金を交付する。
【企画運営業務】
【懸賞金交付】

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /